JPWO2003018841A1 - 単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する方法に関する。この方法は、配列のミスマッチが一塩基だけであっても、正確にその存在を判定することができるので、DNA診断法などに利用することができる。
背景技術
ある特定の塩基配列を有する核酸分子を特異的に検出する方法としてハイブリダイゼーション法が広く用いられてきた。この方法は、特定の細菌やウイルスの検出、特定の遺伝子の単離などに利用されてきたが、最近では、ヒトゲノムDNA中の微小な変異を検出し、個人の疾患易罹患性や薬剤反応性などを判定するいわゆる遺伝子診断などの分野にも利用されている。疾患易罹患性や薬剤反応性の違いは、ゲノムDNA中の1塩基の差異に起因する場合が多い。従って、遺伝子診断においては、プローブとして用いるDNAが、完全に相補的な核酸分子にだけハイブリダイズし、少しでもミスマッチを含む核酸分子にはハイブリダイズしないような条件を設定する必要がある。このような厳格なハイブリダイゼーションを実施するため、従来、完全に相補的な二重鎖核酸分子及びミスマッチを含む二重鎖核酸分子の融解温度(Tm)を予め予想し、この温度に基づきハイブリダイゼーション時の温度と塩濃度を調整していた。
しかし、検出対象となる核酸分子が短い場合には、このような温度等の調整により、ある程度の特異性を保持したハイブリダイゼーションは可能であったが、核酸分子が長い場合には、完全に相補的な二重鎖核酸分子及びミスマッチを含む二重鎖核酸分子の融解温度の差が小さくなるため、両者を区別したハイブリダイゼーションを行うのは困難であった。
ところで、カチオン性ポリマーを主鎖とし、親水性高分子を側鎖とするグラフト共重合体が、核酸分子を安定化させること(特開平10−45630号公報、特開平10−158196号公報)、核酸分子間の交換反応を促進すること(特開2001−78769号公報)については知られているが、上述したようなミスマッチを含む核酸分子とのハイブリダイゼーションを排除する目的で、このグラフト重合体を使用することについては何ら知られていない。
以上のように、遺伝子診断においては、ある核酸分子がプローブと一塩基のミスマッチも含まず、完全に相補的であるかどうか、という情報は非常に重要である。
本発明は、以上のような技術的背景のもとになされたものであり、その目的は、試料とする単鎖核酸分子とプローブとの間に配列のミスマッチが存在するかどうかを正確に判定する手段を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、上述したグラフト重合体などのカチオン性高分子の存在下で、二重鎖DNAを、一方の鎖と相補的な単鎖DNAと共存させた場合、その相補的な単鎖DNAがミスマッチを含むかどうかにより、DNA間の置換速度及び率に大きな差異が生じることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する方法であって、(a)カチオン性高分子存在下で、当該基準となる単鎖核酸分子とその相補鎖とからなる二重鎖核酸分子を、当該試料とする単鎖核酸分子と共存させる工程、(b)当該基準となる単鎖核酸分子の相補鎖が、当該試料とする単鎖核酸分子と置換する速度又は率を測定する工程を含むことを特徴とする単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法である。
また、本発明は、試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する方法であって、(a)当該基準となる単鎖核酸分子に当該試料とする単鎖核酸分子を接触させ、二重鎖核酸分子を形成させる工程、(b)カチオン性高分子存在下で、(a)で形成させた二重鎖核酸分子と当該基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖を共存させる工程、(c)当該試料とする単鎖核酸分子が、当該基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖と置換する速度又は率を測定する工程を含むことを特徴とする単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法である。
更に、本発明は、試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する方法であって、(a)カチオン性高分子存在下で、当該基準となる単鎖核酸分子に、その完全相補鎖及び当該試料とする単鎖核酸分子を接触させる工程、(b)当該基準となる単鎖核酸分子とその完全相補鎖とからなる二重鎖核酸分子、及び当該基準となる単鎖核酸分子と当該試料とする単鎖核酸分子とからなる二重鎖核酸分子の形成比を求める工程を含むことを特徴とする単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、カチオン性高分子を利用して、試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する方法である。
カチオン性高分子は、上述した置換速度又は率に、測定可能な程度な差異を生じさせるようなものであればどのようなものでもよく、以下に詳述する(A)カチオン性基を形成し得るモノマーから構成されるポリマーを主鎖とし、親水性高分子を側鎖とするグラフト共重合体や(B)ホスホリルコリン類似基含有単量体、およびカチオン性基を有するカチオン性単量体を重合してなる重合体(以下、「PC重合体」と略記する。)などを例示することができる。
