JP5116773B2 - 眼鏡レンズ評価方法、これを用いた眼鏡レンズ設計方法、眼鏡レンズ製造方法、眼鏡レンズ製造システム及び眼鏡レンズ - Google Patents

眼鏡レンズ評価方法、これを用いた眼鏡レンズ設計方法、眼鏡レンズ製造方法、眼鏡レンズ製造システム及び眼鏡レンズ Download PDF

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Description

本発明は、眼鏡レンズを設計又は製造するにあたって性能の評価に用いる眼鏡レンズ評価方法と、これを用いた眼鏡レンズ設計方法、眼鏡レンズ製造方法、眼鏡レンズ製造システム及び眼鏡レンズに関する。
従来は、眼鏡装用者個々人ごとにカスタムメイド(特注生産、「オーダーメイド(受注生産)」ともいう。)される個別眼鏡レンズであっても、既製品である通常(汎用)眼鏡レンズであっても、一般に、その光学性能は、以下のようにして求められていた。すなわち、眼鏡レンズの3次元形状、装用状態パラメータ、処方度数、及び、明視する処方距離を持つ物体面等によって定められる光学系を想定し、この光学系において、物体面から出た光線又は光束が眼鏡レンズを通過する軌跡を公知の光学計算方法等によって追跡し、その軌跡が好ましいとされる軌跡にどの程度近いか等によってその性能を求めるものであった。また、眼鏡レンズの設計は、その性能評価を行いながら目的の性能に近いレンズを求めて設計していくというものであった(特許文献1参照)。
例えば、特許文献2には、波面光学に基づいて、精度の高い光学計算による眼鏡レンズ設計がなされ、その光学性能について言及され、かつ、モニター結果について定性的に記載されている。また、眼鏡レンズとしての累進レンズは、個別の調節力に対応する付加力を処方度数として持っており、その付加力に対応した設計がなされているゆえに個別眼鏡レンズの一種である。特許文献3には、この累進レンズを試験装用したモニターによって、乱視度数や非点収差の値を変えて評価させ、その評価結果に基づいて設計する点が記載されている。
特開2000−186978号公報 特開2000−111846号公報 特開2001−209012号公報
上述の従来の眼鏡レンズの評価方法や設計方法は、主として、眼鏡レンズのレンズ面の3次元形状等により定まる光学性能に基づくものであり、装用する人間の視力以外の視覚機能との関係が評価の因子として適切に用いられているとはいえないものであった。すなわち、人間の視覚機能との関係としては、光学性能と、眼鏡レンズを試験装用したモニターの評価結果との相関だけが問題とされていた。そしてこの相関から、光学性能に対応してモニターの評価結果も良かった場合に、良い眼鏡レンズであると評価する方法が主なものであった。
本発明は、眼鏡レンズの評価、設計及び製造をする際に、本発明者が初めて着目した視力以外の視覚機能を評価のパラメータに取り入れることにより、光学性能と装用する人間の視覚機能との関係を評価の因子として適切に用い、より適切な評価、設計及び製造をすることを可能にする眼鏡レンズ評価方法、眼鏡レンズ設計方法、眼鏡レンズ製造方法、眼鏡レンズ製造システム及び眼鏡レンズを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の眼鏡レンズ評価方法は、調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を用いて眼鏡レンズを評価する。
但し、前記相対調節力とは、注視点の輻輳を保ったまま、明視可能な範囲をディオプターで表現したものをいう。
本発明による眼鏡レンズ設計方法は、調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を評価関数として用いて最適化計算を行うステップを含む。
本発明による眼鏡レンズ製造方法は、調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を評価関数として用いて最適化計算を行い、前記最適化計算により求めた光学設計値に基づいて眼鏡レンズを製造する工程を含む。
本発明による眼鏡レンズ製造システムは、
眼鏡レンズの発注側に設置されて前記眼鏡レンズの発注に必要な処理を行う機能を有する発注側コンピュータと、前記発注側コンピュータからの情報を受け取って、前記眼鏡レンズの受注に必要な処理を行う機能を有する製造側コンピュータと、がネットワークで接続された眼鏡レンズ製造システムであって、
前記発注側コンピュータは、調節力または相対調節力の測定値を含む前記眼鏡レンズの設計に必要な情報を前記製造側コンピュータに送信し、
前記製造側コンピュータは、
前記発注側コンピュータから送信された調節力または相対調節力の測定値を含むデータを入力するデータ入力部と、
前記入力されたデータに基づいて、眼鏡レンズの複数の評価点についての光学性能値を視力関数として計算する視力関数計算部と、
前記視力関数計算部で計算された視力関数を評価関数として、前記光学性能値の最適化を図る評価関数最適化部と、
前記視力関数を所定の閾値と比較して、前記光学性能値を評価する視力関数評価部と、
前記視力関数評価部において評価した結果、前記視力関数の値が所定の視力に達しない場合に、眼鏡レンズの設計データを修正する設計データ修正部と、
前記視力関数評価部の評価を前記眼鏡レンズの各評価点について終了した結果から、設計データを決定する光学設計値決定部と、
前記光学設計値決定部における最終的な設計データをレンズ加工するための装置へ供給する設計データ出力部と、を有する
構成とされる。
更に、本発明による眼鏡レンズは、調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を評価関数として用いて最適化計算を行って求めた光学設計値に基づいて構成される。
本発明者の研究によれば、従来の眼鏡レンズの評価・設計は、患者の調節力、特に相対調節力については考慮されておらず、結局、患者に相対調節力がないものとして行ってきたことがわかった。しかし、通常の患者には調節力や相対調節力があるので、従来の評価・設計は必ずしも最適なものではない。眼鏡レンズの評価・設計において、視力関数に相対調節力を因子に含むものを用いることにより、より適切な評価・設計が可能になることが判明した。
また、一般に眼球が遠方視を行う際には調節力、輻輳を伴わない。したがって、従来の眼鏡レンズにおいて、遠方視の矯正を主たる目的とする場合には、(相対)調節力を考慮する必要がなかった。例えば累進屈折力レンズの遠用屈折力、および単焦点レンズの光学中心は遠方視における視力を矯正するために、調節力または相対調整力は除外されていた。
一方、眼鏡レンズの使われ方として、単焦点の光学中心のみならず累進屈折力レンズの遠用屈折力基準位置により中近方視を行うことが頻繁になされている。しかし、このような中近方視では、調節力がない人の場合(例えば高齢者等)以外は過矯正状態になり、眼球に対する過度な負担が生ずることがある。本発明によると遠用屈折力(光学中心)が調節力を考慮した屈折力となっているため、調節力が発生する中近方視においても眼球に負担をかけない爽快な視界を得ることが容易になる。
また、本発明によれば、特に累進近用部のより適切な評価・設計が原理的に可能である。
眼球の屈折力エラーと視力との関係を示すPeters図を示す図である。 眼球の屈折力エラーと視力との関係を示すPeters図を示す図である。 眼球の屈折力エラーと視力との関係を示すPeters図を示す図である。 眼球の屈折力エラーと視力との関係を示すPeters図における5−15才のデータをサンプリングして模式的に示す図である。 図4のデータを原点対称として得られる視力関数を示す図である。 図4に示す5−15才のPeters図を、横軸PE(パワーエラー)、縦軸AS(非点収差)の座標に変換した図である。 図6を基に作成した視力関数を示す図である。 図7をS−C座標に変換した図である。 図4に示す5−15才のPeters図から、生理的乱視のみを取り出して示す図である。 年齢と調節力の関係を示すDuane図を示す図である。 輻輳と調節力との関係を示すDonders図を示す図である。 Donders図を基にして作成した5−15才の爽快領域を示す図である。 Donders図を基にして作成した25−35才の爽快領域を示す図である。 Donders図を基にして作成した45−55才の爽快領域を示す図である。 Donders図を基にして作成した75才の爽快領域を示す図である。 本発明の実施の形態に係る眼鏡レンズ設計方法のフローチャートを示す図である。 本発明の実施の形態に係る眼鏡レンズ製造システムの概略構成図である。 本実施形態の眼鏡レンズ製造システムにおける製造側コンピュータの機能を説明するための機能ブロック図である。 