JPWO2002095975A1 - エコー処理装置 - Google Patents
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Abstract
受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタ11と、ハイパスフィルタ11を通過した低域抑圧受信信号を音響として出力するスピーカ3と、マイク4より入力される音響エコーをデジタルの送信信号に変換するA/D変換器6と、ハイパスフィルタ11を通過した低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、擬似エコー信号をA/D変換器6により変換されたデジタル信号から差し引いて、スピーカ3から出力されマイク4に入力される音響エコーを除去するエコーキャンセラ手段7とを備えた。
Description
技術分野
この発明は、車載電話および携帯電話等の音声通信において、スピーカから出力されて反響路を経てマイクに入力される音響エコーを低減するエコー処理装置に関するものである。
背景技術
第1図は従来のエコー処理装置の構成を示すブロック回路図であり、図において、1はデジタルの受信信号をアナログの音声信号に変換するD/A変換器、2は音声信号を増幅する増幅器、3は増幅された音声信号に応じた音響を出力するスピーカである。4は入力される音響を音声信号にするマイク、5はその音声信号を増幅する増幅器、6は増幅された音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。7は受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、その擬似エコー信号をA/D変換器6により変換された出力デジタル信号から差し引くことによりエコー成分を除去するエコーキャンセラ手段である。エコーキャンセラ手段7において、8は受信信号、前記出力デジタル信号および判定信号に基づいて、擬似エコー信号を生成する適応フィルタ手段、9は出力デジタル信号と擬似エコー信号とを加算する加算器である。10は受信信号、出力デジタル信号および送信信号に基づいて、受信信号の無音またはダブルトークの判定信号をエコーキャンセラ手段7に出力するダブルトーク検出手段である。
次に動作について説明する。
今、遠端話者側から送られてくるデジタル信号を受信信号とし、近端話者側から入力された音声信号を増幅器5で増幅し、A/D変換器6で変換された出力デジタル信号からエコー成分をエコーキャンセラ手段7によって抑圧した信号を送信信号とする。
遠端話者からの受信信号はエコーキャンセラ手段7とダブルトーク検出手段10に入力されると共に、D/A変換器1によってアナログ信号すなわち音声信号に変換され、増幅器2で増幅されてスピーカ3から音響として出力される。このスピーカ3からの出力の一部は反響路を経てマイク4に入力され、エコー信号として送信するための音声信号に混入する。
適応フィルタ手段8は、受信信号とフィードバックされる送信信号とを用いて適応フィルタ係数を求め、擬似エコー信号を生成する。加算器9で出力デジタル信号からこの擬似エコー信号が差し引かれ、出力デジタル信号に含まれるエコー成分が抑圧され送信信号が生成される。なお、適応フィルタ手段8では反響路の変動に対応するため適応フィルタ係数が逐次求められ更新される。
ダブルトーク検出手段10は、出力デジタル信号にエコー信号と近端話者の音声信号が同時に含まれるダブルトークの状態であるか否か、および受信信号が無音であるか否かを判定して適応フィルタ手段8に判定信号として伝達する。適応フィルタ手段8は、ダブルトーク時か受信信号が無音である場合には適応フィルタ係数の更新を停止し、ダブルトークによるフィルタ係数の算出精度劣化を防止する。
ダブルトーク検出手段10におけるダブルトーク検知の方法は、例えば特開平10−242891号公報(文献1とする)に開示されたもので、次のようにして行われる。
ダブルトーク検出手段10は、出力デジタル信号の平均パワーS、受信信号の平均パワーX、送信信号の平均パワーEを求め、以下の式(1)から式(3)の組み合わせでダブルトークを検知する。
X<p1 ・・・(1)
S>p2×X(但しp2≦0.5) ・・・(2)
E>p3×S ・・・(3)
各式中のp1からp3は所定の定数であり、使用環境に応じて決定される。
これら条件式により、式(1)が成立した場合は、受信信号が無音であると判定する。
また、式(1)が不成立でかつ式(2)が成立した場合は、ダブルトークであると判定する。
さらに、式(1)と式(2)が不成立でかつ式(3)が成立した場合は、エコー抑圧量が小さく、エコー信号以外の入力音が多いことによるダブルトークと判定する。
また、従来のエコー処理装置には特開平9−205388号公報(文献2とする)に示されるものがある。このエコー処理装置では、マイクから入力される背景騒音の低周波数領城成分(以降、低域成分と呼ぶ)を抑圧するようにしている。そのため、送信信号側のA/D変換器6の直後にハイパスフィルタを挿入し、さらに、このハイパスフィルタと同じ遮断周波数のハイパスフィルタを適応フィルタ手段の受信信号入力側の直前にも挿入している。このことにより、出力デジタル信号と適応フィルタ手段8に入力される受信信号との周波数特性を一致させて、適応フィルタ手段8での適応フィルタ係数の算出精度が維持される構成としている。
従来のエコー処理装置は以上のように構成されているので、第1図に示した従来のエコー処理装置および文献2に示された従来のエコー処理装置においては、音として再生できない低周波数領域成分がスピーカに入力された場合、同時に入力された高い周波数の音の振動が妨げられて非線形の歪みが生じることがある。この場合、マイクから入力されるエコー信号に非線形な歪みが生じることになり、適応フィルタ手段8における適応フィルタ係数の算出精度が劣化し、生成する擬似エコー信号とエコー信号の差異が大きくなってエコー抑圧量が減少してしまうという課題があった。
このようなスピーカで生じる非線形の歪みを解消して効果的に消音を行うため、特開平6−202669号公報(文献3とする)では、スピーカの前にハイパスフィルタを挿入し、スピーカが再生できない低周波数領域成分を予め抑圧する方法が提案されている。この方法を第1図に示した従来のエコー処理装置に適用し、D/A変換器1と増幅器2との間にハイパスフィルタを挿入することが考えられるが、その場合適応フィルタ手段8に入力される受信信号と、スピーカ3から出力されマイク4に入力されるエコー信号の低周波数帯域(以降、低域と呼ぶ)の特性が大きく異なってしまう。これは、受信信号には低周波数領域成分があるがエコー信号には無いためである。結果として、適応フィルタ手段8での適応フィルタ係数の算出精度が劣化し、生成する擬似エコー信号とエコー信号の差異が大きくなってエコー抑圧量が減少してしまうという課題がある。
また、文献3のハイパスフィルタをスピーカの前に挿入する方法を文献2に示されたエコー処理装置に適応した場合について考える。受信信号側のD/A変換器と増幅器との間にハイパスフィルタを挿入した場合、このハイパスフィルタと適応フィルタの直前および加算器の直前に挿入されている2つのハイパスフィルタとでは低域を抑圧する目的が異なり、遮断周波数を統一することができない。結局、このことが原因で適応フィルタ手段に入力される受信信号の低域の特性とスピーカから出力されマイクに入力されるエコー信号の低域の特性とが大きく異なることになり、適応フィルタ係数の算出精度が劣化し、擬似エコー信号とエコー信号の差異が大きくなってエコー抑圧量が減少してしまうという課題がある。
また、第1図に示した従来のエコー処理装置のダブルトーク検出手段10は、式(2)のSとXが近い値を持つ場合や、式(3)のSとEが近い値を持つような場合、ダブルトークの判定を誤ることがある。例えば、適応フィルタ係数が誤って更新されることを避けるため、ダブルトークと判定し易いように式(2)のp2の値を低く設定すると、受信信号のみのシングルトーク(Xが大)であってもスピーカ3とマイク4の距離が近い場合や、増幅器2,5の増幅値が大きい場合は、出力デジタル信号に混入するエコー信号のパワーが大きくなり(Sが大)、ダブルトークと誤判定されることがある。また、同様の目的で式(3)のp3の値を低く設定すると、受信信号のみのシングルトーク(Xが大)であっても適応フィルタ手段8でのフィルタ係数の算出精度が悪くなり、エコーキャンセラ手段7によるエコー抑圧量が少なくなってEが大となりSに近づいて、ダブルトークと誤判定されることがある。
このように従来のエコー処理装置では、明確にシングルトークとダブルトークを判定することが困難で判定を誤る場合があり、その結果、適応フィルタ係数の更新の停止および開始時期を誤って適応フィルタ係数の算出精度が劣化し、エコー抑圧量が減少するという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、スピーカが出力する音の非線形歪みを低減し、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止するエコー処理装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、精度良くダブルトークを判定し、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の算出精度劣化を防いでエコー抑圧量の減少を防止するエコー処理装置を得ることを目的とする。
発明の開示
この発明に係るエコー処理装置は、デジタル信号からなる受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタと、前記ハイパスフィルタを通過した低域抑圧受信信号を音声信号に変換するD/A変換器と、前記音声信号に基づいた音響を出力するスピーカと、このスピーカから出力される音響のエコーが入力される可能性のあるマイクと、このマイクより出力される音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記ハイパスフィルタを通過して得られる低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信を生成し、その擬似エコー信号を前記A/D変換器により出力されたデジタル信号から差し引いて送信信号を生成するエコーキャンセラ手段とを備えたものである。
