JPWO2002088066A1 - 芳香族ポリカルボン酸の精製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、芳香族ポリカルボン酸の精製方法に関し、詳しくはポリアルキル芳香族炭化水素の液相酸化により得られた粗芳香族ポリカルボン酸から重合阻害物質や着色原因物質を除去することにより、直接重合に使用して高分子量でかつ着色のないポリエステル樹脂等を得ることが可能となるような芳香族ポリカルボン酸の精製方法に関するものである。
背景技術
芳香族ポリカルボン酸は、化成品中間体として商業的に重要な品目であり、繊維やボトル、フイルム、電子材料用途に用いられるポリエステルやポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー等の原料として幅広い需要を持っている。
現在、工業的に幅広い用途を持つ芳香族ポリカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸の製造方法としては、キシレンや、ジアルキルナフタレン、ジアルキルビフェニル、テトラアルキルナフタレン、テトラアルキルビフェニル等のポリアルキル芳香族炭化水素を、酢酸溶媒中でCoやMn等の重金属と臭素化合物の存在下で、分子状酸素により高温、高圧で酸化する方法や、硝酸やクロム酸等の存在下で空気酸化する方法等が知られている。この酸化反応により得られる芳香族ポリカルボン酸には、酸化反応の中間生成物であるモノカルボン酸類やアルデヒド類、触媒由来の臭素付加物や金属成分、および構造不明の着色成分が不純物として含まれている。
また、近年ポリエステル等プラスチックのリサイクルの必要性が高まり、PETボトルの分解等により、原料の循環再利用が行われつつある。しかしながら、それらの分解により得られる芳香族ポリカルボン酸には、通常着色物質や異物等の不純物が含まれている。
これらの不純物を含む芳香族ポリカルボン酸をジオール類やジアミン類と重合する原料として用いた場合、得られる樹脂は耐熱性、機械的強度、寸法安定性等の物理的特性や機械的特性が低下するため、ポリエステルやポリアミド、ポリイミド等の原料として用いることができない。また、酸化して得られる粗芳香族ポリカルボン酸は、一般に黄色あるいは黒色に着色しており、ボトルやフィルム等、特に透明性の要求される用途にはそのまま用いることができない。、
このため、例えばテレフタル酸の精製方法としては、粗製のテレフタル酸を、水を溶媒として260〜280℃の高温で完全に溶解させた後、活性炭に担持されたパラジウム触媒を用いて水素化し、重合阻害物質、着色原因物質などの不純物を還元し、この溶液からテレフタル酸を晶析させる方法が広く行われており、直接重合に用いることが出来る精製テレフタル酸を得ることができる(特公昭41−16860号公報参照)。
この方法は、高温の水に溶け易いテレフタル酸であるが、生産性を高めるためには260〜280℃の高温とする必要があり、従って高圧が必要になり、高温のための副反応、例えば核水素化などが起り易く、また装置の腐食に配慮した材質等の選定が必要である。
また、ナフタレンジカルボン酸やビフェニルジカルボン酸は、テレフタル酸に比べて水への溶解度が一桁近く低いので、このような精製方法を適用しようとした場合、生産性良く精製するためには、280℃を超えた更なる高温を必要とし、実用化が極めて困難である。
一般に有機化合物の精製は、蒸留や晶析、吸着等の操作により、あるいはそれらの方法を組み合わせることにより行われる。しかしながら、芳香族ポリカルボン酸は、沸点よりも自己分解温度の方が低いため蒸留による精製が実質的に不可能である。また、芳香族ポリカルボン酸は、通常工業的によく用いられる溶媒に対して溶解度が低いため晶析による精製も困難である。特にナフタレンポリカルボン酸やビフェニルポリカルボン酸は、種々の溶媒に対して難溶性であり、工業的に有利な高純度ナフタレンポリカルボン酸や高純度ビフェニルポリカルボン酸の製造方法は未だ確立されていない。
