JPWO2004092365A1 - 肝障害関連遺伝子群の抽出選択法およびそれを用いた肝障害もしくは肝機能評価・診断方法 - Google Patents
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Abstract
この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法は、検体における肝障害に関連する肝障害関連遺伝子の発現パターンをマイクロアレイなどの遺伝子発現解析システムなどによって得、抽出し、所定の発現パターンを有する複数の該肝障害関連遺伝子からなる肝障害関連遺伝子群を選択することから構成されている。この抽出選択法においては、肝障害の度合いを組織検査によって染色される面積比による肝線維化率などによって評価している。
Description
この発明は、肝障害関連遺伝子群の抽出選択法およびそれを用いた肝障害ならびに肝機能の評価・診断方法に関するものである。更に詳細には、この発明は、肝炎、肝硬変などの肝障害に関連する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法、それを用いた肝障害ならびに肝機能の評価・診断方法ならびに肝障害の治療方法およびかかる肝障害関連遺伝子群を効率的に集中させて配置している遺伝子発現解析システムに関するものである。
わが国の肝がん症例の約8割に慢性肝障害が併存しており、肝がん治療にはその併存肝疾患の重症度を正確に把握する必要がある。しかしながら、従来より汎用されている肝機能評価法であるChild分類やICG値などにはその精度に一定の限界がある。また、肝炎活動性や肝線維化を評価するためのより正確でかつ包括的な評価法もないのが現状である。
一方、近年目覚しい進展を遂げているゲノム構造解析の結果、数多くの遺伝子の構造が解明されてきている。同時に、かかる遺伝子の機能も少しずつではあるが明らかにされてきて、種々の疾患の病因や病変も遺伝子レベルで徐々に解明されてきている。
これまでは、疾患関連遺伝子の発現は、ノーザンブロッテイング法やサザンブロッテイング法などの従来法によって検出されてきた。このような手法は、少数の遺伝子を扱う場合には有効であり、有用であるけれども、多数の遺伝子を一度に取り扱う場合には時間も手間も費用もかかり、非常に非効率的である。更に、疾患に関連する遺伝子を個々に検出し、それらの遺伝子を解明したとしても、それらの遺伝子発現とその疾患全体との関係は必ずしも明確にならない。
一方、多数の疾患関連遺伝子の発現を一度に検出することができれば極めて便利であり有用である。このような目的を達成するために、DNAチップなどのDNAマイクロアレイ法が急激に発展してきている。このようなDNAマイクロアレイ法を使用すれば、同一検体から多数の遺伝子の発現を一括して検出することができ、そのなかから目的とする疾患に関連する疾患関連遺伝子の発現をプロファイリングすることができるようになってきた。このように、ある特定の疾患に関連する関連遺伝子全体の発現をプロフアイルすることは極めて有効であると考える。
ところで、C型慢性肝炎患者のインターフェロン治療適応決定のために、肝炎活動性や肝線維化の程度が従来より評価されているが、その目的のために肝生検が行われている。しかしながら、病理組織を用いた形態診断のためには、14−18Gという大きい針での肝生検が必要である。この検査は、生検後の出血や疼痛を管理するために入院が必要であり、また、病理診断は病理医の主観が入るため客観的な評価法とはなり難いという欠点がある。
更に、肝線維化を調べるための線維化マーカーとして血中ヒアルロン酸、IV型コラーゲンなどが臨床応用されているが、これらは軽度の肝線維化では変化せず、特異性も低い。したがって、いくつかのマーカーを組み合わせた評価法も検討されているが、それぞれのマーカーを選択する根拠に乏しく広く臨床応用されるには至ってはいないのが現状である。
これまで、肝障害をターゲットとした遺伝子発現プロファイリングについての報告は皆無といえる。したがって、各患者の病因遺伝子もしくは遺伝子群をその発現プロファイルして、簡便にかつ効率よく検出できる方法が要請されている。
一方、近年目覚しい進展を遂げているゲノム構造解析の結果、数多くの遺伝子の構造が解明されてきている。同時に、かかる遺伝子の機能も少しずつではあるが明らかにされてきて、種々の疾患の病因や病変も遺伝子レベルで徐々に解明されてきている。
これまでは、疾患関連遺伝子の発現は、ノーザンブロッテイング法やサザンブロッテイング法などの従来法によって検出されてきた。このような手法は、少数の遺伝子を扱う場合には有効であり、有用であるけれども、多数の遺伝子を一度に取り扱う場合には時間も手間も費用もかかり、非常に非効率的である。更に、疾患に関連する遺伝子を個々に検出し、それらの遺伝子を解明したとしても、それらの遺伝子発現とその疾患全体との関係は必ずしも明確にならない。
一方、多数の疾患関連遺伝子の発現を一度に検出することができれば極めて便利であり有用である。このような目的を達成するために、DNAチップなどのDNAマイクロアレイ法が急激に発展してきている。このようなDNAマイクロアレイ法を使用すれば、同一検体から多数の遺伝子の発現を一括して検出することができ、そのなかから目的とする疾患に関連する疾患関連遺伝子の発現をプロファイリングすることができるようになってきた。このように、ある特定の疾患に関連する関連遺伝子全体の発現をプロフアイルすることは極めて有効であると考える。
ところで、C型慢性肝炎患者のインターフェロン治療適応決定のために、肝炎活動性や肝線維化の程度が従来より評価されているが、その目的のために肝生検が行われている。しかしながら、病理組織を用いた形態診断のためには、14−18Gという大きい針での肝生検が必要である。この検査は、生検後の出血や疼痛を管理するために入院が必要であり、また、病理診断は病理医の主観が入るため客観的な評価法とはなり難いという欠点がある。
更に、肝線維化を調べるための線維化マーカーとして血中ヒアルロン酸、IV型コラーゲンなどが臨床応用されているが、これらは軽度の肝線維化では変化せず、特異性も低い。したがって、いくつかのマーカーを組み合わせた評価法も検討されているが、それぞれのマーカーを選択する根拠に乏しく広く臨床応用されるには至ってはいないのが現状である。
これまで、肝障害をターゲットとした遺伝子発現プロファイリングについての報告は皆無といえる。したがって、各患者の病因遺伝子もしくは遺伝子群をその発現プロファイルして、簡便にかつ効率よく検出できる方法が要請されている。
上記のような先行技術を前提として、本発明者らは、肝障害をターゲットとした遺伝子発現プロファイリング(抽出)について鋭意研究をした結果、DNAマイクロアレイ法を用いることによって、従来の肝機能評価法に比べてより正確でかつ包括的な肝炎活動度や肝線維化を評価することができる新規な肝予備能評価法を見出すと共に、肝がん症例にかなり多くに認められる併存慢性肝障害の重症度をも正確に把握することができることを見出して、この発明を完成した。
したがって、この発明は、検体から肝障害に関連する機能を有する肝障害関連遺伝子の発現を抽出し、複数のかかる肝障害関連遺伝子からなる肝障害関連遺伝子群を選択することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択方法を提供することを目的としている。
この発明は、各障害関連遺伝子を搭載したマイクロアレイなどの遺伝子発現解析手段を用いて上記肝障害関連遺伝子群を選択することからなる抽出選択方法を提供することを目的としている。
また、この発明は、所定の発現パターンを有する肝障害関連遺伝子から、肝障害関連要因に基づいて統計学的手法により上記肝障害関連遺伝子群を選択することからなる抽出選択方法を提供することを目的としている。
更に、この発明は、その好ましい態様において、肝障害関連遺伝子数が3個ないし約200個からなる肝障害関連遺伝子群を選択する肝障害関連遺伝子群の抽出選択方法を提供することを目的としている。
上記に加えて、この発明は、肝障害もしくは肝機能に関連する遺伝子の発現パターンを上記抽出選択方法によって、肝障害もしくは肝機能を診断・評価する診断・評価方法および肝障害を診断する方法を提供することを別の目的としている。
その上、この発明は、上記抽出選択方法によって選択した肝障害関連遺伝子群を構成する所定の発現パターンを有する肝障害遺伝子を効果的に集中して配置した遺伝子発現解析システムを提供することを別の目的としている。
上記目的を達成するために、この発明は、検体から肝障害に関連する機能を有する肝障害関連遺伝子の発現を抽出し、抽出した複数の該肝障害関連遺伝子からなる肝障害関連遺伝子群を選択することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
この発明は、その好ましい態様として、マイクロアレイなどの遺伝子発現解析手段を利用して、肝障害関連遺伝子の発現パターンを抽出することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
