JPWO2002058124A1 - プラズマ装置及びプラズマ生成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、円偏波給電されたスロットアンテナを用いて容器内に供給した電磁界によりプラズマを生成するプラズマ装置及びプラズマ生成方法に関する。
背景技術
半導体装置やフラットパネルディスプレイの製造において、酸化膜の形成や半導体層の結晶成長、エッチング、またアッシングなどの処理を行うために、プラズマ装置が多用されている。これらのプラズマ装置の中に、スロットアンテナを用いて処理容器内に高周波電磁界を供給し、その電磁界により高密度プラズマを発生させる高周波プラズマ装置がある。この高周波プラズマ装置は、プラズマガスの圧力が比較的低くても安定してプラズマを生成することができるので、用途が広いという特色がある。
図11は、従来の高周波プラズマ装置の一構成例を示す図である。この図では、一部構成について縦断面構造が示されている。
このプラズマ装置は、上部が開口している有底円筒形の処理容器111を有している。この処理容器111の底部には基板台122が固定され、この基板台122の載置面に被処理体である基板121が配置される。処理容器111の側壁には、プラズマガス供給用のノズル117が設けられ、処理容器111の底部には、真空排気用の排気口116が設けられている。処理容器111の上部開口は、そこからプラズマが外部に漏れないように、誘電体板113で塞がれている。
この誘電体板113の上に、スロットアンテナの一種であるラジアルアンテナ130が配置されている。このラジアルアンテナ130は、ラジアル導波路133を形成する互いに平行な2枚の円形導体板131,132と、これらの導体板131,132の外周部を接続する導体リング134とから構成されている。
ラジアル導波路133の下面となる導体板131には、スロット136が複数形成されている。このスロット136は、図12に示すように、導体板131の径方向に垂直な周方向に沿って、同心円状に形成されている。
ラジアル導波路133の上面となる導体板132の中心部には、電磁界Fの導入口135が形成され、この導入口135に円筒導波管141によって高周波発生器144が接続されている。また、ラジアルアンテナ130に円偏波給電するため、円筒導波管141には円偏波変換器142が設けられている。
なお、ラジアルアンテナ130及び誘電体板113の外周は環状のシールド材112によって覆われ、電磁界Fが外部に漏れない構造になっている。
高周波発生器144から出力された電磁界Fは、円偏波変換器142によって円偏波に変換され、ラジアルアンテナ130に供給される。ラジアル導波路133内に導入された電磁界Fは、ラジアル導波路133の中心部から周縁部に向かって放射状に伝搬してゆく。そして、導体リング134に至った電磁界Fはそこで反射され、再度中心部に向かうことになる。電磁界Fは、このようにラジアル導波路133内を伝搬しながら、複数のスロット136から少しずつ放射されてゆく。スロット136から放射された電磁界Fは、誘電体板113を透過し、処理容器111内のガスを電離させて、基板121の上部空間Sにプラズマを生成する。
図13は、ラジアル導波路133内のある時点における電磁界Fの波面を示す概念図である。電磁界Fの進行波の波面は実線で示すような螺旋を描き、反射波の波面は点線で示すような螺旋を描く。進行波の磁流Im1及び反射波の磁流Im2は、それぞれの波面に沿って生じる。
上述したように、従来のラジアルアンテナ130では、放射面となる導体板131の周方向に沿ってスロット136が形成されている。このため、スロット136に対する反射波の磁流Im2の傾斜角度は、進行波の磁流Im1の傾斜角度と同程度となるので、スロット136からは進行波のみでなく、反射波も放射されやすい。
しかし、スロット136から放射される電磁界Fに、進行波と反射波の両成分が含まれていることが好ましくない場合がある。例えば、スロット間隔によって電磁界Fの放射方向を調整する場合には、反射波の割合が大きいと定在波となって放射されるため、所望の方向に電磁界Fを放射できない。
