JPWO2003057038A1 - 眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法 - Google Patents
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Abstract
遠隔的に各人の眼にあったレンズを選定でき、かつ装用状態を確認できる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法を提供する。利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示する装用状態表示手段とを備える。
Description
技術分野
この発明は、眼鏡やコンタクトレンズを選定するシステムおよびその方法に関し、特に、コンピュータネットワーク上で各人にあった眼鏡やコンタクトレンズを選定することができる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法に関する。
背景技術
従来の眼鏡レンズを選定する手段として、眼球模型を利用した方法がある。眼球模型としては、Gullstrandの模型眼、Le−Grandの模型眼がよく知られている。
この模型眼は、もっぱら眼鏡レンズの設計と評価用に用いられてきた。眼鏡レンズの設計の場合は、眼の光学モデルとして標準的なモデルを一つ準備すれば、標準的な眼の場合のいろいろな度数のレンズを設計することができる。それで済むのは、ある人の眼の構造がどうであれ、選べる眼鏡レンズの度数が0.25D毎に用意されているため、実際に掛けてみれば矯正に適する眼鏡レンズは必ず見つかるからである。つまり選択の自由度があるからである。
一方、現在、裸眼視力あるいは矯正後の視力の測定を行うには、眼科医に行って診療を受けることによって行われたり、あるいは眼鏡店に用意されている視力測定機器をもって視力の測定が行われている。
近年、例えば、インターネットのようなネットワーク上で、仮想的な商店街が形成されているが、この仮想的な商店街に設けられた眼鏡店舗においてオンラインで裸眼視力及び矯正視力の測定をできるシステムは存在しない。
ところが、各人の眼にあった眼鏡レンズの度数を唯一決定しようとする場合、眼球模型のように眼の光学モデルを万人共通と考えたのでは光学計算の誤差が大きく、決定することができない。各人の眼の光学モデルを逐一構築することによってはじめて実現できる。
従来の模型眼をそのまま流用することの問題点は、次のようなことがある。
・従来の模型眼は、欧米人の測定値をもとにしたものであり、他の人種、たとえば、日本人の生体眼の実測値に近い模型を構築しようとする場合には、使うことができない。たとえば、角膜曲率半径の場合、欧米人と比して日本人のほうが曲率半径は小さい。
・測定値の平均値から一つのモデルを作成している。
文献によると前房深度は年令に応じて変化するというデータや、軽度の近視の場合、眼軸長は近視度と相関があるというデータがあり、明らかに各人の年令、近視度に応じた眼球モデルを構築する必要がある。
・水晶体の屈折率は不等質な分布をしているのに平均屈折率を使用している。水晶体の構造を2重構造にして単純化しているため、光線追跡結果の誤差が大きい。
一方、医療機関や眼鏡店に行くには、時間や距離等から困難な場合に、インターネットを介して遠隔的に視力を測定することができるシステムの実現が待ち望まれている。
特に、現在かけている眼鏡あるいはコンタクトによっては従来と比較して物が見づらくなってきているような場合、眼鏡やコンタクトの買換えをする必要性があるかどうかを判断するために、遠隔的に裸眼視力あるいは矯正後の視力の測定を行うことが出来ると極めて便利である。
また、眼鏡やコンタクトレンズを選定したとき、利用者がその眼鏡やコンタクトレンズを装用した状態を確認できれば、より一層眼鏡やコンタクトレンズの選定が確実で且つ容易となる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、遠隔的に各人の眼にあったレンズを選定でき、かつ装用状態を確認できる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法を提供することである。
発明の開示
この発明にかかる請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、眼球光学モデル決定手段により決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成し表示する装用状態表示手段とを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、入力手段が、利用者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離または一定距離における視力等の利用者の目の情報を入力することができるように構成された、請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項3に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル決定手段が、利用者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球モデルを決定するスタート眼球モデル決定手段を含む、請求項1または請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項4に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル決定手段が、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように、および/または利用者の遠点距離から算出された無調節状態における利用者の眼球における集光状態が最適となるように構成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項5に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する眼球光学モデル妥当性検証手段を備えた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項6に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球調節範囲確定手段が、調節中点における眼球の光学諸元の調節範囲を確定することができるように構成された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項7に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを生成して表示する眼球光学モデルイメージ生成手段を備える、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項8に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、利用者の裸眼状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、眼球光学モデルの集光性能を検証する眼球光学モデル集光性能検証手段を備える、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項9に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル集光性能検証手段が、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、利用者の眼球光学モデルの集光状態を検証する手段を含む、請求項8に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項10に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者の視認の鮮鋭度スコアを生成する鮮鋭度スコア生成手段を備えた、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項11に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者が視認する映像を生成する視認映像生成手段を備えた、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項12に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、装用状態表示手段が、利用者の画像を取得する画像取得手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を取得された利用者の画像に合成する画像合成手段とを含む、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、利用者の眼の状態に関する情報を入力するステップと、入力するステップにより入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定するステップと、眼球光学モデルを決定するステップにより決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定するステップと、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成し表示するステップとを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、入力するステップが、利用者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離または一定距離における視力等の利用者の目の情報を入力するステップを含む、請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項15に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルを決定するステップが、利用者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球モデルを決定するステップを含む、請求項13または請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項16に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルを決定するステップが、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように、および/または利用者の遠点距離から算出された無調節状態における利用者の眼球における集光状態が最適となるように眼球光学モデルを決定するステップを含む、請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項17に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項18に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球の調節範囲を確定するステップが、調節中点における眼球の光学諸元の調節範囲を確定するステップを含む、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項19に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、眼球の調節範囲を確定した眼球モデルのイメージを生成して表示するステップを備えた、請求項13ないし請求項18のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項20に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、利用者の裸眼状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、眼球光学モデルの集光性能を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項19のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項21に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルの集光性能を検証するステップが、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、利用者の眼球光学モデルの集光性能を検証するステップを含む、請求項20に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項22に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者の視認の鮮鋭度スコアを生成するステップを備えた、請求項13ないし請求項21のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項23に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者が視認する映像を生成するステップを備えた、請求項13ないし請求項22のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項24に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、装用状態を生成し表示するステップは、利用者の画像を取得するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を取得された利用者の画像と合成するステップとを含む、請求項13ないし請求項23のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
発明を実施するための最良の形態
第1図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムのシステム構成例を示す図である。図において、1は利用者クライアント、2はメガネオーダー販売サービスセンター、3は外部決済処理機関である。これらはネットワークを介して物理的に接続されている。なお、以下の説明では、利用者クライアント1とメガネオーダー販売サービスセンター2と外部決済処理機関3とを接続するネットワークがインターネットであるものとして説明を行う。
利用者クライアント1は、メガネ購入者がネットワークを介してオーダー販売を受ける際に利用される端末であり、例えば、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータが用いられる。利用者クライアント1は、利用者であるユーザとの間のインタフェースとなる入出力装置であり、情報を入力する入力装置としては通常のキーボードやマウスを使用するが、トラックボールやジョイスティックなどのポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチなどの専用入力装置を備えるようにしてもよい。また、画像表示装置としては通常のCRTディスプレイや液晶モニタを使用する。更に、本利用者クライアント2001では、処方箋データを画像情報として取得するための画像入力装置を備えており、ここではデジタルカメラ11aやスキャナ11bが用いられるが、ビデオカメラやテレビカメラなど画像情報をデジタイズして入力できる装置であればどのようなものでも良い。また、利用者クライアント1は、メガネオーダー販売サービスセンター2にアクセスしてサービスを受けるためのインタフェースとしてWWWブラウザ12を備える。
メガネオーダー販売サービスセンター2は、インターネットを介して接続される利用者クライアント1に対して、各利用者の視力や要望に合わせたメガネをオーダー販売するサービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器から構成され、インターネットを介して利用者クライアント1と接続される。メガネオーダー販売サービスセンター2は、電子ショップ情報処理手段21、表示情報生成手段22、メガネオーダー販売処理手段23、決済処理手段24、WWWサーバ/CGI25、レンズ選択手段26、フレーム選択手段27、レンズ度数決定手段28を備える。
電子ショップ情報処理手段21は、入出力装置を介し、商品定義部211を用いて、メガネオーダー販売サービスセンター2で取り扱うメガネレンズ・フレーム等の商品データの定義を行う。ここで定義された商品データは、商品データ情報として、商品データベースに格納される。
この実施の形態において、商品データ情報は、フレーム等の商品を陳列する商品棚の名称、メガネレンズ・フレーム等の商品番号、商品名、価格、商品の説明、そして商品管理情報などのテキストデータと、フレーム等の商品の画像データを含んでいる。メガネオーダー販売サービスセンター2は、また、電子カタログの作成者とのインタフェースとして入出力装置を備えるが、入出力装置は、カタログ作成者から商品定義に必要となる商品棚名、商品目、価格などのテキストデータ、あるいは、商品形状を表すようなイメージデータ等の商品情報の入力を受け付ける。また、利用者により購入された商品の受注情報として、商品番号、数量などの商品情報、商品の送付先情報、外部決済処理機関名、決済日、金額などの決済情報を含む情報の出力を行う。
電子ショップ情報処理手段21には、ショップデータベース、商品データベース、バスケットデータベースを含む電子ショップ出店情報データベースが設けられる。ショップデータベースは、電子ショップを出店するための情報と、商品情報を表示するためのショップレイアウトを定義する情報を格納している。商品データベースは、定義された商品データ情報を格納する。また、バスケットデータベースは、利用者クライアント1から購入を指示された商品の情報を蓄積するためのものである。電子ショップ情報処理手段21は、転送された商品データ情報を商品データベースに格納する機能を実現する。
表示情報生成手段22は、利用者クライアント1からの要求に応じて、電子カタログなどの表示情報を生成する。表示情報生成手段22は、パラメータ解析手段221、ファイル検索手段222、及び表示データ生成手段223を含んで構成される。パラメータ解析手段221は、WWWサーバ/CGI25を介して利用者クライアント1から受け取った視力測定データ・フレーム選択情報等を解析し、視力測定データ・フレーム選択情報等に含まれるパラメータを抽出する。ファイル検索手段222は、パラメータ解析手段221により抽出されたパラメータに基づいて、電子ショップ情報処理手段21によって登録され記憶された各データベースを検索する。表示データ生成手段223は、ファイル検索手段222により検索されたデータをもとにWWWページとして表示可能な表示データを生成する。すなわち、表示データ生成手段223は、いわゆるWWWページジェネレータとしての機能を有する。
メガネオーダー販売処理手段23は、利用者クライアント1により購入予定商品(メガネレンズ・フレーム等)が決定されたとき、表示情報生成手段22から顧客IDと購入予定の商品IDを受け取り、これらの情報をもとに、商品データベースから購入する商品の詳細情報を取得して、バスケットデータベース内の対象としている顧客用の顧客バスケットデータベースにその商品の情報を格納する。その後、対象顧客が購入予定の商品の一覧をバスケットデータベースから取得し、表示情報生成手段22に渡す。
決済処理手段24は、利用者クライアント1により商品の購入が決定されたとき、表示情報生成手段22から顧客IDを受け取り、バスケットデータベースから利用者に対応する商品データ情報を取り出す。そして、取り出した商品データ情報に基づいて外部決済処理機関3に決済処理を依頼する。決済処理手段24は、外部決済処理機関3から決済処理が終了したことの通知を受け、メガネオーダー販売処理手段23・電子ショップ情報処理手段21に受注処理が完了したことを知らせるとともに、利用者クライアント1に購入処理を知らせる明細書データを作成し、表示情報生成手段22にそのデータを渡す。
WWWサーバ/CGI25は、利用者クライアント1との間のインターフェースとして機能し、利用者クライアント1から表示要求情報を受け取り、また、利用者クライアント1に表示データを転送する。
フレーム選択手段27は、仮想店舗に陳列されているフレームから利用者の希望するフレームの選択を行うもので、ここでは後述するメガネ装用体験システムで説明するフレーム選択処理を行い、利用者が購入したいフレームを顔にかけた画像を確認しながら選択することができる。
レンズ度数決定手段28は、利用者の視力を遠隔で測定して矯正レンズの度数を決定するもので、ここでは後述の遠隔自覚視力測定システムで説明する眼球光学モデルを用いた視力測定を行い、矯正レンズの度数を精度良く決定する。
レンズ選択手段26は、視力測定結果や予算、レンズの機能等を考慮して利用者に合ったレンズの選択を行う。
外部決済処理機関3では、メガネオーダー販売サービスセンター2の決済処理手段24から送られてくる依頼に基づき、メガネオーダー販売サービスセンター2に代わってオーダーされたメガネの代金の決済処理業務を行う。
次に、利用者クライアント1およびメガネオーダー販売サービスセンター2の動作概要について以下説明する。
メガネオーダー販売サービスセンター2では、WWWサーバ/CGI25が利用者クライアント1より送られてきたメガネオーダーページ情報を受け取り、表示情報生成手段22を起動する。
表示情報生成手段22は起動されると、WWWサーバ/CGI25からメガネオーダーページ情報を受け取り、パラメータ解析手段221により受け取ったメガネオーダーページ情報の解析を行う。パラメータ解析手段221は、解析結果として、表示対象となる電子ショップを特定するためのショップID、電子カタログの背景画面の種類を特定するカタログテンプレート、表示すべき商品の商品ID、利用者を特定するための顧客IDなどの情報を出力する。パラメータ解析手段221により出力されたこれらのデータをもとに、ファイル検索手段222は、ショップデータベース、商品データベース、バスケットデータベースを検索し、利用者クライアント1から要求された表示画面を作成するのに必要なデータを取得する。
ファイル検索手段222によりデータが取得されると、次に、表示データ生成手段223に処理が移る。表示データ生成手段223は、まず、利用者クライアント1からの要求の種類を判別する。利用者クライアント1からの要求が、“購入予定商品の決定”、“商品購入”以外であれば、ファイル検索手段223により、検索された結果を用いて表示データ生成手段223で表示用のデータを生成する。
利用者クライアント1からの要求の種類を判別するステップにおける判別の結果、利用者クライアント1からの要求の種類が“購入予定商品の決定”であった場合、すなわち、顧客が表示されている商品の購入予定を指示するべく「選択した商品を買物かごに入れる」の指示を行った場合、表示データ生成手段223はメガネオーダー販売処理手段23を起動する。
メガネオーダー販売処理手段23は、起動されると、表示データ生成手段223から顧客IDと顧客から購入予定を指示された商品の商品IDを受け取る。この商品IDをキー情報として商品データベースから該当する商品についての詳細な商品データ情報を取得する。そして、前記ステップで取得した商品データ情報をバスケットデータベース内にある表示データ生成手段223から受け取った顧客IDで識別される顧客の顧客バスケットデータベースに格納する。このとき、該当する顧客バスケットデータベースが存在しないときには、その顧客IDに対応した顧客バスケットデータベースを作成して商品データ情報を格納する。さらに、この顧客バスケットデータベースから顧客がこれまでに選択したすべての商品データ情報を取り出して表示データ生成手段223に渡す。この場合、表示データ生成手段223は、メガネオーダー販売処理手段23から受け取った商品データ情報から顧客が購入を予定している商品の一覧表示情報を作成し、利用者クライアント1に送る。このとき表示される情報をもとに、顧客は購入しようとしている商品の確認、購入予定商品の一部、あるいは全部の取消しを行うことが可能である。
利用者クライアント1からの要求の種類を判別するステップにおける判別の結果、利用者クライアント1からの要求の種類が“商品の購入”であった場合、つまり、顧客がこれまで選択した商品の購入決定を指示した場合、表示データ生成手段223は、表示データの生成を行うのに先立って決済処理手段24を起動する。
決済処理手段24は、起動されると、表示データ生成手段223から顧客IDを受け取る。受け取った顧客IDをキーとして、決済処理手段24は、バスケットデータベースから顧客IDで特定される顧客の顧客バスケットデータベースに保持された購入商品の商品データ情報を検索する。検索の結果得られた商品データ情報に基づいて、外部決済処理機関3に決済処理を依頼する。外部決済処理機関3は、この依頼に応じ、メガネオーダー販売サービスセンター2に代わって決済処理業務を実行し、決済処理が完了するとそのことをメガネオーダー販売サービスセンター2に通知する。外部決済処理機関3で行われる決済処理については、従来と特に変わるところはないので、ここでは詳細な説明は省略する。
外部決済処理機関3から決済処理が終了した旨の通知を受けると、決済処理手段24は、商品番号、受注数量など受注した商品に関する情報、商品の送り先を示す送付先情報、及び、決済処理を代行する外部決済処理機関3の名称、決済日、金額情報などからなる決済情報を含む受注情報をメガネオーダー販売サービスセンター2に転送する。メガネオーダー販売サービスセンター2では、入出力装置によりWWWサーバ/CGIから受け取った受注情報の表示が行われる。最後に決済処理手段24は、決済処理が終了したことを知らせる明細書データを作成して表示データ生成手段223に渡す。表示データ生成手段223は、受け取った明細書データを用いて、決済処理完了を知らせる表示画面を生成し、利用者クライアント1に転送する。
次に、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムによりメガネをオーダー販売する方法について以下説明する。
第2図は、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを購入する際の処理の概要を示す図である。図のように、利用者がフレームの選択を希望する場合は、フレームの選択を行い、利用者が視力の測定を希望する場合は、裸眼視力及び矯正後視力の測定を行い、利用者がレンズの選択を希望する場合はレンズの選択を行い、代金決済処理からの代金前渡し又は内金の通知を受けて、選択されたフレームと選択されたレンズの情報と視力測定結果とに基づいて眼鏡・コンタクトレンズの加工・組立を行い、利用者に対して代金引き換えにより商品を引き渡す。尚、ここでは、フレームの選択、視力の測定、レンズの選択の順に処理するものとして説明したが、利用者の要求により必要とする処理のみを行えばよく、その順序は任意でよい。例えば、最初に視力の測定を行い、次にレンズを選択して、最後にフレームを選択するようにしてもよく、利用者がレンズ度数の変更のみを希望する場合は、視力の測定のみを行い、顧客データベースに基づいてレンズの選択やフレームの選択を行うようにしてもよく、利用者がフレームの変更のみを希望する場合は、フレームの選択のみを行い、顧客データベースに基づいて視力の決定やレンズの選択を行うようにしてもよい。
第3図から第8図は、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの処理の概要を示す。第3図は最初に利用者を区分する処理の概要を示す図であり、第4図は利用者が既に顧客であった場合の処理の概要を示す図であり、第5図は利用者が顧客でなかったが処方箋があった場合の処理の概要を示す図であり、第6図は利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって老眼鏡対象者でない場合の処理の概要を示す図であり、第7図は利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって老眼の自覚症状のない場合の処理の概要を示す図であり、第8図は利用者が既成の老眼鏡を希望する場合の処理の概要を示す図である。
まず、メガネオーダー販売サービスセンター2は、利用者クライアント1からの接続を受け付けると、氏名、生年月日、電話番号等の基本属性の入力を促す基本属性入力画面を送信する。利用者クライアント1では、基本属性入力画面を受信して表示し、利用者が入力した基本属性をメガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。メガネオーダー販売サービスセンター2は、入力された基本属性を受信し、メガネオーダー販売処理手段23により顧客データベースを検索する。
検索の結果、利用者が既にメガネを購入したことのある顧客であることが判明した場合には、第4図に進み、利用者クライアント1に対して利用者の意向を確認する問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「前回と同じレンズで、且つ前回と同じフレームでよい」を選択した場合は、顧客データベース(バスケットデータベース)に管理されている視力測定データ、フレーム情報データ及びレンズ情報データに基づき、レンズを作成する。利用者がその問合せ画面に対して、新しいレンズおよび/または新しいフレームにすることを希望した場合は、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその選択画面において、「前回と同じ度数を希望しない」を選択した場合は「レンズ度数決定ステップ」を実行し、「新しいフレームを選択する」を選択した場合は「フレーム選択ステップ」を実行し、「新しいレンズを選択する」を選択した場合は、「レンズ選択ステップ」を実行する。尚、ここでは「レンズ度数決定ステップ」においては、後述の「遠隔視力測定システム」を実施し、「フレーム選択ステップ」においては、利用者クライアント1に対してメガネ装用仮想体験をするか否かを問合せる問合せ画面を送信し、利用者が「メガネ装用体験をする」選択したときは「メガネ装用仮想体験システム」を実施する。
顧客でなかった場合は、眼科医が処方した処方箋を所持しているか否かを問合せる処方箋確認画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその処方箋確認画面に対して、「医師の処方箋を持っている」を選択した場合には、第5図に進み、利用者クライアント1に対して処方箋入力指示画面を送信する。利用者は、その画面の指示に従って、処方箋をスキャナーにより画像データとして入力するか、キーボードからテキストデータとして入力し、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。そして、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
また、利用者が「処方箋を持っていない」を選択した場合は、利用者の年齢が40ないし45才を超えているか否かを問合せる問合せ画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその問合せ画面に対して「40ないし45才以下である」を選択した場合は、第6図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
利用者が「40ないし45才を超えている」を選択した場合には、更に利用者クライアント1に対して手元が見えにくいという自覚症状があるか否かを問合せる問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「自覚症状がない」を選択した場合は、第7図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。尚、この場合において、利用者の年齢から老眼の可能性があるので、更に「遠用・近用・遠近両用から選択するステップ」を実行する。
利用者が「自覚症状がある」を選択した場合は、メガネオーダー販売サービスセンター2は利用者を老眼と判断し、利用者クライアント1に対してオーダー老眼鏡を希望するか否かを問い合わせる問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「オーダー眼鏡を希望する」を選択した場合は、第7図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。尚、この場合において、更に「遠用・近用・遠近両用から選択するステップ」を実行する。
利用者が「既成の老眼鏡でよい」を選択した場合は、第8図に進み、利用者の年齢から判断される度数を決定し、「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアントに送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
上記処理においては、最初に利用者の基本情報を入力するとして説明したが、あらかじめ基本情報を登録した利用者にユーザーIDやパスワードを発行し、利用者が利用者クライアント1からメガネオーダー販売サービスセンター2に接続する際に、ユーザーIDやパスワードを入力して、認証を行うようにしてもよい。この場合には、ユーザーIDによって、利用者が既にメガネを購入した顧客か否かを判断できる。
次に、具体的に利用者クライアント1に表示される画面の例を用いて、どのようにサービスが提供されるかを説明する。
まず、メガネオーダー販売サービスセンター2は、最初にサイトトップ画面(第11図)を利用者クライアント1に送信し、引き続いてパソコン画面情報の収集画面(第12図)を利用者クライアント1に送信し、購入者にパソコン画面の解像度・大きさ等のディスプレイ(モニタ)情報の入力を促し、利用者クライアント1より入力されたディスプレイ情報を取得する。
次に、利用者は、メガネオーダー販売サービスセンター2より送信されたサービス選択画面(第13図)において、「遠隔自覚視力測定ステップ(世界初!自分でチェックできるメガネレンズ度数特定システム)」「フレーム選択ステップ(いろいろなメガネを掛け替える!フレーム試着室)」「レンズ選択ステップ(度なしレンズを利用する)」「処方箋利用ステップ(眼科でもらった処方箋データやメガネ店のカードのデータを利用する)」のいずれかをクリックして、利用者クライアントからメガネオーダー販売サービスセンター2に利用者の意向を送信する。
なお、遠隔自覚視力測定ステップ又は処方箋利用ステップにおいては、レンズの選択基準が明確になった段階において、レンズ選択ステップに移行することになる。
次に、レンズ選択ステップについて説明する。
利用者が直近の視力データと同じでよいと判断し、「前回と同じレンズ選択」をクリックしたとき、利用者が医師の処方箋データに基づいてレンズを作成してよいと判断し、「処方箋によるレンズ選択」をクリックしたとき、あるいは利用者が既製の老眼鏡でよいと判断し、「既製老眼鏡でよい」をクリックしたときは、レンズ選択手段26は、それぞれのデータに基づいてレンズを選択する。
尚、直近の視力データがあるとき、あるいは医師の処方箋があるときでも、利用者が遠隔的に視力を測定することを希望するときは、視力決定手段28による遠隔視力測定ステップに進み、利用者は視力の測定を受けることができる。
メガネオーダー販売サービスセンター2においては、種々のレンズがデータベース(第9図および第10図)として登録されているが、レンズ選択手段26は、その中から直近の視力データ、医師の処方箋または遠隔視力測定システムにより測定されたデータに基づいて、利用者クライアント1から入力された利用者の希望に沿ったレンズ、またはメガネオーダー販売サービスセンター2が利用者に推奨するレンズを表示したレンズ選択画面を利用者クライアント1に送信する。また、利用者が既に顧客であった場合は、前回購入したレンズもレンズ選択画面に表示される。
レンズを選択する際の選択肢としては、メーカー名、型版、用途、レンズの機能(レンズの厚さ、レンズの軽さ、耐久性、UVカット)、カラー、価格、度数等があり、利用者はそれらの選択肢を指定してレンズを検索し、購入を希望するレンズを選択して、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。
次に、フレーム選択ステップについて説明する。
例えば、既に顧客であった場合など、フレームの機能面および装飾面についてのデータが、メガネオーダー販売サービスセンター2において存在する場合は、ファッション、イメージ、デザイン等によってフレームを指定できる。
そこで、フレームの機能的なデータおよび装飾的なデータがメガネオーダー販売サービスセンター2にある場合のフレームの選択について、以下説明する。
フレームは、メガネオーダー販売サービスセンター2においてデータベースとして登録されており、フレーム選択手段27は、その中から代表的なフレームを表示したフレーム選びトップ画面(第14図)を、利用者クライアント1に送信する。そして、利用者がファッション、素材、デザイン、予算等についてのアンケート式の問い合わせに対して回答することにより、フレーム選択手段27は、利用者の意向を表したデータに基づいて最適と判断されるフレームを選択し、利用者クライアント1にフレーム選択画面を送信する。
フレーム選択画面は、メガネフレームを性別/素材別に選別してカテゴリー分けをし、そのカテゴリーに含まれる代表的なフレーム画像を表示する。
既に顧客であった場合は、前回購入したフレームもフレーム選択画面に表示する。
フレームの選択肢としては、ファッション、素材、デザイン、価格等があり、利用者はその選択肢を見て希望条件を入力し、表示されたフレーム画像から購入を希望するフレームを選択し、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。
このとき、本システムでは、選択されたフレームを仮想的にモデルまたは自分の顔に装用する体験のできる装用状態表示手段を備えている。
次に、この発明を構成する装用状態表示手段の一実施形態について、第25図に示すメガネ装用仮想体験システムを用いて説明する。
このメガネ装用仮想体験システムは、モデルまたは利用者の顔に種々の眼鏡フレームを装用させる仮想体験のできるシステムであり、利用者クライアント2001とメガネオーダー販売サービスセンター2002とから構成される。利用者クライアント2001とメガネオーダー販売サービスセンター2002はネットワークを介して物理的に接続されている。ここでは、そのネットワークがインターネットであるとして、以下の説明をする。
利用者クライアント2001は、利用者がメガネの装用仮想体験をする際に使用する端末であり、例えば、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータにより構成される。メガネの装用状態を表示する画像表示装置としては、通常のCRTディスプレイや液晶モニタを使用するが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や投影式の表示装置等の専用画像表示装置を用意してもよい。また、フレームの選択情報等の情報を入力する入力装置としては、通常のキーボードやマウスを使用するが、トラックボール、ジョイスティックなどのポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチなどの専用入力装置を用意してもよい。さらに、本利用者クライアント2001は、利用者の顔画像を取得するための画像入力手段を備えており、ここではデジタルカメラを使用するが、ビデオカメラやスキャナーなど画像をデジタイズして入力できる装置であればどのようなものでも良い。また、利用者クライアント2001は、メガネオーダー販売サービスセンター2002にアクセスしてサービスを受けるためのインターフェースとしてWWWブラウザを備える。
メガネオーダー販売サービスセンター2002は、メガネ装用仮想体験サービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器によって構成され、インターネットを介して利用者クライアント2001と接続される。メガネオーダー販売サービスセンター2002は、利用者クライアント2001に対してサービスを提供するための窓口となるWWWサーバを備える。また、利用者の顔画像を含む利用者情報の登録を行う利用者情報登録手段2003、利用者がフレームを選択する際の選択情報の入力を行うフレーム選択情報入力手段2004、データベースに対するアクセス管理を行うデータベース管理手段2005、販売対象となるフレームの機能構造・装飾構造を登録するフレーム情報登録手段2060、販売対象となるフレームの画像を登録するフレーム画像登録手段2061、フレーム画像をモデル又は利用者の顔画像と合成する画像合成手段2007、フレーム選択情報に基づいて該当するフレームを選択するフレーム選択手段2008を備え、入力手段2006および出力手段2009を介してWWWサーバに接続されている。これらの各手段は必要に応じてWWWサーバのCGIによって起動され、利用者クライアント2001に対してメガネ装用仮想体験サービスを提供する。また、WWWサーバは、利用者クライアント2001が正規の利用者であることを認証する利用者認証機能を有する。
データベース管理手段2005が管理するデータベースには、第26図ないし第29図に示すような利用者情報データベース、フレームの選択情報データベース、フレーム機能構造データベース、フレーム装飾構造データベースを備える。
次に、本システムによって利用者にメガネ装用仮想体験サービスを提供する際の処理手順について説明する。
まず最初に、サービス提供者はフレーム情報登録手段2060を起動して、キーボード等により販売するメガネの機能構造データおよび装飾構造データを入力してデータベースに登録する。
フレーム機能構造データは、第28図に示すように、サイズは実寸(44Φ〜62Φ)であり、特徴は、形状記憶合金、超軽量、超弾性、サングラス兼用、携帯用、その他であり、機能は、左右の瞳孔間の距離、左右の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅、左右の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅より決定されたテンプルの開き角、耳元より角膜頂点までの距離、テンプルの曲げる位置、角膜頂点と鼻もとまでの距離、角膜頂点と鼻もとまでの距離を基に決定される鼻のクリングス(鼻当て部)の開き角度である。フレーム装飾構造データは、第29図に示すように、玉型(シェイプ)はウェリントン、ロイド、オーバル、スクエア、トノー、ボストン、バタフライ、オート(ドロップ)である。素材は縁なし(ツーポイント、スリーポイント)、メタルナイロール、セルナイロール、メタル、セル、ブロライン、コンビ、その他である。ブランドは各種ブランドで、カラーは各種カラーである。
また、フレーム画像登録手段2061を起動して、スキャナー等により販売するメガネのフレーム画像を入力して、データベースに登録する。
次に、利用者が利用者クライアント2001のWWWブラウザを用いてWWWサーバにアクセスすると、WWWサーバは利用者認証画面を送信する。利用者認証画面は、ユーザID・パスワード等の利用者認証情報の入力を促す画面であるが、既に前のステップで利用者の認証が完了していれば改めて行う必要はなく、省略される。
データベース管理手段2005は、入力された利用者認証情報について利用者情報データベースを検索して認証を行う。
利用者が初めてサービスの提供を受ける場合には、利用者情報登録手段2003が起動され、利用者クライアント2001に基本属性入力画面を送信される。利用者が画面に従って利用者の基本属性、例えば氏名、住所、生年月日、電話番号、目の調子(手元が見えにくい等)、メガネに対する要望等を入力すると、当該利用者にユーザIDとパスワードが発行され、受信された利用者の基本属性情報を利用者情報データベースに登録される。
利用者の認証が完了すると、フレーム選択情報入力手段2004が起動され、利用者がフレーム選択情報を入力するためのフレーム選択情報入力画面が利用者クライアント2001に送信される。フレーム選択情報入力画面は、利用者がフレームを選択するための基準(ファッション性、予算、機能、顔へのフィット感等)を入力する画面である。利用者は、フレーム選択情報入力画面にファッション性、予算、機能、顔へのフィット感等のフレーム選択基準を入力する。
次に、利用者クライアント2001にPD測定画面(第15図)が送信され、レンズの中央に瞳孔を合わせるために、瞳孔の位置を測定する。
上記テキストデータによるフレーム選択基準の入力およびPD測定が終了すると、「誰の顔でフレームの掛け替えを行いますか?」と問いかける顔画像選択画面(第16図)が送信される。利用者が「モデルの顔を使う」を選択したときは、次のフレーム選び体験画面に進むが、「自分の顔写真を使う」を選んだときは、自画像アップロード画面(第17図)が送信される。
自画像アップロード画面においては、「あなたの写真データはどちらですか?」と問合せる画面が送信され、利用者に「デジカメ写真データを使う場合」か「スキャナで撮った写真データを使う場合」かを選択させる。利用者は、正面と側面(左右とも)の顔画像を画像入力装置によって、利用者クライアント2001に取りこみ、メガネオーダー販売サービスセンター2002に送信する。
フレーム選択情報入力手段2004は、利用者クライアント2001から送られたフレーム選択情報のテキストデータ及び画像データ(利用者の顔の画像)を受信し、下記のようにしてフレーム選択情報データベースに必要な情報を登録する。
▲1▼利用者の側面画像(第30図)をもとにして、利用者の耳元より角膜頂点までの距離(L1)を左右別々に測定し、登録する。前記測定数値より、テンプル(つる)の曲げる位置を左右別々に決定し、登録する。
▲2▼利用者の側面画像をもとにして、利用者の目の角膜頂点と鼻もとまでの距離(L2)を測定して、左右の平均をとった数値を登録する。L2は通例12mmである。前記測定した数値をもとにして鼻のクリングス(鼻当て部)の開き角度を決定し、登録する。
▲3▼利用者の正面画像(第31図)をもとにして左右の目の瞳孔間の中心を基点として、耳元までの幅(L3)を左右別々に測定し、登録する。前記測定数値をもとにしてテンプルの開き角θを左右別々に決定し、登録する。
尚、左右の目の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅は、まず瞳孔間距離(PD)を求める。但し、瞳孔の位置が顔画像では明確に検知できないので、例えば左目の左側と右目の左側の距離(PD1)を求めることによって(PD)の近似値を求める。
また、目の瞳孔と耳元までの距離(L4)も、瞳孔の位置が顔画像では明確に検知できないので、左の耳元より左目の右側までの距離(La)と左目の左側までの距離(Lb)を求め、その平均により眼の瞳孔と耳元までの距離(L4)を求める。右眼側も同様にして求める。
メガネフレームの右テンプル及び左テンプルの開き角θは、次式より求めた分を補正してわん曲させる等により調整する。
PD/2+L4−L5
L5は、メガネフレームのフロントサイズ(第32図参照)である。
▲4▼遠近両用レンズを指定された場合は、レンズ面の傾斜角度をさらに5度加入するために、鼻のクリングスの開き角度を、その加入数値により補正して決定し、登録する。
このように、フレーム選択情報入力手段2004により機能構造データ、装飾構造データ及び顔画像データが演算・作成され、顔画像データと共に、データベース管理手段2005によって登録される。
メガネオーダー販売サービスセンター2002では、予めフレーム情報登録手段2060及びフレーム画像登録手段2061によって各フレームのフレーム機能構造、フレーム装飾構造及びフレーム画像が登録されており、利用者クライアント2001から送信されたフレームの選択情報によって適合するフレームが選択される。
フレーム選択手段2008によってフレーム選択情報に適合する数種類のフレームが選択されると、利用者クライアント2001にフレーム選び体験画面(第18図)が送信される。このフレーム選び体験画面では、「いろいろなフレームを掛け替えて、気に入ったものを取りあえずキープして下さい(4本まで)」と表示され、利用者に気に入ったフレームの選択を促す。これにより、利用者は選択したフレームの装用仮想体験を行うことができ、仮想体験の印象を見て気に入ったフレームを取りあえずキープすることができる。
フレーム選び体験画面においては、検索条件としては、「素材別and価格帯」「素材別andブランド別」「素材別and価格帯別andブランド別」等がある。素材別の選択肢としては、「セル」「メタル」「ツーボ」「ナイロ」「コンビ」「SG」等が表示され、その中から選択することができる。価格帯別の選択肢としては、「5000円〜9999円」「10000円〜14999円」「15000円〜19999円」「20000円〜30000円」等がプルダウン表示され、その中から選択することができる。ブランド別の選択肢として、各種ブランド名がプルダウン表示され、その中から選択することができる。なお、キープ可能な本数は、最大4本であり、それ以上は適宜選択し直し、不要なものはゴミ箱に削除する。
選択されたフレームの画像は、画像合成手段2007によって利用者の顔画像に適合するようにリサイズされて合成され、メガネ装用画像が生成される。そして、生成されたメガネ装用画像がフレーム選び体験画面(第18図)の一部として、利用者クライアント1に送信される。その際に、フレームの側面画像を同時に表示したり、更に、画像合成手段2007により利用者の側面画像と合成したメガネ装用画像を生成して表示するようにしてもよい。これにより、利用者はフレームの側面のフィット状況をも確認することができる。
また、フレーム選び体験画面において、「色違いを見る」が選択されると、色違い表示画面(第19図)が利用者クライアント2001に送信される。この色違い表示画面では、同一品番で異なるカラーのものがすべて表示され、色違いの商品を確認することができる。色違いフレームが8本に満たない場合は、空白欄として表示される。
利用者は、利用者クライアント2001に表示されるメガネ装用画像を見て、自己の希望と合致したフレームが選択されているか、そしてそのフレームを顔にかけたときに如何なる顔になるかを確認することができる。
ここで、希望していたフレームと違う画像が送信されてきている場合、あるいは別のフレームをかけた顔を見たい場合には、利用者は改めてフレーム選択情報を指定して、メガネオーダー販売サービスセンター2002に送信する。これにより、前記した方法と同様の方法により別のフレームが選択され、画像合成手段2007により利用者が選択したフレームの画像と顔画像を合成したメガネ装用画像が生成され、再び利用者クライアント2001に送信される。
次に、フレーム選び体験画面(第18図)および色違い表示画面(第19図)においてキープされたフレームを利用者に確認してもらうために、キープの中身確認画面(第20図)が利用者クライアント2001に送信される。キープの中身確認画面では、「キープしているフレームを確認し、購入したいフレームを選びます」と表示され、フレームを選択すると同時に仮想体験ができる。
また、利用者が仮想体験した確認したフレームとカラーレンズの組み合わせて購入する場合は、所定箇所をクリックする。
次に、利用者クライアント2001に購入フレーム確認画面(第21図)が送信され、利用者に購入するフレームおよびレンズの種類の確認を促す。購入フレーム確認画面においては、選択されたフレームを装用した画像、フレームおよびカラーレンズの種類が表示される。不用の場合は「キャンセルする」をクリックし、購入する場合は「購入する」をクリックする。
購入フレーム確認画面において「購入する」が選択されたときは、メガネを作る度数選択画面(第22図)が利用者クライアント2001に送信される。このメガネを作る度数選択画面では、「今回作るメガネに関して、どのレンズ度数データを使用しますか?」と問いかけられ、「このサイトで測ったレンズ度数データを利用する」「度なしレンズを利用する」「眼科でもらった処方せんデータやメガネ店のカードのデータを利用する」が選択肢として表示され、改めて、「レンズ度数決定ステップ」「レンズ選択ステップ」「処方箋利用ステップ」の選択を利用者に促す。
「眼科でもらった処方せんデータやメガネ店のカードのデータを利用する」が選択されると、「処方箋利用ステップ」に進み、利用者クライアント2001に処方箋データ入力画面(第23図)が送信される。この処方箋データ入力画面では、「レンズ度数を入力して下さい」と表示され、次のような入力が促される。
・PD(単位:mm)
・右目 S(度数データをプルダウン表示:+0.25,−0.25,−0.50,−0.75,−1.00等)、C、AX(乱視軸データをプルダウン表示:180°±22.5°,135±22.5°,90±22.5°,45±22.5°,0±22.5°等)
・左目 S(度数データをプルダウン表示:+0.25,−0.25,−0.50,−0.75,−1.00等)、C、AX(乱視軸データをプルダウン表示:180°±22.5°,135±22.5°,90±22.5°,45±22.5°,0±22.5°等)
メガネを作る度数選択画面において「度なしレンズを利用する」が選択された場合、および処方箋データ入力画面において処方箋データが入力された場合は、利用者クライアント2001にレンズの厚み比較画面(第24図)が送信される。このレンズの厚み比較画面では、「どのレンズでメガネを作りますか?あなたのレンズ度数に合わせて、厚みを表示しています」と表示され、利用者にレンズの厚みを比較させるように、「標準装備レンズ」「薄型レンズ」「薄型で歪みがないレンズ」について、その断面形状とレンズ価格とが表示される。
このフレーム選びが終了すると、決済システムに進む。
このように、メガネ装用仮想体験システムによれば、利用者が写真データにいろいろなメガネフレームを装用させることができ、しかも店頭に出向かなくとも、自宅でインターネット等のネットワークを介して種々の眼鏡フレームをかけ変えて自分の好みにあった最適なフレームを選択することができる。また、このシステムによれば、自分の既製のメガネやコンタクトレンズをかけたままで、すなわち適正な視力で、選択された眼鏡フレームを顔にかけた状態を確認できるので、自己に最適な眼鏡フレームを選択することができる。
上記実施形態では、装用状態表示手段として利用者の写真データにいろいろなメガネフレームを装用させることのできるメガネ装用仮想体験システムについて説明したが、同等の画像合成手段を用いて、メガネフレームだけでなくコンタクトレンズの装用仮想体験を行えるようにしてもよい。特に、カラーコンタクト等では、これを装用することで顔の印象が大きく変わるので、装用された画像を確認できるようにすることで利用者は安心してコンタクトレンズを選択できる。
次に、レンズ度数決定ステップの第一の実施形態について、第33図に示すような遠隔自覚視力測定システムを用いて説明する。図に示すように、この遠隔自覚視力測定システムは、利用者クライアント4001とメガネオーダー販売サービスセンター4002から構成され、これらはネットワークで物理的に接続されている。なお、以下の説明では、利用者クライアント4001とメガネオーダー販売サービスセンター4002を接続するネットワークがインターネットであるものとして説明を行う。
利用者クライアント4001は、利用者が視力測定サービスを受ける際に利用する端末であり、前述の利用者クライアント1と同様に、インターネット接続機能を有するパーソナルコンピュータ等が使用される。
メガネオーダー販売サービスセンター4002は、視力測定サービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器によって構成され、インターネットを介して利用者クライアント4001と接続される。
メガネオーダー販売サービスセンター4002は、利用者にサービスを提供する際の窓口となるWWWサーバ4030を備える。また、眼球光学モデル決定手段4204、モデル妥当性検証手段4206、眼球光学諸元調節範囲確定手段4208、眼球モデルイメージ生成手段4210、眼球モデル集光性能検証手段4212、視認映像生成手段4214、鮮鋭度スコア生成手段4216、レンズ度数選定手段4218、利用者情報管理手段4230およびデータベース管理手段4232を備え、入力手段4202および出力手段4220を介してWWWサーバ4030に接続されている。これらの各手段は必要に応じてWWWサーバのCGIによって起動され、利用者クライアント4001に対して視力測定サービスを提供する。また、WWWサーバは、利用者クライアント4001が正規の利用者であることを認証する利用者認証機能を有する。
入力手段4202は、被検者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離等の被検者の目の情報を入力する。
眼球光学モデル決定手段4204は、被検者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球モデルを決定する。そして、眼球光学モデルを決定手段4204は、被検者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における被検者の眼球における集光状態が最適となるような眼球の光学諸元によって眼球光学モデルを決定する。
モデル妥当性検証手段4206は、さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する。
眼球光学諸元調節範囲確定手段4208は、調節中点における眼球の調節範囲を確定するように構成され、さらに、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球モデルのイメージを表示する。
眼球モデル集光性能検証手段4212は、被検者の裸眼状態における、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置での、眼球光学モデルの集光状態を検証する。更に、眼球モデル集光性能検証手段4212は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態における、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置での、被検者の眼球光学モデルの集光状態を検証する。
視認映像生成手段4214は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、被検者の視認映像を生成する。
鮮鋭度スコア生成手段4216は、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、被検者の視認の鮮鋭度スコアを導き出す。
レンズ度数選定手段4218は、被検者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定する。
次に、本遠隔自覚視力測定システムを用いて視力を測定する方法について、第34図および第35図のフローに沿って説明する。
利用者クライアント4001からメガネオーダー販売サービスセンター4002にアクセスして利用者の認証を完了すると、利用者クライアント4001にガイダンス画面が送信されて表示される。
次に、利用者クライアント4001にパソコン画面情報収集画面(第36図)が送信される。パソコン画面情報収集画面には、「あなたの目にぴったり合ったメガネをお作りするために必要です。ご利用のパソコン情報を教えて下さい。」と表示して、解像度等のディスプレイ情報の入力を促し、「このラインはあなたのモニター画面では何センチですか?」と表示して、ディスプレイの大きさの入力を促す。
次に、利用者クライアント4001に利用者情報入力画面(第37図)が送信される。利用者情報入力画面には、利用者を特定する情報として、利用者コード、利用者識別子(ID)、利用者パスワード、住所、氏名、生年月日、電話番号等の基本属性等を含む利用者情報、使用目的、近点距離、遠点距離、年令、前度数、前度数での両眼視力、前度数での左右バランス、前メガネの使用年数、コンタクトの種類(併用の場合)、希望矯正視力、視力に関係する病気の有無などのデータの入力が促される。個人情報の入力を終えると、利用者クライアント4001に装用条件入力画面(第38図)が送信される。装用条件としては、眼鏡・コンタクトレンズを装用したい目的(例えば、手元のものを見るとき、遠くのものを見るとき、自動車運転時など、どのようなときに掛けたいのか等)や視環境(日常どの範囲でどの距離のものを見ていることが多いか。仕事上でパソコン作業が多いか等)がある。
次に、利用者クライアント4001に裸眼視力測定画面が送信される。
裸眼視力測定は、乱視軸測定、遠点視力測定、近点視力測定の順に行う。この実施の形態においては、遠点距離の測定は、一定の距離(人が腕を伸ばした距離)において測って遠点距離を推定する測定法を用いているが、遠点距離を直接測る方法でもよい。
乱視軸測定は、以下のような手順により行う。
乱視軸測定ステップ1:最初に、ガイダンス画面が送信され(第39図)、「次の指示に従って下さい。右目について測定を行います。まず、平行線が引かれた4つのゾーンが表示されます。1m程度画面から離れ、4つのゾーンの内、どれかの線がはっきり見える位置まで近づいて下さい。これから先は、メガネ、コンタクトをはずして下さい。表示された視標を見るときは、手が目に触れないように左目を片手で覆って下さい。」と表示される。
乱視軸測定ステップ2:次に、乱視軸測定画面が送信され、4つのパターンからなる乱視軸判定チャートが画面に表示される(第40図)。
乱視軸測定ステップ3:ここで、利用者は左手で左目を覆いながら、1m程度下がる。その際、左目は開けておく。このステップにおける利用者の状態を第41図に示す。
乱視軸測定ステップ4:次に、徐々に画面に顔を近づけて行き、4つのパターンが区別できるような距離で止まる。近づきすぎないように注意する。このステップにおける利用者の状態を第42図に示す。
乱視軸測定ステップ5:ここで、利用者は図の4つのパターンがすべて同じに見えるか?それともどれか一つ濃く見えたり、薄く見えたりするか?を判定する。
乱視軸測定ステップ5−1:「一つだけ違って見える」場合は、そのパターンをクリックする。
乱視軸測定ステップ5−2:「全部同じに見える」または「わからない」場合は、パターン下のコメントをクリックする。
乱視軸測定ステップ6:続いて右目を右手で覆い、左目について同じことを行う。
乱視軸判定チャートは、第40図のように複数の平行線からなる、45度・90度・135度・180度の4方向の線状群から構成される。被検者が乱視を有する場合は明瞭に見える方位とつぶれて薄く見える方位が生じるので、見え方の異なる方位のゾーンをクリックするよう促す。このように、見え方の異なる方位を選択させるようにしたのは、乱視は物体との距離によってよく見える方向が90度反転する可能性があるため、最初からよく見える方位とすると乱視軸の判断を誤る恐れがあるからである。従って、本願発明では、この段階では乱視軸の主軸は決定せず、後の遠点距離を求める段階で、2方向の視標を使って算出された2つの遠点距離を比較し、距離の長い方の方向を主軸と決定するようにしている。
乱視を有しない被検者は、原則として全方位が同じに見えるはずであるので、全部が同じに見える又はわからないをクリックした被検者は乱視を有しないものとして、以下の測定は水平、垂直の主軸についてのみ行う。
さらに乱視軸判定の分解能を上げたい場合は、4方向の中間の角度、すなわち22.5度、67.5度、112.5度、157.5度の4方向の線状群を追加して表示し、選択させるようにしてもよい。
次に、遠点距離を測定する。本来、遠点距離測定は、被検者が画面を楽に見て、画面からどこまで遠ざかることができるかを調べる。ぼけないで見える最長位置(ぼけ始める位置)で顔を静止し、画面から眼までの距離を測定したものが遠点距離である。しかし、パソコンから遠ざかるには限界があるため、ここでは一定距離における遠点視力を測ることにより遠点距離を算出するようにした。
遠点視力の測定は、利用者がある一定の距離でどんな大きさのものまで見えるかを判定することにより行う。なお、この実施形態における遠点視力とは、一般に言われる視力1.5という度数ではなく、別の値のことを指す。以下、この遠点視力について詳述する。被検者は、ディスプレイに指先を当て腕を完全に伸ばし、腕を完全に伸ばした状態で背筋を伸ばした姿勢をとる。この状態においてディスプレイには、第43図に示すように遠点視力を測定する視標が表示される。被検者は、表示されている視標の中で、黒い3本線がはっきり視認できる1番小さいものを選択する。この被検者が選択した視標に割振られていた番号を遠点視力とする。この遠点視力から、視標の大きさおよび画面からの距離に基づいて遠点距離を算出する。
遠点視力の測定は、以下のような手順により行う。
遠点距離測定ステップ1:遠点距離測定画面が送信され、大きさの異なる縦3本の遠点距離測定視標が組み合された画面が表示される(第43図)。
遠点距離測定ステップ2:ここで、利用者は右手を指先まで完全に伸ばした状態でパソコン画面の縁に中指を触れる。このステップにおける利用者の状態を第44図に示す。
遠点距離測定ステップ3:次に、左手で左目を覆って、右目で遠点距離測定視標を見る。このステップにおける利用者の状態を第45図に示す。