また、この発明は、その好ましい態様として、上記肝障害関連遺伝子群を、肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝障害、肝炎活動性、肝線維化の程度などの肝障害関連要因に基づいて、スーパーバイズド・リーニング法(supervised leaning method)、サポート・ベクター・レグレッション法(support vector regression method)、変数増加法ならびにこれらを組み合わせた解析法などの統計学的手法により肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
この発明はまた、その別の好ましい態様として、肝障害の度合いや重症度などを、例えば、ラット肝硬変モデルによる組織検査によって染色される面積比による肝線維化率によって評価することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
この発明は、その更に別の好ましい態様として、肝障害関連遺伝子を下記式(1)に基づいて同定することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。この発明のより好ましい態様として、実測肝線維化率と遺伝子の発現量のピアソンの相関係数Rjの絶対値が高い遺伝子を肝線維化と関連が強い肝障害関連遺伝子とすることからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
また、この発明は、その好ましい態様として、肝線維化率を、実測線維化率と、下記式(2)で計算される予測線維化率との相関関係に基づいて決定することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。この発明の更により好ましい態様として、実測線維化率FiとDxiの回帰直線から、実測線維化率不明のサンプルの肝線維化率を予測することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
更に、この発明は、その別の好ましい態様として、予測に使用する遺伝子数をクロス・バリデーション法で決定することを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。そのより好ましい態様として、算出予測肝線維化率Φxiと実測肝線維化率Fiから、1サンプル当たりの誤差εxを下記式(3)に従って算出し、誤差εxが最小になるときの遺伝子数を実際の予測に用いることからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
その上、この発明は、そのより好ましい態様として、遺伝子数が3個ないし約200個、好ましくは約170個以下、より好ましくは約120個以下、つまり、好ましくは3個ないし約100個、特に3個ないし約50個の範囲であることからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
この発明はまた、肝炎、肝硬変などの肝障害ならびにその重症度や度合いなどを肝線維化率によって評価することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
更に、この発明は、上記抽出・選択方法により選択される肝障害関連遺伝子群に基づいてまたは上記肝障害関連遺伝子群の発現パターンに基づいて肝機能の診断・評価する方法と共に、肝障害の診断・評価または治療することからなる方法を提供する。
上記方法に加えて、この発明は、上記抽出・選択方法により選択される肝障害関連遺伝子群の発現パターンを集中的に発生するように所定の発現パターンを有する遺伝子を配置しているマイクロアレイなどの遺伝子発現解析デバイスなどの遺伝子発現解析システムを提供する。
更にまた、この発明は、その別の実施態様として、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法によって肝障害の評価を行うために、21Gより細い針で組織を採取することからなる組織の採取方法を提供する。
したがって、この発明は、検体から肝障害に関連する機能を有する肝障害関連遺伝子の発現を抽出し、複数のかかる肝障害関連遺伝子からなる肝障害関連遺伝子群を選択することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択方法を提供することを目的としている。
この発明は、各障害関連遺伝子を搭載したマイクロアレイなどの遺伝子発現解析手段を用いて上記肝障害関連遺伝子群を選択することからなる抽出選択方法を提供することを目的としている。
また、この発明は、所定の発現パターンを有する肝障害関連遺伝子から、肝障害関連要因に基づいて統計学的手法により上記肝障害関連遺伝子群を選択することからなる抽出選択方法を提供することを目的としている。
更に、この発明は、その好ましい態様において、肝障害関連遺伝子数が3個ないし約200個からなる肝障害関連遺伝子群を選択する肝障害関連遺伝子群の抽出選択方法を提供することを目的としている。
上記に加えて、この発明は、肝障害もしくは肝機能に関連する遺伝子の発現パターンを上記抽出選択方法によって、肝障害もしくは肝機能を診断・評価する診断・評価方法および肝障害を診断する方法を提供することを別の目的としている。
その上、この発明は、上記抽出選択方法によって選択した肝障害関連遺伝子群を構成する所定の発現パターンを有する肝障害遺伝子を効果的に集中して配置した遺伝子発現解析システムを提供することを別の目的としている。
上記目的を達成するために、この発明は、検体から肝障害に関連する機能を有する肝障害関連遺伝子の発現を抽出し、抽出した複数の該肝障害関連遺伝子からなる肝障害関連遺伝子群を選択することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
この発明は、その好ましい態様として、マイクロアレイなどの遺伝子発現解析手段を利用して、肝障害関連遺伝子の発現パターンを抽出することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
また、この発明は、その好ましい態様として、上記肝障害関連遺伝子群を、肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝障害、肝炎活動性、肝線維化の程度などの肝障害関連要因に基づいて、スーパーバイズド・リーニング法(supervised leaning method)、サポート・ベクター・レグレッション法(support vector regression method)、変数増加法ならびにこれらを組み合わせた解析法などの統計学的手法により肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
この発明はまた、その別の好ましい態様として、肝障害の度合いや重症度などを、例えば、ラット肝硬変モデルによる組織検査によって染色される面積比による肝線維化率によって評価することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
この発明は、その更に別の好ましい態様として、肝障害関連遺伝子を下記式(1)に基づいて同定することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。この発明のより好ましい態様として、実測肝線維化率と遺伝子の発現量のピアソンの相関係数Rjの絶対値が高い遺伝子を肝線維化と関連が強い肝障害関連遺伝子とすることからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
また、この発明は、その好ましい態様として、肝線維化率を、実測線維化率と、下記式(2)で計算される予測線維化率との相関関係に基づいて決定することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。この発明の更により好ましい態様として、実測線維化率FiとDxiの回帰直線から、実測線維化率不明のサンプルの肝線維化率を予測することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
更に、この発明は、その別の好ましい態様として、予測に使用する遺伝子数をクロス・バリデーション法で決定することを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。そのより好ましい態様として、算出予測肝線維化率Φxiと実測肝線維化率Fiから、1サンプル当たりの誤差εxを下記式(3)に従って算出し、誤差εxが最小になるときの遺伝子数を実際の予測に用いることからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
その上、この発明は、そのより好ましい態様として、遺伝子数が3個ないし約200個、好ましくは約170個以下、より好ましくは約120個以下、つまり、好ましくは3個ないし約100個、特に3個ないし約50個の範囲であることからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
この発明はまた、肝炎、肝硬変などの肝障害ならびにその重症度や度合いなどを肝線維化率によって評価することからなる肝障害関連遺伝子群の抽出選択法を提供する。
