JPWO2003059399A1 - スーパー蒸気を利用した滅菌用装置、又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化用装置、及び不活化方法 - Google Patents
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Abstract
スーパー蒸気による滅菌又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化処理手段及び不活化用装置を提供すること。詳しくは、約20〜30KHzの高周波電磁場誘導加熱手段によって超高温化したスーパー蒸気が循環系において繰り返し利用可能であり、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力及び、空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、約300〜1300℃の超高温化条件が達成されることを特徴とする滅菌又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化用装置である。
Description
本出願は、参照によりここに援用されるところの、日本特許出願番号2002−006020からの優先権を請求する。
技術分野
本発明は、スーパー蒸気を利用した滅菌・ウイルス不活化処理のための装置に関する。更に詳しくは、蒸気を約25KHzの高周波電磁誘導加熱によって超高温化し、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下、及び空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、約300〜1300℃に超高温化条件を達成し、この条件下で滅菌・ウイルスの不活化処理方法、及び不活化処理をするための装置に関する。
背景技術
ウイルス不活化・滅菌方法は、加熱処理することが一般的である。典型的な方法は、60℃10時間のような液状加熱、乾燥状態での100〜130℃加熱処理等である。蒸気を利用したウイルス不活化・滅菌方法は、蒸気を担体にするものであり、いまだ一般化はされていない。従来、100℃を越える蒸気を生成するには、石油、ガス、石炭等の燃料を燃焼させ、多管式熱交換器等に配置された蒸気配管を加熱させると同時に圧力を加えて(例えば20気圧から60気圧)飽和蒸気にするか、又は蒸気配管を燃焼ガスや電気抵抗ヒータで加熱することによって得られるようにしている。
しかし、上記方法によれば、石油、ガス、石炭等の燃料を燃焼させるボイラ等に対する消火設備等の特別な安全手段が必要であるだけでなく、ボイラ等の装置の他、圧力を上昇させるための装置等も要するため、装置全体が大型化してしまう問題点があり、ウイルス不活化・滅菌手段として適当ではなかった。
また、燃焼ガスや電気抵抗ヒータで加熱する場合には、上記ボイラ等による場合のように消火設備等の特別な安全手段を不要にすることができるとともに、装置の小型化を図ることができるものの、水を加熱するときの熱伝導率が低いため、100℃を越える蒸気を生成するまでの時間が多くかかる問題点が発生しており、ウイルス不活化・滅菌手段としては適当でなかった。
発明の開示
本発明は、蒸気を利用したウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化又は滅菌手段の新規な装置を提供するものである。前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、特別な安全装置や圧力を上昇させるための特別な装置を不要にし、一方で、効率よく約300℃以上、300℃〜1300℃の超高温化条件を達成することができる調整されたスーパー蒸気雰囲気下でのウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の夾雑する可能性ある対象物に不活化又は滅菌のための装置を提供することにある。
本発明は、前述の課題解決のために、蒸気を約25KHzの高周波電磁誘導加熱手段によって超高温化し、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下、及び空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、約300〜1300℃の超高温化条件を達成し、えられた条件下で、滅菌又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の夾雑可能性ある対象物の不活化処理をする装置を提供することによって本発明を完成した。
すなわち本発明は、
1.約20〜30KHzの高周波電磁場誘導加熱手段によって超高温化したスーパー蒸気が循環系において繰り返し利用可能であり、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下及び、系の空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、約300〜1300℃の超高温化条件が達成されることを特徴とする滅菌用装置、又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化用装置。
2.蒸気発生手段で発生させた蒸気が、高周波電磁誘導加熱手段により超高温に加熱されたスーパー蒸気発生装置による輻射熱、対流熱、及び伝導熱によって、超高温化が達成される前項1に記載の装置。
3.蒸気発生手段が、沸騰又は蒸発手段によって蒸気を発生する前項1又は2に記載の装置。
4.系が、蒸気回収、熱回収、蒸気源補給、圧力調整、空気又は酸素含有量調整の各機能の少なくとも1を備える循環系である前項1〜3の何れか一に記載の装置。
5.空気又は酸素含有量が、爆発限界内濃度である前項1〜4の何れか一に記載の装置。
6.吸引手段によって、圧力調整及び/又は発生ガス調整が行われる前項1〜5の何れか一に記載の装置。
7.処理対象物が、スーパー蒸気の調整された雰囲気下でスーパー蒸気発生装置中に投入される前項1〜6の何れか一に記載の装置。
8.前項1〜7の何れか一に記載の装置を使用する滅菌方法、又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化方法。
からなる。
発明を実施するための最良の形態
滅菌又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物を夾雑するものの不活化処理は、蒸気を、約20〜30好ましくは約25KHzの高周波電磁場誘導加熱手段によって、超高温化し、えられた超高温化蒸気(スーパー蒸気)を調整されたスーパー蒸気雰囲気下で使うことを基本とする。