第1の眼鏡レンズを、年齢10才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第1の眼鏡レンズを、年齢30才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第1の眼鏡レンズを、年齢50才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第1の眼鏡レンズを、年齢75才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第2の眼鏡レンズを、年齢10才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第2の眼鏡レンズを、年齢30才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第2の眼鏡レンズを、年齢50才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第2の眼鏡レンズを、年齢75才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第3の眼鏡レンズを、年齢10才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第3の眼鏡レンズを、年齢30才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第3の眼鏡レンズを、年齢50才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第3の眼鏡レンズを、年齢75才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第4の眼鏡レンズを、遠方で、年齢10才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第4の眼鏡レンズを、遠方で、年齢30才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第4の眼鏡レンズを、遠方で、年齢50才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第4の眼鏡レンズを、遠方で、年齢75才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第4の眼鏡レンズを、近方で、年齢10才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第4の眼鏡レンズを、近方で、年齢30才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第4の眼鏡レンズを、近方で、年齢50才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。 第4の眼鏡レンズを、近方で、年齢75才の場合について、本実施の形態に係る視力関数にて評価したlogMAR図である。
以下、本発明の実施の形態に係る眼鏡レンズ評価方法を説明し、併せて本発明の実施の形態に係る眼鏡レンズ設計方法、眼鏡レンズ製造方法、眼鏡レンズ製造システム及び眼鏡レンズを説明する。以下の項目順に説明する。
[1]眼鏡レンズ評価方法
1:視力関数の全般的説明
2:調節力0の視力関数の作成
3:相対調節力の観点からのPeters図の解釈
4:年齢別のDonders図の作成
5:視力関数の作成
(1)爽快領域
(2)眼鏡レンズ調節効果
(3)視力関数をレンズ後方頂点で定義している点に関する説明
(4)非点収差ASと視力劣化との関係
(5)実性相対調節力の生理的乱視
[2]眼鏡レンズ設計方法及び製造方法
[3]眼鏡レンズ製造システム
[4]眼鏡レンズ
[5]実施例
[1]眼鏡レンズ評価方法
1:視力関数の全般的説明
本発明の実施の形態に係る眼鏡レンズ評価方法は、視力関数を用いてカスタムメイドの眼鏡レンズを評価するものであり、視力関数が、調節力又は相対調節力を因子に含むものである。より具体的には、本願の視力関数は、例えば、パワーエラー(PE)、非点収差(AS)、相対調節力(AA)、年齢または相対調節力を変数とする非点収差関数を含む関係式により算出する。ここで、非点収差関数とは、非点収差に年齢増加とともに減少する乱視視力(以下、「加齢減少乱視視力」ともいう)に対応する補正係数(bk)を乗じた関数である。なお、生理的乱視に対応する補正係数を含むようにしても良い。
すなわち、視力関数の概略は、パワーエラーと相対調節力との差分(A)を2乗したもの(A)に、年齢又は相対調節力を変数とする非点収差関数(B)を2乗したもの(B)を加算し、この加算値の1/2乗((A+B1/2)に視力との比例係数を乗じた関数である。
具体的には、下記の数1の(1)式で表される視力関数が用いられる。
但し、(1)式において、αは、視覚機能の1つである視力を、主に視覚機能の1つである相対調節力、光学収差であるパワーエラーPE、非点収差ASに関係づける係数であって、
0.25≦α≦0.65
の範囲の係数であり、望ましくは0.48±0.03付近の係数である。
また(1)式の平方根中の第1項は、パワーエラーPEを相対調節力AAにより相殺(マイナス)する項であり、公知の光学収差の1つであるパワーエラー(度数誤差)である。
AA(PRA,NRA)は、視覚機能の1つである相対調節力を主要な項目とする関数であり、望ましくは生理的乱視の現象を表現する補正項を含んだ関数である。
平方根中の第2項中のbkは、年齢が若いほど乱視方向に視力が上がる現象を表現し、年齢により増加する係数、または個人差に応じた相対調節力に応じて減少する特徴を持つ補正係数で、
0.6≦bk≦1.1
である。
ASは、公知の光学収差の1つである非点収差である。
また、視力を(logMAR)単位で表現した場合、小数点視力、または分数視力との関係は、小数点視力、または分数視力をVとしたとき、以下の公知式
視力(logMAR単位)=log10(1/V)
で定義された関係を持つ。分数視力、小数点視力及びlogMAR単位で示す視力は下記の表1に示す関係となる。
ここで、眼鏡レンズの評価では、眼鏡レンズの各点について、周知の光線追跡法を用いて非点収差等の必要な光学性能値を求め、この光学性能値を上記数式(1)で示した視力関数の式に代入して眼鏡レンズの各点における視力関数の値を求める。そして、この視力関数の値から眼鏡レンズの各点の光学性能を評価することが一般的に行われている。なお、この場合、光線追跡法を行う際に、評価対象たる眼鏡レンズの特定は、その眼鏡レンズの3次元曲面形状、屈折率、アッベ数、S度数、C度数、乱視角、プリズム度、プリズム角、レンズ前傾角、あおり角、PD(両眼の瞳の距離)、明視する処方距離、VR(眼球回旋点と眼鏡レンズ後方頂点との距離)その他の情報に基づいてなされる。
また、一般に眼鏡レンズの設計方法としては、何らかの評価関数を用いて最適化計算を行いながら設計する設計方法が知られているが、本発明の実施の形態に係る眼鏡レンズ設計方法では、この評価関数として上記(1)式で示される視力関数を用いている。さらに、本発明の実施の形態に係る眼鏡レンズは、上記眼鏡レンズ設計方法によって設計された眼鏡レンズである。
なお、上記最適化計算は眼鏡レンズの設計では周知の技術であるが、本発明の実施の形態を説明する前提として、一応概略的に説明しておく。
例えば、単焦点非球面レンズの設計を例にとると、基本的な設計仕様として、レンズの素材に関するデータと処方に関する仕様とが与えられる。更に付加的な仕様としてプラスレンズの場合には中心厚といった事項を入れ、この仕様と中心厚を満足し、かつ、光学収差ができるだけ少なくなるように、レンズの前面と後面の屈折面形状の組み合わせを計算により求めていく。この屈折面は、所定の関数で数式化された面として表現されており、眼鏡レンズを定義する複数のパラメータから構成される。そのパラメータには、素材の屈折率、レンズ外径、前面及び後面の曲率半径、中心厚、非球面円錐係数、高次非球面係数等がある。これらのパラメータを、レンズ設計目的に応じて固定的なファクターと可変的なファクターに区分し、可変的ファクターは変数パラメータとして取り扱う。
そして、光線追跡法や波面追跡法を用いて、この屈折面上での光軸からの距離が異なる複数の評価点をレンズ面に設定し、その評価点における光学的収差を評価関数(メリット関数)として表す。そして、その評価関数が最小になるように、減衰最小自乗法などの最適化計算の手法を用いて計算する。その際、上記屈折面の可変パラメータを操作しながら最適化のシミュレーションが繰り返し実施され、評価関数値が目標とする値になったところで、屈折面の最終形状が決定される。本実施の形態に係る眼鏡レンズ設計方法では、上記評価関数(メリット関数)として(1)式を用いている。