このことによって、スピーカから出力される音響の非線形歪を低減でき、A/D変換器により出力されたデジタル信号に混入する音響エコーとエコーキャンセラ手段に入力される低域抑圧受信信号はハイパスフィルタにより低周波数領域成分の抑圧を同様に受けることにより、エコーキャンセラ手段での適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで、擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止する効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、デジタル信号からなる受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタと、前記ハイパスフィルタを通過した低域抑圧受信信号を音声信号に変換するD/A変換器と、前記音声信号に基づいた音響を出力するスピーカと、このスピーカから出力される音響のエコーが入力される可能性のあるマイクと、このマイクより出力される音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記ハイパスフィルタを通過して得られる低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、その擬似エコー信号を前記A/D変換器により出力されたデジタル信号から差し引いて送信信号を生成するエコーキャンセラ手段と、前記A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出し、その低周波数領域成分に基づいてダブルトーク判定を行い、そのダブルトーク判定に基づいて前記エコーキャンセラ手段のフィルタ係数更新の停止および開始を制御するダブルトーク検出手段とを備えたものである。
このことによって、スピーカから出力される音響の非線形歪を低減でき、A/D変換器により出力されたデジタル信号に混入する音響エコーとエコーキャンセラ手段に入力される低域抑圧受信信号はハイパスフィルタにより低周波数領域成分の抑圧を同様に受けることにより、エコーキャンセラ手段での適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで、擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる。
また、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出し、その低周波数領域成分に基づいてダブルトーク判定を行うようにしたので、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い適応フィルタ係数の精度劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異をさらに小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分が小さい場合ほどダブルトークであると判定しにくくしたものである。
このことによって、精度良くダブルトークを判定して適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく実行でき、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分が大きい場合ほどダブルトークであると判定し易くしたものである。
このことによって、精度良くダブルトークを判定して適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく実行でき、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、A/D変換器により出力されたデジタル信号に含まれる背景雑音成分の量を計算し、背景雑音成分が小さい場合、前記デジタル信号の低周波数領域成分が大きいほどダブルトークであると判定し易くしたものである。
このことによって、背景雑音による誤判定が無く、精度良くダブルトークを判定して適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく実行でき、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、A/D変換器により出力されたデジタル信号の背景雑音成分を抑圧するノイズサプレッサを備え、ダブルトーク検出手段が、このノイズサプレッサから出力された背景雑音を抑圧された前記デジタル信号を入力するものである。
このことによって、出力デジタル信号に背景雑音が含まれる場合でも精度良くダブルトークを判定して適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく実行でき、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、ハイパスフィルタの遮断周波数に対応した遮断周波数を有するローパスフィルタにより、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出するものである。
このことによって、比較的簡易な構成により前記デジタル信号の低周波数領域成分を抽出することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、設定周波数を記憶する記憶手段と、前記記憶手段の設定周波数を読み出し、ハイパスフィルタおよびダブルトーク検出手段に出力する制御CPUとを備え、前記ハイパスフィルタは、予め異なる遮断周波数を有する複数のハイパスフィルタからなり、前記制御CPUから出力された設定周波数に対応した遮断周波数のハイパスフィルタを選択して受信信号の低周波数領域成分を抑圧し、前記ダブルトーク検出手段は、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出する際に、前記制御CPUから出力された設定周波数以下の低周波数領域成分を抽出するものである。
このことによって、スピーカの種類が変わって遮断周波数が変更される場合でも、ハイパスフィルタを新たに入れ換える必要が無く、記憶装置の設定周波数を書き換えるだけで簡易に対応することができる。また、ダブルトーク検出手段においても、その書き換えられた設定周波数に応じて遮断周波数を簡易に対応することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分のダブルトーク判定に対する寄与度を、設定周波数によって変更するものである。
このことによって、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い適応フィルタ係数の精度劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、予め異なる遮断周波数を有する複数のローパスフィルタからなり、制御CPUから出力された設定周波数に対応した遮断周波数のローパスフィルタを選択して、A/D変換器により出力されたデジタル信号の高周波数領域成分を抑圧し、低周波数領域成分を抽出するものである。
このことによって、比較的簡易な構成で前記デジタル信号の低周波数領域成分を抽出することができると共に、スピーカの種類が変わって遮断周波数が変更される場合でもダブルトーク検出手段内のローパスフィルタを新たに入れ換える必要が無く、記憶装置の設定周波数を書き換えるだけで簡易に対応することができる効果がある。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面にしたがって説明する。
実施の形態1.
第2図はこの発明の実施の形態1によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。図において、11はデジタル信号からなる受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタ、1はハイパスフィルタ11を通過した低域抑圧受信信号をアナログの音声信号に変換するD/A変換器、2は音声信号を増幅する増幅器、3は増幅された音声信号に応じた音響を出力するスピーカである。4は音響が入力され音声信号に変換するマイク、5はその音声信号を増幅する増幅器、6は増幅されたアナログの音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。7はハイパスフィルタ11を通過した低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、その擬似エコー信号をA/D変換器からのデジタル信号から差し引いて、エコー成分を除去した送信信号を出力するエコーキャンセラ手段である。エコーキャンセラ手段7において、8は低域抑圧受信信号、送信信号および判定信号に基づいて、擬似エコー信号を生成する適応フィルタ手段、9はA/D変換器6からのデジタル信号と擬似エコー信号とを加算する加算器である。12は低域抑圧受信信号、出力デジタル信号および送信信号に基づいて受信信号の無音またはダブルトークを判定し、判定信号をエコーキャンセラ手段7に出力するダブルトーク検出手段である。
次に動作について説明する。
受信信号がハイパスフィルタ11に入力されると、ハイパスフィルタ11は、そのフィルタの持つ遮断周波数以下の信号成分を抑圧し、低域抑圧受信信号を出力する。低域抑圧受信信号は、適応フィルタ手段8とD/A変換器1に与えられるとともにダブルトーク検出手段12にも与えられる。ここで、ハイパスフィルタ11は、例えば8次のIIR型デジタルフィルタで構成されている。なお、ハイパスフィルタ11の遮断周波数は、スピーカ3の再生可能な低域の下限周波数を予め調べ、この値に合わせて設定される。スピーカ3の再生可能な周波数の下限が400Hzであれば、400Hzを遮断周波数とするようにデジタルフィルタの係数を設計しておく。
第3図はこの発明の実施の形態1によるフィルタの動作を示す説明図であり、図において、(a)〜(c)にハイパスフィルタ11の動作例を示す。(a)は受信信号が有音の場合の周波数特性、(b)はハイパスフィルタ11の応答特性、(c)はハイパスフィルタ11から出力された低域抑圧受信信号の周波数特性である。ここで、fcはハイパスフィルタ11の遮断周波数である。
次に、D/A変換器1に入力された低域抑圧受信信号はアナログ信号、すなわち音声信号に変換され、増幅器2で増幅されてスピーカ3から音響として出力される。このときスピーカ3で再生できない低域の周波数成分はハイパスフィルタ11で抑圧されているため、スピーカ3から出力される音には非線形の歪が生じない。したがって、マイク4から入力される音響エコーにも非線形な歪みは生じない。
適応フィルタ手段8は、低域抑圧受信信号と送信信号に基づいて適応フィルタ係数を算出し擬似エコー信号を生成し、加算器9は出力デジタル信号から擬似エコー信号を差し引く。
以上の処理動作により、音響エコーに非線形な歪が生じないことと、音声信号に混入する音響エコーと適応フィルタ手段8に入力される低域抑圧受信信号は、ハイパスフィルタ11による低域成分の抑圧を同様に受けることより、適応フィルタ手段8は精度良く適応フィルタ係数を算出して、実際のエコー信号に近い擬似エコー信号を生成することができる。
ダブルトーク検出手段12は、低域抑圧受信信号、出力デジタル信号、および送信信号に基づいてダブルトークの判定を行う。以下にダブルトーク検出手段12の動作を詳しく説明する。