発明の開示
本発明の目的は、上記のように精製が困難な芳香族ポリカルボン酸を効率良く精製し、直接重合に使用して高分子量でかつ着色のないポリエステル樹脂等を得ることが可能となるような芳香族ポリカルボン酸の精製方法を提供することである。
本発明者は上記の如き課題を有する芳香族ポリカルボン酸の精製方法について鋭意検討した結果、酸素不存在下で、スラリー状態、すなわち、水性媒体中で溶解した芳香族カルボン酸と不溶解芳香族カルボン酸が共存するような温度で、触媒成分が精製芳香族ポリカルボン酸に混入することを防止しつつ、金属触媒と接触させるようにすれば、低温で副生物の生成を抑制しつつ酸化反応の中間生成物や着色成分等の不純物が水素化ないし脱カルボニル化されて除去され、直接重合に使用して高分子量でかつ着色のないポリエステル樹脂等を得ることができ、生産性も良好に精製できることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、粗芳香族ポリカルボン酸を水性媒体中でスラリー化し、酸素不存在下で、触媒成分が結晶に混入することを防止しつつ、金属触媒と接触させることを特徴とする芳香族ポリカルボン酸の精製方法である。
発明を実施するための最良の形態
本発明で用いる芳香族ポリカルボン酸は、例えばベンゼン、ナフタレン、ビフェニル等の芳香族炭化水素に、2個以上のカルボキシル基が結合したものである。特に芳香族ポリカルボン酸の製造方法は特に限定されないが、例えば前記芳香族炭化水素にメチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基、あるいはホルミル基、アセチル基等の、酸化することによりカルボキシル基を形成する官能基を複数置換した化合物を原料として、酸化することにより得られる。
現在、工業的に幅広い用途を持つ芳香族ポリカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸等が挙げられる。
複数置換基を有する芳香族炭化水素を酸化して芳香族ポリカルボン酸に至るまでの中間体として生成するフォルミル化物、例えば、テレフタル酸の製造に際しては4−カルボキシベンズアルデヒド、ナフタレンジカルボン酸の製造に際してはフォルミルナフトエ酸は、除去困難な不純物であり、その後の重合に際しての重合阻害物質や着色原因物質となる。
本発明の方法において酸素不存在下で金属触媒と接触させることにより、粗芳香族ポリカルボン酸中の上記のような重合阻害物質や着色原因物質を水素化ないし脱カルボニル化するものであり、水素存在下で金属触媒と接触させた場合には重合阻害物質や着色原因物質の水素化が行なわれ、水素および酸素不存在下で金属触媒と接触させた場合には重合阻害物質や着色原因物質の脱カルボニル化が行なわれて、これらの不純物が除去される。
水素化や脱カルボニル化するための触媒は、精製条件下で活性があり、かつ劣化しにくい金属触媒なら如何なる触媒でも良く、担体に触媒成分を担持した触媒が一般に使用される。
担持される金属としては、第8族金属、すなわち、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジュウムなどの貴金属やコバルト、ニッケルなどが挙げられる。担体としては芳香族カルボン酸を含む高温水溶液に耐える活性炭が好ましい。
水素化や脱カルボニル化を行なう温度や圧力は、対象となる芳香族ポリカルボン酸の種類やその不純物の状態および用いられる触媒により異なり、副反応を抑制しつつ重合阻害物質や着色原因物質の水素化や脱カルボニル化が効率良く行われるような条件が選ばれる。
本発明の特徴は、スラリー状態、すなわち芳香族ポリカルボン酸が水性媒体中に一部溶解した状態で、触媒成分が精製芳香族ポリカルボン酸に混入することを防止しつつ、芳香族ポリカルボン酸と金属触媒を接触させることである。
このため水素化や脱カルボニル化を行なう温度は、対象となる芳香族ポリカルボン酸によって異なるが、先ず、溶解している芳香族ポリカルボン酸と溶解していない芳香族ポリカルボン酸が共存し、スラリー状態となる温度が選ばれる。