なお、本発明の眼鏡レンズ評価方法に用いる視力関数は、眼球の屈折力エラーと視力との関係を複数の被検者について実測したデータと、輻輳と調節力との関係について複数の被検者について実測したデータと、年齢と調節力に関して複数の被検者について実測したデータと、に基づいて導かれる。以下これら複数の被検者、具体的には数百〜千人を超える多数の被検者について実測したデータに基づいて上記の視力関数を導く過程を具体的に説明する。
2:調節力0の視力関数の作成
上記(1)式は、以下のようにして求めたものである。まず、図1〜図3に示されるPeters図から汎用レンズのための視力関数を求める。次いで、この汎用レンズのための視力関数をより一般化することにより、カスタムメイド用レンズのための相対調節力を含む視力関数を求める。なお、ここで、Peters図とは、Petersによって、実測された年齢別の視力測定値のデータをグラフにしたものである(”The Relationship Between Refractive Error And Visual Acuity At Three Age Levels”, the American Journal Of Optometry And Archives Of American Academy Of Optometry, (1961)pp.194-198参照)。すなわち、眼球の屈折力エラーと視力との関係を多数の被検者について実測したデータによって作成されたグラフである。図の縦軸が非点収差、横軸が球面度数である。視力は分数視力表示である。
図1〜図3に示されるPeters図をみると、これらの図は、レンズの収差(PE(パワーエラー)、AS(非点収差))と、正規化した視力との関係を表しているものである。したがって、この関係自体が視力関数となっているということができる。そこで、この関係を関数形で表すと、下記の数2で示す式(2)で表すことができる。
これをより具体的な関数形で表すために、視力をlogMARで表現すると、下記の数3で示す式(3)で表すことができる。
なお、ここで、正規化した視力とは、眼鏡によって矯正する前の視力を矯正後の視力で除した値である。補正係数bkの説明は後述する。
以下、上記(3)式の視力関数の誘導についてより具体的に説明する。図1〜図3に示されるPeters図を見ると、年齢別に3つの図に分けられている。Peters自身の上記論文では、3つの図の違いについて何も記述してないが、Petersの論文の解説論文としてKleinstein ”Uncorrected Visual Acuity and Refractive Error” (Optometric Monthly, Nov. (1981), pp. 31-32にはその差が調節力にあるとの記述がある。しかし、汎用レンズの設計要素として調節力を入れるわけにはいかない。その理由は、設計時にどのような人が眼鏡レンズを装用するか分からないため、調節力を想定することができないからである。すなわち汎用レンズの設計では、調節力は0でなければならない。
そのため、調節力0の図を作成した。簡単に説明すると、3つの年齢の図から調節力0の図を外挿した。以下、具体的に誘導した方法を述べる。まず調節力0の図はどの様な図であるかを検討した。3つの図を詳細に観察する。調節力と年齢は密接に関係しているのは、年齢―調節図より判明している。そこで次の傾向が見られる。
a.図の原点より左の図はどの年齢でも変化が少ないこと。
b.原点より右の図は年齢とともに左側に近づいていくこと。
c.図が原点から縦軸(非点収差)に向かって右に傾いていること。またその傾きは平均度数(S度数+C度数/2)(すなわちC=−2Sの曲線)であること。
以上のことを考慮して、Peters図には調節力0すなわち年齢75才の図はないが、調節力0のPeters図が仮にあった場合においても図の左側部分は変化がないと仮定した。すると、乱視がないS度数軸のマイナス部分の分数視力は、これをlogMAR単位で表現すると、S度数と比例関係があることが分かった。すなわち、その比例係数をαとすると、下式が成立する。
S度数軸上の視力(logMAR単位)=α×S度数
ここで、αは0.25≦α≦0.65の範囲の係数であり望ましくは0.48±0.03付近の係数である。
次に、調節力0の図は近似的ではあるが傾きが(S度数+C度数/2)の楕円曲面となっていることが、容易に想定できる。ここで年齢が増し、調節力が0になった視力関数を、Peters図の(S度数+C度数/2)の線に対称の楕円面と仮定する。さらに、(S度数+C度数/2)の傾き分の回転座標変換を想定すると、Peters図を以下(4)式で近似表現できる。
上記(4)式において、比例定数αは上述された値であり、S,CはそれぞれS度数、C度数である。bkは、理由はわからないが、視力関数の相対調節力が大きいほど、または、年齢が若いほど乱視方向に視力があがる傾向を表現する補正係数である。
具体的には、Peters図より読み取って、以下のbkにするとPeters図に近似した視力hが得られる。
10才:bk=0.738474±0.05
30才:bk=0.778894±0.05
50才:bk=0.859321±0.05
年齢と調節力の関係から75才においてbk=1.00±0.05と仮定する係数であり、数値限定として、
0.6≦bk≦1.1
の範囲となる。
以上の考察によりPeters図から調節力0、すなわち75才の場合のbkを(4)式に代入した式を誘導した。Peters図はPetersの論文に記載された測定法にて作成された。その意味するところは、図のS、C度数の眼鏡をはずした場合の視力を測定したものであるから、逆に、正視の人(正常の視力を有する人)が−S度数、−C度数の眼鏡を掛けた場合に相当する視力を表現している、ということである。
すなわち−S度数、−C度数の眼鏡をかけた場合とは、正視の人が眼鏡レンズを装用した時、眼鏡の任意の注視線での透過光線の収差として−S度数、−C度数の収差があった場合に相当する。
ここで−S度数、−C度数の収差を公知の収差の表現としてPE(パワーエラー)、AS(非点収差、マイナス表現)に変換を試みる。−S度数、−C度数の収差とは、レンズ各軸の度数として(−S)度数、(−S−C)度数を持つ収差である。さらに当業者の公知の度数変換の手法より、各軸は(−S−C)度数、−S=(−S−C)+C度数となり、(−S−C)度数の乱視C度数のレンズに相当する。すると(PE,AS)と(S,C)には以下の関係が成り立つ。
PE=−S−C/2
AS=C
よって上記数4で示す(4)式に代入して(3)式が誘導される。この(3)式は、レンズの収差(PE(パワーエラー)、AS(非点収差))と正規化した調節力が0の視力の関係を表現している。上式の解釈は、輻輳角0の視力関数は、Peters図とPE=S+C/2の線で符号が逆転している。しかし(4)式ではS,Cの符号が逆転しても関数形は同一となっていることに注意したい。
以上の変換の様子を模式的に図4〜図8に示す。図4においては、上述したPeters図における5−15才のデータをサンプリングして模式的に示す図である。一方、図4のデータを原点対称とした図を図5に示す。すなわち図5はPeters図を原点対称として得られる視力関数である。そして、図4に示す5−15才のPeters図を、横軸PE、縦軸ASの座標に変換した図が図6である。図6を基に作成した視力関数は図7に示す図となる。S−C座標に変換すると図8に示す図となる。
なお、図4に示す5−15才のPeters図から、後述する生理的乱視のみを取り出すと、図9に示す図となる。図4〜図9において視力は小数視力で表示する。
3:相対調節力の観点からのPeters図の解釈
これに対して、本実施の形態に係る眼鏡レンズ評価方法で用いる視力関数は、レンズを通して明視する距離(FU輻輳角で距離を表現する)と、個別の相対調節力(RA)と、眼鏡レンズの収差(PE(パワーエラー)と、AS(非点収差))と、を要素とした正規化した視力が求められる視力関数である。そこで、これを式で表現すると、下記の数5で示す式(5)となる。
ここで上記(2)式はPeters図の測定から明らかなように輻輳角FU=0、また、汎用レンズの設計に使用するため相対調節力RA=0である。この(5)式は、FU=0、RA=0では(2)式、つまりその具体式である(3)式になることが要請される。