ダブルトーク検出手段12は、低域抑圧受信信号の平均パワーXh、出力デジタル信号の平均パワーS、送信信号の平均パワーEを、例えば一定期間毎にその期間内の各信号のレベルをサンプルし、それぞれの値の二乗和をサンプル数で平均化する方法で求める。また、出力デジタル信号と低域抑圧受信信号の高周波数領域成分(以降、高域成分と呼ぶ)をローパスフィルタによって抑圧し、低域成分だけを抽出する。ローパスフィルタは例えば8次のIIR型デジタルフィルタで構成される。
このとき、ローパスフィルタの遮断周波数は、ハイパスフィルタ11の遮断周波数と同じ値に設定する。
そして、ローパスフィルタで高域成分が抑圧された出力デジタル信号と、同様にローパスフィルタで高域成分が抑圧された低域抑圧受信信号の平均パワー(以降、それぞれ出力デジタル信号の低域パワー、低域抑圧受信信号の低域パワーと呼ぶ)をSl、Xlとして、それぞれ例えばサンプル値の二乗和をサンプル数で平均化する方法で求める。
また、ダブルトーク検出手段12は、所定期間(例えば1秒間)に求めた出力デジタル信号の各平均パワーSの内の最低値を、この最低値を求めた期間の出力デジタル信号に周期性が無い場合に限り背景雑音パワーNs値として抽出する。周期性の有無は、例えば出力デジタル信号の自己相関係数の最大値を閾値で判定することで求められる。自己相関係数の最大値が閾値を超えれば周期性あり、超えなければ無しと判定する。そして、平均パワーSの値が、Nsからあらかじめ設定しておいた閾値より多く、しかも周期性のある出力デジタル信号の区間を有音区間として検出し、例えば過去1秒間における有音区間の平均パワーをVsとして求め、VsとNsの比(Vs/Ns)をRsとして求める。
次に、例えば以下の式(4)〜(7)を用いてダブルトークの判定を行う。
Xh<p1 ・・・(4)
S>p2×Xh(但しp2≦0.5) ・・・(5)
E>p3×S ・・・(6)
Sl>p4×Xl ・・・(7)
これら条件式により、式(4)が成立した場合は、受信信号が無音であると判定する。
また、式(4)が不成立でかつ式(5)と式(7)が成立した場合は、ダブルトークであると判定する。
さらに、式(4)と式(5)が不成立でかつ式(6)と式(7)が成立した場合は、エコー抑圧量が小さく、エコー信号以外の入力音が多いことによるダブルトークと判定する。
ここで、式(4)〜(7)中のp1からp3は所定の定数であり、使用環境に応じて決定されるが、例えば、p1=1002、p2=0.5、p3=0.5とする。p4は、先の求めたRsの値によって変化する可変値であり、Rsが大きく、例えば362を超える場合、すなわち背景雑音の量が少ない場合は1.0、超えない場合、すなわち背景雑音の量が大きい場合は1.5に設定する。
また、式(4)では低域抑圧受信信号の平均パワーXhを用いて受信信号が無音であるか否かを判定したが、ハイパスフィルタ11を通る前の受信信号の平均パワーXを求めて式(4)に適用しても良い。
以下、第3図を用い、ダブルトーク検出手段12がダブルトークを検出する動作について詳しく説明する。
第3図において、先に説明したように(a)は受信信号が有音の場合の周波数特性の例、(b)はハイパスフィルタ11の応答特性、(c)は低域抑圧受信信号の周波数特性である。また、(d)は(c)と同じ低域抑圧受信信号、(e)はダブルトーク検出手段12内のローパスフィルタの応答特性で、遮断周波数fcはハイパスフィルタ11のものと同じである。(f)は信号(d)をこのローパスフィルタを経て得られるローパスフィルタ出力である。ここで、ローパスフィルタ出力(f)の平均パワーは、式(7)のXlに相当するが、Xlの値はハイパスフィルタ11の低域抑圧効果のため、小さい値となる。
また、(g)は(c)の周波数特性を持つ低域抑圧受信信号がスピーカ3から音声となり、反響路を経てマイク4に入力して得られたエコー信号成分のみの場合の周波数特性である。(h)は(e)と同一のダブルトーク検出手段12内のローパスフィルタの応答特性、(i)はこのローパスフィルタの出力である。このローパスフィルタ出力(i)の平均パワーが式(7)のSlに相当するが、出力デジタル信号に近端話者の音声が無く、エコー信号のみであるため低域成分が少なく、この場合のSlはXlと同様の小さな値となる。
さらに、(j)は出力デジタル信号がエコー信号と近端話者の音声信号とからなる場合の周波数特性、(k)は(e)と同一のダブルトーク検出手段12内のローパスフィルタの応答特性、(l)はこのローパスフィルタの出力である。ローパスフィルタ出力(l)の平均パワーが式(7)のSlに相当するが、この場合、出力デジタル信号に近端話者の音声があるので低域成分が含まれ、エコー信号のみの場合のローパスフィルタ出力(i)のSlと比べ大きな値となる。
第3図に示したローパスフィルタ出力(i)と(l)の特性差を利用し、ダブルトーク検出手段12は、Slの値が小さくXlに近いとき、すなわち、式(7)が成り立たたないときは、出力デジタル信号にはエコーのみであるシングルトークと判定する。Slの値がXlよりかなり大きいとき、すなわち、式(7)が成り立つときは、ダブルトーク検出手段12は出力デジタル信号にエコー信号と近端話者の音声信号とからなるダブルトークと判定する。
Slは出力デジタル信号の低域成分のパワーであり、Sは出力デジタル信号の全帯域のパワーとみなせるが、ダブルトーク判定手段12は、Sを用いた式(5),(6)が成り立っても、Slを用いた式(7)が成り立たなければ、ダブルトークと判定しないので、式(7)を使わない従来のエコー処理装置よりも、エコーのみのシングルトークをダブルトークと誤判定することが少なく、精度の良いダブルトーク判定が行える。ただし、背景雑音の量が少ない場合はSlに含まれる背景雑音が少なく、Slの値の信頼性が高いと判断してp4を小さな値に設定するので、ダブルトークと判定し易くなっている。
ダブルトーク検出手段12は、受信信号が無音であるか、またはダブルトークの状態であるかを上記条件により判定して適応フィルタ手段8に判定信号として伝達する。適応フィルタ手段8は、ダブルトーク時か受信信号が無音である場合には適応フィルタ係数の更新を停止し、ダブルトークによるフィルタ係数の算出精度劣化を防止する。また、適応フィルタ手段8は、ダブルトーク時でなく、かつ受信信号が無音でもない場合に適応フィルタ係数の更新を開始する。
以上のように、この実施の形態1によれば、スピーカ3で再生できない受信信号の低城成分をハイパスフィルタ11で抑圧し、しかもこのハイパスフィルタ11の出力を適応フィルタ手段8にも入力するようにしたので、スピーカ3から出力されるエコー信号の非線形歪を低減でき、適応フィルタ手段8での適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
また、出力デジタル信号に含まれるエコー信号がハイパスフィルタ11で低域を抑圧されていることを利用してダブルトークの判定を行うようにしたので、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の精度劣化を防いで、擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
さらに、出力デジタル信号と低域抑圧受信信号の低域成分をローパスフィルタで抽出するようにしたので、比較的簡易な処理で出力デジタル信号と低域抑圧受信信号の低域成分を求めることができる。
実施の形態2.
実施の形態1のダブルトーク検出手段12において、ダブルトーク検出は、式(4)が不成立でかつ式(5)と式(7)が成立した場合、または式(4)と式(5)が不成立でかつ式(6)と式(7)が成立した場合をダブルトークと判定するようにした。しかし、ここでもしRsが大きく、例えば362を超える場合、すなわち背景雑音の量が少ない場合は式(4)が不成立で式(7)が成立する。このことを以って式(5)と式(6)の成立の可否に係わらずダブルトークと判定しても良い。したがって、背景雑音の量が少ない場合はSやEの値が小さくてもダブルトークを正確に検知でき、しかも背景雑音の量が大きい場合に誤ってダブルトークと判定することも防止される。
以上のように実施の形態2によれば、出力デジタル信号に含まれるエコー信号がハイパスフィルタ11で低域を抑圧されていることを利用し、出力デジタル信号に含まれる背景雑音成分が少ないときに出力デジタル信号の低周波数領域成分を主に用いてダブルトークの判定を行うようにしたので、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の精度劣化を防いで、擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
実施の形態3.
第4図はこの発明の実施の形態3によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図であり、図において、17はノイズサプレッサである。
その他の構成については、第2図と同一であり、ダブルトーク検出手段12の動作は実施の形態2と同一である。
次に動作について説明する。
ノイズサプレッサ17はA/D変換器6からの出力デジタル信号を入力し、出力デジタル信号に含まれる背景雑音成分を抑圧してダブルトーク検出手段12に出力する。この場合の背景雑音成分の抑圧方法としては、例えばSteven F.Boll,“Suppression of Acoustic noise in speech using spectral subtraction”,IEEE Trans.ASSP.Vol.ASSP−27,No.2,April 1979(文献4とする)に開示されているスペクトルサブトラクション法によって行われる。ダブルトーク検出手段12に入力される出力デジタル信号に含まれる背景雑音成分の量はノイズサプレッサ17によって減少されているので、算出されるRsの値が大きくなり、Rsが362を超える場合が増える。このため式(5)と式(6)の成立の可否に係わらず、(4)が不成立で式(7)が成立した場合にはダブルトークと判定される場合が増え、SやEの値が小さくてもダブルトークを正確に検知できる可能性が大きくなる。
なお、ノイズサプレッサ17はエコーキャンセラ手段7を迂回する位置に配置され、ノイズサプレッサ17で背景雑音を抑圧され変形を受けた出力信号はダブルトーク検出手段12に入力されるようにしているので、ノイズサプレッサ17の導入により適応フィルタ手段8で生成する擬似エコー信号が劣化することはない。
以上のように実施の形態3によれば、ノイズサプレッサ17で出力デジタル信号に含まれる背景雑音成分を抑圧するようにしたので、出力デジタル信号に背景雑音が含まれる場合でも精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の精度劣化を防いで、擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
実施の形態4.