(A)カチオン性基を形成し得るモノマーから構成されるポリマーを主鎖とし、親水性高分子を側鎖とするグラフト共重合体
このグラフト共重合体において、カチオン性基を形成し得るモノマーとしては、リジン、アルギニン、ヒスチジン等のアミノ酸、グルコサミン等の糖、アリルアミン、エチレンイミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の合成モノマー等を例示することができる。また、カチオン性基を形成し得るモノマーから構成されるポリマーとしては、ポリリジン、ポリアリルアミンなどを例示することができる。親水性高分子としては、ポリエチレングリコール等の水溶性ポリアルキレングリコール、デキストラン、プルラン、アミロース、アラビノカラクタン等の水溶性多糖、セリン、アスパラギン、グルタミン、スレオニン等の親水性アミノ酸を含む水溶性ポリアミノ酸、アクリルアミド及びその誘導体をモノマーとして用いて合成される水溶性高分子、メタクリル酸及びアクリル酸並びにその誘導体(例、ヒドロキシエチルメタクリレート)をモノマーとして用いて合成される水溶性高分子、ポリビニルアルコール及びその誘導体などを例示することができる。より好ましいカチオン性高分子としては、例えば、Bioconjugate Chem.,9,292−299(1998)に記載されている下記の一般式で表されるデキストラン側鎖修飾α−ポリ(L−リジン)〔以下、「α−PLL−g−Dex」と略記する〕、デキストラン側鎖修飾ω−ポリ(L−リジン)〔以下、「ω−PLL−g−Dex」と略記する〕、デキストラン側鎖修飾型ポリアリルアミン〔以下、「PAA−g−Dex」と略記する〕を挙げることができる。
α−PLL−g−Dex
ω−PLL−g−Dex
PAA−g−Dex
このようなカチオン性高分子の分子量、側鎖及び主鎖の長さ、グラフトの程度などは特に限定されず、具体的な使用目的に応じて決めればよい。また、このようなカチオン性高分子の製造は、既知の方法(例えば、特開平10−45630号公報に記載されている方法)に従って行うことができる。
(B)PC重合体
この重合体において、ホスホリルコリン類似基含有単量体(以下、「PC単量体」と略記する。)は、下記の一般式(I)で表される。
ただし、式中、Xは2価の有機残基を示し、Yは炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原子もしくはR5−O−(C=O)−(但しR5は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す)を示す。また、R1は水素原子もしくはメチル基を示し、R2、R3及びR4は同一もしくは異なる基であって、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示す。mは0または1を示す。nは1〜4の整数である。
式(I)中のXの2価の有機残基としては、例えば、−C6H4−、−C6H10−、−(C=O)−O−、−O−、−CH2−O−、−(C=O)NH−、−O−(C=O)−、−O−(C=O)−O−、−C6H4−O−、−C6H4−CH2−O−、−C6H4−(C=O)−O−等が挙げられる。
式(I)のYは、炭素数1〜6のアルキレンオキシ基であり、例えば、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシツオキシ等の基が挙げられる。
式(I)中のZは、水素原子もしくはR5−O−(C=O)−基を示す(ただし、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す。)。
ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
また、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシヘキシル基、7−ヒドロキシヘプチル基、2−ヒドロキシヘプチル基、8−ヒドロキシオクチル基、2−ヒドロキシオクチル基、9−ヒドロキシノニル基、2−ヒドロキシノニル基、10−ヒドロキシデシル基、2−ヒドロキシデシル基等が挙げられる。
PC単量体としては、具体的には例えば、2−((メタ)アクリオイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−((メタ)アクリオイルオキシ)プロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−((メタ)アクリオイルオキシ)ブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−((メタ)アクリオイルオキシ)ペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6−((メタ)アクリオイルオキシ)ヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)エチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)エチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)エチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)エチル−2’−(トリシクロヘキシルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)エチル−2’−(トリフェニルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)エチル−2’−(トリメタノールアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)プロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)ブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)ペンチル−2’(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリオイルオキシ)ヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(ビニルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アリルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(p−ビニルベンジルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(p−ビニルベンゾイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(スチリルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(p−ビニルベンジル)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(ビニルオキシカルボニル)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アリルオキシカルボニル)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アクリロイルアミノ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(ビニルカルボニルアミノ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、エチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、ブチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、ヒドロキシエチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、エチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレート、ブチル−(2’−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレート、ヒドロキシエチル−(2‘−トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレート等を挙げることができる。
この中でも2−((メタ)アクリオイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく、さらに2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート{=2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリンともいう、以下、「MPC」と略記する}が入手性等の点でより好ましい。
PC単量体は、公知の方法で製造できる。例えば、特開昭54−63025号公報、特開昭58−154591号公報等に示された公知の方法等に準じて製造することができる。
本発明に用いられるカチオン性基を有するカチオン性単量体としては、例えば、1級のアミノ基を有する単量体、2級のアミノ基を有する単量体、3級のアミノ基を有する単量体、あるいは4級のアンモニウム基を有する単量体を挙げられる。前記の1級のアミノ基を有する単量体としては、具体的には、アリルアミン(塩酸塩)、アミノエチル(メタ)アクリレート(塩酸塩)、2−メチルアリルアミン、4−アミノスチレンなどが挙げられる。また、2級のアミノ基、3級のアミノ基、あるいは4級のアンモニウム基を有する単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタアクリルアミド(塩酸塩)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(塩酸塩)、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(塩酸塩)、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、(塩酸塩)、[3−(メタクリロイルオキシアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(アクリロイルオキシアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(メタクリロイルオキシアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシアミノ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(以下、「QA」と略記する)、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