本発明で蒸気とは、水蒸気、アンモニアなど加熱によって、容易に蒸気になる物質が選択される。特に、蒸気の状態において、輻射熱の吸収効率のよい媒体が好ましい。後述する実施例では水蒸気を最良の態様として選択したがこれに限られるものではない。最初の蒸気の発生は、後のスーパー蒸気の発生と同一室内でおこなってもよいし、別の室で行ってもよい。好ましくは、別室がよい。スーパー蒸気発生の室(スーパー蒸気発生装置)は、約300℃〜1300℃の高温となる可能性があるので、そのような高温に耐える構造及び/又は材料を使う必要があるからである。最初の蒸気の発生は、沸騰又は蒸発による。沸騰又は蒸発は、水等の蒸気原料を適宜供給しおこなう。沸騰のためには、効率的には、高周波交流電源によって電磁場を形成させ、渦電流によるジュール熱で加熱する。
高周波とは、通常20KHz以上、好ましくは20〜30KHzである。電磁場の形成は、熱伝導性に優れた例えば銅製(その他、銀やアルミニウム)の筒状タンクを断熱性物質例えばセラミック等でおおい、この断熱性物質の外面を導電性線材(例えばガラス繊維で被覆された銅線等)で巻回して誘導コイルを形成させ、高周波交流電源を流して、ジュール熱を発生させる。
本発明で最初の蒸気の発生は蒸気原料例えば水をタンク内に供給し、熱源の供給によって、沸騰・蒸気化せしめる(蒸気発生手段)。この処理により、沸騰蒸気の発生を連続的に数秒で行うことができる。蒸気原料の供給は、一般的には1〜100ml/秒で行われる。あるいは、蒸気原料の一定量をタンク内に留置させる手段を導入してもよい。
本発明の好ましい態様は、系が、蒸気回収、熱回収、蒸気源補給、圧力調整、吸引手段及び酸素又は空気調節の各機能を備える循環系である。蒸気回収とは、スーパー蒸気を発生させる手段との閉鎖的接続によって循環されるスーパー蒸気の一部を選択的に回収し、その蒸気が保持する熱を回収し所望用途に活用する一方で蒸気を凝集水として再利用することを意味する。また、蒸気源補給とは、水等の新たな補充を意味する。圧力調整とは、系における蒸気の高温化或は蒸気の補給による圧力上昇を圧力調整弁等の開閉によって所望の圧に調整することを意味し、1気圧に調整されることが好ましい。酸素又は空気調節とは、系内の酸素濃度を爆発の限度内に調節しながらも目的処理のための最適温度を達成するために必要十分な状態に維持することを意味する。また酸素濃度は、処理対象物の燃焼をおこさせるように調整することも可能である。系内の酸素濃度は、例えば、0〜10%V/Vに調節される。吸引装置(手段)は、圧力調節及び/又は系内で発生する可能性あるガス類の除去調整を行い、前記圧力調整手段と同じでも良いし、別でも良い。
沸騰蒸気は、ついで、20KHz以上、好ましくは20〜30KHzの高周波を使った電磁場誘導加熱手段(スーパー蒸気発生装置)によって加熱処理がされ、超高温化が達成されてスーパー蒸気となる。加熱は、輻射熱、対流熱、伝導熱等を利用し超高温化が達成される。超高温化に際し、酸素又は空気の調整条件下で爆発限度内の酸素濃度に調節することは超高温化達成のためには効率的である。スーパー蒸気発生装置は、より高熱となるため例えば300℃〜千数百℃の高熱にたえうる構造、材料、厚さを形成することが必要である。好ましくは、電磁誘導金属を含む金属系セラミック材料等の導入が好ましい。
沸騰蒸気は、順次このスーパー蒸気発生装置に送り込まれ、高周波交流電源−誘導コイルによる電磁場の電磁場誘導加熱手段によって加熱処理が行われる。スーパ蒸気発生装置に送り込まれた沸騰蒸気は、発生した熱を効率的に吸収して、急速な温度上昇が達成される。約500℃になるのに数秒である。温度調整は、送り込まれる沸騰蒸気量と高周波電源の通電量によって行われる。かくして、300〜千数百℃の超高温化蒸気(スーパー蒸気)が極めて容易に調製される。
得られたスーパー蒸気は処理容器(滅菌チャンバー)に送られ又はスーパー蒸気発生装置内で、対象とする菌、ウイルス若しくは遺伝子組換え関連物を夾雑又は含む可能性のある対象物の処理に供される。処理時間は、数秒で十分であり、例えば1000℃の条件下におく場合、1〜3秒ほどで、夾雑する菌又はウイルスは死滅する。又、300℃程度に調整した条件の場合は、1〜60秒、1〜10分程度の処置を要する。処理は、直接又は間接におこなわれ、目的とする対象物の種類により適宜選択される。対象が、事後廃棄処理されるものであれば、無論直接に1000℃で数秒の処理で十分である。対象が、事後利用される蛋白質等ではその変性との関係を考慮した温度・時間の調整が必須である。
本発明の装置の使用の一態様では、処理対象物はスーパー蒸気の調整された雰囲気下で処理される。処理対象物を少量から十分に調整されたスーパー蒸気雰囲気下のスーパー蒸気発生装置内に直接投入、又は、スーパー蒸気の非雰囲気下のスーパー蒸気発生装置内(単に加熱容器と呼べる)に投入される。本発明の装置では、スーパー蒸気の非雰囲気下でも、装置からの輻射、対流、伝導熱で、処理に必要な超高温化条件は達成可能である。装置内は、例えばらせん状構造を担持する回転体(回転ドラム)からなる投入物移動手段が備えられ、投入された対象物が該手段の回転により自動的に移動が達成される。適当な時間の超高熱条件下での処理が終えた処理対象物は該手段の回転により装置から排出される。このらせん状の手段により、装置内と外部は効率的に閉鎖が達成される。
本発明においては、スーパー蒸気は循環系において繰り返し利用可能であり、スーパー蒸気雰囲気部が所望圧、好ましくは約1気圧に調節されている。スーパー蒸気は、再利用のため循環系でスーパー蒸気発生装置にもどり、処理そして循環により低下した温度の再上昇が達成される。一方、スーパー蒸気発生装置内は、高温化による高圧状態を、圧力調整弁の開閉により約1気圧の常圧に調整される。本発明の装置の一態様において、処理対象物に燃焼がおこり、ガスが発生した場合には、真空引き手段(吸引装置)等によって、吸引・排気が行われる。
本発明の対象となる細菌は、大腸菌群、ボツリヌス菌、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌、コレラ菌等の病原菌、及び遺伝子工学的に利用できる宿主細菌であり、ウイルスはヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、A型肝炎ウイルス(HAV)、ポックスウイルス,パルボウイルス、アデノウイルス、及び遺伝子工学的に利用できる宿主ウイルス等である。また、本発明の対象には、クロウィツフェルト・ヤコブ病、スクレイピー病、狂牛病等の病原体(プリオン)も含む。また、これら病原体・細菌・ウイルス・昆虫・プラスミド・ベクター・動物細胞・遺伝子・核酸・無細胞産生系を含む・夾雑する遺伝子組換え関連物・廃棄物をも対象とする。なお、本発明で遺伝子組換え関連物とは、原料・生産物・廃棄物を含む。本発明は、微生物を含む生物一般の不活化に適用することができる。
処理対象物としては、食品、食器、調理器、医薬品、試薬、医療器具、医療補助品、医療補助具、医療容器、遺伝子組換え試験産物、遺伝子組換え試験原料、血液製剤、これらの何れかの廃棄物等である。特に廃棄物の処理のためには、超高温で短時間の処理で目的が達成されるため極めて効率のよい手段となる。処理対象物は、乾燥状態、半乾燥状態、液体状態の何れであってもよく、いずれも瞬時に滅菌・ウイルス不活化効果が達成される。処理対象物が厚みを有するものであっても、1000℃をこえるスーパー蒸気は10cm〜30cmの幅の繊維状のものは透過するため、瞬時に滅菌・ウイルス不活化効果が達成される。
