JPWO2002098463A1 - 抗真菌組成物 - Google Patents
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Abstract
抗真菌剤に、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質が組み合わされてなる抗真菌組成物。所望の効果をあげるための抗真菌剤の量をかなり低減することができ、より安全に抗真菌剤を使用することが可能となり、また、用量が等しい場合には、より高いレベルの抗真菌活性を得ることが可能となるより優れた抗真菌活性を有する製剤を得ることができる。
Description
技術分野
本発明は抗真菌組成物に関し、より詳細には、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質との組み合わせにより抗真菌活性が増強された抗真菌組成物に関する。
背景技術
ヒトに対する真菌感染症は、例えば、水虫、タムシ等の局所性真菌感染のほか、カンディダ症、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、ムコール症、アクチノミセス症、ノカルジア症、クロモブラストミコーシス症、ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症、ゲオトリクム症、ペニシリウム症等の局所性真菌感染又は全身性真菌感染等などが知られている。
これらの真菌感染症に対しては、抗生物質を中心とした抗微生物薬の開発が発展を遂げており、アンホテリンシB、フルコナゾール、イトラコナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、5−フロロシトシン等の種々の真菌感染治療薬が使用されている。例えば、ミコナゾール、エコナゾール、スルコナゾール又はテルビナフィンなどの抗真菌剤は、真菌細胞の細胞膜において重要な役割を果たすエルゴステロール合成に関与する酵素、チトクロームP−450又はスクワレンエポキシダーゼ等の活性を阻害することにより抗真菌作用を発揮することが知られている。
しかし、従来の抗真菌剤の多くは、毒性や治療効果の面で必ずしも充分とは言えず、カンディダ症、白癬などの真菌感染症の治療はこれらの抗真菌剤によってもなお、困難である。
このような状況下で、真菌感染症に対して安全に、かつ有効に抗真菌作用を発揮するような抗真菌剤の開発が望まれている。
一方、未知の遺伝子から出発して薬物開発を目指す逆薬理学や、副作用原因遺伝子の同定を目指すゲノム薬理学の分野における近年の精力的な研究によって、特定の薬物がその活性を示す際に、特定の結合タンパクと結合し、種々の酵素や生体内物質の活性を促進又は阻害することが知られてきている。
例えば、シクロスポリンやタクロリムス(FK506)は、それぞれ異なる特定の結合タンパク(イムノフィリン)と結合して複合体を形成し、これらの複合体が、Ca2+/カルモジュリン依存性脱リン酸化酵素として発見されたカルシニューリンの酵素活性を抑制して、最終的にヘルパーT細胞の活性化を抑制し、免疫抑制効果を発現する。このカルシニューリンは、ヒトのみならず真菌や酵母にも含まれている酵素であり、その役割の詳細は不明であるが、真菌や酵母では、細胞壁合成に関与することが知られている。したがって、真菌や酵母において、カルシニューリンの酵素活性を抑制すると、細胞の増殖自体が直接阻害されるとは限らないが、細胞壁に異常が認められることが明らかにされている。
発明の開示
本発明者は、真菌や酵母におけるカルシニューリンの役割について、さらには、従来の抗真菌剤の作用機序について鋭意研究を行った結果、カルシニューリン活性阻害によって細胞壁の異常又は損傷を発生させた状態で従来の抗真菌剤を作用させることにより、真菌細胞の細胞膜におけるエルゴステロールの合成抑制が顕著になり、ひいては真菌の増殖が阻害されることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明によれば、抗真菌剤に、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質が組み合わされてなる抗真菌組成物が提供される。
発明の実施の形態
本発明の抗真菌組成物は、主として、抗真菌剤と、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質とからなる。
抗真菌剤としては、この目的のために通常使用されている全ての薬剤が挙げられる。具体的には、スルコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロロブトラゾール、ビテルナトール、ペンコナゾール、フルトリアフォル、ヘキサコナゾール、ミクロブタニル、フルシラゾール、フルトリアフォル、シプロコナゾール、ジニコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール等のトリアゾール系;ミコナゾール、エコナゾール、プロクロラズ、イマザリル、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ビフォナゾール、イトラコナゾール、ターコナゾール、クロコナゾール、ネチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、ラノコナゾール等のイミダゾール系;フェンプロピモルフ、トリデモルフ等のモルフォリン系;イプロジオン、クロゾリネート、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド系;フェンプロピジン等のピペリジン系;メタラキリル、ベナラキシル等のアシララニシン系等の抗真菌剤;テルビナフィン;アンホテリシンB;5−フロロシトシン;ナイスタチン;グリセオフルビン;トリコマイシン;バリトイン等が挙げられる。なかでも、ミコナゾール、エコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィンが好ましい。