遠点距離測定ステップ4:次に、その状態で背筋を伸ばして画面に表示されている遠点距離測定図を見る。このステップにおける利用者の状態を第46図に示す。
遠点距離測定ステップ5:ここで、利用者は画像の中に3本線があることがわかるかどうかを判定する。このステップにおける利用者の状態を第47図に示す。遠点距離測定ステップ5−1:どれも3本線に見えない場合は「はい」を、3本線があることがわかる場合(「ぼんやり」でOK)は「いいえ」をクリックする。尚、3本線に見えるか見えないかの判断は、たとえば第48図に示すようになる。
遠点距離測定ステップ5−2:ここで、利用者が「いいえ」と答えた場合は、遠点測定視標の小さい方から順に表示し、3本線があることがわかる画像が出るまで、チェックを繰り返す。
遠点距離測定ステップ6:続いて、画面の図が変わり、横3本の遠点距離測定視標が表示され、測定を指示する(図示せず)。
遠点距離測定ステップ7:同様に、左手で左目を覆ったまま右目で遠点距離測定視標を見て同じチェックをする。このステップにおける利用者の状態を第49図に示す。
これで、右目のチェックが終了する。
遠点距離測定ステップ8:次に、左目のチェックを行う。右目と同様に、左手を指先まで完全に伸ばした状態でパソコン画面の縁に中指を触れ、右手で右目を覆って左目で遠点距離測定視標を見て、右目チェックと同じ要領で左目チェックを行う。
尚、上記説明では、縦3本の視標と横3本の視標について遠点距離測定を行うものとして説明したが、これは前記乱視軸測定により選択された方位とそれと直交する方位について行うものであり、利用者が斜乱視の場合は、45度と135度の2方向について遠点距離測定を行うことになる。
また、上記説明では、最初にすべての大きさの視標を組合わせた画面を表示し、その後小さい視標から順に表示するものとして説明したが、これに限らず、最初から個別に視標を表示するようにしてもよく、複数の視標を組み合わせた画面から3本に見える最小の視標を選択してクリックさせるようにしてもよい。
次に、近点距離を測定する。近点距離測定は、被検者が画面を楽に見て画面にどこまで近づくことができるかを調べる。ぼけないで見える位置で顔を静止し、画面から眼までの距離を測定したものが近点距離である。
近点距離の測定は、次のような手順により行う。
利用者は、近点距離の測定を始める前に、新聞紙またはコピー用紙を細長く(幅3〜5cm程度)折り畳んでパソコン横に置く(第50図)。
近点距離測定ステップ1:近点距離測定画面が送信され、縦3本線の近点距離測定視標が画面に表示される(第51図)。
近点距離測定ステップ2:ここで、利用者は左手で左目を覆った状態で、画面にできるだけ顔を近づける(第52図(A))。その時、視標がボケていることを確認する。尚、近点距離測定視標がぼけて見えている状態を第52図(B)に示す。
近点距離測定ステップ3:次に、画面に表示されている3本線が判別できる位置まで顔を遠ざける(第53図(A))。非常に画面に近いところで判別できる場合があるので注意する。尚、近点距離測定視標がはっきりと見えている状態を第53図(B)に示す。
近点距離測定ステップ4:次に、判別できる位置で顔を止め、机にひじをつき、折り畳んだ紙をこめかみに添わせて構える。目尻あたりで紙をはさんで持つようにする。このステップにおける利用者の状態を第54図に示す。
近点距離測定ステップ5:次に、顔を動かさずに折り畳んだ紙の先端を画面上に垂直に立てる。このステップにおける利用者の状態を第55図に示す。
近点距離測定ステップ6:次に、右目の目尻横の位置がわかるように左手人さし指で紙の上に印を付ける。印をつけた後、顔は自由にしてもよい。このステップにおける状態を第56図に示す。
近点距離測定ステップ7:ここで、利用者は画面の左上の「メジャー」ボタンを押す(第57図)。
近点距離測定ステップ8:画面に現れた「メジャー」の0の位置に紙の端を合わせ、印までの距離を測る(第58図)。画面の「メジャー」は3本表示されるので、1本で足りない場合は1本目の終わりで紙に印を付け、残りの部分を2本目で測る。2本でも足りない場合は3本目でも同じ作業を繰り返す。
近点距離測定ステップ9:「次へ」ボタンをクリックすると、横3本線の近点距離測定視標が画面に表示される(第59図)。
近点距離測定ステップ10:左手で左目を覆いながら同じチェックを行う(第60図)。
近点距離測定ステップ11:長さが測れたら、右目のチェックが終了する。次に右手で右目を覆い同じ要領で左目のチェックを行う(図示せず)。
上記近点距離測定視標は、被検者の視力に関わらず細い線を使用する。
尚、上記説明では、縦3本の視標と横3本の視標について近点距離測定を行うものとして説明したが、これは前記乱視軸測定により選択された方位とそれと直交する方位について行うものであり、利用者が斜乱視の場合は、45度と135度の2方向について近点距離測定を行うことになる。
以上の作業でレンズ度数決定に必要な基礎データ測定を終了し、この基礎データに基づき眼球モデルを構築し、眼球モデルにおいて利用者の調節範囲内における眼球の光学機能を検知し、レンズ度数を選定する。尚、眼球光学モデルによる度数の選定については、後述のレンズ度数決定システムにおいて詳細に説明する。
次に、前記レンズ度数決定ステップを構成する第二の実施形態として、第61図に示すような検眼システムを用いて説明する。図のように、本検眼装置においても、被検者が使用するコンピュータ6001と、本願発明の検眼方法を提供する検眼サーバ6010とがインターネット6002を介して接続されている。
検眼サーバ6010は、インターネット6002を介して被検者コンピュータ1に検眼サービスを提供するためのサーバであって、WWWサーバ6020と、表示画面データベース6030と、ユーザインターフェイス手段6040と、被検者データベース6050と、遠点距離演算手段6060と、度数演算手段6070とを備える。
WWWサーバ6020は、被検者コンピュータ6001のアクセスを受付け、本願発明の検眼手順に従って検眼機能を提供するためのサーバであり、被検者コンピュータ6001が汎用のWebブラウザによってサービスを受けることができるようにHTTPサーバを使用している。
表示画面データベース6030は、本願発明の検眼手順に従ってWWWサーバ6020がアクセスしている被検者コンピュータに提示する画面データを保存する。ここでは、最初のガイダンス画面、被検者の属性入力画面、乱視軸判定画面、遠点視力測定画面、近点視力測定画面等がHTML形式で保存されている。
ユーザインターフェース手段6040は、WWWサーバ6020によって被検者コンピュータ6001に表示した画面において被検者が入力した情報に基づいて、被検者の属性を検眼情報データベース6050に記憶させたり、遠点距離演算手段6060を起動して遠点距離を演算したり、度数演算手段6070を起動して度数を演算したりする。
ユーザインタフェース手段6040は、WWWサーバ6020からCGIによって起動されるプロセスであり、また遠点距離演算手段6060と度数演算手段6070はユーザインターフェース手段6020から起動されるプロセスである。また、検眼情報データベース6050には被検者が入力した被検者属性データ、乱視軸判定チャートの選択方位データ(右目と左目)、視力測定チャートによる視認限界データ(右目と左目×2方向)、近点距離測定チャートによる近点距離データ(右目と左目×2方向)、演算された遠点距離(右目と左目×2方向)、演算された度数(右目と左目)等が保存される。
次に、かかる検眼システムによって検眼を行う手順の一例を第62図によって説明する。
まず、被検者の属性を取得するための被検者属性入力画面を表示し(S10)、被検者の入力した属性を取得して被検者データとして保存する(S12)。被検者の属性には、年齢・性別・身長等の個人情報と、メガネやコンタクトレンズを主に使用する場所に関する装着条件情報とがある。第63図は個人情報取得の際の表示画面例であり、第64図は装着条件取得の際の表示画面例である。ここで、装着条件の「読書」は近距離用を、「デスクワーク」「パソコン」は中距離用を、「車の運転」は遠距離用をそれぞれ想定している。
次に、乱視軸の判定をするための乱視軸判定チャートを表示し(S14)、被検者の選択した方位を取得して選択方位データに保存する(S16)。第65図は乱視軸判定の説明画面例であり、第66図は乱視軸判定画面例である。
図のように、乱視軸判定チャートは複数の平行線からなる45度・90度・135度・180度の4方向の線状群から構成される。被検者が乱視を有する場合は明瞭に見える方位とつぶれて薄く見える方位が生じるので、見え方の異なる方位のゾーンをクリックするよう促す。このように、見え方の異なる方位を選択させるようにしたのは、乱視は物体との距離によってよく見える方向が90度反転する可能性があるため、最初からよく見える方位とすると乱視軸の判断を誤る恐れがあるからである。従って、本願発明では、この段階では乱視軸の主軸は決定せず、後の遠点距離を求める段階で、2方向の視標を使って算出された2つの遠点距離を比較し、距離の長い方の方向を主軸と決定するようにしている。
乱視を有しない被検者は、原則として全方位が同じに見えるはずであるので、全部が同じに見える又はわからないをクリックした被検者は乱視を有しないものとして、以下の測定は水平、垂直の主軸についてのみ行う。
乱視軸判定チャートは、背景色は緑色、線の色は黒色とし、線幅は2画素、線間幅は3画素とした。背景色は、白色では輝度が明るすぎて目が縮瞳し、被写界深度が深くなって4つのゾーンの見え方の差が小さくなるという問題があるため、目にやさしいグリーン系統を用いて輝度を抑えたものである。線の色は、多数の被検者に対して行った検眼実験の結果から、見やすいとされた黒色とした。線幅は、特にディスプレイがCRTの場合は電子銃のフォーカスボケが発生することから、1画素では水平・垂直と斜めで見え方に差異が生じてしまうため、最低2画素とした。線間幅は、乱視判定においてチャートまでの距離が極端に短いと乱視軸が90度反転し、誤判定の可能性があるため、1mの距離から線間の隙間を認識できるように設定した。視力1.0(視角1分)は、1mの距離で切れ目0.29mmを識別する能力であり、14インチ液晶ディスプレイまたは17インチCRTを使用してほぼ1画素に相当する。従って、2画素で視力0.5程度に相当するが、検眼対象者はメガネを必要とする人であることから、更に間隔を広げ、3画素とした。
また、乱視軸の方位を4方向としたのは、4方向でも十分に実用的なメガネやコンタクトレンズの選定ができることと、被検者が独自で判断するものであるから、できる限り容易かつ誤りなく判定できる必要があるためである。
次に、被検者が選択した選択方位についての遠点視力を測定するため、選択方位の視力測定チャートを表示し(S18)、被検者が選択した視認限界を取得して、第1視認限界データに保存する(S20)。第67図は遠点視力測定の説明画面例であり、第68図は遠点視力測定画面例である。
図のように、視力測定チャートは一定線幅の3本の黒線と2本の白線からなる線状濃淡画像であり、視力に対応して線幅をI段階(10段階から20段階程度)に変えた複数のチャートを表示する。これに対し、被検者に3本に見える一番小さいマークをクリックするよう促す。このように、3本に見えるマークを選択させるようにしたので、ランドルト環のように単一の間隙を視認するのに対して被検者の判断が容易になっている。
尚、被検者にはコンピュータ画面から腕を伸ばした距離で遠点視力を測定するように促しているが、これは腕の長さは身長にほぼ比例するので、事前に入力された身長のデータによって被検者とチャートの距離が予測できるからである。
このように、被検者はコンピュータ画面との距離を測定したり、画面表示サイズを調整したりする必要がないので、簡便に測定できる。
同様に、被検者が選択した選択方位と直交する方位についての遠点視力を測定するため、選択方位と直交する方位の視力測定チャートを表示し(S22)、被検者が選択した視認限界を取得して、第2視認限界データに保存する(S24)。
次に、被検者が選択した方位の近点距離を測定するため、選択方位の近点距離測定チャートを表示し(S26)、被検者の入力した近点距離を第1近点距離データに保存する(S28)。第69図は近点距離測定の説明画面例であり、第70図は近点距離測定画面例である。
図のように、近点距離測定チャートは緑色の背景に設けられた3本の黒線からなる。画面のメッセージにより、被検者に対して、最初にできる限り画面に近づき、それから3本線がはっきり見える位置まで遠ざかり、画面から目までの距離を測定してcm単位で入力するように促す。
尚、近点距離測定チャートは、コンピュータ画面に接近して視認するため、被検者の視力に関係なく細い線を使用する。但し、年齢によって解像力の差があるため、若年層は細い線を、中高年層は若干太い線を使用する。
同様に、被検者が選択した選択方位と直交する方位についての近点距離を測定するため、選択方位の近点距離測定チャートを表示し(S30)、被検者の入力した近点距離を第2近点距離データに保存する(S32)。
次に、第1視認限界データと第1近点距離データと被検者限界データとから遠点距離を求め、第1遠点距離データに保存する(S34)。同様に、第2視認限界データと第2近点距離データと被検者限界データとから遠点距離を求め、第2遠点距離データに保存する(S36)。
遠点距離の演算は、あらかじめ多数の被検者で学習させたニューラルネットワークを用いて行う。第71図に遠点距離演算用ニューラルネットワークの構成例を示す。図のように、入力層はI段階の遠点視力(視力測定チャートから被検者が選択した視認限界)とJ段階の近点距離(近点距離測定チャートから被検者が測定した近点距離)とK段階の被検者属性(年齢・性別・身長)とを、出力層はN段階の遠点距離を有する。年齢・性別をパラメータとするのは、これによって被検者の目の調節力が変わるからである。また、身長は前述のように被検者と画面の距離を腕の長さで合わせるようにしており、腕の長さに比例する身長を代用パラメータとして用いたものである。学習方法としては、いわゆるバック・プロパゲーション法を用いたが、どのような方法を用いてもよい。
ここで、入力パラメータの近点距離と演算結果の遠点距離は、レンズ度数への換算を容易にするため、いずれもメートル単位で表した距離の逆数であるD(ディオプター)値に変換して取り扱う。
尚、ニューラルネットワークは、乱視軸の選択方位と選択方位に直交する方位の2つの独立する学習モデルを生成し、それぞれ個別に計算するようにした。
また、画面の見え方はディスプレイの種類によって変わるので、ディスプレイが液晶かCRTかによって独立に学習させたニューラルネットワークを用いて演算するようにした。
以上の乱視軸判定(S14)から遠点距離演算(S36)までを、右目と左目の両方について行い、得られた選択方位データと第1遠点距離データと第2遠点距離データとから度数(S:球面度数、C:乱視度数、AX:乱視軸)を演算する(S38)。
S34で求めた第1遠点距離をD1、その方位をAX1とし、S36で求めた第2遠点距離をD2、その方位をAX2とすると、
|D1|<|D2|のとき、S=D1、C=D2−D1、AX=AX1
|D2|<|D1|のとき、S=D2、C=D1−D2、AX=AX2
である。
上記実施形態では、単に目の度数を演算する場合について説明したが、求められた目の度数と被検者属性データの装着条件からレンズ度数を決定して、メガネまたはコンタクトレンズの注文を受付けるようにしてもよい。
この場合、被検者属性データの装着条件から、通常使用距離として近距離用(30cm)、中距離用(50〜60cm)、遠距離用(5m)のいずれかを判断し、それによって推奨されるレンズの度数を決定する。
例えば、遠距離用では遠点距離D1を5m(−0.2D)になるように矯正するとして、推奨レンズの度数はD1+0.2Dとなる。
また、度数演算手段によって演算された度数と被検者の属性から眼球光学モデルを生成する眼球光学モデル生成手段と、生成された眼球光学モデルを使用して裸眼の集光性能を確認する裸眼集光性能確認手段を設け、演算された度数の妥当性をチェックするようにしてもよい。これにより、更に精度良く度数を決定できる。
また、生成された眼球モデルを使用して推奨レンズによって矯正したときの集光性能を演算する矯正後集光性能演算手段を設け、推奨レンズを決定するようにしてもよい。これにより、更に被検者に適したレンズ度数を提示できるようになる。
更に、推奨レンズを装着したときの集光状態から所定の距離における鮮鋭度を演算する鮮鋭度演算手段と、演算された鮮鋭度における画像サンプルを生成する画像サンプル生成手段と、生成された画像サンプルをコンピュータ画面に表示する画像サンプル表示手段とを設け、被検者に推奨レンズを装着したときの画像サンプルを確認させるようにしてもよい。これにより、被検者はレンズを装着したときの見え方をチェックできるので、より適切なレンズ度数を決定できるようになる。
上記実施形態では、遠点距離演算手段は多数の被検者で学習させたニューラルネットワークを用いて遠点視力と近点距離と被検者の属性から遠点距離を求めるとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、ファジー推論を用いて遠点距離を演算するものとし、多数の被検者のデータでメンバーシップ関数や推論ルールを求めるようにしてもよい。また、多数の被検者のデータから遠点視力と遠点距離の関係を近点距離や被検者の属性をパラメータとした近似式を求め、それを用いて遠点距離を演算するようにしてもよく、本願発明の効果を奏する。
また、上記実施形態では、遠点距離の演算において近点距離を入力パラメータとしているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、近点距離を省略してもよい。この場合でも、近点距離は年齢に比例する特性を持っていることから、本願発明の効果を奏する。
上記実施形態では、乱視軸判定チャートは複数の平行線からなる4方向の線状群を一画面に表示して被検者に見え方の異なるゾーンを選択させるとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、4方向の線状群を順次個別に表示して見え方の異なる方位を選ばせるようにしてもよい。
上記実施形態では、視力測定チャートは大きさの異なる複数のチャートを一画面に並べて表示して被検者に視認限界を選択させるようにしたが、本願発明はこれに限定されるものではなく、各大きさのチャートを大きい方から順に表示して、視認できなくなったところを被検者に選択してもらうようにしてもよい。
上記実施形態では、視力測定チャートや近点距離測定チャートの表示は乱視軸判定の選択方位とそれに直交する方位の画像をコンピュータ画面に表示するが、これはあらかじめ4方向の画像を表示画面データベース6030に記録しておき、そのなかから選択して表示するようにしてもよく、特定の方位についての画像データを記憶させておき、他の方位については方位データに基づいてグラフィックツールによって画像を回転して生成するようにしてもよい。また、表示する画像の描画データを記憶させておき、方位データに基づいて描画ツールによって画像を描画して生成するようにしてもよい。このように、グラフィックツールによって画像を生成する方法を用いることで、画像表示の負荷は大きくなるが、任意の方位についての画像が生成できるので、乱視軸の方位を容易に拡張できる。
同様に、遠点視力測定における線幅を変えた複数のチャートの表示についても、特定の線幅の画像データを用いてグラフィックツールによって拡大・縮小したり、描画ツールによって描画して生成するようにしてもよい。
尚、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点測定チャートの画面表示サイズは、コンピュータの設定によって特に変えないとものして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、より精度良く度数を求めるために、コンピュータの画面設定を取得し、これに基づいて画面の表示サイズを変更するようにしてもよい。取得するコンピュータの画面設定としては、ディスプレイの種類とサイズ、コンピュータの解像度設定等である。これらは、コンピュータのプロパティ情報から自動取得するようにしてもよく、被検者属性データとして入力させるようにしてもよい。
この場合も、上記と同様に、グラフィックツールによって、画像を拡大・縮小するようにしてもよく、描画ツールによって描画するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点距離測定チャートの表示色は実験的に定めた最適な色を使用するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、表示色の選択機能を設けてもよい。
例えば、被検者に対してあらかじめ色サンプルを表示して被検者の好みの色を選択させるようにしてもよく、コンピュータの画面設定によって自動的にあらかじめ定めた色を選択して表示するようにしてもよい。
各チャートの表示色についても、あらかじめ複数の表示色パターンを記憶させておいて、その中から選択させるようにしてもよく、特定の表示色パターンの画像をグラフィックツールで色変換したり、描画ツールで描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
同様に、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点距離測定チャートの背景や線分の輝度は実験的に定めた最適な輝度を使用するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、表示輝度の選択機能を設けてもよい。
各チャートの表示輝度についても、あらかじめ複数の表示輝度パターンを記憶させておいて、その中から選択させるようにしてもよく、特定の表示輝度パターンの画像をグラフィックツールで輝度変換したり、描画ツールで描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
上記実施形態では、被検者の属性データは被検者が検眼サービスを受けるときに毎回取得するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、顧客データベースとしてあらかじめ記憶させておき、そのデータベースから必要なデータを抽出するようにしてもよいことは言うまでもない。このように、顧客データベースを備え、上記被検者属性データの他にこれまでに実施した検眼サービスの履歴や販売したメガネやコンタクトレンズのデータを蓄積しておくことで、被検者の特性に合わせたより正確な検眼が行え、より適切な矯正レンズを提示することが可能となる。
上記実施形態では、主として乱視を含む近視者を対象として検眼を行うものとして説明したが、本実施形態では遠点距離の他に近点距離を取得するようにしているので、これを基に遠視又は老眼を有する被検者の検眼を行うことも可能である。
すなわち、遠点距離が極めて長く近点距離も長い場合は、遠視または老眼の可能性があるが、ここで被検者の眼の調節力が判ればこれをもとに遠視と老視を区別することができる。
そこで、例えば被検者の年齢や性別を眼の調節力の代用パラメータとして用い、遠点距離と近点距離と被検者の属性(年齢・性別)を入力とし、乱視度数、遠視度数を出力とするニューラルネットワークを、遠視や老眼を有する多数の被検者によって学習させ、これを用いて遠視や老眼の度数を演算するようにしてもよい。
また、更にコンピュータ画面を用いて被検者の眼の調節力を積極的に測定し、これを基に遠視や老視の度数を判定するようにしてもよい。これには、例えばコンピュータ画面上で移動する画像の追跡能力を測定したり、被検者にコンピュータ画面との距離を早い周期で変化させるような運動をしてもらってそのときの視認力を測定する等の方法が考えられる。このようにすれば、乱視を含む近視者ばかりでなく、遠視や老眼を有する被検者にも対応でき、あらゆる人を対象とした検眼システムを構築できる。
この発明によれば、被検者の属性を取得するとともに、乱視軸判定チャートをコンピュータ画面に表示して被検者が選択した方位を取得し、取得された方向とそれに直交する方向について視力測定チャートを表示し、被検者の選択した視認限界を取得し、取得された視認限界と取得された被検者の属性から遠点距離を演算し、取得された方位と演算された2つの遠点距離から度数を演算するようにしたので、乱視を有する被検者にも対応でき、特別な設備を必要とすることなくコンピュータ画面を用いて簡便に検眼が行えるという効果がある。
次に、前記レンズ度数決定ステップの第三の実施形態として、第72図に示すレンズ度数決定システムを用いて説明する。このレンズ度数決定システムは、利用者の眼球の光学モデルを構築して矯正レンズの度数を決定するシステムであり、中央処理部8012を含み、中央処理部8012はデータ入力部8014、入力データ検査部8016、遠点距離演算部8018、スタート眼球光学モデル決定部8020、眼球モデル集光性能算出部8022、モデル妥当性検証部8024、眼球光学諸元調節範囲確定部8026、眼球光学モデル決定部8028、視認映像生成部8030、鮮鋭度スコア生成部8032、表示部8036の動作を制御する。以下、中央制御部12が制御する各部の概要について説明を行う。
データ入力部8014は、眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正レンズを装着しようとする者の年令、矯正レンズの使用条件、乱視軸、遠点視力、近点距離を入力するためのものである。データ入力部8014には、キーボード、マウスやタッチパネルなどの人が直接データを入力する機器、またはモデムやLANカードなどを用いてネットワークを介してデータを受信可能に構成した機器とそれら機器の制御を行うプログラムにより構成される。
なお、この実施形態における遠点視力とは、一般に言われる視力1.5という度数ではなく、別の値のことを指す。以下、この遠点視力について詳述する。コンピュータなどのディスプレイに第73図に示すような視標が表示される。被検者は、ディスプレイに指先を当て腕を完全に伸ばす。被検者は、腕を完全に伸ばした状態で背筋を伸ばした姿勢をとる。この状態においてはディスプレイには、第73図の(a)から(c)に示すように、視力を計測する視標が大きいものから順に小さいものが次々と表示される。被検者は、表示されている視標の中で、黒い3本線がはっきり見える1番小さいものを選択する。この被検者が選択した視標に割振られていた番号を遠点視力とする。この遠点視力から遠点距離を算出することが可能である。
入力データ検査部8016は、データ入力部8014に入力されたデータの値より入力された値の整合性を検証するものである。入力データ検査部8016は、その内部に年令を軸として、乱視軸、遠点距離および近点距離のデータが相互に関連つけられた記憶された標準サンプルデータ8016aを多数蓄積している。入力データ検査部8016は、データ入力部8014に入力されたデータが、標準サンプルデータ16aと比較して、データの値が妥当な値であるかを判断する。
遠点距離演算部8018は、データ入力部8014に入力されたデータである遠点視力から遠点距離を算出するものである。遠点距離演算部8018は、その内部に年令、性別、身長、遠点視力、近点距離に関するデータが蓄積されている。遠点距離算出部18は、入力された年令、性別、身長、遠点視力、近点距離のデータに基づいて、それらのデータにもっとも適した最善の遠点距離の値を算出する。
スタート眼球光学モデル決定部8020は、被検者の年令および概算レンズ度数に基づきスタート眼球光学モデルを決定する。
以下、眼球光学モデルについて説明を行う。眼球光学モデルとは、第74図に示すように人の眼球の光線屈折要素をレンズとして数学・物理的数値モデルとして構築したものである。眼球光学モデルに組み入れられる眼球の光線屈折要素は、第74図に示すように、角膜、前房、水晶体、硝子体、網膜である。これら光線屈折要素の以下の光学諸元に基づいて、眼球光学モデルが構築される。
角膜:前面の曲率半径R3、厚み、屈折率、後面の曲率半径R4
前房:厚み、屈折率
水晶体:前面皮質の曲率半径(R5、R6、R7、R8、R9、R12)および厚み、角質の曲率半径(R13、R14、R15、R16、R13、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24)および厚み、後面皮質の曲率半径(R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33)および厚み、そしてそれぞれ屈折率
硝子体:屈折率、厚み
網膜:曲率半径R34
なお、上述した光学諸元は各個人の年齢や眼球の調節能力により異なるが、この実施形態においては、日本人を対象とした生体計測データの値を基準に標準パターンとして光学眼球モデルをあらかじめ構築しておく。例えば前房については、
前房深度:8〜15歳では3.66mm、16〜30歳では3.71mm、31〜51歳では3.51mm、51〜77歳では3.18mmである。
眼軸長:前房深度の加齢傾向とは逆の傾向を示す。
水晶体:屈折率分布の不等質性がある。表層屈折率は年令に無関係だが、水晶体核の屈折率は加齢とともに若干増加する。加齢による厚みを増す重量は、20〜39歳では174mg、40〜59歳では204mg、80〜99歳では266mgである。
なお、この実施形態においては、上述した値により眼球光学モデルを構築するように構成したが、文献データ等の値に基づいて眼球光学モデルを構築するように構成されてもよい。以下は眼球光学モデルを構築するのに適用可能な文献データの一例である。
(i)前房深度について
日本眼科学会誌 第62巻11号(1958)相沢克夫「前房深度に関する研究」によれば、前房深度と年令との関係において、
08〜15歳 3.66mm
16〜30歳 3.71
31〜51歳 3.51
51〜77歳 3.18
のような変化がある。すなわち前房深度は弱年期より身体の発育に平行して次第にその深度を増し、成年期において最も深くなり、その後は身体の退化現象と一致して順次浅くなって行く傾向があると述べている。
(ii)眼軸長について
日本眼科学会誌 第63巻7号(1959)佐藤勉他「近視の本態に関する研究その1」によれば、軽度の近視の場合、眼軸長は近視度が強くなると共に次第に値を増し、両者の間に見事な相関があることを示していると述べている。
(iii)水晶体の重量について
書名 The eye,出版者 New York;London:Academic Press,著者標目 Davson,Hugh,1909−,Graham,L.T.,Jr.によれば、水晶体の重量は、
20〜39歳 174mg
40〜59歳 204mg
80〜99歳 266mg
のように加齢と共に増加の一途をたどることが述べられている。
(iv)水晶体厚径について
新臨床眼科全書3A 市川宏ほか編 金原出版 1993によれば、水晶体厚径は、年令と共に増加すると述べている。
上述した値を適用して予め構築した眼球光学モデルは、スタート眼球光学モデル決定部8020で決定されるスタート眼球光学モデルとして用いられる。スタート眼球光学モデルは、年令および概算レンズ度数が同じ値である場合に大体共通した眼球の特性を有することに着目して、縦軸に年令区分、横軸に概算レンズ度数区分を設け、それぞれの区分の中央値における眼球光学モデルをあらかじめ構築する。縦軸をM区分、横軸をN区分とするとM×N個のスタート眼球モデルが構築される。すなわち、縦軸を年齢区分(たとえば20才までは5歳きざみ、20才以上は10歳刻み)、横軸を概算レンズ度数(たとえば1.0D刻み)とした表において、各区分の中央値の組合せ(たとえば35歳で必要補正量が−2.5Dのレンズ度数)におけるスタート眼球モデルをあらかじめ構築する。なお、この実施形態においては、M×N個の眼球光学モデルをスタート眼球光学モデルとして構築し、スタート眼球光学モデル決定部8020がその中から最も近い値の眼球光学モデルをスタート眼球光学モデルとして適用したが、これに限らず、構築されている眼球光学モデルの値から、計測した年令、概算レンズ度数から光線屈折要素の最も適した値に基づいて、スタート眼球光学モデルを構築するように構成されてもよい。
スタート眼球光学モデル決定部8020で決定されたスタート眼球光学モデルは、その人固有の眼球モデルを構築するための光学系自動設計処理を行うにあたり、後述する眼球光学モデル決定部8028での初期値として使用される。このスタート眼球モデルは、年令、概算レンズ度数によらない単独のスタート眼球モデルを使用した光学系自動設計処理に比べると、自動設計処理の収束が早く、処理速度を短縮することが可能である。また、解(集光状態が最高となるような光学諸元)の信頼性が高い。
眼球モデル集光性能算出部8022は、被検者の裸眼状態または矯正レンズを着用したときの、眼球光学モデルの集光性能を算出する。集光状態を算出する眼球の状態としては、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内での状態、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内での状態、または、近点と遠点とは離隔した状態である。
モデル妥当性検証部8024は、眼球モデル集光性能算出部8022により算出された集光性能に基づいて、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する。
眼球光学諸元調節範囲確定部8026は、入力された近点距離および算出された遠点距離から調節中点における眼球の調節範囲を確定する。さらに、眼球光学諸元調節範囲確定部8026は、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを生成するように構成されている。
眼球光学モデル決定部8028は、被検者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における被検者の眼球における集光状態が最適となるようスタート眼球モデルの光学諸元の値を調整し、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定するように構成されている。
視認映像生成部8030は、矯正レンズにより矯正を行う前および/または矯正を行った後における被検者の視認映像を、眼球モデル集光性能算出部が算出した眼球光学モデルの集光性能の結果に基づいて生成する。
鮮鋭度スコア生成部8032は、矯正レンズにより矯正を行う前および/または矯正を行った後における、被検者の視認の鮮鋭度合を、数値的の表した鮮鋭度スコアを導き出す。鮮鋭度スコアとは、任意の数値により視認する映像の鮮明度合いを示すものであり、例えば、その数値が高いほど画像が鮮明に視認できていることを表すように算出する。
レンズ度数選定部8034は、被検者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定する。
表示部8036は、矯正レンズ決定サーバ8010の動作状況を確認したり、被検者が入力したデータや算出したデータの値を確認するための表示装置である。表示部8036としては、コンピュータに接続されているディスプレイや、データ入力部8014を介して矯正レンズ決定サーバ8010に接続されたコンピュータのディスプレイが適用される。
次に、本発明の動作について第75図により説明する。
(1)データ入力部8014により、被験者の性別、年令、乱視軸、近点距離、遠点視力および矯正用レンズの使用条件(読書、デスクワーク、車の運転等)が入力される。
(2)入力されたデータが入力データ検査部8016により検証される。
(3)遠点距離演算部8018により、遠点視力から遠点距離が算出される。
(4)年令的な調節範囲の関係表を用いて、仮定の年令において、その年令相応の平均的な調節範囲を持つとして、調節範囲の上限、下限における眼球屈折度を導き出し、それより近点距離、遠点距離の補正を行う。
(5)近点距離および遠点距離から被検者の眼の調節範囲の中点を求め、さらに、概算レンズ度数を算出する。
(6)年令、概算レンズ度数の値からスタート眼球光学モデル決定部8020によりスタート眼球モデルを決定する。
(7)決定したスタート眼球モデルを使用して、眼球モデル集光性能算出部8022により集光性能を算出し、眼球光学モデル決定部8028により目の調節機能の中位状態における最終的な眼球光学モデルを決定する。具体的には、眼球モデル集光性能算出部8022により調節中点状態における眼球光学モデルに光線を入射させて、その光線の網膜上への集光性能を算出し、最良の集光状態となるように光学系自動設計処理を行い、眼球光学モデル決定部8028により光学諸元を変化させ、最適の解(光学諸元)を決定する。この調節中点における眼球光学モデルの構築は、光学系自動設計計算によりスタート眼球モデルから出発して、集光状態が最適となるよう人の眼球の光学諸元を自動的に決定するものである。
ここにおける光学系自動設計計算とは、レンズ自動設計プログラムを使用した光線追跡による光学諸元の自動決定プロセスをいう。これらの手法の代表例として、減衰最小二乗法(Dumpt Least Square Method)がある。
最終的な性能条件(この実施形態は、調節中点状態において、無限に小さい点物体から眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させた場合を算出して、光線の屈曲変化を追跡し、網膜上の一点に光線が結像する状態)を満足するように、眼球光学モデルの光学諸元の値を少しずつ変化(屈折率は変えないで、曲率半径と面間隔を変化させる。非球面の場合は、基準球面の曲率半径、非球面係数を変化させる)させながら、網膜上の到達点の位置ずれ量の自乗和を極小にする。これは、後述する「調節中点におけるその人の眼球モデル構築処理」と同じである。
(8)次に、モデル妥当性検証部8024によって、調節限界(近点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする。この妥当性チェックは、人の眼球が有している調節力の分だけ眼球屈折度をアップ(UP)させ、光学系自動設計計算により、集光状態が良いことを確認するものである。
ここにおいて、調節力分だけ眼球屈折度をアップ(UP)とは、次のようなことをいう。遠点距離が1m(−1.0D)、近点距離が25cm(−4.0D)とすると、調節中点位置は40cm(−2.5D)となり、近点側では、調節中点位置にくらべ、−1.5Dの補正量に相当する眼球屈折度UPが必要となる。この−1.5D相当の眼球屈折度の増強となるよう、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、近点距離25cmの位置にある無限に小さい点物体から、眼球モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させ、光線追跡を行い、網膜上の一点に結像する状態にするよう、光学諸元を変化させて光学系自動設計を実行する。
その結果、一点に集光したと見なせる状態になれば、調節限界における光学モデルのシミュレーションが成功したとし、調節中点におけるその人の眼球モデルが妥当であったと判断する。
(9)モデル妥当性検証部8024によって、調節限界(遠点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする。この妥当性チェックは、人の眼球が有している調節力の分だけ眼球屈折度をダウン(DOWN)させ、光学系自動設計計算により、集光状態が良いことを確認するものである。
ここにおいて、調節力分だけ眼球屈折度をダウン(DOWN)とは、次のようなことをいう。
遠点距離が1m(−1.0D)、近点距離が25cm(−4.0D)とすると、調節中点位置は40cm(−2.5D)となり、遠点側では、調節中点位置にくらべ、+1.5Dの補正量に相当する眼球屈折度ダウン(DOWN)が必要となる。この+1.5D相当の眼球屈折度の減少となるよう、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、遠点距離1mの位置にある無限に小さい点物体から、眼球モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させ、光線追跡を行い、網膜上の一点に結像する状態にするよう、光学諸元を変化させて光学系自動設計を実行する。
その結果、一点に集光したと見なせる状態になれば、調節限界における光学モデルのシミュレーションが成功したとし、調節中点におけるその人の眼球モデルが妥当であったと判断する。
(10)モデル妥当性検証部8024によって、近点側および遠点側の調節限界外、すなわち眼球の調節範囲外における眼球モデルの妥当性をチェックをする。
(11)眼球光学諸元調節範囲確定部8026によって、調節中点位置における眼球モデルについて眼球の光学諸元の調節範囲の確定を行う。
(12)眼球光学諸元調節範囲確定部8026によって、決定された眼球光学モデルのイメージ、例えば第74図に示すような眼球断面図を生成し、その眼球光学モデルについての説明もあわせて表示するようにしてもよい。
(13)眼球モデル集光性能算出部8022によって、被検者の裸眼状態における3つの距離における調節を伴う集光性能を算出する。
調節中点位置における眼球モデル、光学諸元の調節範囲の確定は、次のようになる。
モデル妥当性検証部8024によって調節限界(近点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理およびモデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理の検証により、調節中点におけるその人の眼球モデル構築処理結果の調節中点位置における眼球モデルを妥当と判断し、その眼球モデルを、次に述べる裸眼状態での3つの距離における調節を伴う集光性能算出処理および矯正後の3つの距離における調節を伴う集光性能算出処理で使用する。3つの距離とは、見え方が大きく変わる可能性のある3距離を選ぶ。たとえば、0.3m(読書)、0.5〜0.6m(デスクワーク)、5m(車の運転)である。調節限界における光学諸元の変化範囲(特に水晶体が薄くなったり、厚くなったりする時の水晶体厚さ、前面皮質の曲率半径、後面皮質の曲率半径の変化範囲)も、モデル妥当性検証部8024によって調節限界(近点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理およびモデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理により決定したことになるこれらが確定すると、物体距離に応じた眼の調節をシミュレーションできる。モデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理と同様に、物体の距離に応じた、調節中点位置からの眼球屈折度アップ(UP)あるいはダウン(DOWN)量を求め、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、光学系自動設計を実行する。
このようにして求められた光学諸元は、仮想的に眼球がピント調節を行ったときの眼の状態を表している。
これ以上、集光状態が良くならないという状態まで繰り返し計算を行い、最終的な光学諸元を、物体距離におけるベストの集光状態とする。
集光性能を評価するには、ある距離にある無限に小さい点物体から、眼球モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、数百本程度の光線を均一に分散させて入光させ、光線追跡を行い、網膜上のどの場所に結像するかを計算する。ぼけの度合いを評価するには、網膜上の点像の強度分布の2次元フーリエ変換を行い、空間周波数特性(OTF)と呼ばれる像評価を行う。
(14)眼球モデル集光性能算出部8022によって、矯正用レンズにより矯正を行った光学モデルについて上述した3つの距離における調節を伴う集光性能を算出し検証する。
すなわち、眼球光学モデルの前に実際の眼鏡レンズ(レンズ前面の曲率半径、後面の曲率半径、硝材屈折率が既知のレンズ)を置き、裸眼状態における集光性能算出処理と同様の計算を行う。
概算レンズ度数と装用条件から、適合する仮想レンズを決定し、その眼鏡・コンタクトレンズを装用した状態における集光性能に関する光学シミュレーションを行う。
さらに、3つの距離における鮮鋭度スコアのバランスが悪い場合は、レンズの度数を少し変化させて、再度光学シミュレーションを行う。
(15)鮮鋭度スコア生成部8032によって、調節力の範囲内で眼の光学諸元を変化させて、集光性能が最適となる状態を作り出し、そのときの鮮鋭度スコアを算出する。第76図に、鮮鋭度スコアと見え方の関係を例示する。鮮鋭度スコアは、眼球モデル集光性能算出部8022が算出した集光状態の結果に基づいて算出する。
ある距離にある無限に小さい点物体から、眼球モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、数百本程度の光線を均一に分散させて入光させ、光線追跡を行い、網膜上のどの場所に結像するかを計算する。その点像の強度分布の2次元フーリエ変換を空間周波数特性(OTF)と言う。網膜上で強度分布がどうなるかを調べれば、ぼけの度合いを評価できる。空間周波数とは縞模様の細かさを表す値であり、単位長あたりの縞の本数で定義される。
視覚系の場合は、視角1度あたりの縞の本数で表す。たとえば縞の間隔をw(degree)とすればu=1/w(cycles/deg)となる。
ぼけ判定に用いるw値を網膜の分解能から決定し、その時のu値から鮮鋭度スコアを算出する。
(16)視認映像生成部8030によって、推奨レンズにおいて矯正後および矯正前の3つの距離における視認映像を生成して表示する(第77図)。これにより、利用者は裸眼状態と推奨レンズを装用した場合における見え方を画面で確認することができる。
視認映像の生成は、高精細に撮影された3つの距離の画像を用意し、この画像に対し画素単位でN×Nサイズの平滑化フィルタ処理を行い、画像をぼかすことにより行う。ぼけの具合はN値(最低3)、フィルタ重み付け、処理回数により調整できる。フィルタ処理後の画像について、空間周波数解析によりボケ具合を判定し、求めた鮮鋭度スコアとの対応付けを行う。いくつかの鮮鋭度スコアに対応する画像を準備する。また、準備された画像に特定平滑化フィルタ処理を一回かけた画像に対応するスコア値を算出しておく。
鮮鋭度スコアの算出でスコア値が求まれば、そのスコア値により、対応する画像を直接呼び出して表示するか、フィルタ処理を行い、結果画像をその鮮鋭度スコアに一致させて表示する。
(17)さらに、視認映像生成部8030によって、レンズを変更して、3距離における見え方画像を提示し、比較をできるようにする。すなわち、レンズ度数を変更して、眼鏡・コンタクトレンズを装用した状態の光学シミュレーションを行う。そして、眼球の調節範囲内で光学諸元を変化させて、集光性能が最適となる状態を作り出し、そのときの鮮鋭度スコアを算出する。
また、レンズ度数選定部8034により特定のレンズ度数における鮮鋭度スコアが既に計算済みの場合は、そのデータを使用するように構成してもよい。
(18)被検者は、表示された視認画像および鮮鋭度スコアから自分が希望する矯正強度の矯正レンズを視覚的に判断し、使用する矯正レンズを示す番号、符号等をデータ入力部8014により選択する。
以上のように、本レンズ度数決定システムでは、利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段とを備えるので、各人の眼にあった眼鏡・コンタクトレンズの度数を決定することができる。
上記説明では、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムと、メガネ装用仮想体験システムと、遠隔自覚視力測定システムとは、それぞれ独立したメガネオーダー販売センターであるかのように説明したが、実際には単一のコンピュータやサーバ上に統合して、データベースの共通化を図るか、または複数のコンピュータやサーバによる分散処理を行って、利用者情報、フレーム選択情報、視力測定情報等をLAN等を介して相互に通信するようにして統合している。これにより、利用者は単一の利用者クライアントから単一のサイトにアクセスすることで、一連の眼鏡・コンタクトレンズのオーダー販売サービスを受けることができる。
尚、ここでレンズ度数の決定は、レンズ度数決定システムによって得られるレンズ度数を用いてもよく、検眼システムによって得られるレンズ度数を用いてもよい。
そして、かかる遠隔自覚視力測定システムやレンズ度数決定システムや検眼システムによるレンズ度数決定機能と、前述のメガネ装用仮想体験システムによるフレーム選択機能とを統合した眼鏡・コンタクトレンズ選定システムにより、遠隔で各人の眼にあったレンズを選定できるばかりでなく、各人の装用状態を視覚的に確認してフレーム等を選択できるので、利用者が安心してインターネット等のネットワークを介して眼鏡・コンタクトレンズのオーダー販売サービスを受けることができる。
上記実施形態では、利用者クライアントとメガネオーダー販売センターと外部決済処理機関とは、インターネットにより接続されるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、一部もしくは全部が特定の組織内のLANやWAN等を介して接続されるものであってもよいことは言うまでもない。また、必ずしもネットワークを介して被検者に検眼サービスを提供する場合に限らず、店舗等において本願発明の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムを設置し、スタンドアローンでメガネのオーダー販売サービスを提供するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムについて説明したが、本願発明の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの各手段をステップとして備える眼鏡・コンタクトレンズ選定方法によれば、ハードウェア構成の如何を問わず本願発明の効果を奏する。
また、本願発明の方法は汎用のパーソナルコンピュータによっても実現できるので、本願発明の方法をパーソナルコンピュータで実行可能なように記述したコンピュータプログラムを利用者に供給して眼鏡・コンタクトレンズの選定サービスを提供するものであってもよい。尚、コンピュータプログラムは、CD−ROM等の記録媒体によって提供されるものであってもよく、インターネット等を介してダウンロードすることによって利用者に提供されるものであってもよいことは言うまでもない。
産業上の利用可能性
上述したように、この発明によれば、各人の眼にあった眼鏡・コンタクトレンズを確実に且つ容易に選定することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムのシステム構成例を示す図である。
第2図は、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを購入する際の処理の概要を示す図である。
第3図は、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの処理において、利用者を区分する処理の概要を示す図である。
第4図は、利用者が既に顧客であった場合の処理の概要を示す図である。
第5図は、利用者が顧客でなかったが処方箋があった場合の処理の概要を示す図である。
第6図は、利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって、老眼鏡対象者でない場合の処理の概要を示す図である。
第7図は、利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって、老眼の自覚症状のない場合の処理の概要を示す図である。
第8図は、利用者が既成の老眼鏡を希望する場合の処理の概要を示す図である。
第9図は、レンズ選択基準データベースである。
第10図は、レンズデータベースである。
第11図は、サイトトップ画面の図解図である。
第12図は、パソコン画面情報の収集画面の図解図である。
第13図は、サービス選択画面の図解図である。
第14図は、フレーム選びトップ画面の図解図である。
第15図は、PD測定画面の図解図である。
第16図は、顔画像選択画面の図解図である。
第17図は、自画像アップロード画面の図解図である。
第18図は、フレーム選び体験画面の図解図である。
第19図は、色違い表示画面の図解図である。
第20図は、キープの中身確認画面の図解図である。
第21図は、購入フレーム確認画面の図解図である。
第22図は、メガネを作る度数選択画面の図解図である。
第23図は、処方せんデータ入力画面の図解図である。
第24図は、レンズの厚み比較画面の図解図である。
第25図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備えるレンズ装用仮想体験システムの構成例を示す図である。
第26図は、利用者情報に関するデータベースの例を示す図である。
第27図は、フレーム選択情報入力手段より入力されるデータの例を示す図である。
第28図は、フレームの機能構造に関するデータベース構造の例を示す図である。
第29図は、フレームの装飾構造に関するデータベース構造の例を示す図である。
第30図は、顔画像の側面における測定方法を示す図解図である。
第31図は、顔画像の正面における測定方法を示す図解図である。
第32図は、フレームの調整方法を示す図解図である。
第33図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備える遠隔自覚視力測定システムの構成例を示す図である。
第34図は、レンズ度数決定の画面フロー図(その1)である。
第35図は、レンズ度数決定の画面フロー図(その2)である。
第36図は、パソコン画面情報収集画面の図解図である。
第37図は、利用者情報入力画面の図解図である。
第38図は、装用条件入力画面の図解図である。
第39図は、乱視軸測定ステップ1において表示されるガイダンス画面の図解図である。
第40図は、乱視軸測定ステップ2において表示される乱視軸判定チャートの図解図である。
第41図は、乱視軸測定ステップ3における利用者の状態を示す図である。
第42図は、乱視軸測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
第43図は、遠点距離測定ステップ1において表示される遠点距離測定視標の図解図である。
第44図は、遠点距離測定ステップ2における利用者の状態を示す図である。
第45図は、遠点距離測定ステップ3における利用者の状態を示す図である。
第46図は、遠点距離測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
第47図は、遠点距離測定ステップ5における利用者の状態を示す図である。
第48図は、遠点距離測定ステップ5−1における遠点距離測定視標の見え方の例を示す図である。
第49図は、遠点距離測定ステップ7における利用者の状態を示す図である。
第50図は、近点距離測定を行うのための事前準備状態を示す図である。
第51図は、近点距離測定ステップ1において表示される近点距離測定視標の図解図である。
第52図(A)は、近点距離測定ステップ2における利用者の状態を示す図であり、第52図(B)は、図がぼけて見えている状態を示す。
第53図(A)は、近点距離測定ステップ3における利用者の状態を示す図であり、第53図(B)は、図がはっきりと見えている状態を示す。
第54図は、近点距離測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
第55図は、近点距離測定ステップ5における利用者の状態を示す図である。
第56図は、近点距離測定ステップ6における利用者の状態を示す図である。
第57図は、近点距離測定ステップ7における利用者の状態を示す図である。
第58図は、近点距離測定ステップ8における利用者の状態を示す図である。
第59図は、近点距離測定ステップ9において表示される近点距離測定視標の図解図である。
第60図は、近点距離測定ステップ10における利用者の状態を示す図である。
第61図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備える検眼システムの構成例を示す図である。
第62図は、検眼システムの処理フローの例を示す図である。
第63図は、個人情報入力画面の表示例を示す図である。
第64図は、装着条件入力画面の表示例を示す図である。
第65図は、乱視軸判定の説明画面の表示例を示す図である。
第66図は、乱視軸判定画面の表示例を示す図である。
第67図は、遠点視力測定の説明画面の表示例を示す図である。
第68図は、遠点視力測定画面の表示例を示す図である。
第69図は、近点距離測定の説明画面の表示例を示す図である。
第70図は、近点距離測定画面の表示例を示す図である。
第71図は、遠点距離演算用ニューラルネットワークの構成例を示す図である。
第72図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備えるレンズ度数決定システムの構成例を示す図である。
第73図は、遠点視力を測定する視標を示す図解図であり、(a)は最も大きい視標であり、(b)は中ぐらいの大きさの視標であり、(c)は、最も小さい視標である。
第74図は、眼球光学モデルを示す図解図である。
第75図は、この発明にかかる矯正レンズ決定サーバの動作を示すフローチャート図である。
第76図は、鮮鋭度スコアと見え方の関係を例示した図である。
第77図は、矯正前後の視認映像を確認する画面を例示した図である。
この発明は、眼鏡やコンタクトレンズを選定するシステムおよびその方法に関し、特に、コンピュータネットワーク上で各人にあった眼鏡やコンタクトレンズを選定することができる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法に関する。
背景技術
従来の眼鏡レンズを選定する手段として、眼球模型を利用した方法がある。眼球模型としては、Gullstrandの模型眼、Le−Grandの模型眼がよく知られている。
この模型眼は、もっぱら眼鏡レンズの設計と評価用に用いられてきた。眼鏡レンズの設計の場合は、眼の光学モデルとして標準的なモデルを一つ準備すれば、標準的な眼の場合のいろいろな度数のレンズを設計することができる。それで済むのは、ある人の眼の構造がどうであれ、選べる眼鏡レンズの度数が0.25D毎に用意されているため、実際に掛けてみれば矯正に適する眼鏡レンズは必ず見つかるからである。つまり選択の自由度があるからである。
一方、現在、裸眼視力あるいは矯正後の視力の測定を行うには、眼科医に行って診療を受けることによって行われたり、あるいは眼鏡店に用意されている視力測定機器をもって視力の測定が行われている。
近年、例えば、インターネットのようなネットワーク上で、仮想的な商店街が形成されているが、この仮想的な商店街に設けられた眼鏡店舗においてオンラインで裸眼視力及び矯正視力の測定をできるシステムは存在しない。
ところが、各人の眼にあった眼鏡レンズの度数を唯一決定しようとする場合、眼球模型のように眼の光学モデルを万人共通と考えたのでは光学計算の誤差が大きく、決定することができない。各人の眼の光学モデルを逐一構築することによってはじめて実現できる。
従来の模型眼をそのまま流用することの問題点は、次のようなことがある。
・従来の模型眼は、欧米人の測定値をもとにしたものであり、他の人種、たとえば、日本人の生体眼の実測値に近い模型を構築しようとする場合には、使うことができない。たとえば、角膜曲率半径の場合、欧米人と比して日本人のほうが曲率半径は小さい。
・測定値の平均値から一つのモデルを作成している。
文献によると前房深度は年令に応じて変化するというデータや、軽度の近視の場合、眼軸長は近視度と相関があるというデータがあり、明らかに各人の年令、近視度に応じた眼球モデルを構築する必要がある。
・水晶体の屈折率は不等質な分布をしているのに平均屈折率を使用している。水晶体の構造を2重構造にして単純化しているため、光線追跡結果の誤差が大きい。
一方、医療機関や眼鏡店に行くには、時間や距離等から困難な場合に、インターネットを介して遠隔的に視力を測定することができるシステムの実現が待ち望まれている。
特に、現在かけている眼鏡あるいはコンタクトによっては従来と比較して物が見づらくなってきているような場合、眼鏡やコンタクトの買換えをする必要性があるかどうかを判断するために、遠隔的に裸眼視力あるいは矯正後の視力の測定を行うことが出来ると極めて便利である。
また、眼鏡やコンタクトレンズを選定したとき、利用者がその眼鏡やコンタクトレンズを装用した状態を確認できれば、より一層眼鏡やコンタクトレンズの選定が確実で且つ容易となる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、遠隔的に各人の眼にあったレンズを選定でき、かつ装用状態を確認できる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法を提供することである。
発明の開示