使用された蒸気は、そのまま廃棄してもよいが、循環式で回収し再利用することが効率的である。蒸気が液体になったものを自体公知の循環系の導入で回収し再利用してもよいし、蒸気状態で吸引式で回収再利用してもよい。後者がより効率的である。
実施例
以下に実施例で本発明を説明する。
(実施例1)(処理装置)
図1は、スーパー蒸気による滅菌又は微生物不活化処理装置の原理図であり、蒸気発生装置とスーパー蒸気発生装置とその循環系の関係を示すものである。図1によると、蒸気源である水供給タンクから、蒸気発生装置に水が供給され例えば誘導加熱用中空コイル(約25kHzの高周波交流電流)による熱源で水は100℃の水蒸気となる(第1段)。発生した蒸気は、スーパー蒸気発生装置への通路が開口され、スーパー蒸気発生装置内に移動される。一方、既にスーパー蒸気化され循環系にある蒸気も通路の開閉調整によりスーパー蒸気発生装置内に再流入される。スーパー蒸気発生装置は、高耐熱性の材料で作製され、約25kHzの高周波交流電流をコイルに通電させることで、磁場を形成し、流入した蒸気が、熱を吸収して数秒で約300℃以上の超高温度に上昇し、スーパー蒸気となる。超高温化は、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、つまり酸素濃度の調整を空気又は酸素調整装置(酸素濃度調整弁)で爆発限度内調整し、約300〜1300℃の超高温化条件が達成される。真空引きは発生したガス類を排除するための装置である。
処理の一態様はこのスーパー蒸気発生装置(図中において、廃棄物処理チャンバーとも記す)内に直接順次処理対象物が投入され、スーパー蒸気による滅菌・微生物不活化処理がなされる。滅菌又は微生物不活化は数秒で完了し、スーパー蒸気は蒸気回収用のスーパー蒸気流出口から再利用のため蒸気発生装置に回収される。かくして調製された装置は、静かで、小型で、極めて効率的な滅菌・微生物不活化装置を提供する。
別実施例では、対象物処理装置(滅菌チャンバーと記す:約300〜1300℃の超高温化条件が達成)が準備され、そこに順次処理対象物及びスーパー蒸気が投入され、超高温化条件による滅菌又は微生物不活化処理がなされる。滅菌又は微生物不活化は数秒で完了し、スーパー蒸気は蒸気回収用のスーパー蒸気流出口から再利用のため蒸気発生装置に回収される。
(実施例2)
以下に本発明の装置使用の具体例を説明する。
1.患者に使用した医療器具の1次消毒、滅菌及び廃棄
1)水洗後の医療器具を本発明装置で(約500〜800℃)3秒間処理し1次消毒した。
2)ガーゼ・紙類・プラスチック類などの医療廃棄物を本発明装置で(約500〜800℃)を用いて約2分間滅菌し、同時に廃棄物量を激減させて一般ゴミとして処分可能とした。
3)病棟詰所内で再使用する金属製医療器具を本発明装置で(約500〜800℃)約1分間消毒・滅菌処理をした。病院で特に問題となっている消毒は、感染症患者(HIV、HBV:B型肝炎ウイルス、HCV:C型肝炎ウイルス、結核、MRSA、梅毒など)に使用した医療器具の1次消毒である。現状は、使用後のハサミ等を軽く水洗後に刺激臭の強い消毒薬(ステリハイド)に浸潰し、さらに水洗後に滅菌用の包装袋に入れてオートクレープをかけるか、熱に弱い物品はEOG(エチレンオキサイトガス)滅菌をし再使用しているが、この代替となる。
4)手術中の手術用具の迅速消毒及び滅菌手術中に手術用具を床に落とした場合、本発明装置で(約500〜800℃)3分間処理して、再利用可能とした。
2.採血後の注射針の滅菌に用いる
針刺し事故防止のために、採血後の針は注射筒を外さずにメスキュード缶に廃棄し、専門業者が高額請負でmelting処理しているのが現状である。本発明装置で(約500〜800℃)5分間処理しmelting処理を完成した。
(実験例1)(本発明装置による滅菌効果)
未滅菌のガラス試験管に1mL当たり約10万個の大腸菌を市販の完全培地に接種した。その試験管を本発明装置内で500℃で3分間処理後、無菌的に10mLの培地を添加し、37℃で5時間培養後の大腸菌の増殖を波長660nmの吸光度測定により調べた。同一菌数を接種した試験管を用意し、室温(25℃)で3分間置いたものを対照とした。
その結果を表1に示した。
以上の結果、対照の試料は大腸菌の大幅な増殖が認められたが、500℃、3分間の処理をしたものは全く大腸菌の増殖が認められなかったことより、完全に滅菌されることが分かった。
(実験例2)(滅菌効果)
市販の脱脂綿片(約3cm×3cm)に実験例1で用いた大腸菌の代わりに遺伝子組換え大腸菌液1mLを含ませ、シャーレに入れ、実験例1と同様に処理した。処理後、市販の微生物検査用血液寒天培地に脱脂綿をのせ37℃で5時間培養後、寒天培地表面に出現するコロニーを観察した。
その結果、本発明装置での処理を施さなかった対照は、全面にコロニーが観察されたにもかかわらず、一方、処理したものは、全くコロニーは観察されなかった。
以上の結果、脱脂綿に含まれた細菌も完全に滅菌できることが分かった。
(実験例3)(ウイルス不活化効果)
本発明の装置を用いてウイルスの不活化効果を確かめるため、モデルウイルスとしてBovine viral diarrhoea virus(BVD)を用い、ウイルスの不活化効果を観察し表2の成績を得た。ガラス試験管に1010の感染価のBVDを入れ、その試験管を本発明装置で500℃で3分間処理後、感染価を測定した、その結果を表2に示した。
以上の結果よりBVDウイルスは本発明の装置を用いることにより3分間で完全にウイルスを不活化できることが確認された。
(実験例4)
未滅菌の手術用メス、はさみ、ピンセット、ガラス製注射器をステンレス製の収納箱に入れ、本発明の装置内で300℃で2分間滅菌した。一方、対照として、同様の用具を121℃で20分間のオートクレーブによる滅菌処理、150℃で3時間の乾熱滅菌を施した。滅菌後、各用具を滅菌したガーゼ片で入念に拭い取りそのガーゼ片を滅菌水に浸漬し、市販の完全培地に浸漬水の一部を移し培養した。その結果を表3に示した。
以上の結果、未滅の用具では培養結果が陽性となり、微生物の存在が認められたが、本発明による滅菌では、従来から行われてきたオートクレーブによる蒸気滅菌及び乾熱滅菌と同等の滅菌効果が確かめられた。しかも、本発明の手段からなる装置では、従来の滅菌方法に比べて大幅に短時間で滅菌できることがわかった。
(実験例5)
治療に用いた、ポリプロピレン製注射筒、ガーゼ、脱脂綿を集めて金属ケースに入れ、本発明の装置を用いて300℃で2分間の滅菌処理を行った。その後、実施例1と同様に、市販の完全培地で培養により滅菌効果を確かめた。滅菌処理により、注射筒はその形状を残さない程度に溶融しており、ガーゼ、脱脂綿からは培養により微生物は検出されなかった。
(実施例3)
