JPWO2002063084A1 - 筒状編地に縄柄を編成する方法 - Google Patents

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Abstract

生産性の高い筒状編地に縄柄を編成する方法提供できるようにすることを目的とし、交差する二つの編目群を一方のニードルベッドに一列に並べ、これを他方のニードルベッドに移す時に交差させた、交差した編目群を前後のニードルベッドに掛止させることにより、両ニードルベッドに跨る部分に縄柄を形成する。

Description

技術分野
本発明は前後対に配設されたニードルベッドで編成される筒状編地に縄柄を形成する方法に関するものである。
背景技術
例えば筒状編地を編成する場合、前後に一対の針床を有する一般的な横編機(2枚ベッド)あるいは前記横編機の針床に更にもう一対の針床を配設させた横編機(4枚ベッド)が知られており、これら横編機の針床上には多数の針が植列されていて、編糸を給糸口によって前側のニードベッドの針から後側のニードベッドの針へとあるいはその逆に給糸して周回編成すると、筒状の編地を編成することができる。
かかる筒状編地に、本発明が課題とする縄柄を形成する場合の一般的な編成方法について説明する。
縄柄は隣り合う編目同士を交差させて置き換えることにより形成されるために交差柄あるいはケーブル柄と呼ばれ、交差させる編目の数によって1×1、2×2、3×3・・・の縄柄と呼ばれる。
更に、縄柄は互いに交差する編目の数は上記のように同数のものだけでなく、交差させる編目の数の組み合わせにより1×2、1×3、2×3・・・の縄柄も得ることができる。また、左右の編目または編目群を交差させる際に左右の何れの側の編目または編目群を交差の上側にするかによって更に2通りの組み合わせが可能となる。
例えば3×3の縄柄を2枚ベッドの横編機にて編成する場合として本出願人が特開平8−113853号として先に提案したものが知られている。
この公報の図3〜図6には二枚ベッド横編機によりセータの右側端に3×3の縄柄を形成する例が示されている。
前側ニードルベッドの編針H、I、Jに交差する左側の編目群▲1▼▲2▼▲3▼が係止され、交差の右側の編目群▲4▼▲5▼▲6▼が後側ニードルベッドの編針j、i、hに掛止されていて、交差によって右側の編目群が交差の上側にくる3×3の縄柄となっている。そして交差は概略以下の順で行われる。
図4−2で分離編みを行った後、図4−3で編目▲3▼、図4−4で編目▲2▼を後側ニードルベッドの編針G、Hに移し、続く図4−5で編目▲4▼、図5−1で編目▲5▼、図5−2で編目▲6▼を前側ニードルベッドの編針h、i、jに移す。
次の図5−3で編目▲1▼を後側ニードルベッドの編針Iに移した後、図5−4で編目▲4▼▲5▼▲6▼を後側ニードルベッドの編針hijに移すことにより各編目を左より▲3▼▲2▼▲4▼▲1▼▲5▼▲6▼の順に並べる。この時、編目▲3▼と▲2▼、および編目▲5▼と▲6▼との間には空き針g、Jが存在している。
続いて、図5−5で編目群▲4▼▲5▼▲6▼を前側ニードルベッドの編針H、I、Jに移し、図6−1で編目群▲1▼▲2▼▲3▼の夫々が前記編目群▲4▼▲5▼▲6▼の間に位置するように前側ニードルベッドに移し、然る後、図6−2で編目群▲1▼▲2▼▲3▼を後側ニードルベッドに移して交差を完了するようにしている。
上記手順によって形成された縄柄では前後のニードルベッドに移された編目が捻れ目となるこれに対して図8には目移しされる編目への給糸方向を逆にして編目を予め捻れた状態に形成し、続く目移しの際にこの捻れを解消させる方法が記載されている。
上記公報に記載されたものでは、交差する編目群の編目の1つづつを他方の編目群を飛び越して移動させるために、多大の手間が掛かり、生産性が低下するという問題があった。