以下(2)式の具体式である(3)式の関係と同様の(5)式に対応する具体的な式の求め方を説明する。まずPeters図については、前記Kleinstein、”Uncorrected Visual Acuity and Refractive ErrorA”(1981)の論文中で、調節力の違いが3つの図の違いの理由と説明されている。しかし、年齢と調節力に関して複数の被検者について実測したデータを見ると、調節力の違いとだけでは説明できない。このようなデータとして、Duaneによって作成されたDuane図(例えば、鶴田匡夫「光の今昔3 年令・調節曲線の変遷(「視覚の科学」第19巻第3号、1988年12月第101〜105頁)」参照)を図10に示す。この図10からわかるように、調節力の標準値(個別では大きなバラツキがある)は0才〜53.3才までは、一般的に以下の公知式で表現されている。
調節力=14−0.23×年齢
なお、年令と調節力に関して複数の被検者について実測したデータとしては、その他例えば、HofstetterによるHofstetter図やLandoltによるLandolt図(それぞれ上記鶴田氏による文献参照)を利用することが可能である。
調節力が年齢に対し上述の関係であるとすると、例えば10才では、調節力は11.7ディオプター(以下11.7D)である。Peters図の5−15才の図を見ると、乱視がない、すなわち、横軸上で明視(20/20)可能な範囲は図より読み取ると、2.375Dしかない。あまりに量が異なりすぎる。
本発明者は長くその理由を探索してきた。そしてついに、Petersの測定法から輻輳がないことが明らかであることに気づき、その理由を解明した。すなわち、Petersの10才の図における2.375Dの部分は、調節力ではなく、注視点が遠点の相対調節力であることを発見した。相対調節力の定義は、注視点の輻輳を保ったまま、明視可能な範囲をディオプターで表現したものである。上述したKleinsteinの説明は適切な修正が必要であったことになる。そこでいままで説明の都合で調節力として説明してきたが、以下調節力と相対調節力を区別して説明を続ける。その符号について説明すると、調節力がプラスになる時、すなわち眼球水晶体の厚が増す時、調節力はプラスの定義であり、また業界では同じ状態の時、相対調節力は実性相対調節力と定義され絶対値は同じであるがマイナスで定義される。
次に、相対調節力の検討から、注視点が遠点(FU=0)で個別の相対調節力の測定値から視力関数を求める。3つのPeters図から年齢と相対調節力が密接な関係を持つことは明らかである。そのため、年齢―相対調節力の関係図を調査したが発見できなかった。そこで、年齢―相対調節力の関係図は、年齢―調節力図と値は異なるが、類似した性質を持つものと仮定した。すなわち、個別では大きなバラツキ、大数では年齢と強い相関があると仮定した。具体的には公知の年齢―調節力の関係式として以下の式がある。
年齢<53.3 調節力=14−0.23×年齢
年齢53.3〜75 調節力=6.0−0.08×年齢
75才以上 調節力=0
すでに、段落[0041]において、10、30、50才のbk、さらに75才の仮定した補正係数bkを示した。そこで年齢と調節力の関係と同様に、53.3才において直線接続で連続になり、75才で1.00±0.05になるような挙動をするとの仮定の基で、bkを以下の式で表現した。下式では説明の都合上75才で1.0にした。
年齢<53.3 bk=0.8262+0.1129×年齢/53.3
年齢53.3〜75 bk=0.9391+0.0609×(年齢−53.3)/21.7
75才以上 bk=1
Peters図から読み取った相対調節力(RA)を年齢と調節力との関係と同様に53.3才において直線接続で連続になり、75才で0になるような挙動をするとの仮定の下で、以下の式で表現した。Peters図における相対調節力は、後述する実性相対調節力に絶対値は等しい。実性相対調節力の定義上、符号は負とした。
年齢<53.3 実性相対調節力=年齢/40−2.625
年齢53.3〜75 実性相対調節力=1.2925×(年齢−75)/21.7
75才以上 実性相対調節力=0
よって相対調節力(RA)は個々人では大きなばらつきはあるが、平均化すると年齢(Age)の関数となり、(5)式はこの場合下記の数6で示す(6)式となる。
すなわち、遠方視(注視点が遠点(FU=0))でのPeters図は、年齢が決まると相対調節力が決まる、年齢に関して連続な関数として表現可能である。具体化するには、3つの図から相対調節力を因子とする補間関数を求める必要がある。説明の都合上遠方視(注視点が遠点(FU=0))の具体的な視力関数を求める前に、レンズを通して明視する任意の距離(FU)における視力関数の求め方を説明する。
4:年齢別のDonders図の作成
先ず、輻湊と調節力との関係について複数の被検者について実測したデータを用意する。このデータとして、Dondersによって考案され、畑田豊彦氏によって作成されたDonders図が利用可能である。図11に示されるDonders図は当業者においては、公知の図である。図11において、横軸が注視点までの距離(単位;cm:輻輳角が単位であり、眼球から注視点までの距離で輻輳角を表す)、縦軸は調節量(単位;ディオプター)の調節可能な範囲を示した図である。図では、注視点が、原点を通る45度の直線であるDonders線と呼称される直線にて表現され、また、注視点から輻輳を変化させないで明視可能な範囲をDonders曲線と呼称される2本の曲線(図11においてはDonders上曲線及びDonders下曲線として示す)によって挟まれる領域として示されている。
横軸一定、すなわち、輻輳一定で、Donders線から上のDonders曲線までの長さを、実性相対調節力(PRA:定義はマイナス量)、下は、虚性相対調節力(NRA:定義はプラス量)と定義されている。式で表現すると
PRA=Donders線−Donders上曲線
NRA=Donders線−Donders下曲線
このDonders図において輻輳角0、すなわち、横軸の原点は、調節0であり、Donders線に乗っている。原点における実性相対調節力(PRA)は、定義から、上述のPeters図の相対調節力と同じものである。図より、約−2Dと読み取れる。後述するが、Dondes図の相対調節力とPeters図の相対調節力は定量的には定義した基準位置が異なる。しかし、相互に変換可能な量であるので、同じ相対調節力としておく。図11のDonders図は残念ながら、年齢別の図でもなく、また相対調節力の違いを表現していない。また年齢別のDonders図を調査したが発見できなかった。
そのため、年齢別のDonders図を次のように作成する。上述のDonders図からは、段落[0062]でも記述したが、原点の実性相対調節力は約−2Dと読み取れる。すると、年齢−実性相対調節力の関係は、Peters図(輻輳角0)から下式のようになることは段落[0056]ですでに示した。
年齢<53.3 実性相対調節力=年齢/40−2.625
年齢53.3〜75 実性相対調節力=1.2925×(年齢―75)/21.7
75才以上 実性相対調節力=0
上記実性相対調節力を表す式における実性相対調節力の値として、−2Dを代入すると、年齢は約25才となる。したがって、Donders図は、25才の相対調節力を持った人の測定値を元に作成されたことが推定される。そこで25才のDonders図を基準に、年齢別のDonders図を作成する。すなわちDonders図より任意の輻輳角の実性相対調節力を読み取り、次のイ及びロを仮定する。
ア.任意の年齢の関数でもある任意の輻輳角の相対調節力は、年齢比と任意の輻輳角の相対調節力の掛け算であること。
イ.年齢比は、Donders図から読み取った実性相対調節力とPeters図から読み取った実性相対調節力の比であること。
具体的な式では下記の数7となる。
すると上式は、下記の数8に示す式となる。
さらに、補正量としては、微小であるが、Peters図とDonders図の相対調節力の基準位置の違いの補正を行う。Peters図の基準位置は、S度数、C度数の基準位置と同じくレンズ後方頂点である。Donders図の基準位置は眼球回旋点である。そこでPeters図の実性相対調節力をDonders図の基準位置に合わせる補正を行う。LVRを、眼鏡後方頂点から眼球回旋点の距離>0とすると年齢比は下記数9で示す式で表される。
年齢比を使用し、任意の年齢で任意の輻輳角の相対調節力を求めると下式となる。
任意の年齢で任意の輻輳角の実性相対調節力=年齢比×任意の輻輳角の実性相対調節力
任意の年齢で任意の輻輳角の虚性相対調節力=年齢比×任意の輻輳角の虚性相対調節力
輻輳角が0か小さい場合、眼球から注視点までの距離に対してLVRは小さいので、補正はわずかである。しかし輻輳角が2とか10くらいになると、上記補正は有効になる。なお、この場合、年齢別Donders曲線の上端は、
年齢<53.3 調節力=14−0.23×年齢
年齢53.3〜75 調節力=6.0−0.08×年齢
