JPWO2003014345A1 - 肝星細胞活性化に関与する遺伝子パネル - Google Patents

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Abstract

肝星細胞で、正常時に比べて肝星細胞活性化時期に発現レベルが変動する遺伝子の群からなる遺伝子パネルを、以下のステップにより作成する:(a)正常時におけるモデル動物より分離した静止期肝星細胞における各種遺伝子の発現レベルと、活性化時期における前記遺伝子の発現レベルを測定するステップと、(b)活性化時期に発現レベルが変動する遺伝子群を同定するステップ。

Description

技術分野
本発明は、肝星細胞中で正常時に比べて肝星細胞の活性化に伴い発現レベルが上昇する遺伝子の群からなる遺伝子パネル、その作成方法、同遺伝子パネルの利用に関するものである。これらの発明は、診断、医薬分野等で有用である。
背景技術
肝の結合組織の増生および蓄積は、肝の循環傷害を招来する。これが更に肝実質細胞障害原因になり、悪循環が形成され、更なる結合組織の増生および蓄積がおこり、肝硬変や肝線維化モデル動物の肝線維化をともなう肝疾患症を引き起こすと考えられている。肝臓は実質細胞(肝細胞)と非実質細胞(肝星細胞、クッパー細胞、類同内皮細胞、Pit細胞)から成り、肝臓の結合組織は細胞外基質とそこに局在する細胞から構成されている。結合組織中の基質産生担当細胞である肝星細胞が活性化され形質転換することにより結合組織の増生・蓄積が促進される。正常肝臓の肝星細胞(以下、静止期の星細胞と呼ぶ)は、細胞外基質の生産量が少なく、活性化にともない筋線維芽様細胞に形態を変化させ、細胞の増加と共に多量の細胞外基質を合成することが知られている。
したがって、肝硬変など肝線維化をともなう肝疾患患者の肝星細胞の活性化を抑制し、結合組織の増生・蓄積を軽減する医療が要求されており、肝星細胞の活性化を抑制させる薬剤のスクリーニングは重要であるといえる。このような要求があるにも関わらず、肝星細胞の活性化を抑制する薬物の効率的なスクリーニング法は知られていない。
肝疾患により肝細胞が壊死に陥るとそれまで静止期にあった肝星細胞は肝壊死細胞に由来する液性因子や、炎症局所の活性化クッパー細胞や浸潤した炎症細胞などがパラクライン分泌したサイトカインにより、更に、活性化された肝星細胞のオートクライン分泌によって活性化される。ここで、肝星細胞活性化は複数の因子の関与が考えられているが、いかなるタイミングで働いているのか全体像はわかっていない。そこで、肝星細胞の活性化の全体像をつかむためには、肝星細胞の活性化には複数の遺伝子が関与していると考えられることから、肝星細胞活性化に働く重要遺伝子を多数調べることが重要であると考えられる。これまで、肝星細胞活性化を抑制する薬剤のスクリーニングから生まれた薬剤は無い。肝星細胞活性化に発現変動が見られることを指標とした遺伝子スクリーニングの報告はあったが、せいぜい数種の遺伝子の発現変動を見たものに過ぎなかった。
発明の開示
本発明は、上記観点からなされたものであり、肝星細胞で、静止期に比べて肝星細胞が活性化した時に発現レベルが変動する遺伝子の群からなる遺伝子パネル、及びそれを利用して肝星細胞の活性化を抑制させる薬物をスクリーニングする方法を提供することを課題とする。
本発明者は、肝星細胞の活性化を抑制させるためには、肝星細胞の活性化に関与する遺伝子の挙動を、静止期の肝星細胞の遺伝子発現パターンに近づけてやればよいと考えた。そして、肝星細胞初代培養系での活性系モデルを用いて、肝星細胞の活性化における各種遺伝子の発現プロファイルを調べ、肝星細胞に関与する遺伝子に関する発現情報を取得した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)肝星細胞で、静止期に比べて活性化時期に発現レベルが上昇する遺伝子の名称及びそれらの遺伝子の発現プロファイルからなる遺伝子パネル。
(2)前記遺伝子の発現レベルの上昇が、モデル動物における正常時の発現レベルに対する、肝硬変・肝線維化モデル動物における発現レベルの差である(1)の遺伝子パネル。
(3)前記発現プロファイルが、肝星細胞における経時的な発現プロファイルを含む(1)又は(2)の遺伝子パネル。
(4)前記モデル動物がラットである(2)または(3)のいずれかの遺伝子パネル。
(5)表1〜4の番号1〜105に示す105種の遺伝子のうち、少なくとも5種類の各遺伝子の発現プロファイルを含む(1)〜(4)のいずれかの遺伝子パネル。
(6)肝星細胞中で、正常時に比べて肝星細胞活性化時期に発現レベルが変動する遺伝子の群からなる遺伝子パネルの作成方法であって、以下のステップを含む方法:
(a)静止期の肝星細胞における各種遺伝子の発現レベルと、活性化時期の肝星細胞における前記遺伝子の発現レベルを測定するステップと、
(b)それぞれの発現レベルを比較するステップと、
(c)活性化時期に発現レベルが上昇する遺伝子群を同定するステップ。
(7)前記ステップ(a)において、肝星細胞活性化時期における前記遺伝子の発現レベルを経時的に解析することを特徴とする(6)の方法。
(8)前記遺伝子発現レベルの解析を、遺伝子チップ法により行う(6)又は(7)の方法。