第5図はこの発明の実施の形態4によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図であり、図において、13は設定周波数を記憶する記憶手段、14は記憶手段13の設定周波数を読み出し、ハイパスフィルタ15およびダブルトーク検出手段16に出力する制御CPUである。
また、ハイパスフィルタ15は予め異なる遮断周波数を有する複数のフィルタ素子からなり、制御CPU14から出力された設定周波数に対応した遮断周波数を選択し設定するハイパスフィルタ、16は予め異なる遮断周波数を有する複数のフィルタ素子を持つローパスフィルタからなり、制御CPU14から出力された設定周波数に対応した遮断周波数を選択し設定するダブルトーク検出手段である。
その他の構成については、第2図と同一である。
次に動作について説明する。
一般にスピーカ3が再生できる低域周波数の下限は、そのスピーカの性能によって異なる。予めハイパスフィルタ15には、スピーカ3で想定される再生可能な低域下限周波数に対応し、複数の遮断周波数を持つフィルタ素子を用意する。例えば、スピーカ3で予想される再生可能な低域下限周波数が300Hz〜600Hzであれば、100Hzおきに300Hz、400Hz、500Hz、600Hzの4種類の遮断周波数を持つフィルタ素子を用意する。同様に、ダブルトーク検出手段16内のローパスフィルタも300Hz〜600Hzまで100Hz間隔で4種類の遮断周波数を持つフィルタ素子を保持する。
記憶手段13には、例えばROMで構成され、設計時にスピーカ3の再生可能な低域下限周波数を測定し、それに対応した設定周波数を決め、製造時に記憶させておく。制御CPU14は、記憶手段13が記憶しているこの設定周波数の値を読み出し、ハイパスフィルタ15とダブルトーク検出手段16に出力する。
ハイパスフィルタ15は、この設定周波数の値に対応する遮断周波数、例えば、設定周波数が400Hzの場合は遮断周波数400Hzのフィルタ素子を選択して受信信号の低域成分を抑圧し、低域抑圧受信信号を出力する。
同様にダブルトーク検出手段16は、この設定周波数の値に対応する遮断周波数を持つフィルタ素子を選択して出力デジタル信号と低域抑圧受信信号との高域成分を抑圧する。そして、第2図で説明したダブルトーク検出手段12と同様の処理でXh,Xl,S,Sl、Eをそれぞれ求め、例えば、式(8)〜式(10)を用いてダブルトークの判定を行う。
Xh<p1 ・・・(8)
S+α(Sl−p4×Xl)
>p2×Xh (但しp2≦0.5) ・・・(9)
E>p3×S ・・・(10)
これら条件式により、式(8)が成立した場合は、受信信号が無音であると判定する。
また、式(8)が不成立でかつ式(9)が成立した場合は、ダブルトークであると判定する。
さらに、式(8)と式(9)が不成立でかつ式(10)が成立した場合は、エコー抑圧量が小さく、エコー信号以外の入力音が多いことによるダブルトークと判定する。
ここで、式(8)〜式(10)中のp1からp4は所定の定数であり、使用環境に応じて決定されるが、例えば、p1=1002、p2=0.5、p3=0.5、p4=1.0とする。また、式(8)では低域抑圧受信信号の平均パワーXhを用いて受信信号が無音であるか否かを判定したが、ハイパスフィルタ15を通る前の受信信号の平均パワーXを求めて式(8)に適用してもよい。
また、式(9)のαの値は、出力デジタル信号と低域抑圧受信信号の低域パワーSl,Xlの式(9)における寄与度を表すパラメータであり、制御CPU14から入力した設定周波数の値が高ければ大きく、低ければ小さく設定されるようにする。例えば、設定周波数が300Hzならばα=1.0、400Hzならばα=1.2、600Hzならばα=1.5に設定する。これは、設定周波数、すなわち低域下限周波数の値が高ければ、出力デジタル信号がエコー信号のみの場合とエコー信号と近端話者の音声信号とからなる場合とでSlの差が拡大し、Slのダブルトークを判定するためのパラメータとしての信頼性が向上することによるもので、信頼性の高いSlの寄与度αを増やすことでダブルトークの判定精度が向上できる。
第6図はこの発明の実施の形態4に係るフィルタの動作を示す説明図であり、ダブルトーク検出手段16のローパスフィルタを通過した出力デジタル信号の周波数特性を示したものである。図において、(a)は出力デジタル信号がエコー信号のみでローパスフィルタの低域下限周波数が低い場合であり、(b)は同じ信号構成で低域下限周波数が高い場合である。また、(c)は出力デジタル信号がエコー信号と近端話者の音声信号からなりローパスフィルタの低域下限周波数が低い場合であり、(d)は同じ信号構成で低域下限周波数が高い場6合である。(a)と(c)のパワー差より(b)と(d)のパワー差の方が大きく、ローパスフィルタの低域下限周波数が高い方がSlの信頼性が高いことが分る。
以上のように、この実施の形態4によれば、異なる遮断周波数を持つ複数のフィルタ素子からなるハイパスフィルタ15内に用意し、同様に異なる遮断周波数を持つ複数のフィルタ素子からなるローパスフィルタをダブルトーク検出手段16内に用意し、記憶装置13に記憶された設定周波数の情報に従ってハイパスフィルタおよびローパスフィルタの遮断周波数を切り替えるようにしたので、スピーカ3の種類が変わって遮断周波数が変更される場合でもハイパスフィルタおよびローパスフィルタを新たに導入する必要が無く、記憶手段13の設定周波数を書き換えるだけで簡易に対応できる。
また、ハイパスフィルタとローパスフィルタの遮断周波数に応じてダブルトーク条件式における出力デジタル信号の低域パワーの寄与度を変更させるようにしたので、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の精度劣化を防いで、擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
実施の形態5.
実施の形態1〜実施の形態4で説明したダブルトーク検出手段12,16では、出力デジタル信号の高域成分をローパスフィルタで抑圧して低域パワーを求めた。これらに代わって、出力デジタル信号を高速フーリエ変換(FFT)を用いてパワースペクトルに変換し、パワースペクトル上の遮断周波数以下の成分を加算することにより低域パワーを求めても良い。
以上のように、この実施の形態5によれば、FFTを用いて周波数軸上で低域パワーを求めるようにしたので、第3図の(h)に示されるローパスフィルタ特性、すなわち遮断周波数以降の抑圧特性に若干の傾斜を持つローパスフィルタに比べ、傾斜がなく急峻に低域を切り出してパワーを求めることができ、精度の良い低域パワーを求めることができる。
産業上の利用可能性
以上のように、この発明に係るエコー処理装置は、スピーカから出力されて反響路を経てマイクに入力される音響エコーを低減するのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、従来のエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。
第2図は、この発明の実施の形態1によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。
第3図は、この発明の実施の形態1によるハイパスフィルタの動作を示す説明図である。
第4図は、この発明の実施の形態3によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。
第5図は、この発明の実施の形態4によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。
第6図は、この発明の実施の形態4に係るハイパスフィルタの動作を示す説明図である。
この発明は、車載電話および携帯電話等の音声通信において、スピーカから出力されて反響路を経てマイクに入力される音響エコーを低減するエコー処理装置に関するものである。
背景技術
第1図は従来のエコー処理装置の構成を示すブロック回路図であり、図において、1はデジタルの受信信号をアナログの音声信号に変換するD/A変換器、2は音声信号を増幅する増幅器、3は増幅された音声信号に応じた音響を出力するスピーカである。4は入力される音響を音声信号にするマイク、5はその音声信号を増幅する増幅器、6は増幅された音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。7は受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、その擬似エコー信号をA/D変換器6により変換された出力デジタル信号から差し引くことによりエコー成分を除去するエコーキャンセラ手段である。エコーキャンセラ手段7において、8は受信信号、前記出力デジタル信号および判定信号に基づいて、擬似エコー信号を生成する適応フィルタ手段、9は出力デジタル信号と擬似エコー信号とを加算する加算器である。10は受信信号、出力デジタル信号および送信信号に基づいて、受信信号の無音またはダブルトークの判定信号をエコーキャンセラ手段7に出力するダブルトーク検出手段である。
次に動作について説明する。
今、遠端話者側から送られてくるデジタル信号を受信信号とし、近端話者側から入力された音声信号を増幅器5で増幅し、A/D変換器6で変換された出力デジタル信号からエコー成分をエコーキャンセラ手段7によって抑圧した信号を送信信号とする。
遠端話者からの受信信号はエコーキャンセラ手段7とダブルトーク検出手段10に入力されると共に、D/A変換器1によってアナログ信号すなわち音声信号に変換され、増幅器2で増幅されてスピーカ3から音響として出力される。このスピーカ3からの出力の一部は反響路を経てマイク4に入力され、エコー信号として送信するための音声信号に混入する。
適応フィルタ手段8は、受信信号とフィードバックされる送信信号とを用いて適応フィルタ係数を求め、擬似エコー信号を生成する。加算器9で出力デジタル信号からこの擬似エコー信号が差し引かれ、出力デジタル信号に含まれるエコー成分が抑圧され送信信号が生成される。なお、適応フィルタ手段8では反響路の変動に対応するため適応フィルタ係数が逐次求められ更新される。
ダブルトーク検出手段10は、出力デジタル信号にエコー信号と近端話者の音声信号が同時に含まれるダブルトークの状態であるか否か、および受信信号が無音であるか否かを判定して適応フィルタ手段8に判定信号として伝達する。適応フィルタ手段8は、ダブルトーク時か受信信号が無音である場合には適応フィルタ係数の更新を停止し、ダブルトークによるフィルタ係数の算出精度劣化を防止する。
ダブルトーク検出手段10におけるダブルトーク検知の方法は、例えば特開平10−242891号公報(文献1とする)に開示されたもので、次のようにして行われる。
ダブルトーク検出手段10は、出力デジタル信号の平均パワーS、受信信号の平均パワーX、送信信号の平均パワーEを求め、以下の式(1)から式(3)の組み合わせでダブルトークを検知する。
X<p1 ・・・(1)
S>p2×X(但しp2≦0.5) ・・・(2)
E>p3×S ・・・(3)
各式中のp1からp3は所定の定数であり、使用環境に応じて決定される。
これら条件式により、式(1)が成立した場合は、受信信号が無音であると判定する。
また、式(1)が不成立でかつ式(2)が成立した場合は、ダブルトークであると判定する。
さらに、式(1)と式(2)が不成立でかつ式(3)が成立した場合は、エコー抑圧量が小さく、エコー信号以外の入力音が多いことによるダブルトークと判定する。
また、従来のエコー処理装置には特開平9−205388号公報(文献2とする)に示されるものがある。このエコー処理装置では、マイクから入力される背景騒音の低周波数領城成分(以降、低域成分と呼ぶ)を抑圧するようにしている。そのため、送信信号側のA/D変換器6の直後にハイパスフィルタを挿入し、さらに、このハイパスフィルタと同じ遮断周波数のハイパスフィルタを適応フィルタ手段の受信信号入力側の直前にも挿入している。このことにより、出力デジタル信号と適応フィルタ手段8に入力される受信信号との周波数特性を一致させて、適応フィルタ手段8での適応フィルタ係数の算出精度が維持される構成としている。
従来のエコー処理装置は以上のように構成されているので、第1図に示した従来のエコー処理装置および文献2に示された従来のエコー処理装置においては、音として再生できない低周波数領域成分がスピーカに入力された場合、同時に入力された高い周波数の音の振動が妨げられて非線形の歪みが生じることがある。この場合、マイクから入力されるエコー信号に非線形な歪みが生じることになり、適応フィルタ手段8における適応フィルタ係数の算出精度が劣化し、生成する擬似エコー信号とエコー信号の差異が大きくなってエコー抑圧量が減少してしまうという課題があった。