75才以上 調節力=0
で制限される。すなわち、75才の正視の人のDonders図は調節力から上端が0、相対調節力0、すなわち、ほぼ原点のみ明視可能ということになる。ほぼとは、焦点深度等が他の要素とあるためその要素を考慮すると0ではない。
5:視力関数の作成
以上説明した調節力0の視力関数と年齢別Donders図とを利用して、上述した式(1)を作成する。相対調節力が0のときは、式(3)になる要請があるため、式(3)に類似した式となる。まず、眼鏡レンズより発生する収差、すなわちパワーエラーPEと非点収差ASのうち、生体側の相対調節力により相殺可能な収差はパワーエラーPEであり、非点収差は相殺できない。そこで(3)式中のPEを相対調節力によりパワーエラーが増減可能になるよう式(3)のPEの項を相対調節力の関数AAを使用する(PE−AA)の形とした。具体的には下記の数10で示す(1d)式となる。
段落[0044]で説明したように、視力関数とPeters図とは、PE=0のところで反転した同型の関係にある。そこでPEで反転した視力関数がPeters図になるように、相対調節力の関数AAを適当な形に定義することによって視力関数を作成できる。
ここの説明での視力関数の性質をまとめると2つある。
(i)実性相対調節力、および虚性相対調節力が0になると、(3)式になること。
(ii)相対調節力の関数AAを適当な形に定義することによって輻輳角0における、年齢10、30、50才のPeters図とPEで反転した視力関数と一致すること。
なお、視力関数は上記数10で示す(1d)式で表される関数形に限ったものではない。下記の数11、数12で示す(1e)式、(1f)式のように簡単な誘導にて変形可能である。しかし、相対調節力を含む関数であることには変わりがない。
さらに、具体的な相対調節力AAの関数形を求める。パワーエラーPEの範囲を3つの領域に分割し、それぞれにAAの形を求める。
1の領域:有効実性相対調節力(PRAeとする)以下
AA=有効実性相対調節力
2の領域:有効実性相対調節力以上であり有効虚性相対調節力(NRAeとする)以下
AA=PE
3の領域:有効虚性相対調節力以上
AA=有効虚性相対調節力
ここで2の領域は、眼鏡レンズにより発生したパワーエラーPEを相対調節力により相殺可能な範囲である。補足説明すると有効実性相対調節力、有効虚性相対調節力が0の場合、どの領域もAA=0となる。次に、上記範囲での有効実性相対調節力、有効虚性相対調節力における「有効」を以下説明する。
以下、次の項目について順次説明する。
(1)爽快領域
(2)眼鏡レンズ調節効果
(3)視力関数をレンズ後方頂点で定義している点に関する説明
(4)非点収差ASと視力劣化との関係
(5)実性相対調節力の生理的乱視
(1)爽快領域
輻輳角一定(FU)の元で、Donders線から上下のDonders曲線までの相対調節力は、調節限界値の測定であり、限界値付近は不快感、眼性疲労が生じることが知られている。その許容範囲は人により、また同一人でも体調により大きく異なることが知られている。しかし、短時間呈示の輻輳限界の範囲であれば設計に適している。ここで、短時間呈示の輻輳限界とは、指標を短時間(0.05秒以上0.7秒以下の範囲、実測例では0.5秒)呈示した時、相対調節可能、または相対輻輳可能範囲をいう(畑田豊彦著 NHK放送科学基礎研究所 昭和49年4月23日発行 視覚情報研究会 資料5−3号 第5頁参照)。
短時間呈示の輻輳限界は、相対調節力の2/3程度である。また、相対調節力(ここではDonders上曲線とDonders下曲線の領域)の1/3程度以内が爽快領域(Area of Comfort、別名:Percival領域)と呼ばれ、さらに設計に適している。設計には、この爽快領域を使用する。この2/3から1/3を爽快領域係数とし、前述の実性相対調節力、及び虚性相対調節力に掛けることで補正する。なお、ここで、相対調節力の1/3程度以内である爽快領域とは、前記2本のDonders曲線によって挟まれる領域内にある領域であって、挟まれる領域の中心領域1/3以内の領域内、また望ましくはDonders線を中心として前記Donders曲線で挟まれる領域の1/3以内の領域である。更に、挟まれる領域の中心領域1/4以内の領域内、より望ましくはDonders線を中心として前記Donders曲線で挟まれる領域の1/4以内の領域としてもよい。なお、この領域を具体的に説明すると、以下の通りである。
すなわち、図11において、縦軸に平行な任意の直線が、Donders線に交わる点をd0、Donders上曲線と交わる点をd1、Donders下曲線と交わる点をd2、とそれぞれする。そのとき、d0とd1とを結ぶ線分d0d1上で、d0からd1に向かってd0d1/3離れた点をd11とし、d0とd2とを結ぶ線分d0d2上で、d0からd2に向かってd0d2/3離れた点をd12と、それぞれしたとき、点d11が描く曲線と、点d12が描く曲線とによって挟まれる領域のことをいう。
上述した年齢別のDonders図における爽快領域を示すと、図12〜図15に示すようになる。図12においては、5−15才の人の爽快領域、図13においては、25−35才の人の爽快領域、図14においては45−55才の人の爽快領域、図15においては75才の人の爽快領域を示す。この例では、相対調節力の1/3以内を爽快領域とする場合を示す。上述したように75才の正視の人は、調節力から上端が0、相対調節力0、すなわち、ほぼ原点のみ明視可能ということになる。
(2)眼鏡レンズ調節効果
以上の相対調節力の説明は裸眼時の説明であり、眼鏡装用により、調節の効果が裸眼に比較して変化する公知の効果「眼鏡レンズの調節効果」が補正として必要である。その補正量を、眼鏡レンズの調節効果の補正係数とする。LVRを、眼鏡後方頂点から眼球回旋点の距離>0とし、眼鏡レンズの度数を、Doav(S度数、またはS+C度数、または平均度数S+C/2)とすると、補正係数は下記の数13に示す式(8)で表される。
この補正係数を前述の実性相対調節力、および虚性相対調節力に掛けることで補正する。
(3)視力関数をレンズ後方頂点で定義している点に関する説明
視力関数はレンズ後方頂点で定義しているため、その説明が必要であり、また、それによって基準位置の補正を行うことが必要になるので、それらの説明をする。説明に入る前に相対調節力のここまでの補正等すなわち、年齢比、爽快領域係数、眼鏡レンズの調節効果の補正係数をまとめるため相対調節力を補正相対調節力とする。補正実性相対調節力(PRAd)と補正虚性相対調節力(HNRAd)は下式になる。
補正実性相対調節力(PRAd)=年齢比×爽快領域係数×眼鏡レンズの調節効果の補正係数×PRA・・・(9)
補正虚性相対調節力(NRAd)=年齢比×爽快領域係数×眼鏡レンズの調節効果の補正係数×NRA・・・(10)
この補正相対調節力は、基準位置である眼球回旋点で定義されているため、視力関数の基準位置である眼鏡レンズ後方頂点に基準位置を換算する。換算した相対調節力を有効相対調節力とする。有効実性相対調節力(PRAe)と有効虚性相対調節力(NRAe)は下記の数14及び数15で示す(11)式及び(12)式になる。
有効実性相対調節力(PRAe)と有効虚性相対調節力(NRAe)を使用しAAの関数を求める。以上の説明により視力関数(1)式の関数形が得られることがわかる。
(4)非点収差ASと視力劣化との関係
非点収差ASが大きくなると視力劣化を補正する。以降の補正は視力関数をPeters図にさらに合致するために行う。具体的に説明すると、パワーエラーPEで符号が逆転した視力関数を、縦軸C度数、横軸S度数表示で、さらにまた視力関数はlogMAR単位のため、小数点視力で変換し、Peters図と比較した。実施例等での視力関数はすべてその表示である。ここで、比較した結果Peters図にさらに合致する目的で補正係数ckを導入する。非点収差ASが大きいほど視力が劣化する傾向を表現する補正係数とする。はじめに計算中間値をc0とする。ここで、bkは段落[0041]で説明した視力関数の非点収差ASにかかる年齢の関数である。c0は下記の数1で示す(13)式で表される。
ckは次式で表す。
絶対値c0より絶対値ASが小さく、またASが負のとき、下記の数17で示す(14)式で表される。
その他の領域のときは、
ck=0 ・・・(15)
となる。このckは、有効実性相対調節力(PRAe)と有効虚性相対調節力(NRAe)に掛けることで補正する。
(5)実性相対調節力の生理的乱視