なかでも、PC単量体とカチオン性単量体との組み合わせで好ましくは、MPCと1級のアミノ基を有するアミノエチルアクリレート(塩酸塩)と、MPCと4級のアンモニウム基を有するQAの組み合わせが好ましく挙げられる。
本発明における単鎖核酸分子とは、主として単鎖のDNAを意味するが、RNAや核酸類似分子(例えば、PNAなど)なども含む。試料とする単鎖核酸分子の長さは特に限定されないが、一塩基ミスマッチの存在を判別しにくい、12b以上の長さの核酸分子を試料とするのが好ましい。
本発明の判定方法としては、例えば、以下の第一から第三の方法を例示することができる。
(1)第一の方法
第一の方法は、以下の工程(a)及び(b)を含むものである。
工程(a)では、カチオン性高分子存在下で、当該基準となる単鎖核酸分子とその相補鎖とからなる二重鎖核酸分子を、当該試料とする単鎖核酸分子と共存させる。試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在しない場合、当該基準となる単鎖核酸分子の相補鎖は、高い速度及び率で試料とする単鎖核酸分子と置換する。一方、配列のミスマッチが存在する場合、前記相補鎖は、試料とする単鎖核酸分子とほとんど置換しない。
使用するカチオン性高分子の量は特に限定されないが、核酸分子のリン酸基に対するカチオン性高分子のカチオン性基の比が0.1〜1000になるようにするのが好ましい。二重鎖核酸分子と試料とする単鎖核酸分子を共存させる時間も特に限定されないが、1分〜16時間程度が好ましい。
基準となる単鎖核酸分子と二重鎖を形成させる単鎖核酸分子は、完全な相補鎖でなく、1から数個のミスマッチを含んでいるものでもよい。この場合、試料とする単鎖核酸分子が基準となる単鎖核酸分子と完全に相補的であれば、置換速度及び率はより高いものになる。
工程(b)では、当該基準となる単鎖核酸分子の相補鎖が、当該試料とする単鎖核酸分子と置換する速度又は率を測定する。上記のように、基準となる単鎖核酸分子の相補鎖が、試料とする単鎖核酸分子と置換する速度及び率は、ミスマッチを含まない場合の方がミスマッチを含む場合よりも著しく高くなる。従って、この置換速度又は率を測定することにより、二本の単鎖核酸分子間にミスマッチが存在するかどうかを判定することができる。ミスマッチを含まない場合、置換速度はミスマッチを含む場合の10〜1000倍程度となる。したがって反応時間及び条件を適宜設定すると、置換率の値は、通常、ミスマッチを含まない場合は40〜100%程度になり、1塩基のミスマッチを含む場合は0〜10%程度になる。
より正確な判定を行うためには、試料とする単鎖核酸分子の代わりに、基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖を用いた対照実験を行うのが好ましい。この場合、試料とする単鎖核酸分子の置換速度及び率が完全相補鎖の置換速度及び率と等しければ、配列にミスマッチが存在しないと判定することができる。
工程(b)は、(a)の工程と同時になされてもよく、むしろ同時になされた方が置換速度を計測する上で好ましい。
置換速度および率を測定する方法は特に限定されないが、酵素、蛍光物質、発光物質を用いて測定することができ、特に蛍光共鳴エネルギー移動法(FRET)を利用して測定するのが好ましい。即ち、基準となる単鎖核酸分子をドナー蛍光色素(例えば、フルオレスセインイソチオシアネート)で標識し、その相補鎖をアクセプター蛍光色素(例えば、テトラメチルローダミン)で標識する。ドナー蛍光色素で標識した核酸分子とアクセプター蛍光色素で標識した核酸分子とが二重鎖を形成している状態では、ドナー蛍光色素は蛍光を発しないが、アクセプター蛍光色素で標識した核酸分子が試料とする単鎖核酸分子と置換すると、ドナー蛍光色素は蛍光を発する。従って、ドナー蛍光色素の蛍光強度を測定することにより、置換速度及び率を間接的に測定することができる。この測定は、置換反応が進行中あるいは、終了後に、キャペラリー電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、アガロースゲル電気泳動(AGE)などの電気泳動に供して連続的に測定してもよく、また、96穴プレート、384穴プレート、1536穴プレートなどのタイタープレートを用いて同時に多数を測定してもよい。
(2)第二の方法
第二の方法は、以下の工程(a)、(b)及び(c)を含むものである。
工程(a)では、当該基準となる単鎖核酸分子に当該試料とする単鎖核酸分子を接触させ、二重鎖核酸分子を形成させる。二重鎖核酸分子の形成は、通常のハイブリダイゼーション法と同様に行うことができる。また、基準となる単鎖核酸分子は担体に固定しておいてもよい。