このようなスピーカで生じる非線形の歪みを解消して効果的に消音を行うため、特開平6−202669号公報(文献3とする)では、スピーカの前にハイパスフィルタを挿入し、スピーカが再生できない低周波数領域成分を予め抑圧する方法が提案されている。この方法を第1図に示した従来のエコー処理装置に適用し、D/A変換器1と増幅器2との間にハイパスフィルタを挿入することが考えられるが、その場合適応フィルタ手段8に入力される受信信号と、スピーカ3から出力されマイク4に入力されるエコー信号の低周波数帯域(以降、低域と呼ぶ)の特性が大きく異なってしまう。これは、受信信号には低周波数領域成分があるがエコー信号には無いためである。結果として、適応フィルタ手段8での適応フィルタ係数の算出精度が劣化し、生成する擬似エコー信号とエコー信号の差異が大きくなってエコー抑圧量が減少してしまうという課題がある。
また、文献3のハイパスフィルタをスピーカの前に挿入する方法を文献2に示されたエコー処理装置に適応した場合について考える。受信信号側のD/A変換器と増幅器との間にハイパスフィルタを挿入した場合、このハイパスフィルタと適応フィルタの直前および加算器の直前に挿入されている2つのハイパスフィルタとでは低域を抑圧する目的が異なり、遮断周波数を統一することができない。結局、このことが原因で適応フィルタ手段に入力される受信信号の低域の特性とスピーカから出力されマイクに入力されるエコー信号の低域の特性とが大きく異なることになり、適応フィルタ係数の算出精度が劣化し、擬似エコー信号とエコー信号の差異が大きくなってエコー抑圧量が減少してしまうという課題がある。
また、第1図に示した従来のエコー処理装置のダブルトーク検出手段10は、式(2)のSとXが近い値を持つ場合や、式(3)のSとEが近い値を持つような場合、ダブルトークの判定を誤ることがある。例えば、適応フィルタ係数が誤って更新されることを避けるため、ダブルトークと判定し易いように式(2)のp2の値を低く設定すると、受信信号のみのシングルトーク(Xが大)であってもスピーカ3とマイク4の距離が近い場合や、増幅器2,5の増幅値が大きい場合は、出力デジタル信号に混入するエコー信号のパワーが大きくなり(Sが大)、ダブルトークと誤判定されることがある。また、同様の目的で式(3)のp3の値を低く設定すると、受信信号のみのシングルトーク(Xが大)であっても適応フィルタ手段8でのフィルタ係数の算出精度が悪くなり、エコーキャンセラ手段7によるエコー抑圧量が少なくなってEが大となりSに近づいて、ダブルトークと誤判定されることがある。
このように従来のエコー処理装置では、明確にシングルトークとダブルトークを判定することが困難で判定を誤る場合があり、その結果、適応フィルタ係数の更新の停止および開始時期を誤って適応フィルタ係数の算出精度が劣化し、エコー抑圧量が減少するという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、スピーカが出力する音の非線形歪みを低減し、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止するエコー処理装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、精度良くダブルトークを判定し、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の算出精度劣化を防いでエコー抑圧量の減少を防止するエコー処理装置を得ることを目的とする。
発明の開示
この発明に係るエコー処理装置は、デジタル信号からなる受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタと、前記ハイパスフィルタを通過した低域抑圧受信信号を音声信号に変換するD/A変換器と、前記音声信号に基づいた音響を出力するスピーカと、このスピーカから出力される音響のエコーが入力される可能性のあるマイクと、このマイクより出力される音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記ハイパスフィルタを通過して得られる低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信を生成し、その擬似エコー信号を前記A/D変換器により出力されたデジタル信号から差し引いて送信信号を生成するエコーキャンセラ手段とを備えたものである。
このことによって、スピーカから出力される音響の非線形歪を低減でき、A/D変換器により出力されたデジタル信号に混入する音響エコーとエコーキャンセラ手段に入力される低域抑圧受信信号はハイパスフィルタにより低周波数領域成分の抑圧を同様に受けることにより、エコーキャンセラ手段での適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで、擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止する効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、デジタル信号からなる受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタと、前記ハイパスフィルタを通過した低域抑圧受信信号を音声信号に変換するD/A変換器と、前記音声信号に基づいた音響を出力するスピーカと、このスピーカから出力される音響のエコーが入力される可能性のあるマイクと、このマイクより出力される音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記ハイパスフィルタを通過して得られる低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、その擬似エコー信号を前記A/D変換器により出力されたデジタル信号から差し引いて送信信号を生成するエコーキャンセラ手段と、前記A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出し、その低周波数領域成分に基づいてダブルトーク判定を行い、そのダブルトーク判定に基づいて前記エコーキャンセラ手段のフィルタ係数更新の停止および開始を制御するダブルトーク検出手段とを備えたものである。
このことによって、スピーカから出力される音響の非線形歪を低減でき、A/D変換器により出力されたデジタル信号に混入する音響エコーとエコーキャンセラ手段に入力される低域抑圧受信信号はハイパスフィルタにより低周波数領域成分の抑圧を同様に受けることにより、エコーキャンセラ手段での適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで、擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる。
また、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出し、その低周波数領域成分に基づいてダブルトーク判定を行うようにしたので、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い適応フィルタ係数の精度劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異をさらに小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分が小さい場合ほどダブルトークであると判定しにくくしたものである。
このことによって、精度良くダブルトークを判定して適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく実行でき、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分が大きい場合ほどダブルトークであると判定し易くしたものである。
このことによって、精度良くダブルトークを判定して適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく実行でき、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、A/D変換器により出力されたデジタル信号に含まれる背景雑音成分の量を計算し、背景雑音成分が小さい場合、前記デジタル信号の低周波数領域成分が大きいほどダブルトークであると判定し易くしたものである。
このことによって、背景雑音による誤判定が無く、精度良くダブルトークを判定して適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく実行でき、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、A/D変換器により出力されたデジタル信号の背景雑音成分を抑圧するノイズサプレッサを備え、ダブルトーク検出手段が、このノイズサプレッサから出力された背景雑音を抑圧された前記デジタル信号を入力するものである。
このことによって、出力デジタル信号に背景雑音が含まれる場合でも精度良くダブルトークを判定して適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく実行でき、適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、ハイパスフィルタの遮断周波数に対応した遮断周波数を有するローパスフィルタにより、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出するものである。
このことによって、比較的簡易な構成により前記デジタル信号の低周波数領域成分を抽出することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、設定周波数を記憶する記憶手段と、前記記憶手段の設定周波数を読み出し、ハイパスフィルタおよびダブルトーク検出手段に出力する制御CPUとを備え、前記ハイパスフィルタは、予め異なる遮断周波数を有する複数のハイパスフィルタからなり、前記制御CPUから出力された設定周波数に対応した遮断周波数のハイパスフィルタを選択して受信信号の低周波数領域成分を抑圧し、前記ダブルトーク検出手段は、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出する際に、前記制御CPUから出力された設定周波数以下の低周波数領域成分を抽出するものである。
このことによって、スピーカの種類が変わって遮断周波数が変更される場合でも、ハイパスフィルタを新たに入れ換える必要が無く、記憶装置の設定周波数を書き換えるだけで簡易に対応することができる。また、ダブルトーク検出手段においても、その書き換えられた設定周波数に応じて遮断周波数を簡易に対応することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分のダブルトーク判定に対する寄与度を、設定周波数によって変更するものである。
このことによって、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い適応フィルタ係数の精度劣化を防いで擬似エコー信号と音響エコーとの差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止することができる効果がある。
この発明に係るエコー処理装置は、ダブルトーク検出手段が、予め異なる遮断周波数を有する複数のローパスフィルタからなり、制御CPUから出力された設定周波数に対応した遮断周波数のローパスフィルタを選択して、A/D変換器により出力されたデジタル信号の高周波数領域成分を抑圧し、低周波数領域成分を抽出するものである。
このことによって、比較的簡易な構成で前記デジタル信号の低周波数領域成分を抽出することができると共に、スピーカの種類が変わって遮断周波数が変更される場合でもダブルトーク検出手段内のローパスフィルタを新たに入れ換える必要が無く、記憶装置の設定周波数を書き換えるだけで簡易に対応することができる効果がある。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面にしたがって説明する。
実施の形態1.