(9)モデル動物または肝臓の組織もしくは細胞に薬剤を投与し、(1)の遺伝子パネルを構成する遺伝子の発現プロファイリングを行うことを特徴とする、肝星細胞活性化に関与する薬剤のスクニーニング方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明の遺伝子パネル
本発明の遺伝子パネルは、肝星細胞で、静止期に比べて活性化時期に発現レベルが上昇する遺伝子の名称及びそれらの遺伝子発現プロファイルからなる遺伝子パネルである。
本発明の遺伝子パネルは、下記ステップにより作成することができる。
(a)静止期の肝星細胞における各種遺伝子の発現レベルと、活性化時期の肝星細胞における前記遺伝子の発現レベルを測定するステップと、
(b)それぞれの発現レベルを比較するステップと、
(c)活性化時期に発現レベルが上昇する遺伝子群を同定するステップ。
肝星細胞の機能は、ビタミンAの代謝と貯蔵、細胞外基質の産生、サイトカインの産生、収縮運動、筋線維芽細胞への形質転換であり、これらの機能が肝線維化に密接に関係していると考えられている。活性化時期の肝星細胞(活性化した肝星細胞又は活性化型肝星細胞と同義である)とは、正常肝の静止期の肝星細胞が様々な刺激により、筋線維芽様細胞へ形質転換した状態の肝星細胞をいう。筋線維芽細胞へ形質転換した細胞は、増殖性が増し、ビタミンA含量が低下し、収縮性を増す。また、タイプI型コラーゲンを主とする細胞外基質を産生する。さらに、更にコラゲナーゼやゼラチナーゼなどの細胞外基質分解酵素の合成が低下するため、細胞外基質の増性・蓄積を促進する。
活性化された肝星細胞は、分離肝星細胞で同様な形質転換が起ることが知られている。肝疾患、例えば、肝炎(J hepatology 1996 Mar 24,(3):301−7 Guido M liver stellate cells in chronic viral hepatitis:the effect of interferon therapy)、肝硬変(American Journal of pathology 1990 July 137(1)Stefano M et al.Cellular Localization of TypeI,III,and IV Procollagen Gene transcripts in Normal and Fibrotic Human liver)、NASH(nonalcoholic steatohepatitis)(Hum Pathol 2000 July 31(7)822−8,Washington K,et al Hepatic stellate cell activation in nonalcoholicsteatohepatitis and fatty liver.)などでは、肝臓の炎症の持続と共に肝に結合組織が増加、蓄積を起こし、活性化型肝星細胞増加が観察される。
遺伝子の発現レベルとは、遺伝子の発現量、発現強度又は発現頻度と同義であり、通常、遺伝子に対応する転写産物の生成量、又はその翻訳産物の活性等により解析される。
遺伝子の発現レベルは、通常遺伝子の発現解析に利用されている方法を用いて測定することができる。好ましい方法としては、例えば、遺伝子チップ法、遺伝子マイクロアレイ法、及び遺伝子マクロアレイ法等がある。いずれも、遺伝子断片を何等かの板の上(通常はスライドガラス)に、並べて張り付けたものが用いられる。このチップと蛍光ラベルしたmRNAをハイブリダイズさせて、mRNAの種類と量を測定する。
その他、遺伝子発現解析法として、ATAC−PCR法(Nucleic Acids Reserch 25,4694−4696(1997))Body Map法(Gene,174,151−158(1996))、Serial analysis of gene expression(SAGE)法(米国特許第527,154号、第544,861号、欧州特許公開第0761 822号)、MAGE(Micro−analysis of Gene Expression)(特開2000−232888号)等が挙げられる。
ATAC−PCR法の概略は、以下の通りである。まず、5’ビオチン化オリゴdTプライマーを用いて合成したcDNAから二本鎖DNAを合成し、これを特定の制限酵素(ここではMboIを用いた例について述べる)で切断する。次に、この制限酵素で切断された部位と共通の配列を末端に持つアダプター(長さの異なる6種類を用意する)と、制限酵素MboIで切断した二本鎖DNAを、DNAライゲースにより連結する。尚、6種類のアダプターのうち、3種類をコントロールcDNA(活性化時期の肝星細胞から調製したcDNA)に結合し、10:3:1の比率で混合する。残る3種類のアダプターに、非コートプラスチックシャーレで培養後4時間、3日、7日のラット肝星細胞から調製したcDNAを結合させる。
それぞれの連結反応物を混合した後、ストレプトアビジンコートされたビーズを用いて二本鎖cDNAの3’断片を回収し、各アダプターに共通する配列を持つプライマーを用いて競合的RT−PCRを行う。このPCR産物を、ABI PRISM 3700 DNA Analyzerにより解析する。この装置は、キャピラリー電気泳動により、断片の長さ毎に分離することができ、発現量に比例した蛍光強度を検出することができる。