更に、この発明は、上記抽出・選択方法により選択される肝障害関連遺伝子群に基づいてまたは上記肝障害関連遺伝子群の発現パターンに基づいて肝機能の診断・評価する方法と共に、肝障害の診断・評価または治療することからなる方法を提供する。
上記方法に加えて、この発明は、上記抽出・選択方法により選択される肝障害関連遺伝子群の発現パターンを集中的に発生するように所定の発現パターンを有する遺伝子を配置しているマイクロアレイなどの遺伝子発現解析デバイスなどの遺伝子発現解析システムを提供する。
更にまた、この発明は、その別の実施態様として、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法によって肝障害の評価を行うために、21Gより細い針で組織を採取することからなる組織の採取方法を提供する。
図1は、肝線維化率のスコア化のための遺伝子数決定を示す説明図である。
図2は、肝障害(肝線維化)関連95遺伝子を用いたラット肝線維化率予測の妥当性を示す図である。
図3は、肝障害(肝線維化)関連83遺伝子を用いたラット肝線維化率予測の妥当性を示す図である。
図4は、肝障害(肝線維化)関連37遺伝子を用いたラット肝線維化率予測の妥当性を示す図である。
図5は、各症例と肝線維化率との相関関係を示すグラフである。
図6は、各症例とGPT値との相関関係を示すグラフである。
図7は、各症例と新犬山分類に基づくGradingとの相関関係を示すグラフである。
図2は、肝障害(肝線維化)関連95遺伝子を用いたラット肝線維化率予測の妥当性を示す図である。
図3は、肝障害(肝線維化)関連83遺伝子を用いたラット肝線維化率予測の妥当性を示す図である。
図4は、肝障害(肝線維化)関連37遺伝子を用いたラット肝線維化率予測の妥当性を示す図である。
図5は、各症例と肝線維化率との相関関係を示すグラフである。
図6は、各症例とGPT値との相関関係を示すグラフである。
図7は、各症例と新犬山分類に基づくGradingとの相関関係を示すグラフである。
この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法は、肝組織などの検体から肝障害に関連する機能を有する肝障害関連遺伝子の発現パターンを抽出して肝障害関連遺伝子群を選択することから構成されている。
つまり、この発明の抽出選択方法は、肝障害関連遺伝子の中から、肝障害関連要因に基づいて統計学手法を使用して、所定の発現パターンを有する肝障害関連遺伝子を抽出選択することによって実施することができる。
ここで、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択方法について基礎的検討と臨床的検討の観点から説明する。
まず、この発明の抽出選択方法によって抽出選択した肝障害関連遺伝子群に対する基礎的検討について説明する。
この発明については、ラット肝硬変モデルを例として使用して基礎的検討を行なうことができる。そのために使用するラット肝硬変モデルは当該技術分野で慣用されている方法に従って作製することができる。
なお、この発明に係る抽出選択方法は、ラット肝硬変モデル以外のその他の動物の実験モデルを使用しても同様に基礎的検討を行なうことができる。また、その他の動物の実験モデルもラット肝硬変モデル同様に当該技術分野で慣用されている方法に従って作製することができる。
このようにして作製したラット肝硬変モデルの肝臓標本は、肝線維化された組織を染色する染色法、例えばアザン(AZAN)染色によって染色し、その標本組織の面積全体に対する染色組織の面積の比率を算出する。以下、この面積比を肝線維化率とする。
この発明において、検体から肝障害に関連する肝障害関連遺伝子の発現(つまり、遺伝子プロファイル)は、肝障害関連遺伝子を含む数千ないし数万個の遺伝子を固定したマイクロアレイなどの遺伝子発現解析デバイスなどを用いて検出することができる。かかるマイクロアレイとしては、例えば、市販されているDNAチップやオリゴアレイチップなどを使用することができる。また、遺伝子の発現方法にしても、当該技術分野で慣用されている方法によって行うことができる。
このようにして発現した遺伝子について、肝障害関連要因に基づいて統計学手法を使用して、所定の発現パターンを有する複数の肝障害関連遺伝子からなる肝障害関連遺伝子群が抽出選択される。
ここで、ここで使用することができる肝障害関連要因としては、例えば、肝障害、肝炎活動性、肝線維化率などで示す肝線維化の程度を使用することができる。また、肝障害としては、例えば、肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝疾患をその指標として使用することができる。
統計学手法としては、例えば、スーパーバイズド・リーニング法(supervised leaning method)、サポート・ベクター・レグレッション法(support vector regression method)、変数増加法ならびにこれらを組み合わせた解析法などが使用することができる。また、スーパーバイズド・リーニング法としては、例えば、リーブワンアウト(leave−one−out)法などが挙げられる。
そこで、以下、肝障害要因の1つである肝線維化率を指標として使用した場合を例に取り、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法について説明する。
つまり、上記したように、慣用方法で作製したラット肝硬変モデルについての肝線維化率をアザン染色による面積比によって算出し、cDNAマイクロアレイ法を用いて遺伝子発現を解析する。この解析により、肝線維化率と相関関係が強い複数個の上位遺伝子の発現パターンを選択し、その発現パターンから算定される肝線維化予測値が肝線維化率実測値と相関しているかどうかを検討する。この検討結果に基づいて得られた遺伝子プロファイルから肝障害関連遺伝子群を抽出し、遺伝子発現によって肝線維化率の予測式を決定する。これによって、遺伝子発現パターンに基づいた肝線維化のスコア化を実現することができる。なお、この肝障害関連遺伝子群の抽出は、例えば、ファント・フェー(van’t Veer)らの方法に準じて行うことができる(van’t Veer,L.J.,et al.:Nature 2002;415:530−536)。
この発明において、遺伝子プロファイルから肝障害関連遺伝子群の抽出を行うためには、肝障害関連遺伝子を下記式(1)に従って同定することができる。
(式中、Rjは、試験サンプル数mを用いて計算した実測線維化率Fi(i=1,2,3,…,m)と遺伝子j(j=1,2,3,…,n)の発現量Eijのピアソン(Pearson)の相関係数を表わす)。
この発明では、上記式(1)において、上記ピアソン相関係数Rjの絶対値が高い遺伝子を肝線維化と関連が強い肝障害関連遺伝子であると同定することができる。
次ぎに、下記式(2)に従って予測肝線維化率を算出する。
(式中、Dxiは、肝線維化関連遺伝子x個について計算した正常サンプルでの発現の平均値Ej(j=1,2,3…x)と各ラットの遺伝子発現量Eijのピアソンの相関係数を表す)。
上記式(2)において、上記ピアソンの相関係数Dxiが1に近いサンプルiを肝線維化率が0%に近いものと予測して、実測線維化率FiとDxiの回帰直線から、実測線維化率が不明のサンプルの肝線維化率を予測することができる。
続いて、予測に用いる遺伝子数xの決定を行う。この決定は下記式(3)に準じたクロスバリデーション(Cross validation)法で行いことができる。(van’t Veer,L.J.,et al.:ibid)。
上記式(3)において、試験サンプル中の1サンプルを除外し、残り(m−1)のサンプルから、除外した1サンプルの線維化率を予測し(leave−one out法)、このことをすべての試験サンプルで繰り返し、実測線維化率Fiと予測線維化率Φxiから、1サンプル当たりの誤差εxを算出する。
更に、誤差εxが最小になるときの遺伝子数を算出する。この算出は、肝線維化と関連の強い5遺伝子から開始し、1遺伝子ずつ増やして200遺伝子まで誤差εxを計算し、誤差εxが最小となるときの遺伝子数を実際の予測に用いることにする。
上記手法に従って算出された誤差εxが最小になるときの遺伝子数は、下表に列挙されている肝障害関連遺伝子から選択される約3個ないし約200個であるのがよい。また、好ましい遺伝子数は、約170個以下であり、更に好ましい遺伝子数は、約120個以下、つまり、更に好ましくは3個〜約100個、特に3個〜約50個の範囲であるのがよい。
なお、遺伝子は、下表のラットまたはマウス遺伝子リストから任意に選択することができる。
上記基礎的検討の結果から、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法は、肝線維化率と相関が強い上位遺伝子の発現パターンにより算出される肝線維化率予測値(定量化スコア)が、肝線維化率実測値と極めて高い相関を示すところから、この方法によるスコア化は妥当と判断することができる。したがって、このことから、この発明の肝障害関連遺伝子群の抽出選択法は、年齢・性・肝障害の要因などを統一した肝硬変モデルにおいては、肝障害関連遺伝子の発現パターンのみを検索することにより肝線維化の程度を評価することができる。