図2は、誘導パンチングメタル筒型の加熱装置を示す。この装置は、スーパー蒸気発生装置によって発生された高熱蒸気が、さらに輻射熱、対流熱、及び伝導熱によって効率的に処理廃棄物に伝わり、処理の効率化を達成した。
(装置の構成)
誘導パンチングメタル筒型の加熱装置の構成は、外筒と内筒の2層構造の円筒を基本構造とし、さらに外筒外周には誘導加熱コイル(約25KHzの高周波電磁誘導加熱)が設置されている。内円筒は、回転可能で自体加熱される磁性体で作られたメタル性で空気流通孔となるパンチ穴が複数個、多数あけられている。この孔は、筒内に投入される廃棄物が、この穴から容易には流出しないが、蒸気の流出入が可能な大きさである。内筒の外周には、螺旋状に巻かれた磁性体である突起物(蒸気送り装置)が取り付けられており、内筒の回転により、内筒と外筒の間隙部のスーパー蒸気の移動(例えば矢印方向へ)が可能となる。外筒は、内筒を囲む状態で覆われ、その構造における構成が非磁性体物質と磁性体物質の組み合わせ構造となっている。図2では、外円筒の左右両側に非磁性体物質、中央に磁性体物質という3相となっている。この構成は、多様的に変更可能であり、製造上の困難性と加熱効率の効果を比較考量して構造は決めることができる。無論2相、4相、5相等の多相構造は有用である。磁性体部は誘導加熱部(電磁誘導加熱で自体加熱がおこる)であり、非磁性体部は非誘導加熱部(電磁誘導加熱で自体加熱がおこらない)である。磁性体部は、誘導加熱コイル(約25kHzの高周波電磁誘導加熱コイル:10kW)によって高温に誘導加熱され、さらには、胴体外筒の内壁からの放射熱によって内筒であるパンチングメタル筒が加熱される。非磁性部を通過する磁界は直接に内筒であるパンチングメタル筒の加熱に作用する。
この2層構造の円筒を胴体と呼ぶこともある。この胴体の外側に蒸気を加熱しスーパー蒸気化するための高周波電磁誘導コイルが巻きつけられており、その外側には安全のための外覆いが装着される。
蒸気は、内筒と外筒の間の間隙を通過しながら高温化され、一部は内筒のパンチ孔から内筒内の廃棄物処理部に流入し、一部は高温化を保ちながら循環ファンによって廃棄物入口付近に戻され再度廃棄物とともに胴体部に流入し、内筒内及び内筒−外筒間隙へと分けられ加熱に利用される。スーパー蒸気は、高周波電磁誘導加熱コイルで巻かれたIHヒータ(高周波電磁誘導加熱ヒータ)でも作られ内筒内に流入される。内筒内のスーパー蒸気は、乱流状態にされ、内筒のパンチ孔からの流出入、処理廃棄物と共に処理廃棄物流出口への流出によって移動がおこる。なお、図2においてIHヒータの周りのマル印は誘導加熱用コイルを意味する。蒸気は、廃棄物の加熱処理後破砕機から熱交換器に流入し、熱交換器を通過する冷却水によって、処理物から十分に熱を奪い再利用のためにIHヒータ部の蒸気発生用水として流入される。そして再加熱後、再びスーパー蒸気を内筒内に流入させ廃棄物処理にふされる。
廃棄物は、廃棄物投入口から投入され、過熱化蒸気と接触下胴体内筒内を内筒のモーター(M)による回転にともない移動する。この移動のために内筒内にも螺旋状に巻かれた突起物からなる送り装置を設置することが好ましい。加熱処理された処理物は、図2で左から右に移動し、流出口部分には破砕機を設置し、加熱処理された処理物の細分化処理が行われる。破砕された処理物は、処理物送り装置にのり熱交換器(装置)へ移動され、熱の蒸気への吸収処理がなされ、処理物の低温化が達成される。冷却器は、蒸気の凝縮及び圧力の調整のために機能する。
(伝熱促進効果)
▲1▼蒸気の加熱
本装置によれば、IHヒータからの蒸気が、高温に誘導加熱された外筒(磁性体部における加熱)と非磁性体部を通過して誘導加熱されたパンチングメタルの内筒との隙間空間において、螺旋構造の蒸気送り装置と循環ファンによって強制循環され、短時間に昇温される。昇温された再循環蒸気とIHヒータから供給された蒸気は回転モーター(M)によって回転供給され、内筒内で強制乱流化された。
▲2▼処理物に対する高速加熱
例えば、処理物3lの加熱量Qは、高温誘導加熱されたパンチングメタルの内筒からの放射伝熱と伝導伝熱、スーパー蒸気からの乱流強制伝熱および放射伝熱により供給され、このQにより、10kWの高周波電磁誘導加熱コイルを使った場合、短時間(約3分)で約1000℃に昇温された。
(実施例4)
図3は、スクリュー型の加熱装置を示す。この装置は、スーパー蒸気発生装置によって発生された高熱蒸気が、さらに輻射熱、対流熱、及び伝導熱によって効率的に処理廃棄物に伝わり、処理の効率化を達成した。
(装置の構成)
スクリュー型の加熱装置の構成は、円筒と円筒内に設置されたスクリュー状の螺旋板を基本構造とする。スクリュー状の螺旋板は、モーター(M)で回転され、処理廃棄物がスクリュー状の螺旋板の回転に伴い左から右に移動される。胴体の円筒は、全部が誘導加熱体(磁性体)によって構成され、その円筒の周りに設置された誘導加熱コイル(約25kHzの高周波電磁誘導加熱コイル:10kW)によって胴全体が誘導加熱される。処理廃棄物と過熱蒸気は、胴体内部に設置されたスクリュウ式の送り装置(スクリュー状の螺旋板)で左から右へと移動される。蒸気は、循環ファンで再循環系にふされ、図3の左部の廃棄物投入口及び胴体部左側から再利用される。過熱蒸気をIHヒータで作り胴体左部からの流入、処理廃棄物の破砕処理、熱交換器による蒸気の再利用は実施例3と同様である。
(伝熱促進効果)
▲1▼蒸気の加熱
本装置によれば、高温に誘導加熱された胴体(円筒)からの放射熱、スクリュー状の螺旋板でかく乱された蒸気による胴体内壁への直接接触による伝導伝熱、蒸気により高温化したスクリュー状の螺旋板表面に攪乱した蒸気が接触することによる伝導伝熱、及びスクリュー状の螺旋板からの放射伝熱によって蒸気の加熱がおこなわれた。
▲2▼処理物への高速加熱
投入された処理物は、送り装置により攪拌され、その際に送り装置からの強制伝導伝熱と放射伝熱を受け、同時に胴体からの強制伝導伝熱と放射伝熱を受けながら、さらに強制かく乱された蒸気による乱流強制対流伝熱と放射伝熱を受け、短時間で高昇温した。
以上の結果より、本発明の手段からなる装置は医療廃棄物の滅菌処理に有効であることがわかった。
産業上の利用可能性
本発明は、蒸気を、高周波電磁誘導加熱によって、超高温化し、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下、及び系の空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、得られた超高温化条件を使って、滅菌又はウイルス不活化処理のための装置を提供することを達成し、滅菌又はウイルス不活化処理が安価に簡便に超特急で確実に行える手段を提供した。本発明の装置は、超小型・軽量化が達成され、可動式で省エネルギー型である。また、所望圧・酸素濃度調整機能を担持しており、安全である。
【図面の簡単な説明】
(図1)本発明手段による装置の原理図である。
(図2)誘導パンチングメタル筒型の加熱装置である。
(図3)スクリュー型の加熱装置である。
技術分野