この発明にかかる請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、眼球光学モデル決定手段により決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成し表示する装用状態表示手段とを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、入力手段が、利用者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離または一定距離における視力等の利用者の目の情報を入力することができるように構成された、請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項3に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル決定手段が、利用者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球モデルを決定するスタート眼球モデル決定手段を含む、請求項1または請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項4に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル決定手段が、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように、および/または利用者の遠点距離から算出された無調節状態における利用者の眼球における集光状態が最適となるように構成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項5に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する眼球光学モデル妥当性検証手段を備えた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項6に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球調節範囲確定手段が、調節中点における眼球の光学諸元の調節範囲を確定することができるように構成された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項7に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを生成して表示する眼球光学モデルイメージ生成手段を備える、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項8に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、利用者の裸眼状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、眼球光学モデルの集光性能を検証する眼球光学モデル集光性能検証手段を備える、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項9に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル集光性能検証手段が、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、利用者の眼球光学モデルの集光状態を検証する手段を含む、請求項8に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項10に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者の視認の鮮鋭度スコアを生成する鮮鋭度スコア生成手段を備えた、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項11に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者が視認する映像を生成する視認映像生成手段を備えた、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項12に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、装用状態表示手段が、利用者の画像を取得する画像取得手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を取得された利用者の画像に合成する画像合成手段とを含む、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、利用者の眼の状態に関する情報を入力するステップと、入力するステップにより入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定するステップと、眼球光学モデルを決定するステップにより決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定するステップと、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成し表示するステップとを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、入力するステップが、利用者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離または一定距離における視力等の利用者の目の情報を入力するステップを含む、請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項15に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルを決定するステップが、利用者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球モデルを決定するステップを含む、請求項13または請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項16に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルを決定するステップが、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように、および/または利用者の遠点距離から算出された無調節状態における利用者の眼球における集光状態が最適となるように眼球光学モデルを決定するステップを含む、請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項17に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項18に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球の調節範囲を確定するステップが、調節中点における眼球の光学諸元の調節範囲を確定するステップを含む、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項19に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、眼球の調節範囲を確定した眼球モデルのイメージを生成して表示するステップを備えた、請求項13ないし請求項18のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項20に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、利用者の裸眼状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、眼球光学モデルの集光性能を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項19のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項21に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルの集光性能を検証するステップが、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、利用者の眼球光学モデルの集光性能を検証するステップを含む、請求項20に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項22に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者の視認の鮮鋭度スコアを生成するステップを備えた、請求項13ないし請求項21のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項23に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者が視認する映像を生成するステップを備えた、請求項13ないし請求項22のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項24に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、装用状態を生成し表示するステップは、利用者の画像を取得するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を取得された利用者の画像と合成するステップとを含む、請求項13ないし請求項23のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
発明を実施するための最良の形態
第1図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムのシステム構成例を示す図である。図において、1は利用者クライアント、2はメガネオーダー販売サービスセンター、3は外部決済処理機関である。これらはネットワークを介して物理的に接続されている。なお、以下の説明では、利用者クライアント1とメガネオーダー販売サービスセンター2と外部決済処理機関3とを接続するネットワークがインターネットであるものとして説明を行う。
利用者クライアント1は、メガネ購入者がネットワークを介してオーダー販売を受ける際に利用される端末であり、例えば、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータが用いられる。利用者クライアント1は、利用者であるユーザとの間のインタフェースとなる入出力装置であり、情報を入力する入力装置としては通常のキーボードやマウスを使用するが、トラックボールやジョイスティックなどのポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチなどの専用入力装置を備えるようにしてもよい。また、画像表示装置としては通常のCRTディスプレイや液晶モニタを使用する。更に、本利用者クライアント2001では、処方箋データを画像情報として取得するための画像入力装置を備えており、ここではデジタルカメラ11aやスキャナ11bが用いられるが、ビデオカメラやテレビカメラなど画像情報をデジタイズして入力できる装置であればどのようなものでも良い。また、利用者クライアント1は、メガネオーダー販売サービスセンター2にアクセスしてサービスを受けるためのインタフェースとしてWWWブラウザ12を備える。
メガネオーダー販売サービスセンター2は、インターネットを介して接続される利用者クライアント1に対して、各利用者の視力や要望に合わせたメガネをオーダー販売するサービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器から構成され、インターネットを介して利用者クライアント1と接続される。メガネオーダー販売サービスセンター2は、電子ショップ情報処理手段21、表示情報生成手段22、メガネオーダー販売処理手段23、決済処理手段24、WWWサーバ/CGI25、レンズ選択手段26、フレーム選択手段27、レンズ度数決定手段28を備える。
電子ショップ情報処理手段21は、入出力装置を介し、商品定義部211を用いて、メガネオーダー販売サービスセンター2で取り扱うメガネレンズ・フレーム等の商品データの定義を行う。ここで定義された商品データは、商品データ情報として、商品データベースに格納される。
この実施の形態において、商品データ情報は、フレーム等の商品を陳列する商品棚の名称、メガネレンズ・フレーム等の商品番号、商品名、価格、商品の説明、そして商品管理情報などのテキストデータと、フレーム等の商品の画像データを含んでいる。メガネオーダー販売サービスセンター2は、また、電子カタログの作成者とのインタフェースとして入出力装置を備えるが、入出力装置は、カタログ作成者から商品定義に必要となる商品棚名、商品目、価格などのテキストデータ、あるいは、商品形状を表すようなイメージデータ等の商品情報の入力を受け付ける。また、利用者により購入された商品の受注情報として、商品番号、数量などの商品情報、商品の送付先情報、外部決済処理機関名、決済日、金額などの決済情報を含む情報の出力を行う。
電子ショップ情報処理手段21には、ショップデータベース、商品データベース、バスケットデータベースを含む電子ショップ出店情報データベースが設けられる。ショップデータベースは、電子ショップを出店するための情報と、商品情報を表示するためのショップレイアウトを定義する情報を格納している。商品データベースは、定義された商品データ情報を格納する。また、バスケットデータベースは、利用者クライアント1から購入を指示された商品の情報を蓄積するためのものである。電子ショップ情報処理手段21は、転送された商品データ情報を商品データベースに格納する機能を実現する。
表示情報生成手段22は、利用者クライアント1からの要求に応じて、電子カタログなどの表示情報を生成する。表示情報生成手段22は、パラメータ解析手段221、ファイル検索手段222、及び表示データ生成手段223を含んで構成される。パラメータ解析手段221は、WWWサーバ/CGI25を介して利用者クライアント1から受け取った視力測定データ・フレーム選択情報等を解析し、視力測定データ・フレーム選択情報等に含まれるパラメータを抽出する。ファイル検索手段222は、パラメータ解析手段221により抽出されたパラメータに基づいて、電子ショップ情報処理手段21によって登録され記憶された各データベースを検索する。表示データ生成手段223は、ファイル検索手段222により検索されたデータをもとにWWWページとして表示可能な表示データを生成する。すなわち、表示データ生成手段223は、いわゆるWWWページジェネレータとしての機能を有する。
メガネオーダー販売処理手段23は、利用者クライアント1により購入予定商品(メガネレンズ・フレーム等)が決定されたとき、表示情報生成手段22から顧客IDと購入予定の商品IDを受け取り、これらの情報をもとに、商品データベースから購入する商品の詳細情報を取得して、バスケットデータベース内の対象としている顧客用の顧客バスケットデータベースにその商品の情報を格納する。その後、対象顧客が購入予定の商品の一覧をバスケットデータベースから取得し、表示情報生成手段22に渡す。
決済処理手段24は、利用者クライアント1により商品の購入が決定されたとき、表示情報生成手段22から顧客IDを受け取り、バスケットデータベースから利用者に対応する商品データ情報を取り出す。そして、取り出した商品データ情報に基づいて外部決済処理機関3に決済処理を依頼する。決済処理手段24は、外部決済処理機関3から決済処理が終了したことの通知を受け、メガネオーダー販売処理手段23・電子ショップ情報処理手段21に受注処理が完了したことを知らせるとともに、利用者クライアント1に購入処理を知らせる明細書データを作成し、表示情報生成手段22にそのデータを渡す。
WWWサーバ/CGI25は、利用者クライアント1との間のインターフェースとして機能し、利用者クライアント1から表示要求情報を受け取り、また、利用者クライアント1に表示データを転送する。
フレーム選択手段27は、仮想店舗に陳列されているフレームから利用者の希望するフレームの選択を行うもので、ここでは後述するメガネ装用体験システムで説明するフレーム選択処理を行い、利用者が購入したいフレームを顔にかけた画像を確認しながら選択することができる。
レンズ度数決定手段28は、利用者の視力を遠隔で測定して矯正レンズの度数を決定するもので、ここでは後述の遠隔自覚視力測定システムで説明する眼球光学モデルを用いた視力測定を行い、矯正レンズの度数を精度良く決定する。
レンズ選択手段26は、視力測定結果や予算、レンズの機能等を考慮して利用者に合ったレンズの選択を行う。
外部決済処理機関3では、メガネオーダー販売サービスセンター2の決済処理手段24から送られてくる依頼に基づき、メガネオーダー販売サービスセンター2に代わってオーダーされたメガネの代金の決済処理業務を行う。
次に、利用者クライアント1およびメガネオーダー販売サービスセンター2の動作概要について以下説明する。
メガネオーダー販売サービスセンター2では、WWWサーバ/CGI25が利用者クライアント1より送られてきたメガネオーダーページ情報を受け取り、表示情報生成手段22を起動する。
表示情報生成手段22は起動されると、WWWサーバ/CGI25からメガネオーダーページ情報を受け取り、パラメータ解析手段221により受け取ったメガネオーダーページ情報の解析を行う。パラメータ解析手段221は、解析結果として、表示対象となる電子ショップを特定するためのショップID、電子カタログの背景画面の種類を特定するカタログテンプレート、表示すべき商品の商品ID、利用者を特定するための顧客IDなどの情報を出力する。パラメータ解析手段221により出力されたこれらのデータをもとに、ファイル検索手段222は、ショップデータベース、商品データベース、バスケットデータベースを検索し、利用者クライアント1から要求された表示画面を作成するのに必要なデータを取得する。
ファイル検索手段222によりデータが取得されると、次に、表示データ生成手段223に処理が移る。表示データ生成手段223は、まず、利用者クライアント1からの要求の種類を判別する。利用者クライアント1からの要求が、“購入予定商品の決定”、“商品購入”以外であれば、ファイル検索手段223により、検索された結果を用いて表示データ生成手段223で表示用のデータを生成する。
利用者クライアント1からの要求の種類を判別するステップにおける判別の結果、利用者クライアント1からの要求の種類が“購入予定商品の決定”であった場合、すなわち、顧客が表示されている商品の購入予定を指示するべく「選択した商品を買物かごに入れる」の指示を行った場合、表示データ生成手段223はメガネオーダー販売処理手段23を起動する。
メガネオーダー販売処理手段23は、起動されると、表示データ生成手段223から顧客IDと顧客から購入予定を指示された商品の商品IDを受け取る。この商品IDをキー情報として商品データベースから該当する商品についての詳細な商品データ情報を取得する。そして、前記ステップで取得した商品データ情報をバスケットデータベース内にある表示データ生成手段223から受け取った顧客IDで識別される顧客の顧客バスケットデータベースに格納する。このとき、該当する顧客バスケットデータベースが存在しないときには、その顧客IDに対応した顧客バスケットデータベースを作成して商品データ情報を格納する。さらに、この顧客バスケットデータベースから顧客がこれまでに選択したすべての商品データ情報を取り出して表示データ生成手段223に渡す。この場合、表示データ生成手段223は、メガネオーダー販売処理手段23から受け取った商品データ情報から顧客が購入を予定している商品の一覧表示情報を作成し、利用者クライアント1に送る。このとき表示される情報をもとに、顧客は購入しようとしている商品の確認、購入予定商品の一部、あるいは全部の取消しを行うことが可能である。
利用者クライアント1からの要求の種類を判別するステップにおける判別の結果、利用者クライアント1からの要求の種類が“商品の購入”であった場合、つまり、顧客がこれまで選択した商品の購入決定を指示した場合、表示データ生成手段223は、表示データの生成を行うのに先立って決済処理手段24を起動する。
決済処理手段24は、起動されると、表示データ生成手段223から顧客IDを受け取る。受け取った顧客IDをキーとして、決済処理手段24は、バスケットデータベースから顧客IDで特定される顧客の顧客バスケットデータベースに保持された購入商品の商品データ情報を検索する。検索の結果得られた商品データ情報に基づいて、外部決済処理機関3に決済処理を依頼する。外部決済処理機関3は、この依頼に応じ、メガネオーダー販売サービスセンター2に代わって決済処理業務を実行し、決済処理が完了するとそのことをメガネオーダー販売サービスセンター2に通知する。外部決済処理機関3で行われる決済処理については、従来と特に変わるところはないので、ここでは詳細な説明は省略する。
外部決済処理機関3から決済処理が終了した旨の通知を受けると、決済処理手段24は、商品番号、受注数量など受注した商品に関する情報、商品の送り先を示す送付先情報、及び、決済処理を代行する外部決済処理機関3の名称、決済日、金額情報などからなる決済情報を含む受注情報をメガネオーダー販売サービスセンター2に転送する。メガネオーダー販売サービスセンター2では、入出力装置によりWWWサーバ/CGIから受け取った受注情報の表示が行われる。最後に決済処理手段24は、決済処理が終了したことを知らせる明細書データを作成して表示データ生成手段223に渡す。表示データ生成手段223は、受け取った明細書データを用いて、決済処理完了を知らせる表示画面を生成し、利用者クライアント1に転送する。
次に、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムによりメガネをオーダー販売する方法について以下説明する。
第2図は、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを購入する際の処理の概要を示す図である。図のように、利用者がフレームの選択を希望する場合は、フレームの選択を行い、利用者が視力の測定を希望する場合は、裸眼視力及び矯正後視力の測定を行い、利用者がレンズの選択を希望する場合はレンズの選択を行い、代金決済処理からの代金前渡し又は内金の通知を受けて、選択されたフレームと選択されたレンズの情報と視力測定結果とに基づいて眼鏡・コンタクトレンズの加工・組立を行い、利用者に対して代金引き換えにより商品を引き渡す。尚、ここでは、フレームの選択、視力の測定、レンズの選択の順に処理するものとして説明したが、利用者の要求により必要とする処理のみを行えばよく、その順序は任意でよい。例えば、最初に視力の測定を行い、次にレンズを選択して、最後にフレームを選択するようにしてもよく、利用者がレンズ度数の変更のみを希望する場合は、視力の測定のみを行い、顧客データベースに基づいてレンズの選択やフレームの選択を行うようにしてもよく、利用者がフレームの変更のみを希望する場合は、フレームの選択のみを行い、顧客データベースに基づいて視力の決定やレンズの選択を行うようにしてもよい。
第3図から第8図は、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの処理の概要を示す。第3図は最初に利用者を区分する処理の概要を示す図であり、第4図は利用者が既に顧客であった場合の処理の概要を示す図であり、第5図は利用者が顧客でなかったが処方箋があった場合の処理の概要を示す図であり、第6図は利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって老眼鏡対象者でない場合の処理の概要を示す図であり、第7図は利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって老眼の自覚症状のない場合の処理の概要を示す図であり、第8図は利用者が既成の老眼鏡を希望する場合の処理の概要を示す図である。
まず、メガネオーダー販売サービスセンター2は、利用者クライアント1からの接続を受け付けると、氏名、生年月日、電話番号等の基本属性の入力を促す基本属性入力画面を送信する。利用者クライアント1では、基本属性入力画面を受信して表示し、利用者が入力した基本属性をメガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。メガネオーダー販売サービスセンター2は、入力された基本属性を受信し、メガネオーダー販売処理手段23により顧客データベースを検索する。
検索の結果、利用者が既にメガネを購入したことのある顧客であることが判明した場合には、第4図に進み、利用者クライアント1に対して利用者の意向を確認する問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「前回と同じレンズで、且つ前回と同じフレームでよい」を選択した場合は、顧客データベース(バスケットデータベース)に管理されている視力測定データ、フレーム情報データ及びレンズ情報データに基づき、レンズを作成する。利用者がその問合せ画面に対して、新しいレンズおよび/または新しいフレームにすることを希望した場合は、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその選択画面において、「前回と同じ度数を希望しない」を選択した場合は「レンズ度数決定ステップ」を実行し、「新しいフレームを選択する」を選択した場合は「フレーム選択ステップ」を実行し、「新しいレンズを選択する」を選択した場合は、「レンズ選択ステップ」を実行する。尚、ここでは「レンズ度数決定ステップ」においては、後述の「遠隔視力測定システム」を実施し、「フレーム選択ステップ」においては、利用者クライアント1に対してメガネ装用仮想体験をするか否かを問合せる問合せ画面を送信し、利用者が「メガネ装用体験をする」選択したときは「メガネ装用仮想体験システム」を実施する。
顧客でなかった場合は、眼科医が処方した処方箋を所持しているか否かを問合せる処方箋確認画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその処方箋確認画面に対して、「医師の処方箋を持っている」を選択した場合には、第5図に進み、利用者クライアント1に対して処方箋入力指示画面を送信する。利用者は、その画面の指示に従って、処方箋をスキャナーにより画像データとして入力するか、キーボードからテキストデータとして入力し、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。そして、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
また、利用者が「処方箋を持っていない」を選択した場合は、利用者の年齢が40ないし45才を超えているか否かを問合せる問合せ画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその問合せ画面に対して「40ないし45才以下である」を選択した場合は、第6図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
利用者が「40ないし45才を超えている」を選択した場合には、更に利用者クライアント1に対して手元が見えにくいという自覚症状があるか否かを問合せる問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「自覚症状がない」を選択した場合は、第7図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。尚、この場合において、利用者の年齢から老眼の可能性があるので、更に「遠用・近用・遠近両用から選択するステップ」を実行する。
利用者が「自覚症状がある」を選択した場合は、メガネオーダー販売サービスセンター2は利用者を老眼と判断し、利用者クライアント1に対してオーダー老眼鏡を希望するか否かを問い合わせる問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「オーダー眼鏡を希望する」を選択した場合は、第7図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。尚、この場合において、更に「遠用・近用・遠近両用から選択するステップ」を実行する。
利用者が「既成の老眼鏡でよい」を選択した場合は、第8図に進み、利用者の年齢から判断される度数を決定し、「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアントに送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
上記処理においては、最初に利用者の基本情報を入力するとして説明したが、あらかじめ基本情報を登録した利用者にユーザーIDやパスワードを発行し、利用者が利用者クライアント1からメガネオーダー販売サービスセンター2に接続する際に、ユーザーIDやパスワードを入力して、認証を行うようにしてもよい。この場合には、ユーザーIDによって、利用者が既にメガネを購入した顧客か否かを判断できる。
次に、具体的に利用者クライアント1に表示される画面の例を用いて、どのようにサービスが提供されるかを説明する。
まず、メガネオーダー販売サービスセンター2は、最初にサイトトップ画面(第11図)を利用者クライアント1に送信し、引き続いてパソコン画面情報の収集画面(第12図)を利用者クライアント1に送信し、購入者にパソコン画面の解像度・大きさ等のディスプレイ(モニタ)情報の入力を促し、利用者クライアント1より入力されたディスプレイ情報を取得する。
次に、利用者は、メガネオーダー販売サービスセンター2より送信されたサービス選択画面(第13図)において、「遠隔自覚視力測定ステップ(世界初!自分でチェックできるメガネレンズ度数特定システム)」「フレーム選択ステップ(いろいろなメガネを掛け替える!フレーム試着室)」「レンズ選択ステップ(度なしレンズを利用する)」「処方箋利用ステップ(眼科でもらった処方箋データやメガネ店のカードのデータを利用する)」のいずれかをクリックして、利用者クライアントからメガネオーダー販売サービスセンター2に利用者の意向を送信する。
なお、遠隔自覚視力測定ステップ又は処方箋利用ステップにおいては、レンズの選択基準が明確になった段階において、レンズ選択ステップに移行することになる。
次に、レンズ選択ステップについて説明する。
利用者が直近の視力データと同じでよいと判断し、「前回と同じレンズ選択」をクリックしたとき、利用者が医師の処方箋データに基づいてレンズを作成してよいと判断し、「処方箋によるレンズ選択」をクリックしたとき、あるいは利用者が既製の老眼鏡でよいと判断し、「既製老眼鏡でよい」をクリックしたときは、レンズ選択手段26は、それぞれのデータに基づいてレンズを選択する。
尚、直近の視力データがあるとき、あるいは医師の処方箋があるときでも、利用者が遠隔的に視力を測定することを希望するときは、視力決定手段28による遠隔視力測定ステップに進み、利用者は視力の測定を受けることができる。
メガネオーダー販売サービスセンター2においては、種々のレンズがデータベース(第9図および第10図)として登録されているが、レンズ選択手段26は、その中から直近の視力データ、医師の処方箋または遠隔視力測定システムにより測定されたデータに基づいて、利用者クライアント1から入力された利用者の希望に沿ったレンズ、またはメガネオーダー販売サービスセンター2が利用者に推奨するレンズを表示したレンズ選択画面を利用者クライアント1に送信する。また、利用者が既に顧客であった場合は、前回購入したレンズもレンズ選択画面に表示される。
レンズを選択する際の選択肢としては、メーカー名、型版、用途、レンズの機能(レンズの厚さ、レンズの軽さ、耐久性、UVカット)、カラー、価格、度数等があり、利用者はそれらの選択肢を指定してレンズを検索し、購入を希望するレンズを選択して、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。
次に、フレーム選択ステップについて説明する。
例えば、既に顧客であった場合など、フレームの機能面および装飾面についてのデータが、メガネオーダー販売サービスセンター2において存在する場合は、ファッション、イメージ、デザイン等によってフレームを指定できる。
そこで、フレームの機能的なデータおよび装飾的なデータがメガネオーダー販売サービスセンター2にある場合のフレームの選択について、以下説明する。
フレームは、メガネオーダー販売サービスセンター2においてデータベースとして登録されており、フレーム選択手段27は、その中から代表的なフレームを表示したフレーム選びトップ画面(第14図)を、利用者クライアント1に送信する。そして、利用者がファッション、素材、デザイン、予算等についてのアンケート式の問い合わせに対して回答することにより、フレーム選択手段27は、利用者の意向を表したデータに基づいて最適と判断されるフレームを選択し、利用者クライアント1にフレーム選択画面を送信する。
フレーム選択画面は、メガネフレームを性別/素材別に選別してカテゴリー分けをし、そのカテゴリーに含まれる代表的なフレーム画像を表示する。
既に顧客であった場合は、前回購入したフレームもフレーム選択画面に表示する。
フレームの選択肢としては、ファッション、素材、デザイン、価格等があり、利用者はその選択肢を見て希望条件を入力し、表示されたフレーム画像から購入を希望するフレームを選択し、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。
このとき、本システムでは、選択されたフレームを仮想的にモデルまたは自分の顔に装用する体験のできる装用状態表示手段を備えている。
次に、この発明を構成する装用状態表示手段の一実施形態について、第25図に示すメガネ装用仮想体験システムを用いて説明する。
このメガネ装用仮想体験システムは、モデルまたは利用者の顔に種々の眼鏡フレームを装用させる仮想体験のできるシステムであり、利用者クライアント2001とメガネオーダー販売サービスセンター2002とから構成される。利用者クライアント2001とメガネオーダー販売サービスセンター2002はネットワークを介して物理的に接続されている。ここでは、そのネットワークがインターネットであるとして、以下の説明をする。
利用者クライアント2001は、利用者がメガネの装用仮想体験をする際に使用する端末であり、例えば、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータにより構成される。メガネの装用状態を表示する画像表示装置としては、通常のCRTディスプレイや液晶モニタを使用するが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や投影式の表示装置等の専用画像表示装置を用意してもよい。また、フレームの選択情報等の情報を入力する入力装置としては、通常のキーボードやマウスを使用するが、トラックボール、ジョイスティックなどのポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチなどの専用入力装置を用意してもよい。さらに、本利用者クライアント2001は、利用者の顔画像を取得するための画像入力手段を備えており、ここではデジタルカメラを使用するが、ビデオカメラやスキャナーなど画像をデジタイズして入力できる装置であればどのようなものでも良い。また、利用者クライアント2001は、メガネオーダー販売サービスセンター2002にアクセスしてサービスを受けるためのインターフェースとしてWWWブラウザを備える。
メガネオーダー販売サービスセンター2002は、メガネ装用仮想体験サービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器によって構成され、インターネットを介して利用者クライアント2001と接続される。メガネオーダー販売サービスセンター2002は、利用者クライアント2001に対してサービスを提供するための窓口となるWWWサーバを備える。また、利用者の顔画像を含む利用者情報の登録を行う利用者情報登録手段2003、利用者がフレームを選択する際の選択情報の入力を行うフレーム選択情報入力手段2004、データベースに対するアクセス管理を行うデータベース管理手段2005、販売対象となるフレームの機能構造・装飾構造を登録するフレーム情報登録手段2060、販売対象となるフレームの画像を登録するフレーム画像登録手段2061、フレーム画像をモデル又は利用者の顔画像と合成する画像合成手段2007、フレーム選択情報に基づいて該当するフレームを選択するフレーム選択手段2008を備え、入力手段2006および出力手段2009を介してWWWサーバに接続されている。これらの各手段は必要に応じてWWWサーバのCGIによって起動され、利用者クライアント2001に対してメガネ装用仮想体験サービスを提供する。また、WWWサーバは、利用者クライアント2001が正規の利用者であることを認証する利用者認証機能を有する。
データベース管理手段2005が管理するデータベースには、第26図ないし第29図に示すような利用者情報データベース、フレームの選択情報データベース、フレーム機能構造データベース、フレーム装飾構造データベースを備える。
次に、本システムによって利用者にメガネ装用仮想体験サービスを提供する際の処理手順について説明する。
まず最初に、サービス提供者はフレーム情報登録手段2060を起動して、キーボード等により販売するメガネの機能構造データおよび装飾構造データを入力してデータベースに登録する。
フレーム機能構造データは、第28図に示すように、サイズは実寸(44Φ〜62Φ)であり、特徴は、形状記憶合金、超軽量、超弾性、サングラス兼用、携帯用、その他であり、機能は、左右の瞳孔間の距離、左右の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅、左右の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅より決定されたテンプルの開き角、耳元より角膜頂点までの距離、テンプルの曲げる位置、角膜頂点と鼻もとまでの距離、角膜頂点と鼻もとまでの距離を基に決定される鼻のクリングス(鼻当て部)の開き角度である。フレーム装飾構造データは、第29図に示すように、玉型(シェイプ)はウェリントン、ロイド、オーバル、スクエア、トノー、ボストン、バタフライ、オート(ドロップ)である。素材は縁なし(ツーポイント、スリーポイント)、メタルナイロール、セルナイロール、メタル、セル、ブロライン、コンビ、その他である。ブランドは各種ブランドで、カラーは各種カラーである。
また、フレーム画像登録手段2061を起動して、スキャナー等により販売するメガネのフレーム画像を入力して、データベースに登録する。
次に、利用者が利用者クライアント2001のWWWブラウザを用いてWWWサーバにアクセスすると、WWWサーバは利用者認証画面を送信する。利用者認証画面は、ユーザID・パスワード等の利用者認証情報の入力を促す画面であるが、既に前のステップで利用者の認証が完了していれば改めて行う必要はなく、省略される。
データベース管理手段2005は、入力された利用者認証情報について利用者情報データベースを検索して認証を行う。
利用者が初めてサービスの提供を受ける場合には、利用者情報登録手段2003が起動され、利用者クライアント2001に基本属性入力画面を送信される。利用者が画面に従って利用者の基本属性、例えば氏名、住所、生年月日、電話番号、目の調子(手元が見えにくい等)、メガネに対する要望等を入力すると、当該利用者にユーザIDとパスワードが発行され、受信された利用者の基本属性情報を利用者情報データベースに登録される。
利用者の認証が完了すると、フレーム選択情報入力手段2004が起動され、利用者がフレーム選択情報を入力するためのフレーム選択情報入力画面が利用者クライアント2001に送信される。フレーム選択情報入力画面は、利用者がフレームを選択するための基準(ファッション性、予算、機能、顔へのフィット感等)を入力する画面である。利用者は、フレーム選択情報入力画面にファッション性、予算、機能、顔へのフィット感等のフレーム選択基準を入力する。
次に、利用者クライアント2001にPD測定画面(第15図)が送信され、レンズの中央に瞳孔を合わせるために、瞳孔の位置を測定する。
上記テキストデータによるフレーム選択基準の入力およびPD測定が終了すると、「誰の顔でフレームの掛け替えを行いますか?」と問いかける顔画像選択画面(第16図)が送信される。利用者が「モデルの顔を使う」を選択したときは、次のフレーム選び体験画面に進むが、「自分の顔写真を使う」を選んだときは、自画像アップロード画面(第17図)が送信される。
自画像アップロード画面においては、「あなたの写真データはどちらですか?」と問合せる画面が送信され、利用者に「デジカメ写真データを使う場合」か「スキャナで撮った写真データを使う場合」かを選択させる。利用者は、正面と側面(左右とも)の顔画像を画像入力装置によって、利用者クライアント2001に取りこみ、メガネオーダー販売サービスセンター2002に送信する。
フレーム選択情報入力手段2004は、利用者クライアント2001から送られたフレーム選択情報のテキストデータ及び画像データ(利用者の顔の画像)を受信し、下記のようにしてフレーム選択情報データベースに必要な情報を登録する。
▲1▼利用者の側面画像(第30図)をもとにして、利用者の耳元より角膜頂点までの距離(L1)を左右別々に測定し、登録する。前記測定数値より、テンプル(つる)の曲げる位置を左右別々に決定し、登録する。
▲2▼利用者の側面画像をもとにして、利用者の目の角膜頂点と鼻もとまでの距離(L2)を測定して、左右の平均をとった数値を登録する。L2は通例12mmである。前記測定した数値をもとにして鼻のクリングス(鼻当て部)の開き角度を決定し、登録する。
▲3▼利用者の正面画像(第31図)をもとにして左右の目の瞳孔間の中心を基点として、耳元までの幅(L3)を左右別々に測定し、登録する。前記測定数値をもとにしてテンプルの開き角θを左右別々に決定し、登録する。
尚、左右の目の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅は、まず瞳孔間距離(PD)を求める。但し、瞳孔の位置が顔画像では明確に検知できないので、例えば左目の左側と右目の左側の距離(PD1)を求めることによって(PD)の近似値を求める。
また、目の瞳孔と耳元までの距離(L4)も、瞳孔の位置が顔画像では明確に検知できないので、左の耳元より左目の右側までの距離(La)と左目の左側までの距離(Lb)を求め、その平均により眼の瞳孔と耳元までの距離(L4)を求める。右眼側も同様にして求める。
メガネフレームの右テンプル及び左テンプルの開き角θは、次式より求めた分を補正してわん曲させる等により調整する。
PD/2+L4−L5
L5は、メガネフレームのフロントサイズ(第32図参照)である。
▲4▼遠近両用レンズを指定された場合は、レンズ面の傾斜角度をさらに5度加入するために、鼻のクリングスの開き角度を、その加入数値により補正して決定し、登録する。
このように、フレーム選択情報入力手段2004により機能構造データ、装飾構造データ及び顔画像データが演算・作成され、顔画像データと共に、データベース管理手段2005によって登録される。
メガネオーダー販売サービスセンター2002では、予めフレーム情報登録手段2060及びフレーム画像登録手段2061によって各フレームのフレーム機能構造、フレーム装飾構造及びフレーム画像が登録されており、利用者クライアント2001から送信されたフレームの選択情報によって適合するフレームが選択される。
フレーム選択手段2008によってフレーム選択情報に適合する数種類のフレームが選択されると、利用者クライアント2001にフレーム選び体験画面(第18図)が送信される。このフレーム選び体験画面では、「いろいろなフレームを掛け替えて、気に入ったものを取りあえずキープして下さい(4本まで)」と表示され、利用者に気に入ったフレームの選択を促す。これにより、利用者は選択したフレームの装用仮想体験を行うことができ、仮想体験の印象を見て気に入ったフレームを取りあえずキープすることができる。
フレーム選び体験画面においては、検索条件としては、「素材別and価格帯」「素材別andブランド別」「素材別and価格帯別andブランド別」等がある。素材別の選択肢としては、「セル」「メタル」「ツーボ」「ナイロ」「コンビ」「SG」等が表示され、その中から選択することができる。価格帯別の選択肢としては、「5000円〜9999円」「10000円〜14999円」「15000円〜19999円」「20000円〜30000円」等がプルダウン表示され、その中から選択することができる。ブランド別の選択肢として、各種ブランド名がプルダウン表示され、その中から選択することができる。なお、キープ可能な本数は、最大4本であり、それ以上は適宜選択し直し、不要なものはゴミ箱に削除する。
選択されたフレームの画像は、画像合成手段2007によって利用者の顔画像に適合するようにリサイズされて合成され、メガネ装用画像が生成される。そして、生成されたメガネ装用画像がフレーム選び体験画面(第18図)の一部として、利用者クライアント1に送信される。その際に、フレームの側面画像を同時に表示したり、更に、画像合成手段2007により利用者の側面画像と合成したメガネ装用画像を生成して表示するようにしてもよい。これにより、利用者はフレームの側面のフィット状況をも確認することができる。
また、フレーム選び体験画面において、「色違いを見る」が選択されると、色違い表示画面(第19図)が利用者クライアント2001に送信される。この色違い表示画面では、同一品番で異なるカラーのものがすべて表示され、色違いの商品を確認することができる。色違いフレームが8本に満たない場合は、空白欄として表示される。
利用者は、利用者クライアント2001に表示されるメガネ装用画像を見て、自己の希望と合致したフレームが選択されているか、そしてそのフレームを顔にかけたときに如何なる顔になるかを確認することができる。
ここで、希望していたフレームと違う画像が送信されてきている場合、あるいは別のフレームをかけた顔を見たい場合には、利用者は改めてフレーム選択情報を指定して、メガネオーダー販売サービスセンター2002に送信する。これにより、前記した方法と同様の方法により別のフレームが選択され、画像合成手段2007により利用者が選択したフレームの画像と顔画像を合成したメガネ装用画像が生成され、再び利用者クライアント2001に送信される。
次に、フレーム選び体験画面(第18図)および色違い表示画面(第19図)においてキープされたフレームを利用者に確認してもらうために、キープの中身確認画面(第20図)が利用者クライアント2001に送信される。キープの中身確認画面では、「キープしているフレームを確認し、購入したいフレームを選びます」と表示され、フレームを選択すると同時に仮想体験ができる。
また、利用者が仮想体験した確認したフレームとカラーレンズの組み合わせて購入する場合は、所定箇所をクリックする。
次に、利用者クライアント2001に購入フレーム確認画面(第21図)が送信され、利用者に購入するフレームおよびレンズの種類の確認を促す。購入フレーム確認画面においては、選択されたフレームを装用した画像、フレームおよびカラーレンズの種類が表示される。不用の場合は「キャンセルする」をクリックし、購入する場合は「購入する」をクリックする。
購入フレーム確認画面において「購入する」が選択されたときは、メガネを作る度数選択画面(第22図)が利用者クライアント2001に送信される。このメガネを作る度数選択画面では、「今回作るメガネに関して、どのレンズ度数データを使用しますか?」と問いかけられ、「このサイトで測ったレンズ度数データを利用する」「度なしレンズを利用する」「眼科でもらった処方せんデータやメガネ店のカードのデータを利用する」が選択肢として表示され、改めて、「レンズ度数決定ステップ」「レンズ選択ステップ」「処方箋利用ステップ」の選択を利用者に促す。
「眼科でもらった処方せんデータやメガネ店のカードのデータを利用する」が選択されると、「処方箋利用ステップ」に進み、利用者クライアント2001に処方箋データ入力画面(第23図)が送信される。この処方箋データ入力画面では、「レンズ度数を入力して下さい」と表示され、次のような入力が促される。
・PD(単位:mm)
・右目 S(度数データをプルダウン表示:+0.25,−0.25,−0.50,−0.75,−1.00等)、C、AX(乱視軸データをプルダウン表示:180°±22.5°,135±22.5°,90±22.5°,45±22.5°,0±22.5°等)
・左目 S(度数データをプルダウン表示:+0.25,−0.25,−0.50,−0.75,−1.00等)、C、AX(乱視軸データをプルダウン表示:180°±22.5°,135±22.5°,90±22.5°,45±22.5°,0±22.5°等)
メガネを作る度数選択画面において「度なしレンズを利用する」が選択された場合、および処方箋データ入力画面において処方箋データが入力された場合は、利用者クライアント2001にレンズの厚み比較画面(第24図)が送信される。このレンズの厚み比較画面では、「どのレンズでメガネを作りますか?あなたのレンズ度数に合わせて、厚みを表示しています」と表示され、利用者にレンズの厚みを比較させるように、「標準装備レンズ」「薄型レンズ」「薄型で歪みがないレンズ」について、その断面形状とレンズ価格とが表示される。
このフレーム選びが終了すると、決済システムに進む。
このように、メガネ装用仮想体験システムによれば、利用者が写真データにいろいろなメガネフレームを装用させることができ、しかも店頭に出向かなくとも、自宅でインターネット等のネットワークを介して種々の眼鏡フレームをかけ変えて自分の好みにあった最適なフレームを選択することができる。また、このシステムによれば、自分の既製のメガネやコンタクトレンズをかけたままで、すなわち適正な視力で、選択された眼鏡フレームを顔にかけた状態を確認できるので、自己に最適な眼鏡フレームを選択することができる。
上記実施形態では、装用状態表示手段として利用者の写真データにいろいろなメガネフレームを装用させることのできるメガネ装用仮想体験システムについて説明したが、同等の画像合成手段を用いて、メガネフレームだけでなくコンタクトレンズの装用仮想体験を行えるようにしてもよい。特に、カラーコンタクト等では、これを装用することで顔の印象が大きく変わるので、装用された画像を確認できるようにすることで利用者は安心してコンタクトレンズを選択できる。
次に、レンズ度数決定ステップの第一の実施形態について、第33図に示すような遠隔自覚視力測定システムを用いて説明する。図に示すように、この遠隔自覚視力測定システムは、利用者クライアント4001とメガネオーダー販売サービスセンター4002から構成され、これらはネットワークで物理的に接続されている。なお、以下の説明では、利用者クライアント4001とメガネオーダー販売サービスセンター4002を接続するネットワークがインターネットであるものとして説明を行う。
利用者クライアント4001は、利用者が視力測定サービスを受ける際に利用する端末であり、前述の利用者クライアント1と同様に、インターネット接続機能を有するパーソナルコンピュータ等が使用される。
メガネオーダー販売サービスセンター4002は、視力測定サービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器によって構成され、インターネットを介して利用者クライアント4001と接続される。
メガネオーダー販売サービスセンター4002は、利用者にサービスを提供する際の窓口となるWWWサーバ4030を備える。また、眼球光学モデル決定手段4204、モデル妥当性検証手段4206、眼球光学諸元調節範囲確定手段4208、眼球モデルイメージ生成手段4210、眼球モデル集光性能検証手段4212、視認映像生成手段4214、鮮鋭度スコア生成手段4216、レンズ度数選定手段4218、利用者情報管理手段4230およびデータベース管理手段4232を備え、入力手段4202および出力手段4220を介してWWWサーバ4030に接続されている。これらの各手段は必要に応じてWWWサーバのCGIによって起動され、利用者クライアント4001に対して視力測定サービスを提供する。また、WWWサーバは、利用者クライアント4001が正規の利用者であることを認証する利用者認証機能を有する。
入力手段4202は、被検者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離等の被検者の目の情報を入力する。
眼球光学モデル決定手段4204は、被検者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球モデルを決定する。そして、眼球光学モデルを決定手段4204は、被検者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における被検者の眼球における集光状態が最適となるような眼球の光学諸元によって眼球光学モデルを決定する。
モデル妥当性検証手段4206は、さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する。
眼球光学諸元調節範囲確定手段4208は、調節中点における眼球の調節範囲を確定するように構成され、さらに、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球モデルのイメージを表示する。
眼球モデル集光性能検証手段4212は、被検者の裸眼状態における、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置での、眼球光学モデルの集光状態を検証する。更に、眼球モデル集光性能検証手段4212は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態における、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置での、被検者の眼球光学モデルの集光状態を検証する。
視認映像生成手段4214は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、被検者の視認映像を生成する。
鮮鋭度スコア生成手段4216は、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、被検者の視認の鮮鋭度スコアを導き出す。
レンズ度数選定手段4218は、被検者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定する。
次に、本遠隔自覚視力測定システムを用いて視力を測定する方法について、第34図および第35図のフローに沿って説明する。
利用者クライアント4001からメガネオーダー販売サービスセンター4002にアクセスして利用者の認証を完了すると、利用者クライアント4001にガイダンス画面が送信されて表示される。
次に、利用者クライアント4001にパソコン画面情報収集画面(第36図)が送信される。パソコン画面情報収集画面には、「あなたの目にぴったり合ったメガネをお作りするために必要です。ご利用のパソコン情報を教えて下さい。」と表示して、解像度等のディスプレイ情報の入力を促し、「このラインはあなたのモニター画面では何センチですか?」と表示して、ディスプレイの大きさの入力を促す。
次に、利用者クライアント4001に利用者情報入力画面(第37図)が送信される。利用者情報入力画面には、利用者を特定する情報として、利用者コード、利用者識別子(ID)、利用者パスワード、住所、氏名、生年月日、電話番号等の基本属性等を含む利用者情報、使用目的、近点距離、遠点距離、年令、前度数、前度数での両眼視力、前度数での左右バランス、前メガネの使用年数、コンタクトの種類(併用の場合)、希望矯正視力、視力に関係する病気の有無などのデータの入力が促される。個人情報の入力を終えると、利用者クライアント4001に装用条件入力画面(第38図)が送信される。装用条件としては、眼鏡・コンタクトレンズを装用したい目的(例えば、手元のものを見るとき、遠くのものを見るとき、自動車運転時など、どのようなときに掛けたいのか等)や視環境(日常どの範囲でどの距離のものを見ていることが多いか。仕事上でパソコン作業が多いか等)がある。
次に、利用者クライアント4001に裸眼視力測定画面が送信される。
裸眼視力測定は、乱視軸測定、遠点視力測定、近点視力測定の順に行う。この実施の形態においては、遠点距離の測定は、一定の距離(人が腕を伸ばした距離)において測って遠点距離を推定する測定法を用いているが、遠点距離を直接測る方法でもよい。
乱視軸測定は、以下のような手順により行う。
乱視軸測定ステップ1:最初に、ガイダンス画面が送信され(第39図)、「次の指示に従って下さい。右目について測定を行います。まず、平行線が引かれた4つのゾーンが表示されます。1m程度画面から離れ、4つのゾーンの内、どれかの線がはっきり見える位置まで近づいて下さい。これから先は、メガネ、コンタクトをはずして下さい。表示された視標を見るときは、手が目に触れないように左目を片手で覆って下さい。」と表示される。
乱視軸測定ステップ2:次に、乱視軸測定画面が送信され、4つのパターンからなる乱視軸判定チャートが画面に表示される(第40図)。
乱視軸測定ステップ3:ここで、利用者は左手で左目を覆いながら、1m程度下がる。その際、左目は開けておく。このステップにおける利用者の状態を第41図に示す。
乱視軸測定ステップ4:次に、徐々に画面に顔を近づけて行き、4つのパターンが区別できるような距離で止まる。近づきすぎないように注意する。このステップにおける利用者の状態を第42図に示す。
乱視軸測定ステップ5:ここで、利用者は図の4つのパターンがすべて同じに見えるか?それともどれか一つ濃く見えたり、薄く見えたりするか?を判定する。
乱視軸測定ステップ5−1:「一つだけ違って見える」場合は、そのパターンをクリックする。
乱視軸測定ステップ5−2:「全部同じに見える」または「わからない」場合は、パターン下のコメントをクリックする。
乱視軸測定ステップ6:続いて右目を右手で覆い、左目について同じことを行う。
乱視軸判定チャートは、第40図のように複数の平行線からなる、45度・90度・135度・180度の4方向の線状群から構成される。被検者が乱視を有する場合は明瞭に見える方位とつぶれて薄く見える方位が生じるので、見え方の異なる方位のゾーンをクリックするよう促す。このように、見え方の異なる方位を選択させるようにしたのは、乱視は物体との距離によってよく見える方向が90度反転する可能性があるため、最初からよく見える方位とすると乱視軸の判断を誤る恐れがあるからである。従って、本願発明では、この段階では乱視軸の主軸は決定せず、後の遠点距離を求める段階で、2方向の視標を使って算出された2つの遠点距離を比較し、距離の長い方の方向を主軸と決定するようにしている。
乱視を有しない被検者は、原則として全方位が同じに見えるはずであるので、全部が同じに見える又はわからないをクリックした被検者は乱視を有しないものとして、以下の測定は水平、垂直の主軸についてのみ行う。
さらに乱視軸判定の分解能を上げたい場合は、4方向の中間の角度、すなわち22.5度、67.5度、112.5度、157.5度の4方向の線状群を追加して表示し、選択させるようにしてもよい。
次に、遠点距離を測定する。本来、遠点距離測定は、被検者が画面を楽に見て、画面からどこまで遠ざかることができるかを調べる。ぼけないで見える最長位置(ぼけ始める位置)で顔を静止し、画面から眼までの距離を測定したものが遠点距離である。しかし、パソコンから遠ざかるには限界があるため、ここでは一定距離における遠点視力を測ることにより遠点距離を算出するようにした。
遠点視力の測定は、利用者がある一定の距離でどんな大きさのものまで見えるかを判定することにより行う。なお、この実施形態における遠点視力とは、一般に言われる視力1.5という度数ではなく、別の値のことを指す。以下、この遠点視力について詳述する。被検者は、ディスプレイに指先を当て腕を完全に伸ばし、腕を完全に伸ばした状態で背筋を伸ばした姿勢をとる。この状態においてディスプレイには、第43図に示すように遠点視力を測定する視標が表示される。被検者は、表示されている視標の中で、黒い3本線がはっきり視認できる1番小さいものを選択する。この被検者が選択した視標に割振られていた番号を遠点視力とする。この遠点視力から、視標の大きさおよび画面からの距離に基づいて遠点距離を算出する。
遠点視力の測定は、以下のような手順により行う。
遠点距離測定ステップ1:遠点距離測定画面が送信され、大きさの異なる縦3本の遠点距離測定視標が組み合された画面が表示される(第43図)。
遠点距離測定ステップ2:ここで、利用者は右手を指先まで完全に伸ばした状態でパソコン画面の縁に中指を触れる。このステップにおける利用者の状態を第44図に示す。
遠点距離測定ステップ3:次に、左手で左目を覆って、右目で遠点距離測定視標を見る。このステップにおける利用者の状態を第45図に示す。
遠点距離測定ステップ4:次に、その状態で背筋を伸ばして画面に表示されている遠点距離測定図を見る。このステップにおける利用者の状態を第46図に示す。
遠点距離測定ステップ5:ここで、利用者は画像の中に3本線があることがわかるかどうかを判定する。このステップにおける利用者の状態を第47図に示す。遠点距離測定ステップ5−1:どれも3本線に見えない場合は「はい」を、3本線があることがわかる場合(「ぼんやり」でOK)は「いいえ」をクリックする。尚、3本線に見えるか見えないかの判断は、たとえば第48図に示すようになる。
遠点距離測定ステップ5−2:ここで、利用者が「いいえ」と答えた場合は、遠点測定視標の小さい方から順に表示し、3本線があることがわかる画像が出るまで、チェックを繰り返す。
遠点距離測定ステップ6:続いて、画面の図が変わり、横3本の遠点距離測定視標が表示され、測定を指示する(図示せず)。
遠点距離測定ステップ7:同様に、左手で左目を覆ったまま右目で遠点距離測定視標を見て同じチェックをする。このステップにおける利用者の状態を第49図に示す。
これで、右目のチェックが終了する。
遠点距離測定ステップ8:次に、左目のチェックを行う。右目と同様に、左手を指先まで完全に伸ばした状態でパソコン画面の縁に中指を触れ、右手で右目を覆って左目で遠点距離測定視標を見て、右目チェックと同じ要領で左目チェックを行う。
尚、上記説明では、縦3本の視標と横3本の視標について遠点距離測定を行うものとして説明したが、これは前記乱視軸測定により選択された方位とそれと直交する方位について行うものであり、利用者が斜乱視の場合は、45度と135度の2方向について遠点距離測定を行うことになる。
また、上記説明では、最初にすべての大きさの視標を組合わせた画面を表示し、その後小さい視標から順に表示するものとして説明したが、これに限らず、最初から個別に視標を表示するようにしてもよく、複数の視標を組み合わせた画面から3本に見える最小の視標を選択してクリックさせるようにしてもよい。
次に、近点距離を測定する。近点距離測定は、被検者が画面を楽に見て画面にどこまで近づくことができるかを調べる。ぼけないで見える位置で顔を静止し、画面から眼までの距離を測定したものが近点距離である。
近点距離の測定は、次のような手順により行う。
利用者は、近点距離の測定を始める前に、新聞紙またはコピー用紙を細長く(幅3〜5cm程度)折り畳んでパソコン横に置く(第50図)。
近点距離測定ステップ1:近点距離測定画面が送信され、縦3本線の近点距離測定視標が画面に表示される(第51図)。
近点距離測定ステップ2:ここで、利用者は左手で左目を覆った状態で、画面にできるだけ顔を近づける(第52図(A))。その時、視標がボケていることを確認する。尚、近点距離測定視標がぼけて見えている状態を第52図(B)に示す。
近点距離測定ステップ3:次に、画面に表示されている3本線が判別できる位置まで顔を遠ざける(第53図(A))。非常に画面に近いところで判別できる場合があるので注意する。尚、近点距離測定視標がはっきりと見えている状態を第53図(B)に示す。
近点距離測定ステップ4:次に、判別できる位置で顔を止め、机にひじをつき、折り畳んだ紙をこめかみに添わせて構える。目尻あたりで紙をはさんで持つようにする。このステップにおける利用者の状態を第54図に示す。
近点距離測定ステップ5:次に、顔を動かさずに折り畳んだ紙の先端を画面上に垂直に立てる。このステップにおける利用者の状態を第55図に示す。
近点距離測定ステップ6:次に、右目の目尻横の位置がわかるように左手人さし指で紙の上に印を付ける。印をつけた後、顔は自由にしてもよい。このステップにおける状態を第56図に示す。
近点距離測定ステップ7:ここで、利用者は画面の左上の「メジャー」ボタンを押す(第57図)。
近点距離測定ステップ8:画面に現れた「メジャー」の0の位置に紙の端を合わせ、印までの距離を測る(第58図)。画面の「メジャー」は3本表示されるので、1本で足りない場合は1本目の終わりで紙に印を付け、残りの部分を2本目で測る。2本でも足りない場合は3本目でも同じ作業を繰り返す。
近点距離測定ステップ9:「次へ」ボタンをクリックすると、横3本線の近点距離測定視標が画面に表示される(第59図)。
近点距離測定ステップ10:左手で左目を覆いながら同じチェックを行う(第60図)。
近点距離測定ステップ11:長さが測れたら、右目のチェックが終了する。次に右手で右目を覆い同じ要領で左目のチェックを行う(図示せず)。
上記近点距離測定視標は、被検者の視力に関わらず細い線を使用する。
尚、上記説明では、縦3本の視標と横3本の視標について近点距離測定を行うものとして説明したが、これは前記乱視軸測定により選択された方位とそれと直交する方位について行うものであり、利用者が斜乱視の場合は、45度と135度の2方向について近点距離測定を行うことになる。
以上の作業でレンズ度数決定に必要な基礎データ測定を終了し、この基礎データに基づき眼球モデルを構築し、眼球モデルにおいて利用者の調節範囲内における眼球の光学機能を検知し、レンズ度数を選定する。尚、眼球光学モデルによる度数の選定については、後述のレンズ度数決定システムにおいて詳細に説明する。
次に、前記レンズ度数決定ステップを構成する第二の実施形態として、第61図に示すような検眼システムを用いて説明する。図のように、本検眼装置においても、被検者が使用するコンピュータ6001と、本願発明の検眼方法を提供する検眼サーバ6010とがインターネット6002を介して接続されている。
検眼サーバ6010は、インターネット6002を介して被検者コンピュータ1に検眼サービスを提供するためのサーバであって、WWWサーバ6020と、表示画面データベース6030と、ユーザインターフェイス手段6040と、被検者データベース6050と、遠点距離演算手段6060と、度数演算手段6070とを備える。
WWWサーバ6020は、被検者コンピュータ6001のアクセスを受付け、本願発明の検眼手順に従って検眼機能を提供するためのサーバであり、被検者コンピュータ6001が汎用のWebブラウザによってサービスを受けることができるようにHTTPサーバを使用している。
表示画面データベース6030は、本願発明の検眼手順に従ってWWWサーバ6020がアクセスしている被検者コンピュータに提示する画面データを保存する。ここでは、最初のガイダンス画面、被検者の属性入力画面、乱視軸判定画面、遠点視力測定画面、近点視力測定画面等がHTML形式で保存されている。
ユーザインターフェース手段6040は、WWWサーバ6020によって被検者コンピュータ6001に表示した画面において被検者が入力した情報に基づいて、被検者の属性を検眼情報データベース6050に記憶させたり、遠点距離演算手段6060を起動して遠点距離を演算したり、度数演算手段6070を起動して度数を演算したりする。
ユーザインタフェース手段6040は、WWWサーバ6020からCGIによって起動されるプロセスであり、また遠点距離演算手段6060と度数演算手段6070はユーザインターフェース手段6020から起動されるプロセスである。また、検眼情報データベース6050には被検者が入力した被検者属性データ、乱視軸判定チャートの選択方位データ(右目と左目)、視力測定チャートによる視認限界データ(右目と左目×2方向)、近点距離測定チャートによる近点距離データ(右目と左目×2方向)、演算された遠点距離(右目と左目×2方向)、演算された度数(右目と左目)等が保存される。
次に、かかる検眼システムによって検眼を行う手順の一例を第62図によって説明する。
まず、被検者の属性を取得するための被検者属性入力画面を表示し(S10)、被検者の入力した属性を取得して被検者データとして保存する(S12)。被検者の属性には、年齢・性別・身長等の個人情報と、メガネやコンタクトレンズを主に使用する場所に関する装着条件情報とがある。第63図は個人情報取得の際の表示画面例であり、第64図は装着条件取得の際の表示画面例である。ここで、装着条件の「読書」は近距離用を、「デスクワーク」「パソコン」は中距離用を、「車の運転」は遠距離用をそれぞれ想定している。
次に、乱視軸の判定をするための乱視軸判定チャートを表示し(S14)、被検者の選択した方位を取得して選択方位データに保存する(S16)。第65図は乱視軸判定の説明画面例であり、第66図は乱視軸判定画面例である。
図のように、乱視軸判定チャートは複数の平行線からなる45度・90度・135度・180度の4方向の線状群から構成される。被検者が乱視を有する場合は明瞭に見える方位とつぶれて薄く見える方位が生じるので、見え方の異なる方位のゾーンをクリックするよう促す。このように、見え方の異なる方位を選択させるようにしたのは、乱視は物体との距離によってよく見える方向が90度反転する可能性があるため、最初からよく見える方位とすると乱視軸の判断を誤る恐れがあるからである。従って、本願発明では、この段階では乱視軸の主軸は決定せず、後の遠点距離を求める段階で、2方向の視標を使って算出された2つの遠点距離を比較し、距離の長い方の方向を主軸と決定するようにしている。