一方、ラジアル導波路133内に現れる定在波を積極的に利用する場合には、放射効率が不十分であり、効率よく処理容器111内に電磁界Fを供給することができなかった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、スロットアンテナ内部の電磁界の所望成分を選択的に取り出して容器内に供給し、プラズマ生成に利用することにある。
また、本発明の他の目的は、スロットアンテナ内部の電磁界を効率よく容器内に供給して、プラズマ生成に利用することにある。
発明の開示
このような目的を達成するために、この発明の一つの局面に従ったプラズマ装置は、放射面を有し、その放射面にスロットが複数形成されており、容器内に電磁界を供給するスロットアンテナと、スロットアンテナに円偏波を給電する給電手段とを備える。スロットアンテナの放射面の周方向に対するスロットの傾斜角度が放射面の中心部から周縁部に近づくにつれて小さくなるように複数のスロットが配置される。
このようなスロットパターンとすることにより、スロットの方向がアンテナ内部の電磁界の進行波の磁流の方向及び反射波の磁流の方向のいずれかに近づくので、進行波の磁流及び反射波の磁流のうち一方の使用効率が向上し、他方の使用効率が低下する。
好ましくは、スロットアンテナの複数のスロットは、放射面の中心部から周縁部に向かう螺旋に沿って形成されている。
この発明の別の局面に従ったプラズマ装置は、内部と放射面とを有し、その放射面にスロットが複数形成されており、容器内に電磁界を供給するスロットアンテナと、スロットアンテナに円偏波を給電する給電手段とを備える。スロットアンテナの複数のスロットは、スロットアンテナの内部の電磁界の波面に沿うように形成されている。
このように構成されたプラズマ装置では、スロットアンテナ内部の進行波、反射波及び定在波の何れかの波面に沿うようにスロットを形成することにより、その波の磁流の使用効率が向上する。
この発明の一つの局面に従ったプラズマ生成方法は、放射面を有し、その放射面にスロットが複数形成されており、放射面の周方向に対するスロットの傾斜角度が放射面の中心部から周縁部に近づくにつれて小さくなるように複数のスロットが配置されるスロットアンテナを準備する工程と、スロットアンテナに円偏波を給電することにより、容器内に電磁界を供給してプラズマを生成する工程とを備える。
このような工程を備えたプラズマ生成方法では、上記のスロットパターンとすることにより、スロットの方向がアンテナ内部の電磁界の進行波の磁流の方向及び反射波の磁流の方向のいずれかに近づくので、進行波の磁流及び反射波の磁流のうち一方の使用効率が向上し、他方の使用効率が低下する。
また好ましくは、スロットアンテナの複数のスロットは、放射面の中心部から周縁部に向かう螺旋に沿って形成されている。
この発明の別の局面に従ったプラズマ生成方法は、内部と放射面とを有し、その放射面にスロットが複数形成されており、複数のスロットは、内部の電磁界の波面に沿うように形成されているスロットアンテナを準備する工程と、スロットアンテナに円偏波を給電することにより、容器内に電磁界を供給してプラズマを生成する工程とを備える。
このような工程を備えたプラズマ生成方法では、スロットアンテナ内部の進行波、反射波及び定在波の何れかの波面に沿うようにスロットを形成することにより、その波の磁流の使用効率が向上する。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のプラズマ装置の第1の実施の形態の構成図である。この図では、一部構成について縦断面構造が示されている。
このプラズマ装置は、上部が開口している有底円筒形の処理容器11を有している。この処理容器11は、アルミニウムなどの導体で形成されている。処理容器11の上部開口には、厚さ20〜30mm程度の石英ガラス又はセラミック(Al2O3,AlNなど)などからなる誘電体板13が配置されている。処理容器11と誘電体板13との接合部にはOリングなどのシール部材14を介在させており、これにより処理容器11内部の気密性を確保している。