また、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質としては、例えば、免疫抑制剤が挙げられ、具体的には、タクロリムス、シクロスポリン、アスコマイシン等が挙げられる。
抗真菌剤とカルシニューリンの酵素活性を抑制する物質とは、使用する抗真菌剤及びカルシニューリンの酵素活性を抑制する物質の種類、組み合わせ等により適宜調整することができ、例えば、1:1000〜1000:1、好ましくは1:1000〜200:1、より好ましくは1:200〜200:1、1:200〜100:1、あるいは1:100〜100:1、さらに好ましくは、1:50〜50:1、1:20〜20:1、1:10〜10:1等の重量比で使用される。
本発明の抗真菌組成物の剤形としては、軟膏剤、クリーム剤(乳剤性軟膏剤)、ゲル剤、液剤、ローション剤、エアゾール剤、パップ剤等の各種外用剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口製剤、注射剤、膣坐剤等の剤形が挙げられ、なかでも外用剤又は膣坐剤が好ましい。これらの製剤は、通常用いられる方法(例えば、13改正日本薬局方に規定する方法など)に従って製造することができる。
なお、本発明の抗真菌組成物は、抗真菌剤、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質以外に、通常医薬組成物で使用される任意成分を含有することができる。
任意成分としては、例えば、経口製剤や注射剤であれば、賦形剤、結合剤、被覆剤、滑沢剤、糖衣剤、崩壊剤、増量剤、矯味矯臭剤等が挙げられ、注射剤であれば、乳化剤、溶解補助剤、分散剤、安定剤、pH調整剤、等張剤等が挙げられる。
外用剤や膣坐剤であれば、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のような炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、エチルアルコール、グリセリン、1、3−ブタンジオール等のアルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エタノール、カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、粉体類、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミンなど)、鎮痒剤(例えば、クロタミトンなど)、清涼剤(例えば、カンフル、メントールなど)、局所麻酔剤(例えば、塩酸ジブカイン、リドカイン、塩酸リドカインなど)、抗酸化剤(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウムなど)、ゲル化剤(カルボキシビニルポリマーなど)、金属封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなど)、pH調節剤(乳酸ナトリウムなど)、油成分(流動パラフィン、ステアリルアルコールなど)、角質移行性促進物質、皮膚付着性高分子等の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で加えることができる。
なお、角質移行性促進物質としては、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタントリオレエートなど)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなど)、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテルなど)、ポリエチレングリコールモノステアレートなどの界面活性剤、脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどの炭素原子数4〜14個のモノカルボン酸と炭素原子数1〜3個のアルコールとのエステルや炭素原子数4〜14個のジカルボン酸と炭素原子数1〜3個のアルコールとのジエステルなど)、テルペノイド類(例えば、カンフル、リモネン、メントールなど)、多価アルコール類(例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど)、角質軟化剤(例えば、尿素、サリチル酸など)、エタノール、オレイン酸、ハッカ油、グリチルリチン酸二カリウムなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
皮膚付着性高分子としては、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロースなど)、ポリビニルアルコール、スチレン−イソプレン共重合体、ゼラチン、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタアクリレート共重合体、シリコン誘導体(例えば、ジメチルポリシロキサンなど)、ポリイソプレンなどを挙げることができる。