例えば、230℃におけるテレフタル酸の水への溶解度は、6.5g/100gであり、水量に対してテレフタル酸がこの溶解度を超える量であれば、溶解しているテレフタル酸と溶解していないテレフタル酸が共存するスラリー状態となる。
本発明において水素化や脱カルボニル化を均一な水溶液ではなく、不溶解芳香族ポリカルボン酸を含むスラリー液にて行うために、触媒の使用法は工夫を要する。
即ち、金属触媒と不溶解芳香族ポリカルボン酸が混合しないように触媒を保持しておく必要がある。例えば、スラリーのみが通過しうるバスケット内に触媒を保持してスラリー中に浸漬すれば、触媒粒子が精製芳香族ポリカルボン酸に混入することを防止できる。
スラリー濃度は不純物の水素化や脱カルボニル化を阻げず、かつ通常の工業的手段で移送できるような濃度に設定される。
水素存在下で芳香族ポリカルボン酸と金属触媒を接触させる場合は、芳香族ポリカルボン酸が水溶媒中に一部溶解した状態に、水素を吹き込むことによって水素化が達成される。
水素化における水素の分圧は上記より選定された温度において芳香族ポリカルボン酸の核水素化が起こらないように、かつ、重合阻害物質、着色原因物質フォルミル化物の水素化が効率良く行われるように選ばれる。
すなわち、過剰に水素化が行なわれると不純物が増加する。このため水素化するための水素分圧は0.1〜3MPaが好ましい。
酸素と水素の不存在下で芳香族ポリカルボン酸と金属触媒を接触させる場合には、系内の酸素が完全に無くなるように窒素等の不活性ガスで置換する必要がある。
本発明において酸素不存在下とは系内の酸素が完全に無くなるように窒素等の不活性ガスで置換された状態であり、系内の酸素が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の状態である。このために用いられる不活性ガスとしては、窒素が最も一般的であり、アルゴンも用いられるが、炭酸ガスは好ましくない。
滞留時間は、対象となる芳香族ポリカルボン酸の種類やその不純物の状況により異なり、水素化や脱カルボニル化がほぼ終了する時間が選定される。通常は0.5〜5時間程度である。
通常、水素化や脱カルボニル化がほぼ終了した時点で室温付近まで冷却し、得られた結晶を温水等でリンスした後、乾燥することにより精製された芳香族ポリカルボン酸が得られる。
本発明によれば、芳香族ポリカルボン酸を完全に溶解させるために大量の水を用いることがないので、反応器の容積も小さくなり、効率良く芳香族ポリカルボン酸の精製を行なうことができる。
また、本発明によれば、芳香族ポリカルボン酸を完全に溶解させるような温度に加熱する必要が無いので、高温加熱のための装置やユーテリテイが不要となる他、高温加熱による水素化ないし脱カルボニル化の過剰な進行や分解によるカルボキシル基の脱落および重合阻害物質や着色原因物質等の生成を回避することができ、高純度の芳香族ポリカルボン酸が容易に得られる。
更に、本発明によれば、沸点よりも自己分解温度の方が低いため蒸留による精製が実質的に不可能で、且つ、溶媒に対して溶解度が低いため晶析による精製も困難な芳香族ポリカルボン酸を精製することができ、直接重合に使用して高分子量でかつ着色のないポリエステル樹脂等を得ることが可能となるような芳香族ポリカルボン酸が得ることができる。
(実施例)
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
尚、本実施例において、着色性不純物の含有度合を示すファクターであるOD340およびOD400は以下の測定値である。
OD340:テレフタル酸2gを2N−KOH25mlに溶かし、50mmセルに入れて340nmの吸光度を測定する。
OD400:ナフタレンジカルボン酸1gを1N−KOH10mlに溶かし、10mmセルに入れて400nmの吸光度を測定する。