工程(b)では、カチオン性高分子存在下で、工程(a)で形成させた二重鎖核酸分子と当該基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖を共存させる。試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在する場合、試料とする単鎖核酸分子は、非常に高い速度及び率で基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖と置換する。一方、ミスマッチが存在しない場合も置換するが、その速度及び率はミスマッチが存在する場合に比べ低い。
使用するカチオン性高分子の量は第一の方法と同様でよい。また、二重鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖を共存させる時間も第一の方法と同様でよい。
工程(c)では、試料とする単鎖核酸分子が、当該基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖と置換する速度又は率を測定する。上記のように、試料とする単鎖核酸分子が、当該基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖と置換する速度及び率は、ミスマッチを含む場合の方がミスマッチを含まない場合よりも著しく高くなる。従って、この置換速度又は率を測定することにより、二本の単鎖核酸分子間にミスマッチが存在するかどうかを判定することができる。ミスマッチを含む場合、通常、置換速度はミスマッチを含まない場合の10〜1000倍程度になる。したがって反応時間及び条件を適宜設定することにより、置換率の値は、通常、ミスマッチを含まない場合は0〜10%程度になり、1塩基のミスマッチを含む場合は40〜100%程度になる。
より正確な判定を行うためには、第一の方法と同様に、試料とする単鎖核酸分子の代わりに、基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖を用いた対照実験を行うのが好ましい。
工程(c)は、(b)の工程と同時になされてもよく、むしろ同時になされた方が置換速度を計測する上で好ましい。
置換率を測定する方法は、第一の方法と同様にFERTを利用するのが好ましいが、これに限定されない。
(3)第三の方法
第三の方法は、以下の(a)及び(b)の工程を含むものである。
工程(a)では、カチオン性高分子存在下で、当該基準となる単鎖核酸分子に、その完全相補鎖及び当該試料とする単鎖核酸分子を接触させる。これにより、基準となる単鎖核酸分子とその完全相補鎖が二重鎖を形成する(対照二重鎖)。また、試料とする単鎖核酸分子も基準となる単鎖核酸分子と一定の相補性があれば、二重鎖を形成する(試料二重鎖)。試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間にミスマッチが存在しない場合、対照二重鎖と試料二重鎖の形成量はほぼ等しくなる。一方、配列のミスマッチが存在する場合、対照二重鎖の方が試料二重鎖よりも形成量が多くなる。
二重鎖核酸分子の形成は、通常のハイブリダイゼーション法と同様に行うことができる、また、基準となる単鎖核酸分子は担体に固定しておいてもよい。
使用するカチオン性高分子の量は第一の方法と同様でよい。
工程(b)では、当該基準となる単鎖核酸分子とその相補鎖とからなる二重鎖核酸分子(対照二重鎖)、及び当該基準となる単鎖核酸分子と当該試料とする単鎖核酸分子とからなる二重鎖核酸分子(試料二重鎖)の形成比を求める。上記のように、対照二重鎖と試料二重鎖の形成量は、配列にミスマッチが存在しない場合はほぼ等しくなり、ミスマッチが存在する場合は、対照二重鎖の方が試料二重鎖よりも形成量が多くなる。従って、対照二重鎖と試料二重鎖の形成比を求めることにより、配列間にミスマッチが存在するかどうかを判別することができる。対照二重鎖と試料二重鎖の形成比の値は種々の条件によって変動するが、核酸分子濃度を等しくすれば、通常、ミスマッチを含まない場合はほぼ1:1であり、1塩基のミスマッチを含む場合は1.5〜5:1程度である。
工程(b)は、(a)の工程と同時になされてもよく、むしろ同時になされた方が二重鎖形成速度を計測する上で好ましい。
形成比を求める方法は、第一の方法と同様にFERTを利用するのが好ましいが、これに限定されない。
発明を実施するための最良の形態
〔合成例1〕 PC重合体1の合成
単量体として、MPC1.1gおよび、2−アミノエチルメタクリレート・塩酸塩(以下、「AEMA」と略記する。)0.6gを、開始剤として、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩{和光純薬工業(株)社製、以下、「V−50」と略記する。}0.4gを、重合溶媒として蒸留水12.9gを重合管にとり、均一に溶解させた。この溶液にアルゴンを10分間吹き込み、封管した。封管終了後60℃で8時間重合反応を行った。重合終了後、室温に冷却し、重合管を開封した後に、この溶液を透析膜(商品名「Spectrum/por.membrans Mw Co,6000〜8000」スペクトラム・メディカル・インダストリーズ社製)に挿入し、重合溶液の10倍の体積の蒸留水を用いて透析操作を行い、1日1回の蒸留水交換を7日間続け、未反応の単量体および開始剤を除去した。この溶液を凍結乾燥してPC重合体1を1.5g得た。
また、得られた粉末20mgを重水(D2O)1.5mLに溶解させた。得られた重水溶液を日本電子(株)製JNM−EX270を用いて1H−NMR分析を行い、PC単量体とカチオン性単量体のモル比を求めた。