処理容器11の底部には、セラミックなどからなる絶縁板15が設けられている。また、この絶縁板15及び処理容器11底部を貫通する排気口16が設けられており、この排気口16に連通する真空ポンプ(図示せず)により、処理容器11内を所望の真空度にすることができる。また、処理容器11の側壁には、処理容器11内にArなどのプラズマガスやCF4などのプロセスガスを導入するためのノズル17が設けられている。このノズル17は石英パイプなどで形成されている。
処理容器11内には、被処理体である基板21が載置面上に配置される円柱状の基板台22が収容されている。この基板台22は、処理容器11の底部を遊貫する昇降軸23によって支持されており、上下動自在となっている。また、基板台22には、マッチングボックス25を介してバイアス用の高周波電源26が接続されている。この高周波電源26の出力周波数は数百kHz〜十数MHzの範囲内の所定周波数とする。なお、処理容器11内の気密性を確保するため、基板台22と絶縁板15との間に、昇降軸23を囲むようにベローズ24が設けられている。
また、誘電体板13の上に、スロットアンテナの一種であるラジアルアンテナ30が配置されている。このラジアルアンテナ30は、誘電体板13によって処理容器11から隔離されており、処理容器11内で生成されるプラズマから保護されている。ラジアルアンテナ30及び誘電体板13の外周は、処理容器11の側壁上に環状に配置されたシールド材12によって覆われ、電磁界Fが外部に漏れない構造になっている。
ラジアルアンテナ30の中央部は、円筒導波管41によって高周波発生器44に接続されている。この高周波発生器44は、1GHz〜十数GHzの範囲内の所定周波数の高周波電磁界Fを発生するものである。円筒導波管41の途中には、インピーダンスマッチングを図るためのマッチング回路43と、円筒導波管41を伝搬する電界の主方向を管軸を中心にして回転させる円偏波変換器42が設けられている。マッチング回路43は、円偏波変換器42とラジアルアンテナ30との間にあるのが望ましいが、高周波発生器44と円偏波変換器42との間にあってもよい。以上の円筒導波管41と円偏波変換器42とマッチング回路43と高周波発生器44とにより、ラジアルアンテナ30に円偏波給電する給電手段が構成される。
次に、ラジアルアンテナ30の構成について更に説明する。
ラジアルアンテナ30は、ラジアル導波路33を形成する互いに平行な2枚の円形導体板31,32と、これらの導体板31,32の外周部を接続してシールドする導体リング34とから構成されている。導体板31,32及び導体リング34は、銅又はアルミニウムなどの導体で形成されている。
ラジアル導波路33の上面となる導体板32の中心部には、ラジアル導波路33内に電磁界Fを導入する導入口35が形成され、この導入口35に円筒導波管41が接続されている。
ラジアル導波路33の内部において、導体板31の中心部には、導入口35に向かって突出する円錐部材37が設けられている。この円錐部材37も導体板31,32等と同じ導体で形成されている。この円錐部材37により、円筒導波管41を伝搬してきた電磁界Fをラジアル導波路33内へ良好に導波することができる。
ラジアル導波路33の下面となる導体板31には、ラジアル導波路33内を伝搬する電磁界Fを処理容器11内に供給するスロット36が複数形成されている。この導体板31がラジアルアンテナ30の放射面を構成する。
図2は、ラジアルアンテナ30の放射面の平面図である。また、図3は、ラジアル導波路33内のある時点における電磁界Fの波面を示す概念図である。
ラジアルアンテナ30に左旋円偏波を供給した場合、ラジアル導波路33の電磁界Fの進行波の波面は、図3の実線で示すような螺旋を描き、反射波の波面は図3の点線で示すような螺旋を描く。進行波の磁流Im1及び反射波の磁流Im2は、それぞれの波面に沿って生じる。なお、この螺旋の内周とその外周との間隔が、ラジアル導波路33内における電磁界Fの波長λgを表している。