しかも筒状の編地がリブ編み等を含んでいるためにニードルベッドの編針を1本置きに使用する所謂「針抜き」で使用されるような場合には、交差するために他方の編目群を飛び越す編目の移動距離が長く、糸切れが生じ易いことから、編成速度を上げることができないという問題もあった。
更に、交差する編目の数が多くなると編目を預けるための空き針の確保が困難になる。
本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、生産性の高い筒状編地に縄柄を編成する方法提供できるようにすることを目的とするものである。
発明の開示
上記目的を達成するために本発明にかかる筒状編地に縄柄を編成する方法は、少なくとも前後一対のニードルベッドを備えた横編機で筒状に編成される編地に縄柄を形成するようにした筒状編地に縄柄を編成する方法であって、両ニードルベッドの編針に亙る編地部分で交差させる編目群の一方の編目群を、その端の編目から順に他方の編目群に移して前後いずれか一方のニードルベッドの筒状編地編成領域の端部に並んだ状態にし、この並んだ状態の両編目群を他方のニードルベッドに移した後、他方のニードルベッドから一方のニードルベッドに移し返すときに交差させ、この交差した状態の両編目群の内側端の編目群をその端の編目から他方のニードルベッドに戻して筒状編地の側端に縄柄を編成するようにしたことを特徴とするものである。
次に、前後いずれか一方のニードルベッドの端部に交差させる編目群を並べた状態にして筒状編地を編成し、この並んだ状態の両編目群を他方のニードルベッドに移した後、他方のニードルベッドから一方のニードルベッドに移し返すときに交差させ、この交差した状態の両編目群の内端側の編目群をその端の編目から他方のニードルベッドに戻して更に筒状編地を編成するようにしたことも特徴とするものである。
発明を実施するための最良の形態
本発明の筒状編地に縄柄を編成する方法に係る一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、左右の脇線部分に縄柄を形成した無縫製のセータ(筒状編地)の概略正面図、図2は脇線部分(側縁部分)に形成された縄柄の形状を示す部分拡大図であって、図中符号1は、無縫製のセータ2に形成された3×3の縄柄を示し、この3×3の縄柄1は三つの編目(編目群)を交差させたもので、その編成手順を図3及び図4に基づいて説明する。
無縫製のセータ2の脇線部分に縄柄を編成する方法を実施するのに本例で使用する横編機は、二枚ベッド横編機であり、ニードルベッドの編針を1本置きに使用する所謂「針抜き」で編成される。
図3及び図4において左側に付した番号は縄柄形成用のコース数、英文字のFBは前側ニードルベッドを、BBは後側のニードルベッドを夫々示し、各ニードルベッドの上又は下の英文字は編針を示す。
また、右方に付されているものは前後のニードルベッドが揃っている縄柄形成開始時(図3のコース1)の状態を基準位置(0P)とした時の後側ニードルベッドのラッキング(移動)の量(ピッチ数)と方向を示す。
そして、各ニードルベッドの○は縄柄を形成するために操作される前側ニードルベッドの編み針に掛止されていた編目、●は同じく後側ニードルベッドの編み針に掛止されていた編目であって、□は○●以外の前後のニードルベッドの編目を示す。
図1に示すセータ2の裾のゴム編部分3が編成され、図3のコース1で示す縄柄形成開始時の状態から、後側のニードルベッドを右方に1ピッチ右方にラッキングしたコース2では、後側ニードルベッドの右端の編針kの編目を前側ニードルベッドの編針1に移すとともに、前側ニードルベッドの左端の編針Fの編目を後側ニードルベッドの編針Eに移す。
すると、前後のニードルベッドで編成されていた筒状の編地は、1目時計回りに回転したことになる。
ここで、本発明に言う回転とは編地全体が動くものではなく、前側ニードルベッドの一方の端の編目が増え、他方の端の編目が減ることにより恰も編地が回転したかのような状態を言う。