次に、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法についての臨床的検討について、かかる基礎的検討結果を踏まえて説明する。
この臨床的検討は、例えば、肝がん患者の非癌部切除標本を用いてDNAマイクロアレイ解析をすることによって行なうことができる。つまり、所定の施設の倫理委員会の承認ならびに患者インフォームドコンセント取得のもと非癌部切除標本を採取し、DNAマイクロアレイ解析を行ない、アザン染色による面積比に基づいて肝線維化率を算出する。ここで測定する線維化率は、広範かつ十分量の切除肝組織によってのみ決定される指標であり、肝生検組織などの他の評価法では決定できない肝線維化の程度を評価する教師値としての指標である。DNAマイクロアレイ解析結果と実測肝線維化率との関連より、例えば、サポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法とを組み合わせた解析法を用いて、表2に示すような肝障害関連遺伝子から肝障害関連遺伝子群を決定することができる。かかる肝障害遺伝子群を構成する遺伝子を用いて算出できる肝線維化率の定量化スコアは、実測線維化率と良く相関している。また、その相関は、スーパーバイズド・リーニング法であるリーブワンアウト法を用いても良好である。更に、同様の症例において、この実測線維化率は、既存の肝機能検査(肝線維化マーカーを含む)、つまり、IV型コラーゲン、ICGR、PT、アルブミン値、血小板数、ヒアルロン酸、ヘパプラスチンテストとも相関を示している。したがって、教師値としての実測線維化率を最も反映する既存の指標は、遺伝子発現パターンに基づく定量化スコアを用いることで、その精度を格段に向上させることができる。
一方、肝炎活動性の指標の1つであるGPT値を用いて、肝炎活動性関連遺伝子群を選択することができる。つまり、GPT値と非癌部切除標本のDNAマクコロアレイ解析結果から、例えば、サポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法とを組み合わせた解析法を用いて、表2に示すような遺伝子から遺伝子群を決定することができる。このようにして選択した肝障害関連遺伝子群を用いて決定した肝炎活動性の定量化スコアは、GPT値と良く相関し、またリーブワンアウト法を用いてもその相関は比較的良好である。
更に、もう一つの肝炎活動性の指標である新犬山分類に基づいて決定したGrading(A0〜A3、2人の肝臓病理医のGradingスコアの平均値を用いた)と肝がんの切除非がん組織のDNAマイクロアレイ解析結果より、例えば、サポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法とを組み合わせた解析法を用いて、表2に示すような肝障害関連遺伝子から肝障害関連遺伝子群を決定することができる。これらの遺伝子を用いて決定した肝炎活動性の定量化スコアは、同様な症例において、組織学的なGradingと良く相関し、またその相関はスーパーバイズド・リーニング法であるリーブワンアウト法を用いても良好である。
なお、上記遺伝子リストは、この発明にて抽出選択される肝障害関連遺伝子を制限するものではなく、かかる遺伝子を例示的に記載したものであって、上記遺伝子リストに記載されていない遺伝子であっても肝障害関連遺伝子であればいずれもこの発明に適用することができる。
更に、この発明は、上記肝障害関連遺伝子群の抽出選択法によって選択した肝障害関連遺伝子群またはその発現パターンに基づいて肝障害もしくは肝機能または肝障害の度合いや重症度などの病態を評価または診断をすることができる評価・診断方法を提供する。
その上、この発明は、上記肝障害関連遺伝子群の抽出選択法によって選択した肝障害関連遺伝子群の発現パターンに基づいて肝障害の程度や重症度などの病態などを評価もしくは診断することにより肝炎、肝硬変、肝がんなどの疾患を含む肝障害を治療する肝障害治療方法を提供することができる。
上記方法に加えて、この発明は、上記肝障害関連遺伝子群の抽出選択法によって選択した肝障害関連遺伝子から主に構成される肝障害関連遺伝子群を集中的に配置した遺伝子発現解析デバイスなどを含む肝障害遺伝子発現用解析システムを提供することができる。この肝障害遺伝子発現用解析システムを使用することによって、肝障害に関連する遺伝子群をより迅速にかつ簡便に抽出選択することができる。また、かかる肝障害関連遺伝子群の発現パターンを解析することによって、肝障害の種類ばかりではなく、肝障害の度合いや重症度までも評価・診断することができる。
この発明に係る抽出選択方法を臨床応用する場合、標本の採取は肝生検によることが想定される。そこで、同一症例の非癌肝組織より18G、20Gの生検針にて肝組織を採取し、切除組織と遺伝子発現パターンとの比較について検討する。
解析で有意差を認める多数の遺伝子において、生検組織と切除組織との相関係数も、一致率も非常に高いことが判明した。また、クラスター解析でも1つのクラスターに分類される。20Gの肝生検針にて解析に必要な量のtotal RNAを採取可能であり、極細の肝生検針にて採取した極く微量の組織にて非癌部切除標本にて得られた解析結果と同様の評価が可能であると考えられる。
ところで、現在の肝生検による病理学的評価では、病理医の主観が入り決して客観的評価とはなりえない。新犬山分類の場合、4ないし5段階の評価(単なるグルーピングで定量性に劣る)であり、例えば同じF2でもF1に近いF2とF3に近いF2では大きく異なっている。これに対して、この発明の抽出選択方法による定量化スコアを用いれば、客観的かつ詳細な数値として肝障害度(線維化や肝炎活動性)を評価できる。更に、肝生検ではある一定以上の組織(通常、非癌肝組織の評価では18G以上の針を用いる)が必要であり、これは科学の進歩によっても改善の余地は少ない。一方、分子遺伝学的手法を用いたこの発明の定量化スコアでは、従来では不可能であるような極細の針で低侵襲下に組織を採取し解析可能である。
以下、この発明を実施例によって更に詳細に説明する。ただし、この発明は、下記実施例によって一切限定されるものではない。
実施例1:
(動物)
体重100グラムないし150グラムの雄ラット(ウィスター種)を、実験開始前7日間標準研究用飼料と水を自由給餌し、12時間サイクルで灯火と暗室とを繰り返すように制御した動物飼育舎で所定のガイドラインに沿って飼育した。
(チオアセタミド誘導肝硬変)
20頭のラットに0.03%のチオアセタミドを含む飲料水を12週間継続して投与して肝線維化を誘導した(非特許文献)。チオアセタミドを投与せずに更に2週間同一条件下で飼育してチオアセタミドを除去した後、動物を実験に供した。
(組織サンプリング)
ラットを人為的に殺して肝臓組織を摘出し、組織標本の一部を10%ホルムアルデヒド溶液中に浸漬し、アザン(azan)染色のためにパラフィン中に包埋した。残りの肝臓組織標本はRNA調製まで−90℃で冷凍保存した。
(組織切片の調製ならびに肝線維化領域の測定)
10%ホルムアルデヒド溶液中に固定した各肝臓組織標本から厚さ5ミクロンの切片を取り、コラーゲン線維に対してアザンで染色した。これらの切片の画像5枚を任意に選択し、光学顕微鏡を用いて40倍の倍率でカラー写真を撮影した。これらの写真をコンピューターに入力した。画像中の全領域に対するコラーゲン線維を発現しているアザン染色領域の割合を「実測肝線維化率(%)」として計算した。
(RNA調製)
全肝臓RNAを冷凍保存した組織標本からQuickPrep全RNA抽出キット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いたグアジニウム/セシウムトリフルオロアセテート抽出法によって調製した。単離したRNAの温度と純度はバイオアナライザー(アジレント2100)によって決定した。
(標識、ハイブリダイゼーションならびにスキャンニング)
チオアセタミドを投与して損傷した肝臓組織の標本と、正常な肝臓組織からの全RNAの20マイクログラムを、Cy5−デオキシウリジントリホスフェート(dUTP)とCy3−dUTPでそれぞれ標識した。標識したプローブを、14000個以上のクローンを搭載した市販ラットcDNAマイクロアレイキット(Agilent)を用いて、ハイブリダイゼーションバッファ中で65℃12時間ないし14時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、スライドを洗浄し、共焦レーザースキャナー(Agilent)でスキャンした。各ハイブリダイゼーションシグナルの強度は定量化して、その値をバックグラウンドレベルで補正して適正化した。
(肝障害関連遺伝子の同定および定量化スコアの算出法)
(肝線維化関連遺伝子の同定)
下記式(4)(上記式(1)にいてm=20)に従って、20頭の試験サンプルを用いて、実測線維化率Fi(i=1,2,3,...,20)と遺伝子j(j=1,2,3,...,n)の発現量(Eij)のPearsonの相関係数(Rj)を、計算した。
(予測のための遺伝子数決定)
更に、予測に用いる遺伝子数xを決定は、上記クロス・バリデーション法によって決定した。更に、上記式(3)(m=20)に従って、上記実測線維化率Fiと予測線維化率φxiから、1頭当たりの誤差εxを算出し、誤差εxが最小になる遺伝子数を決定した(図1、2)。この実施態様においては、肝障害関連遺伝子群は95個の遺伝子から構成されていた。