乱視を有しない被検者は、原則として全方位が同じに見えるはずであるので、全部が同じに見える又はわからないをクリックした被検者は乱視を有しないものとして、以下の測定は水平、垂直の主軸についてのみ行う。
乱視軸判定チャートは、背景色は緑色、線の色は黒色とし、線幅は2画素、線間幅は3画素とした。背景色は、白色では輝度が明るすぎて目が縮瞳し、被写界深度が深くなって4つのゾーンの見え方の差が小さくなるという問題があるため、目にやさしいグリーン系統を用いて輝度を抑えたものである。線の色は、多数の被検者に対して行った検眼実験の結果から、見やすいとされた黒色とした。線幅は、特にディスプレイがCRTの場合は電子銃のフォーカスボケが発生することから、1画素では水平・垂直と斜めで見え方に差異が生じてしまうため、最低2画素とした。線間幅は、乱視判定においてチャートまでの距離が極端に短いと乱視軸が90度反転し、誤判定の可能性があるため、1mの距離から線間の隙間を認識できるように設定した。視力1.0(視角1分)は、1mの距離で切れ目0.29mmを識別する能力であり、14インチ液晶ディスプレイまたは17インチCRTを使用してほぼ1画素に相当する。従って、2画素で視力0.5程度に相当するが、検眼対象者はメガネを必要とする人であることから、更に間隔を広げ、3画素とした。
また、乱視軸の方位を4方向としたのは、4方向でも十分に実用的なメガネやコンタクトレンズの選定ができることと、被検者が独自で判断するものであるから、できる限り容易かつ誤りなく判定できる必要があるためである。
次に、被検者が選択した選択方位についての遠点視力を測定するため、選択方位の視力測定チャートを表示し(S18)、被検者が選択した視認限界を取得して、第1視認限界データに保存する(S20)。第67図は遠点視力測定の説明画面例であり、第68図は遠点視力測定画面例である。
図のように、視力測定チャートは一定線幅の3本の黒線と2本の白線からなる線状濃淡画像であり、視力に対応して線幅をI段階(10段階から20段階程度)に変えた複数のチャートを表示する。これに対し、被検者に3本に見える一番小さいマークをクリックするよう促す。このように、3本に見えるマークを選択させるようにしたので、ランドルト環のように単一の間隙を視認するのに対して被検者の判断が容易になっている。
尚、被検者にはコンピュータ画面から腕を伸ばした距離で遠点視力を測定するように促しているが、これは腕の長さは身長にほぼ比例するので、事前に入力された身長のデータによって被検者とチャートの距離が予測できるからである。
このように、被検者はコンピュータ画面との距離を測定したり、画面表示サイズを調整したりする必要がないので、簡便に測定できる。
同様に、被検者が選択した選択方位と直交する方位についての遠点視力を測定するため、選択方位と直交する方位の視力測定チャートを表示し(S22)、被検者が選択した視認限界を取得して、第2視認限界データに保存する(S24)。
次に、被検者が選択した方位の近点距離を測定するため、選択方位の近点距離測定チャートを表示し(S26)、被検者の入力した近点距離を第1近点距離データに保存する(S28)。第69図は近点距離測定の説明画面例であり、第70図は近点距離測定画面例である。
図のように、近点距離測定チャートは緑色の背景に設けられた3本の黒線からなる。画面のメッセージにより、被検者に対して、最初にできる限り画面に近づき、それから3本線がはっきり見える位置まで遠ざかり、画面から目までの距離を測定してcm単位で入力するように促す。
尚、近点距離測定チャートは、コンピュータ画面に接近して視認するため、被検者の視力に関係なく細い線を使用する。但し、年齢によって解像力の差があるため、若年層は細い線を、中高年層は若干太い線を使用する。
同様に、被検者が選択した選択方位と直交する方位についての近点距離を測定するため、選択方位の近点距離測定チャートを表示し(S30)、被検者の入力した近点距離を第2近点距離データに保存する(S32)。
次に、第1視認限界データと第1近点距離データと被検者限界データとから遠点距離を求め、第1遠点距離データに保存する(S34)。同様に、第2視認限界データと第2近点距離データと被検者限界データとから遠点距離を求め、第2遠点距離データに保存する(S36)。
遠点距離の演算は、あらかじめ多数の被検者で学習させたニューラルネットワークを用いて行う。第71図に遠点距離演算用ニューラルネットワークの構成例を示す。図のように、入力層はI段階の遠点視力(視力測定チャートから被検者が選択した視認限界)とJ段階の近点距離(近点距離測定チャートから被検者が測定した近点距離)とK段階の被検者属性(年齢・性別・身長)とを、出力層はN段階の遠点距離を有する。年齢・性別をパラメータとするのは、これによって被検者の目の調節力が変わるからである。また、身長は前述のように被検者と画面の距離を腕の長さで合わせるようにしており、腕の長さに比例する身長を代用パラメータとして用いたものである。学習方法としては、いわゆるバック・プロパゲーション法を用いたが、どのような方法を用いてもよい。
ここで、入力パラメータの近点距離と演算結果の遠点距離は、レンズ度数への換算を容易にするため、いずれもメートル単位で表した距離の逆数であるD(ディオプター)値に変換して取り扱う。
尚、ニューラルネットワークは、乱視軸の選択方位と選択方位に直交する方位の2つの独立する学習モデルを生成し、それぞれ個別に計算するようにした。
また、画面の見え方はディスプレイの種類によって変わるので、ディスプレイが液晶かCRTかによって独立に学習させたニューラルネットワークを用いて演算するようにした。
以上の乱視軸判定(S14)から遠点距離演算(S36)までを、右目と左目の両方について行い、得られた選択方位データと第1遠点距離データと第2遠点距離データとから度数(S:球面度数、C:乱視度数、AX:乱視軸)を演算する(S38)。
S34で求めた第1遠点距離をD1、その方位をAX1とし、S36で求めた第2遠点距離をD2、その方位をAX2とすると、
|D1|<|D2|のとき、S=D1、C=D2−D1、AX=AX1
|D2|<|D1|のとき、S=D2、C=D1−D2、AX=AX2
である。
上記実施形態では、単に目の度数を演算する場合について説明したが、求められた目の度数と被検者属性データの装着条件からレンズ度数を決定して、メガネまたはコンタクトレンズの注文を受付けるようにしてもよい。
この場合、被検者属性データの装着条件から、通常使用距離として近距離用(30cm)、中距離用(50〜60cm)、遠距離用(5m)のいずれかを判断し、それによって推奨されるレンズの度数を決定する。
例えば、遠距離用では遠点距離D1を5m(−0.2D)になるように矯正するとして、推奨レンズの度数はD1+0.2Dとなる。
また、度数演算手段によって演算された度数と被検者の属性から眼球光学モデルを生成する眼球光学モデル生成手段と、生成された眼球光学モデルを使用して裸眼の集光性能を確認する裸眼集光性能確認手段を設け、演算された度数の妥当性をチェックするようにしてもよい。これにより、更に精度良く度数を決定できる。
また、生成された眼球モデルを使用して推奨レンズによって矯正したときの集光性能を演算する矯正後集光性能演算手段を設け、推奨レンズを決定するようにしてもよい。これにより、更に被検者に適したレンズ度数を提示できるようになる。
更に、推奨レンズを装着したときの集光状態から所定の距離における鮮鋭度を演算する鮮鋭度演算手段と、演算された鮮鋭度における画像サンプルを生成する画像サンプル生成手段と、生成された画像サンプルをコンピュータ画面に表示する画像サンプル表示手段とを設け、被検者に推奨レンズを装着したときの画像サンプルを確認させるようにしてもよい。これにより、被検者はレンズを装着したときの見え方をチェックできるので、より適切なレンズ度数を決定できるようになる。
上記実施形態では、遠点距離演算手段は多数の被検者で学習させたニューラルネットワークを用いて遠点視力と近点距離と被検者の属性から遠点距離を求めるとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、ファジー推論を用いて遠点距離を演算するものとし、多数の被検者のデータでメンバーシップ関数や推論ルールを求めるようにしてもよい。また、多数の被検者のデータから遠点視力と遠点距離の関係を近点距離や被検者の属性をパラメータとした近似式を求め、それを用いて遠点距離を演算するようにしてもよく、本願発明の効果を奏する。
また、上記実施形態では、遠点距離の演算において近点距離を入力パラメータとしているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、近点距離を省略してもよい。この場合でも、近点距離は年齢に比例する特性を持っていることから、本願発明の効果を奏する。
上記実施形態では、乱視軸判定チャートは複数の平行線からなる4方向の線状群を一画面に表示して被検者に見え方の異なるゾーンを選択させるとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、4方向の線状群を順次個別に表示して見え方の異なる方位を選ばせるようにしてもよい。
上記実施形態では、視力測定チャートは大きさの異なる複数のチャートを一画面に並べて表示して被検者に視認限界を選択させるようにしたが、本願発明はこれに限定されるものではなく、各大きさのチャートを大きい方から順に表示して、視認できなくなったところを被検者に選択してもらうようにしてもよい。
上記実施形態では、視力測定チャートや近点距離測定チャートの表示は乱視軸判定の選択方位とそれに直交する方位の画像をコンピュータ画面に表示するが、これはあらかじめ4方向の画像を表示画面データベース6030に記録しておき、そのなかから選択して表示するようにしてもよく、特定の方位についての画像データを記憶させておき、他の方位については方位データに基づいてグラフィックツールによって画像を回転して生成するようにしてもよい。また、表示する画像の描画データを記憶させておき、方位データに基づいて描画ツールによって画像を描画して生成するようにしてもよい。このように、グラフィックツールによって画像を生成する方法を用いることで、画像表示の負荷は大きくなるが、任意の方位についての画像が生成できるので、乱視軸の方位を容易に拡張できる。
同様に、遠点視力測定における線幅を変えた複数のチャートの表示についても、特定の線幅の画像データを用いてグラフィックツールによって拡大・縮小したり、描画ツールによって描画して生成するようにしてもよい。
尚、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点測定チャートの画面表示サイズは、コンピュータの設定によって特に変えないとものして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、より精度良く度数を求めるために、コンピュータの画面設定を取得し、これに基づいて画面の表示サイズを変更するようにしてもよい。取得するコンピュータの画面設定としては、ディスプレイの種類とサイズ、コンピュータの解像度設定等である。これらは、コンピュータのプロパティ情報から自動取得するようにしてもよく、被検者属性データとして入力させるようにしてもよい。
この場合も、上記と同様に、グラフィックツールによって、画像を拡大・縮小するようにしてもよく、描画ツールによって描画するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点距離測定チャートの表示色は実験的に定めた最適な色を使用するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、表示色の選択機能を設けてもよい。
例えば、被検者に対してあらかじめ色サンプルを表示して被検者の好みの色を選択させるようにしてもよく、コンピュータの画面設定によって自動的にあらかじめ定めた色を選択して表示するようにしてもよい。
各チャートの表示色についても、あらかじめ複数の表示色パターンを記憶させておいて、その中から選択させるようにしてもよく、特定の表示色パターンの画像をグラフィックツールで色変換したり、描画ツールで描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
同様に、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点距離測定チャートの背景や線分の輝度は実験的に定めた最適な輝度を使用するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、表示輝度の選択機能を設けてもよい。
各チャートの表示輝度についても、あらかじめ複数の表示輝度パターンを記憶させておいて、その中から選択させるようにしてもよく、特定の表示輝度パターンの画像をグラフィックツールで輝度変換したり、描画ツールで描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
上記実施形態では、被検者の属性データは被検者が検眼サービスを受けるときに毎回取得するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、顧客データベースとしてあらかじめ記憶させておき、そのデータベースから必要なデータを抽出するようにしてもよいことは言うまでもない。このように、顧客データベースを備え、上記被検者属性データの他にこれまでに実施した検眼サービスの履歴や販売したメガネやコンタクトレンズのデータを蓄積しておくことで、被検者の特性に合わせたより正確な検眼が行え、より適切な矯正レンズを提示することが可能となる。
上記実施形態では、主として乱視を含む近視者を対象として検眼を行うものとして説明したが、本実施形態では遠点距離の他に近点距離を取得するようにしているので、これを基に遠視又は老眼を有する被検者の検眼を行うことも可能である。
すなわち、遠点距離が極めて長く近点距離も長い場合は、遠視または老眼の可能性があるが、ここで被検者の眼の調節力が判ればこれをもとに遠視と老視を区別することができる。
そこで、例えば被検者の年齢や性別を眼の調節力の代用パラメータとして用い、遠点距離と近点距離と被検者の属性(年齢・性別)を入力とし、乱視度数、遠視度数を出力とするニューラルネットワークを、遠視や老眼を有する多数の被検者によって学習させ、これを用いて遠視や老眼の度数を演算するようにしてもよい。
また、更にコンピュータ画面を用いて被検者の眼の調節力を積極的に測定し、これを基に遠視や老視の度数を判定するようにしてもよい。これには、例えばコンピュータ画面上で移動する画像の追跡能力を測定したり、被検者にコンピュータ画面との距離を早い周期で変化させるような運動をしてもらってそのときの視認力を測定する等の方法が考えられる。このようにすれば、乱視を含む近視者ばかりでなく、遠視や老眼を有する被検者にも対応でき、あらゆる人を対象とした検眼システムを構築できる。
この発明によれば、被検者の属性を取得するとともに、乱視軸判定チャートをコンピュータ画面に表示して被検者が選択した方位を取得し、取得された方向とそれに直交する方向について視力測定チャートを表示し、被検者の選択した視認限界を取得し、取得された視認限界と取得された被検者の属性から遠点距離を演算し、取得された方位と演算された2つの遠点距離から度数を演算するようにしたので、乱視を有する被検者にも対応でき、特別な設備を必要とすることなくコンピュータ画面を用いて簡便に検眼が行えるという効果がある。
次に、前記レンズ度数決定ステップの第三の実施形態として、第72図に示すレンズ度数決定システムを用いて説明する。このレンズ度数決定システムは、利用者の眼球の光学モデルを構築して矯正レンズの度数を決定するシステムであり、中央処理部8012を含み、中央処理部8012はデータ入力部8014、入力データ検査部8016、遠点距離演算部8018、スタート眼球光学モデル決定部8020、眼球モデル集光性能算出部8022、モデル妥当性検証部8024、眼球光学諸元調節範囲確定部8026、眼球光学モデル決定部8028、視認映像生成部8030、鮮鋭度スコア生成部8032、表示部8036の動作を制御する。以下、中央制御部12が制御する各部の概要について説明を行う。
データ入力部8014は、眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正レンズを装着しようとする者の年令、矯正レンズの使用条件、乱視軸、遠点視力、近点距離を入力するためのものである。データ入力部8014には、キーボード、マウスやタッチパネルなどの人が直接データを入力する機器、またはモデムやLANカードなどを用いてネットワークを介してデータを受信可能に構成した機器とそれら機器の制御を行うプログラムにより構成される。
なお、この実施形態における遠点視力とは、一般に言われる視力1.5という度数ではなく、別の値のことを指す。以下、この遠点視力について詳述する。コンピュータなどのディスプレイに第73図に示すような視標が表示される。被検者は、ディスプレイに指先を当て腕を完全に伸ばす。被検者は、腕を完全に伸ばした状態で背筋を伸ばした姿勢をとる。この状態においてはディスプレイには、第73図の(a)から(c)に示すように、視力を計測する視標が大きいものから順に小さいものが次々と表示される。被検者は、表示されている視標の中で、黒い3本線がはっきり見える1番小さいものを選択する。この被検者が選択した視標に割振られていた番号を遠点視力とする。この遠点視力から遠点距離を算出することが可能である。
入力データ検査部8016は、データ入力部8014に入力されたデータの値より入力された値の整合性を検証するものである。入力データ検査部8016は、その内部に年令を軸として、乱視軸、遠点距離および近点距離のデータが相互に関連つけられた記憶された標準サンプルデータ8016aを多数蓄積している。入力データ検査部8016は、データ入力部8014に入力されたデータが、標準サンプルデータ16aと比較して、データの値が妥当な値であるかを判断する。
遠点距離演算部8018は、データ入力部8014に入力されたデータである遠点視力から遠点距離を算出するものである。遠点距離演算部8018は、その内部に年令、性別、身長、遠点視力、近点距離に関するデータが蓄積されている。遠点距離算出部18は、入力された年令、性別、身長、遠点視力、近点距離のデータに基づいて、それらのデータにもっとも適した最善の遠点距離の値を算出する。
スタート眼球光学モデル決定部8020は、被検者の年令および概算レンズ度数に基づきスタート眼球光学モデルを決定する。
以下、眼球光学モデルについて説明を行う。眼球光学モデルとは、第74図に示すように人の眼球の光線屈折要素をレンズとして数学・物理的数値モデルとして構築したものである。眼球光学モデルに組み入れられる眼球の光線屈折要素は、第74図に示すように、角膜、前房、水晶体、硝子体、網膜である。これら光線屈折要素の以下の光学諸元に基づいて、眼球光学モデルが構築される。
角膜:前面の曲率半径R3、厚み、屈折率、後面の曲率半径R4
前房:厚み、屈折率
水晶体:前面皮質の曲率半径(R5、R6、R7、R8、R9、R12)および厚み、角質の曲率半径(R13、R14、R15、R16、R13、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24)および厚み、後面皮質の曲率半径(R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33)および厚み、そしてそれぞれ屈折率
硝子体:屈折率、厚み
網膜:曲率半径R34
なお、上述した光学諸元は各個人の年齢や眼球の調節能力により異なるが、この実施形態においては、日本人を対象とした生体計測データの値を基準に標準パターンとして光学眼球モデルをあらかじめ構築しておく。例えば前房については、
前房深度:8〜15歳では3.66mm、16〜30歳では3.71mm、31〜51歳では3.51mm、51〜77歳では3.18mmである。
眼軸長:前房深度の加齢傾向とは逆の傾向を示す。
水晶体:屈折率分布の不等質性がある。表層屈折率は年令に無関係だが、水晶体核の屈折率は加齢とともに若干増加する。加齢による厚みを増す重量は、20〜39歳では174mg、40〜59歳では204mg、80〜99歳では266mgである。
なお、この実施形態においては、上述した値により眼球光学モデルを構築するように構成したが、文献データ等の値に基づいて眼球光学モデルを構築するように構成されてもよい。以下は眼球光学モデルを構築するのに適用可能な文献データの一例である。
(i)前房深度について
日本眼科学会誌 第62巻11号(1958)相沢克夫「前房深度に関する研究」によれば、前房深度と年令との関係において、
08〜15歳 3.66mm
16〜30歳 3.71
31〜51歳 3.51
51〜77歳 3.18
のような変化がある。すなわち前房深度は弱年期より身体の発育に平行して次第にその深度を増し、成年期において最も深くなり、その後は身体の退化現象と一致して順次浅くなって行く傾向があると述べている。
(ii)眼軸長について
日本眼科学会誌 第63巻7号(1959)佐藤勉他「近視の本態に関する研究その1」によれば、軽度の近視の場合、眼軸長は近視度が強くなると共に次第に値を増し、両者の間に見事な相関があることを示していると述べている。
(iii)水晶体の重量について
書名 The eye,出版者 New York;London:Academic Press,著者標目 Davson,Hugh,1909−,Graham,L.T.,Jr.によれば、水晶体の重量は、
20〜39歳 174mg
40〜59歳 204mg
80〜99歳 266mg
のように加齢と共に増加の一途をたどることが述べられている。
(iv)水晶体厚径について
新臨床眼科全書3A 市川宏ほか編 金原出版 1993によれば、水晶体厚径は、年令と共に増加すると述べている。
上述した値を適用して予め構築した眼球光学モデルは、スタート眼球光学モデル決定部8020で決定されるスタート眼球光学モデルとして用いられる。スタート眼球光学モデルは、年令および概算レンズ度数が同じ値である場合に大体共通した眼球の特性を有することに着目して、縦軸に年令区分、横軸に概算レンズ度数区分を設け、それぞれの区分の中央値における眼球光学モデルをあらかじめ構築する。縦軸をM区分、横軸をN区分とするとM×N個のスタート眼球モデルが構築される。すなわち、縦軸を年齢区分(たとえば20才までは5歳きざみ、20才以上は10歳刻み)、横軸を概算レンズ度数(たとえば1.0D刻み)とした表において、各区分の中央値の組合せ(たとえば35歳で必要補正量が−2.5Dのレンズ度数)におけるスタート眼球モデルをあらかじめ構築する。なお、この実施形態においては、M×N個の眼球光学モデルをスタート眼球光学モデルとして構築し、スタート眼球光学モデル決定部8020がその中から最も近い値の眼球光学モデルをスタート眼球光学モデルとして適用したが、これに限らず、構築されている眼球光学モデルの値から、計測した年令、概算レンズ度数から光線屈折要素の最も適した値に基づいて、スタート眼球光学モデルを構築するように構成されてもよい。
スタート眼球光学モデル決定部8020で決定されたスタート眼球光学モデルは、その人固有の眼球モデルを構築するための光学系自動設計処理を行うにあたり、後述する眼球光学モデル決定部8028での初期値として使用される。このスタート眼球モデルは、年令、概算レンズ度数によらない単独のスタート眼球モデルを使用した光学系自動設計処理に比べると、自動設計処理の収束が早く、処理速度を短縮することが可能である。また、解(集光状態が最高となるような光学諸元)の信頼性が高い。
眼球モデル集光性能算出部8022は、被検者の裸眼状態または矯正レンズを着用したときの、眼球光学モデルの集光性能を算出する。集光状態を算出する眼球の状態としては、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内での状態、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内での状態、または、近点と遠点とは離隔した状態である。
モデル妥当性検証部8024は、眼球モデル集光性能算出部8022により算出された集光性能に基づいて、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する。
眼球光学諸元調節範囲確定部8026は、入力された近点距離および算出された遠点距離から調節中点における眼球の調節範囲を確定する。さらに、眼球光学諸元調節範囲確定部8026は、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを生成するように構成されている。
眼球光学モデル決定部8028は、被検者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における被検者の眼球における集光状態が最適となるようスタート眼球モデルの光学諸元の値を調整し、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定するように構成されている。
視認映像生成部8030は、矯正レンズにより矯正を行う前および/または矯正を行った後における被検者の視認映像を、眼球モデル集光性能算出部が算出した眼球光学モデルの集光性能の結果に基づいて生成する。
鮮鋭度スコア生成部8032は、矯正レンズにより矯正を行う前および/または矯正を行った後における、被検者の視認の鮮鋭度合を、数値的の表した鮮鋭度スコアを導き出す。鮮鋭度スコアとは、任意の数値により視認する映像の鮮明度合いを示すものであり、例えば、その数値が高いほど画像が鮮明に視認できていることを表すように算出する。
レンズ度数選定部8034は、被検者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定する。
表示部8036は、矯正レンズ決定サーバ8010の動作状況を確認したり、被検者が入力したデータや算出したデータの値を確認するための表示装置である。表示部8036としては、コンピュータに接続されているディスプレイや、データ入力部8014を介して矯正レンズ決定サーバ8010に接続されたコンピュータのディスプレイが適用される。
次に、本発明の動作について第75図により説明する。
(1)データ入力部8014により、被験者の性別、年令、乱視軸、近点距離、遠点視力および矯正用レンズの使用条件(読書、デスクワーク、車の運転等)が入力される。
(2)入力されたデータが入力データ検査部8016により検証される。
(3)遠点距離演算部8018により、遠点視力から遠点距離が算出される。
(4)年令的な調節範囲の関係表を用いて、仮定の年令において、その年令相応の平均的な調節範囲を持つとして、調節範囲の上限、下限における眼球屈折度を導き出し、それより近点距離、遠点距離の補正を行う。
(5)近点距離および遠点距離から被検者の眼の調節範囲の中点を求め、さらに、概算レンズ度数を算出する。
(6)年令、概算レンズ度数の値からスタート眼球光学モデル決定部8020によりスタート眼球モデルを決定する。
(7)決定したスタート眼球モデルを使用して、眼球モデル集光性能算出部8022により集光性能を算出し、眼球光学モデル決定部8028により目の調節機能の中位状態における最終的な眼球光学モデルを決定する。具体的には、眼球モデル集光性能算出部8022により調節中点状態における眼球光学モデルに光線を入射させて、その光線の網膜上への集光性能を算出し、最良の集光状態となるように光学系自動設計処理を行い、眼球光学モデル決定部8028により光学諸元を変化させ、最適の解(光学諸元)を決定する。この調節中点における眼球光学モデルの構築は、光学系自動設計計算によりスタート眼球モデルから出発して、集光状態が最適となるよう人の眼球の光学諸元を自動的に決定するものである。
ここにおける光学系自動設計計算とは、レンズ自動設計プログラムを使用した光線追跡による光学諸元の自動決定プロセスをいう。これらの手法の代表例として、減衰最小二乗法(Dumpt Least Square Method)がある。
最終的な性能条件(この実施形態は、調節中点状態において、無限に小さい点物体から眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させた場合を算出して、光線の屈曲変化を追跡し、網膜上の一点に光線が結像する状態)を満足するように、眼球光学モデルの光学諸元の値を少しずつ変化(屈折率は変えないで、曲率半径と面間隔を変化させる。非球面の場合は、基準球面の曲率半径、非球面係数を変化させる)させながら、網膜上の到達点の位置ずれ量の自乗和を極小にする。これは、後述する「調節中点におけるその人の眼球モデル構築処理」と同じである。
(8)次に、モデル妥当性検証部8024によって、調節限界(近点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする。この妥当性チェックは、人の眼球が有している調節力の分だけ眼球屈折度をアップ(UP)させ、光学系自動設計計算により、集光状態が良いことを確認するものである。
ここにおいて、調節力分だけ眼球屈折度をアップ(UP)とは、次のようなことをいう。遠点距離が1m(−1.0D)、近点距離が25cm(−4.0D)とすると、調節中点位置は40cm(−2.5D)となり、近点側では、調節中点位置にくらべ、−1.5Dの補正量に相当する眼球屈折度UPが必要となる。この−1.5D相当の眼球屈折度の増強となるよう、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、近点距離25cmの位置にある無限に小さい点物体から、眼球モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させ、光線追跡を行い、網膜上の一点に結像する状態にするよう、光学諸元を変化させて光学系自動設計を実行する。
その結果、一点に集光したと見なせる状態になれば、調節限界における光学モデルのシミュレーションが成功したとし、調節中点におけるその人の眼球モデルが妥当であったと判断する。
(9)モデル妥当性検証部8024によって、調節限界(遠点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする。この妥当性チェックは、人の眼球が有している調節力の分だけ眼球屈折度をダウン(DOWN)させ、光学系自動設計計算により、集光状態が良いことを確認するものである。
ここにおいて、調節力分だけ眼球屈折度をダウン(DOWN)とは、次のようなことをいう。
遠点距離が1m(−1.0D)、近点距離が25cm(−4.0D)とすると、調節中点位置は40cm(−2.5D)となり、遠点側では、調節中点位置にくらべ、+1.5Dの補正量に相当する眼球屈折度ダウン(DOWN)が必要となる。この+1.5D相当の眼球屈折度の減少となるよう、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、遠点距離1mの位置にある無限に小さい点物体から、眼球モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させ、光線追跡を行い、網膜上の一点に結像する状態にするよう、光学諸元を変化させて光学系自動設計を実行する。
その結果、一点に集光したと見なせる状態になれば、調節限界における光学モデルのシミュレーションが成功したとし、調節中点におけるその人の眼球モデルが妥当であったと判断する。
(10)モデル妥当性検証部8024によって、近点側および遠点側の調節限界外、すなわち眼球の調節範囲外における眼球モデルの妥当性をチェックをする。
(11)眼球光学諸元調節範囲確定部8026によって、調節中点位置における眼球モデルについて眼球の光学諸元の調節範囲の確定を行う。
(12)眼球光学諸元調節範囲確定部8026によって、決定された眼球光学モデルのイメージ、例えば第74図に示すような眼球断面図を生成し、その眼球光学モデルについての説明もあわせて表示するようにしてもよい。
(13)眼球モデル集光性能算出部8022によって、被検者の裸眼状態における3つの距離における調節を伴う集光性能を算出する。
調節中点位置における眼球モデル、光学諸元の調節範囲の確定は、次のようになる。
モデル妥当性検証部8024によって調節限界(近点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理およびモデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理の検証により、調節中点におけるその人の眼球モデル構築処理結果の調節中点位置における眼球モデルを妥当と判断し、その眼球モデルを、次に述べる裸眼状態での3つの距離における調節を伴う集光性能算出処理および矯正後の3つの距離における調節を伴う集光性能算出処理で使用する。3つの距離とは、見え方が大きく変わる可能性のある3距離を選ぶ。たとえば、0.3m(読書)、0.5〜0.6m(デスクワーク)、5m(車の運転)である。調節限界における光学諸元の変化範囲(特に水晶体が薄くなったり、厚くなったりする時の水晶体厚さ、前面皮質の曲率半径、後面皮質の曲率半径の変化範囲)も、モデル妥当性検証部8024によって調節限界(近点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理およびモデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理により決定したことになるこれらが確定すると、物体距離に応じた眼の調節をシミュレーションできる。モデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球モデルの妥当性をチェックする処理と同様に、物体の距離に応じた、調節中点位置からの眼球屈折度アップ(UP)あるいはダウン(DOWN)量を求め、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、光学系自動設計を実行する。
このようにして求められた光学諸元は、仮想的に眼球がピント調節を行ったときの眼の状態を表している。
これ以上、集光状態が良くならないという状態まで繰り返し計算を行い、最終的な光学諸元を、物体距離におけるベストの集光状態とする。
集光性能を評価するには、ある距離にある無限に小さい点物体から、眼球モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、数百本程度の光線を均一に分散させて入光させ、光線追跡を行い、網膜上のどの場所に結像するかを計算する。ぼけの度合いを評価するには、網膜上の点像の強度分布の2次元フーリエ変換を行い、空間周波数特性(OTF)と呼ばれる像評価を行う。
(14)眼球モデル集光性能算出部8022によって、矯正用レンズにより矯正を行った光学モデルについて上述した3つの距離における調節を伴う集光性能を算出し検証する。
すなわち、眼球光学モデルの前に実際の眼鏡レンズ(レンズ前面の曲率半径、後面の曲率半径、硝材屈折率が既知のレンズ)を置き、裸眼状態における集光性能算出処理と同様の計算を行う。
概算レンズ度数と装用条件から、適合する仮想レンズを決定し、その眼鏡・コンタクトレンズを装用した状態における集光性能に関する光学シミュレーションを行う。
さらに、3つの距離における鮮鋭度スコアのバランスが悪い場合は、レンズの度数を少し変化させて、再度光学シミュレーションを行う。
(15)鮮鋭度スコア生成部8032によって、調節力の範囲内で眼の光学諸元を変化させて、集光性能が最適となる状態を作り出し、そのときの鮮鋭度スコアを算出する。第76図に、鮮鋭度スコアと見え方の関係を例示する。鮮鋭度スコアは、眼球モデル集光性能算出部8022が算出した集光状態の結果に基づいて算出する。
ある距離にある無限に小さい点物体から、眼球モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、数百本程度の光線を均一に分散させて入光させ、光線追跡を行い、網膜上のどの場所に結像するかを計算する。その点像の強度分布の2次元フーリエ変換を空間周波数特性(OTF)と言う。網膜上で強度分布がどうなるかを調べれば、ぼけの度合いを評価できる。空間周波数とは縞模様の細かさを表す値であり、単位長あたりの縞の本数で定義される。
視覚系の場合は、視角1度あたりの縞の本数で表す。たとえば縞の間隔をw(degree)とすればu=1/w(cycles/deg)となる。
ぼけ判定に用いるw値を網膜の分解能から決定し、その時のu値から鮮鋭度スコアを算出する。
(16)視認映像生成部8030によって、推奨レンズにおいて矯正後および矯正前の3つの距離における視認映像を生成して表示する(第77図)。これにより、利用者は裸眼状態と推奨レンズを装用した場合における見え方を画面で確認することができる。
視認映像の生成は、高精細に撮影された3つの距離の画像を用意し、この画像に対し画素単位でN×Nサイズの平滑化フィルタ処理を行い、画像をぼかすことにより行う。ぼけの具合はN値(最低3)、フィルタ重み付け、処理回数により調整できる。フィルタ処理後の画像について、空間周波数解析によりボケ具合を判定し、求めた鮮鋭度スコアとの対応付けを行う。いくつかの鮮鋭度スコアに対応する画像を準備する。また、準備された画像に特定平滑化フィルタ処理を一回かけた画像に対応するスコア値を算出しておく。
鮮鋭度スコアの算出でスコア値が求まれば、そのスコア値により、対応する画像を直接呼び出して表示するか、フィルタ処理を行い、結果画像をその鮮鋭度スコアに一致させて表示する。
(17)さらに、視認映像生成部8030によって、レンズを変更して、3距離における見え方画像を提示し、比較をできるようにする。すなわち、レンズ度数を変更して、眼鏡・コンタクトレンズを装用した状態の光学シミュレーションを行う。そして、眼球の調節範囲内で光学諸元を変化させて、集光性能が最適となる状態を作り出し、そのときの鮮鋭度スコアを算出する。
また、レンズ度数選定部8034により特定のレンズ度数における鮮鋭度スコアが既に計算済みの場合は、そのデータを使用するように構成してもよい。
(18)被検者は、表示された視認画像および鮮鋭度スコアから自分が希望する矯正強度の矯正レンズを視覚的に判断し、使用する矯正レンズを示す番号、符号等をデータ入力部8014により選択する。
以上のように、本レンズ度数決定システムでは、利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段とを備えるので、各人の眼にあった眼鏡・コンタクトレンズの度数を決定することができる。
上記説明では、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムと、メガネ装用仮想体験システムと、遠隔自覚視力測定システムとは、それぞれ独立したメガネオーダー販売センターであるかのように説明したが、実際には単一のコンピュータやサーバ上に統合して、データベースの共通化を図るか、または複数のコンピュータやサーバによる分散処理を行って、利用者情報、フレーム選択情報、視力測定情報等をLAN等を介して相互に通信するようにして統合している。これにより、利用者は単一の利用者クライアントから単一のサイトにアクセスすることで、一連の眼鏡・コンタクトレンズのオーダー販売サービスを受けることができる。
尚、ここでレンズ度数の決定は、レンズ度数決定システムによって得られるレンズ度数を用いてもよく、検眼システムによって得られるレンズ度数を用いてもよい。
そして、かかる遠隔自覚視力測定システムやレンズ度数決定システムや検眼システムによるレンズ度数決定機能と、前述のメガネ装用仮想体験システムによるフレーム選択機能とを統合した眼鏡・コンタクトレンズ選定システムにより、遠隔で各人の眼にあったレンズを選定できるばかりでなく、各人の装用状態を視覚的に確認してフレーム等を選択できるので、利用者が安心してインターネット等のネットワークを介して眼鏡・コンタクトレンズのオーダー販売サービスを受けることができる。
上記実施形態では、利用者クライアントとメガネオーダー販売センターと外部決済処理機関とは、インターネットにより接続されるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、一部もしくは全部が特定の組織内のLANやWAN等を介して接続されるものであってもよいことは言うまでもない。また、必ずしもネットワークを介して被検者に検眼サービスを提供する場合に限らず、店舗等において本願発明の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムを設置し、スタンドアローンでメガネのオーダー販売サービスを提供するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムについて説明したが、本願発明の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの各手段をステップとして備える眼鏡・コンタクトレンズ選定方法によれば、ハードウェア構成の如何を問わず本願発明の効果を奏する。
また、本願発明の方法は汎用のパーソナルコンピュータによっても実現できるので、本願発明の方法をパーソナルコンピュータで実行可能なように記述したコンピュータプログラムを利用者に供給して眼鏡・コンタクトレンズの選定サービスを提供するものであってもよい。尚、コンピュータプログラムは、CD−ROM等の記録媒体によって提供されるものであってもよく、インターネット等を介してダウンロードすることによって利用者に提供されるものであってもよいことは言うまでもない。
産業上の利用可能性
上述したように、この発明によれば、各人の眼にあった眼鏡・コンタクトレンズを確実に且つ容易に選定することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムのシステム構成例を示す図である。
第2図は、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを購入する際の処理の概要を示す図である。
第3図は、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの処理において、利用者を区分する処理の概要を示す図である。
第4図は、利用者が既に顧客であった場合の処理の概要を示す図である。
第5図は、利用者が顧客でなかったが処方箋があった場合の処理の概要を示す図である。
第6図は、利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって、老眼鏡対象者でない場合の処理の概要を示す図である。
第7図は、利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって、老眼の自覚症状のない場合の処理の概要を示す図である。
第8図は、利用者が既成の老眼鏡を希望する場合の処理の概要を示す図である。
第9図は、レンズ選択基準データベースである。
第10図は、レンズデータベースである。
第11図は、サイトトップ画面の図解図である。
第12図は、パソコン画面情報の収集画面の図解図である。
第13図は、サービス選択画面の図解図である。
第14図は、フレーム選びトップ画面の図解図である。
第15図は、PD測定画面の図解図である。
第16図は、顔画像選択画面の図解図である。
第17図は、自画像アップロード画面の図解図である。
第18図は、フレーム選び体験画面の図解図である。
第19図は、色違い表示画面の図解図である。
第20図は、キープの中身確認画面の図解図である。
第21図は、購入フレーム確認画面の図解図である。
第22図は、メガネを作る度数選択画面の図解図である。
第23図は、処方せんデータ入力画面の図解図である。
第24図は、レンズの厚み比較画面の図解図である。
第25図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備えるレンズ装用仮想体験システムの構成例を示す図である。
第26図は、利用者情報に関するデータベースの例を示す図である。
第27図は、フレーム選択情報入力手段より入力されるデータの例を示す図である。
第28図は、フレームの機能構造に関するデータベース構造の例を示す図である。
第29図は、フレームの装飾構造に関するデータベース構造の例を示す図である。
第30図は、顔画像の側面における測定方法を示す図解図である。
第31図は、顔画像の正面における測定方法を示す図解図である。
第32図は、フレームの調整方法を示す図解図である。
第33図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備える遠隔自覚視力測定システムの構成例を示す図である。
第34図は、レンズ度数決定の画面フロー図(その1)である。
第35図は、レンズ度数決定の画面フロー図(その2)である。
第36図は、パソコン画面情報収集画面の図解図である。
第37図は、利用者情報入力画面の図解図である。
第38図は、装用条件入力画面の図解図である。
第39図は、乱視軸測定ステップ1において表示されるガイダンス画面の図解図である。
第40図は、乱視軸測定ステップ2において表示される乱視軸判定チャートの図解図である。
第41図は、乱視軸測定ステップ3における利用者の状態を示す図である。
第42図は、乱視軸測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
第43図は、遠点距離測定ステップ1において表示される遠点距離測定視標の図解図である。
第44図は、遠点距離測定ステップ2における利用者の状態を示す図である。
第45図は、遠点距離測定ステップ3における利用者の状態を示す図である。
第46図は、遠点距離測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
第47図は、遠点距離測定ステップ5における利用者の状態を示す図である。
第48図は、遠点距離測定ステップ5−1における遠点距離測定視標の見え方の例を示す図である。
第49図は、遠点距離測定ステップ7における利用者の状態を示す図である。
第50図は、近点距離測定を行うのための事前準備状態を示す図である。
第51図は、近点距離測定ステップ1において表示される近点距離測定視標の図解図である。
第52図(A)は、近点距離測定ステップ2における利用者の状態を示す図であり、第52図(B)は、図がぼけて見えている状態を示す。
第53図(A)は、近点距離測定ステップ3における利用者の状態を示す図であり、第53図(B)は、図がはっきりと見えている状態を示す。
第54図は、近点距離測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
第55図は、近点距離測定ステップ5における利用者の状態を示す図である。
第56図は、近点距離測定ステップ6における利用者の状態を示す図である。
第57図は、近点距離測定ステップ7における利用者の状態を示す図である。
第58図は、近点距離測定ステップ8における利用者の状態を示す図である。
第59図は、近点距離測定ステップ9において表示される近点距離測定視標の図解図である。
第60図は、近点距離測定ステップ10における利用者の状態を示す図である。
第61図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備える検眼システムの構成例を示す図である。
第62図は、検眼システムの処理フローの例を示す図である。
第63図は、個人情報入力画面の表示例を示す図である。
第64図は、装着条件入力画面の表示例を示す図である。
第65図は、乱視軸判定の説明画面の表示例を示す図である。
第66図は、乱視軸判定画面の表示例を示す図である。
第67図は、遠点視力測定の説明画面の表示例を示す図である。
第68図は、遠点視力測定画面の表示例を示す図である。
第69図は、近点距離測定の説明画面の表示例を示す図である。
第70図は、近点距離測定画面の表示例を示す図である。
第71図は、遠点距離演算用ニューラルネットワークの構成例を示す図である。
第72図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備えるレンズ度数決定システムの構成例を示す図である。
第73図は、遠点視力を測定する視標を示す図解図であり、(a)は最も大きい視標であり、(b)は中ぐらいの大きさの視標であり、(c)は、最も小さい視標である。
第74図は、眼球光学モデルを示す図解図である。
第75図は、この発明にかかる矯正レンズ決定サーバの動作を示すフローチャート図である。
第76図は、鮮鋭度スコアと見え方の関係を例示した図である。
第77図は、矯正前後の視認映像を確認する画面を例示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、
人の眼の調節状態を模擬する眼球光学モデルにおいて、前記入力手段により入力された眼の状態に関する情報に基づいて、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、
前記決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、光学諸元の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、
利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの集光性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段と、
前記選定された眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成して表示する装用状態表示手段とを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項2】 前記入力手段は、利用者の乱視軸を測定する手段と、前記乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の遠点視力を測定する手段と、前記測定された遠点視力から利用者の遠点距離を推定する手段とを含む、請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項3】 前記眼球光学モデル決定手段は、利用者の年令と概算レンズ度数とを含む眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定するスタート眼球光学モデル決定手段を含む、請求項1または請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項4】 前記眼球光学モデル決定手段は、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように光学諸元を決定する手段を含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項5】 利用者の近点側および/または遠点側の調節限界における集光状態を確認し、眼球光学モデルの妥当性を検証する眼球光学モデル妥当性検証手段を備えた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項6】 削除
【請求項7】 前記決定された眼球光学モデルのイメージを生成して表示する眼球光学モデルイメージ生成手段を備えた、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項8】 前記決定された眼球光学モデルを用い、利用者の裸眼状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出する手段と、前記算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成する手段とを備えた、請求項1ないし請求項5および請求項7のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項9】 前記レンズ度数選定手段は、前記決定された眼球光学モデルを用い、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正された状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出する手段と、前記算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成する手段とを備えた、請求項1ないし請求項5、請求項7、請求項8のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項10】 前記集光性能を算出する手段は、視認映像の鮮鋭度合を示す鮮鋭度スコアを演算する手段を含み、
前記視認される映像を表示する手段は、前記演算された鮮鋭度スコアに基づいて視認映像を生成する、請求項8または請求項9に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項11】 削除
【請求項12】 前記装用状態表示手段は、利用者の画像を取得する画像取得手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を前記画像取得手段により取得された利用者の画像と合成する画像合成手段とを含む、請求項1ないし請求項5ならびに請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項13】 利用者の眼の状態に関する情報を入力するステップと、
人の眼の調節状態を模擬する眼球光学モデルにおいて、前記入力するステップにより入力された眼の状態に関する情報に基づいて、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定するステップと、
前記眼球光学モデルを決定するステップにより決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、光学諸元の調節範囲を確定するステップと、
利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの集光性能を検証し、レンズ度数を選定するステップと、
前記選定された眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップとを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項14】 前記入力するステップは、利用者の年令、装用条件を含む個人情報を入力するステップと、利用者の乱視軸を測定するステップと、前記乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の近点距離を測定するステップと、前記乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の遠点視力を測定するステップと、前記測定された遠点視力から利用者の遠点距離を推定するステップとを含む、請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項15】 前記眼球光学モデルを決定するステップは、前記入力された利用者の年令と概算レンズ度数とを含む眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定するステップを含む、請求項13または請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項16】 前記眼球光学モデルを決定するステップは、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように光学諸元を決定するステップを含む、請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項17】 利用者の近点側および/または遠点側の調節限界における集光状態を確認し、眼球光学モデルの妥当性を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項18】 削除
【請求項19】 前記決定された眼球光学モデルのイメージを生成して表示するステップを備えた、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項20】 前記決定された眼球光学モデルを用い、利用者の裸眼状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出するステップと、前記算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成するステップとを備えた、請求項13ないし請求項17および請求項19のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項21】 前記レンズ度数を選定するステップは、前記決定された眼球光学モデルを用い、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正された状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出するステップと、前記算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成するステップとを備えた、請求項13ないし請求項17、請求項19、請求項20のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項22】 前記集光性能を算出するステップは、視認映像の鮮鋭度合を示す鮮鋭度スコアを演算するステップを含み、
前記視認される映像を表示するステップは、前記演算された鮮鋭度スコアに基づいて視認映像を生成するステップを含む、請求項20または請求項21に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項23】 削除
【請求項24】 前記眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップは、利用者の画像を取得するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を前記取得された利用者の画像と合成するステップとを含む、請求項13ないし請求項17ならびに請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、眼鏡やコンタクトレンズを選定するシステムおよびその方法に関し、特に、コンピュータネットワーク上で各人にあった眼鏡やコンタクトレンズを選定することができる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の眼鏡レンズを選定する手段として、眼球模型を利用した方法がある。眼球模型としては、Gullstrandの模型眼、Le-Grandの模型眼がよく知られている。
この模型眼は、もっぱら眼鏡レンズの設計と評価用に用いられてきた。眼鏡レンズの設計の場合は、眼の光学モデルとして標準的なモデルを一つ準備すれば、標準的な眼の場合のいろいろな度数のレンズを設計することができる。それで済むのは、ある人の眼の構造がどうであれ、選べる眼鏡レンズの度数が0.25D毎に用意されているため、実際に掛けてみれば矯正に適する眼鏡レンズは必ず見つかるからである。つまり選択の自由度があるからである。
一方、現在、裸眼視力あるいは矯正後の視力の測定を行うには、眼科医に行って診療を受けることによって行われたり、あるいは眼鏡店に用意されている視力測定機器をもって視力の測定が行われている。
【0003】
近年、例えば、インターネットのようなネットワーク上で、仮想的な商店街が形成されているが、この仮想的な商店街に設けられた眼鏡店舗においてオンラインで裸眼視力及び矯正視力の測定をできるシステムは存在しない。
ところが、各人の眼にあった眼鏡レンズの度数を唯一決定しようとする場合、眼球模型のように眼の光学モデルを万人共通と考えたのでは光学計算の誤差が大きく、決定することができない。各人の眼の光学モデルを逐一構築することによってはじめて実現できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の模型眼をそのまま流用することの問題点は、次のようなことがある。
・従来の模型眼は、欧米人の測定値をもとにしたものであり、他の人種、たとえば、日本人の生体眼の実測値に近い模型を構築しようとする場合には、使うことができない。たとえば、角膜曲率半径の場合、欧米人と比して日本人のほうが曲率半径は小さい。
・測定値の平均値から一つのモデルを作成している。
文献によると前房深度は年令に応じて変化するというデータや、軽度の近視の場合、眼軸長は近視度と相関があるというデータがあり、明らかに各人の年令、近視度に応じた眼球モデルを構築する必要がある。
・水晶体の屈折率は不等質な分布をしているのに平均屈折率を使用している。水晶体の構造を2重構造にして単純化しているため、光線追跡結果の誤差が大きい。
【0005】
一方、医療機関や眼鏡店に行くには、時間や距離等から困難な場合に、インターネットを介して遠隔的に視力を測定することができるシステムの実現が待ち望まれている。
特に、現在かけている眼鏡あるいはコンタクトによっては従来と比較して物が見づらくなってきているような場合、眼鏡やコンタクトの買換えをする必要性があるかどうかを判断するために、遠隔的に裸眼視力あるいは矯正後の視力の測定を行うことが出来ると極めて便利である。