次に、コース3で、後側ニードルベッドを右方に5ピッチラッキングさせ、後側ニードルベッドの右端の編針iの編目を前側ニードルベッドの編針nに移すとともに、前側ニードルベッドの左端の編針Hの編目を後側ニードルベッドの編針Cに移して、前後のニードルベッドで編成されていた筒状の編地を更に1目時計回りに回転させた状態にする。
コース4では、後側ニードルベッドを右方に9ピッチラッキングさせ、後側ニードルベッドの右端の編針gに掛止された編目を前側ニードルベッドの編針pに移すとともに、前側ニードルベッドの左端の編針Jの編目を後側ニードルベッドの編針Aに移し、前後のニードルベッドで編成されていた筒状の編地を更に1目時計回りに回転させた状態にする。
すると、コース1の時に後側ニードルベッドの端部の編針g、i、kにあった編目は、前側ニードルベッドに順次送られた結果、セータ2の右方で縄柄を形成する編針がf、h、j・l、n、pに一列に並べられた状態になる。
また、前側ニードルベッドの端部の編針F、H、Jにあった編目は、後側ニードルベッドに順次送られた結果、左方で縄柄を形成する編目が隣接した状態で後側ニードルベッドの編針A、C、E・G、I、Kに一列に並べられた状態になる。
コース5で、後側ニードルベッドを基準位置から右に8ピッチ、コース4からは左方に1ピッチラッキングさせた状態にし、前側ニードルベッドの編針に一列に並べられた編針f、h、j・l、n、pの編目をこれに対面する後側ニードルベッドの編針X、Z、b・d、f、hに、後側ニードルベッドの編針A、C、E・G、I、Kの編目をこれに対面する前側ニードルベッドの編針I、K、M・O、Q、Sに夫々一旦移す。
然る後、コース6で、後側ニードルベッドを右方に14ピッチラッキングさせた状態にし、後側ニードルベッドの編針X、Z、bの編目を前側ニードルベッドの編針l、n、pに戻すとともに、前側ニードルベッドの編針O、Q、Sの編目を後側ニードルベッドの編針A、C、Eに戻す。
コース7では、後側ニードルベッドを右方に2ピッチラッキングさせた位置にし、後側ニードルベッドの編針編針d、f、hの編目を前側ニードルベッドの編針f、h、jに移すとともに、前側ニードルベッドの編針I、K、Mの編目を後側ニードルベッドの編針G、I、K、に移すと前後のニードルベッドの一端部に交差した縄柄が現れる。
コース8で、後側ニードルベッドを右方に9ピッチラッキングさせ、前側ニードルベッドの端の編針pに掛止されている編目を後側ニードルベッドの編針gに移し、後側ニードルベッドの編針Aの編目を前側ニードルベッドの編針Jに移すと、コース1からコース4で時計回り方向に3目回転していた筒状の編地は反時計回りに1目戻される。
そして、コース9及びコース10では、前記コース8と同様に後側ニードルベッドを移動させながら、前側ニードルベッドの編針n、lの編目を後側ニードルベッドの編針i、kに順次移し、後側ニードルベッドの編針C、Eの編目を前側ニードルベッドの編針H、Fに順次移すと、筒状の編地は更に反時計回り方向に回転し、コース1の状態に戻されて縄柄の形成が終了するのである。
尚、上記実施の形態で説明したように、3×3の縄柄を形成する場合には、編目群の交差が先に提案した技術のように一目づつ行うのではなく、図4のコース6及びコース7で示すように二コースで行えるので、編目が簡単に移しやすく、編成効率を向上できるが、上記のような3×3の縄柄を形成する場合に限られるものではない。即ち、本発明では特に、3×3以上の交差する編目の数が多い編成の場合にも目移しのための空き針を確保できるので有利である。
更に、上記実施例で形成される縄柄では交差部分の編目が捻れた状態となるが、これについては前述した特開平8−113853号公報に開示された捻れを解消る編み方適用することで、捻れを防ぐことや、目移しの際の糸切れを防ぐための分離編みを必要に応じて行うようにしてもよい。
要するに、本発明は筒状編地に縄柄を形成するために交差する二つの編目群を一方のニードルベッドに一列に並べ、これを他方のニードルベッドに移す時、若しくは移された編目群を一方のニードルベッドに移し返す時のいずれかに交差させた後、交差した編目群を前後のニードルベッドに掛止させることにより、両ニードルベッドに跨る部分に縄柄を形成するものである。