特に、本発明の抗真菌組成物を外用剤として調製する場合には、皮膚表面や角質部分における真菌に対して、本発明の抗真菌組成物がより作用するように製剤化することが好ましい。
本発明の抗真菌組成物は、患者の状態や症状により異なるが、例えば、経口投与や注射による投与であれば、成人1日、抗真菌剤として1〜1000mgが1回〜数回に分けて投与され、外用剤であれば、抗真菌剤として0.1〜10重量%含有する製剤を適量塗布して用いられ、膣坐剤であれば、抗真菌剤として0.1〜10重量%含有する坐剤が1日に1回〜数回投与される。
本発明組成物は、ヒトや動物の真菌感染症を治療するのに有用な抗真菌組成物であり、特に、白癬菌属(Trichophyton)、カンジダ属(Candida)、アスペルギルス属(Aspergillus)等に起因する局所性又は全身性の真菌感染症の治療に好適に用いることができる。
以下に、本発明の抗真菌組成物を、試験例及び試験例により詳細に説明する。なお、以下の試験例において、「発育阻止」とは、肉眼的に見て、菌の発育が、薬物の非存在下と比べて明らかに抑制された状態を意味する。
試験例1:(Candida albicansのミコナゾール感受性に対するタクロリムスの影響)
試験菌として、Candida albicansの標準株であるATCC 90028(IFM 40213)とATCC 90029(IFM 40214)とを用いた。
培養は、YM寒天培地(1リットルあたり、酵母エキス、麦芽エキス各3g、ペプトン5g、グルコース10g、寒天15g)を用いた。
タクロリムス(0.1μg/ml)の存在下、非存在下でミコナゾールの各濃度希釈液入りの培地(0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.08、0.1、0.15、0.2、0.25μg/ml)をそれぞれ作成し、その培地中で試験菌を30℃で24時間〜48時間培養し、生育を観察した。
その結果、タクロリムスの非存在下では、ミコナゾール0.05μg/mlから発育阻止が始まり、0.1μg/ml以上では発育が認められなかった。
一方、タクロリムス存在下では、ミコナゾール0.01μg/mlから発育阻止が始まり、0.03μg/ml以上では発育が認められなかった。
試験例2:(Candida albicansのミコナゾール感受性に対するシクロスポリンの影響)
試験例1のタクロリムス(0.1μg/ml)に代えて、シクロスポリン(10μg/ml)を使用した。
その結果、試験例1と同様に、ミコナゾールの抗真菌作用の増強が認められた。
試験例3:(Candida albicansのスルコナゾール感受性に対するタクロリムスの影響)
試験菌及び培養は、試験例1とまったく同じものを用いた。
タクロリムス(0.1μg/ml)の存在下、非存在下でスルコナゾールの各濃度希釈液入りの培地(0.05、0.08、0.1、0.15、0.2、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5μg/ml)をそれぞれ作成し、その培地中で試験菌を30℃で24時間〜48時間培養し、生育を観察した。
その結果、タクロリムスの非存在下では、スルコナゾール0.5μg/mlから発育阻止が始まり、1μg/ml以上では発育が認められなかった。
一方、タクロリムス存在下では、スルコナゾール0.15μg/mlから発育阻止が始まり、0.5μg/ml以上では発育が認められなかった。
試験例4:(Candida albicansのテルビナフィン感受性に対するタクロリムスの影響)
試験菌及び培養は、試験例1とまったく同じものを用いた。
タクロリムス(0.1μg/ml)の存在下、非存在下でテルビナフィンの各濃度希釈液入りの培地(0.2、0.25、0.5、1、1.5、2、3、5、7、10μg/ml)をそれぞれ作成し、その培地中で試験菌を30℃で24時間〜48時間培養し、生育を観察した。
その結果、タクロリムスの非存在下では、テルビナフィン5μg/mlから発育阻止が始まり、10μg/ml以上では発育が認められなかった。
一方、タクロリムス存在下ではテルビナフィン1.5μg/mlから発育阻止が始まり、5μg/ml以上では発育が認められなかった。
実施例1
タクロリムス300mg、ミコナゾール100mg、乳糖200mgを均一に混合して散剤とした。
実施例2
タクロリムス300mg、ミコナゾール100mg、乳糖200mg、澱粉150mg、エチルセルロース50mg、ポリビニルアルコール10mg、水150mgを均一に混合捏和後、破砕造粒し、篩別して顆粒剤とした。
実施例3
タクロリムス300mg、ミコナゾール100mg、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10mg、生理食塩水5gを加温混合後、滅菌して注射剤とした。
実施例4
タクロリムス300mg及びミコナゾール100mgを、0.5%カルボキシメチルセルロース5gに懸濁して懸濁液剤とした。
実施例5
タクロリムス1g、ミコナゾール0.2g、白色ワセリン45g、セタノール20g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5g、ツィーン802g、流動パラフィン5g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g及び蒸留水適量(全量が100gになる量)を、約85℃の温度に保ちながら混合する。その後、連続的に攪拌しながら約25℃の温度に冷却して、軟膏剤を得た。