また、眼鏡やコンタクトレンズを選定したとき、利用者がその眼鏡やコンタクトレンズを装用した状態を確認できれば、より一層眼鏡やコンタクトレンズの選定が確実で且つ容易となる。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、遠隔的に各人の眼にあったレンズを選定でき、かつ装用状態を確認できる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、人の眼の調節状態を模擬する眼球光学モデルにおいて、前記入力手段により入力された眼の状態に関する情報に基づいて、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、前記決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、光学諸元の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの集光性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段と、選定された眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成して表示する装用状態表示手段とを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、入力手段が、利用者の乱視軸を測定する手段と、乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の遠点視力を測定する手段と、測定された遠点視力から利用者の遠点距離を推定する手段とを含む、請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項3に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル決定手段が、利用者の年令と概算レンズ度数とを含む眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定するスタート眼球光学モデル決定手段を含む、請求項1または請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項4に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル決定手段が、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように光学諸元を決定する手段を含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項5に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、利用者の近点側および/または遠点側の調節限界における集光状態を確認し、眼球光学モデルの妥当性を検証する眼球光学モデル妥当性検証手段を備えた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項7に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、決定された眼球光学モデルのイメージを生成して表示する眼球光学モデルイメージ生成手段を備えた、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項8に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、決定された眼球光学モデルを用い、利用者の裸眼状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出する手段と、算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成する手段とを備えた、請求項1ないし請求項5および請求項7のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項9に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、レンズ度数選定手段が、決定された眼球光学モデルを用い、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正された状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出する手段と、算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成する手段とを備えた、請求項1ないし請求項5、請求項7、請求項8のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項10に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、集光性能を算出する手段が、視認映像の鮮鋭度合を示す鮮鋭度スコアを演算する手段を含み、視認される映像を表示する手段は、演算された鮮鋭度スコアに基づいて視認映像を生成する、請求項8または請求項9に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項12に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、装用状態表示手段が、利用者の画像を取得する画像取得手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を画像取得手段により取得された利用者の画像と合成する画像合成手段とを含む、請求項1ないし請求項5ならびに請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、利用者の眼の状態に関する情報を入力するステップと、人の眼の調節状態を模擬する眼球光学モデルにおいて、入力するステップにより入力された眼の状態に関する情報に基づいて、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定するステップと、眼球光学モデルを決定するステップにより決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、光学諸元の調節範囲を確定するステップと、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの集光性能を検証し、レンズ度数を選定するステップと、選定された眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップとを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、入力するステップが、利用者の年令、装用条件を含む個人情報を入力するステップと、利用者の乱視軸を測定するステップと、乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の近点距離を測定するステップと、乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の遠点視力を測定するステップと、測定された遠点視力から利用者の遠点距離を推定するステップとを含む、請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項15に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルを決定するステップが、入力された利用者の年令と概算レンズ度数とを含む眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定するステップを含む、請求項13または請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項16に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルを決定するステップは、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように光学諸元を決定するステップを含む、請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項17に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、利用者の近点側および/または遠点側の調節限界における集光状態を確認し、眼球光学モデルの妥当性を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項19に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、決定された眼球光学モデルのイメージを生成して表示するステップを備えた、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項20に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、決定された眼球光学モデルを用い、利用者の裸眼状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出するステップと、算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成するステップとを備えた、請求項13ないし請求項17および請求項19のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項21に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、レンズ度数を選定するステップが、決定された眼球光学モデルを用い、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正された状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出するステップと、算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成するステップとを備えた、請求項13ないし請求項17、請求項19、請求項20のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項22に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、集光性能を算出するステップが、視認映像の鮮鋭度合を示す鮮鋭度スコアを演算するステップを含み、視認される映像を表示するステップは、演算された鮮鋭度スコアに基づいて視認映像を生成するステップを含む、請求項20または請求項21に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項24に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップは、利用者の画像を取得するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を取得された利用者の画像と合成するステップとを含む、請求項13ないし請求項17ならびに請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
【0008】
【発明の効果】
この発明によれば、各人の眼にあった眼鏡・コンタクトレンズを確実に且つ容易に選定することができる。
【0009】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
第1図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムのシステム構成例を示す図である。図において、1は利用者クライアント、2はメガネオーダー販売サービスセンター、3は外部決済処理機関である。これらはネットワークを介して物理的に接続されている。なお、以下の説明では、利用者クライアント1とメガネオーダー販売サービスセンター2と外部決済処理機関3とを接続するネットワークがインターネットであるものとして説明を行う。
【0011】
利用者クライアント1は、メガネ購入者がネットワークを介してオーダー販売を受ける際に利用される端末であり、例えば、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータが用いられる。利用者クライアント1は、利用者であるユーザとの間のインタフェースとなる入出力装置であり、情報を入力する入力装置としては通常のキーボードやマウスを使用するが、トラックボールやジョイスティックなどのポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチなどの専用入力装置を備えるようにしてもよい。また、画像表示装置としては通常のCRTディスプレイや液晶モニタを使用する。更に、本利用者クライアント1では、処方箋データを画像情報として取得するための画像入力装置を備えており、ここではデジタルカメラ11aやスキャナ11bが用いられるが、ビデオカメラやテレビカメラなど画像情報をデジタイズして入力できる装置であればどのようなものでも良い。また、利用者クライアント1は、メガネオーダー販売サービスセンター2にアクセスしてサービスを受けるためのインタフェースとしてWWWブラウザ12を備える。
【0012】
メガネオーダー販売サービスセンター2は、インターネットを介して接続される利用者クライアント1に対して、各利用者の視力や要望に合わせたメガネをオーダー販売するサービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器から構成され、インターネットを介して利用者クライアント1と接続される。メガネオーダー販売サービスセンター2は、電子ショップ情報処理手段21、表示情報生成手段22、メガネオーダー販売処理手段23、決済処理手段24、WWWサーバ/CGI25、レンズ選択手段26、フレーム選択手段27、レンズ度数決定手段28を備える。
【0013】
電子ショップ情報処理手段21は、入出力装置を介し、商品定義部211を用いて、メガネオーダー販売サービスセンター2で取り扱うメガネレンズ・フレーム等の商品データの定義を行う。ここで定義された商品データは、商品データ情報として、商品データベースに格納される。
【0014】
この実施の形態において、商品データ情報は、フレーム等の商品を陳列する商品棚の名称、メガネレンズ・フレーム等の商品番号、商品名、価格、商品の説明、そして商品管理情報などのテキストデータと、フレーム等の商品の画像データを含んでいる。メガネオーダー販売サービスセンター2は、また、電子カタログの作成者とのインタフェースとして入出力装置を備えるが、入出力装置は、カタログ作成者から商品定義に必要となる商品棚名、商品目、価格などのテキストデータ、あるいは、商品形状を表すようなイメージデータ等の商品情報の入力を受け付ける。また、利用者により購入された商品の受注情報として、商品番号、数量などの商品情報、商品の送付先情報、外部決済処理機関名、決済日、金額などの決済情報を含む情報の出力を行う。
【0015】
電子ショップ情報処理手段21には、ショップデータベース、商品データベース、バスケットデータベースを含む電子ショップ出店情報データベースが設けられる。ショップデータベースは、電子ショップを出店するための情報と、商品情報を表示するためのショップレイアウトを定義する情報を格納している。商品データベースは、定義された商品データ情報を格納する。また、バスケットデータベースは、利用者クライアント1 から購入を指示された商品の情報を蓄積するためのものである。電子ショップ情報処理手段21は、転送された商品データ情報を商品データベースに格納する機能を実現する。
【0016】
表示情報生成手段22は、利用者クライアント1からの要求に応じて、電子カタログなどの表示情報を生成する。表示情報生成手段22は、パラメータ解析手段221、ファイル検索手段222、及び表示データ生成手段223を含んで構成される。パラメータ解析手段221は、WWWサーバ/CGI25を介して利用者クライアント1から受け取った視力測定データ・フレーム選択情報等を解析し、視力測定データ・フレーム選択情報等に含まれるパラメータを抽出する。ファイル検索手段222は、パラメータ解析手段221により抽出されたパラメータに基づいて、電子ショップ情報処理手段21によって登録され記憶された各データベースを検索する。表示データ生成手段223は、ファイル検索手段222により検索されたデータをもとにWWWページとして表示可能な表示データを生成する。すなわち、表示データ生成手段223は、いわゆるWWWページジェネレータとしての機能を有する。
【0017】
メガネオーダー販売処理手段23は、利用者クライアント1により購入予定商品(メガネレンズ・フレーム等)が決定されたとき、表示情報生成手段22から顧客IDと購入予定の商品IDを受け取り、これらの情報をもとに、商品データベースから購入する商品の詳細情報を取得して、バスケットデータベース内の対象としている顧客用の顧客バスケットデータベースにその商品の情報を格納する。その後、対象顧客が購入予定の商品の一覧をバスケットデータベースから取得し、表示情報生成手段22に渡す。
【0018】
決済処理手段24は、利用者クライアント1により商品の購入が決定されたとき、表示情報生成手段22から顧客IDを受け取り、バスケットデータベースから利用者に対応する商品データ情報を取り出す。そして、取り出した商品データ情報に基づいて外部決済処理機関3に決済処理を依頼する。決済処理手段24は、外部決済処理機関3から決済処理が終了したことの通知を受け、メガネオーダー販売処理手段23・電子ショップ情報処理手段21に受注処理が完了したことを知らせるとともに、利用者クライアント1に購入処理を知らせる明細書データを作成し、表示情報生成手段22にそのデータを渡す。
【0019】
WWWサーバ/CGI25は、利用者クライアント1との間のインターフェースとして機能し、利用者クライアント1から表示要求情報を受け取り、また、利用者クライアント1に表示データを転送する。
フレーム選択手段27は、仮想店舗に陳列されているフレームから利用者の希望するフレームの選択を行うもので、ここでは後述するメガネ装用体験システムで説明するフレーム選択処理を行い、利用者が購入したいフレームを顔にかけた画像を確認しながら選択することができる。
レンズ度数決定手段28は、利用者の視力を遠隔で測定して矯正レンズの度数を決定するもので、ここでは後述の遠隔自覚視力測定システムで説明する眼球光学モデルを用いた視力測定を行い、矯正レンズの度数を精度良く決定する。
【0020】
レンズ選択手段26は、視力測定結果や予算、レンズの機能等を考慮して利用者に合ったレンズの選択を行う。
外部決済処理機関3では、メガネオーダー販売サービスセンター2の決済処理手段24から送られてくる依頼に基づき、メガネオーダー販売サービスセンター2に代わってオーダーされたメガネの代金の決済処理業務を行う。
【0021】
次に、利用者クライアント1およびメガネオーダー販売サービスセンター2の動作概要について以下説明する。
メガネオーダー販売サービスセンター2では、WWWサーバ/CGI25が利用者クライアント1より送られてきたメガネオーダーページ情報を受け取り、表示情報生成手段22を起動する。
表示情報生成手段22は起動されると、WWWサーバ/CGI25からメガネオーダーページ情報を受け取り、パラメータ解析手段221により受け取ったメガネオーダーページ情報の解析を行う。パラメータ解析手段221は、解析結果として、表示対象となる電子ショップを特定するためのショップID、電子カタログの背景画面の種類を特定するカタログテンプレート、表示すべき商品の商品ID、利用者を特定するための顧客IDなどの情報を出力する。パラメータ解析手段221により出力されたこれらのデータをもとに、ファイル検索手段222は、ショップデータベース、商品データベース、バスケットデータベースを検索し、利用者クライアント1から要求された表示画面を作成するのに必要なデータを取得する。
ファイル検索手段222によりデータが取得されると、次に、表示データ生成手段223に処理が移る。表示データ生成手段223は、まず、利用者クライアント1からの要求の種類を判別する。利用者クライアント1からの要求が、“購入予定商品の決定”、“商品購入”以外であれば、ファイル検索手段223により、検索された結果を用いて表示データ生成手段223で表示用のデータを生成する。
【0022】
利用者クライアント1からの要求の種類を判別するステップにおける判別の結果、利用者クライアント1からの要求の種類が“購入予定商品の決定”であった場合、すなわち、顧客が表示されている商品の購入予定を指示するべく「選択した商品を買物かごに入れる」の指示を行った場合、表示データ生成手段223はメガネオーダー販売処理手段23を起動する。
メガネオーダー販売処理手段23は、起動されると、表示データ生成手段223から顧客IDと顧客から購入予定を指示された商品の商品IDを受け取る。この商品IDをキー情報として商品データベースから該当する商品についての詳細な商品データ情報を取得する。そして、前記ステップで取得した商品データ情報をバスケットデータベース内にある表示データ生成手段223から受け取った顧客IDで識別される顧客の顧客バスケットデータベースに格納する。このとき、該当する顧客バスケットデータベースが存在しないときには、その顧客IDに対応した顧客バスケットデータベースを作成して商品データ情報を格納する。さらに、この顧客バスケットデータベースから顧客がこれまでに選択したすべての商品データ情報を取り出して表示データ生成手段223に渡す。この場合、表示データ生成手段223は、メガネオーダー販売処理手段23から受け取った商品データ情報から顧客が購入を予定している商品の一覧表示情報を作成し、利用者クライアント1に送る。このとき表示される情報をもとに、顧客は購入しようとしている商品の確認、購入予定商品の一部、あるいは全部の取消しを行うことが可能である。
【0023】
利用者クライアント1からの要求の種類を判別するステップにおける判別の結果、利用者クライアント1からの要求の種類が“商品の購入”であった場合、つまり、顧客がこれまで選択した商品の購入決定を指示した場合、表示データ生成手段223は、表示データの生成を行うのに先立って決済処理手段24を起動する。
決済処理手段24は、起動されると、表示データ生成手段223から顧客IDを受け取る。受け取った顧客IDをキーとして、決済処理手段24は、バスケットデータベースから顧客IDで特定される顧客の顧客バスケットデータベースに保持された購入商品の商品データ情報を検索する。検索の結果得られた商品データ情報に基づいて、外部決済処理機関3に決済処理を依頼する。外部決済処理機関3は、この依頼に応じ、メガネオーダー販売サービスセンター2に代わって決済処理業務を実行し、決済処理が完了するとそのことをメガネオーダー販売サービスセンター2に通知する。外部決済処理機関3で行われる決済処理については、従来と特に変わるところはないので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
外部決済処理機関3から決済処理が終了した旨の通知を受けると、決済処理手段24は、商品番号、受注数量など受注した商品に関する情報、商品の送り先を示す送付先情報、及び、決済処理を代行する外部決済処理機関3の名称、決済日、金額情報などからなる決済情報を含む受注情報をメガネオーダー販売サービスセンター2に転送する。メガネオーダー販売サービスセンター2では、入出力装置によりWWWサーバ/CGIから受け取った受注情報の表示が行われる。最後に決済処理手段24は、決済処理が終了したことを知らせる明細書データを作成して表示データ生成手段223に渡す。表示データ生成手段223は、受け取った明細書データを用いて、決済処理完了を知らせる表示画面を生成し、利用者クライアント1に転送する。
【0025】
次に、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムによりメガネをオーダー販売する方法について以下説明する。
第2図は、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを購入する際の処理の概要を示す図である。図のように、利用者がフレームの選択を希望する場合は、フレームの選択を行い、利用者が視力の測定を希望する場合は、裸眼視力及び矯正後視力の測定を行い、利用者がレンズの選択を希望する場合はレンズの選択を行い、代金決済処理からの代金前渡し又は内金の通知を受けて、選択されたフレームと選択されたレンズの情報と視力測定結果とに基づいて眼鏡・コンタクトレンズの加工・組立を行い、利用者に対して代金引き換えにより商品を引き渡す。尚、ここでは、フレームの選択、視力の測定、レンズの選択の順に処理するものとして説明したが、利用者の要求により必要とする処理のみを行えばよく、その順序は任意でよい。例えば、最初に視力の測定を行い、次にレンズを選択して、最後にフレームを選択するようにしてもよく、利用者がレンズ度数の変更のみを希望する場合は、視力の測定のみを行い、顧客データベースに基づいてレンズの選択やフレームの選択を行うようにしてもよく、利用者がフレームの変更のみを希望する場合は、フレームの選択のみを行い、顧客データベースに基づいて視力の決定やレンズの選択を行うようにしてもよい。
【0026】
第3図から第8図は、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの処理の概要を示す。第3図は最初に利用者を区分する処理の概要を示す図であり、第4図は利用者が既に顧客であった場合の処理の概要を示す図であり、第5図は利用者が顧客でなかったが処方箋があった場合の処理の概要を示す図であり、第6図は利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって老眼鏡対象者でない場合の処理の概要を示す図であり、第7図は利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって老眼の自覚症状のない場合の処理の概要を示す図であり、第8図は利用者が既成の老眼鏡を希望する場合の処理の概要を示す図である。
【0027】
まず、メガネオーダー販売サービスセンター2は、利用者クライアント1からの接続を受け付けると、氏名、生年月日、電話番号等の基本属性の入力を促す基本属性入力画面を送信する。利用者クライアント1では、基本属性入力画面を受信して表示し、利用者が入力した基本属性をメガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。メガネオーダー販売サービスセンター2は、入力された基本属性を受信し、メガネオーダー販売処理手段23により顧客データベースを検索する。
検索の結果、利用者が既にメガネを購入したことのある顧客であることが判明した場合には、第4図に進み、利用者クライアント1に対して利用者の意向を確認する問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「前回と同じレンズで、且つ前回と同じフレームでよい」を選択した場合は、顧客データベース(バスケットデータベース)に管理されている視力測定データ、フレーム情報データ及びレンズ情報データに基づき、レンズを作成する。利用者がその問合せ画面に対して、新しいレンズおよび/または新しいフレームにすることを希望した場合は、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその選択画面において、「前回と同じ度数を希望しない」を選択した場合は「レンズ度数決定ステップ」を実行し、「新しいフレームを選択する」を選択した場合は「フレーム選択ステップ」を実行し、「新しいレンズを選択する」を選択した場合は、「レンズ選択ステップ」を実行する。尚、ここでは「レンズ度数決定ステップ」においては、後述の「遠隔視力測定システム」を実施し、「フレーム選択ステップ」においては、利用者クライアント1に対してメガネ装用仮想体験をするか否かを問合せる問合せ画面を送信し、利用者が「メガネ装用体験をする」を選択したときは「メガネ装用仮想体験システム」を実施する。
【0028】
顧客でなかった場合は、眼科医が処方した処方箋を所持しているか否かを問合せる処方箋確認画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその処方箋確認画面に対して、「医師の処方箋を持っている」を選択した場合には、第5図に進み、利用者クライアント1に対して処方箋入力指示画面を送信する。利用者は、その画面の指示に従って、処方箋をスキャナーにより画像データとして入力するか、キーボードからテキストデータとして入力し、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。そして、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
また、利用者が「処方箋を持っていない」を選択した場合は、利用者の年齢が40ないし45才を超えているか否かを問合せる問合せ画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその問合せ画面に対して「40ないし45才以下である」を選択した場合は、第6図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
【0029】
利用者が「40ないし45才を超えている」を選択した場合には、更に利用者クライアント1に対して手元が見えにくいという自覚症状があるか否かを問合せる問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「自覚症状がない」を選択した場合は、第7図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。尚、この場合において、利用者の年齢から老眼の可能性があるので、更に「遠用・近用・遠近両用から選択するステップ」を実行する。
利用者が「自覚症状がある」を選択した場合は、メガネオーダー販売サービスセンター2は利用者を老眼と判断し、利用者クライアント1に対してオーダー老眼鏡を希望するか否かを問い合わせる問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「オーダー眼鏡を希望する」を選択した場合は、第7図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。尚、この場合において、更に「遠用・近用・遠近両用から選択するステップ」を実行する。
利用者が「既成の老眼鏡でよい」を選択した場合は、第8図に進み、利用者の年齢から判断される度数を決定し、「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアントに送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
【0030】
上記処理においては、最初に利用者の基本情報を入力するとして説明したが、あらかじめ基本情報を登録した利用者にユーザーIDやパスワードを発行し、利用者が利用者クライアント1からメガネオーダー販売サービスセンター2に接続する際に、ユーザーIDやパスワードを入力して、認証を行うようにしてもよい。この場合には、ユーザーIDによって、利用者が既にメガネを購入した顧客か否かを判断できる。
【0031】
次に、具体的に利用者クライアント1に表示される画面の例を用いて、どのようにサービスが提供されるかを説明する。
まず、メガネオーダー販売サービスセンター2は、最初にサイトトップ画面(第11図)を利用者クライアント1に送信し、引き続いてパソコン画面情報の収集画面(第12図)を利用者クライアント1に送信し、購入者にパソコン画面の解像度・大きさ等のディスプレイ(モニタ)情報の入力を促し、利用者クライアント1より入力されたディスプレイ情報を取得する。
次に、利用者は、メガネオーダー販売サービスセンター2より送信されたサービス選択画面(第13図)において、「遠隔自覚視力測定ステップ(世界初!自分でチェックできるメガネレンズ度数特定システム)」「フレーム選択ステップ(いろいろなメガネを掛け替える!フレーム試着室)」「レンズ選択ステップ(度なしレンズを利用する)」「処方箋利用ステップ(眼科でもらった処方箋データやメガネ店のカードのデータを利用する)」のいずれかをクリックして、利用者クライアントからメガネオーダー販売サービスセンター2に利用者の意向を送信する。
なお、遠隔自覚視力測定ステップ又は処方箋利用ステップにおいては、レンズの選択基準が明確になった段階において、レンズ選択ステップに移行することになる。
【0032】
次に、レンズ選択ステップについて説明する。
利用者が直近の視力データと同じでよいと判断し、「前回と同じレンズ選択」をクリックしたとき、利用者が医師の処方箋データに基づいてレンズを作成してよいと判断し、「処方箋によるレンズ選択」をクリックしたとき、あるいは利用者が既製の老眼鏡でよいと判断し、「既製老眼鏡でよい」をクリックしたときは、レンズ選択手段26は、それぞれのデータに基づいてレンズを選択する。
尚、直近の視力データがあるとき、あるいは医師の処方箋があるときでも、利用者が遠隔的に視力を測定することを希望するときは、視力決定手段28による遠隔視力測定ステップに進み、利用者は視力の測定を受けることができる。
メガネオーダー販売サービスセンター2においては、種々のレンズがデータベース(第9図および第10図)として登録されているが、レンズ選択手段26は、その中から直近の視力データ、医師の処方箋または遠隔視力測定システムにより測定されたデータに基づいて、利用者クライアント1から入力された利用者の希望に沿ったレンズ、またはメガネオーダー販売サービスセンター2が利用者に推奨するレンズを表示したレンズ選択画面を利用者クライアント1に送信する。また、利用者が既に顧客であった場合は、前回購入したレンズもレンズ選択画面に表示される。
レンズを選択する際の選択肢としては、メーカー名、型版、用途、レンズの機能(レンズの厚さ、レンズの軽さ、耐久性、UVカット)、カラー、価格、度数等があり、利用者はそれらの選択肢を指定してレンズを検索し、購入を希望するレンズを選択して、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。
【0033】
次に、フレーム選択ステップについて説明する。
例えば、既に顧客であった場合など、フレームの機能面および装飾面についてのデータが、メガネオーダー販売サービスセンター2において存在する場合は、ファッション、イメージ、デザイン等によってフレームを指定できる。
そこで、フレームの機能的なデータおよび装飾的なデータがメガネオーダー販売サービスセンター2にある場合のフレームの選択について、以下説明する。
【0034】
フレームは、メガネオーダー販売サービスセンター2においてデータベースとして登録されており、フレーム選択手段27は、その中から代表的なフレームを表示したフレーム選びトップ画面(第14図)を、利用者クライアント1に送信する。そして、利用者がファッション、素材、デザイン、予算等についてのアンケート式の問い合わせに対して回答することにより、フレーム選択手段27は、利用者の意向を表したデータに基づいて最適と判断されるフレームを選択し、利用者クライアント1にフレーム選択画面を送信する。
フレーム選択画面は、メガネフレームを性別/素材別に選別してカテゴリー分けをし、そのカテゴリーに含まれる代表的なフレーム画像を表示する。
既に顧客であった場合は、前回購入したフレームもフレーム選択画面に表示する。
フレームの選択肢としては、ファッション、素材、デザイン、価格等があり、利用者はその選択肢を見て希望条件を入力し、表示されたフレーム画像から購入を希望するフレームを選択し、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。
このとき、本システムでは、選択されたフレームを仮想的にモデルまたは自分の顔に装用する体験のできる装用状態表示手段を備えている。
【0035】
次に、この発明を構成する装用状態表示手段の一実施形態について、第25図に示すメガネ装用仮想体験システムを用いて説明する。
このメガネ装用仮想体験システムは、モデルまたは利用者の顔に種々の眼鏡フレームを装用させる仮想体験のできるシステムであり、利用者クライアント2001とメガネオーダー販売サービスセンター2002とから構成される。利用者クライアント2001とメガネオーダー販売サービスセンター2002はネットワークを介して物理的に接続されている。ここでは、そのネットワークがインターネットであるとして、以下の説明をする。
【0036】
利用者クライアント2001は、利用者がメガネの装用仮想体験をする際に使用する端末であり、例えば、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータにより構成される。メガネの装用状態を表示する画像表示装置としては、通常のCRTディスプレイや液晶モニタを使用するが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や投影式の表示装置等の専用画像表示装置を用意してもよい。また、フレームの選択情報等の情報を入力する入力装置としては、通常のキーボードやマウスを使用するが、トラックボール、ジョイスティックなどのポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチなどの専用入力装置を用意してもよい。さらに、本利用者クライアント2001は、利用者の顔画像を取得するための画像入力手段を備えており、ここではデジタルカメラを使用するが、ビデオカメラやスキャナーなど画像をデジタイズして入力できる装置であればどのようなものでも良い。また、利用者クライアント2001は、メガネオーダー販売サービスセンター2002にアクセスしてサービスを受けるためのインターフェースとしてWWWブラウザを備える。
メガネオーダー販売サービスセンター2002は、メガネ装用仮想体験サービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器によって構成され、インターネットを介して利用者クライアント2001と接続される。メガネオーダー販売サービスセンター2002は、利用者クライアント2001に対してサービスを提供するための窓口となるWWWサーバを備える。また、利用者の顔画像を含む利用者情報の登録を行う利用者情報登録手段2003、利用者がフレームを選択する際の選択情報の入力を行うフレーム選択情報入力手段2004、データベースに対するアクセス管理を行うデータベース管理手段2005、販売対象となるフレームの機能構造・装飾構造を登録するフレーム情報登録手段2060、販売対象となるフレームの画像を登録するフレーム画像登録手段2061、フレーム画像をモデル又は利用者の顔画像と合成する画像合成手段2007、フレーム選択情報に基づいて該当するフレームを選択するフレーム選択手段2008を備え、入力手段2006および出力手段2009を介してWWWサーバに接続されている。これらの各手段は必要に応じてWWWサーバのCGIによって起動され、利用者クライアント2001に対してメガネ装用仮想体験サービスを提供する。また、WWWサーバは、利用者クライアント2001が正規の利用者であることを認証する利用者認証機能を有する。
データベース管理手段2005が管理するデータベースには、第26図ないし第29図に示すような利用者情報データベース、フレームの選択情報データベース、フレーム機能構造データベース、フレーム装飾構造データベースを備える。
【0037】
次に、本システムによって利用者にメガネ装用仮想体験サービスを提供する際の処理手順について説明する。
まず最初に、サービス提供者はフレーム情報登録手段2060を起動して、キーボード等により販売するメガネの機能構造データおよび装飾構造データを入力してデータベースに登録する。
フレーム機能構造データは、第28図に示すように、サイズは実寸(44Φ〜62Φ)であり、特徴は、形状記憶合金、超軽量、超弾性、サングラス兼用、携帯用、その他であり、機能は、左右の瞳孔間の距離、左右の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅、左右の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅より決定されたテンプルの開き角、耳元より角膜頂点までの距離、テンプルの曲げる位置、角膜頂点と鼻もとまでの距離、角膜頂点と鼻もとまでの距離を基に決定される鼻のクリングス(鼻当て部)の開き角度である。フレーム装飾構造データは、第29図に示すように、玉型(シェイプ)はウェリントン、ロイド、オーバル、スクエア、トノー、ボストン、バタフライ、オート(ドロップ)である。素材は縁なし(ツーポイント、スリーポイント)、メタルナイロール、セルナイロール、メタル、セル、ブロライン、コンビ、その他である。ブランドは各種ブランドで、カラーは各種カラーである。
また、フレーム画像登録手段2061を起動して、スキャナー等により販売するメガネのフレーム画像を入力して、データベースに登録する。
【0038】
次に、利用者が利用者クライアント2001のWWWブラウザを用いてWWWサーバにアクセスすると、WWWサーバは利用者認証画面を送信する。利用者認証画面は、ユーザID・パスワード等の利用者認証情報の入力を促す画面であるが、既に前のステップで利用者の認証が完了していれば改めて行う必要はなく、省略される。
データベース管理手段2005は、入力された利用者認証情報について利用者情報データベースを検索して認証を行う。
利用者が初めてサービスの提供を受ける場合には、利用者情報登録手段2003が起動され、利用者クライアント2001に基本属性入力画面を送信される。利用者が画面に従って利用者の基本属性、例えば氏名、住所、生年月日、電話番号、目の調子(手元が見えにくい等)、メガネに対する要望等を入力すると、当該利用者にユーザIDとパスワードが発行され、受信された利用者の基本属性情報が利用者情報データベースに登録される。
利用者の認証が完了すると、フレーム選択情報入力手段2004が起動され、利用者がフレーム選択情報を入力するためのフレーム選択情報入力画面が利用者クライアント2001に送信される。フレーム選択情報入力画面は、利用者がフレームを選択するための基準(ファッション性、予算、機能、顔へのフィット感等)を入力する画面である。利用者は、フレーム選択情報入力画面にファッション性、予算、機能、顔へのフィット感等のフレーム選択基準を入力する。
【0039】
次に、利用者クライアント2001にPD測定画面(第15図)が送信され、レンズの中央に瞳孔を合わせるために、瞳孔の位置を測定する。
上記テキストデータによるフレーム選択基準の入力およびPD測定が終了すると、「誰の顔でフレームの掛け替えを行いますか?」と問いかける顔画像選択画面(第16図)が送信される。利用者が「モデルの顔を使う」を選択したときは、次のフレーム選び体験画面に進むが、「自分の顔写真を使う」を選んだときは、自画像アップロード画面(第17図)が送信される。
自画像アップロード画面においては、「あなたの写真データはどちらですか?」と問合せる画面が送信され、利用者に「デジカメ写真データを使う場合」か「スキャナで撮った写真データを使う場合」かを選択させる。利用者は、正面と側面(左右とも)の顔画像を画像入力装置によって、利用者クライアント2001に取りこみ、メガネオーダー販売サービスセンター2002に送信する。
【0040】
フレーム選択情報入力手段2004は、利用者クライアント2001から送られたフレーム選択情報のテキストデータ及び画像データ(利用者の顔の画像)を受信し、下記のようにしてフレーム選択情報データベースに必要な情報を登録する。
(1)利用者の側面画像(第30図)をもとにして、利用者の耳元より角膜頂点までの距離(L1)を左右別々に測定し、登録する。前記測定数値より、テンプル(つる)の曲げる位置を左右別々に決定し、登録する。
(2)利用者の側面画像をもとにして、利用者の目の角膜頂点と鼻もとまでの距離(L2)を測定して、左右の平均をとった数値を登録する。L2は通例12mmである。前記測定した数値をもとにして鼻のクリングス(鼻当て部)の開き角度を決定し、登録する。
(3)利用者の正面画像(第31図)をもとにして左右の目の瞳孔間の中心を基点として、耳元までの幅(L3)を左右別々に測定し、登録する。前記測定数値をもとにしてテンプルの開き角θを左右別々に決定し、登録する。
尚、左右の目の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅は、まず瞳孔間距離(PD)を求める。但し、瞳孔の位置が顔画像では明確に検知できないので、例えば左目の左側と右目の左側の距離(PD1)を求めることによって(PD)の近似値を求める。
また、目の瞳孔と耳元までの距離(L4)も、瞳孔の位置が顔画像では明確に検知できないので、左の耳元より左目の右側までの距離(La)と左目の左側までの距離(Lb)を求め、その平均により眼の瞳孔と耳元までの距離(L4)を求める。右眼側も同様にして求める。
メガネフレームの右テンプル及び左テンプルの開き角θは、次式より求めた分を補正してわん曲させる等により調整する。
PD/2+L4 −L5
L5は、メガネフレームのフロントサイズ(第32図参照)である。
(4)遠近両用レンズを指定された場合は、レンズ面の傾斜角度をさらに5度加入するために、鼻のクリングスの開き角度を、その加入数値により補正して決定し、登録する。
このように、フレーム選択情報入力手段2004により機能構造データ、装飾構造データ及び顔画像データが演算・作成され、顔画像データと共に、データベース管理手段2005によって登録される。
【0041】
メガネオーダー販売サービスセンター2002では、予めフレーム情報登録手段2060及びフレーム画像登録手段2061によって各フレームのフレーム機能構造、フレーム装飾構造及びフレーム画像が登録されており、利用者クライアント2001から送信されたフレームの選択情報によって適合するフレームが選択される。
フレーム選択手段2008によってフレーム選択情報に適合する数種類のフレームが選択されると、利用者クライアント2001にフレーム選び体験画面(第18図)が送信される。このフレーム選び体験画面では、「いろいろなフレームを掛け替えて、気に入ったものを取りあえずキープして下さい(4本まで)」と表示され、利用者に気に入ったフレームの選択を促す。これにより、利用者は選択したフレームの装用仮想体験を行うことができ、仮想体験の印象を見て気に入ったフレームを取りあえずキープすることができる。
フレーム選び体験画面においては、検索条件としては、「素材別and価格帯」「素材別andブランド別」「素材別and価格帯別andブランド別」等がある。素材別の選択肢としては、「セル」「メタル」「ツーポ」「ナイロ」「コンビ」「SG」等が表示され、その中から選択することができる。価格帯別の選択肢としては、「5000円〜9999円」「10000円〜14999円」「15000円〜19999円」「20000円〜30000円」等がプルダウン表示され、その中から選択することができる。ブランド別の選択肢として、各種ブランド名がプルダウン表示され、その中から選択することができる。なお、キープ可能な本数は、最大4本であり、それ以上は適宜選択し直し、不要なものはゴミ箱に削除する。
【0042】
選択されたフレームの画像は、画像合成手段2007によって利用者の顔画像に適合するようにリサイズされて合成され、メガネ装用画像が生成される。そして、生成されたメガネ装用画像がフレーム選び体験画面(第18図)の一部として、利用者クライアント2001に送信される。その際に、フレームの側面画像を同時に表示したり、更に、画像合成手段2007により利用者の側面画像と合成したメガネ装用画像を生成して表示するようにしてもよい。これにより、利用者はフレームの側面のフィット状況をも確認することができる。
また、フレーム選び体験画面において、「色違いを見る」が選択されると、色違い表示画面(第19図)が利用者クライアント2001に送信される。この色違い表示画面では、同一品番で異なるカラーのものがすべて表示され、色違いの商品を確認することができる。色違いフレームが8本に満たない場合は、空白欄として表示される。
利用者は、利用者クライアント2001に表示されるメガネ装用画像を見て、自己の希望と合致したフレームが選択されているか、そしてそのフレームを顔にかけたときに如何なる顔になるかを確認することができる。
ここで、希望していたフレームと違う画像が送信されてきている場合、あるいは別のフレームをかけた顔を見たい場合には、利用者は改めてフレーム選択情報を指定して、メガネオーダー販売サービスセンター2002に送信する。これにより、前記した方法と同様の方法により別のフレームが選択され、画像合成手段2007により利用者が選択したフレームの画像と顔画像を合成したメガネ装用画像が生成され、再び利用者クライアント2001に送信される。
【0043】
次に、フレーム選び体験画面(第18図)および色違い表示画面(第19図)においてキープされたフレームを利用者に確認してもらうために、キープの中身確認画面(第20図)が利用者クライアント2001に送信される。キープの中身確認画面では、「キープしているフレームを確認し、購入したいフレームを選びます」と表示され、フレームを選択すると同時に仮想体験ができる。
また、利用者が仮想体験した確認したフレームとカラーレンズを組み合わせて購入する場合は、所定箇所をクリックする。
【0044】
次に、利用者クライアント2001に購入フレーム確認画面(第21図)が送信され、利用者に購入するフレームおよびレンズの種類の確認を促す。購入フレーム確認画面においては、選択されたフレームを装用した画像、フレームおよびカラーレンズの種類が表示される。不用の場合は「キャンセルする」をクリックし、購入する場合は「購入する」をクリックする。
購入フレーム確認画面において「購入する」が選択されたときは、メガネを作る度数選択画面(第22図)が利用者クライアント2001に送信される。このメガネを作る度数選択画面では、「今回作るメガネに関して、どのレンズ度数データを使用しますか?」と問いかけられ、「このサイトで測ったレンズ度数データを利用する」「度なしレンズを利用する」「眼科でもらった処方せんデータやメガネ店のカードのデータを利用する」が選択肢として表示され、改めて、「レンズ度数決定ステップ」「レンズ選択ステップ」「処方箋利用ステップ」の選択を利用者に促す。
「眼科でもらった処方せんデータやメガネ店のカードのデータを利用する」が選択されると、「処方箋利用ステップ」に進み、利用者クライアント2001に処方箋データ入力画面(第23図)が送信される。この処方箋データ入力画面では、「レンズ度数を入力して下さい」と表示され、次のような入力が促される。
・PD(単位:mm)
・右目 S(度数データをプルダウン表示:+0.25,−0.25,−0.50,−0.75,−1.00等)、C、AX(乱視軸データをプルダウン表示:180°±22.5°,135±22.5°,90±22.5°,45±22.5°,0±22.5°等)
・左目 S(度数データをプルダウン表示:+0.25,−0.25,−0.50,−0.75,−1.00等)、C、AX(乱視軸データをプルダウン表示:180°±22.5°,135±22.5°,90±22.5°,45±22.5°,0±22.5°等)
【0045】
メガネを作る度数選択画面において「度なしレンズを利用する」が選択された場合、および処方箋データ入力画面において処方箋データが入力された場合は、利用者クライアント2001にレンズの厚み比較画面(第24図)が送信される。このレンズの厚み比較画面では、「どのレンズでメガネを作りますか?あなたのレンズ度数に合わせて、厚みを表示しています」と表示され、利用者にレンズの厚みを比較させるように、「標準装備レンズ」「薄型レンズ」「薄型で歪みがないレンズ」について、その断面形状とレンズ価格とが表示される。
このフレーム選びが終了すると、決済システムに進む。
【0046】
このように、メガネ装用仮想体験システムによれば、利用者が写真データにいろいろなメガネフレームを装用させることができ、しかも店頭に出向かなくとも、自宅でインターネット等のネットワークを介して種々の眼鏡フレームをかけ変えて自分の好みにあった最適なフレームを選択することができる。また、このシステムによれば、自分の既製のメガネやコンタクトレンズをかけたままで、すなわち適正な視力で、選択された眼鏡フレームを顔にかけた状態を確認できるので、自己に最適な眼鏡フレームを選択することができる。
上記実施形態では、装用状態表示手段として利用者の写真データにいろいろなメガネフレームを装用させることのできるメガネ装用仮想体験システムについて説明したが、同等の画像合成手段を用いて、メガネフレームだけでなくコンタクトレンズの装用仮想体験を行えるようにしてもよい。特に、カラーコンタクト等では、これを装用することで顔の印象が大きく変わるので、装用された画像を確認できるようにすることで利用者は安心してコンタクトレンズを選択できる。
【0047】
次に、レンズ度数決定ステップの第一の実施形態について、第33図に示すような遠隔自覚視力測定システムを用いて説明する。図に示すように、この遠隔自覚視力測定システムは、利用者クライアント4001とメガネオーダー販売サービスセンター4002から構成され、これらはネットワークで物理的に接続されている。なお、以下の説明では、利用者クライアント4001とメガネオーダー販売サービスセンター4002を接続するネットワークがインターネットであるものとして説明を行う。
利用者クライアント4001は、利用者が視力測定サービスを受ける際に利用する端末であり、前述の利用者クライアント1と同様に、インターネット接続機能を有するパーソナルコンピュータ等が使用される。
メガネオーダー販売サービスセンター4002は、視力測定サービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器によって構成され、インターネットを介して利用者クライアント4001と接続される。
【0048】
メガネオーダー販売サービスセンター4002は、利用者にサービスを提供する際の窓口となるWWWサーバ4030を備える。また、眼球光学モデル決定手段4204、モデル妥当性検証手段4206、眼球光学諸元調節範囲確定手段4208、眼球光学モデルイメージ生成手段4210、眼球光学モデル集光性能検証手段4212、視認映像生成手段4214、鮮鋭度スコア生成手段4216、レンズ度数選定手段4218、利用者情報管理手段4230およびデータベース管理手段4232を備え、入力手段4202および出力手段4220を介してWWWサーバ4030に接続されている。これらの各手段は必要に応じてWWWサーバのCGIによって起動され、利用者クライアント4001に対して視力測定サービスを提供する。また、WWWサーバは、利用者クライアント4001が正規の利用者であることを認証する利用者認証機能を有する。
入力手段4202は、被検者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離等の被検者の目の情報を入力する。
【0049】
眼球光学モデル決定手段4204は、被検者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定する。そして、眼球光学モデルを決定手段4204は、被検者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における被検者の眼球における集光状態が最適となるような眼球の光学諸元によって眼球光学モデルを決定する。
モデル妥当性検証手段4206は、さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する。
【0050】
眼球光学諸元調節範囲確定手段4208は、調節中点における眼球の調節範囲を確定するように構成され、さらに、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを表示する。
眼球光学モデル集光性能検証手段4212は、被検者の裸眼状態における、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置での、眼球光学モデルの集光状態を検証する。更に、眼球光学モデル集光性能検証手段4212は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態における、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置での、被検者の眼球光学モデルの集光状態を検証する。
視認映像生成手段4214は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、被検者の視認映像を生成する。
鮮鋭度スコア生成手段4216は、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、被検者の視認の鮮鋭度スコアを導き出す。
レンズ度数選定手段4218は、被検者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定する。
【0051】
次に、本遠隔自覚視力測定システムを用いて視力を測定する方法について、第34図および第35図のフローに沿って説明する。
利用者クライアント4001からメガネオーダー販売サービスセンター4002にアクセスして利用者の認証を完了すると、利用者クライアント4001にガイダンス画面が送信されて表示される。
【0052】
次に、利用者クライアント4001にパソコン画面情報収集画面(第36図)が送信される。パソコン画面情報収集画面には、「あなたの目にぴったり合ったメガネをお作りするために必要です。ご利用のパソコン情報を教えて下さい。」と表示して、解像度等のディスプレイ情報の入力を促し、「このラインはあなたのモニター画面では何センチですか?」と表示して、ディスプレイの大きさの入力を促す。
【0053】
次に、利用者クライアント4001に利用者情報入力画面(第37図)が送信される。利用者情報入力画面には、利用者を特定する情報として、利用者コード、利用者識別子(ID)、利用者パスワード、住所、氏名、生年月日、電話番号等の基本属性等を含む利用者情報、使用目的、近点距離、遠点距離、年令、前度数、前度数での両眼視力、前度数での左右バランス、前メガネの使用年数、コンタクトの種類(併用の場合)、希望矯正視力、視力に関係する病気の有無などのデータの入力が促される。個人情報の入力を終えると、利用者クライアント4001に装用条件入力画面(第38図)が送信される。装用条件としては、眼鏡・コンタクトレンズを装用したい目的(例えば、手元のものを見るとき、遠くのものを見るとき、自動車運転時など、どのようなときに掛けたいのか等)や視環境(日常どの範囲でどの距離のものを見ていることが多いか。仕事上でパソコン作業が多いか等)がある。
次に、利用者クライアント4001に裸眼視力測定画面が送信される。
裸眼視力測定は、乱視軸測定、遠点距離測定、近点距離測定の順に行う。この実施の形態においては、遠点距離の測定は、一定の距離(人が腕を伸ばした距離)において視力を測って遠点距離を推定する測定法を用いているが、遠点距離を直接測る方法でもよい。
【0054】
乱視軸測定は、以下のような手順により行う。
乱視軸測定ステップ1:最初に、ガイダンス画面が送信され(第39図)、「次の指示に従って下さい。右目について測定を行います。まず、平行線が引かれた4つのゾーンが表示されます。1m程度画面から離れ、4つのゾーンの内、どれかの線がはっきり見える位置まで近づいて下さい。これから先は、メガネ、コンタクトをはずして下さい。表示された視標を見るときは、手が目に触れないように左目を片手で覆って下さい。」と表示される。
乱視軸測定ステップ2:次に、乱視軸測定画面が送信され、4つのパターンからなる乱視軸判定チャートが画面に表示される(第40図)。
乱視軸測定ステップ3:ここで、利用者は左手で左目を覆いながら、1m程度下がる。その際、左目は開けておく。このステップにおける利用者の状態を第41図に示す。
乱視軸測定ステップ4:次に、徐々に画面に顔を近づけて行き、4つのパターンが区別できるような距離で止まる。近づきすぎないように注意する。このステップにおける利用者の状態を第42図に示す。
乱視軸測定ステップ5:ここで、利用者は図の4つのパターンがすべて同じに見えるか?それともどれか一つ濃く見えたり、薄く見えたりするか?を判定する。
乱視軸測定ステップ5−1:「一つだけ違って見える」場合は、そのパターンをクリックする。
乱視軸測定ステップ5−2:「全部同じに見える」または「わからない」場合は、パターン下のコメントをクリックする。
乱視軸測定ステップ6:続いて右目を右手で覆い、左目について同じことを行う。
【0055】
乱視軸判定チャートは、第40図のように複数の平行線からなる、45度・90度・135度・180度の4方向の線状群から構成される。被検者が乱視を有する場合は明瞭に見える方位とつぶれて薄く見える方位が生じるので、見え方の異なる方位のゾーンをクリックするよう促す。このように、見え方の異なる方位を選択させるようにしたのは、乱視は物体との距離によってよく見える方向が90度反転する可能性があるため、最初からよく見える方位とすると乱視軸の判断を誤る恐れがあるからである。従って、本願発明では、この段階では乱視軸の主軸は決定せず、後の遠点距離を求める段階で、2方向の視標を使って算出された2つの遠点距離を比較し、距離の長い方の方向を主軸と決定するようにしている。
乱視を有しない被検者は、原則として全方位が同じに見えるはずであるので、全部が同じに見える又はわからないをクリックした被検者は乱視を有しないものとして、以下の測定は水平、垂直の主軸についてのみ行う。
さらに乱視軸判定の分解能を上げたい場合は、4方向の中間の角度、すなわち22.5度、67.5度、112.5度、157.5度の4方向の線状群を追加して表示し、選択させるようにしてもよい。
【0056】
次に、遠点距離を測定する。本来、遠点距離測定は、被検者が画面を楽に見て、画面からどこまで遠ざかることができるかを調べる。ぼけないで見える最長位置(ぼけ始める位置)で顔を静止し、画面から眼までの距離を測定したものが遠点距離である。しかし、パソコンから遠ざかるには限界があるため、ここでは一定距離における遠点視力を測ることにより遠点距離を算出するようにした。
遠点視力の測定は、利用者がある一定の距離でどんな大きさのものまで見えるかを判定することにより行う。なお、この実施形態における遠点視力とは、一般に言われる視力1.5という度数ではなく、別の値のことを指す。以下、この遠点視力について詳述する。被検者は、ディスプレイに指先を当て腕を完全に伸ばし、腕を完全に伸ばした状態で背筋を伸ばした姿勢をとる。この状態においてディスプレイには、第43図に示すように遠点視力を測定する視標が表示される。被検者は、表示されている視標の中で、黒い3本線がはっきり視認できる1番小さいものを選択する。この被検者が選択した視標に割振られていた番号を遠点視力とする。この遠点視力から、視標の大きさおよび画面からの距離に基づいて遠点距離を算出する。
【0057】
遠点視力の測定は、以下のような手順により行う。
遠点視力測定ステップ1:遠点視力測定画面が送信され、大きさの異なる縦3本の遠点視力測定視標が組み合された画面が表示される(第43図)。
遠点視力測定ステップ2:ここで、利用者は右手を指先まで完全に伸ばした状態でパソコン画面の縁に中指を触れる。このステップにおける利用者の状態を第44図に示す。
遠点視力測定ステップ3:次に、左手で左目を覆って、右目で遠点視力測定視標を見る。このステップにおける利用者の状態を第45図に示す。
遠点視力測定ステップ4:次に、その状態で背筋を伸ばして画面に表示されている遠点視力測定図を見る。このステップにおける利用者の状態を第46図に示す。
遠点視力測定ステップ5:ここで、利用者は画像の中に3本線があることがわかるかどうかを判定する。このステップにおける利用者の状態を第47図に示す。
遠点視力測定ステップ5−1:どれも3本線に見えない場合は「はい」を、3本線があることがわかる場合(「ぼんやり」でOK)は「いいえ」をクリックする。尚、3本線に見えるか見えないかの判断は、たとえば第48図に示すようになる。
遠点視力測定ステップ5−2:ここで、利用者が「いいえ」と答えた場合は、遠点視力測定視標の小さい方から順に表示し、3本線があることがわかる画像が出るまで、チェックを繰り返す。
遠点視力測定ステップ6:続いて、画面の図が変わり、横3本の遠点視力測定視標が表示され、測定を指示する(図示せず)。
遠点視力測定ステップ7:同様に、左手で左目を覆ったまま右目で遠点視力測定視標を見て同じチェックをする。このステップにおける利用者の状態を第49図に示す。
これで、右目のチェックが終了する。
遠点視力測定ステップ8:次に、左目のチェックを行う。右目と同様に、左手を指先まで完全に伸ばした状態でパソコン画面の縁に中指を触れ、右手で右目を覆って左目で遠点視力測定視標を見て、右目チェックと同じ要領で左目チェックを行う。
尚、上記説明では、縦3本の視標と横3本の視標について遠点視力測定を行うものとして説明したが、これは前記乱視軸測定により選択された方位とそれと直交する方位について行うものであり、利用者が斜乱視の場合は、45度と135度の2方向について遠点視力測定を行うことになる。
また、上記説明では、最初にすべての大きさの視標を組合わせた画面を表示し、その後小さい視標から順に表示するものとして説明したが、これに限らず、最初から個別に視標を表示するようにしてもよく、複数の視標を組み合わせた画面から3本に見える最小の視標を選択してクリックさせるようにしてもよい。
【0058】
次に、近点距離を測定する。近点距離測定は、被検者が画面を楽に見て画面にどこまで近づくことができるかを調べる。ぼけないで見える位置で顔を静止し、画面から眼までの距離を測定したものが近点距離である。
近点距離の測定は、次のような手順により行う。
利用者は、近点距離の測定を始める前に、新聞紙またはコピー用紙を細長く(幅3〜5cm程度)折り畳んでパソコン横に置く(第50図)。
近点距離測定ステップ1:近点距離測定画面が送信され、縦3本線の近点距離測定視標が画面に表示される(第51図)。
近点距離測定ステップ2:ここで、利用者は左手で左目を覆った状態で、画面にできるだけ顔を近づける(第52図(A))。その時、視標がボケていることを確認する。尚、近点距離測定視標がぼけて見えている状態を第52図(B)に示す。
近点距離測定ステップ3:次に、画面に表示されている3本線が判別できる位置まで顔を遠ざける(第53図(A))。非常に画面に近いところで判別できる場合があるので注意する。尚、近点距離測定視標がはっきりと見えている状態を第53図(B)に示す。
近点距離測定ステップ4:次に、判別できる位置で顔を止め、机にひじをつき、折り畳んだ紙をこめかみに添わせて構える。目尻あたりで紙をはさんで持つようにする。このステップにおける利用者の状態を第54図に示す。
近点距離測定ステップ5:次に、顔を動かさずに折り畳んだ紙の先端を画面上に垂直に立てる。このステップにおける利用者の状態を第55図に示す。
近点距離測定ステップ6:次に、右目の目尻横の位置がわかるように左手人さし指で紙の上に印を付ける。印をつけた後、顔は自由にしてもよい。このステップにおける状態を第56図に示す。
近点距離測定ステップ7:ここで、利用者は画面の左上の「メジャー」ボタンを押す(第57図)。
近点距離測定ステップ8:画面に現れた「メジャー」の0の位置に紙の端を合わせ、印までの距離を測る(第58図)。画面の「メジャー」は3本表示されるので、1本で足りない場合は1本目の終わりで紙に印を付け、残りの部分を2本目で測る。2本でも足りない場合は3本目でも同じ作業を繰り返す。
近点距離測定ステップ9:「次へ」ボタンをクリックすると、横3本線の近点距離測定視標が画面に表示される(第59図)。
近点距離測定ステップ10:左手で左目を覆いながら同じチェックを行う(第60図)。
近点距離測定ステップ11:長さが測れたら、右目のチェックが終了する。次に右手で右目を覆い同じ要領で左目のチェックを行う(図示せず)。
上記近点距離測定視標は、被検者の視力に関わらず細い線を使用する。
尚、上記説明では、縦3本の視標と横3本の視標について近点距離測定を行うものとして説明したが、これは前記乱視軸測定により選択された方位とそれと直交する方位について行うものであり、利用者が斜乱視の場合は、45度と135度の2方向について近点距離測定を行うことになる。
以上の作業でレンズ度数決定に必要な基礎データ測定を終了し、この基礎データに基づき眼球光学モデルを構築し、眼球光学モデルにおいて利用者の調節範囲内における眼球の光学機能を検知し、レンズ度数を選定する。尚、眼球光学モデルによる度数の選定については、後述のレンズ度数決定システムにおいて詳細に説明する。
【0059】
次に、前記レンズ度数決定ステップを構成する第二の実施形態として、第61図に示すような検眼システムを用いて説明する。図のように、本検眼装置においても、被検者が使用するコンピュータ6001と、本願発明の検眼方法を提供する検眼サーバ6010とがインターネット6002を介して接続されている。
検眼サーバ6010は、インターネット6002を介して被検者コンピュータ6001に検眼サービスを提供するためのサーバであって、WWWサーバ6020と、表示画面データベース6030と、ユーザインターフェイス手段6040と、検眼情報データベース6050と、遠点距離演算手段6060と、度数演算手段6070とを備える。