本実施例において、肝線維化率と相関が強い上記上位95遺伝子の発現パターンに基づいて算定された肝線維化率は、実測肝線維化率と極めてよく相関している(図1、2)。
また、上記20頭(Training Sample)において、肝線維化率と相関する上記95遺伝子の発現パターンを解析することによって、全く独立する別の6頭(Test Sample)の肝線維化率を予測することができた。すなわち、分子遺伝学的に肝線維化率を評価可能であることが、supervised leaning法によって実証された。
実施例2:
18頭のTraining Sampleを使用して実施例1と同様に処理して決定したところ、肝障害関連遺伝子群は83個の遺伝子から構成されていた。
本実施例においても、肝線維化率と相関が強い上記上位83遺伝子の発現パターンに基づいて算定された肝線維化率は、実測肝線維化率と極めてよく相関している(図3)。
実施例3:
19頭のTraining Sampleを使用して実施例1と同様に処理して決定したところ、肝障害関連遺伝子群は37個の遺伝子から構成されていた。
本実施例においても、肝線維化率と相関が強い上記上位37遺伝子の発現パターンに基づいて算定された肝線維化率は、実測肝線維化率と極めてよく相関している(図4)。
実施例4:
臨床的肝機能評価を次のようにして行った。
転移性肝がん6例と肝がん36例の切除非がん組織に対して、DNAチップ(12,814遺伝子)を用いてDNAマイクロアレイ解析を行った。
臨床的肝機能評価は、ICGR15値等の血液検査と病理所見を用いて行った。その結果、ICGR15値は、肝線維化率と有意に相関があることが認められた。
また、RT−PCR法による肝組織TGFβ1とTIMP−1との遺伝子発現は、肝線維化率と有意に相関することが認められた。更に、DNAマイクロアレイ解析によって肝線維化率と相関する遺伝子群を抽出すると、正常肝群と、肝硬変群とを完全にクラスター分類することができた。
実施例5:
肝がん56例の切除非がん組織を用いてラット肝硬変モデルと同様にアザン(AZAN)染色を行い、実測線維化率を測定した。本線維化率は9視野(40倍視野)の平均であり、1cm2以上の十分な量の切除肝組織によってのみ決定可能な指標であり、肝生検組織などでは到底決定できない肝線維化の程度を評価する教師値としての指標である。DNAマイクロアレイ(アジレント社製、約13,000遺伝子搭載)の解析結果と実測線維化率との関連より、サポート・ベクター・レグレッション(support vector regression)法と変数増加法を組み合わせた解析法を用いて27個の肝障害(肝線維化)関連遺伝子群を決定した(表6)。これら27遺伝子を用いて算出した肝線維化の(遺伝子発現パターンに基づく)定量化スコアは実測線維化率と良く相関した(R=0.94)。スーパーバイズド・リーニング法(suppervised leaning method)であるリーブワンアウト(leave−one−out)法を用いてもR=0.84と良好であった(図5)。同様の症例において実測線維化率と既存の肝機能検査(肝線維化マーカーを含む)との相関係数をみると、良好な順に、IV型コラーゲン:0.65、ICGR15:0.53、PT:0.51、アルブミン値:0.45、血小板数:0.38、ヒアルロン酸:0.36、ヘパプラスチンテスト:0.28であった。
以上の如く、教師値としての実測線維化率に最も相関する既存の指標はIV型コラーゲン:0.65であるが、遺伝子発現パターンに基づく定量化スコア:0.94を用いることで格段に精度を向上可能であった。
実施例6:
肝障害の中でも肝炎活動性の評価においては、現在、血液肝機能検査であるGPT値と組織学的に新犬山分類に基づいて決定するGrading(A0〜A3)が用いられる。そこで、肝がん58例の切除非がん組織のDNAマイクロアレイ解析結果とGPT値よりサポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法を組み合わせた解析法を用いて5個の肝障害(肝炎活動性)関連遺伝子群を決定した。これら5遺伝子を用いて決定した肝炎活動性の(遺伝子発現パターンに基づく)定量化スコアはtraining sample 46症例においてGPT値と良く相関した(R=0.61)。スーパーバイズド・リーニング法であるリーブワンアウト法を用いてもR=0.59と良好であった。また、全く独立する12症例においてもR=0.61と良好な相関を示した(表7,図6)。
実施例7:
別の肝炎活動性の指標である新犬山分類に基づいて決定するGrading(A0〜A3、今回の検討では、2人の肝臓病理医のGradingスコアの平均値を用いた)と肝がん51例の切除非がん組織のDNAマイクロアレイ解析結果よりサポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法を組み合わせた解析法を用いて5個の肝障害(肝炎活動性)関連遺伝子群を決定した。これら5遺伝子を用いて決定した肝炎活動性の(遺伝子発現パターンに基づく)定量化スコアはtraining sample 41症例において組織学的なGradingと良く相関した(R=0.64)。スーパーバイズド・リーニング法であるリーブワンアウト法を用いてもR=0.61と良好であった。また、全く独立する10症例においてもR=0.76と良好な相関を示した(表8、図7)。
つまり、この発明の抽出選択方法は、肝障害関連遺伝子の中から、肝障害関連要因に基づいて統計学手法を使用して、所定の発現パターンを有する肝障害関連遺伝子を抽出選択することによって実施することができる。
ここで、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択方法について基礎的検討と臨床的検討の観点から説明する。
まず、この発明の抽出選択方法によって抽出選択した肝障害関連遺伝子群に対する基礎的検討について説明する。
この発明については、ラット肝硬変モデルを例として使用して基礎的検討を行なうことができる。そのために使用するラット肝硬変モデルは当該技術分野で慣用されている方法に従って作製することができる。
なお、この発明に係る抽出選択方法は、ラット肝硬変モデル以外のその他の動物の実験モデルを使用しても同様に基礎的検討を行なうことができる。また、その他の動物の実験モデルもラット肝硬変モデル同様に当該技術分野で慣用されている方法に従って作製することができる。
このようにして作製したラット肝硬変モデルの肝臓標本は、肝線維化された組織を染色する染色法、例えばアザン(AZAN)染色によって染色し、その標本組織の面積全体に対する染色組織の面積の比率を算出する。以下、この面積比を肝線維化率とする。
この発明において、検体から肝障害に関連する肝障害関連遺伝子の発現(つまり、遺伝子プロファイル)は、肝障害関連遺伝子を含む数千ないし数万個の遺伝子を固定したマイクロアレイなどの遺伝子発現解析デバイスなどを用いて検出することができる。かかるマイクロアレイとしては、例えば、市販されているDNAチップやオリゴアレイチップなどを使用することができる。また、遺伝子の発現方法にしても、当該技術分野で慣用されている方法によって行うことができる。
このようにして発現した遺伝子について、肝障害関連要因に基づいて統計学手法を使用して、所定の発現パターンを有する複数の肝障害関連遺伝子からなる肝障害関連遺伝子群が抽出選択される。
ここで、ここで使用することができる肝障害関連要因としては、例えば、肝障害、肝炎活動性、肝線維化率などで示す肝線維化の程度を使用することができる。また、肝障害としては、例えば、肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝疾患をその指標として使用することができる。
統計学手法としては、例えば、スーパーバイズド・リーニング法(supervised leaning method)、サポート・ベクター・レグレッション法(support vector regression method)、変数増加法ならびにこれらを組み合わせた解析法などが使用することができる。また、スーパーバイズド・リーニング法としては、例えば、リーブワンアウト(leave−one−out)法などが挙げられる。
そこで、以下、肝障害要因の1つである肝線維化率を指標として使用した場合を例に取り、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法について説明する。
つまり、上記したように、慣用方法で作製したラット肝硬変モデルについての肝線維化率をアザン染色による面積比によって算出し、cDNAマイクロアレイ法を用いて遺伝子発現を解析する。この解析により、肝線維化率と相関関係が強い複数個の上位遺伝子の発現パターンを選択し、その発現パターンから算定される肝線維化予測値が肝線維化率実測値と相関しているかどうかを検討する。この検討結果に基づいて得られた遺伝子プロファイルから肝障害関連遺伝子群を抽出し、遺伝子発現によって肝線維化率の予測式を決定する。これによって、遺伝子発現パターンに基づいた肝線維化のスコア化を実現することができる。なお、この肝障害関連遺伝子群の抽出は、例えば、ファント・フェー(van’t Veer)らの方法に準じて行うことができる(van’t Veer,L.J.,et al.:Nature 2002;415:530−536)。