本発明は、スーパー蒸気を利用した滅菌・ウイルス不活化処理のための装置に関する。更に詳しくは、蒸気を約25KHzの高周波電磁誘導加熱によって超高温化し、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下、及び空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、約300〜1300℃に超高温化条件を達成し、この条件下で滅菌・ウイルスの不活化処理方法、及び不活化処理をするための装置に関する。
背景技術
ウイルス不活化・滅菌方法は、加熱処理することが一般的である。典型的な方法は、60℃10時間のような液状加熱、乾燥状態での100〜130℃加熱処理等である。蒸気を利用したウイルス不活化・滅菌方法は、蒸気を担体にするものであり、いまだ一般化はされていない。従来、100℃を越える蒸気を生成するには、石油、ガス、石炭等の燃料を燃焼させ、多管式熱交換器等に配置された蒸気配管を加熱させると同時に圧力を加えて(例えば20気圧から60気圧)飽和蒸気にするか、又は蒸気配管を燃焼ガスや電気抵抗ヒータで加熱することによって得られるようにしている。
しかし、上記方法によれば、石油、ガス、石炭等の燃料を燃焼させるボイラ等に対する消火設備等の特別な安全手段が必要であるだけでなく、ボイラ等の装置の他、圧力を上昇させるための装置等も要するため、装置全体が大型化してしまう問題点があり、ウイルス不活化・滅菌手段として適当ではなかった。
また、燃焼ガスや電気抵抗ヒータで加熱する場合には、上記ボイラ等による場合のように消火設備等の特別な安全手段を不要にすることができるとともに、装置の小型化を図ることができるものの、水を加熱するときの熱伝導率が低いため、100℃を越える蒸気を生成するまでの時間が多くかかる問題点が発生しており、ウイルス不活化・滅菌手段としては適当でなかった。
発明の開示
本発明は、蒸気を利用したウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化又は滅菌手段の新規な装置を提供するものである。前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、特別な安全装置や圧力を上昇させるための特別な装置を不要にし、一方で、効率よく約300℃以上、300℃〜1300℃の超高温化条件を達成することができる調整されたスーパー蒸気雰囲気下でのウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の夾雑する可能性ある対象物に不活化又は滅菌のための装置を提供することにある。
本発明は、前述の課題解決のために、蒸気を約25KHzの高周波電磁誘導加熱手段によって超高温化し、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下、及び空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、約300〜1300℃の超高温化条件を達成し、えられた条件下で、滅菌又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の夾雑可能性ある対象物の不活化処理をする装置を提供することによって本発明を完成した。
すなわち本発明は、
1.約20〜30KHzの高周波電磁場誘導加熱手段によって超高温化したスーパー蒸気が循環系において繰り返し利用可能であり、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下及び、系の空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、約300〜1300℃の超高温化条件が達成されることを特徴とする滅菌用装置、又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化用装置。
2.蒸気発生手段で発生させた蒸気が、高周波電磁誘導加熱手段により超高温に加熱されたスーパー蒸気発生装置による輻射熱、対流熱、及び伝導熱によって、超高温化が達成される前項1に記載の装置。
3.蒸気発生手段が、沸騰又は蒸発手段によって蒸気を発生する前項1又は2に記載の装置。
4.系が、蒸気回収、熱回収、蒸気源補給、圧力調整、空気又は酸素含有量調整の各機能の少なくとも1を備える循環系である前項1〜3の何れか一に記載の装置。
5.空気又は酸素含有量が、爆発限界内濃度である前項1〜4の何れか一に記載の装置。
6.吸引手段によって、圧力調整及び/又は発生ガス調整が行われる前項1〜5の何れか一に記載の装置。
7.処理対象物が、スーパー蒸気の調整された雰囲気下でスーパー蒸気発生装置中に投入される前項1〜6の何れか一に記載の装置。
8.前項1〜7の何れか一に記載の装置を使用する滅菌方法、又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化方法。
からなる。
発明を実施するための最良の形態
滅菌又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物を夾雑するものの不活化処理は、蒸気を、約20〜30好ましくは約25KHzの高周波電磁場誘導加熱手段によって、超高温化し、えられた超高温化蒸気(スーパー蒸気)を調整されたスーパー蒸気雰囲気下で使うことを基本とする。
本発明で蒸気とは、水蒸気、アンモニアなど加熱によって、容易に蒸気になる物質が選択される。特に、蒸気の状態において、輻射熱の吸収効率のよい媒体が好ましい。後述する実施例では水蒸気を最良の態様として選択したがこれに限られるものではない。最初の蒸気の発生は、後のスーパー蒸気の発生と同一室内でおこなってもよいし、別の室で行ってもよい。好ましくは、別室がよい。スーパー蒸気発生の室(スーパー蒸気発生装置)は、約300℃〜1300℃の高温となる可能性があるので、そのような高温に耐える構造及び/又は材料を使う必要があるからである。最初の蒸気の発生は、沸騰又は蒸発による。沸騰又は蒸発は、水等の蒸気原料を適宜供給しおこなう。沸騰のためには、効率的には、高周波交流電源によって電磁場を形成させ、渦電流によるジュール熱で加熱する。
高周波とは、通常20KHz以上、好ましくは20〜30KHzである。電磁場の形成は、熱伝導性に優れた例えば銅製(その他、銀やアルミニウム)の筒状タンクを断熱性物質例えばセラミック等でおおい、この断熱性物質の外面を導電性線材(例えばガラス繊維で被覆された銅線等)で巻回して誘導コイルを形成させ、高周波交流電源を流して、ジュール熱を発生させる。
本発明で最初の蒸気の発生は蒸気原料例えば水をタンク内に供給し、熱源の供給によって、沸騰・蒸気化せしめる(蒸気発生手段)。この処理により、沸騰蒸気の発生を連続的に数秒で行うことができる。蒸気原料の供給は、一般的には1〜100ml/秒で行われる。あるいは、蒸気原料の一定量をタンク内に留置させる手段を導入してもよい。