実施例6
タクロリムス1g、ミコナゾール0.2g、モノステアリン酸グリコール10g、セタノール7g、流動パラフィン9g、白色ワセリン3.5g、プロピレングリコール6.5g、ラウリル硫酸ナトリウム1g及び精製水適量(全量で100gとなる量)を、約85℃の温度に保ちながら混合する。その後、連続的に攪拌しながら約25℃の温度に冷却してクリーム剤を得た。
実施例7
タクロリムス1g、ミコナゾール0.2g、ステアリン酸2g、セタノール1.5g、ワセリン4g、スクワラン5g、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン2g、モノオレイン酸ソルビタン2g、ポリエチレングリコール5g、ジプロピレングリコール5g、トリエタノールアミン0.7g、イソプロピルアルコール10g及び精製水適量(全量で100gとなる量)を、約70℃の温度に保ちながら混合する。その後、連続的に攪拌しながら約25℃の温度に冷却して、ローション剤を得た。
実施例8
タクロリムス10g、ミコナゾール2g、カカオ脂25gを水浴上で低温にて溶融、混合し、坐剤型に流し込み、10個の坐剤を得た。
カンディダなどの真菌はヒトと同じ真核生物であるため、その特異的治療は困難であり、一般に難治性であるが、本発明によれば、従来の抗真菌剤を、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質と組み合わせるという簡便な方法によって、抗真菌活性のより優れた製剤を得ることができる。つまり、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質により、細胞壁の異常又は損傷を促した状態で、抗真菌剤により、真菌の細胞膜におけるエルゴステロールの合成を阻害することにより、より強力に抗真菌活性を発揮させることができる。
したがって、所望の効果をあげるための抗真菌剤の量をかなり低減することができるため、より安全に抗真菌剤を使用することが可能となり、また、用量が等しい場合には、より高いレベルの抗真菌活性を得ることが可能となる。
本発明は抗真菌組成物に関し、より詳細には、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質との組み合わせにより抗真菌活性が増強された抗真菌組成物に関する。
背景技術
ヒトに対する真菌感染症は、例えば、水虫、タムシ等の局所性真菌感染のほか、カンディダ症、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、ムコール症、アクチノミセス症、ノカルジア症、クロモブラストミコーシス症、ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症、ゲオトリクム症、ペニシリウム症等の局所性真菌感染又は全身性真菌感染等などが知られている。
これらの真菌感染症に対しては、抗生物質を中心とした抗微生物薬の開発が発展を遂げており、アンホテリンシB、フルコナゾール、イトラコナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、5−フロロシトシン等の種々の真菌感染治療薬が使用されている。例えば、ミコナゾール、エコナゾール、スルコナゾール又はテルビナフィンなどの抗真菌剤は、真菌細胞の細胞膜において重要な役割を果たすエルゴステロール合成に関与する酵素、チトクロームP−450又はスクワレンエポキシダーゼ等の活性を阻害することにより抗真菌作用を発揮することが知られている。
しかし、従来の抗真菌剤の多くは、毒性や治療効果の面で必ずしも充分とは言えず、カンディダ症、白癬などの真菌感染症の治療はこれらの抗真菌剤によってもなお、困難である。
このような状況下で、真菌感染症に対して安全に、かつ有効に抗真菌作用を発揮するような抗真菌剤の開発が望まれている。
一方、未知の遺伝子から出発して薬物開発を目指す逆薬理学や、副作用原因遺伝子の同定を目指すゲノム薬理学の分野における近年の精力的な研究によって、特定の薬物がその活性を示す際に、特定の結合タンパクと結合し、種々の酵素や生体内物質の活性を促進又は阻害することが知られてきている。
例えば、シクロスポリンやタクロリムス(FK506)は、それぞれ異なる特定の結合タンパク(イムノフィリン)と結合して複合体を形成し、これらの複合体が、Ca2+/カルモジュリン依存性脱リン酸化酵素として発見されたカルシニューリンの酵素活性を抑制して、最終的にヘルパーT細胞の活性化を抑制し、免疫抑制効果を発現する。このカルシニューリンは、ヒトのみならず真菌や酵母にも含まれている酵素であり、その役割の詳細は不明であるが、真菌や酵母では、細胞壁合成に関与することが知られている。したがって、真菌や酵母において、カルシニューリンの酵素活性を抑制すると、細胞の増殖自体が直接阻害されるとは限らないが、細胞壁に異常が認められることが明らかにされている。
発明の開示