更に、10mgのPC重合体1をDulbeco’sリン酸緩衝液(以下、「DPBS」と略記する。)1.0mLに溶解させ、これに、ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記する。)に溶解させた1.0mg/mLのプロピオン酸スクシンイミドエステル(和光純薬工業(株)製)を加えて、室温で3時間インキュベートした。インキュベート終了後、この溶液を透析膜(商品名「Spectrum/por.membrans Mw Co,6000〜8000」スペクトラム・メディカル・インダストリーズ社製)に挿入し、重合溶液の10倍の体積の蒸留水を用いて透析操作を行い、1日1回の蒸留水交換を7日間続けた。この溶液を凍結乾燥してプロピル化PC重合体1を8.5mg得た。このプロピル化した重合体粉末を0.5重量%の塩化リチウムを含むクロロホルム:メタノール=6:4(V/V)に溶解させて、0.5重量%の重量体溶液を調製した。更に、この溶液を0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、試験溶液とした。
GPC分析は、MIXED−C(2本)(ポリマーラボラトリーズ社製)を、溶出溶媒としては0.5重量%の塩化リチウムを含むクロロホルム:メタノール=6:4(V/V)を、標準物質としてはポリメチルメタクリレート(ポリマー・ラボラトリー社製)を、検出は視差屈折計を、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量測定(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は東ソー社製インテグレーター内蔵分子量計算プログラム(SC−8020用GPCプログラム)を用いて、流速は1.0mL/分、試料溶液使用量は100μL、カラム温度40℃で求めた。
以上の分析より、PC重合体1のモル比は65/35(MPC/AEMA)、Mn=393000,Mw=515000,Mw/Mn=1.3であることがわかった。
〔合成例2〕 PC重合体2の合成
合成例1で用いたAEMAの代わりに2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(以下、「QA」と略記する。)の50%水溶液0.8gに、V−50を0.12gに、蒸留水6.0gに変えた以外は合成例1と同様に行い。PC重合体2を1.4g得た。
また、得られた粉末20mgを重水(D2O)1.5mLに溶解させた。得られた重水溶液を日本電子(株)製JNM−EX270を用いて1H−NMR分析を行い、PC単量体とカチオン性単量体のモル比を求めた。
得られた共重合体水溶液を0.5重量%になるよう蒸留水で希釈し、この溶液を0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、試験溶液とした。
GPC分析は、カラムとしてはG3000PWxl×2本(東ソー社製)を、溶出溶媒としては蒸留水を、標準物質としてはポリエチレングリコール(ポリマー・ラボラトリー社製)を、検出は視差屈折計を、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量測定(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は東ソー社製インテグレーター内蔵分子量計算プログラム(SC−8020用GPCプログラム)を用いて、流速は1.0mL/分、試料溶液使用量は100μL、カラム温度40℃で求めた。
以上の分析より、PC重合体2のモル比は70/30(MPC/QA)、Mn=295000,Mw=389000,Mw/Mn=1.3であることがわかった。
〔実施例1〕 オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)および二重鎖配列の調製
表1に示す配列のODNをニップン(株)より購入し、逆相クロマトグラフィーにより精製した。また、二鎖鎖DNAはTE緩衝液中相補的配列を等モル量混合し、90℃に加熱後冷却することで得た。
各ODAについて、以下に簡単に説明する。
(1)M2シリーズ
F2およびT2は完全に相補的な20塩基配列であり、それぞれ3’末端および5’末端がフルオレスセインイソチオシアネート(FITC)およびテトラメチルローダミン(TAMRA)で標識されている。M2はT2と同等の未標識配列である。M2misG、M2misA、およびM2misCはM2の中央部分に一塩基変異を持つ配列である。M2misG2および、M2misG3はM2の5’から数えてそれぞれ4塩基目および、1塩基目に一塩基変異を持つ配列である。
(2)M1シリーズ
F1およびT1は完全に相補的な20塩基配列であり、それぞれ3’末端および5’末端がFITCおよびTAMRAで標識されている。M1はT1と同等の未標識配列である。M1misA、M1misT、およびM1misCはM1の中央部分に一塩基変異を持つ配列である。
(3)M50シリーズ
M50はT2と相補的な配列を中央部に有する50塩基配列であり、M50mis1は、M50の中央部に一塩基変異を持つ配列である。
(4)M3シリーズ
F3およびT3は完全に相補的な19塩基配列であり、それぞれ3’末端および5’末端がFITCおよびTAMRAで標識されている。また、M3はT3と同等の未標識配列である。M3mis1はM3の中央部に一塩基変異を持つ配列である。