WWWサーバ6020は、被検者コンピュータ6001のアクセスを受付け、本願発明の検眼手順に従って検眼機能を提供するためのサーバであり、被検者コンピュータ6001が汎用のWebブラウザによってサービスを受けることができるようにHTTPサーバを使用している。
表示画面データベース6030は、本願発明の検眼手順に従ってWWWサーバ6020がアクセスしている被検者コンピュータに提示する画面データを保存する。ここでは、最初のガイダンス画面、被検者の属性入力画面、乱視軸判定画面、遠点視力測定画面、近点距離測定画面等がHTML形式で保存されている。
ユーザインターフェース手段6040は、WWWサーバ6020によって被検者コンピュータ6001に表示した画面において被検者が入力した情報に基づいて、被検者の属性を検眼情報データベース6050に記憶させたり、遠点距離演算手段6060を起動して遠点距離を演算したり、度数演算手段6070を起動して度数を演算したりする。
ユーザインタフェース手段6040は、WWWサーバ6020からCGIによって起動されるプロセスであり、また遠点距離演算手段6060と度数演算手段6070はユーザインターフェース手段6040から起動されるプロセスである。また、検眼情報データベース6050には被検者が入力した被検者属性データ、乱視軸判定チャートの選択方位データ(右目と左目)、視力測定チャートによる視認限界データ(右目と左目×2方向)、近点距離測定チャートによる近点距離データ(右目と左目×2方向)、演算された遠点距離(右目と左目×2方向)、演算された度数(右目と左目)等が保存される。
【0060】
次に、かかる検眼システムによって検眼を行う手順の一例を第62図によって説明する。
まず、被検者の属性を取得するための被検者属性入力画面を表示し(S10)、被検者の入力した属性を取得して被検者データとして保存する(S12)。被検者の属性には、年齢・性別・身長等の個人情報と、メガネやコンタクトレンズを主に使用する場所に関する装着条件情報とがある。第63図は個人情報取得の際の表示画面例であり、第64図は装着条件取得の際の表示画面例である。ここで、装着条件の「読書」は近距離用を、「デスクワーク」「パソコン」は中距離用を、「車の運転」は遠距離用をそれぞれ想定している。
【0061】
次に、乱視軸の判定をするための乱視軸判定チャートを表示し(S14)、被検者の選択した方位を取得して選択方位データに保存する(S16)。第65図は乱視軸判定の説明画面例であり、第66図は乱視軸判定画面例である。
図のように、乱視軸判定チャートは複数の平行線からなる45度・90度・135度・180度の4方向の線状群から構成される。被検者が乱視を有する場合は明瞭に見える方位とつぶれて薄く見える方位が生じるので、見え方の異なる方位のゾーンをクリックするよう促す。このように、見え方の異なる方位を選択させるようにしたのは、乱視は物体との距離によってよく見える方向が90度反転する可能性があるため、最初からよく見える方位とすると乱視軸の判断を誤る恐れがあるからである。従って、本願発明では、この段階では乱視軸の主軸は決定せず、後の遠点距離を求める段階で、2方向の視標を使って算出された2つの遠点距離を比較し、距離の長い方の方向を主軸と決定するようにしている。
乱視を有しない被検者は、原則として全方位が同じに見えるはずであるので、全部が同じに見える又はわからないをクリックした被検者は乱視を有しないものとして、以下の測定は水平、垂直の主軸についてのみ行う。
【0062】
乱視軸判定チャートは、背景色は緑色、線の色は黒色とし、線幅は2画素、線間幅は3画素とした。背景色は、白色では輝度が明るすぎて目が縮瞳し、被写界深度が深くなって4つのゾーンの見え方の差が小さくなるという問題があるため、目にやさしいグリーン系統を用いて輝度を抑えたものである。線の色は、多数の被検者に対して行った検眼実験の結果から、見やすいとされた黒色とした。線幅は、特にディスプレイがCRTの場合は電子銃のフォーカスボケが発生することから、1画素では水平・垂直と斜めで見え方に差異が生じてしまうため、最低2画素とした。線間幅は、乱視判定においてチャートまでの距離が極端に短いと乱視軸が90度反転し、誤判定の可能性があるため、1mの距離から線間の隙間を認識できるように設定した。視力1.0(視角1分)は、1mの距離で切れ目0.29mmを識別する能力であり、14インチ液晶ディスプレイまたは17インチCRTを使用してほぼ1画素に相当する。従って、2画素で視力0.5程度に相当するが、検眼対象者はメガネを必要とする人であることから、更に間隔を広げ、3画素とした。
また、乱視軸の方位を4方向としたのは、4方向でも十分に実用的なメガネやコンタクトレンズの選定ができることと、被検者が独自で判断するものであるから、できる限り容易かつ誤りなく判定できる必要があるためである。
【0063】
次に、被検者が選択した選択方位についての遠点視力を測定するため、選択方位の視力測定チャートを表示し(S18)、被検者が選択した視認限界を取得して、第1視認限界データに保存する(S20)。第67図は遠点視力測定の説明画面例であり、第68図は遠点視力測定画面例である。
図のように、視力測定チャートは一定線幅の3本の黒線と2本の白線からなる線状濃淡画像であり、視力に対応して線幅をI段階(10段階から20段階程度)に変えた複数のチャートを表示する。これに対し、被検者に3本に見える一番小さいマークをクリックするよう促す。このように、3本に見えるマークを選択させるようにしたので、ランドルト環のように単一の間隙を視認するのに対して被検者の判断が容易になっている。
尚、被検者にはコンピュータ画面から腕を伸ばした距離で遠点視力を測定するように促しているが、これは腕の長さは身長にほぼ比例するので、事前に入力された身長のデータによって被検者とチャートの距離が予測できるからである。
【0064】
このように、被検者はコンピュータ画面との距離を測定したり、画面表示サイズを調整したりする必要がないので、簡便に測定できる。
同様に、被検者が選択した選択方位と直交する方位についての遠点視力を測定するため、選択方位と直交する方位の視力測定チャートを表示し(S22)、被検者が選択した視認限界を取得して、第2視認限界データに保存する(S24)。
【0065】
次に、被検者が選択した方位の近点距離を測定するため、選択方位の近点距離測定チャートを表示し(S26)、被検者の入力した近点距離を第1近点距離データに保存する(S28)。第69図は近点距離測定の説明画面例であり、第70図は近点距離測定画面例である。
図のように、近点距離測定チャートは緑色の背景に設けられた3本の黒線からなる。画面のメッセージにより、被検者に対して、最初にできる限り画面に近づき、それから3本線がはっきり見える位置まで遠ざかり、画面から目までの距離を測定してcm単位で入力するように促す。
尚、近点距離測定チャートは、コンピュータ画面に接近して視認するため、被検者の視力に関係なく細い線を使用する。但し、年齢によって解像力の差があるため、若年層は細い線を、中高年層は若干太い線を使用する。
同様に、被検者が選択した選択方位と直交する方位についての近点距離を測定するため、選択方位の近点距離測定チャートを表示し(S30)、被検者の入力した近点距離を第2近点距離データに保存する(S32)。
【0066】
次に、第1視認限界データと第1近点距離データと被検者限界データとから遠点距離を求め、第1遠点距離データに保存する(S34)。同様に、第2視認限界データと第2近点距離データと被検者限界データとから遠点距離を求め、第2遠点距離データに保存する(S36)。
遠点距離の演算は、あらかじめ多数の被検者で学習させたニューラルネットワークを用いて行う。第71図に遠点距離演算用ニューラルネットワークの構成例を示す。図のように、入力層はI段階の遠点視力(視力測定チャートから被検者が選択した視認限界)とJ段階の近点距離(近点距離測定チャートから被検者が測定した近点距離)とK段階の被検者属性(年齢・性別・身長)とを、出力層はN段階の遠点距離を有する。年齢・性別をパラメータとするのは、これによって被検者の目の調節力が変わるからである。また、身長は前述のように被検者と画面の距離を腕の長さで合わせるようにしており、腕の長さに比例する身長を代用パラメータとして用いたものである。学習方法としては、いわゆるバック・プロパゲーション法を用いたが、どのような方法を用いてもよい。
ここで、入力パラメータの近点距離と演算結果の遠点距離は、レンズ度数への換算を容易にするため、いずれもメートル単位で表した距離の逆数であるD(ディオプター)値に変換して取り扱う。
尚、ニューラルネットワークは、乱視軸の選択方位と選択方位に直交する方位の2つの独立する学習モデルを生成し、それぞれ個別に計算するようにした。
また、画面の見え方はディスプレイの種類によって変わるので、ディスプレイが液晶かCRTかによって独立に学習させたニューラルネットワークを用いて演算するようにした。
【0067】
以上の乱視軸判定(S14)から遠点距離演算(S36)までを、右目と左目の両方について行い、得られた選択方位データと第1遠点距離データと第2遠点距離データとから度数(S:球面度数、C:乱視度数、AX:乱視軸)を演算する(S38)。
S34で求めた第1遠点距離をD1、その方位をAX1とし、S36で求めた第2遠点距離をD2、その方位をAX2とすると、
|D1|<|D2|のとき、S=D1、C=D2−D1、AX=AX1
|D2|<|D1|のとき、S=D2、C=D1−D2、AX=AX2
である。
【0068】
上記実施形態では、単に目の度数を演算する場合について説明したが、求められた目の度数と被検者属性データの装着条件からレンズ度数を決定して、メガネまたはコンタクトレンズの注文を受付けるようにしてもよい。
この場合、被検者属性データの装着条件から、通常使用距離として近距離用(30cm)、中距離用(50〜60cm)、遠距離用(5m)のいずれかを判断し、それによって推奨されるレンズの度数を決定する。
例えば、遠距離用では遠点距離D1を5m(−0.2D)になるように矯正するとして、推奨レンズの度数はD1+0.2Dとなる。
また、度数演算手段によって演算された度数と被検者の属性から眼球光学モデルを生成する眼球光学モデル生成手段と、生成された眼球光学モデルを使用して裸眼の集光性能を確認する裸眼集光性能確認手段を設け、演算された度数の妥当性をチェックするようにしてもよい。これにより、更に精度良く度数を決定できる。
また、生成された眼球光学モデルを使用して推奨レンズによって矯正したときの集光性能を演算する矯正後集光性能演算手段を設け、推奨レンズを決定するようにしてもよい。これにより、更に被検者に適したレンズ度数を提示できるようになる。
更に、推奨レンズを装着したときの集光状態から所定の距離における鮮鋭度を演算する鮮鋭度演算手段と、演算された鮮鋭度における画像サンプルを生成する画像サンプル生成手段と、生成された画像サンプルをコンピュータ画面に表示する画像サンプル表示手段とを設け、被検者に推奨レンズを装着したときの画像サンプルを確認させるようにしてもよい。これにより、被検者はレンズを装着したときの見え方をチェックできるので、より適切なレンズ度数を決定できるようになる。
【0069】
上記実施形態では、遠点距離演算手段は多数の被検者で学習させたニューラルネットワークを用いて遠点視力と近点距離と被検者の属性から遠点距離を求めるとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、ファジー推論を用いて遠点距離を演算するものとし、多数の被検者のデータでメンバーシップ関数や推論ルールを求めるようにしてもよい。また、多数の被検者のデータから遠点視力と遠点距離の関係を近点距離や被検者の属性をパラメータとした近似式を求め、それを用いて遠点距離を演算するようにしてもよく、本願発明の効果を奏する。
また、上記実施形態では、遠点距離の演算において近点距離を入力パラメータとしているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、近点距離を省略してもよい。この場合でも、近点距離は年齢に比例する特性を持っていることから、本願発明の効果を奏する。
上記実施形態では、乱視軸判定チャートは複数の平行線からなる4方向の線状群を一画面に表示して被検者に見え方の異なるゾーンを選択させるとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、4方向の線状群を順次個別に表示して見え方の異なる方位を選ばせるようにしてもよい。
上記実施形態では、視力測定チャートは大きさの異なる複数のチャートを一画面に並べて表示して被検者に視認限界を選択させるようにしたが、本願発明はこれに限定されるものではなく、各大きさのチャートを大きい方から順に表示して、視認できなくなったところを被検者に選択してもらうようにしてもよい。
上記実施形態では、視力測定チャートや近点距離測定チャートの表示は乱視軸判定の選択方位とそれに直交する方位の画像をコンピュータ画面に表示するが、これはあらかじめ4方向の画像を表示画面データベース6030に記録しておき、そのなかから選択して表示するようにしてもよく、特定の方位についての画像データを記憶させておき、他の方位については方位データに基づいてグラフィックツールによって画像を回転して生成するようにしてもよい。また、表示する画像の描画データを記憶させておき、方位データに基づいて描画ツールによって画像を描画して生成するようにしてもよい。このように、グラフィックツールによって画像を生成する方法を用いることで、画像表示の負荷は大きくなるが、任意の方位についての画像が生成できるので、乱視軸の方位を容易に拡張できる。
【0070】
同様に、遠点視力測定における線幅を変えた複数のチャートの表示についても、特定の線幅の画像データを用いてグラフィックツールによって拡大・縮小したり、描画ツールによって描画して生成するようにしてもよい。
尚、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点測定チャートの画面表示サイズは、コンピュータの設定によって特に変えないとものして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、より精度良く度数を求めるために、コンピュータの画面設定を取得し、これに基づいて画面の表示サイズを変更するようにしてもよい。取得するコンピュータの画面設定としては、ディスプレイの種類とサイズ、コンピュータの解像度設定等である。これらは、コンピュータのプロパティ情報から自動取得するようにしてもよく、被検者属性データとして入力させるようにしてもよい。
この場合も、上記と同様に、グラフィックツールによって、画像を拡大・縮小するようにしてもよく、描画ツールによって描画するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点距離測定チャートの表示色は実験的に定めた最適な色を使用するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、表示色の選択機能を設けてもよい。
例えば、被検者に対してあらかじめ色サンプルを表示して被検者の好みの色を選択させるようにしてもよく、コンピュータの画面設定によって自動的にあらかじめ定めた色を選択して表示するようにしてもよい。
各チャートの表示色についても、あらかじめ複数の表示色パターンを記憶させておいて、その中から選択させるようにしてもよく、特定の表示色パターンの画像をグラフィックツールで色変換したり、描画ツールで描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
同様に、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点距離測定チャートの背景や線分の輝度は実験的に定めた最適な輝度を使用するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、表示輝度の選択機能を設けてもよい。
各チャートの表示輝度についても、あらかじめ複数の表示輝度パターンを記憶させておいて、その中から選択させるようにしてもよく、特定の表示輝度パターンの画像をグラフィックツールで輝度変換したり、描画ツールで描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0072】
上記実施形態では、被検者の属性データは被検者が検眼サービスを受けるときに毎回取得するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、顧客データベースとしてあらかじめ記憶させておき、そのデータベースから必要なデータを抽出するようにしてもよいことは言うまでもない。このように、顧客データベースを備え、上記被検者属性データの他にこれまでに実施した検眼サービスの履歴や販売したメガネやコンタクトレンズのデータを蓄積しておくことで、被検者の特性に合わせたより正確な検眼が行え、より適切な矯正レンズを提示することが可能となる。
上記実施形態では、主として乱視を含む近視者を対象として検眼を行うものとして説明したが、本実施形態では遠点距離の他に近点距離を取得するようにしているので、これを基に遠視又は老眼を有する被検者の検眼を行うことも可能である。
すなわち、遠点距離が極めて長く近点距離も長い場合は、遠視または老眼の可能性があるが、ここで被検者の眼の調節力が判ればこれをもとに遠視と老視を区別することができる。
【0073】
そこで、例えば被検者の年齢や性別を眼の調節力の代用パラメータとして用い、遠点距離と近点距離と被検者の属性(年齢・性別)を入力とし、乱視度数、遠視度数を出力とするニューラルネットワークを、遠視や老眼を有する多数の被検者によって学習させ、これを用いて遠視や老眼の度数を演算するようにしてもよい。
また、更にコンピュータ画面を用いて被検者の眼の調節力を積極的に測定し、これを基に遠視や老視の度数を判定するようにしてもよい。これには、例えばコンピュータ画面上で移動する画像の追跡能力を測定したり、被検者にコンピュータ画面との距離を早い周期で変化させるような運動をしてもらってそのときの視認力を測定する等の方法が考えられる。このようにすれば、乱視を含む近視者ばかりでなく、遠視や老眼を有する被検者にも対応でき、あらゆる人を対象とした検眼システムを構築できる。
【0074】
この発明によれば、被検者の属性を取得するとともに、乱視軸判定チャートをコンピュータ画面に表示して被検者が選択した方位を取得し、取得された方向とそれに直交する方向について視力測定チャートを表示し、被検者の選択した視認限界を取得し、取得された視認限界と取得された被検者の属性から遠点距離を演算し、取得された方位と演算された2つの遠点距離から度数を演算するようにしたので、乱視を有する被検者にも対応でき、特別な設備を必要とすることなくコンピュータ画面を用いて簡便に検眼が行えるという効果がある。
【0075】
次に、前記レンズ度数決定ステップの第三の実施形態として、第72図に示すレンズ度数決定システムを用いて説明する。このレンズ度数決定システムは、利用者の眼球の光学モデルを構築して矯正レンズの度数を決定するシステムであり、中央処理部8012を含み、中央処理部8012はデータ入力部8014、入力データ検査部8016、遠点距離演算部8018、スタート眼球光学モデル決定部8020、眼球光学モデル集光性能算出部8022、モデル妥当性検証部8024、眼球光学諸元調節範囲確定部8026、眼球光学モデル決定部8028、視認映像生成部8030、鮮鋭度スコア生成部8032、表示部8036の動作を制御する。以下、中央処理部8012が制御する各部の概要について説明を行う。
データ入力部8014は、眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正レンズを装着しようとする者の年令、矯正レンズの使用条件、乱視軸、遠点視力、近点距離を入力するためのものである。データ入力部8014には、キーボード、マウスやタッチパネルなどの人が直接データを入力する機器、またはモデムやLANカードなどを用いてネットワークを介してデータを受信可能に構成した機器とそれら機器の制御を行うプログラムにより構成される。
なお、この実施形態における遠点視力とは、一般に言われる視力1.5という度数ではなく、別の値のことを指す。以下、この遠点視力について詳述する。コンピュータなどのディスプレイに第73図に示すような視標が表示される。被検者は、ディスプレイに指先を当て腕を完全に伸ばす。被検者は、腕を完全に伸ばした状態で背筋を伸ばした姿勢をとる。この状態においてはディスプレイには、第73図の(a)から(c)に示すように、視力を計測する視標が大きいものから順に小さいものが次々と表示される。被検者は、表示されている視標の中で、黒い3本線がはっきり見える1番小さいものを選択する。この被検者が選択した視標に割振られていた番号を遠点視力とする。この遠点視力から遠点距離を算出することが可能である。
【0076】
入力データ検査部8016は、データ入力部8014に入力されたデータの値より入力された値の整合性を検証するものである。入力データ検査部8016は、その内部に年令を軸として、乱視軸、遠点距離および近点距離のデータが相互に関連つけられて記憶された標準サンプルデータ8016aを多数蓄積している。入力データ検査部8016は、データ入力部8014に入力されたデータが、標準サンプルデータ8016aと比較して、データの値が妥当な値であるかを判断する。
遠点距離演算部8018は、データ入力部8014に入力されたデータである遠点視力から遠点距離を算出するものである。遠点距離演算部8018は、その内部に年令、性別、身長、遠点視力、近点距離に関するデータが蓄積されている。遠点距離演算部8018は、入力された年令、性別、身長、遠点視力、近点距離のデータに基づいて、それらのデータにもっとも適した最善の遠点距離の値を算出する。
スタート眼球光学モデル決定部8020は、被検者の年令および概算レンズ度数に基づきスタート眼球光学モデルを決定する。
【0077】
以下、眼球光学モデルについて説明を行う。眼球光学モデルとは、第74図に示すように人の眼球の光線屈折要素をレンズとして数学・物理的数値モデルとして構築したものである。眼球光学モデルに組み入れられる眼球の光線屈折要素は、第74図に示すように、角膜、前房、水晶体、硝子体、網膜である。これら光線屈折要素の以下の光学諸元に基づいて、眼球光学モデルが構築される。
角膜:前面の曲率半径R3、厚み、屈折率、後面の曲率半径R4
前房:厚み、屈折率
水晶体:前面皮質の曲率半径(R5、R6、R7、R8、R9、R12)および厚み、角質の曲率半径(R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24)および厚み、後面皮質の曲率半径(R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33)および厚み、そしてそれぞれ屈折率
硝子体:屈折率、厚み
網膜:曲率半径R34
なお、上述した光学諸元は各個人の年齢や眼球の調節能力により異なるが、この実施形態においては、日本人を対象とした生体計測データの値を基準に標準パターンとして眼球光学モデルをあらかじめ構築しておく。例えば前房については、
前房深度:8〜15歳では3.66mm、16〜30歳では3.71mm、31〜51歳では3.51mm、51〜77歳では3.18mmである。
眼軸長:前房深度の加齢傾向とは逆の傾向を示す。
水晶体:屈折率分布の不等質性がある。表層屈折率は年令に無関係だが、水晶体核の屈折率は加齢とともに若干増加する。加齢による厚みを増す重量は、20〜39歳では174mg、40〜59歳では204mg、80〜99歳では266mgである。
【0078】
なお、この実施形態においては、上述した値により眼球光学モデルを構築するように構成したが、文献データ等の値に基づいて眼球光学モデルを構築するように構成されてもよい。以下は眼球光学モデルを構築するのに適用可能な文献データの一例である。
(i)前房深度について
日本眼科学会誌 第62巻11号(1958)相沢克夫「前房深度に関する研究」によれば、前房深度と年令との関係において、
08〜15歳 3.66mm
16〜30歳 3.71
31〜51歳 3.51
51〜77歳 3.18
のような変化がある。すなわち前房深度は弱年期より身体の発育に平行して次第にその深度を増し、成年期において最も深くなり、その後は身体の退化現象と一致して順次浅くなって行く傾向があると述べている。
(ii)眼軸長について
日本眼科学会誌 第63巻7号(1959)佐藤勉他 「近視の本態に関する研究その1」によれば、軽度の近視の場合、眼軸長は近視度が強くなると共に次第に値を増し、両者の間に見事な相関があることを示していると述べている。
(iii)水晶体の重量について
書名 The eye,出版者 New York ; London : Academic Press,著者標目 Davson, Hugh, 1909-,Graham, L. T., Jr.によれば、水晶体の重量は、
20〜39歳 174mg
40〜59歳 204mg
80〜99歳 266mg
のように加齢と共に増加の一途をたどることが述べられている。
(iv)水晶体厚径について
新臨床眼科全書3A 市川宏ほか編 金原出版 1993によれば、水晶体厚径は、年令と共に増加すると述べている。
【0079】
上述した値を適用して予め構築した眼球光学モデルは、スタート眼球光学モデル決定部8020で決定されるスタート眼球光学モデルとして用いられる。スタート眼球光学モデルは、年令および概算レンズ度数が同じ値である場合に大体共通した眼球の特性を有することに着目して、縦軸に年令区分、横軸に概算レンズ度数区分を設け、それぞれの区分の中央値における眼球光学モデルをあらかじめ構築する。縦軸をM区分、横軸をN区分とするとM×N個のスタート眼球光学モデルが構築される。すなわち、縦軸を年齢区分(たとえば20才までは5歳きざみ、20才以上は10歳刻み)、横軸を概算レンズ度数(たとえば1.0D刻み)とした表において、各区分の中央値の組合せ(たとえば35歳で必要補正量が−2.5Dのレンズ度数)におけるスタート眼球光学モデルをあらかじめ構築する。なお、この実施形態においては、M×N個の眼球光学モデルをスタート眼球光学モデルとして構築し、スタート眼球光学モデル決定部8020がその中から最も近い値の眼球光学モデルをスタート眼球光学モデルとして適用したが、これに限らず、入力された年令、概算レンズ度数から光線屈折要素の最も適した値に基づいて、スタート眼球光学モデルを構築するように構成されてもよい。
【0080】
スタート眼球光学モデル決定部8020で決定されたスタート眼球光学モデルは、その人固有の眼球光学モデルを構築するための光学系自動設計処理を行うにあたり、後述する眼球光学モデル決定部8028での初期値として使用される。このスタート眼球光学モデルは、年令、概算レンズ度数によらない単独のスタート眼球光学モデルを使用した光学系自動設計処理に比べると、自動設計処理の収束が早く、処理速度を短縮することが可能である。また、解(集光状態が最高となるような光学諸元)の信頼性が高い。
眼球光学モデル集光性能算出部8022は、被検者の裸眼状態または矯正レンズを着用したときの、眼球光学モデルの集光性能を算出する。集光状態を算出する眼球の状態としては、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内での状態、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内での状態、または、近点と遠点とは離隔した状態である。
モデル妥当性検証部8024は、眼球光学モデル集光性能算出部8022により算出された集光性能に基づいて、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する。
眼球光学諸元調節範囲確定部8026は、入力された近点距離および算出された遠点距離から調節中点における眼球の調節範囲を確定する。さらに、眼球光学諸元調節範囲確定部8026は、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを生成するように構成されている。
眼球光学モデル決定部8028は、被検者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における被検者の眼球における集光状態が最適となるようスタート眼球光学モデルの光学諸元の値を調整し、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定するように構成されている。
視認映像生成部8030は、矯正レンズにより矯正を行う前および/または矯正を行った後における被検者の視認映像を、眼球光学モデル集光性能算出部が算出した眼球光学モデルの集光性能の結果に基づいて生成する。
鮮鋭度スコア生成部8032は、矯正レンズにより矯正を行う前および/または矯正を行った後における、被検者の視認の鮮鋭度合を、数値的の表した鮮鋭度スコアを導き出す。鮮鋭度スコアとは、任意の数値により視認する映像の鮮明度合いを示すものであり、例えば、その数値が高いほど画像が鮮明に視認できていることを表すように算出する。
レンズ度数選定部8034は、被検者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定する。
表示部8036は、矯正レンズ決定サーバ8010の動作状況を確認したり、被検者が入力したデータや算出したデータの値を確認するための表示装置である。表示部8036としては、コンピュータに接続されているディスプレイや、データ入力部8014を介して矯正レンズ決定サーバ8010に接続されたコンピュータのディスプレイが適用される。
【0081】
次に、本発明の動作について第75図により説明する。
(1)データ入力部8014により、被験者の性別、年令、乱視軸、近点距離、遠点視力および矯正用レンズの使用条件(読書、デスクワーク、車の運転等)が入力される。
(2)入力されたデータが入力データ検査部8016により検証される。
(3)遠点距離演算部8018により、遠点視力から遠点距離が算出される。
(4)年令的な調節範囲の関係表を用いて、仮定の年令において、その年令相応の平均的な調節範囲を持つとして、調節範囲の上限、下限における眼球屈折度を導き出し、それより近点距離、遠点距離の補正を行う。
(5)近点距離および遠点距離から被検者の眼の調節範囲の中点を求め、さらに、概算レンズ度数を算出する。
(6)年令、概算レンズ度数の値からスタート眼球光学モデル決定部8020によりスタート眼球光学モデルを決定する。
(7)決定したスタート眼球光学モデルを使用して、眼球光学モデル集光性能算出部8022により集光性能を算出し、眼球光学モデル決定部8028により目の調節機能の中位状態における最終的な眼球光学モデルを決定する。具体的には、眼球光学モデル集光性能算出部8022により調節中点状態における眼球光学モデルに光線を入射させて、その光線の網膜上への集光性能を算出し、最良の集光状態となるように光学系自動設計処理を行い、眼球光学モデル決定部8028により光学諸元を変化させ、最適の解(光学諸元)を決定する。この調節中点における眼球光学モデルの構築は、光学系自動設計計算によりスタート眼球光学モデルから出発して、集光状態が最適となるよう人の眼球の光学諸元を自動的に決定するものである。
ここにおける光学系自動設計計算とは、レンズ自動設計プログラムを使用した光線追跡による光学諸元の自動決定プロセスをいう。これらの手法の代表例として、減衰最小二乗法(Dumpt Least Square Method)がある。
最終的な性能条件(この実施形態は、調節中点状態において、無限に小さい点物体から眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させた場合を算出して、光線の屈曲変化を追跡し、網膜上の一点に光線が結像する状態)を満足するように、眼球光学モデルの光学諸元の値を少しずつ変化(屈折率は変えないで、曲率半径と面間隔を変化させる。非球面の場合は、基準球面の曲率半径、非球面係数を変化させる)させながら、網膜上の到達点の位置ずれ量の自乗和を極小にする。これは、後述する「調節中点におけるその人の眼球光学モデル構築処理」と同じである。
【0082】
(8)次に、モデル妥当性検証部8024によって、調節限界(近点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする。この妥当性チェックは、人の眼球が有している調節力の分だけ眼球屈折度をアップ(UP)させ、光学系自動設計計算により、集光状態が良いことを確認するものである。
ここにおいて、調節力分だけ眼球屈折度をアップ(UP)とは、次のようなことをいう。遠点距離が1m(−1.0D)、近点距離が25cm(−4.0D)とすると、調節中点位置は40cm(−2.5D)となり、近点側では、調節中点位置にくらべ、−1.5Dの補正量に相当する眼球屈折度UPが必要となる。この−1.5D相当の眼球屈折度の増強となるよう、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、近点距離25cmの位置にある無限に小さい点物体から、眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させ、光線追跡を行い、網膜上の一点に結像する状態にするよう、光学諸元を変化させて光学系自動設計を実行する。
その結果、一点に集光したと見なせる状態になれば、調節限界における光学モデルのシミュレーションが成功したとし、調節中点におけるその人の眼球光学モデルが妥当であったと判断する。
(9)モデル妥当性検証部8024によって、調節限界(遠点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする。この妥当性チェックは、人の眼球が有している調節力の分だけ眼球屈折度をダウン(DOWN)させ、光学系自動設計計算により、集光状態が良いことを確認するものである。
ここにおいて、調節力分だけ眼球屈折度をダウン(DOWN)とは、次のようなことをいう。
遠点距離が1m(−1.0D)、近点距離が25cm(−4.0D)とすると、調節中点位置は40cm(−2.5D)となり、遠点側では、調節中点位置にくらべ、+1.5Dの補正量に相当する眼球屈折度ダウン(DOWN)が必要となる。この+1.5D相当の眼球屈折度の減少となるよう、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、遠点距離1mの位置にある無限に小さい点物体から、眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させ、光線追跡を行い、網膜上の一点に結像する状態にするよう、光学諸元を変化させて光学系自動設計を実行する。
その結果、一点に集光したと見なせる状態になれば、調節限界における光学モデルのシミュレーションが成功したとし、調節中点におけるその人の眼球光学モデルが妥当であったと判断する。
(10)モデル妥当性検証部8024によって、近点側および遠点側の調節限界外、すなわち眼球の調節範囲外における眼球光学モデルの妥当性をチェックをする。
(11)眼球光学諸元調節範囲確定部8026によって、調節中点位置における眼球光学モデルについて眼球の光学諸元の調節範囲の確定を行う。
(12) 眼球光学諸元調節範囲確定部8026によって、決定された眼球光学モデルのイメージ、例えば第74図に示すような眼球断面図を生成し、その眼球光学モデルについての説明もあわせて表示するようにしてもよい。
(13)眼球光学モデル集光性能算出部8022によって、被検者の裸眼状態における3つの距離における調節を伴う集光性能を算出する。
【0083】
調節中点位置における眼球光学モデル、光学諸元の調節範囲の確定は、次のようになる。
モデル妥当性検証部8024によって調節限界(近点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理およびモデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理の検証により、調節中点におけるその人の眼球光学モデル構築処理結果の調節中点位置における眼球光学モデルを妥当と判断し、その眼球光学モデルを、次に述べる裸眼状態での3つの距離における調節を伴う集光性能算出処理および矯正後の3つの距離における調節を伴う集光性能算出処理で使用する。3つの距離とは、見え方が大きく変わる可能性のある3距離を選ぶ。たとえば、0.3m(読書)、0.5〜0.6m(デスクワーク)、5m(車の運転)である。調節限界における光学諸元の変化範囲(特に水晶体が薄くなったり、厚くなったりする時の水晶体厚さ、前面皮質の曲率半径、後面皮質の曲率半径の変化範囲)も、モデル妥当性検証部8024によって調節限界(近点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理およびモデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理により決定したことになる。これらが確定すると、物体距離に応じた眼の調節をシミュレーションできる。モデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理と同様に、物体の距離に応じた、調節中点位置からの眼球屈折度アップ(UP)あるいはダウン(DOWN)量を求め、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、光学系自動設計を実行する。
このようにして求められた光学諸元は、仮想的に眼球がピント調節を行ったときの眼の状態を表している。
【0084】
これ以上、集光状態が良くならないという状態まで繰り返し計算を行い、最終的な光学諸元を、物体距離におけるベストの集光状態とする。
集光性能を評価するには、ある距離にある無限に小さい点物体から、眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、数百本程度の光線を均一に分散させて入光させ、光線追跡を行い、網膜上のどの場所に結像するかを計算する。ぼけの度合いを評価するには、網膜上の点像の強度分布の2次元フーリエ変換を行い、空間周波数特性(OTF)と呼ばれる像評価を行う。
(14)眼球光学モデル集光性能算出部8022によって、矯正用レンズにより矯正を行った光学モデルについて上述した3つの距離における調節を伴う集光性能を算出し検証する。
すなわち、眼球光学モデルの前に実際の眼鏡レンズ(レンズ前面の曲率半径、後面の曲率半径、硝子材屈折率が既知のレンズ)を置き、裸眼状態における集光性能算出処理と同様の計算を行う。
概算レンズ度数と装用条件から、適合する仮想レンズを決定し、その眼鏡・コンタクトレンズを装用した状態における集光性能に関する光学シミュレーションを行う。
さらに、3つの距離における鮮鋭度スコアのバランスが悪い場合は、レンズの度数を少し変化させて、再度光学シミュレーションを行う。
【0085】
(15)鮮鋭度スコア生成部8032によって、調節力の範囲内で眼の光学諸元を変化させて、集光性能が最適となる状態を作り出し、そのときの鮮鋭度スコアを算出する。第76図に、鮮鋭度スコアと見え方の関係を例示する。鮮鋭度スコアは、眼球光学モデル集光性能算出部8022が算出した集光状態の結果に基づいて算出する。
ある距離にある無限に小さい点物体から、眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、数百本程度の光線を均一に分散させて入光させ、光線追跡を行い、網膜上のどの場所に結像するかを計算する。その点像の強度分布の2次元フーリエ変換を空間周波数特性(OTF)と言う。網膜上で強度分布がどうなるかを調べれば、ぼけの度合いを評価できる。空間周波数とは縞模様の細かさを表す値であり、単位長あたりの縞の本数で定義される。
視覚系の場合は、視角1度あたりの縞の本数で表す。たとえば縞の間隔をw(degree)とすればu=1/w(cycles/deg)となる。
ぼけ判定に用いるw値を網膜の分解能から決定し、その時のu値から鮮鋭度スコアを算出する。
(16)視認映像生成部8030によって、推奨レンズにおいて矯正後および矯正前の3つの距離における視認映像を生成して表示する(第77図)。これにより、利用者は裸眼状態と推奨レンズを装用した場合における見え方を画面で確認することができる。
視認映像の生成は、高精細に撮影された3つの距離の画像を用意し、この画像に対し画素単位でN×Nサイズの平滑化フィルタ処理を行い、画像をぼかすことにより行う。ぼけの具合はN値(最低3)、フィルタ重み付け、処理回数により調整できる。フィルタ処理後の画像について、空間周波数解析によりボケ具合を判定し、求めた鮮鋭度スコアとの対応付けを行う。いくつかの鮮鋭度スコアに対応する画像を準備する。また、準備された画像に特定平滑化フィルタ処理を一回かけた画像に対応するスコア値を算出しておく。
鮮鋭度スコアの算出でスコア値が求まれば、そのスコア値により、対応する画像を直接呼び出して表示するか、フィルタ処理を行い、結果画像をその鮮鋭度スコアに一致させて表示する。
【0086】
(17)さらに、視認映像生成部8030によって、レンズを変更して、3距離における見え方画像を提示し、比較をできるようにする。すなわち、レンズ度数を変更して、眼鏡・コンタクトレンズを装用した状態の光学シミュレーションを行う。そして、眼球の調節範囲内で光学諸元を変化させて、集光性能が最適となる状態を作り出し、そのときの鮮鋭度スコアを算出する。
また、レンズ度数選定部8034により特定のレンズ度数における鮮鋭度スコアが既に計算済みの場合は、そのデータを使用するように構成してもよい。
(18)被検者は、表示された視認画像および鮮鋭度スコアから自分が希望する矯正強度の矯正レンズを視覚的に判断し、使用する矯正レンズを示す番号、符号等をデータ入力部8014により選択する。
以上のように、本レンズ度数決定システムでは、利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段とを備えるので、各人の眼にあった眼鏡・コンタクトレンズの度数を決定することができる。
【0087】
上記説明では、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムと、メガネ装用仮想体験システムと、遠隔自覚視力測定システムとは、それぞれ独立したメガネオーダー販売センターであるかのように説明したが、実際には単一のコンピュータやサーバ上に統合して、データベースの共通化を図るか、または複数のコンピュータやサーバによる分散処理を行って、利用者情報、フレーム選択情報、視力測定情報等をLAN等を介して相互に通信するようにして統合している。これにより、利用者は単一の利用者クライアントから単一のサイトにアクセスすることで、一連の眼鏡・コンタクトレンズのオーダー販売サービスを受けることができる。
尚、ここでレンズ度数の決定は、レンズ度数決定システムによって得られるレンズ度数を用いてもよく、検眼システムによって得られるレンズ度数を用いてもよい。
そして、かかる遠隔自覚視力測定システムやレンズ度数決定システムや検眼システムによるレンズ度数決定機能と、前述のメガネ装用仮想体験システムによるフレーム選択機能とを統合した眼鏡・コンタクトレンズ選定システムにより、遠隔で各人の眼にあったレンズを選定できるばかりでなく、各人の装用状態を視覚的に確認してフレーム等を選択できるので、利用者が安心してインターネット等のネットワークを介して眼鏡・コンタクトレンズのオーダー販売サービスを受けることができる。
【0088】
上記実施形態では、利用者クライアントとメガネオーダー販売センターと外部決済処理機関とは、インターネットにより接続されるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、一部もしくは全部が特定の組織内のLANやWAN等を介して接続されるものであってもよいことは言うまでもない。また、必ずしもネットワークを介して被検者に検眼サービスを提供する場合に限らず、店舗等において本願発明の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムを設置し、スタンドアローンでメガネのオーダー販売サービスを提供するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムについて説明したが、本願発明の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの各手段をステップとして備える眼鏡・コンタクトレンズ選定方法によれば、ハードウェア構成の如何を問わず本願発明の効果を奏する。
【0089】
また、本願発明の方法は汎用のパーソナルコンピュータによっても実現できるので、本願発明の方法をパーソナルコンピュータで実行可能なように記述したコンピュータプログラムを利用者に供給して眼鏡・コンタクトレンズの選定サービスを提供するものであってもよい。尚、コンピュータプログラムは、CD−ROM等の記録媒体によって提供されるものであってもよく、インターネット等を介してダウンロードすることによって利用者に提供されるものであってもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】 利用者が眼鏡・コンタクトレンズを購入する際の処理の概要を示す図である。
【図3】 眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの処理において、利用者を区分する処理の概要を示す図である。
【図4】 利用者が既に顧客であった場合の処理の概要を示す図である。
【図5】 利用者が顧客でなかったが処方箋があった場合の処理の概要を示す図である。
【図6】 利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって、老眼鏡対象者でない場合の処理の概要を示す図である。
【図7】 利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって、老眼の自覚症状のない場合の処理の概要を示す図である。
【図8】 利用者が既成の老眼鏡を希望する場合の処理の概要を示す図である。
【図9】 レンズ選択基準データベースである。
【図10】 レンズデータベースである。
【図11】 サイトトップ画面の図解図である。
【図12】 パソコン画面情報の収集画面の図解図である。
【図13】 サービス選択画面の図解図である。
【図14】 フレーム選びトップ画面の図解図である。
【図15】 PD測定画面の図解図である。
【図16】 顔画像選択画面の図解図である。
【図17】 自画像アップロード画面の図解図である。
【図18】 フレーム選び体験画面の図解図である。
【図19】 色違い表示画面の図解図である。
【図20】 キープの中身確認画面の図解図である。
【図21】 購入フレーム確認画面の図解図である。
【図22】 メガネを作る度数選択画面の図解図である。
【図23】 処方せんデータ入力画面の図解図である。
【図24】 レンズの厚み比較画面の図解図である。
【図25】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備えるレンズ装用仮想体験システムの構成例を示す図である。
【図26】 利用者情報に関するデータベースの例を示す図である。
【図27】 フレーム選択情報入力手段より入力されるデータの例を示す図である。
【図28】 フレームの機能構造に関するデータベース構造の例を示す図である。
【図29】 フレームの装飾構造に関するデータベース構造の例を示す図である。
【図30】 顔画像の側面における測定方法を示す図解図である。
【図31】 顔画像の正面における測定方法を示す図解図である。
【図32】 フレームの調整方法を示す図解図である。
【図33】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備える遠隔自覚視力測定システムの構成例を示す図である。
【図34】 レンズ度数決定の画面フロー図(その1)である。
【図35】 レンズ度数決定の画面フロー図(その2)である。
【図36】 パソコン画面情報収集画面の図解図である。
【図37】 利用者情報入力画面の図解図である。
【図38】 装用条件入力画面の図解図である。
【図39】 乱視軸測定ステップ1において表示されるガイダンス画面の図解図である。
【図40】 乱視軸測定ステップ2において表示される乱視軸判定チャートの図解図である。
【図41】 乱視軸測定ステップ3における利用者の状態を示す図である。
【図42】 乱視軸測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
【図43】 遠点視力測定ステップ1において表示される遠点視力測定視標の図解図である。
【図44】 遠点視力測定ステップ2における利用者の状態を示す図である。
【図45】 遠点視力測定ステップ3における利用者の状態を示す図である。
【図46】 遠点視力測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
【図47】 遠点視力測定ステップ5における利用者の状態を示す図である。
【図48】 遠点視力測定ステップ5−1における遠点視力測定視標の見え方の例を示す図である。
【図49】 遠点視力測定ステップ7における利用者の状態を示す図である。
【図50】 近点距離測定を行うための事前準備状態を示す図である。
【図51】 近点距離測定ステップ1において表示される近点距離測定視標の図解図である。
【図52】 (A)は、近点距離測定ステップ2における利用者の状態を示す図であり、(B)は、図がぼけて見えている状態を示す。
【図53】 (A)は、近点距離測定ステップ3における利用者の状態を示す図であり、(B)は、図がはっきりと見えている状態を示す。
【図54】 近点距離測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
【図55】 近点距離測定ステップ5における利用者の状態を示す図である。
【図56】 近点距離測定ステップ6における利用者の状態を示す図である。
【図57】 近点距離測定ステップ7における利用者の状態を示す図である。
【図58】 近点距離測定ステップ8における利用者の状態を示す図である。
【図59】 近点距離測定ステップ9において表示される近点距離測定視標の図解図である。
【図60】 近点距離測定ステップ10における利用者の状態を示す図である。
【図61】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備える検眼システムの構成例を示す図である。
【図62】 検眼システムの処理フローの例を示す図である。
【図63】 個人情報入力画面の表示例を示す図である。
【図64】 装着条件入力画面の表示例を示す図である。
【図65】 乱視軸判定の説明画面の表示例を示す図である。
【図66】 乱視軸判定画面の表示例を示す図である。
【図67】 遠点視力測定の説明画面の表示例を示す図である。
【図68】 遠点視力測定画面の表示例を示す図である。
【図69】 近点距離測定の説明画面の表示例を示す図である。
【図70】 近点距離測定画面の表示例を示す図である。
【図71】 遠点距離演算用ニューラルネットワークの構成例を示す図である。
【図72】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備えるレンズ度数決定システムの構成例を示す図である。
【図73】 遠点視力を測定する視標を示す図解図であり、(a)は最も大きい視標であり、(b)は中ぐらいの大きさの視標であり、(c)は、最も小さい視標である。
【図74】 眼球光学モデルを示す図解図である。
【図75】 この発明にかかる矯正レンズ決定サーバの動作を示すフローチャート図である。
【図76】 鮮鋭度スコアと見え方の関係を例示した図である。
【図77】 矯正前後の視認映像を確認する画面を例示した図である。
【符号の説明】
1 利用者クライアント
11 入出力装置
12 WWWブラウザ
2 メガネオーダー販売サービスセンター
21 電子ショップ情報処理手段
22 表示情報生成手段
23 メガネオーダー販売処理手段
24 決済処理手段
25 WWWサーバ/CGI
26 レンズ選択手段
27 フレーム選択手段
28 レンズ度数決定手段
3 外部決済処理機関
8018 遠点距離演算部
8020 スタート眼球光学モデル決定部
8022 眼球光学モデル集光性能算出部
8024 モデル妥当性検証部
8026 眼球光学諸元調節範囲確定部
8028 眼球光学モデル決定部
8030 視認映像生成部
8032 鮮鋭度スコア生成部
8034 レンズ度数選定部
【請求項1】 利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、
人の眼の調節状態を模擬する眼球光学モデルにおいて、前記入力手段により入力された眼の状態に関する情報に基づいて、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、
前記決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、光学諸元の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、
利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの集光性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段と、
前記選定された眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成して表示する装用状態表示手段とを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項2】 前記入力手段は、利用者の乱視軸を測定する手段と、前記乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の遠点視力を測定する手段と、前記測定された遠点視力から利用者の遠点距離を推定する手段とを含む、請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項3】 前記眼球光学モデル決定手段は、利用者の年令と概算レンズ度数とを含む眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定するスタート眼球光学モデル決定手段を含む、請求項1または請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項4】 前記眼球光学モデル決定手段は、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように光学諸元を決定する手段を含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項5】 利用者の近点側および/または遠点側の調節限界における集光状態を確認し、眼球光学モデルの妥当性を検証する眼球光学モデル妥当性検証手段を備えた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項6】 削除
【請求項7】 前記決定された眼球光学モデルのイメージを生成して表示する眼球光学モデルイメージ生成手段を備えた、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項8】 前記決定された眼球光学モデルを用い、利用者の裸眼状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出する手段と、前記算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成する手段とを備えた、請求項1ないし請求項5および請求項7のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項9】 前記レンズ度数選定手段は、前記決定された眼球光学モデルを用い、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正された状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出する手段と、前記算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成する手段とを備えた、請求項1ないし請求項5、請求項7、請求項8のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項10】 前記集光性能を算出する手段は、視認映像の鮮鋭度合を示す鮮鋭度スコアを演算する手段を含み、
前記視認される映像を表示する手段は、前記演算された鮮鋭度スコアに基づいて視認映像を生成する、請求項8または請求項9に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項11】 削除
【請求項12】 前記装用状態表示手段は、利用者の画像を取得する画像取得手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を前記画像取得手段により取得された利用者の画像と合成する画像合成手段とを含む、請求項1ないし請求項5ならびに請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
【請求項13】 利用者の眼の状態に関する情報を入力するステップと、
人の眼の調節状態を模擬する眼球光学モデルにおいて、前記入力するステップにより入力された眼の状態に関する情報に基づいて、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定するステップと、
前記眼球光学モデルを決定するステップにより決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、光学諸元の調節範囲を確定するステップと、
利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの集光性能を検証し、レンズ度数を選定するステップと、
前記選定された眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップとを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項14】 前記入力するステップは、利用者の年令、装用条件を含む個人情報を入力するステップと、利用者の乱視軸を測定するステップと、前記乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の近点距離を測定するステップと、前記乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の遠点視力を測定するステップと、前記測定された遠点視力から利用者の遠点距離を推定するステップとを含む、請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項15】 前記眼球光学モデルを決定するステップは、前記入力された利用者の年令と概算レンズ度数とを含む眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定するステップを含む、請求項13または請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項16】 前記眼球光学モデルを決定するステップは、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように光学諸元を決定するステップを含む、請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項17】 利用者の近点側および/または遠点側の調節限界における集光状態を確認し、眼球光学モデルの妥当性を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項18】 削除
【請求項19】 前記決定された眼球光学モデルのイメージを生成して表示するステップを備えた、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項20】 前記決定された眼球光学モデルを用い、利用者の裸眼状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出するステップと、前記算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成するステップとを備えた、請求項13ないし請求項17および請求項19のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項21】 前記レンズ度数を選定するステップは、前記決定された眼球光学モデルを用い、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正された状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出するステップと、前記算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成するステップとを備えた、請求項13ないし請求項17、請求項19、請求項20のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項22】 前記集光性能を算出するステップは、視認映像の鮮鋭度合を示す鮮鋭度スコアを演算するステップを含み、
前記視認される映像を表示するステップは、前記演算された鮮鋭度スコアに基づいて視認映像を生成するステップを含む、請求項20または請求項21に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【請求項23】 削除
【請求項24】 前記眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップは、利用者の画像を取得するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を前記取得された利用者の画像と合成するステップとを含む、請求項13ないし請求項17ならびに請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、眼鏡やコンタクトレンズを選定するシステムおよびその方法に関し、特に、コンピュータネットワーク上で各人にあった眼鏡やコンタクトレンズを選定することができる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の眼鏡レンズを選定する手段として、眼球模型を利用した方法がある。眼球模型としては、Gullstrandの模型眼、Le-Grandの模型眼がよく知られている。
この模型眼は、もっぱら眼鏡レンズの設計と評価用に用いられてきた。眼鏡レンズの設計の場合は、眼の光学モデルとして標準的なモデルを一つ準備すれば、標準的な眼の場合のいろいろな度数のレンズを設計することができる。それで済むのは、ある人の眼の構造がどうであれ、選べる眼鏡レンズの度数が0.25D毎に用意されているため、実際に掛けてみれば矯正に適する眼鏡レンズは必ず見つかるからである。つまり選択の自由度があるからである。
一方、現在、裸眼視力あるいは矯正後の視力の測定を行うには、眼科医に行って診療を受けることによって行われたり、あるいは眼鏡店に用意されている視力測定機器をもって視力の測定が行われている。
【0003】
近年、例えば、インターネットのようなネットワーク上で、仮想的な商店街が形成されているが、この仮想的な商店街に設けられた眼鏡店舗においてオンラインで裸眼視力及び矯正視力の測定をできるシステムは存在しない。
ところが、各人の眼にあった眼鏡レンズの度数を唯一決定しようとする場合、眼球模型のように眼の光学モデルを万人共通と考えたのでは光学計算の誤差が大きく、決定することができない。各人の眼の光学モデルを逐一構築することによってはじめて実現できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の模型眼をそのまま流用することの問題点は、次のようなことがある。
・従来の模型眼は、欧米人の測定値をもとにしたものであり、他の人種、たとえば、日本人の生体眼の実測値に近い模型を構築しようとする場合には、使うことができない。たとえば、角膜曲率半径の場合、欧米人と比して日本人のほうが曲率半径は小さい。
・測定値の平均値から一つのモデルを作成している。
文献によると前房深度は年令に応じて変化するというデータや、軽度の近視の場合、眼軸長は近視度と相関があるというデータがあり、明らかに各人の年令、近視度に応じた眼球モデルを構築する必要がある。
・水晶体の屈折率は不等質な分布をしているのに平均屈折率を使用している。水晶体の構造を2重構造にして単純化しているため、光線追跡結果の誤差が大きい。
【0005】
一方、医療機関や眼鏡店に行くには、時間や距離等から困難な場合に、インターネットを介して遠隔的に視力を測定することができるシステムの実現が待ち望まれている。
特に、現在かけている眼鏡あるいはコンタクトによっては従来と比較して物が見づらくなってきているような場合、眼鏡やコンタクトの買換えをする必要性があるかどうかを判断するために、遠隔的に裸眼視力あるいは矯正後の視力の測定を行うことが出来ると極めて便利である。