本発明者は、真菌や酵母におけるカルシニューリンの役割について、さらには、従来の抗真菌剤の作用機序について鋭意研究を行った結果、カルシニューリン活性阻害によって細胞壁の異常又は損傷を発生させた状態で従来の抗真菌剤を作用させることにより、真菌細胞の細胞膜におけるエルゴステロールの合成抑制が顕著になり、ひいては真菌の増殖が阻害されることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明によれば、抗真菌剤に、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質が組み合わされてなる抗真菌組成物が提供される。
発明の実施の形態
本発明の抗真菌組成物は、主として、抗真菌剤と、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質とからなる。
抗真菌剤としては、この目的のために通常使用されている全ての薬剤が挙げられる。具体的には、スルコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロロブトラゾール、ビテルナトール、ペンコナゾール、フルトリアフォル、ヘキサコナゾール、ミクロブタニル、フルシラゾール、フルトリアフォル、シプロコナゾール、ジニコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール等のトリアゾール系;ミコナゾール、エコナゾール、プロクロラズ、イマザリル、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ビフォナゾール、イトラコナゾール、ターコナゾール、クロコナゾール、ネチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、ラノコナゾール等のイミダゾール系;フェンプロピモルフ、トリデモルフ等のモルフォリン系;イプロジオン、クロゾリネート、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド系;フェンプロピジン等のピペリジン系;メタラキリル、ベナラキシル等のアシララニシン系等の抗真菌剤;テルビナフィン;アンホテリシンB;5−フロロシトシン;ナイスタチン;グリセオフルビン;トリコマイシン;バリトイン等が挙げられる。なかでも、ミコナゾール、エコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィンが好ましい。
また、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質としては、例えば、免疫抑制剤が挙げられ、具体的には、タクロリムス、シクロスポリン、アスコマイシン等が挙げられる。
抗真菌剤とカルシニューリンの酵素活性を抑制する物質とは、使用する抗真菌剤及びカルシニューリンの酵素活性を抑制する物質の種類、組み合わせ等により適宜調整することができ、例えば、1:1000〜1000:1、好ましくは1:1000〜200:1、より好ましくは1:200〜200:1、1:200〜100:1、あるいは1:100〜100:1、さらに好ましくは、1:50〜50:1、1:20〜20:1、1:10〜10:1等の重量比で使用される。
本発明の抗真菌組成物の剤形としては、軟膏剤、クリーム剤(乳剤性軟膏剤)、ゲル剤、液剤、ローション剤、エアゾール剤、パップ剤等の各種外用剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口製剤、注射剤、膣坐剤等の剤形が挙げられ、なかでも外用剤又は膣坐剤が好ましい。これらの製剤は、通常用いられる方法(例えば、13改正日本薬局方に規定する方法など)に従って製造することができる。
なお、本発明の抗真菌組成物は、抗真菌剤、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質以外に、通常医薬組成物で使用される任意成分を含有することができる。
任意成分としては、例えば、経口製剤や注射剤であれば、賦形剤、結合剤、被覆剤、滑沢剤、糖衣剤、崩壊剤、増量剤、矯味矯臭剤等が挙げられ、注射剤であれば、乳化剤、溶解補助剤、分散剤、安定剤、pH調整剤、等張剤等が挙げられる。
外用剤や膣坐剤であれば、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のような炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、エチルアルコール、グリセリン、1、3−ブタンジオール等のアルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エタノール、カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、粉体類、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミンなど)、鎮痒剤(例えば、クロタミトンなど)、清涼剤(例えば、カンフル、メントールなど)、局所麻酔剤(例えば、塩酸ジブカイン、リドカイン、塩酸リドカインなど)、抗酸化剤(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウムなど)、ゲル化剤(カルボキシビニルポリマーなど)、金属封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなど)、pH調節剤(乳酸ナトリウムなど)、油成分(流動パラフィン、ステアリルアルコールなど)、角質移行性促進物質、皮膚付着性高分子等の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で加えることができる。