第2図はこの発明の実施の形態1によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。図において、11はデジタル信号からなる受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタ、1はハイパスフィルタ11を通過した低域抑圧受信信号をアナログの音声信号に変換するD/A変換器、2は音声信号を増幅する増幅器、3は増幅された音声信号に応じた音響を出力するスピーカである。4は音響が入力され音声信号に変換するマイク、5はその音声信号を増幅する増幅器、6は増幅されたアナログの音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。7はハイパスフィルタ11を通過した低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、その擬似エコー信号をA/D変換器からのデジタル信号から差し引いて、エコー成分を除去した送信信号を出力するエコーキャンセラ手段である。エコーキャンセラ手段7において、8は低域抑圧受信信号、送信信号および判定信号に基づいて、擬似エコー信号を生成する適応フィルタ手段、9はA/D変換器6からのデジタル信号と擬似エコー信号とを加算する加算器である。12は低域抑圧受信信号、出力デジタル信号および送信信号に基づいて受信信号の無音またはダブルトークを判定し、判定信号をエコーキャンセラ手段7に出力するダブルトーク検出手段である。
次に動作について説明する。
受信信号がハイパスフィルタ11に入力されると、ハイパスフィルタ11は、そのフィルタの持つ遮断周波数以下の信号成分を抑圧し、低域抑圧受信信号を出力する。低域抑圧受信信号は、適応フィルタ手段8とD/A変換器1に与えられるとともにダブルトーク検出手段12にも与えられる。ここで、ハイパスフィルタ11は、例えば8次のIIR型デジタルフィルタで構成されている。なお、ハイパスフィルタ11の遮断周波数は、スピーカ3の再生可能な低域の下限周波数を予め調べ、この値に合わせて設定される。スピーカ3の再生可能な周波数の下限が400Hzであれば、400Hzを遮断周波数とするようにデジタルフィルタの係数を設計しておく。
第3図はこの発明の実施の形態1によるフィルタの動作を示す説明図であり、図において、(a)〜(c)にハイパスフィルタ11の動作例を示す。(a)は受信信号が有音の場合の周波数特性、(b)はハイパスフィルタ11の応答特性、(c)はハイパスフィルタ11から出力された低域抑圧受信信号の周波数特性である。ここで、fcはハイパスフィルタ11の遮断周波数である。
次に、D/A変換器1に入力された低域抑圧受信信号はアナログ信号、すなわち音声信号に変換され、増幅器2で増幅されてスピーカ3から音響として出力される。このときスピーカ3で再生できない低域の周波数成分はハイパスフィルタ11で抑圧されているため、スピーカ3から出力される音には非線形の歪が生じない。したがって、マイク4から入力される音響エコーにも非線形な歪みは生じない。
適応フィルタ手段8は、低域抑圧受信信号と送信信号に基づいて適応フィルタ係数を算出し擬似エコー信号を生成し、加算器9は出力デジタル信号から擬似エコー信号を差し引く。
以上の処理動作により、音響エコーに非線形な歪が生じないことと、音声信号に混入する音響エコーと適応フィルタ手段8に入力される低域抑圧受信信号は、ハイパスフィルタ11による低域成分の抑圧を同様に受けることより、適応フィルタ手段8は精度良く適応フィルタ係数を算出して、実際のエコー信号に近い擬似エコー信号を生成することができる。
ダブルトーク検出手段12は、低域抑圧受信信号、出力デジタル信号、および送信信号に基づいてダブルトークの判定を行う。以下にダブルトーク検出手段12の動作を詳しく説明する。
ダブルトーク検出手段12は、低域抑圧受信信号の平均パワーXh、出力デジタル信号の平均パワーS、送信信号の平均パワーEを、例えば一定期間毎にその期間内の各信号のレベルをサンプルし、それぞれの値の二乗和をサンプル数で平均化する方法で求める。また、出力デジタル信号と低域抑圧受信信号の高周波数領域成分(以降、高域成分と呼ぶ)をローパスフィルタによって抑圧し、低域成分だけを抽出する。ローパスフィルタは例えば8次のIIR型デジタルフィルタで構成される。
このとき、ローパスフィルタの遮断周波数は、ハイパスフィルタ11の遮断周波数と同じ値に設定する。
そして、ローパスフィルタで高域成分が抑圧された出力デジタル信号と、同様にローパスフィルタで高域成分が抑圧された低域抑圧受信信号の平均パワー(以降、それぞれ出力デジタル信号の低域パワー、低域抑圧受信信号の低域パワーと呼ぶ)をSl、Xlとして、それぞれ例えばサンプル値の二乗和をサンプル数で平均化する方法で求める。
また、ダブルトーク検出手段12は、所定期間(例えば1秒間)に求めた出力デジタル信号の各平均パワーSの内の最低値を、この最低値を求めた期間の出力デジタル信号に周期性が無い場合に限り背景雑音パワーNs値として抽出する。周期性の有無は、例えば出力デジタル信号の自己相関係数の最大値を閾値で判定することで求められる。自己相関係数の最大値が閾値を超えれば周期性あり、超えなければ無しと判定する。そして、平均パワーSの値が、Nsからあらかじめ設定しておいた閾値より多く、しかも周期性のある出力デジタル信号の区間を有音区間として検出し、例えば過去1秒間における有音区間の平均パワーをVsとして求め、VsとNsの比(Vs/Ns)をRsとして求める。
次に、例えば以下の式(4)〜(7)を用いてダブルトークの判定を行う。
Xh<p1 ・・・(4)
S>p2×Xh(但しp2≦0.5) ・・・(5)
E>p3×S ・・・(6)
Sl>p4×Xl ・・・(7)
これら条件式により、式(4)が成立した場合は、受信信号が無音であると判定する。
また、式(4)が不成立でかつ式(5)と式(7)が成立した場合は、ダブルトークであると判定する。
さらに、式(4)と式(5)が不成立でかつ式(6)と式(7)が成立した場合は、エコー抑圧量が小さく、エコー信号以外の入力音が多いことによるダブルトークと判定する。
ここで、式(4)〜(7)中のp1からp3は所定の定数であり、使用環境に応じて決定されるが、例えば、p1=1002、p2=0.5、p3=0.5とする。p4は、先の求めたRsの値によって変化する可変値であり、Rsが大きく、例えば362を超える場合、すなわち背景雑音の量が少ない場合は1.0、超えない場合、すなわち背景雑音の量が大きい場合は1.5に設定する。
また、式(4)では低域抑圧受信信号の平均パワーXhを用いて受信信号が無音であるか否かを判定したが、ハイパスフィルタ11を通る前の受信信号の平均パワーXを求めて式(4)に適用しても良い。
以下、第3図を用い、ダブルトーク検出手段12がダブルトークを検出する動作について詳しく説明する。
第3図において、先に説明したように(a)は受信信号が有音の場合の周波数特性の例、(b)はハイパスフィルタ11の応答特性、(c)は低域抑圧受信信号の周波数特性である。また、(d)は(c)と同じ低域抑圧受信信号、(e)はダブルトーク検出手段12内のローパスフィルタの応答特性で、遮断周波数fcはハイパスフィルタ11のものと同じである。(f)は信号(d)をこのローパスフィルタを経て得られるローパスフィルタ出力である。ここで、ローパスフィルタ出力(f)の平均パワーは、式(7)のXlに相当するが、Xlの値はハイパスフィルタ11の低域抑圧効果のため、小さい値となる。