Body Map法の概略は以下の通りである。mRNAをベクター上のポリT配列とmRNAの3’末端にあるポリAテールを結合させ、ベクターポリT配列をプライマーとしてcDNAを合成する。更に、制限酵素MboIでcDNAを切断する。MboIサイトはcDNA上で平均300塩基対に一つあるため、ベクター上のcDNAは平均300塩基対に分断される。このとき、最もポリAテールよりのcDNAは、ベクターに結合したまま残る。このcDNA断片を持つベクターを閉環させ、それを大腸菌に導入してcDNAライブラリーを作製する。ライブラリーから約1000クローンを任意に選択して、それぞれについて平均300塩基対の塩基配列を決定する。それらの配列の中から同じ配列を含むクローン毎にまとめて、それぞれの配列の種類と出現頻度を算出して遺伝子発現プロファイルを得る。各cDNA配列はデータバンクとのホモロジー検索(BLAST検索)を行い、既知の遺伝子と同一の配列を有するクローンにはその遺伝子の名称を与える。配列がデータバンクに登録されていない場合は、その配列に該当する遺伝子は存在しないものとする。
BLAST検索によりホモロジー検索を行なうためには、最低11塩基対の情報が必要である。10塩基からなる配列の種類は約百万種であり、人で存在すると予想される遺伝子の種類10万種を遙かに越える。すなわち、11塩基対の情報があれば、その配列を持つ遺伝子は特定することができ、遺伝子発現プロファイル解析が可能である。したがって、多量のシークエンスを必要とするBody Mapによる遺伝子発現プロファイル解析を効率化するために、Body Mapにおける約300塩基対のcDNA断片を、更に11塩基対以上の短い断片(「タグ(tag)」と呼ばれる)とし、更にこの断片同士を多数連結してベクターに挿入することにより、連結タグのライブラリーを作製し、Body Mapと同様に約1000クローンを任意に選択して、連結タグのDNA配列を決定すれば、Body Mapと同じ手数でより多くの遺伝子発現情報を得ることが期待できる。タグは遺伝子配列を代表し、タグの出現頻度はその遺伝子の発現頻度を現す。通常、1回のシークエンスで判読出来るDNA配列の長さは約600塩基対であるから、1回のシークエンスで最大50個程度のタグのDNA配列を判読出来る。すなわち、Body Map法に比べて最大約50倍の効率で、遺伝子発現プロファイル解析を行うことが可能になる。
SAGE法は、上記の考えに基づいた遺伝子発現プロファイル解析法である。SAGE法は、以下のようにして行われる。ビオチンが3’末端に結合したポリTをプライマーとしてcDNAを作製し、Body Mapと同様にMboI等の制限酵素(「アンカリング酵素(anchoring enzyme)」と呼ばれる)でcDNAを切断した後、ビオチンが結合した3’末端を含むcDNA断片をアビジンビーズに吸着させ、ビーズを二分して、それぞれのビーズに吸着したcDNA断片(約13bp)に2種のリンカー(A又はB)の一方づつを結合させる。各リンカーにはBsmFIのようなClass II制限酵素(「タグ化酵素(tagging enzyme)」と呼ばれる)のサイトを含ませておく。タグ化酵素でcDNA断片をビーズから切り出し、切断部位を平滑化し、Aリンカーに接続するタグとBリンカーに接続するタグを連結させる。これは、ダイタグ(ditag)と称される。AリンカーとBリンカーを認識するプライマーを用いてPCRによりダイタグを増幅する。増幅されたダイタグ同士を多数連結させてベクターに組み込み、シークエンスする。1シークエンスで最大50程度のタグシークエンスを得ることができる。このタグシークエンス情報を集計して、遺伝子発現頻度を導き出す。
MAGE法は、上記方法に対する改良法であり、ポリT配列を有するベクタープライマーを用いてmRNAからcDNAを合成し、同ベクター上でcDNA配列をタグ化し、得られたタグを、タグの末端が識別できるような配列を介在させて連結することによりコンカテマーを形成させ、このコンカテマーの塩基配列を解析することによって、効率よく、しかも高精度で遺伝子の発現頻度を解析することができる方法である。
本発明においては、遺伝子の発現レベルを解析することができる方法であれば特に制限されず、現在知られている方法、及び将来開発される方法のいずれも採用することができる。上記方法のうち、特に好ましいのは、遺伝子チップ法もしくは遺伝子マイクロアレイ法、及びATAC−PCR法である。
本発明において、遺伝子の発現レベルの解析は、単独の方法で得られた結果に基づいて行ってもよく、複数の方法により得られた結果を組み合わせて行ってもよい。単独の方法でも解析は可能であるが、複数の方法を組み合わせると、より精度の高い解析を行うことができる。具体的には、複数の方法、例えば遺伝子チップ法により得られた結果と、ATAC−PCR法により得られた結果について相関係数を算出し、相関係数が一定以上の遺伝子について、発現レベルが変動したと評価する。
ヒトやマウス等の動物の遺伝子チップ、遺伝子マイクロアレイ及び遺伝子マクロアレイは各種市販されており、本発明においてはそれらを使用してもよい。
本発明においては、遺伝子の発現レベルの変動は、静止期の肝星細胞における各種遺伝子の発現レベルと、活性化時期の肝星細胞における前記遺伝子の発現レベルを測定し、それぞれの発現レベルを比較することによって、解析することができる。
静止期の肝星細胞における遺伝子の発現レベルは、正常肝から分離した直後の肝星細胞中の遺伝子の発現レベルを測定することによって解析することができる。