次に、実性相対調節力の生理的乱視の補正を説明する。ckpを生理的乱視(すなわち実性相対調節力以下の領域でわずかな乱視がある方が、視力が良い現象。原因はわかっていない。)を説明する補正係数とする。前述の図9はPeters図(5−15才)においてこの生理的乱視現象を抽出したものである。この図9からわかるように、約−0.75Dで視力がよくなっている。生理的乱視現象を説明する代表値として、生理的乱視現象により、この特異に視力が良い非点収差値(約−0.75D)を導入する。計算中間値をc1とする。c1は下記の数18で示す(16)式で表される。
上記計算中間値c1を使い、非点収差ASの絶対値が生理的乱視の絶対値より大きく、かつ非点収差ASの絶対値がc0より小さいときのckpを求める。下記の数19で示す(17)式となる。
また、逆に、絶対値が小さく、かつ非点収差ASが負の場合を求める。下記の数20で示す(18)式となる。
その他の領域ではckp=0とする。
このckpをckに加え、有効実性相対調節力(PRAe)と有効虚性相対調節力(NRAe)に掛けることで補正する。掛けた有効実性相対調節力(PRAe)と有効虚性相対調節力(NRAe)を改めてPRAeo、NRAeoとすると、
PRAeo=(ck+ckp)×PRAe・・・(19)
NRAeo=ck×NRAe・・・(20)
となる。ここで、PRAe、NRAeの係数の数値限定としてck+ckpは、代表値(約−0.75D)で最大となる特徴を持ち0〜2.2の範囲であり、ckは0〜1の範囲である。
有効実性相対調節力(PRAe)と有効虚性相対調節力(NRAe)を使用し、相対調節力AAの関数を求めると、(1)式及び(11)式〜(20)式より、視力関数は下記の数21で示す(21)式となる。
但しPRAeo及びNRAeoは生理的乱視の因子を含む有効実性相対調節力及び有効虚性相対調節力である。以上のとおり、補正係数ck、ckpにより、視力関数として(1)式よりさらに適切な関数形が得られた。
[2]眼鏡レンズ設計方法及び製造方法
次に、本発明による眼鏡レンズ設計方法の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る眼鏡レンズ設計方法は、調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を評価関数として用いて最適化計算を行うステップを含む。
図16は、本発明の眼鏡レンズの設計方法を説明するためのフローチャートである。設計の処理が開始すると、まず、レンズの素材に関するデータ、処方に関する仕様に基づく形状データ、中心厚、目や顔の形状に関するデータ、及び相対調整力測定値が入力される(ステップS1)。上記データの詳細は以下のとおりである。
a.レンズの素材に関するデータ
具体的には、眼鏡レンズの3次元的形状、屈折率、アッベ数等である。
b.処方に関する使用に基づく形状データ
処方度数としてS度数、C度数、乱視角、プリズム度、プリズム角、また明視する処方距離等である。
c.中心厚
プラスレンズの場合のみ入力する。
d.眼や顔の形状に関するデータ
具体的には、レンズ前傾角、あおり角、PD(両眼の瞳の距離)、VR(眼球回旋点と眼鏡レンズ後方頂点との距離)等である。
e.調節力及び相対調節力測定値
また、図示しないが必要に応じて、下記の情報も入力する。
f.年齢または個人差に応じた相対調節力によって決まる補正係数bk
そして、これらの情報を上記(21)式に代入して視力関数を計算する(ステップS2)。具体的には、眼鏡レンズの各評価点について、周知の光線追跡法等を用いて非点収差等の必要な光学性能値を求め、その値を上記(21)式に代入する。視力関数はlogMARの単位で表わし、すなわち小数視力での1.0(正視)はlogMAR単位で0.0となる。
次に、計算した視力関数すなわち評価関数の値が最小となるように減衰最小自乗法等の最適化計算を行う。ここでは、例えば予め設定した閾値以下であるか否かを判断する(ステップS3)。
このステップS3で、視力関数の値が閾値以下ではないと判断された場合(ステップS3のNo)は、光学的収差を補正するように形状データを修正する(ステップS4)。ここでは、屈折面の可変パラメータ等を補正するようにする。
ステップS3で、視力関数の値が閾値以下であると判断された場合(ステップS3のYes)は、続いて、レンズ全面の評価が終了したかどうかを判断する(ステップS5)。
このステップS5で、レンズ全面での評価を終了しておらず、他の評価点の計算が残っていると判断された場合(ステップS5のNo)は、ステップS1に戻り、レンズの他の位置での光学性能値を入力する。
予め定めておいた全ての評価点における評価を終了したと判断された場合(ステップS5のYes)は、評価を終了し、レンズ全面の光学設計値を決定する(ステップS6)。
以上のステップにより、本実施の形態に係る眼鏡レンズ設計方法が終了する。
なお、ステップS1において入力する情報は上記の情報に限定されるものではなく、その他の情報を入力して視力関数の計算に加味することも可能である。
また、決定した光学設計値に基づいてレンズを加工することによって、眼鏡レンズが製造される。このとき、メーカー独自の形状パラメータや、又は工場(製造装置)によって定められた補正係数等の形状パラメータを加味してもよいことはもちろんである。
そして、この後、決定した光学設計値に基づいてレンズの表面の裏面を加工することによって、眼鏡レンズを製造することができる。
[3]眼鏡レンズ製造システム
次に、本発明による眼鏡レンズ製造システムの一実施の形態について説明する。図17は本実施の形態に係る眼鏡レンズ製造システムの概略構成図である。
図17に示すように、このシステム10では、眼鏡店100側は、眼鏡レンズ注文者の視力や調節力、また相対調節力を測定する測定装置101と、測定装置によって測定された値を含む各種の情報を入力し、眼鏡レンズの発注に必要な処理を行う機能を有する発注側コンピュータ102とを有する。
一方、受注側である例えばレンズメーカ200には、この発注側コンピュータ102から出力される情報を受信するために、インターネット等の通信回線300に接続された製造側コンピュータ201が設けられる。この製造側コンピュータ201は、眼鏡レンズの受注に必要な処理を行う機能を有すると共に、図16で説明したような眼鏡レンズ設計方法を行う機能を持っている。すなわち、発注側コンピュータ102から発注される、眼鏡レンズの設計に必要な情報には、調節力又は相対調節力の測定値が含まれる。そして製造側コンピュータ201は、調節力又は相対調節力の測定値を因子に含む視力関数を評価関数として用いて最適化計算を行って、光学設計値を決定するとともに、この光学設計値に基づいて眼鏡レンズを製造するための製造情報をレンズ加工装置202に出力する。
なお、製造側コンピュータ201に入力される情報は、上述したように図16のステップS1に示される情報に限定されるものではなく、その他の情報を入力して視力関数の計算に加味することも可能である。また、決定した光学設計値に基づいてレンズを加工することによって眼鏡レンズが製造されるわけであるが、このとき、メーカー独自の形状パラメータや、工場(製造装置)によって定められた補正係数等の形状パラメータを加味してもよいことはもちろんである
図18は、本実施形態の眼鏡レンズ製造システムの核となる製造側コンピュータ201の機能を説明するための機能ブロック図である。
図18に示すように、製造側コンピュータ201は、発注側コンピュータ102から送信される各種データを入力するデータ入力部203と、この入力データに基づいて視力関数を計算する視力関数計算部204と、この視力関数を評価関数としてその最適化を計算する評価関数最適化部205と、この視力関数の値を所定の閾値と比較する視力関数評価部206を備える。更に、視力関数評価部206において評価した結果、光学性能の修正が必要な場合に設計データ、例えばレンズ形状データを修正する設計データ修正部207と、各評価点の評価を終了したときに光学設計値を決定する光学設計値決定部208と、この光学設計値に基づく設計データをレンズ加工装置202に出力する設計データ出力部209を備えている。
図17に示される眼鏡店100の測定装置101は、眼鏡レンズ注文者の視力や調節力、また相対調節力を測定し、これを発注側コンピュータ102で所定の処理を加えて、通信回線300を介してレンズメーカ200に送る。
レンズメーカ200のコンピュータ201(製造側コンピュータ)は、データ入力部203で受信した、レンズの素材に関するデータや仕様に基づく形状データ、目や顔の形状に関するデータを入力するとともに相対調整力の測定値等を入力する。
そして、視力関数計算部204で、入力データを視力関数の式(21)に代入して、視力関数を計算する。視力関数が計算されると、評価関数最適化部205で、今度は計算した視力関数を評価関数として、眼鏡レンズの各評価点について、非点収差等の必要な光学性能値が求められ、この評価関数から各評価点における最適な光学性能値が求められる。この最適化の計算は、減衰最小自乗法等によって行われる。