〔実施例2〕 融解温度の測定
F2とM2、M2misG、M2misA、およびM2misCよりそれぞれ完全相補的二重鎖および一塩基変異を含む二重鎖を調製した。150mM NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(PBS、pH7.2)中に二重鎖濃度0.83μMになるように希釈し、マイクロTm測定装置を装着したベックマン可視紫外分光光度計により融解温度を測定した。測定温度範囲は30℃〜110℃で昇温速度は1℃/minとした。また、PLL−g−Dex(α−PLL−g−Dex)をチャージ比(DNAのリン酸基に対するPLL−g−Dexのアミノ基量)で2になるように加えて同様に測定した。
結果を図1に示す。太線は融解曲線、細線はその一次微分曲線である。PLL−g−Dex不在下では50℃から70℃に、一方PLL−g−Dex存在下では70℃から90℃に二重鎖の融解が観察される。各条件下での融解温度を表1に纏めた。
PLL−g−Dexの存否にかかわらず融解温度はいずれも近接しており、最大でもその差は7℃であった。また、融解の転移幅はいずれの配列も重複している。つまり、融解温度測定や通常のハイブリダイゼーション法では、これらの配列を厳密に区別することが困難であることを示す。
〔実施例3〕 完全相補二重鎖と単鎖間の鎖交換(その一)
完全相補鎖と単鎖間の鎖交換に及ぼす一変異塩基の影響を調べた。F2およびT2より調製した二重鎖を12nMになるようにPBSに溶解し、チャージ比で3.3になるようにPLL−g−Dexを加えた。この溶液を37℃に保ち、単鎖としてM2、M2misG、M2misA、およびM2misCをそれぞれ12nMになるように加え、鎖交換を開始させた。鎖交換の進行は、TAMRAにより消光されていたFITCの蛍光(励起波長:490nm、蛍光波長:520nm)の回復により検出した。
結果を図2に示す。完全相補配列との鎖交換は速やかに進行するのに対し、変異を持つ単鎖との鎖交換は緩慢であることがわかる。それぞれの鎖交換速度定数を算出し相対値として表した結果を表3に示す。
完全相補鎖に対し変異配列との鎖交換速度は百分の1程度であった。一方、PLL−g−Dex不在下では完全相補配列ともほとんど鎖交換が生起しなかった(図3)。つまり、PLL−g−Dexにより加速される鎖交換により、変異配列を高感度で検出できることがわかる。
〔実施例4〕 完全相補二重鎖と単鎖間の鎖交換(その二)
実施例3と同様に鎖交換を開始し、3分後および5分後の蛍光強度を求めた結果を表4に示す。
3分および5分の反応で変異配列の検出が可能であることがわかる。
〔実施例5〕 完全相補二重鎖と単鎖間の鎖交換(その三)
単鎖としてM2、M2misG、M2misG2、およびM2misG3を用いた点、並びに、カチオン性高分子としてPLL−g−Dexのほかに、PC重合体1およびPC重合体2を用いた点以外は、実施例3と同様に鎖交換実験を行い、各条件における実験開始から3分後の蛍光強度を測定した。結果を表5に示す。
この表から、PLL−g−Dexだけではなく、PC重合体でも変異配列の検出が可能であることがわかる。更に、中央部の一塩基変異だけではなく、末端の一塩基変異も容易に検出できることがわかる。
〔実施例6〕 完全相補二重鎖と単鎖間の鎖交換(その四)
以下の(1)〜(3)の点を除き、実施例3と同様に鎖交換実験を行い、各条件における蛍光強度を測定した。
(1)25℃、30℃、及び37℃の3種類の温度で実験を行った。
(2)交換反応を96穴プレートを用いて行い、測定を96穴蛍光プレートリーダー(Wallac 1420 multilabel counter,PerkinElmer Lifescience社製)にて行った。
(3)F2とT2からなる二重鎖とM2、M2misG、M2misA、及びM2misCとの鎖交換実験に加え、F1とT1からなる二重鎖とM1、M1misA、M1misT、及びM1misCとの鎖交換実験を行った。
蛍光強度の測定結果を図5に示す。
〔実施例7〕 完全相補二重鎖と単鎖間の鎖交換(その五)
チャージ比を5.0にした点、並びに、単鎖としてM50、およびM50miss1を用いた点を除き、実施例3と同様に鎖交換実験を行い、二重鎖と単鎖間の置換率の経時的変化を調べた。この結果を図6に示す。
〔実施例8〕 完全相補二重鎖と単鎖間の鎖交換(その六)
チャージ比を3にした点、F3とT3からなる二重鎖を用いた点、並びに、単鎖としてM3およびM3miss1を用いた点を除き、実施例3と同様に鎖交換実験を行い、蛍光強度の経時的変化を調べた。この結果を図7に示す。
〔参考例1〕 アニーリング工程を含めたハイブリダイゼーションによる変異配列の検出
F2(12nM)に対して等モル量のT2とM2を加え90℃に加熱後除冷(アニーリング)し、蛍光強度を測定した。また、M2を変異を持つ配列に変え同様に測定を行った。蛍光強度の相対値を表6に示す。
完全相補配列に対し変異配列も最低でも60%以上の蛍光強度を示し、アニーリング工程を含む通常のハイブリダイゼーションでは一塩基変異配列の検出が困難であることがわかる。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2001−253789号の明細書および/または図面に記載されている内容を包含する。また、本発明で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