これらの数値はテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸中の着色性不純物、着色原因物質の量を反映しており、この値が低ければ着色性不純物は少ないことになる。
〔実施例1〕
4−カルボキシベンズアルデヒド(以下、4CBAと称す)を3500ppm含有しOD340が1.0である粗製テレフタル酸150gと水600gを攪拌機付きのオートクレーブに仕込んだ。攪拌機にはテレフタル酸スラリーが通過できるように孔を開けたバスケットを2個取付け、このバスケット中にPdを0.5%担持したヤシ殻活性炭20gを加えた。オートクレーブを閉じ、水素の分圧を0.2MPaとし、攪拌しつつ230℃に加熱した。230℃におけるテレフタル酸の水への溶解度によれば水600gに対してのテレフタル酸の溶解量は39gである。230℃に達してから2時間後に加熱を止め、室温にまで冷却後テレフタル酸を取出し、90℃の水でリンスした後、乾燥した。得られたテレフタル酸は、4CBAの含有量が10ppm、OD340が0.1であった。
このテレフタル酸をエチレングリコールと共に重縮合してポリエステルとした。生成したポリエステルのペレットは透明であった。
〔実施例2〕
ホルミエナフトエ酸を2600ppm含有し、OD400が1.0である粗2,6−ナフタレンジカルボン酸150gと水600gを実施例1と同じ攪拌機付きオートクレーブに仕込んだ。攪拌機には実施例1と同じく触媒20gが入ったバスケットが取付けた。水素の分圧を0.2MPaとし、攪拌しつつ280℃に加熱した。280℃における2,6−ナフタレンジカルボン酸の水への溶解度によれば、水600gに対しての2,6−ナフタレンジカルボン酸の溶解量は36gである。280℃に達してから2時間後に加熱を止め、室温までに冷却後、2,6−ナフタレンジカルボン酸を取出し、90℃の水でリンスし、乾燥した。得られた2,6−ナフタレンジカルボン酸は、ホルミエナフトエ酸の含有量が10ppm以下であり、OD400は0.040であった。
この2,6−ナフタレンジカルボン酸をエチレングリコールと共に重縮合してポリエステルとした。生成したポリエステルのペレットは透明であった。
〔実施例3〕
4CBAを3500ppm含有し、OD340が1.5である粗製テレフタル酸150gと水600gを攪拌機付きのオートクレーブに仕込んだ。攪拌機にはテレフタル酸スラリーが通気出来る様に穴をあけたバスケットを2個取り付け、このバスケット中にPdを0.5重量%担持したヤシガラ活性炭を20g加えた。オートクレーブを閉じ、窒素にて2Mpaまで加圧した後、常圧まで放圧することを5回繰り返すことで系内の酸素を完全に置換した。その後攪拌しつつ230℃に加熱した。230℃におけるテレフタル酸の水への溶解度によれば水600gに対してのテレフタル酸の溶解量は39gである。230℃に達してから2時間後に加熱を止め、室温まで冷却後テレフタル酸を取り出し、90℃の水でリンスした後、乾燥した。
得られたテレフタル酸は4CBAの含有率が10ppm、OD340が0.16であった。このテレフタル酸をエチレングリコールと共に重縮合してポリエステルとした。生成したポリエステルのペレットは透明であった。
〔比較例1〕
実施例3と同じ装置、同じ原料を使って、仕込み後窒素によって系内の酸素を置換することをしなかった以外は同様の操作を行ったところ、4CBAの含有率11ppm、OD340が0.34であった。このテレフタル酸をエチレングリコールと共に重縮合してポリエステルとしたところ生成したポリエステルのペレットは若干着色していた。
〔実施例4〕