また、眼鏡やコンタクトレンズを選定したとき、利用者がその眼鏡やコンタクトレンズを装用した状態を確認できれば、より一層眼鏡やコンタクトレンズの選定が確実で且つ容易となる。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、遠隔的に各人の眼にあったレンズを選定でき、かつ装用状態を確認できる眼鏡・コンタクトレンズ選定システムおよびその方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、人の眼の調節状態を模擬する眼球光学モデルにおいて、前記入力手段により入力された眼の状態に関する情報に基づいて、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、前記決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、光学諸元の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの集光性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段と、選定された眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成して表示する装用状態表示手段とを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、入力手段が、利用者の乱視軸を測定する手段と、乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の遠点視力を測定する手段と、測定された遠点視力から利用者の遠点距離を推定する手段とを含む、請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項3に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル決定手段が、利用者の年令と概算レンズ度数とを含む眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定するスタート眼球光学モデル決定手段を含む、請求項1または請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項4に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、眼球光学モデル決定手段が、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように光学諸元を決定する手段を含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項5に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、利用者の近点側および/または遠点側の調節限界における集光状態を確認し、眼球光学モデルの妥当性を検証する眼球光学モデル妥当性検証手段を備えた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項7に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、決定された眼球光学モデルのイメージを生成して表示する眼球光学モデルイメージ生成手段を備えた、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項8に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、決定された眼球光学モデルを用い、利用者の裸眼状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出する手段と、算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成する手段とを備えた、請求項1ないし請求項5および請求項7のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項9に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、レンズ度数選定手段が、決定された眼球光学モデルを用い、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正された状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出する手段と、算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成する手段とを備えた、請求項1ないし請求項5、請求項7、請求項8のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項10に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、さらに、集光性能を算出する手段が、視認映像の鮮鋭度合を示す鮮鋭度スコアを演算する手段を含み、視認される映像を表示する手段は、演算された鮮鋭度スコアに基づいて視認映像を生成する、請求項8または請求項9に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項12に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムは、装用状態表示手段が、利用者の画像を取得する画像取得手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を画像取得手段により取得された利用者の画像と合成する画像合成手段とを含む、請求項1ないし請求項5ならびに請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムである。
この発明にかかる請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、利用者の眼の状態に関する情報を入力するステップと、人の眼の調節状態を模擬する眼球光学モデルにおいて、入力するステップにより入力された眼の状態に関する情報に基づいて、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定するステップと、眼球光学モデルを決定するステップにより決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、光学諸元の調節範囲を確定するステップと、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの集光性能を検証し、レンズ度数を選定するステップと、選定された眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップとを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、入力するステップが、利用者の年令、装用条件を含む個人情報を入力するステップと、利用者の乱視軸を測定するステップと、乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の近点距離を測定するステップと、乱視軸の測定において選択された方位とそれに直交する方位について利用者の遠点視力を測定するステップと、測定された遠点視力から利用者の遠点距離を推定するステップとを含む、請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項15に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルを決定するステップが、入力された利用者の年令と概算レンズ度数とを含む眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定するステップを含む、請求項13または請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項16に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼球光学モデルを決定するステップは、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように光学諸元を決定するステップを含む、請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項17に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、利用者の近点側および/または遠点側の調節限界における集光状態を確認し、眼球光学モデルの妥当性を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項19に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、決定された眼球光学モデルのイメージを生成して表示するステップを備えた、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項20に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、決定された眼球光学モデルを用い、利用者の裸眼状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出するステップと、算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成するステップとを備えた、請求項13ないし請求項17および請求項19のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項21に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、レンズ度数を選定するステップが、決定された眼球光学モデルを用い、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正された状態における所定の距離の調節を伴う集光性能を算出するステップと、算出された集光性能に基づいて利用者により視認される映像を生成するステップとを備えた、請求項13ないし請求項17、請求項19、請求項20のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項22に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、さらに、集光性能を算出するステップが、視認映像の鮮鋭度合を示す鮮鋭度スコアを演算するステップを含み、視認される映像を表示するステップは、演算された鮮鋭度スコアに基づいて視認映像を生成するステップを含む、請求項20または請求項21に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
この発明にかかる請求項24に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法は、眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップは、利用者の画像を取得するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を取得された利用者の画像と合成するステップとを含む、請求項13ないし請求項17ならびに請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法である。
【0008】
【発明の効果】
この発明によれば、各人の眼にあった眼鏡・コンタクトレンズを確実に且つ容易に選定することができる。
【0009】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
第1図は、この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムのシステム構成例を示す図である。図において、1は利用者クライアント、2はメガネオーダー販売サービスセンター、3は外部決済処理機関である。これらはネットワークを介して物理的に接続されている。なお、以下の説明では、利用者クライアント1とメガネオーダー販売サービスセンター2と外部決済処理機関3とを接続するネットワークがインターネットであるものとして説明を行う。
【0011】
利用者クライアント1は、メガネ購入者がネットワークを介してオーダー販売を受ける際に利用される端末であり、例えば、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータが用いられる。利用者クライアント1は、利用者であるユーザとの間のインタフェースとなる入出力装置であり、情報を入力する入力装置としては通常のキーボードやマウスを使用するが、トラックボールやジョイスティックなどのポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチなどの専用入力装置を備えるようにしてもよい。また、画像表示装置としては通常のCRTディスプレイや液晶モニタを使用する。更に、本利用者クライアント1では、処方箋データを画像情報として取得するための画像入力装置を備えており、ここではデジタルカメラ11aやスキャナ11bが用いられるが、ビデオカメラやテレビカメラなど画像情報をデジタイズして入力できる装置であればどのようなものでも良い。また、利用者クライアント1は、メガネオーダー販売サービスセンター2にアクセスしてサービスを受けるためのインタフェースとしてWWWブラウザ12を備える。
【0012】
メガネオーダー販売サービスセンター2は、インターネットを介して接続される利用者クライアント1に対して、各利用者の視力や要望に合わせたメガネをオーダー販売するサービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器から構成され、インターネットを介して利用者クライアント1と接続される。メガネオーダー販売サービスセンター2は、電子ショップ情報処理手段21、表示情報生成手段22、メガネオーダー販売処理手段23、決済処理手段24、WWWサーバ/CGI25、レンズ選択手段26、フレーム選択手段27、レンズ度数決定手段28を備える。
【0013】
電子ショップ情報処理手段21は、入出力装置を介し、商品定義部211を用いて、メガネオーダー販売サービスセンター2で取り扱うメガネレンズ・フレーム等の商品データの定義を行う。ここで定義された商品データは、商品データ情報として、商品データベースに格納される。
【0014】
この実施の形態において、商品データ情報は、フレーム等の商品を陳列する商品棚の名称、メガネレンズ・フレーム等の商品番号、商品名、価格、商品の説明、そして商品管理情報などのテキストデータと、フレーム等の商品の画像データを含んでいる。メガネオーダー販売サービスセンター2は、また、電子カタログの作成者とのインタフェースとして入出力装置を備えるが、入出力装置は、カタログ作成者から商品定義に必要となる商品棚名、商品目、価格などのテキストデータ、あるいは、商品形状を表すようなイメージデータ等の商品情報の入力を受け付ける。また、利用者により購入された商品の受注情報として、商品番号、数量などの商品情報、商品の送付先情報、外部決済処理機関名、決済日、金額などの決済情報を含む情報の出力を行う。
【0015】
電子ショップ情報処理手段21には、ショップデータベース、商品データベース、バスケットデータベースを含む電子ショップ出店情報データベースが設けられる。ショップデータベースは、電子ショップを出店するための情報と、商品情報を表示するためのショップレイアウトを定義する情報を格納している。商品データベースは、定義された商品データ情報を格納する。また、バスケットデータベースは、利用者クライアント1 から購入を指示された商品の情報を蓄積するためのものである。電子ショップ情報処理手段21は、転送された商品データ情報を商品データベースに格納する機能を実現する。
【0016】
表示情報生成手段22は、利用者クライアント1からの要求に応じて、電子カタログなどの表示情報を生成する。表示情報生成手段22は、パラメータ解析手段221、ファイル検索手段222、及び表示データ生成手段223を含んで構成される。パラメータ解析手段221は、WWWサーバ/CGI25を介して利用者クライアント1から受け取った視力測定データ・フレーム選択情報等を解析し、視力測定データ・フレーム選択情報等に含まれるパラメータを抽出する。ファイル検索手段222は、パラメータ解析手段221により抽出されたパラメータに基づいて、電子ショップ情報処理手段21によって登録され記憶された各データベースを検索する。表示データ生成手段223は、ファイル検索手段222により検索されたデータをもとにWWWページとして表示可能な表示データを生成する。すなわち、表示データ生成手段223は、いわゆるWWWページジェネレータとしての機能を有する。
【0017】
メガネオーダー販売処理手段23は、利用者クライアント1により購入予定商品(メガネレンズ・フレーム等)が決定されたとき、表示情報生成手段22から顧客IDと購入予定の商品IDを受け取り、これらの情報をもとに、商品データベースから購入する商品の詳細情報を取得して、バスケットデータベース内の対象としている顧客用の顧客バスケットデータベースにその商品の情報を格納する。その後、対象顧客が購入予定の商品の一覧をバスケットデータベースから取得し、表示情報生成手段22に渡す。
【0018】
決済処理手段24は、利用者クライアント1により商品の購入が決定されたとき、表示情報生成手段22から顧客IDを受け取り、バスケットデータベースから利用者に対応する商品データ情報を取り出す。そして、取り出した商品データ情報に基づいて外部決済処理機関3に決済処理を依頼する。決済処理手段24は、外部決済処理機関3から決済処理が終了したことの通知を受け、メガネオーダー販売処理手段23・電子ショップ情報処理手段21に受注処理が完了したことを知らせるとともに、利用者クライアント1に購入処理を知らせる明細書データを作成し、表示情報生成手段22にそのデータを渡す。
【0019】
WWWサーバ/CGI25は、利用者クライアント1との間のインターフェースとして機能し、利用者クライアント1から表示要求情報を受け取り、また、利用者クライアント1に表示データを転送する。
フレーム選択手段27は、仮想店舗に陳列されているフレームから利用者の希望するフレームの選択を行うもので、ここでは後述するメガネ装用体験システムで説明するフレーム選択処理を行い、利用者が購入したいフレームを顔にかけた画像を確認しながら選択することができる。
レンズ度数決定手段28は、利用者の視力を遠隔で測定して矯正レンズの度数を決定するもので、ここでは後述の遠隔自覚視力測定システムで説明する眼球光学モデルを用いた視力測定を行い、矯正レンズの度数を精度良く決定する。
【0020】
レンズ選択手段26は、視力測定結果や予算、レンズの機能等を考慮して利用者に合ったレンズの選択を行う。
外部決済処理機関3では、メガネオーダー販売サービスセンター2の決済処理手段24から送られてくる依頼に基づき、メガネオーダー販売サービスセンター2に代わってオーダーされたメガネの代金の決済処理業務を行う。
【0021】
次に、利用者クライアント1およびメガネオーダー販売サービスセンター2の動作概要について以下説明する。
メガネオーダー販売サービスセンター2では、WWWサーバ/CGI25が利用者クライアント1より送られてきたメガネオーダーページ情報を受け取り、表示情報生成手段22を起動する。
表示情報生成手段22は起動されると、WWWサーバ/CGI25からメガネオーダーページ情報を受け取り、パラメータ解析手段221により受け取ったメガネオーダーページ情報の解析を行う。パラメータ解析手段221は、解析結果として、表示対象となる電子ショップを特定するためのショップID、電子カタログの背景画面の種類を特定するカタログテンプレート、表示すべき商品の商品ID、利用者を特定するための顧客IDなどの情報を出力する。パラメータ解析手段221により出力されたこれらのデータをもとに、ファイル検索手段222は、ショップデータベース、商品データベース、バスケットデータベースを検索し、利用者クライアント1から要求された表示画面を作成するのに必要なデータを取得する。
ファイル検索手段222によりデータが取得されると、次に、表示データ生成手段223に処理が移る。表示データ生成手段223は、まず、利用者クライアント1からの要求の種類を判別する。利用者クライアント1からの要求が、“購入予定商品の決定”、“商品購入”以外であれば、ファイル検索手段223により、検索された結果を用いて表示データ生成手段223で表示用のデータを生成する。
【0022】
利用者クライアント1からの要求の種類を判別するステップにおける判別の結果、利用者クライアント1からの要求の種類が“購入予定商品の決定”であった場合、すなわち、顧客が表示されている商品の購入予定を指示するべく「選択した商品を買物かごに入れる」の指示を行った場合、表示データ生成手段223はメガネオーダー販売処理手段23を起動する。
メガネオーダー販売処理手段23は、起動されると、表示データ生成手段223から顧客IDと顧客から購入予定を指示された商品の商品IDを受け取る。この商品IDをキー情報として商品データベースから該当する商品についての詳細な商品データ情報を取得する。そして、前記ステップで取得した商品データ情報をバスケットデータベース内にある表示データ生成手段223から受け取った顧客IDで識別される顧客の顧客バスケットデータベースに格納する。このとき、該当する顧客バスケットデータベースが存在しないときには、その顧客IDに対応した顧客バスケットデータベースを作成して商品データ情報を格納する。さらに、この顧客バスケットデータベースから顧客がこれまでに選択したすべての商品データ情報を取り出して表示データ生成手段223に渡す。この場合、表示データ生成手段223は、メガネオーダー販売処理手段23から受け取った商品データ情報から顧客が購入を予定している商品の一覧表示情報を作成し、利用者クライアント1に送る。このとき表示される情報をもとに、顧客は購入しようとしている商品の確認、購入予定商品の一部、あるいは全部の取消しを行うことが可能である。
【0023】
利用者クライアント1からの要求の種類を判別するステップにおける判別の結果、利用者クライアント1からの要求の種類が“商品の購入”であった場合、つまり、顧客がこれまで選択した商品の購入決定を指示した場合、表示データ生成手段223は、表示データの生成を行うのに先立って決済処理手段24を起動する。
決済処理手段24は、起動されると、表示データ生成手段223から顧客IDを受け取る。受け取った顧客IDをキーとして、決済処理手段24は、バスケットデータベースから顧客IDで特定される顧客の顧客バスケットデータベースに保持された購入商品の商品データ情報を検索する。検索の結果得られた商品データ情報に基づいて、外部決済処理機関3に決済処理を依頼する。外部決済処理機関3は、この依頼に応じ、メガネオーダー販売サービスセンター2に代わって決済処理業務を実行し、決済処理が完了するとそのことをメガネオーダー販売サービスセンター2に通知する。外部決済処理機関3で行われる決済処理については、従来と特に変わるところはないので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
外部決済処理機関3から決済処理が終了した旨の通知を受けると、決済処理手段24は、商品番号、受注数量など受注した商品に関する情報、商品の送り先を示す送付先情報、及び、決済処理を代行する外部決済処理機関3の名称、決済日、金額情報などからなる決済情報を含む受注情報をメガネオーダー販売サービスセンター2に転送する。メガネオーダー販売サービスセンター2では、入出力装置によりWWWサーバ/CGIから受け取った受注情報の表示が行われる。最後に決済処理手段24は、決済処理が終了したことを知らせる明細書データを作成して表示データ生成手段223に渡す。表示データ生成手段223は、受け取った明細書データを用いて、決済処理完了を知らせる表示画面を生成し、利用者クライアント1に転送する。
【0025】
次に、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムによりメガネをオーダー販売する方法について以下説明する。
第2図は、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを購入する際の処理の概要を示す図である。図のように、利用者がフレームの選択を希望する場合は、フレームの選択を行い、利用者が視力の測定を希望する場合は、裸眼視力及び矯正後視力の測定を行い、利用者がレンズの選択を希望する場合はレンズの選択を行い、代金決済処理からの代金前渡し又は内金の通知を受けて、選択されたフレームと選択されたレンズの情報と視力測定結果とに基づいて眼鏡・コンタクトレンズの加工・組立を行い、利用者に対して代金引き換えにより商品を引き渡す。尚、ここでは、フレームの選択、視力の測定、レンズの選択の順に処理するものとして説明したが、利用者の要求により必要とする処理のみを行えばよく、その順序は任意でよい。例えば、最初に視力の測定を行い、次にレンズを選択して、最後にフレームを選択するようにしてもよく、利用者がレンズ度数の変更のみを希望する場合は、視力の測定のみを行い、顧客データベースに基づいてレンズの選択やフレームの選択を行うようにしてもよく、利用者がフレームの変更のみを希望する場合は、フレームの選択のみを行い、顧客データベースに基づいて視力の決定やレンズの選択を行うようにしてもよい。
【0026】
第3図から第8図は、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの処理の概要を示す。第3図は最初に利用者を区分する処理の概要を示す図であり、第4図は利用者が既に顧客であった場合の処理の概要を示す図であり、第5図は利用者が顧客でなかったが処方箋があった場合の処理の概要を示す図であり、第6図は利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって老眼鏡対象者でない場合の処理の概要を示す図であり、第7図は利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって老眼の自覚症状のない場合の処理の概要を示す図であり、第8図は利用者が既成の老眼鏡を希望する場合の処理の概要を示す図である。
【0027】
まず、メガネオーダー販売サービスセンター2は、利用者クライアント1からの接続を受け付けると、氏名、生年月日、電話番号等の基本属性の入力を促す基本属性入力画面を送信する。利用者クライアント1では、基本属性入力画面を受信して表示し、利用者が入力した基本属性をメガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。メガネオーダー販売サービスセンター2は、入力された基本属性を受信し、メガネオーダー販売処理手段23により顧客データベースを検索する。
検索の結果、利用者が既にメガネを購入したことのある顧客であることが判明した場合には、第4図に進み、利用者クライアント1に対して利用者の意向を確認する問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「前回と同じレンズで、且つ前回と同じフレームでよい」を選択した場合は、顧客データベース(バスケットデータベース)に管理されている視力測定データ、フレーム情報データ及びレンズ情報データに基づき、レンズを作成する。利用者がその問合せ画面に対して、新しいレンズおよび/または新しいフレームにすることを希望した場合は、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその選択画面において、「前回と同じ度数を希望しない」を選択した場合は「レンズ度数決定ステップ」を実行し、「新しいフレームを選択する」を選択した場合は「フレーム選択ステップ」を実行し、「新しいレンズを選択する」を選択した場合は、「レンズ選択ステップ」を実行する。尚、ここでは「レンズ度数決定ステップ」においては、後述の「遠隔視力測定システム」を実施し、「フレーム選択ステップ」においては、利用者クライアント1に対してメガネ装用仮想体験をするか否かを問合せる問合せ画面を送信し、利用者が「メガネ装用体験をする」を選択したときは「メガネ装用仮想体験システム」を実施する。
【0028】
顧客でなかった場合は、眼科医が処方した処方箋を所持しているか否かを問合せる処方箋確認画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその処方箋確認画面に対して、「医師の処方箋を持っている」を選択した場合には、第5図に進み、利用者クライアント1に対して処方箋入力指示画面を送信する。利用者は、その画面の指示に従って、処方箋をスキャナーにより画像データとして入力するか、キーボードからテキストデータとして入力し、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。そして、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
また、利用者が「処方箋を持っていない」を選択した場合は、利用者の年齢が40ないし45才を超えているか否かを問合せる問合せ画面を利用者クライアント1に送信する。利用者がその問合せ画面に対して「40ないし45才以下である」を選択した場合は、第6図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
【0029】
利用者が「40ないし45才を超えている」を選択した場合には、更に利用者クライアント1に対して手元が見えにくいという自覚症状があるか否かを問合せる問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「自覚症状がない」を選択した場合は、第7図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。尚、この場合において、利用者の年齢から老眼の可能性があるので、更に「遠用・近用・遠近両用から選択するステップ」を実行する。
利用者が「自覚症状がある」を選択した場合は、メガネオーダー販売サービスセンター2は利用者を老眼と判断し、利用者クライアント1に対してオーダー老眼鏡を希望するか否かを問い合わせる問合せ画面を送信する。利用者がその問合せ画面に対して「オーダー眼鏡を希望する」を選択した場合は、第7図に進み、前述の場合と同様に、「レンズ度数決定ステップ」「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアント1に送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。尚、この場合において、更に「遠用・近用・遠近両用から選択するステップ」を実行する。
利用者が「既成の老眼鏡でよい」を選択した場合は、第8図に進み、利用者の年齢から判断される度数を決定し、「フレーム選択ステップ」「レンズ選択ステップ」に移行するためのステップ選択画面を利用者クライアントに送信し、利用者の要求に従って各処理を実行する。
【0030】
上記処理においては、最初に利用者の基本情報を入力するとして説明したが、あらかじめ基本情報を登録した利用者にユーザーIDやパスワードを発行し、利用者が利用者クライアント1からメガネオーダー販売サービスセンター2に接続する際に、ユーザーIDやパスワードを入力して、認証を行うようにしてもよい。この場合には、ユーザーIDによって、利用者が既にメガネを購入した顧客か否かを判断できる。
【0031】
次に、具体的に利用者クライアント1に表示される画面の例を用いて、どのようにサービスが提供されるかを説明する。
まず、メガネオーダー販売サービスセンター2は、最初にサイトトップ画面(第11図)を利用者クライアント1に送信し、引き続いてパソコン画面情報の収集画面(第12図)を利用者クライアント1に送信し、購入者にパソコン画面の解像度・大きさ等のディスプレイ(モニタ)情報の入力を促し、利用者クライアント1より入力されたディスプレイ情報を取得する。
次に、利用者は、メガネオーダー販売サービスセンター2より送信されたサービス選択画面(第13図)において、「遠隔自覚視力測定ステップ(世界初!自分でチェックできるメガネレンズ度数特定システム)」「フレーム選択ステップ(いろいろなメガネを掛け替える!フレーム試着室)」「レンズ選択ステップ(度なしレンズを利用する)」「処方箋利用ステップ(眼科でもらった処方箋データやメガネ店のカードのデータを利用する)」のいずれかをクリックして、利用者クライアントからメガネオーダー販売サービスセンター2に利用者の意向を送信する。
なお、遠隔自覚視力測定ステップ又は処方箋利用ステップにおいては、レンズの選択基準が明確になった段階において、レンズ選択ステップに移行することになる。
【0032】
次に、レンズ選択ステップについて説明する。
利用者が直近の視力データと同じでよいと判断し、「前回と同じレンズ選択」をクリックしたとき、利用者が医師の処方箋データに基づいてレンズを作成してよいと判断し、「処方箋によるレンズ選択」をクリックしたとき、あるいは利用者が既製の老眼鏡でよいと判断し、「既製老眼鏡でよい」をクリックしたときは、レンズ選択手段26は、それぞれのデータに基づいてレンズを選択する。
尚、直近の視力データがあるとき、あるいは医師の処方箋があるときでも、利用者が遠隔的に視力を測定することを希望するときは、視力決定手段28による遠隔視力測定ステップに進み、利用者は視力の測定を受けることができる。
メガネオーダー販売サービスセンター2においては、種々のレンズがデータベース(第9図および第10図)として登録されているが、レンズ選択手段26は、その中から直近の視力データ、医師の処方箋または遠隔視力測定システムにより測定されたデータに基づいて、利用者クライアント1から入力された利用者の希望に沿ったレンズ、またはメガネオーダー販売サービスセンター2が利用者に推奨するレンズを表示したレンズ選択画面を利用者クライアント1に送信する。また、利用者が既に顧客であった場合は、前回購入したレンズもレンズ選択画面に表示される。
レンズを選択する際の選択肢としては、メーカー名、型版、用途、レンズの機能(レンズの厚さ、レンズの軽さ、耐久性、UVカット)、カラー、価格、度数等があり、利用者はそれらの選択肢を指定してレンズを検索し、購入を希望するレンズを選択して、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。
【0033】
次に、フレーム選択ステップについて説明する。
例えば、既に顧客であった場合など、フレームの機能面および装飾面についてのデータが、メガネオーダー販売サービスセンター2において存在する場合は、ファッション、イメージ、デザイン等によってフレームを指定できる。
そこで、フレームの機能的なデータおよび装飾的なデータがメガネオーダー販売サービスセンター2にある場合のフレームの選択について、以下説明する。
【0034】
フレームは、メガネオーダー販売サービスセンター2においてデータベースとして登録されており、フレーム選択手段27は、その中から代表的なフレームを表示したフレーム選びトップ画面(第14図)を、利用者クライアント1に送信する。そして、利用者がファッション、素材、デザイン、予算等についてのアンケート式の問い合わせに対して回答することにより、フレーム選択手段27は、利用者の意向を表したデータに基づいて最適と判断されるフレームを選択し、利用者クライアント1にフレーム選択画面を送信する。
フレーム選択画面は、メガネフレームを性別/素材別に選別してカテゴリー分けをし、そのカテゴリーに含まれる代表的なフレーム画像を表示する。
既に顧客であった場合は、前回購入したフレームもフレーム選択画面に表示する。
フレームの選択肢としては、ファッション、素材、デザイン、価格等があり、利用者はその選択肢を見て希望条件を入力し、表示されたフレーム画像から購入を希望するフレームを選択し、メガネオーダー販売サービスセンター2に送信する。
このとき、本システムでは、選択されたフレームを仮想的にモデルまたは自分の顔に装用する体験のできる装用状態表示手段を備えている。
【0035】
次に、この発明を構成する装用状態表示手段の一実施形態について、第25図に示すメガネ装用仮想体験システムを用いて説明する。
このメガネ装用仮想体験システムは、モデルまたは利用者の顔に種々の眼鏡フレームを装用させる仮想体験のできるシステムであり、利用者クライアント2001とメガネオーダー販売サービスセンター2002とから構成される。利用者クライアント2001とメガネオーダー販売サービスセンター2002はネットワークを介して物理的に接続されている。ここでは、そのネットワークがインターネットであるとして、以下の説明をする。
【0036】
利用者クライアント2001は、利用者がメガネの装用仮想体験をする際に使用する端末であり、例えば、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータにより構成される。メガネの装用状態を表示する画像表示装置としては、通常のCRTディスプレイや液晶モニタを使用するが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や投影式の表示装置等の専用画像表示装置を用意してもよい。また、フレームの選択情報等の情報を入力する入力装置としては、通常のキーボードやマウスを使用するが、トラックボール、ジョイスティックなどのポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチなどの専用入力装置を用意してもよい。さらに、本利用者クライアント2001は、利用者の顔画像を取得するための画像入力手段を備えており、ここではデジタルカメラを使用するが、ビデオカメラやスキャナーなど画像をデジタイズして入力できる装置であればどのようなものでも良い。また、利用者クライアント2001は、メガネオーダー販売サービスセンター2002にアクセスしてサービスを受けるためのインターフェースとしてWWWブラウザを備える。
メガネオーダー販売サービスセンター2002は、メガネ装用仮想体験サービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器によって構成され、インターネットを介して利用者クライアント2001と接続される。メガネオーダー販売サービスセンター2002は、利用者クライアント2001に対してサービスを提供するための窓口となるWWWサーバを備える。また、利用者の顔画像を含む利用者情報の登録を行う利用者情報登録手段2003、利用者がフレームを選択する際の選択情報の入力を行うフレーム選択情報入力手段2004、データベースに対するアクセス管理を行うデータベース管理手段2005、販売対象となるフレームの機能構造・装飾構造を登録するフレーム情報登録手段2060、販売対象となるフレームの画像を登録するフレーム画像登録手段2061、フレーム画像をモデル又は利用者の顔画像と合成する画像合成手段2007、フレーム選択情報に基づいて該当するフレームを選択するフレーム選択手段2008を備え、入力手段2006および出力手段2009を介してWWWサーバに接続されている。これらの各手段は必要に応じてWWWサーバのCGIによって起動され、利用者クライアント2001に対してメガネ装用仮想体験サービスを提供する。また、WWWサーバは、利用者クライアント2001が正規の利用者であることを認証する利用者認証機能を有する。
データベース管理手段2005が管理するデータベースには、第26図ないし第29図に示すような利用者情報データベース、フレームの選択情報データベース、フレーム機能構造データベース、フレーム装飾構造データベースを備える。
【0037】
次に、本システムによって利用者にメガネ装用仮想体験サービスを提供する際の処理手順について説明する。
まず最初に、サービス提供者はフレーム情報登録手段2060を起動して、キーボード等により販売するメガネの機能構造データおよび装飾構造データを入力してデータベースに登録する。
フレーム機能構造データは、第28図に示すように、サイズは実寸(44Φ〜62Φ)であり、特徴は、形状記憶合金、超軽量、超弾性、サングラス兼用、携帯用、その他であり、機能は、左右の瞳孔間の距離、左右の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅、左右の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅より決定されたテンプルの開き角、耳元より角膜頂点までの距離、テンプルの曲げる位置、角膜頂点と鼻もとまでの距離、角膜頂点と鼻もとまでの距離を基に決定される鼻のクリングス(鼻当て部)の開き角度である。フレーム装飾構造データは、第29図に示すように、玉型(シェイプ)はウェリントン、ロイド、オーバル、スクエア、トノー、ボストン、バタフライ、オート(ドロップ)である。素材は縁なし(ツーポイント、スリーポイント)、メタルナイロール、セルナイロール、メタル、セル、ブロライン、コンビ、その他である。ブランドは各種ブランドで、カラーは各種カラーである。
また、フレーム画像登録手段2061を起動して、スキャナー等により販売するメガネのフレーム画像を入力して、データベースに登録する。
【0038】
次に、利用者が利用者クライアント2001のWWWブラウザを用いてWWWサーバにアクセスすると、WWWサーバは利用者認証画面を送信する。利用者認証画面は、ユーザID・パスワード等の利用者認証情報の入力を促す画面であるが、既に前のステップで利用者の認証が完了していれば改めて行う必要はなく、省略される。
データベース管理手段2005は、入力された利用者認証情報について利用者情報データベースを検索して認証を行う。
利用者が初めてサービスの提供を受ける場合には、利用者情報登録手段2003が起動され、利用者クライアント2001に基本属性入力画面を送信される。利用者が画面に従って利用者の基本属性、例えば氏名、住所、生年月日、電話番号、目の調子(手元が見えにくい等)、メガネに対する要望等を入力すると、当該利用者にユーザIDとパスワードが発行され、受信された利用者の基本属性情報が利用者情報データベースに登録される。
利用者の認証が完了すると、フレーム選択情報入力手段2004が起動され、利用者がフレーム選択情報を入力するためのフレーム選択情報入力画面が利用者クライアント2001に送信される。フレーム選択情報入力画面は、利用者がフレームを選択するための基準(ファッション性、予算、機能、顔へのフィット感等)を入力する画面である。利用者は、フレーム選択情報入力画面にファッション性、予算、機能、顔へのフィット感等のフレーム選択基準を入力する。
【0039】
次に、利用者クライアント2001にPD測定画面(第15図)が送信され、レンズの中央に瞳孔を合わせるために、瞳孔の位置を測定する。
上記テキストデータによるフレーム選択基準の入力およびPD測定が終了すると、「誰の顔でフレームの掛け替えを行いますか?」と問いかける顔画像選択画面(第16図)が送信される。利用者が「モデルの顔を使う」を選択したときは、次のフレーム選び体験画面に進むが、「自分の顔写真を使う」を選んだときは、自画像アップロード画面(第17図)が送信される。
自画像アップロード画面においては、「あなたの写真データはどちらですか?」と問合せる画面が送信され、利用者に「デジカメ写真データを使う場合」か「スキャナで撮った写真データを使う場合」かを選択させる。利用者は、正面と側面(左右とも)の顔画像を画像入力装置によって、利用者クライアント2001に取りこみ、メガネオーダー販売サービスセンター2002に送信する。
【0040】
フレーム選択情報入力手段2004は、利用者クライアント2001から送られたフレーム選択情報のテキストデータ及び画像データ(利用者の顔の画像)を受信し、下記のようにしてフレーム選択情報データベースに必要な情報を登録する。
(1)利用者の側面画像(第30図)をもとにして、利用者の耳元より角膜頂点までの距離(L1)を左右別々に測定し、登録する。前記測定数値より、テンプル(つる)の曲げる位置を左右別々に決定し、登録する。
(2)利用者の側面画像をもとにして、利用者の目の角膜頂点と鼻もとまでの距離(L2)を測定して、左右の平均をとった数値を登録する。L2は通例12mmである。前記測定した数値をもとにして鼻のクリングス(鼻当て部)の開き角度を決定し、登録する。
(3)利用者の正面画像(第31図)をもとにして左右の目の瞳孔間の中心を基点として、耳元までの幅(L3)を左右別々に測定し、登録する。前記測定数値をもとにしてテンプルの開き角θを左右別々に決定し、登録する。
尚、左右の目の瞳孔間の中心を基点とした耳元までの幅は、まず瞳孔間距離(PD)を求める。但し、瞳孔の位置が顔画像では明確に検知できないので、例えば左目の左側と右目の左側の距離(PD1)を求めることによって(PD)の近似値を求める。
また、目の瞳孔と耳元までの距離(L4)も、瞳孔の位置が顔画像では明確に検知できないので、左の耳元より左目の右側までの距離(La)と左目の左側までの距離(Lb)を求め、その平均により眼の瞳孔と耳元までの距離(L4)を求める。右眼側も同様にして求める。
メガネフレームの右テンプル及び左テンプルの開き角θは、次式より求めた分を補正してわん曲させる等により調整する。
PD/2+L4 −L5
L5は、メガネフレームのフロントサイズ(第32図参照)である。
(4)遠近両用レンズを指定された場合は、レンズ面の傾斜角度をさらに5度加入するために、鼻のクリングスの開き角度を、その加入数値により補正して決定し、登録する。
このように、フレーム選択情報入力手段2004により機能構造データ、装飾構造データ及び顔画像データが演算・作成され、顔画像データと共に、データベース管理手段2005によって登録される。
【0041】
メガネオーダー販売サービスセンター2002では、予めフレーム情報登録手段2060及びフレーム画像登録手段2061によって各フレームのフレーム機能構造、フレーム装飾構造及びフレーム画像が登録されており、利用者クライアント2001から送信されたフレームの選択情報によって適合するフレームが選択される。
フレーム選択手段2008によってフレーム選択情報に適合する数種類のフレームが選択されると、利用者クライアント2001にフレーム選び体験画面(第18図)が送信される。このフレーム選び体験画面では、「いろいろなフレームを掛け替えて、気に入ったものを取りあえずキープして下さい(4本まで)」と表示され、利用者に気に入ったフレームの選択を促す。これにより、利用者は選択したフレームの装用仮想体験を行うことができ、仮想体験の印象を見て気に入ったフレームを取りあえずキープすることができる。
フレーム選び体験画面においては、検索条件としては、「素材別and価格帯」「素材別andブランド別」「素材別and価格帯別andブランド別」等がある。素材別の選択肢としては、「セル」「メタル」「ツーポ」「ナイロ」「コンビ」「SG」等が表示され、その中から選択することができる。価格帯別の選択肢としては、「5000円〜9999円」「10000円〜14999円」「15000円〜19999円」「20000円〜30000円」等がプルダウン表示され、その中から選択することができる。ブランド別の選択肢として、各種ブランド名がプルダウン表示され、その中から選択することができる。なお、キープ可能な本数は、最大4本であり、それ以上は適宜選択し直し、不要なものはゴミ箱に削除する。
【0042】
選択されたフレームの画像は、画像合成手段2007によって利用者の顔画像に適合するようにリサイズされて合成され、メガネ装用画像が生成される。そして、生成されたメガネ装用画像がフレーム選び体験画面(第18図)の一部として、利用者クライアント2001に送信される。その際に、フレームの側面画像を同時に表示したり、更に、画像合成手段2007により利用者の側面画像と合成したメガネ装用画像を生成して表示するようにしてもよい。これにより、利用者はフレームの側面のフィット状況をも確認することができる。
また、フレーム選び体験画面において、「色違いを見る」が選択されると、色違い表示画面(第19図)が利用者クライアント2001に送信される。この色違い表示画面では、同一品番で異なるカラーのものがすべて表示され、色違いの商品を確認することができる。色違いフレームが8本に満たない場合は、空白欄として表示される。
利用者は、利用者クライアント2001に表示されるメガネ装用画像を見て、自己の希望と合致したフレームが選択されているか、そしてそのフレームを顔にかけたときに如何なる顔になるかを確認することができる。
ここで、希望していたフレームと違う画像が送信されてきている場合、あるいは別のフレームをかけた顔を見たい場合には、利用者は改めてフレーム選択情報を指定して、メガネオーダー販売サービスセンター2002に送信する。これにより、前記した方法と同様の方法により別のフレームが選択され、画像合成手段2007により利用者が選択したフレームの画像と顔画像を合成したメガネ装用画像が生成され、再び利用者クライアント2001に送信される。
【0043】
次に、フレーム選び体験画面(第18図)および色違い表示画面(第19図)においてキープされたフレームを利用者に確認してもらうために、キープの中身確認画面(第20図)が利用者クライアント2001に送信される。キープの中身確認画面では、「キープしているフレームを確認し、購入したいフレームを選びます」と表示され、フレームを選択すると同時に仮想体験ができる。
また、利用者が仮想体験した確認したフレームとカラーレンズを組み合わせて購入する場合は、所定箇所をクリックする。
【0044】
次に、利用者クライアント2001に購入フレーム確認画面(第21図)が送信され、利用者に購入するフレームおよびレンズの種類の確認を促す。購入フレーム確認画面においては、選択されたフレームを装用した画像、フレームおよびカラーレンズの種類が表示される。不用の場合は「キャンセルする」をクリックし、購入する場合は「購入する」をクリックする。
購入フレーム確認画面において「購入する」が選択されたときは、メガネを作る度数選択画面(第22図)が利用者クライアント2001に送信される。このメガネを作る度数選択画面では、「今回作るメガネに関して、どのレンズ度数データを使用しますか?」と問いかけられ、「このサイトで測ったレンズ度数データを利用する」「度なしレンズを利用する」「眼科でもらった処方せんデータやメガネ店のカードのデータを利用する」が選択肢として表示され、改めて、「レンズ度数決定ステップ」「レンズ選択ステップ」「処方箋利用ステップ」の選択を利用者に促す。
「眼科でもらった処方せんデータやメガネ店のカードのデータを利用する」が選択されると、「処方箋利用ステップ」に進み、利用者クライアント2001に処方箋データ入力画面(第23図)が送信される。この処方箋データ入力画面では、「レンズ度数を入力して下さい」と表示され、次のような入力が促される。
・PD(単位:mm)
・右目 S(度数データをプルダウン表示:+0.25,−0.25,−0.50,−0.75,−1.00等)、C、AX(乱視軸データをプルダウン表示:180°±22.5°,135±22.5°,90±22.5°,45±22.5°,0±22.5°等)
・左目 S(度数データをプルダウン表示:+0.25,−0.25,−0.50,−0.75,−1.00等)、C、AX(乱視軸データをプルダウン表示:180°±22.5°,135±22.5°,90±22.5°,45±22.5°,0±22.5°等)
【0045】
メガネを作る度数選択画面において「度なしレンズを利用する」が選択された場合、および処方箋データ入力画面において処方箋データが入力された場合は、利用者クライアント2001にレンズの厚み比較画面(第24図)が送信される。このレンズの厚み比較画面では、「どのレンズでメガネを作りますか?あなたのレンズ度数に合わせて、厚みを表示しています」と表示され、利用者にレンズの厚みを比較させるように、「標準装備レンズ」「薄型レンズ」「薄型で歪みがないレンズ」について、その断面形状とレンズ価格とが表示される。
このフレーム選びが終了すると、決済システムに進む。
【0046】
このように、メガネ装用仮想体験システムによれば、利用者が写真データにいろいろなメガネフレームを装用させることができ、しかも店頭に出向かなくとも、自宅でインターネット等のネットワークを介して種々の眼鏡フレームをかけ変えて自分の好みにあった最適なフレームを選択することができる。また、このシステムによれば、自分の既製のメガネやコンタクトレンズをかけたままで、すなわち適正な視力で、選択された眼鏡フレームを顔にかけた状態を確認できるので、自己に最適な眼鏡フレームを選択することができる。
上記実施形態では、装用状態表示手段として利用者の写真データにいろいろなメガネフレームを装用させることのできるメガネ装用仮想体験システムについて説明したが、同等の画像合成手段を用いて、メガネフレームだけでなくコンタクトレンズの装用仮想体験を行えるようにしてもよい。特に、カラーコンタクト等では、これを装用することで顔の印象が大きく変わるので、装用された画像を確認できるようにすることで利用者は安心してコンタクトレンズを選択できる。
【0047】
次に、レンズ度数決定ステップの第一の実施形態について、第33図に示すような遠隔自覚視力測定システムを用いて説明する。図に示すように、この遠隔自覚視力測定システムは、利用者クライアント4001とメガネオーダー販売サービスセンター4002から構成され、これらはネットワークで物理的に接続されている。なお、以下の説明では、利用者クライアント4001とメガネオーダー販売サービスセンター4002を接続するネットワークがインターネットであるものとして説明を行う。
利用者クライアント4001は、利用者が視力測定サービスを受ける際に利用する端末であり、前述の利用者クライアント1と同様に、インターネット接続機能を有するパーソナルコンピュータ等が使用される。
メガネオーダー販売サービスセンター4002は、視力測定サービスを提供するサーバであり、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理機器によって構成され、インターネットを介して利用者クライアント4001と接続される。
【0048】
メガネオーダー販売サービスセンター4002は、利用者にサービスを提供する際の窓口となるWWWサーバ4030を備える。また、眼球光学モデル決定手段4204、モデル妥当性検証手段4206、眼球光学諸元調節範囲確定手段4208、眼球光学モデルイメージ生成手段4210、眼球光学モデル集光性能検証手段4212、視認映像生成手段4214、鮮鋭度スコア生成手段4216、レンズ度数選定手段4218、利用者情報管理手段4230およびデータベース管理手段4232を備え、入力手段4202および出力手段4220を介してWWWサーバ4030に接続されている。これらの各手段は必要に応じてWWWサーバのCGIによって起動され、利用者クライアント4001に対して視力測定サービスを提供する。また、WWWサーバは、利用者クライアント4001が正規の利用者であることを認証する利用者認証機能を有する。
入力手段4202は、被検者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離等の被検者の目の情報を入力する。
【0049】
眼球光学モデル決定手段4204は、被検者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球光学モデルを決定する。そして、眼球光学モデルを決定手段4204は、被検者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における被検者の眼球における集光状態が最適となるような眼球の光学諸元によって眼球光学モデルを決定する。
モデル妥当性検証手段4206は、さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する。
【0050】
眼球光学諸元調節範囲確定手段4208は、調節中点における眼球の調節範囲を確定するように構成され、さらに、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを表示する。
眼球光学モデル集光性能検証手段4212は、被検者の裸眼状態における、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置での、眼球光学モデルの集光状態を検証する。更に、眼球光学モデル集光性能検証手段4212は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態における、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置での、被検者の眼球光学モデルの集光状態を検証する。
視認映像生成手段4214は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、被検者の視認映像を生成する。
鮮鋭度スコア生成手段4216は、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、被検者の視認の鮮鋭度スコアを導き出す。
レンズ度数選定手段4218は、被検者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定する。
【0051】
次に、本遠隔自覚視力測定システムを用いて視力を測定する方法について、第34図および第35図のフローに沿って説明する。
利用者クライアント4001からメガネオーダー販売サービスセンター4002にアクセスして利用者の認証を完了すると、利用者クライアント4001にガイダンス画面が送信されて表示される。
【0052】
次に、利用者クライアント4001にパソコン画面情報収集画面(第36図)が送信される。パソコン画面情報収集画面には、「あなたの目にぴったり合ったメガネをお作りするために必要です。ご利用のパソコン情報を教えて下さい。」と表示して、解像度等のディスプレイ情報の入力を促し、「このラインはあなたのモニター画面では何センチですか?」と表示して、ディスプレイの大きさの入力を促す。
【0053】
次に、利用者クライアント4001に利用者情報入力画面(第37図)が送信される。利用者情報入力画面には、利用者を特定する情報として、利用者コード、利用者識別子(ID)、利用者パスワード、住所、氏名、生年月日、電話番号等の基本属性等を含む利用者情報、使用目的、近点距離、遠点距離、年令、前度数、前度数での両眼視力、前度数での左右バランス、前メガネの使用年数、コンタクトの種類(併用の場合)、希望矯正視力、視力に関係する病気の有無などのデータの入力が促される。個人情報の入力を終えると、利用者クライアント4001に装用条件入力画面(第38図)が送信される。装用条件としては、眼鏡・コンタクトレンズを装用したい目的(例えば、手元のものを見るとき、遠くのものを見るとき、自動車運転時など、どのようなときに掛けたいのか等)や視環境(日常どの範囲でどの距離のものを見ていることが多いか。仕事上でパソコン作業が多いか等)がある。
次に、利用者クライアント4001に裸眼視力測定画面が送信される。
裸眼視力測定は、乱視軸測定、遠点距離測定、近点距離測定の順に行う。この実施の形態においては、遠点距離の測定は、一定の距離(人が腕を伸ばした距離)において視力を測って遠点距離を推定する測定法を用いているが、遠点距離を直接測る方法でもよい。
【0054】
乱視軸測定は、以下のような手順により行う。
乱視軸測定ステップ1:最初に、ガイダンス画面が送信され(第39図)、「次の指示に従って下さい。右目について測定を行います。まず、平行線が引かれた4つのゾーンが表示されます。1m程度画面から離れ、4つのゾーンの内、どれかの線がはっきり見える位置まで近づいて下さい。これから先は、メガネ、コンタクトをはずして下さい。表示された視標を見るときは、手が目に触れないように左目を片手で覆って下さい。」と表示される。
乱視軸測定ステップ2:次に、乱視軸測定画面が送信され、4つのパターンからなる乱視軸判定チャートが画面に表示される(第40図)。
乱視軸測定ステップ3:ここで、利用者は左手で左目を覆いながら、1m程度下がる。その際、左目は開けておく。このステップにおける利用者の状態を第41図に示す。
乱視軸測定ステップ4:次に、徐々に画面に顔を近づけて行き、4つのパターンが区別できるような距離で止まる。近づきすぎないように注意する。このステップにおける利用者の状態を第42図に示す。
乱視軸測定ステップ5:ここで、利用者は図の4つのパターンがすべて同じに見えるか?それともどれか一つ濃く見えたり、薄く見えたりするか?を判定する。
乱視軸測定ステップ5−1:「一つだけ違って見える」場合は、そのパターンをクリックする。
乱視軸測定ステップ5−2:「全部同じに見える」または「わからない」場合は、パターン下のコメントをクリックする。
乱視軸測定ステップ6:続いて右目を右手で覆い、左目について同じことを行う。
【0055】
乱視軸判定チャートは、第40図のように複数の平行線からなる、45度・90度・135度・180度の4方向の線状群から構成される。被検者が乱視を有する場合は明瞭に見える方位とつぶれて薄く見える方位が生じるので、見え方の異なる方位のゾーンをクリックするよう促す。このように、見え方の異なる方位を選択させるようにしたのは、乱視は物体との距離によってよく見える方向が90度反転する可能性があるため、最初からよく見える方位とすると乱視軸の判断を誤る恐れがあるからである。従って、本願発明では、この段階では乱視軸の主軸は決定せず、後の遠点距離を求める段階で、2方向の視標を使って算出された2つの遠点距離を比較し、距離の長い方の方向を主軸と決定するようにしている。
乱視を有しない被検者は、原則として全方位が同じに見えるはずであるので、全部が同じに見える又はわからないをクリックした被検者は乱視を有しないものとして、以下の測定は水平、垂直の主軸についてのみ行う。
さらに乱視軸判定の分解能を上げたい場合は、4方向の中間の角度、すなわち22.5度、67.5度、112.5度、157.5度の4方向の線状群を追加して表示し、選択させるようにしてもよい。
【0056】
次に、遠点距離を測定する。本来、遠点距離測定は、被検者が画面を楽に見て、画面からどこまで遠ざかることができるかを調べる。ぼけないで見える最長位置(ぼけ始める位置)で顔を静止し、画面から眼までの距離を測定したものが遠点距離である。しかし、パソコンから遠ざかるには限界があるため、ここでは一定距離における遠点視力を測ることにより遠点距離を算出するようにした。
遠点視力の測定は、利用者がある一定の距離でどんな大きさのものまで見えるかを判定することにより行う。なお、この実施形態における遠点視力とは、一般に言われる視力1.5という度数ではなく、別の値のことを指す。以下、この遠点視力について詳述する。被検者は、ディスプレイに指先を当て腕を完全に伸ばし、腕を完全に伸ばした状態で背筋を伸ばした姿勢をとる。この状態においてディスプレイには、第43図に示すように遠点視力を測定する視標が表示される。被検者は、表示されている視標の中で、黒い3本線がはっきり視認できる1番小さいものを選択する。この被検者が選択した視標に割振られていた番号を遠点視力とする。この遠点視力から、視標の大きさおよび画面からの距離に基づいて遠点距離を算出する。
【0057】
遠点視力の測定は、以下のような手順により行う。
遠点視力測定ステップ1:遠点視力測定画面が送信され、大きさの異なる縦3本の遠点視力測定視標が組み合された画面が表示される(第43図)。
遠点視力測定ステップ2:ここで、利用者は右手を指先まで完全に伸ばした状態でパソコン画面の縁に中指を触れる。このステップにおける利用者の状態を第44図に示す。
遠点視力測定ステップ3:次に、左手で左目を覆って、右目で遠点視力測定視標を見る。このステップにおける利用者の状態を第45図に示す。
遠点視力測定ステップ4:次に、その状態で背筋を伸ばして画面に表示されている遠点視力測定図を見る。このステップにおける利用者の状態を第46図に示す。
遠点視力測定ステップ5:ここで、利用者は画像の中に3本線があることがわかるかどうかを判定する。このステップにおける利用者の状態を第47図に示す。
遠点視力測定ステップ5−1:どれも3本線に見えない場合は「はい」を、3本線があることがわかる場合(「ぼんやり」でOK)は「いいえ」をクリックする。尚、3本線に見えるか見えないかの判断は、たとえば第48図に示すようになる。
遠点視力測定ステップ5−2:ここで、利用者が「いいえ」と答えた場合は、遠点視力測定視標の小さい方から順に表示し、3本線があることがわかる画像が出るまで、チェックを繰り返す。
遠点視力測定ステップ6:続いて、画面の図が変わり、横3本の遠点視力測定視標が表示され、測定を指示する(図示せず)。
遠点視力測定ステップ7:同様に、左手で左目を覆ったまま右目で遠点視力測定視標を見て同じチェックをする。このステップにおける利用者の状態を第49図に示す。
これで、右目のチェックが終了する。
遠点視力測定ステップ8:次に、左目のチェックを行う。右目と同様に、左手を指先まで完全に伸ばした状態でパソコン画面の縁に中指を触れ、右手で右目を覆って左目で遠点視力測定視標を見て、右目チェックと同じ要領で左目チェックを行う。