この発明において、遺伝子プロファイルから肝障害関連遺伝子群の抽出を行うためには、肝障害関連遺伝子を下記式(1)に従って同定することができる。
(式中、Rjは、試験サンプル数mを用いて計算した実測線維化率Fi(i=1,2,3,…,m)と遺伝子j(j=1,2,3,…,n)の発現量Eijのピアソン(Pearson)の相関係数を表わす)。
この発明では、上記式(1)において、上記ピアソン相関係数Rjの絶対値が高い遺伝子を肝線維化と関連が強い肝障害関連遺伝子であると同定することができる。
次ぎに、下記式(2)に従って予測肝線維化率を算出する。
(式中、Dxiは、肝線維化関連遺伝子x個について計算した正常サンプルでの発現の平均値Ej(j=1,2,3…x)と各ラットの遺伝子発現量Eijのピアソンの相関係数を表す)。
上記式(2)において、上記ピアソンの相関係数Dxiが1に近いサンプルiを肝線維化率が0%に近いものと予測して、実測線維化率FiとDxiの回帰直線から、実測線維化率が不明のサンプルの肝線維化率を予測することができる。
続いて、予測に用いる遺伝子数xの決定を行う。この決定は下記式(3)に準じたクロスバリデーション(Cross validation)法で行いことができる。(van’t Veer,L.J.,et al.:ibid)。
上記式(3)において、試験サンプル中の1サンプルを除外し、残り(m−1)のサンプルから、除外した1サンプルの線維化率を予測し(leave−one out法)、このことをすべての試験サンプルで繰り返し、実測線維化率Fiと予測線維化率Φxiから、1サンプル当たりの誤差εxを算出する。
更に、誤差εxが最小になるときの遺伝子数を算出する。この算出は、肝線維化と関連の強い5遺伝子から開始し、1遺伝子ずつ増やして200遺伝子まで誤差εxを計算し、誤差εxが最小となるときの遺伝子数を実際の予測に用いることにする。
上記手法に従って算出された誤差εxが最小になるときの遺伝子数は、下表に列挙されている肝障害関連遺伝子から選択される約3個ないし約200個であるのがよい。また、好ましい遺伝子数は、約170個以下であり、更に好ましい遺伝子数は、約120個以下、つまり、更に好ましくは3個〜約100個、特に3個〜約50個の範囲であるのがよい。
なお、遺伝子は、下表のラットまたはマウス遺伝子リストから任意に選択することができる。
上記基礎的検討の結果から、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法は、肝線維化率と相関が強い上位遺伝子の発現パターンにより算出される肝線維化率予測値(定量化スコア)が、肝線維化率実測値と極めて高い相関を示すところから、この方法によるスコア化は妥当と判断することができる。したがって、このことから、この発明の肝障害関連遺伝子群の抽出選択法は、年齢・性・肝障害の要因などを統一した肝硬変モデルにおいては、肝障害関連遺伝子の発現パターンのみを検索することにより肝線維化の程度を評価することができる。
次に、この発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択法についての臨床的検討について、かかる基礎的検討結果を踏まえて説明する。
この臨床的検討は、例えば、肝がん患者の非癌部切除標本を用いてDNAマイクロアレイ解析をすることによって行なうことができる。つまり、所定の施設の倫理委員会の承認ならびに患者インフォームドコンセント取得のもと非癌部切除標本を採取し、DNAマイクロアレイ解析を行ない、アザン染色による面積比に基づいて肝線維化率を算出する。ここで測定する線維化率は、広範かつ十分量の切除肝組織によってのみ決定される指標であり、肝生検組織などの他の評価法では決定できない肝線維化の程度を評価する教師値としての指標である。DNAマイクロアレイ解析結果と実測肝線維化率との関連より、例えば、サポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法とを組み合わせた解析法を用いて、表2に示すような肝障害関連遺伝子から肝障害関連遺伝子群を決定することができる。かかる肝障害遺伝子群を構成する遺伝子を用いて算出できる肝線維化率の定量化スコアは、実測線維化率と良く相関している。また、その相関は、スーパーバイズド・リーニング法であるリーブワンアウト法を用いても良好である。更に、同様の症例において、この実測線維化率は、既存の肝機能検査(肝線維化マーカーを含む)、つまり、IV型コラーゲン、ICGR、PT、アルブミン値、血小板数、ヒアルロン酸、ヘパプラスチンテストとも相関を示している。したがって、教師値としての実測線維化率を最も反映する既存の指標は、遺伝子発現パターンに基づく定量化スコアを用いることで、その精度を格段に向上させることができる。
一方、肝炎活動性の指標の1つであるGPT値を用いて、肝炎活動性関連遺伝子群を選択することができる。つまり、GPT値と非癌部切除標本のDNAマクコロアレイ解析結果から、例えば、サポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法とを組み合わせた解析法を用いて、表2に示すような遺伝子から遺伝子群を決定することができる。このようにして選択した肝障害関連遺伝子群を用いて決定した肝炎活動性の定量化スコアは、GPT値と良く相関し、またリーブワンアウト法を用いてもその相関は比較的良好である。
更に、もう一つの肝炎活動性の指標である新犬山分類に基づいて決定したGrading(A0〜A3、2人の肝臓病理医のGradingスコアの平均値を用いた)と肝がんの切除非がん組織のDNAマイクロアレイ解析結果より、例えば、サポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法とを組み合わせた解析法を用いて、表2に示すような肝障害関連遺伝子から肝障害関連遺伝子群を決定することができる。これらの遺伝子を用いて決定した肝炎活動性の定量化スコアは、同様な症例において、組織学的なGradingと良く相関し、またその相関はスーパーバイズド・リーニング法であるリーブワンアウト法を用いても良好である。
なお、上記遺伝子リストは、この発明にて抽出選択される肝障害関連遺伝子を制限するものではなく、かかる遺伝子を例示的に記載したものであって、上記遺伝子リストに記載されていない遺伝子であっても肝障害関連遺伝子であればいずれもこの発明に適用することができる。
更に、この発明は、上記肝障害関連遺伝子群の抽出選択法によって選択した肝障害関連遺伝子群またはその発現パターンに基づいて肝障害もしくは肝機能または肝障害の度合いや重症度などの病態を評価または診断をすることができる評価・診断方法を提供する。
その上、この発明は、上記肝障害関連遺伝子群の抽出選択法によって選択した肝障害関連遺伝子群の発現パターンに基づいて肝障害の程度や重症度などの病態などを評価もしくは診断することにより肝炎、肝硬変、肝がんなどの疾患を含む肝障害を治療する肝障害治療方法を提供することができる。
上記方法に加えて、この発明は、上記肝障害関連遺伝子群の抽出選択法によって選択した肝障害関連遺伝子から主に構成される肝障害関連遺伝子群を集中的に配置した遺伝子発現解析デバイスなどを含む肝障害遺伝子発現用解析システムを提供することができる。この肝障害遺伝子発現用解析システムを使用することによって、肝障害に関連する遺伝子群をより迅速にかつ簡便に抽出選択することができる。また、かかる肝障害関連遺伝子群の発現パターンを解析することによって、肝障害の種類ばかりではなく、肝障害の度合いや重症度までも評価・診断することができる。
この発明に係る抽出選択方法を臨床応用する場合、標本の採取は肝生検によることが想定される。そこで、同一症例の非癌肝組織より18G、20Gの生検針にて肝組織を採取し、切除組織と遺伝子発現パターンとの比較について検討する。
解析で有意差を認める多数の遺伝子において、生検組織と切除組織との相関係数も、一致率も非常に高いことが判明した。また、クラスター解析でも1つのクラスターに分類される。20Gの肝生検針にて解析に必要な量のtotal RNAを採取可能であり、極細の肝生検針にて採取した極く微量の組織にて非癌部切除標本にて得られた解析結果と同様の評価が可能であると考えられる。
ところで、現在の肝生検による病理学的評価では、病理医の主観が入り決して客観的評価とはなりえない。新犬山分類の場合、4ないし5段階の評価(単なるグルーピングで定量性に劣る)であり、例えば同じF2でもF1に近いF2とF3に近いF2では大きく異なっている。これに対して、この発明の抽出選択方法による定量化スコアを用いれば、客観的かつ詳細な数値として肝障害度(線維化や肝炎活動性)を評価できる。更に、肝生検ではある一定以上の組織(通常、非癌肝組織の評価では18G以上の針を用いる)が必要であり、これは科学の進歩によっても改善の余地は少ない。一方、分子遺伝学的手法を用いたこの発明の定量化スコアでは、従来では不可能であるような極細の針で低侵襲下に組織を採取し解析可能である。
以下、この発明を実施例によって更に詳細に説明する。ただし、この発明は、下記実施例によって一切限定されるものではない。
実施例1:
(動物)