次に、視力関数評価部206において、視力関数計算部204で計算した視力関数の値が予め設定した閾値と比較される。この視力関数評価部206の比較結果に基づいて、すなわち、視力関数の値が予め設定した値に達しない場合には、設計データ修正部207で、所望の視力値が得られるように、眼鏡レンズの設計データが修正される。光学設計値決定部208で、各評価点の光学設計値が決定される。そして、予め定めておいた全ての評価点における評価が終了した段階で、決定されたレンズ全面の光学設計値が、設計データ出力部209から、図17に示されるレンズ加工装置202に送られる。
レンズ加工装置202としては、レンズの前面又は後面、或いは両面の曲率を入力データに基づいて、例えば自動的にレンズを切削、研磨加工を行う通常の眼鏡レンズ製造装置が利用される。レンズ加工装置202は、眼鏡レンズ製造装置として周知の装置であるから、その装置の具体的な説明は省略する。
[4]眼鏡レンズ
次に、本発明の眼鏡レンズの実施の形態について説明する。本実施の形態に係る眼鏡レンズは、単焦点レンズの光学中心、又は累進屈折力レンズの遠用屈折力測定基準位置における屈折力が、調節力に対応した屈折力を含む構成とするものである。
そしてこの屈折力は、光学中心、または遠用屈折力測定基準位置近傍を通して中近方視を行うときの調節力に対応する屈折力を相殺(マイナス)する屈折力とすることが望ましい。なお、上述した調節力は、輻輳を伴う相対調節力であることがより望ましい。
段落[0013]で述べたように、眼球が遠方視を行う際には調節力、輻輳を伴わない。従って遠方視の矯正を主たる目的する場合に(相対)調節力を考慮する必要はなく、累進屈折力レンズの遠用屈折力や、単焦点レンズの光学中心は遠方視における視力を矯正するために調節力は除外されていた。
これに対し、本実施の形態においては、単焦点の光学中心、又は累進屈折力レンズの遠用屈折力基準位置における屈折力から、望ましくは中近方視を行うときの調節力に対応する屈折力を相殺するように構成する。これによって、上述したように光学中心又は累進屈折力レンズの遠用屈折力基準位置において中近方視を行う場合に過矯正状態となることを回避することができる。つまり、遠用屈折力(光学中心)が調節力を考慮した屈折力となっているため調節力が発生する中近方視においても眼球に負担をかけない爽快な視界を得ることが容易になる。
[5]実施例
次に、上記実施の形態に係る眼鏡レンズ評価方法で評価した場合と、従来の眼鏡レンズ評価方法で評価した場合とを比較する。次の順序で説明する。
1:実施例1
第1の眼鏡レンズ(調節力を考慮しないで設計した例)の評価
2:実施例2
第2の眼鏡レンズ(凹面のみを本実施の形態の眼鏡レンズ設計方法により設計した例)の評価
3:実施例3
第3の眼鏡レンズ(凹面のみを本実施の形態の眼鏡レンズ設計方法で設計した例で、対象物体は輻輳角FU=2.5(眼前約40cm)の近用レンズ)の評価
4:実施例4
第4の眼鏡レンズ(累進レンズ処方値、S度数0.00、C度数0.00、加入度2.0の累進レンズ)の評価
1:実施例1
まず、従来の相対調節力を考慮してない視力関数(すなわち、本実施形態に係る視力関数における年齢75才以上の視力関数)によって設計した両面非球面の第1の眼鏡レンズを、本実施の形態に係る相対調節力を含んだ視力関数にて評価した。年齢別に10、30、50、75才の+6.00DのlogMAR図をそれぞれ、評価10、評価30、評価50及び評価75として、それぞれ図19、図20、図21及び図22に示した。なお、これらの図及び後述する図23〜図38において、縦軸は水平方向の眼球回旋角度、横軸は垂直方向の眼球回旋角度であり、図の円形内に区切り線で示された領域に付与された数値は、本実施例による視力関数の値(logMAR表示であり、0.0が正視)を示すものである。
なお、上記両面非球面レンズのその他の主な設計パラメータは下記の通りである。
VR(眼球回旋点と眼鏡レンズ後方頂点との距離)=27
輻輳角FU=0
屈折率1.67
アッベ数32
まず、図22に示す75才の評価75の評価は、75才以上は相対調節力がないので、従来の評価と同じである。年齢が若くなるほど視野も広くなっているが、わずかである。ここでは、あたりまえのことだが同一のレンズでも、評価関数が異なると、レンズ性能が異なることを強調したい。
2:実施例2
次に、上述の第1の眼鏡レンズについて、比較を容易にするため、凸面は従来のままで同一にし、凹面のみを本実施の形態に係る視力関数を用いて最適化を行い、+6.00Dの第2の眼鏡レンズを、10、30、50、75才で設計した。その結果をそれぞれ、設計10、設計30、設計50、設計75として、それぞれ図23、図24、図25及び図26に示す。やはり、図26に示す設計75は第1のレンズの評価75と同一であった。図23〜図25に示す設計10、設計30及び設計50で気付くのは、評価10〜評価50と大きく異なり、単焦点レンズでは、珍しいことだが、視力の観点から大きく改善されていることである。また同時に大きく影響される点から、相対調節力は個人差が大きいため、個別に実測する必要があり、単に年齢のみからの推定値では最適化の観点から不十分なことが理解できる。このことからも、本実施の形態に係る眼鏡レンズ評価方法、眼鏡レンズ設計方法が、カスタムメイドの個別眼鏡レンズの評価、設計の目的を満たしていることが、理解できる。
3:実施例3
次に、凸面は従来のままで同一にし、凹面のみを本実施の形態に係る視力関数を用いて最適化を行った。この例では、対象物体は輻輳角FU=2.5(眼前約40cm)の近用レンズ、+6.00Dの眼鏡レンズである。相対調節力の目安として、10、30、50、75才での設計結果の例を、近設計10、近設計30、近設計50、近設計75として、それぞれ図27、図28、図29及び図30に示す。上記第1、第2のレンズの場合のいわば評価しただけの結果と異なり、視力の観点から視野の広い改善がなされている。また、上記第2のレンズと異なり、75才において視力が異なることに注意したい。
視力の点のみから同一の年齢を比較すると、
第3の眼鏡レンズ>第2の眼鏡レンズ>第1の眼鏡レンズ
となる。同一の年齢で第3の眼鏡レンズと第2の眼鏡レンズとの違いはわずかで、同じレンズを使用しても不都合はないと誤解するかもしれない。視力の観点からは同じでも、設計条件が近用レンズ輻輳角FU=2.5、第2のレンズは輻輳角FU=0と異なるため、異なったレンズであることに注意がいる。そのため、凸面は同じとしたが、凹面のカーブは中心では0.01程度しか異ならないが、周辺に向かってのカーブ変化が大きく異なり、第2のレンズと第3のレンズとは異なるレンズであることが理解できる。
4:実施例4
次に、累進レンズ処方値、S度数0.00、C度数0.00、加入度2.0の第4の眼鏡レンズの評価を行った。遠方物体輻輳角FU=0、近方物体輻輳角FU=2.0で、10、30、50、75才、屈折力等の条件はおなじである。その例を遠方で、評価累進遠10、評価累進遠30、評価累進遠50、評価累進遠75としてそれぞれ図31、図32、図33及び図34に示す。また、近方で評価累進近10、評価累進近30、評価累進近50、評価累進近75として、それぞれ図35、図36、図37及び図38に示す。短時間での比較では、遠方では同じ、近方ではひどく異なる印象である。良く図を観察すると、遠方では、年齢が若い、すなわち相対調節力が大きいほど、視力の観点からわずかに視野が広いところが見受けられる。しかしこの程度の図なら、通常の累進比較の平均度数分布に似た図である。しかし、近方では、これは同じレンズの評価かとは考えられないほどの評価の違いを見せる。図を見慣れていないと、解釈すら難しい。
そこで、簡単に説明する。視力関数の遠方視輻輳角FU=0では、相対調節力のうち調節力が増加する方向であり、実性相対調節力はあるが、逆に調節力を減少させる、すなわち虚性相対調節力はないに等しい。そのため、累進遠方では、調節力を増加することにより、視力を増加する範囲が大変少ないといえる。逆にいうと相対調節力にしても調節力にしても、増加能力が豊富なら累進レンズは必要がないという理屈となる。次に、近方視では、今度は実性、虚性とも年齢が若い、すなわち相対調節力が大きい人ほど、瞬間的に相対調節力を増加、減少可能な範囲が大きいため、眼鏡レンズのその調節により視力が出る部分が大きい。
よって75才では視力の出る範囲が、前述の図15に示すように、図の上で点ほど小さいが、10才が装用する場合、図12に示すように、虚性相対調節力が大きく、本実施の形態における爽快領域(瞬間的に調節可能な領域)が大きく、すなわち累進レンズの調節を緩めることにより視力を得る部分が大きくなるので、殆どの累進部分で視力が出て、広視野となるわけである。以上が近方で全く異なる図となる理由である。