本発明の好ましい態様は、系が、蒸気回収、熱回収、蒸気源補給、圧力調整、吸引手段及び酸素又は空気調節の各機能を備える循環系である。蒸気回収とは、スーパー蒸気を発生させる手段との閉鎖的接続によって循環されるスーパー蒸気の一部を選択的に回収し、その蒸気が保持する熱を回収し所望用途に活用する一方で蒸気を凝集水として再利用することを意味する。また、蒸気源補給とは、水等の新たな補充を意味する。圧力調整とは、系における蒸気の高温化或は蒸気の補給による圧力上昇を圧力調整弁等の開閉によって所望の圧に調整することを意味し、1気圧に調整されることが好ましい。酸素又は空気調節とは、系内の酸素濃度を爆発の限度内に調節しながらも目的処理のための最適温度を達成するために必要十分な状態に維持することを意味する。また酸素濃度は、処理対象物の燃焼をおこさせるように調整することも可能である。系内の酸素濃度は、例えば、0〜10%V/Vに調節される。吸引装置(手段)は、圧力調節及び/又は系内で発生する可能性あるガス類の除去調整を行い、前記圧力調整手段と同じでも良いし、別でも良い。
沸騰蒸気は、ついで、20KHz以上、好ましくは20〜30KHzの高周波を使った電磁場誘導加熱手段(スーパー蒸気発生装置)によって加熱処理がされ、超高温化が達成されてスーパー蒸気となる。加熱は、輻射熱、対流熱、伝導熱等を利用し超高温化が達成される。超高温化に際し、酸素又は空気の調整条件下で爆発限度内の酸素濃度に調節することは超高温化達成のためには効率的である。スーパー蒸気発生装置は、より高熱となるため例えば300℃〜千数百℃の高熱にたえうる構造、材料、厚さを形成することが必要である。好ましくは、電磁誘導金属を含む金属系セラミック材料等の導入が好ましい。
沸騰蒸気は、順次このスーパー蒸気発生装置に送り込まれ、高周波交流電源−誘導コイルによる電磁場の電磁場誘導加熱手段によって加熱処理が行われる。スーパ蒸気発生装置に送り込まれた沸騰蒸気は、発生した熱を効率的に吸収して、急速な温度上昇が達成される。約500℃になるのに数秒である。温度調整は、送り込まれる沸騰蒸気量と高周波電源の通電量によって行われる。かくして、300〜千数百℃の超高温化蒸気(スーパー蒸気)が極めて容易に調製される。
得られたスーパー蒸気は処理容器(滅菌チャンバー)に送られ又はスーパー蒸気発生装置内で、対象とする菌、ウイルス若しくは遺伝子組換え関連物を夾雑又は含む可能性のある対象物の処理に供される。処理時間は、数秒で十分であり、例えば1000℃の条件下におく場合、1〜3秒ほどで、夾雑する菌又はウイルスは死滅する。又、300℃程度に調整した条件の場合は、1〜60秒、1〜10分程度の処置を要する。処理は、直接又は間接におこなわれ、目的とする対象物の種類により適宜選択される。対象が、事後廃棄処理されるものであれば、無論直接に1000℃で数秒の処理で十分である。対象が、事後利用される蛋白質等ではその変性との関係を考慮した温度・時間の調整が必須である。
本発明の装置の使用の一態様では、処理対象物はスーパー蒸気の調整された雰囲気下で処理される。処理対象物を少量から十分に調整されたスーパー蒸気雰囲気下のスーパー蒸気発生装置内に直接投入、又は、スーパー蒸気の非雰囲気下のスーパー蒸気発生装置内(単に加熱容器と呼べる)に投入される。本発明の装置では、スーパー蒸気の非雰囲気下でも、装置からの輻射、対流、伝導熱で、処理に必要な超高温化条件は達成可能である。装置内は、例えばらせん状構造を担持する回転体(回転ドラム)からなる投入物移動手段が備えられ、投入された対象物が該手段の回転により自動的に移動が達成される。適当な時間の超高熱条件下での処理が終えた処理対象物は該手段の回転により装置から排出される。このらせん状の手段により、装置内と外部は効率的に閉鎖が達成される。
本発明においては、スーパー蒸気は循環系において繰り返し利用可能であり、スーパー蒸気雰囲気部が所望圧、好ましくは約1気圧に調節されている。スーパー蒸気は、再利用のため循環系でスーパー蒸気発生装置にもどり、処理そして循環により低下した温度の再上昇が達成される。一方、スーパー蒸気発生装置内は、高温化による高圧状態を、圧力調整弁の開閉により約1気圧の常圧に調整される。本発明の装置の一態様において、処理対象物に燃焼がおこり、ガスが発生した場合には、真空引き手段(吸引装置)等によって、吸引・排気が行われる。
本発明の対象となる細菌は、大腸菌群、ボツリヌス菌、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌、コレラ菌等の病原菌、及び遺伝子工学的に利用できる宿主細菌であり、ウイルスはヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、A型肝炎ウイルス(HAV)、ポックスウイルス,パルボウイルス、アデノウイルス、及び遺伝子工学的に利用できる宿主ウイルス等である。また、本発明の対象には、クロウィツフェルト・ヤコブ病、スクレイピー病、狂牛病等の病原体(プリオン)も含む。また、これら病原体・細菌・ウイルス・昆虫・プラスミド・ベクター・動物細胞・遺伝子・核酸・無細胞産生系を含む・夾雑する遺伝子組換え関連物・廃棄物をも対象とする。なお、本発明で遺伝子組換え関連物とは、原料・生産物・廃棄物を含む。本発明は、微生物を含む生物一般の不活化に適用することができる。
処理対象物としては、食品、食器、調理器、医薬品、試薬、医療器具、医療補助品、医療補助具、医療容器、遺伝子組換え試験産物、遺伝子組換え試験原料、血液製剤、これらの何れかの廃棄物等である。特に廃棄物の処理のためには、超高温で短時間の処理で目的が達成されるため極めて効率のよい手段となる。処理対象物は、乾燥状態、半乾燥状態、液体状態の何れであってもよく、いずれも瞬時に滅菌・ウイルス不活化効果が達成される。処理対象物が厚みを有するものであっても、1000℃をこえるスーパー蒸気は10cm〜30cmの幅の繊維状のものは透過するため、瞬時に滅菌・ウイルス不活化効果が達成される。
使用された蒸気は、そのまま廃棄してもよいが、循環式で回収し再利用することが効率的である。蒸気が液体になったものを自体公知の循環系の導入で回収し再利用してもよいし、蒸気状態で吸引式で回収再利用してもよい。後者がより効率的である。
実施例
以下に実施例で本発明を説明する。
(実施例1)(処理装置)
図1は、スーパー蒸気による滅菌又は微生物不活化処理装置の原理図であり、蒸気発生装置とスーパー蒸気発生装置とその循環系の関係を示すものである。図1によると、蒸気源である水供給タンクから、蒸気発生装置に水が供給され例えば誘導加熱用中空コイル(約25kHzの高周波交流電流)による熱源で水は100℃の水蒸気となる(第1段)。発生した蒸気は、スーパー蒸気発生装置への通路が開口され、スーパー蒸気発生装置内に移動される。一方、既にスーパー蒸気化され循環系にある蒸気も通路の開閉調整によりスーパー蒸気発生装置内に再流入される。スーパー蒸気発生装置は、高耐熱性の材料で作製され、約25kHzの高周波交流電流をコイルに通電させることで、磁場を形成し、流入した蒸気が、熱を吸収して数秒で約300℃以上の超高温度に上昇し、スーパー蒸気となる。超高温化は、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、つまり酸素濃度の調整を空気又は酸素調整装置(酸素濃度調整弁)で爆発限度内調整し、約300〜1300℃の超高温化条件が達成される。真空引きは発生したガス類を排除するための装置である。