体重100グラムないし150グラムの雄ラット(ウィスター種)を、実験開始前7日間標準研究用飼料と水を自由給餌し、12時間サイクルで灯火と暗室とを繰り返すように制御した動物飼育舎で所定のガイドラインに沿って飼育した。
(チオアセタミド誘導肝硬変)
20頭のラットに0.03%のチオアセタミドを含む飲料水を12週間継続して投与して肝線維化を誘導した(非特許文献)。チオアセタミドを投与せずに更に2週間同一条件下で飼育してチオアセタミドを除去した後、動物を実験に供した。
(組織サンプリング)
ラットを人為的に殺して肝臓組織を摘出し、組織標本の一部を10%ホルムアルデヒド溶液中に浸漬し、アザン(azan)染色のためにパラフィン中に包埋した。残りの肝臓組織標本はRNA調製まで−90℃で冷凍保存した。
(組織切片の調製ならびに肝線維化領域の測定)
10%ホルムアルデヒド溶液中に固定した各肝臓組織標本から厚さ5ミクロンの切片を取り、コラーゲン線維に対してアザンで染色した。これらの切片の画像5枚を任意に選択し、光学顕微鏡を用いて40倍の倍率でカラー写真を撮影した。これらの写真をコンピューターに入力した。画像中の全領域に対するコラーゲン線維を発現しているアザン染色領域の割合を「実測肝線維化率(%)」として計算した。
(RNA調製)
全肝臓RNAを冷凍保存した組織標本からQuickPrep全RNA抽出キット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いたグアジニウム/セシウムトリフルオロアセテート抽出法によって調製した。単離したRNAの温度と純度はバイオアナライザー(アジレント2100)によって決定した。
(標識、ハイブリダイゼーションならびにスキャンニング)
チオアセタミドを投与して損傷した肝臓組織の標本と、正常な肝臓組織からの全RNAの20マイクログラムを、Cy5−デオキシウリジントリホスフェート(dUTP)とCy3−dUTPでそれぞれ標識した。標識したプローブを、14000個以上のクローンを搭載した市販ラットcDNAマイクロアレイキット(Agilent)を用いて、ハイブリダイゼーションバッファ中で65℃12時間ないし14時間ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、スライドを洗浄し、共焦レーザースキャナー(Agilent)でスキャンした。各ハイブリダイゼーションシグナルの強度は定量化して、その値をバックグラウンドレベルで補正して適正化した。
(肝障害関連遺伝子の同定および定量化スコアの算出法)
(肝線維化関連遺伝子の同定)
下記式(4)(上記式(1)にいてm=20)に従って、20頭の試験サンプルを用いて、実測線維化率Fi(i=1,2,3,...,20)と遺伝子j(j=1,2,3,...,n)の発現量(Eij)のPearsonの相関係数(Rj)を、計算した。
(予測のための遺伝子数決定)
更に、予測に用いる遺伝子数xを決定は、上記クロス・バリデーション法によって決定した。更に、上記式(3)(m=20)に従って、上記実測線維化率Fiと予測線維化率φxiから、1頭当たりの誤差εxを算出し、誤差εxが最小になる遺伝子数を決定した(図1、2)。この実施態様においては、肝障害関連遺伝子群は95個の遺伝子から構成されていた。
本実施例において、肝線維化率と相関が強い上記上位95遺伝子の発現パターンに基づいて算定された肝線維化率は、実測肝線維化率と極めてよく相関している(図1、2)。
また、上記20頭(Training Sample)において、肝線維化率と相関する上記95遺伝子の発現パターンを解析することによって、全く独立する別の6頭(Test Sample)の肝線維化率を予測することができた。すなわち、分子遺伝学的に肝線維化率を評価可能であることが、supervised leaning法によって実証された。
実施例2:
18頭のTraining Sampleを使用して実施例1と同様に処理して決定したところ、肝障害関連遺伝子群は83個の遺伝子から構成されていた。
本実施例においても、肝線維化率と相関が強い上記上位83遺伝子の発現パターンに基づいて算定された肝線維化率は、実測肝線維化率と極めてよく相関している(図3)。
実施例3:
19頭のTraining Sampleを使用して実施例1と同様に処理して決定したところ、肝障害関連遺伝子群は37個の遺伝子から構成されていた。
本実施例においても、肝線維化率と相関が強い上記上位37遺伝子の発現パターンに基づいて算定された肝線維化率は、実測肝線維化率と極めてよく相関している(図4)。
実施例4:
臨床的肝機能評価を次のようにして行った。
転移性肝がん6例と肝がん36例の切除非がん組織に対して、DNAチップ(12,814遺伝子)を用いてDNAマイクロアレイ解析を行った。
臨床的肝機能評価は、ICGR15値等の血液検査と病理所見を用いて行った。その結果、ICGR15値は、肝線維化率と有意に相関があることが認められた。
また、RT−PCR法による肝組織TGFβ1とTIMP−1との遺伝子発現は、肝線維化率と有意に相関することが認められた。更に、DNAマイクロアレイ解析によって肝線維化率と相関する遺伝子群を抽出すると、正常肝群と、肝硬変群とを完全にクラスター分類することができた。
実施例5:
肝がん56例の切除非がん組織を用いてラット肝硬変モデルと同様にアザン(AZAN)染色を行い、実測線維化率を測定した。本線維化率は9視野(40倍視野)の平均であり、1cm2以上の十分な量の切除肝組織によってのみ決定可能な指標であり、肝生検組織などでは到底決定できない肝線維化の程度を評価する教師値としての指標である。DNAマイクロアレイ(アジレント社製、約13,000遺伝子搭載)の解析結果と実測線維化率との関連より、サポート・ベクター・レグレッション(support vector regression)法と変数増加法を組み合わせた解析法を用いて27個の肝障害(肝線維化)関連遺伝子群を決定した(表6)。これら27遺伝子を用いて算出した肝線維化の(遺伝子発現パターンに基づく)定量化スコアは実測線維化率と良く相関した(R=0.94)。スーパーバイズド・リーニング法(suppervised leaning method)であるリーブワンアウト(leave−one−out)法を用いてもR=0.84と良好であった(図5)。同様の症例において実測線維化率と既存の肝機能検査(肝線維化マーカーを含む)との相関係数をみると、良好な順に、IV型コラーゲン:0.65、ICGR15:0.53、PT:0.51、アルブミン値:0.45、血小板数:0.38、ヒアルロン酸:0.36、ヘパプラスチンテスト:0.28であった。
以上の如く、教師値としての実測線維化率に最も相関する既存の指標はIV型コラーゲン:0.65であるが、遺伝子発現パターンに基づく定量化スコア:0.94を用いることで格段に精度を向上可能であった。
実施例6:
肝障害の中でも肝炎活動性の評価においては、現在、血液肝機能検査であるGPT値と組織学的に新犬山分類に基づいて決定するGrading(A0〜A3)が用いられる。そこで、肝がん58例の切除非がん組織のDNAマイクロアレイ解析結果とGPT値よりサポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法を組み合わせた解析法を用いて5個の肝障害(肝炎活動性)関連遺伝子群を決定した。これら5遺伝子を用いて決定した肝炎活動性の(遺伝子発現パターンに基づく)定量化スコアはtraining sample 46症例においてGPT値と良く相関した(R=0.61)。スーパーバイズド・リーニング法であるリーブワンアウト法を用いてもR=0.59と良好であった。また、全く独立する12症例においてもR=0.61と良好な相関を示した(表7,図6)。
実施例7:
別の肝炎活動性の指標である新犬山分類に基づいて決定するGrading(A0〜A3、今回の検討では、2人の肝臓病理医のGradingスコアの平均値を用いた)と肝がん51例の切除非がん組織のDNAマイクロアレイ解析結果よりサポート・ベクター・レグレッション法と変数増加法を組み合わせた解析法を用いて5個の肝障害(肝炎活動性)関連遺伝子群を決定した。これら5遺伝子を用いて決定した肝炎活動性の(遺伝子発現パターンに基づく)定量化スコアはtraining sample 41症例において組織学的なGradingと良く相関した(R=0.64)。スーパーバイズド・リーニング法であるリーブワンアウト法を用いてもR=0.61と良好であった。また、全く独立する10症例においてもR=0.76と良好な相関を示した(表8、図7)。
上記のような構成からなるこの発明に係る肝障害関連遺伝子群の抽出選択方法は、肝炎活動性や肝線維化などを含む肝障害などを評価するためのより正確でかつ包括的な評価法として利用することができる。また、この発明の抽出選択法によって選択した肝障害関連遺伝子群またはその発現パターンに基づいて肝障害もしくは肝機能または肝障害の度合いや重症度などの病態を評価または診断をすることもできる。
また、臨床例においても、DNAマイクロアレイ法は、肝機能を分類することができ、ICGR15値や病理所見単独では判定困難な症例でも評価ができる可能性がある。
更に、この発明によれば、肝機能検査をするための肝生検をする場合に、21Gよりも細い針で行うことができるようになり、検査を受ける患者にとって負担を非常に少なくすることができることになり極めて有用である。