なお、角質移行性促進物質としては、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタントリオレエートなど)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなど)、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテルなど)、ポリエチレングリコールモノステアレートなどの界面活性剤、脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどの炭素原子数4〜14個のモノカルボン酸と炭素原子数1〜3個のアルコールとのエステルや炭素原子数4〜14個のジカルボン酸と炭素原子数1〜3個のアルコールとのジエステルなど)、テルペノイド類(例えば、カンフル、リモネン、メントールなど)、多価アルコール類(例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど)、角質軟化剤(例えば、尿素、サリチル酸など)、エタノール、オレイン酸、ハッカ油、グリチルリチン酸二カリウムなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
皮膚付着性高分子としては、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロースなど)、ポリビニルアルコール、スチレン−イソプレン共重合体、ゼラチン、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタアクリレート共重合体、シリコン誘導体(例えば、ジメチルポリシロキサンなど)、ポリイソプレンなどを挙げることができる。
特に、本発明の抗真菌組成物を外用剤として調製する場合には、皮膚表面や角質部分における真菌に対して、本発明の抗真菌組成物がより作用するように製剤化することが好ましい。
本発明の抗真菌組成物は、患者の状態や症状により異なるが、例えば、経口投与や注射による投与であれば、成人1日、抗真菌剤として1〜1000mgが1回〜数回に分けて投与され、外用剤であれば、抗真菌剤として0.1〜10重量%含有する製剤を適量塗布して用いられ、膣坐剤であれば、抗真菌剤として0.1〜10重量%含有する坐剤が1日に1回〜数回投与される。
本発明組成物は、ヒトや動物の真菌感染症を治療するのに有用な抗真菌組成物であり、特に、白癬菌属(Trichophyton)、カンジダ属(Candida)、アスペルギルス属(Aspergillus)等に起因する局所性又は全身性の真菌感染症の治療に好適に用いることができる。
以下に、本発明の抗真菌組成物を、試験例及び試験例により詳細に説明する。なお、以下の試験例において、「発育阻止」とは、肉眼的に見て、菌の発育が、薬物の非存在下と比べて明らかに抑制された状態を意味する。
試験例1:(Candida albicansのミコナゾール感受性に対するタクロリムスの影響)
試験菌として、Candida albicansの標準株であるATCC 90028(IFM 40213)とATCC 90029(IFM 40214)とを用いた。
培養は、YM寒天培地(1リットルあたり、酵母エキス、麦芽エキス各3g、ペプトン5g、グルコース10g、寒天15g)を用いた。
タクロリムス(0.1μg/ml)の存在下、非存在下でミコナゾールの各濃度希釈液入りの培地(0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.08、0.1、0.15、0.2、0.25μg/ml)をそれぞれ作成し、その培地中で試験菌を30℃で24時間〜48時間培養し、生育を観察した。
その結果、タクロリムスの非存在下では、ミコナゾール0.05μg/mlから発育阻止が始まり、0.1μg/ml以上では発育が認められなかった。
一方、タクロリムス存在下では、ミコナゾール0.01μg/mlから発育阻止が始まり、0.03μg/ml以上では発育が認められなかった。
試験例2:(Candida albicansのミコナゾール感受性に対するシクロスポリンの影響)
試験例1のタクロリムス(0.1μg/ml)に代えて、シクロスポリン(10μg/ml)を使用した。
その結果、試験例1と同様に、ミコナゾールの抗真菌作用の増強が認められた。
試験例3:(Candida albicansのスルコナゾール感受性に対するタクロリムスの影響)
試験菌及び培養は、試験例1とまったく同じものを用いた。
タクロリムス(0.1μg/ml)の存在下、非存在下でスルコナゾールの各濃度希釈液入りの培地(0.05、0.08、0.1、0.15、0.2、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5μg/ml)をそれぞれ作成し、その培地中で試験菌を30℃で24時間〜48時間培養し、生育を観察した。
その結果、タクロリムスの非存在下では、スルコナゾール0.5μg/mlから発育阻止が始まり、1μg/ml以上では発育が認められなかった。
一方、タクロリムス存在下では、スルコナゾール0.15μg/mlから発育阻止が始まり、0.5μg/ml以上では発育が認められなかった。
試験例4:(Candida albicansのテルビナフィン感受性に対するタクロリムスの影響)
試験菌及び培養は、試験例1とまったく同じものを用いた。