処理の一態様はこのスーパー蒸気発生装置(図中において、廃棄物処理チャンバーとも記す)内に直接順次処理対象物が投入され、スーパー蒸気による滅菌・微生物不活化処理がなされる。滅菌又は微生物不活化は数秒で完了し、スーパー蒸気は蒸気回収用のスーパー蒸気流出口から再利用のため蒸気発生装置に回収される。かくして調製された装置は、静かで、小型で、極めて効率的な滅菌・微生物不活化装置を提供する。
別実施例では、対象物処理装置(滅菌チャンバーと記す:約300〜1300℃の超高温化条件が達成)が準備され、そこに順次処理対象物及びスーパー蒸気が投入され、超高温化条件による滅菌又は微生物不活化処理がなされる。滅菌又は微生物不活化は数秒で完了し、スーパー蒸気は蒸気回収用のスーパー蒸気流出口から再利用のため蒸気発生装置に回収される。
(実施例2)
以下に本発明の装置使用の具体例を説明する。
1.患者に使用した医療器具の1次消毒、滅菌及び廃棄
1)水洗後の医療器具を本発明装置で(約500〜800℃)3秒間処理し1次消毒した。
2)ガーゼ・紙類・プラスチック類などの医療廃棄物を本発明装置で(約500〜800℃)を用いて約2分間滅菌し、同時に廃棄物量を激減させて一般ゴミとして処分可能とした。
3)病棟詰所内で再使用する金属製医療器具を本発明装置で(約500〜800℃)約1分間消毒・滅菌処理をした。病院で特に問題となっている消毒は、感染症患者(HIV、HBV:B型肝炎ウイルス、HCV:C型肝炎ウイルス、結核、MRSA、梅毒など)に使用した医療器具の1次消毒である。現状は、使用後のハサミ等を軽く水洗後に刺激臭の強い消毒薬(ステリハイド)に浸潰し、さらに水洗後に滅菌用の包装袋に入れてオートクレープをかけるか、熱に弱い物品はEOG(エチレンオキサイトガス)滅菌をし再使用しているが、この代替となる。
4)手術中の手術用具の迅速消毒及び滅菌手術中に手術用具を床に落とした場合、本発明装置で(約500〜800℃)3分間処理して、再利用可能とした。
2.採血後の注射針の滅菌に用いる
針刺し事故防止のために、採血後の針は注射筒を外さずにメスキュード缶に廃棄し、専門業者が高額請負でmelting処理しているのが現状である。本発明装置で(約500〜800℃)5分間処理しmelting処理を完成した。
(実験例1)(本発明装置による滅菌効果)
未滅菌のガラス試験管に1mL当たり約10万個の大腸菌を市販の完全培地に接種した。その試験管を本発明装置内で500℃で3分間処理後、無菌的に10mLの培地を添加し、37℃で5時間培養後の大腸菌の増殖を波長660nmの吸光度測定により調べた。同一菌数を接種した試験管を用意し、室温(25℃)で3分間置いたものを対照とした。
その結果を表1に示した。
以上の結果、対照の試料は大腸菌の大幅な増殖が認められたが、500℃、3分間の処理をしたものは全く大腸菌の増殖が認められなかったことより、完全に滅菌されることが分かった。
(実験例2)(滅菌効果)
市販の脱脂綿片(約3cm×3cm)に実験例1で用いた大腸菌の代わりに遺伝子組換え大腸菌液1mLを含ませ、シャーレに入れ、実験例1と同様に処理した。処理後、市販の微生物検査用血液寒天培地に脱脂綿をのせ37℃で5時間培養後、寒天培地表面に出現するコロニーを観察した。
その結果、本発明装置での処理を施さなかった対照は、全面にコロニーが観察されたにもかかわらず、一方、処理したものは、全くコロニーは観察されなかった。
以上の結果、脱脂綿に含まれた細菌も完全に滅菌できることが分かった。
(実験例3)(ウイルス不活化効果)
本発明の装置を用いてウイルスの不活化効果を確かめるため、モデルウイルスとしてBovine viral diarrhoea virus(BVD)を用い、ウイルスの不活化効果を観察し表2の成績を得た。ガラス試験管に1010の感染価のBVDを入れ、その試験管を本発明装置で500℃で3分間処理後、感染価を測定した、その結果を表2に示した。
以上の結果よりBVDウイルスは本発明の装置を用いることにより3分間で完全にウイルスを不活化できることが確認された。
(実験例4)
未滅菌の手術用メス、はさみ、ピンセット、ガラス製注射器をステンレス製の収納箱に入れ、本発明の装置内で300℃で2分間滅菌した。一方、対照として、同様の用具を121℃で20分間のオートクレーブによる滅菌処理、150℃で3時間の乾熱滅菌を施した。滅菌後、各用具を滅菌したガーゼ片で入念に拭い取りそのガーゼ片を滅菌水に浸漬し、市販の完全培地に浸漬水の一部を移し培養した。その結果を表3に示した。
以上の結果、未滅の用具では培養結果が陽性となり、微生物の存在が認められたが、本発明による滅菌では、従来から行われてきたオートクレーブによる蒸気滅菌及び乾熱滅菌と同等の滅菌効果が確かめられた。しかも、本発明の手段からなる装置では、従来の滅菌方法に比べて大幅に短時間で滅菌できることがわかった。
(実験例5)
治療に用いた、ポリプロピレン製注射筒、ガーゼ、脱脂綿を集めて金属ケースに入れ、本発明の装置を用いて300℃で2分間の滅菌処理を行った。その後、実施例1と同様に、市販の完全培地で培養により滅菌効果を確かめた。滅菌処理により、注射筒はその形状を残さない程度に溶融しており、ガーゼ、脱脂綿からは培養により微生物は検出されなかった。
(実施例3)
図2は、誘導パンチングメタル筒型の加熱装置を示す。この装置は、スーパー蒸気発生装置によって発生された高熱蒸気が、さらに輻射熱、対流熱、及び伝導熱によって効率的に処理廃棄物に伝わり、処理の効率化を達成した。
(装置の構成)
誘導パンチングメタル筒型の加熱装置の構成は、外筒と内筒の2層構造の円筒を基本構造とし、さらに外筒外周には誘導加熱コイル(約25KHzの高周波電磁誘導加熱)が設置されている。内円筒は、回転可能で自体加熱される磁性体で作られたメタル性で空気流通孔となるパンチ穴が複数個、多数あけられている。この孔は、筒内に投入される廃棄物が、この穴から容易には流出しないが、蒸気の流出入が可能な大きさである。内筒の外周には、螺旋状に巻かれた磁性体である突起物(蒸気送り装置)が取り付けられており、内筒の回転により、内筒と外筒の間隙部のスーパー蒸気の移動(例えば矢印方向へ)が可能となる。外筒は、内筒を囲む状態で覆われ、その構造における構成が非磁性体物質と磁性体物質の組み合わせ構造となっている。図2では、外円筒の左右両側に非磁性体物質、中央に磁性体物質という3相となっている。この構成は、多様的に変更可能であり、製造上の困難性と加熱効率の効果を比較考量して構造は決めることができる。無論2相、4相、5相等の多相構造は有用である。磁性体部は誘導加熱部(電磁誘導加熱で自体加熱がおこる)であり、非磁性体部は非誘導加熱部(電磁誘導加熱で自体加熱がおこらない)である。磁性体部は、誘導加熱コイル(約25kHzの高周波電磁誘導加熱コイル:10kW)によって高温に誘導加熱され、さらには、胴体外筒の内壁からの放射熱によって内筒であるパンチングメタル筒が加熱される。非磁性部を通過する磁界は直接に内筒であるパンチングメタル筒の加熱に作用する。