一方、活性化時期の肝星細胞における遺伝子の発現レベルは、例えば、正常肝から分離した肝星細胞を非コーティングのプラスチックシャーレで初代培養し、得られる細胞中の遺伝子の発現レベルを測定することによって解析することができる。正常肝から分離した肝星細胞を非コーティングのプラスチックシャーレで初代培養するだけで、自ら活性化して脂肪滴蓄積の減少、細胞外基質の産生など、肝硬変、肝炎など臨床サンプルの肝臓組織で観察される活性化型肝星細胞と類似した形質を示す。
肝星細胞をラットの正常肝から分離し、非コーティングしたプラスチックシャーレに播種すると、分離直後の肝星細胞は、ビタミンAを貯蔵する脂肪滴が細胞質に多数観察され正常肝の静止期の肝星細胞と同様な形態を示す。肝星細胞分離後、非コーティングしたプラスチックシャーレ上で培養すると肝星細胞活性化のマーカーである、α−smooth muscle actinが培養3日目から観察され、およそ一週間で、肝星細胞は活性化した肝星細胞として筋線維芽細胞様の形態を示す。7日目の活性化肝星細胞は、肝硬変や線維化肝などで観察される脂肪滴が減少した活性化肝星細胞と同様な形質を示す。
また、肝星細胞の活性化時期における遺伝子の発現レベルは、例えば、肝硬変・肝線維化モデル動物の肝臓から分離した直後の肝星細胞中における発現レベルを測定することによって解析される。一方、静止期の遺伝子の発現レベルは、正常モデル動物の肝から分離した肝星細胞分離直後に測定される。遺伝子の発現レベルの解析は、肝星細胞活性化にともない経時的に行うことが好ましい。
肝硬変・肝線維化モデル動物は、例えば、雄性ラットに、生理食塩水を溶解したチオアセトアミド(50mg/ml)1mlを1週間に2回ずつ6週間にわたって腹腔内投与することにより取得することができる。この間、ラットは、自由摂食、自由飲水で飼育する。
上記のようにして、静止期に比べて活性化時期に発現レベルが変動する遺伝子群が同定される。
本発明の遺伝子パネルは、上記のようにして測定される各種遺伝子の名称と、それぞれの遺伝子の発現プロファイル、すなわち発現レベルの変動に関する情報を少なくとも含む。遺伝子の名称は、他の遺伝子と区別することができる限り特に命名法は制限されないが、典型的には、その遺伝子によってコードする産物の名称、GenBank等のデータベース上のアクセッション番号や遺伝子名など、あるいは遺伝子チップ上のプローブセット名や遺伝子名等が用いられる。
本発明の遺伝子パネルの好ましい形態においては、各遺伝子は、肝星細胞分離後一定時間における発現レベルによって分類される。例えば、肝星細胞分離3日後(活性化初期)、7日後(活性化型肝星細胞)に増加するグループに分類される。ここでいう顕著とは、発現の増加が、肝星細胞の静止期のそれと比べ3倍以上差があるものとする。
<2>本発明のスクリーニング法
本発明の遺伝子パネルをもとにして、遺伝子パネルに含まれる遺伝子の発現を定量的、半定量的に測定するシステムを構築することにより、各種スクリーニングが可能となる。
例えば、肝炎、肝硬変、NASHモデル動物または活性化肝星細胞に薬剤を投与し、本発明の遺伝子パネルを構成する遺伝子の発現プロファイリングを行うことにより、肝星細胞に関与する薬剤のスクリーニングを行うことができる。すなわち、薬剤の投与によって、各遺伝子の発現プロファイルが静止期の肝星細胞遺伝子パネルにおける発現プロファイルと類似するような薬剤は、肝星細胞活性化を阻害すると考えられる。
また、本遺伝子パネルの遺伝子の発現増加をさらに増加させる薬剤、もしくは発現減少をさらに減少させる薬剤をスクリーニングすることによっても、肝星細胞活性化抑制物質のスクリーニングが可能である。この場合、5種程度の遺伝子の発現変化に注目することにより、スクリーニングが可能である。
遺伝子の発現プロファイリングの方法としては、遺伝子パネルを構成する遺伝子の断片を固定したスライドガラス又はナイロンメンブレン等を用いたDNAマイクロアレイ法、DNAマクロアレイ法、あるいはATAC−PCR法、Taqmanプローブを利用した方法、又はSYBR Greenを利用した定量的PCR法等が挙げられる。発現プロファイリングは、単独の方法で行ってもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。
以下に、スクリーニングの具体的手順の一例を示す。
第一次スクリーニングとして、スクリーニング対象薬剤で分離活性化型肝星細胞、又は、株化された活性化型肝星細胞を処理し、一定時間後の細胞からRNAを調製する。肝臓から分離した星細胞は時間と共に活性化するため、活性化の各ステージ、例えば活性化初期(分離直後から3日間培養まで)、中期(4日から6日培養まで)、後期(7日培養以降)の細胞をそれぞれ対象として、薬剤の作用を測定してもよい。薬剤処理前後の遺伝子発現レベルを測定し、その発現プロファイルが静止期の星細胞の遺伝子パネルに相似した薬剤、又は活性化とともに上昇する遺伝子発現を抑制する薬剤をスクリーニングする。薬剤処理後の肝星細胞における遺伝子発現パターンをグループ化し、遺伝子発現パネルの静止期のプロファイリングと相似した薬剤、又は活性化とともに上昇する遺伝子発現を抑制する薬剤をスクリーニングする。グループ化は、遺伝子パネルの作成と同様にして、一定時間における発現レベルによって分類することによって行われる。