なお、ここでは述べないが、生理的乱視が視力に大きく効いていると考えられる。累進レンズは、単焦点レンズと異なり、相対調節力以外に、調節力にも対応しているため設計改善は複雑である。しかし上述の第1の眼鏡レンズの評価において、相対調節力の違いで評価が異なる場合、実施例2、実施例3のように、大きく視力の観点から改善できる。同様に原理的に本特許を使用して累進レンズの主に近用部であるが改善可能である。
ところで上述の実施の形態はカスタムメイドの眼鏡レンズを主として対象としているが、相対調節力および/または生理的乱視を平均屈折力や乱視屈折力等と同様に取り扱い、各相対調節力に対応した眼鏡レンズを予めストックしておき受注に応じてピックアップすることも好適である。
この場合、ストックするためのレンズ種類の分類は年齢に応じた相対調節力の平均値を用いることが好ましい。例えば年齢に応じて4種類のレンズを用意する。分類は10〜20才、21〜40才、41〜59才、さらに60〜75才用の4分類とし、各年齢帯それぞれの平均的な相対調節力に対応したレンズをストックする。受注時の処方は年齢または相対調節力を含み、サプライヤーは処方に対応したレンズをストックよりピックアップしてユーザーに納品する。但し相対調節力には個人差があるので可能であればユーザーの相対調節力を特定し、ユーザーの年齢に関わらず他の年齢帯からピックアップしてもよい。
このように、各年齢帯に応じた相対調節力を因子に含む視力関数を用いて評価・設計して製造したレンズをストックしておくことで、より短期間でユーザーにレンズを納品することが可能となるという利点を有する。
本発明は、眼鏡レンズの光学性能の評価・設計・製造に広く利用することができる。

Claims (18)

  1. 調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を用いて眼鏡レンズを評価する
    眼鏡レンズ評価方法。
  2. 前記視力関数は、小数点視力、または分数視力をVとしたとき、log10(1/V)で定義される(logMAR)の単位で表したものである
    請求項1に記載の眼鏡レンズ評価方法。
  3. 前記調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数は、眼球の屈折力エラーと視力との関係を複数の被検者について実測したデータと、輻輳と調節力との関係について複数の被検者について実測したデータと、年齢と調節力に関して複数の被検者について実測したデータと、に基づいて導いたものである
    請求項1又は請求項2に記載のメガネレンズ評価方法。
  4. 前記眼球の屈折力エラーと視力との関係を複数の被検者について実測したデータとして、Petersによって実測された年齢別の視力測定値のデータを用いる
    請求項3に記載の眼鏡レンズ評価方法。
  5. 前記輻輳と調節力との関係について複数の被検者について実測したデータとして、Dondersによって考案されたDonders図を用いる
    請求項3に記載の眼鏡レンズ評価方法。
  6. 前記輻輳と調節力との関係について複数の被検者について実測したデータとして、前記Donders図に設定される短時間呈示での輻輳限界を示す領域内にあるデータを用いる
    請求項5に記載の眼鏡レンズ評価方法。
  7. 前記短時間呈示する時間は、0.05秒以上0.7秒以下である
    請求項6に記載の眼鏡レンズ評価方法。
  8. 前記輻輳と調節力との関係について複数の被検者について実測したデータとして、前記Donders図に設定される2本のDonders曲線によって挟まれる領域内にある領域であって、挟まれる領域の中心領域2/3以内の領域内、または前記Donders図に設定される1本の直線であるDonders線を中心として前記Donders曲線で挟まれる領域の2/3以内の領域内にあるデータを用いる
    請求項5に記載の眼鏡レンズ評価方法。
  9. 前記輻輳と調節力との関係について複数の被検者について実測したデータとして、前記Donders図に設定される2本のDonders曲線によって挟まれる領域内にある領域であって、挟まれる領域の中心領域1/3以内の領域内、または前記Donders図に設定される1本の直線であるDonders線を中心として前記Donders曲線で挟まれる領域の1/3以内の領域内にあるデータを用いる
    請求項5に記載の眼鏡レンズ評価方法。
  10. 前記年齢と調節力に関して複数の被検者について実測したデータとして、Duane作成の図、Hofstetter作成の図、又はLandolt作成の図の少なくともいずれか一つを用いる
    請求項3に記載の眼鏡レンズ評価方法。
  11. 前記眼鏡レンズが、カスタムメイドの眼鏡レンズである
    請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の眼鏡レンズ評価方法。
  12. 前記視力関数は、パワーエラーを相対調節力により相殺する因子を含む
    請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の眼鏡レンズ評価方法。
  13. 前記視力関数は、年齢により増加する係数、または個人差に応じた相対調節力に応じて減少する係数を持つ非点収差を因子として含む
    請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の眼鏡レンズ評価方法。
  14. 前記視力関数として、下記数1を用いる
    請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の眼鏡レンズ評価方法。
    但し、(1)式において、α、PE、AA(PRA,NRA)、bk、ASは下記のものとする。
    α:0.25≦α≦0.65であり、視覚機能の1つである視力を、主に視覚機能の1つである相対調節力、光学収差であるPE,ASに関係づける係数
    PE:パワーエラー(度数誤差)
    AA(PRA,NRA):相対調節力を主要な項目とする関数
    bk:0.6≦bk≦1.1であり、年齢が若いほど乱視方向に視力が上がる現象を表現し、年齢により増加する係数、または個人差に応じた相対調節力に応じて減少する特徴を持つ補正係数
    AS:非点収差
  15. 調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を評価関数として用いて最適化計算を行うステップを含む
    眼鏡レンズ設計方法。
  16. 調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を評価関数として用いて最適化計算を行い、前記最適化計算により求めた光学設計値に基づいて眼鏡レンズを製造する工程を含む
    眼鏡レンズ製造方法。
  17. 眼鏡レンズの発注側に設置されて前記眼鏡レンズの発注に必要な処理を行う機能を有する発注側コンピュータと、前記発注側コンピュータからの情報を受け取って、前記眼鏡レンズの受注に必要な処理を行う機能を有する製造側コンピュータと、が通信回線で接続された眼鏡レンズ製造システムであって、
    前記発注側コンピュータは、調節力または相対調節力の測定値を含む前記眼鏡レンズの設計に必要な情報を前記製造側コンピュータに送信し、
    前記製造側コンピュータは、
    前記発注側コンピュータから送信された調節力または相対調節力の測定値を含むデータを入力するデータ入力部と、
    前記入力されたデータに基づいて、眼鏡レンズの複数の評価点についての光学性能値を視力関数として計算する視力関数計算部と、
    前記視力関数計算部で計算された視力関数を評価関数として、前記光学性能値の最適化を図る評価関数最適化部と、
    前記視力関数を所定の閾値と比較して、前記光学性能値を評価する視力関数評価部と、
    前記視力関数評価部において評価した結果、前記視力関数の値が所定の視力に達しない場合に、眼鏡レンズの設計データを修正する設計データ修正部と、
    前記視力関数評価部の評価を前記眼鏡レンズの各評価点について終了した結果から、設計データを決定する光学設計値決定部と、
    前記光学設計値決定部における最終的な設計データをレンズ加工するための装置へ供給する設計データ出力部と、を有する
    眼鏡レンズ製造システム。
  18. 調節力又は相対調節力を因子に含む視力関数を評価関数として用いて最適化計算を行って求めた光学設計値に基づいて構成された
    眼鏡レンズ。
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