産業上の利用可能性
本発明は、試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する新規な方法を提供する。この方法は、配列のミスマッチが一塩基だけであっても、正確にその存在を判定することができるので、DNA診断法などに利用することができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、完全に相補的な二重鎖及び一塩基変異を含む二重鎖の融解曲線を示す図である。
第2図は、二重鎖(F2/T2)と単鎖(M2,M2misG,M2misA,M2misC)間の鎖置換率の経時的変化を示す図である。
第3図は、α−PLL−g−Dexの存在と、二重鎖(F2/T2)と単鎖(M2,M2misG)間の置換率との関係を示す図である。
第4図は、二重鎖と単鎖の鎖交換実験の概要を示す図である。
第5図は、温度及び単鎖の変異状態と、二重鎖と単鎖間の置換率との関係を示す図である。
第6図は、α−PLL−g−Dexの存在と、二重鎖(F2/T2)と単鎖(M50,M50miss1)間の置換率との関係を示す図である。
第7図は、二重鎖(F3/T3)と単鎖(M3,M3miss1)間の鎖置換率の経時的変化を示す図である。
Claims (7)
- 試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する方法であって、(a)カチオン性高分子存在下で、当該基準となる単鎖核酸分子とその相補鎖とからなる二重鎖核酸分子を、当該試料とする単鎖核酸分子と共存させる工程、(b)当該基準となる単鎖核酸分子の相補鎖が、当該試料とする単鎖核酸分子と置換する速度又は率を測定する工程を含むことを特徴とする単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法。
- 試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する方法であって、(a)当該基準となる単鎖核酸分子に当該試料とする単鎖核酸分子を接触させ、二重鎖核酸分子を形成させる工程、(b)カチオン性高分子存在下で、(a)で形成させた二重鎖核酸分子と当該基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖を共存させる工程、(c)当該試料とする単鎖核酸分子が、当該基準となる単鎖核酸分子の完全相補鎖と置換する速度又は率を測定する工程を含むことを特徴とする単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法。
- 試料とする単鎖核酸分子と基準となる単鎖核酸分子との間に配列のミスマッチが存在するかどうかを判定する方法であって、(a)カチオン性高分子存在下で、当該基準となる単鎖核酸分子に、その完全相補鎖及び当該試料とする単鎖核酸分子を接触させる工程、(b)当該基準となる単鎖核酸分子とその完全相補鎖とからなる二重鎖核酸分子、及び当該基準となる単鎖核酸分子と当該試料とする単鎖核酸分子とからなる二重鎖核酸分子の形成比を求める工程を含むことを特徴とする単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法。
- カチオン性高分子が、カチオン性基を形成し得るモノマーから構成されるポリマーを主鎖とし、親水性高分子を側鎖とするグラフト共重合体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法。
- カチオン性基を形成し得るモノマーから構成されるポリマーが、ポリリジン又はポリアリルアミンであることを特徴とする請求項4記載の単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法。
- 親水性高分子が、デキストラン又はポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項4又は5記載の単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法。
- カチオン性高分子が、下記の一般式[I]
{ただし、式中、Xは2価の有機残基を示し、Yは炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原子もしくはR5−O−(C=O)−(但しR5は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す)を示す。また、R1は水素原子もしくはメチル基を示し、R2、R3及びR4は同一もしくは異なる基であって、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示す。mは0または1を示す。nは1〜4の整数である。}で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体、およびカチオン性基を有するカチオン性単量体を重合してなる重合体である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の単鎖核酸分子間のミスマッチ判定方法。
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