細胞内で遺伝子発現産物である蛋白質は、互いに関連し、ネットワークを形成している。直接結合したり、酵素と基質の関係になったりする場合と、蛋白質がゲノムの特定部位と結合し特定遺伝子の転写を制御したりすることによりネットワークができている。肝星細胞活性化においてこれら一連のネットワークが作動し、この作動が次の一連のネットワークを作動するというネットワークのカスケードが考えられる。このカスケードの結果として肝星細胞が活性化し最終的に筋線維芽様細胞へ分化していく。このカスケードに関連するすべての遺伝子発現の変動を集合したものが本パネルである。肝星細胞活性化阻害剤に要求されることは、ネットワークの上流を阻害してネットワークを停止させるか、転写因子を介してカスケードを転写因子の周辺のシグナル伝達を阻害することによりカスケードを止めることが望まれる。これからして有望な阻害剤は本パネルのある遺伝子変動をまとまって生じさせると考えられる。このまとまりは、場合によるが1つのネットワークに関連する遺伝子が10個程度本パネルに含まれていると予想されるので、少なくとも5個の遺伝子が一つの阻害剤で変動すると予想される。よって、少なくとも5個の遺伝子の変動をもって一次スクリーニングとして効果を判断する。
肝星細胞の培養条件としては、非コートプラスチックシャーレ上の培養、又は、TGF−1β(tumor growth factor)など肝星細胞の活性化を促進する物質を加える、等の方法があり、肝星細胞活性化抑制物質、又は肝星細胞増殖を阻害する物質がスクリーニングされることが期待される。
第二次スクリーニングとして、一次スクリーニングで肝星細胞の活性化抑制または、肝星細胞の増殖阻害を示すと予想される候補薬物を、肝炎誘導薬剤、肝硬変誘導薬剤、脂肪肝誘導薬剤などで作成した病態モデルラットに投与し、肝臓を摘出する。肝臓の結合組織量を測定するとともに、これからRNAを抽出し遺伝子発現変化を測定する。これらのデータを、薬剤を投与しないラットの肝結合組織量を測定し遺伝子発現変化データと比較し、薬剤の肝結合組織増生や蓄積に対する効果を評価する。
上記スクリーニングは、ラット以外の実験動物を利用しても可能であり、その場合、ラット遺伝子に対応するホモログについて遺伝子パネルを作り直し、スクリーニングを実施することが好ましい。
以上のように、本発明の遺伝子パネルは、肝星細胞の活性化において有効な薬剤のスクリーニングに有用であると考えられ、その結果得られた薬剤を組み合わせることにより、より有効な肝線維化治療薬を創出することも可能であると考えられる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1
<1>肝星細胞の分離
雄性Wistarラット(体重300〜350g)をエーテル麻酔後、腹腔内にネンブタールを0.5ml注入し、クーパーにて開腹し、門脈を露出させた。サーフローを門脈のやや末梢側より挿入した。
潅流液(1リットルあたり8g NaCl、400mg KCl、88.17mg NaHPO・2HO、120.45mg NaHPO、2380mg HEPES、350mg NaHCO、560mg CaCl・HO)200ml、70mgプロナーゼ潅流液100ml、70mgコラゲナーゼ潅流液250mlを流した。潅流後、肝を摘出し、細胞を分散させた。それらの細胞を、70mgプロナーゼ、70mgコラゲナーゼ、2mg DNaseI入りの潅流液中で、更に消化させた。
その後、上記細胞分散液をメッシュ装置で濾過した後、ファルコンチューブ2本に濾過液を分注し、2000rpmで7分遠心した。上清を捨て、0.5mg DNaseIを加え、更に攪拌溶液(1リットル当たり8g NaCl、370mg KCl、210mg MgCl・6HO、70mg MgSO・7HO、150mg NaHPO・12HO、KHPO、991mgグルコース、227mg NaHCO、225mg CaCl)を加えピペッテングをした後、2000rpmで7分遠心した。上清を捨て、67.5mlの攪拌溶液を加えて細胞を懸濁し、Nicodenz溶液(1リットル当たり370mg KCl、210mg MgCl・6HO、70mg MgSO・7HO、150mg NaHPO・12HO、KHPO、991mgグルコース、227mg NaHCO、225mg CaClの溶液25mlに、7.75g Nicodenzを溶解)を加え、攪拌し、遠心チューブに分注した。各々のチューブに1mlの攪拌用液を重層し、3200rpmで15分間遠心した。
最上層の下面に細胞層が得られ、この層を吸い取り遠心チューブに移した。攪拌溶液を加えて細胞を懸濁し、2000rpmで7分遠心を行った。沈殿を、10% FCSを加えたDMEMに懸濁し、非コートプラスチックシャーレに播種した。4時間後に培養液を10%FCSを加えたDMEMと交換し、シャーレに接着している細胞を静止期の肝星細胞とした。また、シャーレに接着している細胞を3日間又は7日間培養した細胞をそれぞれ活性化初期の肝星細胞及び活性化した肝星細胞とした。
<2>全RNAの精製
細胞数10に対し、1mlのISOGEN(日本ジーン)を加え、ホモジェナイズした。得られたホモジネートを遠心し、上清を回収した。この上清に、加えたISOGEN 1mlにつき200μlのクロロホルムを加え、軽く撹拌した。室温に2分放置後、15000回転、4℃で10分間遠心分離し、水層を新しい遠心チューブに移した。この水層に、それと等量の2−プロパノールを加え、室温に5分放置後、15000回転、4℃で15分間遠心した。上清を捨て、沈殿したペレットに70%エタノールを加え、15000回転、4℃で15分間遠心後、70%エタノールを除去することにより、ペレットをリンスした。リンスしたペレットを室温で5分間乾燥させ、これにDEPC(ジエチルピロカーボネート)処理水を加え、ペレットを溶解させた。こうして得られた全RNA画分が精製されたことを、1%アガロースゲル電気泳動により確認した。