また、臨床例においても、DNAマイクロアレイ法は、肝機能を分類することができ、ICGR15値や病理所見単独では判定困難な症例でも評価ができる可能性がある。
更に、この発明によれば、肝機能検査をするための肝生検をする場合に、21Gよりも細い針で行うことができるようになり、検査を受ける患者にとって負担を非常に少なくすることができることになり極めて有用である。
Claims (33)
- 検体における肝障害に関連する肝障害関連遺伝子の発現パターンを抽出し、所定の発現パターンを有する複数の該肝障害関連遺伝子からなる肝障害関連遺伝子群を選択することを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記肝障害関連遺伝子の発現パターンを遺伝子発現解析システムによって得ることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1または2に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記肝障害関連遺伝子群を肝障害関連要因に基づいて統計学的手法により抽出選択することを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1ないし3のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記肝障害関連要因が、肝障害、肝炎活動性または肝線維化率であることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲4に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記肝障害が肝炎、肝硬変または肝がんであることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲4または5に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記肝障害が更にその重症度を評価することを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲4に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記肝線維化率が実測線維化率と予測線維化率との相関関係に基づいて決定されることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲4に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記肝線維化率が組織検査により染色される面積比に基づいて決定されることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲3ないし8のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記統計学的手法が、スーパーバイズド・リーニング法、サポート・ベクター・レグレッションもしくは変数増加法またはそれらを組み合わせた解析法であることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲10に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、Rjの絶対値が高い遺伝子を肝線維化と関連が強い肝障害関連遺伝子とすることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲12に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、Dxiが1に近いサンプルiを肝線維化率が0%に近いものと予測して、実測線維化率FiとDxiの回帰直線から、実測線維化率が不明のサンプルの肝線維化率を予測すること特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲7、12および13のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、予測に使用する遺伝子数をクロス・バリデーション法で決定することを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲15に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、誤差εxを、肝線維化と関連の強い5遺伝子から開始し、1遺伝子ずつ増やして誤差εxを計算し、誤差εxが最小となるときの遺伝子数を実際の予測に用いることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1ないし16のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、該遺伝子数が3個ないし200個であることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1ないし17のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、該遺伝子数が170個以下であることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1ないし18のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、該遺伝子数が120個以下であることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1ないし19のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、該遺伝子数が3個から100個の範囲であることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1ないし20のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、該遺伝子数が3個から50個の範囲であることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲1ないし21のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法により選択した肝障害関連遺伝子群に基づいて肝障害または肝機能を評価または診断することを特徴とする評価・診断方法。
- 請求の範囲1ないし21のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法により選択した肝障害関連遺伝子群の発現パターンに基づいて肝障害または肝機能を評価または診断することを特徴とする評価・診断方法。
- 請求の範囲22または23に記載する評価・診断方法において、前記肝障害もしくは前記肝機能の障害の度合いまたは重症度を評価または診断することを特徴とする評価・診断方法。
- 請求の範囲1ないし21のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法により選択した肝障害関連遺伝子群に基づいて肝障害を治療することを特徴とする肝障害治療方法。
- 請求の範囲1ないし21のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法により選択した肝障害関連遺伝子群の発現パターンに基づいて肝障害を治療することを特徴とする肝障害治療方法。
- 請求の範囲22ないし24のいずれか1項に記載する評価・診断方法に基づいて肝障害を治療することを特徴とする肝障害治療方法。
- 請求の範囲1に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記検体が組織または細胞であることを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲28に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法において、前記組織を21Gより小さい針で採取することを特徴とする肝障害関連遺伝子群の抽出選択法。
- 請求の範囲17ないし21のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法により選択される肝障害関連遺伝子群を構成する遺伝子を集中的に配置することを特徴とする遺伝子発現解析システム。
- 請求の範囲17ないし21のいずれか1項に記載する肝障害関連遺伝子群の抽出選択法により選択される肝障害関連遺伝子群の遺伝子の発現パターンを集中的に配置することを特徴とする遺伝子発現解析システム。
- 請求の範囲30または31に記載する遺伝子発現解析システムを用いて肝障害または肝機能を診断または評価することを特徴とする診断・評価方法。
- 請求の範囲32に記載する診断・評価方法に基づいて肝障害を治療することを特徴とする治療方法。
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