この2層構造の円筒を胴体と呼ぶこともある。この胴体の外側に蒸気を加熱しスーパー蒸気化するための高周波電磁誘導コイルが巻きつけられており、その外側には安全のための外覆いが装着される。
蒸気は、内筒と外筒の間の間隙を通過しながら高温化され、一部は内筒のパンチ孔から内筒内の廃棄物処理部に流入し、一部は高温化を保ちながら循環ファンによって廃棄物入口付近に戻され再度廃棄物とともに胴体部に流入し、内筒内及び内筒−外筒間隙へと分けられ加熱に利用される。スーパー蒸気は、高周波電磁誘導加熱コイルで巻かれたIHヒータ(高周波電磁誘導加熱ヒータ)でも作られ内筒内に流入される。内筒内のスーパー蒸気は、乱流状態にされ、内筒のパンチ孔からの流出入、処理廃棄物と共に処理廃棄物流出口への流出によって移動がおこる。なお、図2においてIHヒータの周りのマル印は誘導加熱用コイルを意味する。蒸気は、廃棄物の加熱処理後破砕機から熱交換器に流入し、熱交換器を通過する冷却水によって、処理物から十分に熱を奪い再利用のためにIHヒータ部の蒸気発生用水として流入される。そして再加熱後、再びスーパー蒸気を内筒内に流入させ廃棄物処理にふされる。
廃棄物は、廃棄物投入口から投入され、過熱化蒸気と接触下胴体内筒内を内筒のモーター(M)による回転にともない移動する。この移動のために内筒内にも螺旋状に巻かれた突起物からなる送り装置を設置することが好ましい。加熱処理された処理物は、図2で左から右に移動し、流出口部分には破砕機を設置し、加熱処理された処理物の細分化処理が行われる。破砕された処理物は、処理物送り装置にのり熱交換器(装置)へ移動され、熱の蒸気への吸収処理がなされ、処理物の低温化が達成される。冷却器は、蒸気の凝縮及び圧力の調整のために機能する。
(伝熱促進効果)
▲1▼蒸気の加熱
本装置によれば、IHヒータからの蒸気が、高温に誘導加熱された外筒(磁性体部における加熱)と非磁性体部を通過して誘導加熱されたパンチングメタルの内筒との隙間空間において、螺旋構造の蒸気送り装置と循環ファンによって強制循環され、短時間に昇温される。昇温された再循環蒸気とIHヒータから供給された蒸気は回転モーター(M)によって回転供給され、内筒内で強制乱流化された。
▲2▼処理物に対する高速加熱
例えば、処理物3lの加熱量Qは、高温誘導加熱されたパンチングメタルの内筒からの放射伝熱と伝導伝熱、スーパー蒸気からの乱流強制伝熱および放射伝熱により供給され、このQにより、10kWの高周波電磁誘導加熱コイルを使った場合、短時間(約3分)で約1000℃に昇温された。
(実施例4)
図3は、スクリュー型の加熱装置を示す。この装置は、スーパー蒸気発生装置によって発生された高熱蒸気が、さらに輻射熱、対流熱、及び伝導熱によって効率的に処理廃棄物に伝わり、処理の効率化を達成した。
(装置の構成)
スクリュー型の加熱装置の構成は、円筒と円筒内に設置されたスクリュー状の螺旋板を基本構造とする。スクリュー状の螺旋板は、モーター(M)で回転され、処理廃棄物がスクリュー状の螺旋板の回転に伴い左から右に移動される。胴体の円筒は、全部が誘導加熱体(磁性体)によって構成され、その円筒の周りに設置された誘導加熱コイル(約25kHzの高周波電磁誘導加熱コイル:10kW)によって胴全体が誘導加熱される。処理廃棄物と過熱蒸気は、胴体内部に設置されたスクリュウ式の送り装置(スクリュー状の螺旋板)で左から右へと移動される。蒸気は、循環ファンで再循環系にふされ、図3の左部の廃棄物投入口及び胴体部左側から再利用される。過熱蒸気をIHヒータで作り胴体左部からの流入、処理廃棄物の破砕処理、熱交換器による蒸気の再利用は実施例3と同様である。
(伝熱促進効果)
▲1▼蒸気の加熱
本装置によれば、高温に誘導加熱された胴体(円筒)からの放射熱、スクリュー状の螺旋板でかく乱された蒸気による胴体内壁への直接接触による伝導伝熱、蒸気により高温化したスクリュー状の螺旋板表面に攪乱した蒸気が接触することによる伝導伝熱、及びスクリュー状の螺旋板からの放射伝熱によって蒸気の加熱がおこなわれた。
▲2▼処理物への高速加熱
投入された処理物は、送り装置により攪拌され、その際に送り装置からの強制伝導伝熱と放射伝熱を受け、同時に胴体からの強制伝導伝熱と放射伝熱を受けながら、さらに強制かく乱された蒸気による乱流強制対流伝熱と放射伝熱を受け、短時間で高昇温した。
以上の結果より、本発明の手段からなる装置は医療廃棄物の滅菌処理に有効であることがわかった。
産業上の利用可能性
本発明は、蒸気を、高周波電磁誘導加熱によって、超高温化し、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下、及び系の空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、得られた超高温化条件を使って、滅菌又はウイルス不活化処理のための装置を提供することを達成し、滅菌又はウイルス不活化処理が安価に簡便に超特急で確実に行える手段を提供した。本発明の装置は、超小型・軽量化が達成され、可動式で省エネルギー型である。また、所望圧・酸素濃度調整機能を担持しており、安全である。
【図面の簡単な説明】
(図1)本発明手段による装置の原理図である。
(図2)誘導パンチングメタル筒型の加熱装置である。
(図3)スクリュー型の加熱装置である。
Claims (8)
- 約20〜30KHzの高周波電磁場誘導加熱手段によって超高温化したスーパー蒸気が循環系において繰り返し利用可能であり、調整されたスーパー蒸気雰囲気下、系の圧力調整条件下、及び系の空気若しくは酸素含有量の調整条件下で、約300〜1300℃の超高温化条件が達成されることを特徴とする滅菌用装置、又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化用装置。
- 蒸気発生手段で発生させた蒸気が、高周波電磁誘導加熱手段により超高温に加熱されたスーパー蒸気発生装置による輻射熱、対流熱、及び伝導熱によって、超高温化が達成される請求項1に記載の装置。
- 蒸気発生手段が、沸騰又は蒸発手段によって蒸気を発生する請求項1又は2に記載の装置。
- 系が、蒸気回収、熱回収、蒸気源補給、圧力調整、空気又は酸素含有量調整の各機能の少なくとも1を備える循環系である請求項1〜3の何れか一に記載の装置。
- 空気又は酸素含有量が、爆発限界内濃度である請求項1〜4の何れか一に記載の装置。
- 吸引手段によって、圧力調整及び/又は発生ガス調整が行われる請求項1〜5の何れか一に記載の装置。
- 処理対象物が、スーパー蒸気の調整された雰囲気下でスーパー蒸気発生装置中に投入される請求項1〜6の何れか一に記載の装置。
- 請求項1〜7の何れか一に記載の装置を使用する滅菌方法、又はウイルス若しくは遺伝子組換え関連物の不活化方法。
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