上記のようにして、分離直後の肝星細胞、培養3日後、7日後における肝星細胞からそれぞれ全RNAを精製し、各種遺伝子発現量の推移を、GeneChip(Affymetrix社製)を利用して調べた。
<3>GeneChipによる遺伝子発現解析
GeneChipによる遺伝子発現解析は、Affymetrix社が推奨するプロトコールに準拠して行った。以下に手順を示す。
(1)プローブ合成
(i)二本鎖cDNA合成
まず、<2>で調製した全RNAから、Gibco BRL社製のSUPERSCRIPT Choice Systemを用い、二本鎖cDNA合成を行った。全RNA 15μg、T7−(dT)24primer 100pmolをDEPC処理水に溶解し、11μlとした。70℃で10分間反応後、氷冷し、5×1st strand cDNA buffer(Gibco BRL社製)4μl、0.1×DTT(ジチオスライトール、Gibco BRL社製)2μl、10mM dNTP mix(Gibco BRL社製)1μlを加え、42℃、2分間保温した。これに逆転写酵素(Superscript II RT)2μgを加えた後、42℃で1時間反応させた。
前記反応液に、DEPC処理水、5×2nd strand reaction buffer 30μl、10mM dNTP 3μl、DNAリガーゼ10U/μl 1μl、DNAポリメラーゼI 10U/μl 4μl、RNaseH 2U/μlを加えて混合した後、16℃で2時間反応させた。この後、T4 DNAポリメラーゼ5U/μl 2μlを加え、16℃で5分反応させた。これに、0.5M EDTA 10μlを加えた。この反応液に等量の(フェノール:クロロホルム=1:1)溶液を加え、これらが入ったチューブを上下に振って混ぜ合わせた。この混合液を、15000rpm、4℃で10分間遠心分離し、水層を新しい遠心チューブに移した。この水層に、3Mの酢酸ナトリウムを1/10量、100%エタノールを3倍量加え、よく混合した。−80℃で10分放置したのち、15000rpm、4℃で10分間遠心した。沈殿したペレットを70%エタノールで2回リンスし、室温で5分間乾燥した後、DEPC処理水を12μl加えた。
(ii)ビオチン標識cRNAプローブの合成
次に上記で合成した二本鎖cDNAから、Enzo社製Bio Array High Yield RNA Transcript Labeling Kitを使用して、ビオチン標識cRNAプローブを合成した。二本鎖cDNA 5μl、DEPC処理水17μl、10×HY buffer 4μl、10×ビオチン標識リボヌクレオチド(Biotin labeled ribonucleotides)4μl、10×DTT 4μl、10×RNase inhibitor mix 4μl、20×T7 RNAポリメラーゼ2μlを混合し、37℃で4時間反応させた。
次に、上記のようにして合成したビオチン標識cRNAプローブ溶液から、未反応のBiotin labeled ribonucleotidesを、Qiagen社製RNeasyを使用して除いた。ビオチン標識cRNAプローブ溶液に、DEPC処理水160μlを加え、RLT buffer 700μlを混合し、ついで100%エタノール500μlを加え、よく混合した。この溶液を、700μlずつRNeasy mini spin columnに加え、8000rpmで15秒間遠心した。溶出液を、再度RNeasy mini spin columnに加え、8000rpmで15秒間遠心した。次に、RPE buffer 500μlをRNeasy mini spin columnに加え、8000rpmで15秒間遠心した。再度RPE buffer 500μlをRNeasy mini spin columnに加え、15000rpmで2分間遠心した。
上記のようにしてビオチン標識cRNAプローブを吸着させ、洗浄したRNeasy mini spin columnを、新しい遠心チューブに移した。このRNeasy mini spin columnにDEPC処理水30μlを加え、室温で1分間放置した。8000rpmで15秒間遠心し、精製されたビオチン標識cRNAプローブ溶液を溶出させた。
次に、精製されたビオチン標識cRNAプローブ溶液の断片化を行った。ビオチン標識cRNAプローブ溶液、5×Fragmentation buffer(最終溶液量の1/5量を加える)を混合して、ビオチン標識cRNAプローブ濃度が0.5μg/μlとなるよう調整し、94℃で35分間反応させた。1%アガロースゲル電気泳動を行い、プローブがおおよそ100塩基前後の長さに断片化されているのを確認した。
(2)ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションは、まずテストチップ(TEST2 Chip)で断片化ビオチン標識cRNAプローブの出来を評価し、問題がないことを確認した後に本試験を行った。本試験には、ラットチップセット(RG−U34A,RG−U34B,RG−U34C)を用いた。これら3種のラットチップセットには、計7000種のラット既知遺伝子と、17000種の未知遺伝子が含まれている。テストチップ、ラットチップセットのいずれも、以下の手順でハイブリダイゼーションを行った。