このラジアルアンテナ30では、ラジアル導波路33の電磁界Fの進行波の波面に沿うようにスロット36が形成される。したがって、スロット36は、図2に示すように、導体板31の中心部から周縁部に向かう螺旋に沿って形成される。なお、スロット36の形状は、曲線状でもよいし、直線状でもよい。
図4は、スロット36の設計方法の説明図である。ラジアルアンテナ30に供給される円偏波の角周波数をω、光速をcとし、導体板31の径方向に垂直な周方向に対するスロット36の傾斜角度をθとすると、導体板31の中心Oから距離rの位置にあるスロット36は、
θ=tan−1[c/(rω)]
を満たすように形成される。光速cは一定であるのに対して、角速度rωはrと共に大きくなる。したがって、このラジアルアンテナ30ではスロット36の傾斜角度θは一定ではなく、図5に示すように導体板31の中心部から周縁部に向かって小さくなる。
次に、図1に示したプラズマ装置の動作を説明する。
基板21を基板台22の載置面に置いた状態で、処理容器11内を例えば0.01〜10Pa程度の真空度にする。この真空度を維持しつつ、ノズル17からプラズマガスとしてArを、またプロセスガスとしてCF4を供給する。この状態で、高周波発生器44からラジアルアンテナ30への円偏波給電を開始する。
高周波発生器44から出力された電磁界Fは、円形導波管41内をTE11モードで伝搬し、円偏波変換器42によって電界の主方向が管軸を中心にして回転させられ、この状態でラジアルアンテナ30の導入口35からラジアル導波路33内に導入される。
ラジアル導波路33内に導入された電磁界Fは、ラジアル導波路33内をTEモードで中心部から周縁部に向かって放射状に伝搬しながら、複数のスロット36から放射されてゆく。また、スロット36から放射されずに導体リング34に至った電磁界Fはそこで反射され、再度中心部に向かうことになる。以後、電磁界Fはラジアル導波路33を往復伝搬しながら、複数のスロット36から徐々に放射されてゆく。
上述したように、スロット36は、ラジアル導波路33内における電磁界Fの進行波の波面に沿うように形成されている。このため、スロット36の方向が、進行波の波面に沿うように生じる磁流Im1の方向と合致するので、進行波の磁流Im1の使用効率が向上する。したがって、スロット36から放射される電磁界Fの進行波成分が大きくなる。
一方、これによりラジアル導波路33内の反射波は弱まり、反射波の磁流Im2も小さくなる。また、スロット36に対する反射波の磁流Im2の傾斜角度は従来よりも大きいので、反射波の磁流Im2の使用効率は低下する。したがって、スロット36から放射される電磁界Fの反射波成分は小さくなる。
したがって、ラジアル導波路33内における進行波の波面に沿うようにスロット36を形成することにより、進行波を選択的に取り出して放射させることができる。
ラジアルアンテナ30から放射された電磁界Fは、誘電体板13を透過し、処理容器11内に供給される。そして、この電磁界Fの作用により処理容器11内のArが電離して基板21の上部空間Sにプラズマが生成され、またCF4が解離する。プラズマは、基板台22に印加されたバイアス電圧によってエネルギーや異方性がコントロールされ、基板21表面に付着したCFx(x=1,2,3)と共にプラズマエッチング処理に利用される。
図2に示したラジアルアンテナ30では、ラジアル導波路33内における電磁界Fの進行波を選択的に取り出すために、進行波の波面に沿うようにスロット36が形成されているが、反射波を選択的に取り出すためには、スロットを反射波の波面に沿って形成すればよい。
なお、進行波及び反射波のいずれを取り出す場合でも、ラジアルアンテナ30の放射面の周方向に対するスロット36の傾斜角度θが、中心部から周縁部に向かって小さくなるようにスロット36を形成すれば、本発明の効果を得られる。
また、放射面の径方向における隣接スロット間の間隔をλg程度として、ラジアルアンテナ30を放射型のアンテナとしてもよいし、上記間隔をλg/10〜λg/30程度として、リーク型のアンテナとしてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、本発明のプラズマ装置の第2の実施の形態を説明する。この形態は、処理容器11内に電磁界Fを供給するラジアルアンテナを除き、図1に示したプラズマ装置と同様の構成を有しているので、その説明を省略する。