フォルミルナフトエ酸を1400ppm含有しOD400が1.0である粗2,6−ナフタレンジカルボン酸80gと水600gを実施例3と同じ攪拌機付きオートクレーブに仕込んだ。攪拌機には、実施例3と同じように、Pdを0.5重量%担持したヤシガラ活性炭を20g加えた。オートクレーブを閉じ、窒素にて2MPaまで加圧した後、常圧まで放圧することを5回繰り返すことで系内の酸素を完全に置換した。その後攪拌しつつ280℃に加熱した。280℃における粗2,6−ナフタレンジカルボン酸の水への溶解度によれば水600gに対しての粗2,6−ナフタレンジカルボン酸の溶解量は36gである。280℃に達してから2時間後に加熱を止め、室温まで冷却後粗2,6−ナフタレンジカルボン酸を取り出し、90℃の水でリンスした後、乾燥した。得られた2,6−ナフタレンジカルボン酸はフォルミルナフトエ酸の含有率が50ppm、OD400が0.10であった。この2,6−ナフタレンジカルボン酸をエチレングリコールと共に重縮合してポリエステルとした。生成したポリエステルのペレットは透明であった。
〔比較例2〕
実施例4と同じ原料を使って、攪拌機に触媒を入れたバスケットを装着しなかった以外は同様の操作を行ったところ、4CBAの含有率1350ppmであり、OD340が0.9であった。
この粗2,6−ナフタレンジカルボン酸をエチレングリコールと共に重縮合してポリエステルとしたところ生成したポリエステルのペレットは着色していた。
〔実施例5〕
実施例4で使用した粗2,6−ナフタレンジカルボン酸150gと水600gを実施例3と同じ攪拌機付きオートクレーブに仕込んだ。攪拌機には実施例3と同じくPdを0.5重量%担持したヤシガラ活性炭を20g加えた。オートクレーブを閉じ、水素にて2MPaまで加圧した後、常圧まで放圧することを5回繰り返すことで系内の酸素を完全に置換した。その後水素の分圧を0.2MPaとし、攪拌しつつ280℃に加熱した。280℃における粗2,6−ナフタレンジカルボン酸の水への溶解度によれば水600gに対しての粗2,6−ナフタレンジカルボン酸の溶解量は36gである。280℃に達してから2時間後に加熱を止め、室温まで冷却後粗2,6−ナフタレンジカルボン酸を取り出し、90℃の水でリンスした後、乾燥した。得られた粗2,6−ナフタレンジカルボン酸はフォルミルナフトエ酸の含有率が検出限界以下、OD340が0.06であった。この2,6−ナフタレンジカルボン酸をエチレングリコールと共に重縮合してポリエステルとした。生成したポリエステルのペレットは透明であった。
産業上の利用可能性
本発明によれば、粗製の芳香族ポリカルボン酸を水性媒体中でスラリー化し、酸素不存在下で、触媒成分が結晶に混入することを防止しつつ、金属触媒と接触させ、重合阻害物質や着色原因物質の水素化や脱カルボニル化することにより、温度を下げることが出来るため、副反応が低減し、直接重合可能な品質の製品を生産性よく得ることができる。また、反応装置が小さくなると共に簡略化され、省エネルギーが図られる。
従って本発明の方法により、精製が困難な芳香族ポリカルボン酸を効率良く、工業的に極めて有利に、精製を行なうことができる。
Claims (8)
- 粗芳香族ポリカルボン酸を水性媒体中でスラリー化し、酸素不存在下で、触媒成分が結晶に混入することを防止しつつ、金属触媒と接触させることを特徴とする芳香族ポリカルボン酸の精製方法。
- 水素存在下で金属触媒と接触させる請求項1に記載の芳香族ポリカルボン酸の精製方法。
- 酸素および水素の不存在下で金属触媒と接触させる請求項1に記載の芳香族ポリカルボン酸の精製方法。
- 金属触媒が担体に第8族金属を担持したものである請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカルボン酸の精製方法。
- バスケット内に金属触媒を保持してスラリー中に浸漬することにより、触媒成分が精製芳香族ポリカルボン酸の結晶に混入することを防止する請求項1〜4に記載の芳香族ポリカルボン酸の精製方法。
- 芳香族ポリカルボン酸がテレフタル酸である請求項1〜5の何れかに記載の芳香族ポリカルボン酸の精製方法。
- 芳香族ポリカルボン酸が2,6−ナフタレンジカルボン酸である請求項1〜5の何れかに記載の芳香族ポリカルボン酸の精製方法。
- 芳香族ポリカルボン酸が4,4’−ビフェニルジカルボン酸である請求項1〜5の何れかに記載の芳香族ポリカルボン酸の精製方法。
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