尚、上記説明では、縦3本の視標と横3本の視標について遠点視力測定を行うものとして説明したが、これは前記乱視軸測定により選択された方位とそれと直交する方位について行うものであり、利用者が斜乱視の場合は、45度と135度の2方向について遠点視力測定を行うことになる。
また、上記説明では、最初にすべての大きさの視標を組合わせた画面を表示し、その後小さい視標から順に表示するものとして説明したが、これに限らず、最初から個別に視標を表示するようにしてもよく、複数の視標を組み合わせた画面から3本に見える最小の視標を選択してクリックさせるようにしてもよい。
【0058】
次に、近点距離を測定する。近点距離測定は、被検者が画面を楽に見て画面にどこまで近づくことができるかを調べる。ぼけないで見える位置で顔を静止し、画面から眼までの距離を測定したものが近点距離である。
近点距離の測定は、次のような手順により行う。
利用者は、近点距離の測定を始める前に、新聞紙またはコピー用紙を細長く(幅3〜5cm程度)折り畳んでパソコン横に置く(第50図)。
近点距離測定ステップ1:近点距離測定画面が送信され、縦3本線の近点距離測定視標が画面に表示される(第51図)。
近点距離測定ステップ2:ここで、利用者は左手で左目を覆った状態で、画面にできるだけ顔を近づける(第52図(A))。その時、視標がボケていることを確認する。尚、近点距離測定視標がぼけて見えている状態を第52図(B)に示す。
近点距離測定ステップ3:次に、画面に表示されている3本線が判別できる位置まで顔を遠ざける(第53図(A))。非常に画面に近いところで判別できる場合があるので注意する。尚、近点距離測定視標がはっきりと見えている状態を第53図(B)に示す。
近点距離測定ステップ4:次に、判別できる位置で顔を止め、机にひじをつき、折り畳んだ紙をこめかみに添わせて構える。目尻あたりで紙をはさんで持つようにする。このステップにおける利用者の状態を第54図に示す。
近点距離測定ステップ5:次に、顔を動かさずに折り畳んだ紙の先端を画面上に垂直に立てる。このステップにおける利用者の状態を第55図に示す。
近点距離測定ステップ6:次に、右目の目尻横の位置がわかるように左手人さし指で紙の上に印を付ける。印をつけた後、顔は自由にしてもよい。このステップにおける状態を第56図に示す。
近点距離測定ステップ7:ここで、利用者は画面の左上の「メジャー」ボタンを押す(第57図)。
近点距離測定ステップ8:画面に現れた「メジャー」の0の位置に紙の端を合わせ、印までの距離を測る(第58図)。画面の「メジャー」は3本表示されるので、1本で足りない場合は1本目の終わりで紙に印を付け、残りの部分を2本目で測る。2本でも足りない場合は3本目でも同じ作業を繰り返す。
近点距離測定ステップ9:「次へ」ボタンをクリックすると、横3本線の近点距離測定視標が画面に表示される(第59図)。
近点距離測定ステップ10:左手で左目を覆いながら同じチェックを行う(第60図)。
近点距離測定ステップ11:長さが測れたら、右目のチェックが終了する。次に右手で右目を覆い同じ要領で左目のチェックを行う(図示せず)。
上記近点距離測定視標は、被検者の視力に関わらず細い線を使用する。
尚、上記説明では、縦3本の視標と横3本の視標について近点距離測定を行うものとして説明したが、これは前記乱視軸測定により選択された方位とそれと直交する方位について行うものであり、利用者が斜乱視の場合は、45度と135度の2方向について近点距離測定を行うことになる。
以上の作業でレンズ度数決定に必要な基礎データ測定を終了し、この基礎データに基づき眼球光学モデルを構築し、眼球光学モデルにおいて利用者の調節範囲内における眼球の光学機能を検知し、レンズ度数を選定する。尚、眼球光学モデルによる度数の選定については、後述のレンズ度数決定システムにおいて詳細に説明する。
【0059】
次に、前記レンズ度数決定ステップを構成する第二の実施形態として、第61図に示すような検眼システムを用いて説明する。図のように、本検眼装置においても、被検者が使用するコンピュータ6001と、本願発明の検眼方法を提供する検眼サーバ6010とがインターネット6002を介して接続されている。
検眼サーバ6010は、インターネット6002を介して被検者コンピュータ6001に検眼サービスを提供するためのサーバであって、WWWサーバ6020と、表示画面データベース6030と、ユーザインターフェイス手段6040と、検眼情報データベース6050と、遠点距離演算手段6060と、度数演算手段6070とを備える。
WWWサーバ6020は、被検者コンピュータ6001のアクセスを受付け、本願発明の検眼手順に従って検眼機能を提供するためのサーバであり、被検者コンピュータ6001が汎用のWebブラウザによってサービスを受けることができるようにHTTPサーバを使用している。
表示画面データベース6030は、本願発明の検眼手順に従ってWWWサーバ6020がアクセスしている被検者コンピュータに提示する画面データを保存する。ここでは、最初のガイダンス画面、被検者の属性入力画面、乱視軸判定画面、遠点視力測定画面、近点距離測定画面等がHTML形式で保存されている。
ユーザインターフェース手段6040は、WWWサーバ6020によって被検者コンピュータ6001に表示した画面において被検者が入力した情報に基づいて、被検者の属性を検眼情報データベース6050に記憶させたり、遠点距離演算手段6060を起動して遠点距離を演算したり、度数演算手段6070を起動して度数を演算したりする。
ユーザインタフェース手段6040は、WWWサーバ6020からCGIによって起動されるプロセスであり、また遠点距離演算手段6060と度数演算手段6070はユーザインターフェース手段6040から起動されるプロセスである。また、検眼情報データベース6050には被検者が入力した被検者属性データ、乱視軸判定チャートの選択方位データ(右目と左目)、視力測定チャートによる視認限界データ(右目と左目×2方向)、近点距離測定チャートによる近点距離データ(右目と左目×2方向)、演算された遠点距離(右目と左目×2方向)、演算された度数(右目と左目)等が保存される。
【0060】
次に、かかる検眼システムによって検眼を行う手順の一例を第62図によって説明する。
まず、被検者の属性を取得するための被検者属性入力画面を表示し(S10)、被検者の入力した属性を取得して被検者データとして保存する(S12)。被検者の属性には、年齢・性別・身長等の個人情報と、メガネやコンタクトレンズを主に使用する場所に関する装着条件情報とがある。第63図は個人情報取得の際の表示画面例であり、第64図は装着条件取得の際の表示画面例である。ここで、装着条件の「読書」は近距離用を、「デスクワーク」「パソコン」は中距離用を、「車の運転」は遠距離用をそれぞれ想定している。
【0061】
次に、乱視軸の判定をするための乱視軸判定チャートを表示し(S14)、被検者の選択した方位を取得して選択方位データに保存する(S16)。第65図は乱視軸判定の説明画面例であり、第66図は乱視軸判定画面例である。
図のように、乱視軸判定チャートは複数の平行線からなる45度・90度・135度・180度の4方向の線状群から構成される。被検者が乱視を有する場合は明瞭に見える方位とつぶれて薄く見える方位が生じるので、見え方の異なる方位のゾーンをクリックするよう促す。このように、見え方の異なる方位を選択させるようにしたのは、乱視は物体との距離によってよく見える方向が90度反転する可能性があるため、最初からよく見える方位とすると乱視軸の判断を誤る恐れがあるからである。従って、本願発明では、この段階では乱視軸の主軸は決定せず、後の遠点距離を求める段階で、2方向の視標を使って算出された2つの遠点距離を比較し、距離の長い方の方向を主軸と決定するようにしている。
乱視を有しない被検者は、原則として全方位が同じに見えるはずであるので、全部が同じに見える又はわからないをクリックした被検者は乱視を有しないものとして、以下の測定は水平、垂直の主軸についてのみ行う。
【0062】
乱視軸判定チャートは、背景色は緑色、線の色は黒色とし、線幅は2画素、線間幅は3画素とした。背景色は、白色では輝度が明るすぎて目が縮瞳し、被写界深度が深くなって4つのゾーンの見え方の差が小さくなるという問題があるため、目にやさしいグリーン系統を用いて輝度を抑えたものである。線の色は、多数の被検者に対して行った検眼実験の結果から、見やすいとされた黒色とした。線幅は、特にディスプレイがCRTの場合は電子銃のフォーカスボケが発生することから、1画素では水平・垂直と斜めで見え方に差異が生じてしまうため、最低2画素とした。線間幅は、乱視判定においてチャートまでの距離が極端に短いと乱視軸が90度反転し、誤判定の可能性があるため、1mの距離から線間の隙間を認識できるように設定した。視力1.0(視角1分)は、1mの距離で切れ目0.29mmを識別する能力であり、14インチ液晶ディスプレイまたは17インチCRTを使用してほぼ1画素に相当する。従って、2画素で視力0.5程度に相当するが、検眼対象者はメガネを必要とする人であることから、更に間隔を広げ、3画素とした。
また、乱視軸の方位を4方向としたのは、4方向でも十分に実用的なメガネやコンタクトレンズの選定ができることと、被検者が独自で判断するものであるから、できる限り容易かつ誤りなく判定できる必要があるためである。
【0063】
次に、被検者が選択した選択方位についての遠点視力を測定するため、選択方位の視力測定チャートを表示し(S18)、被検者が選択した視認限界を取得して、第1視認限界データに保存する(S20)。第67図は遠点視力測定の説明画面例であり、第68図は遠点視力測定画面例である。
図のように、視力測定チャートは一定線幅の3本の黒線と2本の白線からなる線状濃淡画像であり、視力に対応して線幅をI段階(10段階から20段階程度)に変えた複数のチャートを表示する。これに対し、被検者に3本に見える一番小さいマークをクリックするよう促す。このように、3本に見えるマークを選択させるようにしたので、ランドルト環のように単一の間隙を視認するのに対して被検者の判断が容易になっている。
尚、被検者にはコンピュータ画面から腕を伸ばした距離で遠点視力を測定するように促しているが、これは腕の長さは身長にほぼ比例するので、事前に入力された身長のデータによって被検者とチャートの距離が予測できるからである。
【0064】
このように、被検者はコンピュータ画面との距離を測定したり、画面表示サイズを調整したりする必要がないので、簡便に測定できる。
同様に、被検者が選択した選択方位と直交する方位についての遠点視力を測定するため、選択方位と直交する方位の視力測定チャートを表示し(S22)、被検者が選択した視認限界を取得して、第2視認限界データに保存する(S24)。
【0065】
次に、被検者が選択した方位の近点距離を測定するため、選択方位の近点距離測定チャートを表示し(S26)、被検者の入力した近点距離を第1近点距離データに保存する(S28)。第69図は近点距離測定の説明画面例であり、第70図は近点距離測定画面例である。
図のように、近点距離測定チャートは緑色の背景に設けられた3本の黒線からなる。画面のメッセージにより、被検者に対して、最初にできる限り画面に近づき、それから3本線がはっきり見える位置まで遠ざかり、画面から目までの距離を測定してcm単位で入力するように促す。
尚、近点距離測定チャートは、コンピュータ画面に接近して視認するため、被検者の視力に関係なく細い線を使用する。但し、年齢によって解像力の差があるため、若年層は細い線を、中高年層は若干太い線を使用する。
同様に、被検者が選択した選択方位と直交する方位についての近点距離を測定するため、選択方位の近点距離測定チャートを表示し(S30)、被検者の入力した近点距離を第2近点距離データに保存する(S32)。
【0066】
次に、第1視認限界データと第1近点距離データと被検者限界データとから遠点距離を求め、第1遠点距離データに保存する(S34)。同様に、第2視認限界データと第2近点距離データと被検者限界データとから遠点距離を求め、第2遠点距離データに保存する(S36)。
遠点距離の演算は、あらかじめ多数の被検者で学習させたニューラルネットワークを用いて行う。第71図に遠点距離演算用ニューラルネットワークの構成例を示す。図のように、入力層はI段階の遠点視力(視力測定チャートから被検者が選択した視認限界)とJ段階の近点距離(近点距離測定チャートから被検者が測定した近点距離)とK段階の被検者属性(年齢・性別・身長)とを、出力層はN段階の遠点距離を有する。年齢・性別をパラメータとするのは、これによって被検者の目の調節力が変わるからである。また、身長は前述のように被検者と画面の距離を腕の長さで合わせるようにしており、腕の長さに比例する身長を代用パラメータとして用いたものである。学習方法としては、いわゆるバック・プロパゲーション法を用いたが、どのような方法を用いてもよい。
ここで、入力パラメータの近点距離と演算結果の遠点距離は、レンズ度数への換算を容易にするため、いずれもメートル単位で表した距離の逆数であるD(ディオプター)値に変換して取り扱う。
尚、ニューラルネットワークは、乱視軸の選択方位と選択方位に直交する方位の2つの独立する学習モデルを生成し、それぞれ個別に計算するようにした。
また、画面の見え方はディスプレイの種類によって変わるので、ディスプレイが液晶かCRTかによって独立に学習させたニューラルネットワークを用いて演算するようにした。
【0067】
以上の乱視軸判定(S14)から遠点距離演算(S36)までを、右目と左目の両方について行い、得られた選択方位データと第1遠点距離データと第2遠点距離データとから度数(S:球面度数、C:乱視度数、AX:乱視軸)を演算する(S38)。
S34で求めた第1遠点距離をD1、その方位をAX1とし、S36で求めた第2遠点距離をD2、その方位をAX2とすると、
|D1|<|D2|のとき、S=D1、C=D2−D1、AX=AX1
|D2|<|D1|のとき、S=D2、C=D1−D2、AX=AX2
である。
【0068】
上記実施形態では、単に目の度数を演算する場合について説明したが、求められた目の度数と被検者属性データの装着条件からレンズ度数を決定して、メガネまたはコンタクトレンズの注文を受付けるようにしてもよい。
この場合、被検者属性データの装着条件から、通常使用距離として近距離用(30cm)、中距離用(50〜60cm)、遠距離用(5m)のいずれかを判断し、それによって推奨されるレンズの度数を決定する。
例えば、遠距離用では遠点距離D1を5m(−0.2D)になるように矯正するとして、推奨レンズの度数はD1+0.2Dとなる。
また、度数演算手段によって演算された度数と被検者の属性から眼球光学モデルを生成する眼球光学モデル生成手段と、生成された眼球光学モデルを使用して裸眼の集光性能を確認する裸眼集光性能確認手段を設け、演算された度数の妥当性をチェックするようにしてもよい。これにより、更に精度良く度数を決定できる。
また、生成された眼球光学モデルを使用して推奨レンズによって矯正したときの集光性能を演算する矯正後集光性能演算手段を設け、推奨レンズを決定するようにしてもよい。これにより、更に被検者に適したレンズ度数を提示できるようになる。
更に、推奨レンズを装着したときの集光状態から所定の距離における鮮鋭度を演算する鮮鋭度演算手段と、演算された鮮鋭度における画像サンプルを生成する画像サンプル生成手段と、生成された画像サンプルをコンピュータ画面に表示する画像サンプル表示手段とを設け、被検者に推奨レンズを装着したときの画像サンプルを確認させるようにしてもよい。これにより、被検者はレンズを装着したときの見え方をチェックできるので、より適切なレンズ度数を決定できるようになる。
【0069】
上記実施形態では、遠点距離演算手段は多数の被検者で学習させたニューラルネットワークを用いて遠点視力と近点距離と被検者の属性から遠点距離を求めるとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、ファジー推論を用いて遠点距離を演算するものとし、多数の被検者のデータでメンバーシップ関数や推論ルールを求めるようにしてもよい。また、多数の被検者のデータから遠点視力と遠点距離の関係を近点距離や被検者の属性をパラメータとした近似式を求め、それを用いて遠点距離を演算するようにしてもよく、本願発明の効果を奏する。
また、上記実施形態では、遠点距離の演算において近点距離を入力パラメータとしているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、近点距離を省略してもよい。この場合でも、近点距離は年齢に比例する特性を持っていることから、本願発明の効果を奏する。
上記実施形態では、乱視軸判定チャートは複数の平行線からなる4方向の線状群を一画面に表示して被検者に見え方の異なるゾーンを選択させるとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、4方向の線状群を順次個別に表示して見え方の異なる方位を選ばせるようにしてもよい。
上記実施形態では、視力測定チャートは大きさの異なる複数のチャートを一画面に並べて表示して被検者に視認限界を選択させるようにしたが、本願発明はこれに限定されるものではなく、各大きさのチャートを大きい方から順に表示して、視認できなくなったところを被検者に選択してもらうようにしてもよい。
上記実施形態では、視力測定チャートや近点距離測定チャートの表示は乱視軸判定の選択方位とそれに直交する方位の画像をコンピュータ画面に表示するが、これはあらかじめ4方向の画像を表示画面データベース6030に記録しておき、そのなかから選択して表示するようにしてもよく、特定の方位についての画像データを記憶させておき、他の方位については方位データに基づいてグラフィックツールによって画像を回転して生成するようにしてもよい。また、表示する画像の描画データを記憶させておき、方位データに基づいて描画ツールによって画像を描画して生成するようにしてもよい。このように、グラフィックツールによって画像を生成する方法を用いることで、画像表示の負荷は大きくなるが、任意の方位についての画像が生成できるので、乱視軸の方位を容易に拡張できる。
【0070】
同様に、遠点視力測定における線幅を変えた複数のチャートの表示についても、特定の線幅の画像データを用いてグラフィックツールによって拡大・縮小したり、描画ツールによって描画して生成するようにしてもよい。
尚、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点測定チャートの画面表示サイズは、コンピュータの設定によって特に変えないとものして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、より精度良く度数を求めるために、コンピュータの画面設定を取得し、これに基づいて画面の表示サイズを変更するようにしてもよい。取得するコンピュータの画面設定としては、ディスプレイの種類とサイズ、コンピュータの解像度設定等である。これらは、コンピュータのプロパティ情報から自動取得するようにしてもよく、被検者属性データとして入力させるようにしてもよい。
この場合も、上記と同様に、グラフィックツールによって、画像を拡大・縮小するようにしてもよく、描画ツールによって描画するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点距離測定チャートの表示色は実験的に定めた最適な色を使用するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、表示色の選択機能を設けてもよい。
例えば、被検者に対してあらかじめ色サンプルを表示して被検者の好みの色を選択させるようにしてもよく、コンピュータの画面設定によって自動的にあらかじめ定めた色を選択して表示するようにしてもよい。
各チャートの表示色についても、あらかじめ複数の表示色パターンを記憶させておいて、その中から選択させるようにしてもよく、特定の表示色パターンの画像をグラフィックツールで色変換したり、描画ツールで描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
同様に、上記実施形態では、乱視軸判定チャートや視力測定チャートや近点距離測定チャートの背景や線分の輝度は実験的に定めた最適な輝度を使用するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、表示輝度の選択機能を設けてもよい。
各チャートの表示輝度についても、あらかじめ複数の表示輝度パターンを記憶させておいて、その中から選択させるようにしてもよく、特定の表示輝度パターンの画像をグラフィックツールで輝度変換したり、描画ツールで描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0072】
上記実施形態では、被検者の属性データは被検者が検眼サービスを受けるときに毎回取得するとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、顧客データベースとしてあらかじめ記憶させておき、そのデータベースから必要なデータを抽出するようにしてもよいことは言うまでもない。このように、顧客データベースを備え、上記被検者属性データの他にこれまでに実施した検眼サービスの履歴や販売したメガネやコンタクトレンズのデータを蓄積しておくことで、被検者の特性に合わせたより正確な検眼が行え、より適切な矯正レンズを提示することが可能となる。
上記実施形態では、主として乱視を含む近視者を対象として検眼を行うものとして説明したが、本実施形態では遠点距離の他に近点距離を取得するようにしているので、これを基に遠視又は老眼を有する被検者の検眼を行うことも可能である。
すなわち、遠点距離が極めて長く近点距離も長い場合は、遠視または老眼の可能性があるが、ここで被検者の眼の調節力が判ればこれをもとに遠視と老視を区別することができる。
【0073】
そこで、例えば被検者の年齢や性別を眼の調節力の代用パラメータとして用い、遠点距離と近点距離と被検者の属性(年齢・性別)を入力とし、乱視度数、遠視度数を出力とするニューラルネットワークを、遠視や老眼を有する多数の被検者によって学習させ、これを用いて遠視や老眼の度数を演算するようにしてもよい。
また、更にコンピュータ画面を用いて被検者の眼の調節力を積極的に測定し、これを基に遠視や老視の度数を判定するようにしてもよい。これには、例えばコンピュータ画面上で移動する画像の追跡能力を測定したり、被検者にコンピュータ画面との距離を早い周期で変化させるような運動をしてもらってそのときの視認力を測定する等の方法が考えられる。このようにすれば、乱視を含む近視者ばかりでなく、遠視や老眼を有する被検者にも対応でき、あらゆる人を対象とした検眼システムを構築できる。
【0074】
この発明によれば、被検者の属性を取得するとともに、乱視軸判定チャートをコンピュータ画面に表示して被検者が選択した方位を取得し、取得された方向とそれに直交する方向について視力測定チャートを表示し、被検者の選択した視認限界を取得し、取得された視認限界と取得された被検者の属性から遠点距離を演算し、取得された方位と演算された2つの遠点距離から度数を演算するようにしたので、乱視を有する被検者にも対応でき、特別な設備を必要とすることなくコンピュータ画面を用いて簡便に検眼が行えるという効果がある。
【0075】
次に、前記レンズ度数決定ステップの第三の実施形態として、第72図に示すレンズ度数決定システムを用いて説明する。このレンズ度数決定システムは、利用者の眼球の光学モデルを構築して矯正レンズの度数を決定するシステムであり、中央処理部8012を含み、中央処理部8012はデータ入力部8014、入力データ検査部8016、遠点距離演算部8018、スタート眼球光学モデル決定部8020、眼球光学モデル集光性能算出部8022、モデル妥当性検証部8024、眼球光学諸元調節範囲確定部8026、眼球光学モデル決定部8028、視認映像生成部8030、鮮鋭度スコア生成部8032、表示部8036の動作を制御する。以下、中央処理部8012が制御する各部の概要について説明を行う。
データ入力部8014は、眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正レンズを装着しようとする者の年令、矯正レンズの使用条件、乱視軸、遠点視力、近点距離を入力するためのものである。データ入力部8014には、キーボード、マウスやタッチパネルなどの人が直接データを入力する機器、またはモデムやLANカードなどを用いてネットワークを介してデータを受信可能に構成した機器とそれら機器の制御を行うプログラムにより構成される。
なお、この実施形態における遠点視力とは、一般に言われる視力1.5という度数ではなく、別の値のことを指す。以下、この遠点視力について詳述する。コンピュータなどのディスプレイに第73図に示すような視標が表示される。被検者は、ディスプレイに指先を当て腕を完全に伸ばす。被検者は、腕を完全に伸ばした状態で背筋を伸ばした姿勢をとる。この状態においてはディスプレイには、第73図の(a)から(c)に示すように、視力を計測する視標が大きいものから順に小さいものが次々と表示される。被検者は、表示されている視標の中で、黒い3本線がはっきり見える1番小さいものを選択する。この被検者が選択した視標に割振られていた番号を遠点視力とする。この遠点視力から遠点距離を算出することが可能である。
【0076】
入力データ検査部8016は、データ入力部8014に入力されたデータの値より入力された値の整合性を検証するものである。入力データ検査部8016は、その内部に年令を軸として、乱視軸、遠点距離および近点距離のデータが相互に関連つけられて記憶された標準サンプルデータ8016aを多数蓄積している。入力データ検査部8016は、データ入力部8014に入力されたデータが、標準サンプルデータ8016aと比較して、データの値が妥当な値であるかを判断する。
遠点距離演算部8018は、データ入力部8014に入力されたデータである遠点視力から遠点距離を算出するものである。遠点距離演算部8018は、その内部に年令、性別、身長、遠点視力、近点距離に関するデータが蓄積されている。遠点距離演算部8018は、入力された年令、性別、身長、遠点視力、近点距離のデータに基づいて、それらのデータにもっとも適した最善の遠点距離の値を算出する。
スタート眼球光学モデル決定部8020は、被検者の年令および概算レンズ度数に基づきスタート眼球光学モデルを決定する。
【0077】
以下、眼球光学モデルについて説明を行う。眼球光学モデルとは、第74図に示すように人の眼球の光線屈折要素をレンズとして数学・物理的数値モデルとして構築したものである。眼球光学モデルに組み入れられる眼球の光線屈折要素は、第74図に示すように、角膜、前房、水晶体、硝子体、網膜である。これら光線屈折要素の以下の光学諸元に基づいて、眼球光学モデルが構築される。
角膜:前面の曲率半径R3、厚み、屈折率、後面の曲率半径R4
前房:厚み、屈折率
水晶体:前面皮質の曲率半径(R5、R6、R7、R8、R9、R12)および厚み、角質の曲率半径(R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24)および厚み、後面皮質の曲率半径(R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33)および厚み、そしてそれぞれ屈折率
硝子体:屈折率、厚み
網膜:曲率半径R34
なお、上述した光学諸元は各個人の年齢や眼球の調節能力により異なるが、この実施形態においては、日本人を対象とした生体計測データの値を基準に標準パターンとして眼球光学モデルをあらかじめ構築しておく。例えば前房については、
前房深度:8〜15歳では3.66mm、16〜30歳では3.71mm、31〜51歳では3.51mm、51〜77歳では3.18mmである。
眼軸長:前房深度の加齢傾向とは逆の傾向を示す。
水晶体:屈折率分布の不等質性がある。表層屈折率は年令に無関係だが、水晶体核の屈折率は加齢とともに若干増加する。加齢による厚みを増す重量は、20〜39歳では174mg、40〜59歳では204mg、80〜99歳では266mgである。
【0078】
なお、この実施形態においては、上述した値により眼球光学モデルを構築するように構成したが、文献データ等の値に基づいて眼球光学モデルを構築するように構成されてもよい。以下は眼球光学モデルを構築するのに適用可能な文献データの一例である。
(i)前房深度について
日本眼科学会誌 第62巻11号(1958)相沢克夫「前房深度に関する研究」によれば、前房深度と年令との関係において、
08〜15歳 3.66mm
16〜30歳 3.71
31〜51歳 3.51
51〜77歳 3.18
のような変化がある。すなわち前房深度は弱年期より身体の発育に平行して次第にその深度を増し、成年期において最も深くなり、その後は身体の退化現象と一致して順次浅くなって行く傾向があると述べている。
(ii)眼軸長について
日本眼科学会誌 第63巻7号(1959)佐藤勉他 「近視の本態に関する研究その1」によれば、軽度の近視の場合、眼軸長は近視度が強くなると共に次第に値を増し、両者の間に見事な相関があることを示していると述べている。
(iii)水晶体の重量について
書名 The eye,出版者 New York ; London : Academic Press,著者標目 Davson, Hugh, 1909-,Graham, L. T., Jr.によれば、水晶体の重量は、
20〜39歳 174mg
40〜59歳 204mg
80〜99歳 266mg
のように加齢と共に増加の一途をたどることが述べられている。
(iv)水晶体厚径について
新臨床眼科全書3A 市川宏ほか編 金原出版 1993によれば、水晶体厚径は、年令と共に増加すると述べている。
【0079】
上述した値を適用して予め構築した眼球光学モデルは、スタート眼球光学モデル決定部8020で決定されるスタート眼球光学モデルとして用いられる。スタート眼球光学モデルは、年令および概算レンズ度数が同じ値である場合に大体共通した眼球の特性を有することに着目して、縦軸に年令区分、横軸に概算レンズ度数区分を設け、それぞれの区分の中央値における眼球光学モデルをあらかじめ構築する。縦軸をM区分、横軸をN区分とするとM×N個のスタート眼球光学モデルが構築される。すなわち、縦軸を年齢区分(たとえば20才までは5歳きざみ、20才以上は10歳刻み)、横軸を概算レンズ度数(たとえば1.0D刻み)とした表において、各区分の中央値の組合せ(たとえば35歳で必要補正量が−2.5Dのレンズ度数)におけるスタート眼球光学モデルをあらかじめ構築する。なお、この実施形態においては、M×N個の眼球光学モデルをスタート眼球光学モデルとして構築し、スタート眼球光学モデル決定部8020がその中から最も近い値の眼球光学モデルをスタート眼球光学モデルとして適用したが、これに限らず、入力された年令、概算レンズ度数から光線屈折要素の最も適した値に基づいて、スタート眼球光学モデルを構築するように構成されてもよい。
【0080】
スタート眼球光学モデル決定部8020で決定されたスタート眼球光学モデルは、その人固有の眼球光学モデルを構築するための光学系自動設計処理を行うにあたり、後述する眼球光学モデル決定部8028での初期値として使用される。このスタート眼球光学モデルは、年令、概算レンズ度数によらない単独のスタート眼球光学モデルを使用した光学系自動設計処理に比べると、自動設計処理の収束が早く、処理速度を短縮することが可能である。また、解(集光状態が最高となるような光学諸元)の信頼性が高い。
眼球光学モデル集光性能算出部8022は、被検者の裸眼状態または矯正レンズを着用したときの、眼球光学モデルの集光性能を算出する。集光状態を算出する眼球の状態としては、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内での状態、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内での状態、または、近点と遠点とは離隔した状態である。
モデル妥当性検証部8024は、眼球光学モデル集光性能算出部8022により算出された集光性能に基づいて、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する。
眼球光学諸元調節範囲確定部8026は、入力された近点距離および算出された遠点距離から調節中点における眼球の調節範囲を確定する。さらに、眼球光学諸元調節範囲確定部8026は、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを生成するように構成されている。
眼球光学モデル決定部8028は、被検者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における被検者の眼球における集光状態が最適となるようスタート眼球光学モデルの光学諸元の値を調整し、各個人の眼の状態に適応した眼球光学モデルを決定するように構成されている。
視認映像生成部8030は、矯正レンズにより矯正を行う前および/または矯正を行った後における被検者の視認映像を、眼球光学モデル集光性能算出部が算出した眼球光学モデルの集光性能の結果に基づいて生成する。
鮮鋭度スコア生成部8032は、矯正レンズにより矯正を行う前および/または矯正を行った後における、被検者の視認の鮮鋭度合を、数値的の表した鮮鋭度スコアを導き出す。鮮鋭度スコアとは、任意の数値により視認する映像の鮮明度合いを示すものであり、例えば、その数値が高いほど画像が鮮明に視認できていることを表すように算出する。
レンズ度数選定部8034は、被検者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定する。
表示部8036は、矯正レンズ決定サーバ8010の動作状況を確認したり、被検者が入力したデータや算出したデータの値を確認するための表示装置である。表示部8036としては、コンピュータに接続されているディスプレイや、データ入力部8014を介して矯正レンズ決定サーバ8010に接続されたコンピュータのディスプレイが適用される。
【0081】
次に、本発明の動作について第75図により説明する。
(1)データ入力部8014により、被験者の性別、年令、乱視軸、近点距離、遠点視力および矯正用レンズの使用条件(読書、デスクワーク、車の運転等)が入力される。
(2)入力されたデータが入力データ検査部8016により検証される。
(3)遠点距離演算部8018により、遠点視力から遠点距離が算出される。
(4)年令的な調節範囲の関係表を用いて、仮定の年令において、その年令相応の平均的な調節範囲を持つとして、調節範囲の上限、下限における眼球屈折度を導き出し、それより近点距離、遠点距離の補正を行う。
(5)近点距離および遠点距離から被検者の眼の調節範囲の中点を求め、さらに、概算レンズ度数を算出する。
(6)年令、概算レンズ度数の値からスタート眼球光学モデル決定部8020によりスタート眼球光学モデルを決定する。
(7)決定したスタート眼球光学モデルを使用して、眼球光学モデル集光性能算出部8022により集光性能を算出し、眼球光学モデル決定部8028により目の調節機能の中位状態における最終的な眼球光学モデルを決定する。具体的には、眼球光学モデル集光性能算出部8022により調節中点状態における眼球光学モデルに光線を入射させて、その光線の網膜上への集光性能を算出し、最良の集光状態となるように光学系自動設計処理を行い、眼球光学モデル決定部8028により光学諸元を変化させ、最適の解(光学諸元)を決定する。この調節中点における眼球光学モデルの構築は、光学系自動設計計算によりスタート眼球光学モデルから出発して、集光状態が最適となるよう人の眼球の光学諸元を自動的に決定するものである。
ここにおける光学系自動設計計算とは、レンズ自動設計プログラムを使用した光線追跡による光学諸元の自動決定プロセスをいう。これらの手法の代表例として、減衰最小二乗法(Dumpt Least Square Method)がある。
最終的な性能条件(この実施形態は、調節中点状態において、無限に小さい点物体から眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させた場合を算出して、光線の屈曲変化を追跡し、網膜上の一点に光線が結像する状態)を満足するように、眼球光学モデルの光学諸元の値を少しずつ変化(屈折率は変えないで、曲率半径と面間隔を変化させる。非球面の場合は、基準球面の曲率半径、非球面係数を変化させる)させながら、網膜上の到達点の位置ずれ量の自乗和を極小にする。これは、後述する「調節中点におけるその人の眼球光学モデル構築処理」と同じである。
【0082】
(8)次に、モデル妥当性検証部8024によって、調節限界(近点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする。この妥当性チェックは、人の眼球が有している調節力の分だけ眼球屈折度をアップ(UP)させ、光学系自動設計計算により、集光状態が良いことを確認するものである。
ここにおいて、調節力分だけ眼球屈折度をアップ(UP)とは、次のようなことをいう。遠点距離が1m(−1.0D)、近点距離が25cm(−4.0D)とすると、調節中点位置は40cm(−2.5D)となり、近点側では、調節中点位置にくらべ、−1.5Dの補正量に相当する眼球屈折度UPが必要となる。この−1.5D相当の眼球屈折度の増強となるよう、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、近点距離25cmの位置にある無限に小さい点物体から、眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させ、光線追跡を行い、網膜上の一点に結像する状態にするよう、光学諸元を変化させて光学系自動設計を実行する。
その結果、一点に集光したと見なせる状態になれば、調節限界における光学モデルのシミュレーションが成功したとし、調節中点におけるその人の眼球光学モデルが妥当であったと判断する。
(9)モデル妥当性検証部8024によって、調節限界(遠点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする。この妥当性チェックは、人の眼球が有している調節力の分だけ眼球屈折度をダウン(DOWN)させ、光学系自動設計計算により、集光状態が良いことを確認するものである。
ここにおいて、調節力分だけ眼球屈折度をダウン(DOWN)とは、次のようなことをいう。
遠点距離が1m(−1.0D)、近点距離が25cm(−4.0D)とすると、調節中点位置は40cm(−2.5D)となり、遠点側では、調節中点位置にくらべ、+1.5Dの補正量に相当する眼球屈折度ダウン(DOWN)が必要となる。この+1.5D相当の眼球屈折度の減少となるよう、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、遠点距離1mの位置にある無限に小さい点物体から、眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、複数の光線を入射高さを変えて入光させ、光線追跡を行い、網膜上の一点に結像する状態にするよう、光学諸元を変化させて光学系自動設計を実行する。
その結果、一点に集光したと見なせる状態になれば、調節限界における光学モデルのシミュレーションが成功したとし、調節中点におけるその人の眼球光学モデルが妥当であったと判断する。
(10)モデル妥当性検証部8024によって、近点側および遠点側の調節限界外、すなわち眼球の調節範囲外における眼球光学モデルの妥当性をチェックをする。
(11)眼球光学諸元調節範囲確定部8026によって、調節中点位置における眼球光学モデルについて眼球の光学諸元の調節範囲の確定を行う。
(12) 眼球光学諸元調節範囲確定部8026によって、決定された眼球光学モデルのイメージ、例えば第74図に示すような眼球断面図を生成し、その眼球光学モデルについての説明もあわせて表示するようにしてもよい。
(13)眼球光学モデル集光性能算出部8022によって、被検者の裸眼状態における3つの距離における調節を伴う集光性能を算出する。
【0083】
調節中点位置における眼球光学モデル、光学諸元の調節範囲の確定は、次のようになる。
モデル妥当性検証部8024によって調節限界(近点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理およびモデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理の検証により、調節中点におけるその人の眼球光学モデル構築処理結果の調節中点位置における眼球光学モデルを妥当と判断し、その眼球光学モデルを、次に述べる裸眼状態での3つの距離における調節を伴う集光性能算出処理および矯正後の3つの距離における調節を伴う集光性能算出処理で使用する。3つの距離とは、見え方が大きく変わる可能性のある3距離を選ぶ。たとえば、0.3m(読書)、0.5〜0.6m(デスクワーク)、5m(車の運転)である。調節限界における光学諸元の変化範囲(特に水晶体が薄くなったり、厚くなったりする時の水晶体厚さ、前面皮質の曲率半径、後面皮質の曲率半径の変化範囲)も、モデル妥当性検証部8024によって調節限界(近点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理およびモデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理により決定したことになる。これらが確定すると、物体距離に応じた眼の調節をシミュレーションできる。モデル妥当性検証部8024によって調節限界(遠点側)における眼球光学モデルの妥当性をチェックする処理と同様に、物体の距離に応じた、調節中点位置からの眼球屈折度アップ(UP)あるいはダウン(DOWN)量を求め、光学系自動設計の境界条件を制御しながら、光学系自動設計を実行する。
このようにして求められた光学諸元は、仮想的に眼球がピント調節を行ったときの眼の状態を表している。
【0084】
これ以上、集光状態が良くならないという状態まで繰り返し計算を行い、最終的な光学諸元を、物体距離におけるベストの集光状態とする。
集光性能を評価するには、ある距離にある無限に小さい点物体から、眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、数百本程度の光線を均一に分散させて入光させ、光線追跡を行い、網膜上のどの場所に結像するかを計算する。ぼけの度合いを評価するには、網膜上の点像の強度分布の2次元フーリエ変換を行い、空間周波数特性(OTF)と呼ばれる像評価を行う。
(14)眼球光学モデル集光性能算出部8022によって、矯正用レンズにより矯正を行った光学モデルについて上述した3つの距離における調節を伴う集光性能を算出し検証する。
すなわち、眼球光学モデルの前に実際の眼鏡レンズ(レンズ前面の曲率半径、後面の曲率半径、硝子材屈折率が既知のレンズ)を置き、裸眼状態における集光性能算出処理と同様の計算を行う。
概算レンズ度数と装用条件から、適合する仮想レンズを決定し、その眼鏡・コンタクトレンズを装用した状態における集光性能に関する光学シミュレーションを行う。
さらに、3つの距離における鮮鋭度スコアのバランスが悪い場合は、レンズの度数を少し変化させて、再度光学シミュレーションを行う。
【0085】
(15)鮮鋭度スコア生成部8032によって、調節力の範囲内で眼の光学諸元を変化させて、集光性能が最適となる状態を作り出し、そのときの鮮鋭度スコアを算出する。第76図に、鮮鋭度スコアと見え方の関係を例示する。鮮鋭度スコアは、眼球光学モデル集光性能算出部8022が算出した集光状態の結果に基づいて算出する。
ある距離にある無限に小さい点物体から、眼球光学モデルの瞳径(たとえばφ3mm)に対し、数百本程度の光線を均一に分散させて入光させ、光線追跡を行い、網膜上のどの場所に結像するかを計算する。その点像の強度分布の2次元フーリエ変換を空間周波数特性(OTF)と言う。網膜上で強度分布がどうなるかを調べれば、ぼけの度合いを評価できる。空間周波数とは縞模様の細かさを表す値であり、単位長あたりの縞の本数で定義される。
視覚系の場合は、視角1度あたりの縞の本数で表す。たとえば縞の間隔をw(degree)とすればu=1/w(cycles/deg)となる。
ぼけ判定に用いるw値を網膜の分解能から決定し、その時のu値から鮮鋭度スコアを算出する。
(16)視認映像生成部8030によって、推奨レンズにおいて矯正後および矯正前の3つの距離における視認映像を生成して表示する(第77図)。これにより、利用者は裸眼状態と推奨レンズを装用した場合における見え方を画面で確認することができる。
視認映像の生成は、高精細に撮影された3つの距離の画像を用意し、この画像に対し画素単位でN×Nサイズの平滑化フィルタ処理を行い、画像をぼかすことにより行う。ぼけの具合はN値(最低3)、フィルタ重み付け、処理回数により調整できる。フィルタ処理後の画像について、空間周波数解析によりボケ具合を判定し、求めた鮮鋭度スコアとの対応付けを行う。いくつかの鮮鋭度スコアに対応する画像を準備する。また、準備された画像に特定平滑化フィルタ処理を一回かけた画像に対応するスコア値を算出しておく。
鮮鋭度スコアの算出でスコア値が求まれば、そのスコア値により、対応する画像を直接呼び出して表示するか、フィルタ処理を行い、結果画像をその鮮鋭度スコアに一致させて表示する。
【0086】
(17)さらに、視認映像生成部8030によって、レンズを変更して、3距離における見え方画像を提示し、比較をできるようにする。すなわち、レンズ度数を変更して、眼鏡・コンタクトレンズを装用した状態の光学シミュレーションを行う。そして、眼球の調節範囲内で光学諸元を変化させて、集光性能が最適となる状態を作り出し、そのときの鮮鋭度スコアを算出する。
また、レンズ度数選定部8034により特定のレンズ度数における鮮鋭度スコアが既に計算済みの場合は、そのデータを使用するように構成してもよい。
(18)被検者は、表示された視認画像および鮮鋭度スコアから自分が希望する矯正強度の矯正レンズを視覚的に判断し、使用する矯正レンズを示す番号、符号等をデータ入力部8014により選択する。
以上のように、本レンズ度数決定システムでは、利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段とを備えるので、各人の眼にあった眼鏡・コンタクトレンズの度数を決定することができる。
【0087】
上記説明では、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムと、メガネ装用仮想体験システムと、遠隔自覚視力測定システムとは、それぞれ独立したメガネオーダー販売センターであるかのように説明したが、実際には単一のコンピュータやサーバ上に統合して、データベースの共通化を図るか、または複数のコンピュータやサーバによる分散処理を行って、利用者情報、フレーム選択情報、視力測定情報等をLAN等を介して相互に通信するようにして統合している。これにより、利用者は単一の利用者クライアントから単一のサイトにアクセスすることで、一連の眼鏡・コンタクトレンズのオーダー販売サービスを受けることができる。
尚、ここでレンズ度数の決定は、レンズ度数決定システムによって得られるレンズ度数を用いてもよく、検眼システムによって得られるレンズ度数を用いてもよい。
そして、かかる遠隔自覚視力測定システムやレンズ度数決定システムや検眼システムによるレンズ度数決定機能と、前述のメガネ装用仮想体験システムによるフレーム選択機能とを統合した眼鏡・コンタクトレンズ選定システムにより、遠隔で各人の眼にあったレンズを選定できるばかりでなく、各人の装用状態を視覚的に確認してフレーム等を選択できるので、利用者が安心してインターネット等のネットワークを介して眼鏡・コンタクトレンズのオーダー販売サービスを受けることができる。
【0088】
上記実施形態では、利用者クライアントとメガネオーダー販売センターと外部決済処理機関とは、インターネットにより接続されるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、一部もしくは全部が特定の組織内のLANやWAN等を介して接続されるものであってもよいことは言うまでもない。また、必ずしもネットワークを介して被検者に検眼サービスを提供する場合に限らず、店舗等において本願発明の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムを設置し、スタンドアローンでメガネのオーダー販売サービスを提供するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、眼鏡・コンタクトレンズ選定システムについて説明したが、本願発明の眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの各手段をステップとして備える眼鏡・コンタクトレンズ選定方法によれば、ハードウェア構成の如何を問わず本願発明の効果を奏する。
【0089】
また、本願発明の方法は汎用のパーソナルコンピュータによっても実現できるので、本願発明の方法をパーソナルコンピュータで実行可能なように記述したコンピュータプログラムを利用者に供給して眼鏡・コンタクトレンズの選定サービスを提供するものであってもよい。尚、コンピュータプログラムは、CD−ROM等の記録媒体によって提供されるものであってもよく、インターネット等を介してダウンロードすることによって利用者に提供されるものであってもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】 利用者が眼鏡・コンタクトレンズを購入する際の処理の概要を示す図である。
【図3】 眼鏡・コンタクトレンズ選定システムの処理において、利用者を区分する処理の概要を示す図である。
【図4】 利用者が既に顧客であった場合の処理の概要を示す図である。
【図5】 利用者が顧客でなかったが処方箋があった場合の処理の概要を示す図である。
【図6】 利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって、老眼鏡対象者でない場合の処理の概要を示す図である。
【図7】 利用者が顧客でなく処方箋もなかった場合であって、老眼の自覚症状のない場合の処理の概要を示す図である。
【図8】 利用者が既成の老眼鏡を希望する場合の処理の概要を示す図である。
【図9】 レンズ選択基準データベースである。
【図10】 レンズデータベースである。
【図11】 サイトトップ画面の図解図である。
【図12】 パソコン画面情報の収集画面の図解図である。
【図13】 サービス選択画面の図解図である。
【図14】 フレーム選びトップ画面の図解図である。
【図15】 PD測定画面の図解図である。
【図16】 顔画像選択画面の図解図である。
【図17】 自画像アップロード画面の図解図である。
【図18】 フレーム選び体験画面の図解図である。
【図19】 色違い表示画面の図解図である。
【図20】 キープの中身確認画面の図解図である。
【図21】 購入フレーム確認画面の図解図である。
【図22】 メガネを作る度数選択画面の図解図である。
【図23】 処方せんデータ入力画面の図解図である。
【図24】 レンズの厚み比較画面の図解図である。
【図25】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備えるレンズ装用仮想体験システムの構成例を示す図である。
【図26】 利用者情報に関するデータベースの例を示す図である。
【図27】 フレーム選択情報入力手段より入力されるデータの例を示す図である。
【図28】 フレームの機能構造に関するデータベース構造の例を示す図である。
【図29】 フレームの装飾構造に関するデータベース構造の例を示す図である。
【図30】 顔画像の側面における測定方法を示す図解図である。
【図31】 顔画像の正面における測定方法を示す図解図である。
【図32】 フレームの調整方法を示す図解図である。
【図33】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備える遠隔自覚視力測定システムの構成例を示す図である。
【図34】 レンズ度数決定の画面フロー図(その1)である。
【図35】 レンズ度数決定の画面フロー図(その2)である。
【図36】 パソコン画面情報収集画面の図解図である。
【図37】 利用者情報入力画面の図解図である。
【図38】 装用条件入力画面の図解図である。
【図39】 乱視軸測定ステップ1において表示されるガイダンス画面の図解図である。
【図40】 乱視軸測定ステップ2において表示される乱視軸判定チャートの図解図である。
【図41】 乱視軸測定ステップ3における利用者の状態を示す図である。
【図42】 乱視軸測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
【図43】 遠点視力測定ステップ1において表示される遠点視力測定視標の図解図である。
【図44】 遠点視力測定ステップ2における利用者の状態を示す図である。
【図45】 遠点視力測定ステップ3における利用者の状態を示す図である。
【図46】 遠点視力測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
【図47】 遠点視力測定ステップ5における利用者の状態を示す図である。
【図48】 遠点視力測定ステップ5−1における遠点視力測定視標の見え方の例を示す図である。
【図49】 遠点視力測定ステップ7における利用者の状態を示す図である。
【図50】 近点距離測定を行うための事前準備状態を示す図である。
【図51】 近点距離測定ステップ1において表示される近点距離測定視標の図解図である。
【図52】 (A)は、近点距離測定ステップ2における利用者の状態を示す図であり、(B)は、図がぼけて見えている状態を示す。
【図53】 (A)は、近点距離測定ステップ3における利用者の状態を示す図であり、(B)は、図がはっきりと見えている状態を示す。
【図54】 近点距離測定ステップ4における利用者の状態を示す図である。
【図55】 近点距離測定ステップ5における利用者の状態を示す図である。
【図56】 近点距離測定ステップ6における利用者の状態を示す図である。
【図57】 近点距離測定ステップ7における利用者の状態を示す図である。
【図58】 近点距離測定ステップ8における利用者の状態を示す図である。
【図59】 近点距離測定ステップ9において表示される近点距離測定視標の図解図である。
【図60】 近点距離測定ステップ10における利用者の状態を示す図である。
【図61】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備える検眼システムの構成例を示す図である。
【図62】 検眼システムの処理フローの例を示す図である。
【図63】 個人情報入力画面の表示例を示す図である。
【図64】 装着条件入力画面の表示例を示す図である。
【図65】 乱視軸判定の説明画面の表示例を示す図である。
【図66】 乱視軸判定画面の表示例を示す図である。
【図67】 遠点視力測定の説明画面の表示例を示す図である。
【図68】 遠点視力測定画面の表示例を示す図である。
【図69】 近点距離測定の説明画面の表示例を示す図である。
【図70】 近点距離測定画面の表示例を示す図である。
【図71】 遠点距離演算用ニューラルネットワークの構成例を示す図である。
【図72】 この発明の一実施の形態における眼鏡・コンタクトレンズ選定システムが備えるレンズ度数決定システムの構成例を示す図である。
【図73】 遠点視力を測定する視標を示す図解図であり、(a)は最も大きい視標であり、(b)は中ぐらいの大きさの視標であり、(c)は、最も小さい視標である。
【図74】 眼球光学モデルを示す図解図である。
【図75】 この発明にかかる矯正レンズ決定サーバの動作を示すフローチャート図である。
【図76】 鮮鋭度スコアと見え方の関係を例示した図である。
【図77】 矯正前後の視認映像を確認する画面を例示した図である。
【符号の説明】
1 利用者クライアント
11 入出力装置
12 WWWブラウザ
2 メガネオーダー販売サービスセンター
21 電子ショップ情報処理手段
22 表示情報生成手段
23 メガネオーダー販売処理手段
24 決済処理手段
25 WWWサーバ/CGI
26 レンズ選択手段
27 フレーム選択手段
28 レンズ度数決定手段
3 外部決済処理機関
8018 遠点距離演算部
8020 スタート眼球光学モデル決定部
8022 眼球光学モデル集光性能算出部
8024 モデル妥当性検証部
8026 眼球光学諸元調節範囲確定部
8028 眼球光学モデル決定部
8030 視認映像生成部
8032 鮮鋭度スコア生成部
8034 レンズ度数選定部
Claims (24)
- 利用者の眼の状態に関する情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定する眼球光学モデル決定手段と、
前記眼球光学モデル決定手段により決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定する眼球調節範囲確定手段と、
利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するレンズ度数選定手段と、
選定する眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を生成して表示する装用状態表示手段とを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。 - 前記入力手段は、利用者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離または一定距離における視力等の利用者の目の情報を入力することができるように構成された、請求項1に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- 前記眼球光学モデル決定手段は、利用者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球モデルを決定するスタート眼球モデル決定手段を含む、請求項1または請求項2に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- 前記眼球光学モデル決定手段は、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように、および/または利用者の遠点距離から算出された無調節状態における利用者の眼球における集光状態が最適となるように構成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証する眼球光学モデル妥当性検証手段を備えた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- 前記眼球調節範囲確定手段は、調節中点における眼球の光学諸元の調節範囲を確定することができるように構成された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- さらに、調節中点における眼球の調節範囲を確定した眼球モデルのイメージを生成して表示する眼球光学モデルイメージ生成手段を備えた、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- さらに、利用者の裸眼状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、眼球光学モデルの集光性能を検証する眼球光学モデル集光性能検証手段を備えた、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- 前記眼球光学モデル集光性能検証手段は、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、利用者の眼球光学モデルの集光状態を検証する手段を含む、請求項8に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- さらに眼鏡・コンタクトレンズ装用状態表示手段は、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者の視認の鮮鋭度スコアを生成する鮮鋭度スコア生成手段を含む、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- さらに、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者が視認する映像を生成する視認映像生成手段を備えた、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- 前記装用状態表示手段は、利用者の画像を取得する画像取得手段と、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を前記画像取得手段により取得された利用者の画像と合成する画像合成手段とを含む、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定システム。
- 利用者の眼の状態に関する情報を入力するステップと、
前記入力するステップにより入力された眼の状態に関する情報に対応して、眼球光学モデルを決定するステップと、
前記眼球光学モデルを決定するステップにより決定された眼球光学モデルにおいて、利用者の調節範囲内における眼球の光学性能を検証し、眼球の調節範囲を確定するステップと、
利用者が眼鏡・コンタクトレンズを装用したときの光学性能を検証し、レンズ度数を選定するステップと、
選定する眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップとを備えた、眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。 - 前記入力するステップは、利用者の装用条件、年令、近点距離、遠点距離または一定距離における視力等の利用者の目の情報を入力するステップを含む、請求項13に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- 前記眼球光学モデルを決定するステップは、利用者の年令、概算レンズ度数等の眼の情報に基づきスタート眼球モデルを決定するステップを含む、請求項13または請求項14に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- 前記眼球光学モデルを決定するステップは、利用者の近点距離と遠点距離とから算出された調節中点における利用者の眼球における集光状態が最適となるように、および/または利用者の遠点距離から算出された無調節状態における利用者の眼球における集光状態が最適となるように眼球光学モデルを決定するステップを含む、請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- さらに、近点側および/または遠点側における調節限界において、眼球光学モデルの妥当性を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- 前記眼球の調節範囲を確定するステップは、調節中点における眼球の光学諸元の調節範囲を確定するステップを含む、請求項13ないし請求項17のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- さらに、眼球の調節範囲を確定した眼球光学モデルのイメージを生成して表示するステップを備えた、請求項13ないし請求項18のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- さらに、利用者の裸眼状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、眼球光学モデルの集光性能を検証するステップを備えた、請求項13ないし請求項19のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- 前記眼球光学モデルの集光性能を検証するステップは、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正した状態において、近点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、遠点もしくはその近傍の調節力の範囲内における位置、または、近点と遠点とは離隔した位置における、利用者の眼球光学モデルの集光状態を検証するステップを含む、請求項20に記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- さらに、眼鏡・コンタクトレンズによる矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者の視認の鮮鋭度スコアを生成するステップを備えた、請求項13ないし請求項21のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- さらに、眼鏡・コンタクトレンズにより矯正をする前および/または矯正をした後における、利用者が視認する映像を生成するステップを備えた、請求項13ないし請求項22のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
- 前記眼鏡・コンタクトレンズの装用状態を表示するステップは、利用者の画像を取得するステップと、選定する眼鏡・コンタクトレンズの画像を前記取得された利用者の画像と合成するステップとを含む、請求項13ないし請求項23のいずれかに記載の眼鏡・コンタクトレンズ選定方法。
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