断片化ビオチン標識cRNAプローブ60μg、コントロールoligonucleotied B2(5nM)12μl、100×control cRNAカクテル12μl、ニシン精子DNA(10mg/ml)12μl、アセチル化BSA(50mg/mg)12μl、2×MESハイブリダイゼーションバッファ600μlを加え、DEPC処理水で1200μlに調整した(以下、「ハイブリダイゼーションカクテル」と呼ぶ)。ハイブリダイゼーションカクテルを99℃、5分加熱して熱変性を行い、45℃に5分間置いた後、15000rpm、室温で5分間遠心した。上清を、テストチップ(TEST2 Chip)では80μl、ラットチップセット(RG−U34A,RG−U34B,RG−U34C)では200μl分取し、ハイブリダイゼーションに使用した。
Genechipを室温にもどし、1×MES buffer(Test2 chipは80μl、ラットチップセットは200μl)、45℃で10分、60rpmでプレハイブリダイゼーションを行った。次に、プレハイブリダイゼーション液を除去し、前記の熱変性させたハイブリダイゼーションカクテルを添加し、45℃、16時間、60rpmでハイブリダイゼーションを行った。
(3)洗浄、染色及びスキャニング
Genechipからハイブリダイゼーションカクテルを除去し、non stringent wash bufferを入れ、Fluidic station(Affimetrix社製)にて洗浄及び染色を行った。洗浄及び染色は、Test2 ChipではFluidic stationのMini_euk1プロトコールに従い、ラットチップセットではEukGE−WS2プロトコールに従って行った。洗浄及び染色終了後、スキャナーにてチップのスキャニングを行い、画像データを取り込んだ。
(4)データ解析
ハイブリダイゼーションのデータ解析は、GeneChipアナリシススイートによって行った。結果を表1〜4に示す。各遺伝子の発現量は、全遺伝子の発現の平均値を100とし、それに対する相対値(Average Differences)で表した。表中、ププローブセット(Probe set)番号は、Affymetrix社によって命名された、各遺伝子に対応する管理用背番号である。ユニジーン(Unigene)はGenBankに登録されたDNA配列を、遺伝子(転写産物)種ごと、及び生物種ごとにまとめたものである。
表中の分離直後のカラムは、肝星細胞を分離し非コートプラスチックシャーレに肝星細胞を播種し、4時間後肝星細胞からRNAを調製する。3日目、7日目のカラムは、肝星細胞を非コートプラスチックシャーレで3日間、7日間培養した活性化初期細胞、活性化型肝星細胞の遺伝子発現量である。
正常時の肝臓から分離直後の静止期肝星細胞における発現に比べ、非コートプラスチックシャーレ上で培養した活性化肝星細胞における発現増加が著しい(約3倍以上増加)既知遺伝子は105種であった。
Figure 2003014345
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実施例2
実施例1<1>で述べた方法により静止期肝星細胞を調製し、5%FBSを含むMEM培地で24時間培養した。培地を新しい5%FBSを含むMEM培地又は同培地に10mMシステインを含む培地で交換し、さらに48時間培養した。シャーレの培地を抜き、PBSで洗浄後、シャーレに付着した細胞をIsogenで溶解し、実施例1<2>で述べた方法によりRNAを調製し、実施例<3>で述べた方法でGene Chip測定し、データ解析した。この解析結果を活性化初期肝星細胞に対するシステインの作用と記する。
同様に、静止期肝星細胞を調製し、5%FBSを含むMEM培地で培養した。毎日培地を新しい5%FBSを含むMEM培地で交換しながら3日培養した。3日後に、新しい5%FBSを含むMEM培地又は同培地に10mMシステインを含む培地で交換し、さらに2時間又は8時間培養した。シャーレの培地を抜き、PBSで洗浄後、シャーレに付着した細胞をIsogenで溶解し、RNAを調製し、Gene Chip測定、解析した。この解析結果を活性化中期肝星細胞に対するシステインの作用と記する。
同様に、静止期肝星細胞を調製し、5%FBSを含むMEM培地で培養した。3日後と5日後に培地を新しい5%FBSを含むMEM培地で交換しながら7日培養した。7日後に、新しい0.1%FBSを含むMEM培地で交換し、9日後に、新しい0.1%FBS及び最終濃度20mg/mlのPDGF(ヒト型リコンビナントplatelet derived groth factor,Sigma社製)を含む培地又は同培地に10mMシステインを含む培地で交換し、さらに6時間又は24時間培養した。PDGFは活性化して増殖能が低下した肝星細胞の増殖をさらに促す目的で添加した。シャーレの培地を抜き、PBSで洗浄後、シャーレに付着した細胞をIsogenで細胞を溶解し、RNAを調製し、Gene Chipで測定、解析した。この解析結果を活性化後期肝星細胞に対するシステインの作用と記する。