従って、本発明を実施する横編機は上記二枚ベッドに限られず、二枚ベッドにさらに一対のニードルベッドを備えた所謂「四枚ベッド」のものでにも実施することができるのは言うまでもないことである。
また、上記実施例では、縄柄を形成する部分で、編目群を一方のニードルベッドに並べるようにしてあるが、例えば図1のセータの場合に、裾のゴム編み部分を編成する時に、交差する編目群を予め前後いずれか一方のニードルベッドの端部に交差させる編目群を並べた状態、所謂「オフセット」させた状態にして身頃と袖の筒状編地をその接合点となる脇まで編成した後、「オフセット」を解除する向きに回転させて縄柄が脇ラインにくるようにしてから身頃と袖を接合させるようにしてもよい。
この場合では上記に示した実施例の場合に比べ縄柄を形成するために筒状編地を回転させる回数を少なくできる。あるいは裾ゴムが終わるまでは通常通りに編成し、裾ゴムの編成が終わってから筒状編地を回転させて交差する編地群を一方のニードルベッドに一列に並べた状態に維持させて縄柄を形成しながら筒状編地を脇まで編成し、脇のところで筒状編地を逆向きに回転させて縄柄が脇ラインにくるようにしてから身頃と袖を接合するようにしてもよい。
産業上の利用可能性
本発明にかかる筒状編地に縄柄を編成する方法は以上に説明したように、交差させる編目群を、前後いずれか一方のニードルベッドの筒状編地編成領域の端部に、並んだ状態にし、この並んだ状態のまま他方のニードルベッドに移した後、他方のニードルベッドから一方のニードルベッドに移し返すときに交差させ、交差させた編目を他方のニードルベッドから一方のニードルベッドに移し返すことにより筒状編地に縄柄を編成するようにしてあるので、交差させるたり、目移しする複数の編目を1度に移動させることができる。
これにより、上記公報に記載されたもののように、交差する編目群の編目の1つづつを他方の編目群を飛び越して移動させるために要する多大の手間が掛からず、生産性を大幅に向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
図1は、脇線部分に縄柄を形成した筒状編地であるセータの正面図、
図2は、縄柄部分の概略を示す拡大正面図、
図3は、縄柄形成のコース図、
図4は、縄柄形成のコース図である。

Claims (2)

  1. 少なくとも前後一対のニードルベッドを備えた横編機で筒状に編成される編地に縄柄を形成するようにした筒状編地に縄柄を編成する方法であって、両ニードルベッドの編針に亙る編地部分で交差させる編目群の一方の編目群を、その端の編目から順に他方の編目群に移して前後いずれか一方のニードルベッドの筒状編地編成領域の端部に並んだ状態にし、この並んだ状態の両編目群を他方のニードルベッドに移した後、他方のニードルベッドから一方のニードルベッドに移し返すときに交差させ、この交差した状態の両編目群の内側端の編目群をその端の編目から他方のニードルベッドに戻して筒状編地の側端に縄柄を編成するようにしたことを特徴とする筒状編地に縄柄を編成する方法。
  2. 少なくとも前後一対のニードルベッドを備えた横編機で筒状に編成される編地に縄柄を形成するようにした筒状編地に縄柄を編成する方法であって、前後いずれか一方のニードルベッドの端部に交差させる編目群を並べた状態にして筒状編地を編成し、この並んだ状態の両編目群を他方のニードルベッドに移した後、他方のニードルベッドから一方のニードルベッドに移し返すときに交差させ、この交差した状態の両編目群の内端側の編目群をその端の編目から他方のニードルベッドに戻して更に筒状編地を編成するようにしたことを特徴とする筒状編地に縄柄を編成する方法。
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