タクロリムス(0.1μg/ml)の存在下、非存在下でテルビナフィンの各濃度希釈液入りの培地(0.2、0.25、0.5、1、1.5、2、3、5、7、10μg/ml)をそれぞれ作成し、その培地中で試験菌を30℃で24時間〜48時間培養し、生育を観察した。
その結果、タクロリムスの非存在下では、テルビナフィン5μg/mlから発育阻止が始まり、10μg/ml以上では発育が認められなかった。
一方、タクロリムス存在下ではテルビナフィン1.5μg/mlから発育阻止が始まり、5μg/ml以上では発育が認められなかった。
実施例1
タクロリムス300mg、ミコナゾール100mg、乳糖200mgを均一に混合して散剤とした。
実施例2
タクロリムス300mg、ミコナゾール100mg、乳糖200mg、澱粉150mg、エチルセルロース50mg、ポリビニルアルコール10mg、水150mgを均一に混合捏和後、破砕造粒し、篩別して顆粒剤とした。
実施例3
タクロリムス300mg、ミコナゾール100mg、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10mg、生理食塩水5gを加温混合後、滅菌して注射剤とした。
実施例4
タクロリムス300mg及びミコナゾール100mgを、0.5%カルボキシメチルセルロース5gに懸濁して懸濁液剤とした。
実施例5
タクロリムス1g、ミコナゾール0.2g、白色ワセリン45g、セタノール20g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5g、ツィーン802g、流動パラフィン5g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g及び蒸留水適量(全量が100gになる量)を、約85℃の温度に保ちながら混合する。その後、連続的に攪拌しながら約25℃の温度に冷却して、軟膏剤を得た。
実施例6
タクロリムス1g、ミコナゾール0.2g、モノステアリン酸グリコール10g、セタノール7g、流動パラフィン9g、白色ワセリン3.5g、プロピレングリコール6.5g、ラウリル硫酸ナトリウム1g及び精製水適量(全量で100gとなる量)を、約85℃の温度に保ちながら混合する。その後、連続的に攪拌しながら約25℃の温度に冷却してクリーム剤を得た。
実施例7
タクロリムス1g、ミコナゾール0.2g、ステアリン酸2g、セタノール1.5g、ワセリン4g、スクワラン5g、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン2g、モノオレイン酸ソルビタン2g、ポリエチレングリコール5g、ジプロピレングリコール5g、トリエタノールアミン0.7g、イソプロピルアルコール10g及び精製水適量(全量で100gとなる量)を、約70℃の温度に保ちながら混合する。その後、連続的に攪拌しながら約25℃の温度に冷却して、ローション剤を得た。
実施例8
タクロリムス10g、ミコナゾール2g、カカオ脂25gを水浴上で低温にて溶融、混合し、坐剤型に流し込み、10個の坐剤を得た。
カンディダなどの真菌はヒトと同じ真核生物であるため、その特異的治療は困難であり、一般に難治性であるが、本発明によれば、従来の抗真菌剤を、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質と組み合わせるという簡便な方法によって、抗真菌活性のより優れた製剤を得ることができる。つまり、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質により、細胞壁の異常又は損傷を促した状態で、抗真菌剤により、真菌の細胞膜におけるエルゴステロールの合成を阻害することにより、より強力に抗真菌活性を発揮させることができる。
したがって、所望の効果をあげるための抗真菌剤の量をかなり低減することができるため、より安全に抗真菌剤を使用することが可能となり、また、用量が等しい場合には、より高いレベルの抗真菌活性を得ることが可能となる。
Claims (7)
- 抗真菌剤に、カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質が組み合わされてなる抗真菌組成物。
- カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質が、免疫抑制剤である請求項1に記載の抗真菌組成物。
- カルシニューリンの酵素活性を抑制する物質が、タクロリムス、シクロスポリン又はアスコマイシンである請求項1又は2に記載の抗真菌組成物。
- 抗真菌剤が、トリアゾール系、イミダゾール系、モルフォリン系、ジカルボキシイミド系、ピペリジン系、アシララニシン系の抗真菌剤、テルビナフィン、アンホテリシンB、5−フロロシトシン、ナイスタチン、グリセオフルビン、トリコマイシン、バリトインからなる群から選択される1種又は2種以上の抗真菌剤である請求項1に記載の抗真菌組成物。
- 抗真菌剤が、ミコナゾール、エコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィンからなる群から選択される請求項1に記載の抗真菌組成物。
- 抗真菌剤とカルシニューリンの酵素活性を抑制する物質との組み合わせの重量割合が、200:1〜1:1000:である請求項1〜5のいずれか1つに記載の抗真菌組成物。
- 外用剤又は膣坐剤の形態である請求項1〜6のいずれか1つに記載の抗真菌組成物。
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