また、(g)は(c)の周波数特性を持つ低域抑圧受信信号がスピーカ3から音声となり、反響路を経てマイク4に入力して得られたエコー信号成分のみの場合の周波数特性である。(h)は(e)と同一のダブルトーク検出手段12内のローパスフィルタの応答特性、(i)はこのローパスフィルタの出力である。このローパスフィルタ出力(i)の平均パワーが式(7)のSlに相当するが、出力デジタル信号に近端話者の音声が無く、エコー信号のみであるため低域成分が少なく、この場合のSlはXlと同様の小さな値となる。
さらに、(j)は出力デジタル信号がエコー信号と近端話者の音声信号とからなる場合の周波数特性、(k)は(e)と同一のダブルトーク検出手段12内のローパスフィルタの応答特性、(l)はこのローパスフィルタの出力である。ローパスフィルタ出力(l)の平均パワーが式(7)のSlに相当するが、この場合、出力デジタル信号に近端話者の音声があるので低域成分が含まれ、エコー信号のみの場合のローパスフィルタ出力(i)のSlと比べ大きな値となる。
第3図に示したローパスフィルタ出力(i)と(l)の特性差を利用し、ダブルトーク検出手段12は、Slの値が小さくXlに近いとき、すなわち、式(7)が成り立たたないときは、出力デジタル信号にはエコーのみであるシングルトークと判定する。Slの値がXlよりかなり大きいとき、すなわち、式(7)が成り立つときは、ダブルトーク検出手段12は出力デジタル信号にエコー信号と近端話者の音声信号とからなるダブルトークと判定する。
Slは出力デジタル信号の低域成分のパワーであり、Sは出力デジタル信号の全帯域のパワーとみなせるが、ダブルトーク判定手段12は、Sを用いた式(5),(6)が成り立っても、Slを用いた式(7)が成り立たなければ、ダブルトークと判定しないので、式(7)を使わない従来のエコー処理装置よりも、エコーのみのシングルトークをダブルトークと誤判定することが少なく、精度の良いダブルトーク判定が行える。ただし、背景雑音の量が少ない場合はSlに含まれる背景雑音が少なく、Slの値の信頼性が高いと判断してp4を小さな値に設定するので、ダブルトークと判定し易くなっている。
ダブルトーク検出手段12は、受信信号が無音であるか、またはダブルトークの状態であるかを上記条件により判定して適応フィルタ手段8に判定信号として伝達する。適応フィルタ手段8は、ダブルトーク時か受信信号が無音である場合には適応フィルタ係数の更新を停止し、ダブルトークによるフィルタ係数の算出精度劣化を防止する。また、適応フィルタ手段8は、ダブルトーク時でなく、かつ受信信号が無音でもない場合に適応フィルタ係数の更新を開始する。
以上のように、この実施の形態1によれば、スピーカ3で再生できない受信信号の低城成分をハイパスフィルタ11で抑圧し、しかもこのハイパスフィルタ11の出力を適応フィルタ手段8にも入力するようにしたので、スピーカ3から出力されるエコー信号の非線形歪を低減でき、適応フィルタ手段8での適応フィルタ係数の算出精度の劣化を防いで擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
また、出力デジタル信号に含まれるエコー信号がハイパスフィルタ11で低域を抑圧されていることを利用してダブルトークの判定を行うようにしたので、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の精度劣化を防いで、擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
さらに、出力デジタル信号と低域抑圧受信信号の低域成分をローパスフィルタで抽出するようにしたので、比較的簡易な処理で出力デジタル信号と低域抑圧受信信号の低域成分を求めることができる。
実施の形態2.
実施の形態1のダブルトーク検出手段12において、ダブルトーク検出は、式(4)が不成立でかつ式(5)と式(7)が成立した場合、または式(4)と式(5)が不成立でかつ式(6)と式(7)が成立した場合をダブルトークと判定するようにした。しかし、ここでもしRsが大きく、例えば362を超える場合、すなわち背景雑音の量が少ない場合は式(4)が不成立で式(7)が成立する。このことを以って式(5)と式(6)の成立の可否に係わらずダブルトークと判定しても良い。したがって、背景雑音の量が少ない場合はSやEの値が小さくてもダブルトークを正確に検知でき、しかも背景雑音の量が大きい場合に誤ってダブルトークと判定することも防止される。
以上のように実施の形態2によれば、出力デジタル信号に含まれるエコー信号がハイパスフィルタ11で低域を抑圧されていることを利用し、出力デジタル信号に含まれる背景雑音成分が少ないときに出力デジタル信号の低周波数領域成分を主に用いてダブルトークの判定を行うようにしたので、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の精度劣化を防いで、擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
実施の形態3.
第4図はこの発明の実施の形態3によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図であり、図において、17はノイズサプレッサである。
その他の構成については、第2図と同一であり、ダブルトーク検出手段12の動作は実施の形態2と同一である。
次に動作について説明する。
ノイズサプレッサ17はA/D変換器6からの出力デジタル信号を入力し、出力デジタル信号に含まれる背景雑音成分を抑圧してダブルトーク検出手段12に出力する。この場合の背景雑音成分の抑圧方法としては、例えばSteven F.Boll,“Suppression of Acoustic noise in speech using spectral subtraction”,IEEE Trans.ASSP.Vol.ASSP−27,No.2,April 1979(文献4とする)に開示されているスペクトルサブトラクション法によって行われる。ダブルトーク検出手段12に入力される出力デジタル信号に含まれる背景雑音成分の量はノイズサプレッサ17によって減少されているので、算出されるRsの値が大きくなり、Rsが362を超える場合が増える。このため式(5)と式(6)の成立の可否に係わらず、(4)が不成立で式(7)が成立した場合にはダブルトークと判定される場合が増え、SやEの値が小さくてもダブルトークを正確に検知できる可能性が大きくなる。
なお、ノイズサプレッサ17はエコーキャンセラ手段7を迂回する位置に配置され、ノイズサプレッサ17で背景雑音を抑圧され変形を受けた出力信号はダブルトーク検出手段12に入力されるようにしているので、ノイズサプレッサ17の導入により適応フィルタ手段8で生成する擬似エコー信号が劣化することはない。
以上のように実施の形態3によれば、ノイズサプレッサ17で出力デジタル信号に含まれる背景雑音成分を抑圧するようにしたので、出力デジタル信号に背景雑音が含まれる場合でも精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の精度劣化を防いで、擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
実施の形態4.