肝星細胞活性化初期、中期、後期の各時期において、システインが及ぼす遺伝子発現に対する影響を表5〜7に示す。表5〜7中、遺伝子番号は表1〜4と同様である。実施例1の表1〜4に示した肝星細胞活性化に伴い発現が上昇する遺伝子のうち、活性化初期、中期、後期のいずれかにおいてシステインが抑制効果を示した遺伝子を表5〜7に記載した。活性化初期、中期、後期に対する発現抑制効果があった場合はそれぞれ○印を付し、発現強度(average difference)を表記した。
肝星細胞調製後24時間培養した細胞を活性化初期肝星細胞として、この細胞の測定値を「イニシャル・初(24hr)」、新しい培地で交換し48時間培養した細胞の測定値を「培地のみ・初(+48hr)」、システインを添加した培地で48時間培養した細胞の測定値を「システイン添加・初(+48hr)」とそれぞれ表記した。
また、肝星細胞調製後3日間培養した細胞を活性化中期肝星細胞として、この細胞の測定値を「イニシャル・中(day3)」、新しい培地で交換し2時間又は8時間培養した細胞の測定値を「培地のみ・中(+2hr)」又は「培地のみ・中(+8hr)」、システインを添加した培地で2時間又は8時間培養した細胞の測定値を「システイン添加・中(+2hr)」又は「システイン添加・中(+8hr)」とそれぞれ表記した。
また、肝星細胞調製後9日間培養した細胞を活性化後期肝星細胞として、この細胞の測定値を「イニシャル・後(day9)」、新しい培地で交換し6時間又は24時間培養した細胞の測定値を「培地のみ・後(+6hr)」又は「培地のみ・後(+24hr)」、システインを添加した培地で6時間又は24時間培養した細胞の測定値を「システイン添加・後(+6hr)」又は「システイン添加・後(+24hr)」とそれぞれ表記した。
表5〜7に示すように、システインは多くの遺伝子発現に影響を及ぼした。これより、システインは肝星細胞の活性化過程に影響を与え、従って、システインは肝の線維化を抑制することが予測される。実際に、システインが肝線維化を抑制することを以下に示す。
6週齢SD系雄性ラットに10mg/kgのジメチルニトロサミン(DMN)を週3回腹腔内に4週間投与して肝線維化を惹起した。被験物としてL−システイン(Cys)を、対照としてカゼイン(Casein)を各々0.5%添加した実験食をDMN投与開始日より供餌した。DMN投与開始28日目に肝臓を採取し、肝線維化の指標として肝臓中ハイドロキシプロリン(Hyp)量をアミノ酸分析機を用いて測定した。この結果を図1に示した。この図から明らかなように、DMNの投与により6倍に増加した肝臓中のHypはCysの経口投与により有意に増加が抑制されていた。
以上、本遺伝子パネルにより、肝星細胞活性化過程で必要な遺伝子変動を変化させる薬効を持つシステインは、肝線維化を抑制した。よって本遺伝子パネルを用いたスクリーニング法が有効であることが示された。
産業上の利用の可能性
本発明より、肝星細胞に関与する遺伝子の発現情報が提供される。同発現情報を利用して、肝星細胞の活性化を抑制する薬物等をスクリーニングすることができる。
Figure 2003014345
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【図面の簡単な説明】
カゼイン又はL−システインを供餌したラット肝臓中のハイドロキシプロリン(Hyp)量を示す図。

Claims (9)

  1. 肝星細胞で、静止期に比べて活性化時期に発現レベルが上昇する遺伝子の名称及びそれらの遺伝子発現プロファイルからなる遺伝子パネル。
  2. 前記遺伝子の発現レベルの上昇が、モデル動物における正常時の発現レベルに対する、肝硬変・肝線維化動物モデルにおける発現レベルの差である請求項1記載の遺伝子パネル。
  3. 前記発現プロファイルが、活性化肝星細胞における経時的な発現プロファイルを含む請求項1又は2に記載の遺伝子パネル。
  4. 前記モデル動物がラットである請求項2または3に記載の遺伝子パネル。
  5. 表1〜4の番号1〜105に示す105種の遺伝子のうち、少なくとも5種類の各遺伝子の発現プロファイルを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子パネル。
  6. 肝星細胞中で、静止期に比べて活性化時期に発現レベルが上昇する遺伝子の群からなる遺伝子パネルの作成方法であって、以下のステップを含む方法:
    (a)静止期の肝星細胞における各種遺伝子の発現レベルと、活性化時期の肝星細胞における前記遺伝子の発現レベルを測定するステップと、
    (b)それぞれの発現レベルを比較するステップと、
    (c)活性化時期に発現レベルが上昇する遺伝子群を同定するステップ。
  7. 前記ステップ(a)において、肝星細胞における前記遺伝子の発現レベルを経時的に解析することを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 前記遺伝子発現レベルの解析を、遺伝子チップ法により行う請求項6又は7に記載の方法。
  9. モデル動物もしくは肝臓の組織または細胞に薬剤を投与し、請求項1記載の遺伝子パネルを構成する遺伝子の発現プロファイリングを行うことを特徴とする、肝星細胞活性化に関与する薬剤のスクニーニング方法。
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