第5図はこの発明の実施の形態4によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図であり、図において、13は設定周波数を記憶する記憶手段、14は記憶手段13の設定周波数を読み出し、ハイパスフィルタ15およびダブルトーク検出手段16に出力する制御CPUである。
また、ハイパスフィルタ15は予め異なる遮断周波数を有する複数のフィルタ素子からなり、制御CPU14から出力された設定周波数に対応した遮断周波数を選択し設定するハイパスフィルタ、16は予め異なる遮断周波数を有する複数のフィルタ素子を持つローパスフィルタからなり、制御CPU14から出力された設定周波数に対応した遮断周波数を選択し設定するダブルトーク検出手段である。
その他の構成については、第2図と同一である。
次に動作について説明する。
一般にスピーカ3が再生できる低域周波数の下限は、そのスピーカの性能によって異なる。予めハイパスフィルタ15には、スピーカ3で想定される再生可能な低域下限周波数に対応し、複数の遮断周波数を持つフィルタ素子を用意する。例えば、スピーカ3で予想される再生可能な低域下限周波数が300Hz〜600Hzであれば、100Hzおきに300Hz、400Hz、500Hz、600Hzの4種類の遮断周波数を持つフィルタ素子を用意する。同様に、ダブルトーク検出手段16内のローパスフィルタも300Hz〜600Hzまで100Hz間隔で4種類の遮断周波数を持つフィルタ素子を保持する。
記憶手段13には、例えばROMで構成され、設計時にスピーカ3の再生可能な低域下限周波数を測定し、それに対応した設定周波数を決め、製造時に記憶させておく。制御CPU14は、記憶手段13が記憶しているこの設定周波数の値を読み出し、ハイパスフィルタ15とダブルトーク検出手段16に出力する。
ハイパスフィルタ15は、この設定周波数の値に対応する遮断周波数、例えば、設定周波数が400Hzの場合は遮断周波数400Hzのフィルタ素子を選択して受信信号の低域成分を抑圧し、低域抑圧受信信号を出力する。
同様にダブルトーク検出手段16は、この設定周波数の値に対応する遮断周波数を持つフィルタ素子を選択して出力デジタル信号と低域抑圧受信信号との高域成分を抑圧する。そして、第2図で説明したダブルトーク検出手段12と同様の処理でXh,Xl,S,Sl、Eをそれぞれ求め、例えば、式(8)〜式(10)を用いてダブルトークの判定を行う。
Xh<p1 ・・・(8)
S+α(Sl−p4×Xl)
>p2×Xh (但しp2≦0.5) ・・・(9)
E>p3×S ・・・(10)
これら条件式により、式(8)が成立した場合は、受信信号が無音であると判定する。
また、式(8)が不成立でかつ式(9)が成立した場合は、ダブルトークであると判定する。
さらに、式(8)と式(9)が不成立でかつ式(10)が成立した場合は、エコー抑圧量が小さく、エコー信号以外の入力音が多いことによるダブルトークと判定する。
ここで、式(8)〜式(10)中のp1からp4は所定の定数であり、使用環境に応じて決定されるが、例えば、p1=1002、p2=0.5、p3=0.5、p4=1.0とする。また、式(8)では低域抑圧受信信号の平均パワーXhを用いて受信信号が無音であるか否かを判定したが、ハイパスフィルタ15を通る前の受信信号の平均パワーXを求めて式(8)に適用してもよい。
また、式(9)のαの値は、出力デジタル信号と低域抑圧受信信号の低域パワーSl,Xlの式(9)における寄与度を表すパラメータであり、制御CPU14から入力した設定周波数の値が高ければ大きく、低ければ小さく設定されるようにする。例えば、設定周波数が300Hzならばα=1.0、400Hzならばα=1.2、600Hzならばα=1.5に設定する。これは、設定周波数、すなわち低域下限周波数の値が高ければ、出力デジタル信号がエコー信号のみの場合とエコー信号と近端話者の音声信号とからなる場合とでSlの差が拡大し、Slのダブルトークを判定するためのパラメータとしての信頼性が向上することによるもので、信頼性の高いSlの寄与度αを増やすことでダブルトークの判定精度が向上できる。
第6図はこの発明の実施の形態4に係るフィルタの動作を示す説明図であり、ダブルトーク検出手段16のローパスフィルタを通過した出力デジタル信号の周波数特性を示したものである。図において、(a)は出力デジタル信号がエコー信号のみでローパスフィルタの低域下限周波数が低い場合であり、(b)は同じ信号構成で低域下限周波数が高い場合である。また、(c)は出力デジタル信号がエコー信号と近端話者の音声信号からなりローパスフィルタの低域下限周波数が低い場合であり、(d)は同じ信号構成で低域下限周波数が高い場6合である。(a)と(c)のパワー差より(b)と(d)のパワー差の方が大きく、ローパスフィルタの低域下限周波数が高い方がSlの信頼性が高いことが分る。
以上のように、この実施の形態4によれば、異なる遮断周波数を持つ複数のフィルタ素子からなるハイパスフィルタ15内に用意し、同様に異なる遮断周波数を持つ複数のフィルタ素子からなるローパスフィルタをダブルトーク検出手段16内に用意し、記憶装置13に記憶された設定周波数の情報に従ってハイパスフィルタおよびローパスフィルタの遮断周波数を切り替えるようにしたので、スピーカ3の種類が変わって遮断周波数が変更される場合でもハイパスフィルタおよびローパスフィルタを新たに導入する必要が無く、記憶手段13の設定周波数を書き換えるだけで簡易に対応できる。
また、ハイパスフィルタとローパスフィルタの遮断周波数に応じてダブルトーク条件式における出力デジタル信号の低域パワーの寄与度を変更させるようにしたので、精度良くダブルトークを判定でき、適応フィルタ係数の更新の停止および開始を正しく行い、適応フィルタ係数の精度劣化を防いで、擬似エコー信号とエコー信号の差異を小さくし、エコー抑圧量の減少を防止できる。
実施の形態5.
実施の形態1〜実施の形態4で説明したダブルトーク検出手段12,16では、出力デジタル信号の高域成分をローパスフィルタで抑圧して低域パワーを求めた。これらに代わって、出力デジタル信号を高速フーリエ変換(FFT)を用いてパワースペクトルに変換し、パワースペクトル上の遮断周波数以下の成分を加算することにより低域パワーを求めても良い。
以上のように、この実施の形態5によれば、FFTを用いて周波数軸上で低域パワーを求めるようにしたので、第3図の(h)に示されるローパスフィルタ特性、すなわち遮断周波数以降の抑圧特性に若干の傾斜を持つローパスフィルタに比べ、傾斜がなく急峻に低域を切り出してパワーを求めることができ、精度の良い低域パワーを求めることができる。
産業上の利用可能性
以上のように、この発明に係るエコー処理装置は、スピーカから出力されて反響路を経てマイクに入力される音響エコーを低減するのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、従来のエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。
第2図は、この発明の実施の形態1によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。
第3図は、この発明の実施の形態1によるハイパスフィルタの動作を示す説明図である。
第4図は、この発明の実施の形態3によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。
第5図は、この発明の実施の形態4によるエコー処理装置の構成を示すブロック回路図である。
第6図は、この発明の実施の形態4に係るハイパスフィルタの動作を示す説明図である。
Claims (10)
- デジタル信号からなる受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタと、前記ハイパスフィルタを通過した低域抑圧受信信号を音声信号に変換するD/A変換器と、前記音声信号に基づいた音響を出力するスピーカと、このスピーカから出力される音響のエコーが入力される可能性のあるマイクと、このマイクより出力される音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記ハイパスフィルタを通過して得られる低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、その擬似エコー信号を前記A/D変換器により出力されたデジタル信号から差し引いて送信信号を生成するエコーキャンセラ手段とを備えたエコー処理装置。
- デジタル信号からなる受信信号の低周波数領域成分を抑圧するハイパスフィルタと、前記ハイパスフィルタを通過した低域抑圧受信信号を音声信号に変換するD/A変換器と、前記音声信号に基づいた音響を出力するスピーカと、このスピーカから出力される音響のエコーが入力される可能性のあるマイクと、このマイクより出力される音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記ハイパスフィルタを通過して得られる低域抑圧受信信号に基づいて擬似エコー信号を生成し、その擬似エコー信号を前記A/D変換器により出力されたデジタル信号から差し引いて送信信号を生成するエコーキャンセラ手段と、前記A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出し、その低周波数領域成分に基づいてダブルトーク判定を行い、そのダブルトーク判定に基づいて前記エコーキャンセラ手段のフィルタ係数更新の停止および開始を制御するダブルトーク検出手段とを備えたエコー処理装置。
- ダブルトーク検出手段は、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分が小さい場合ほどダブルトークであると判定しにくくすることを特徴とする請求の範囲第2項記載のエコー処理装置。
- ダブルトーク検出手段は、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分が大きい場合ほどダブルトークであると判定し易くすることを特徴とする請求の範囲第2項記載のエコー処理装置。
- ダブルトーク検出手段は、A/D変換器により出力されたデジタル信号に含まれる背景雑音成分の量を計算し、背景雑音成分が小さい場合、前記デジタル信号の低周波数領域成分が大きいほどダブルトークであると判定し易くすることを特徴とする請求の範囲第2項記載のエコー処理装置。
- A/D変換器により出力されたデジタル信号の背景雑音成分を抑圧するノイズサプレッサを備え、ダブルトーク検出手段は、このノイズサプレッサから出力された背景雑音を抑圧された前記デジタル信号を入力することを特徴とする請求の範囲第2項記載のエコー処理装置。
- ダブルトーク検出手段は、ハイパスフィルタの遮断周波数に対応した遮断周波数を有するローパスフィルタにより、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出することを特徴とする請求の範囲第2項記載のエコー処理装置。
- 設定周波数を記憶する記憶手段と、前記記憶手段の設定周波数を読み出し、ハイパスフィルタおよびダブルトーク検出手段に出力する制御CPUとを備え、前記ハイパスフィルタは、予め異なる遮断周波数を有する複数のハイパスフィルタからなり、前記制御CPUから出力された設定周波数に対応した遮断周波数のハイパスフィルタを選択して受信信号の低周波数領域成分を抑圧し、前記ダブルトーク検出手段は、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分を抽出する際に、前記制御CPUから出力された設定周波数以下の低周波数領域成分を抽出することを特徴とする請求の範囲第2項記載のエコー処理装置。
- ダブルトーク検出手段は、A/D変換器により出力されたデジタル信号の低周波数領域成分のダブルトーク判定に対する寄与度を、設定周波数によって変更することを特徴とする請求の範囲第8項記載のエコー処理装置。
- ダブルトーク検出手段は、予め異なる遮断周波数を有する複数のローパスフィルタからなり、制御CPUから出力された設定周波数に対応した遮断周波数のローパスフィルタを選択して、A/D変換器により出力されたデジタル信号の高周波数領域成分を抑圧し、低周波数領域成分を抽出することを特徴とする請求の範囲第8項記載のエコー処理装置。
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