図6は、この形態で使用されるラジアルアンテナの放射面の一構成例を示す平面図である。この図において、図2と同一部分又は相当部分を同一符号をもって示し、適宜その説明を省略する。
ラジアルアンテナ30Aの放射面は、半径が約2・λgの円形導体板31により構成されている。なお、λgは、ラジアルアンテナ30Aの内部、すなわちラジアル導波路33内における電磁界Fの波長である。
この導体板31は、導体板31の中心Oを共通の中心とする3つの同心円R1,R2,R3により、4つの領域に区分されている。3つの同心円R1,R2,R3の半径は、それぞれ約λg/2,λg,3・λg/2である。導体板31の4つの領域のうち、R1とR2に囲まれた領域と、R2とR3に囲まれた領域と、R3と外周に囲まれた領域のそれぞれに、スロット36Aが径方向に複数形成されている。
図7Aから7Cは、ラジアルアンテナ30Aの放射原理の説明図である。なお、図7Aはラジアル導波路33内のある時点における電界の波面を示す概念図、図7Bはラジアル導波路33の径方向の電界の波形を示す図、図7Cはラジアル導波路33の周方向の電界の波形を示す図である。
円偏波給電されたラジアルアンテナ30Aの内部では、ラジアル導波路33の中心部から周縁部に向かって放射状に伝搬してゆく電磁界Fの進行波と、導体リング34で反射されて中心部に向かって戻ってゆく反射波とが重なり、ラジアル導波路33の径方向に電界Eの振幅分布が定まった定在波が現れる。この定在波の径方向の電界波形は、図7Bに示すような波数が4の正弦波形となり、ラジアル導波路33の中心Oから径方向に約λg/2,λg,3・λg/2,2・λg離れた位置に定在波の節ができる。この位置は、上述した導体板31を4つの領域に区分する同心円R1〜R3の位置に相当する。
また、上記定在波の周方向の電界波形は、図7Cに示すような波数が1の正弦波形となる。図7CのA点〜D点は、図7AのA点〜D点に対応している。
上記定在波の電界Eの波面は図7Aの太線で示すようになり、この波面に沿うように磁流Im3が生じる。
この径方向に電界Eの振幅分布が定まった定在波は、ラジアル導波路33に供給された電磁界Fの周波数と同じ周波数でラジアル導波路33の周方向に回転する。例えば、電磁界Fの周波数が2.45GHzの場合には、定在波は2.45GHzの周波数で回転する。図8Aから図8Fは、この定在波が回転する様子を示す概念図である。なお、図8B〜図8Fは、図8Aからそれぞれ30°,60°,90°,120°,150°だけ位相が進んだ状態を示している。定在波が周方向に回転することは、図7Cに示した周方向の電界波形が周方向に回転することにほかならない。
定在波は径方向には移動しないので、図7Aに点線で示す定在波の節の部分に仕切りがあると想定すれば、ラジアル導波路33は矩形導波管のH面を円形に曲げて両端の開口を接続したものの組合せであると考えられる。このように考えれば、ラジアル導波路33の周方向に電界Eが回転することは、矩形導波管を電界が伝搬することに置き換えられる。この場合、矩形導波管のE面に管軸と直角方向のスロットを形成すれば電磁界Fが放射されるので、ラジアル導波路33では周方向と直角な方向のスロットを形成すればよいことになる。ここで、矩形導波管内にTE10モードの電磁界が伝搬する時電界の仮想的な電気力線が垂直に出入りする面をE面とし、それと直角な面をH面とした。実際、周方向と直角な方向すなわち径方向にスロット36Aを形成すれば、磁流Im3のうちラジアル導波路33の径方向に向かう磁流Imrが図9に示すようにスロット36Aを通過するときに、スロット36Aから電磁界Fが放射される。このとき、磁流Imrの方向がスロット36Aの方向と合致するので、磁流Imrを効率よく使用できる。
以上のように、同心円R1〜R3により区切られた導体板31上の各領域内に径方向にスロット36Aを形成することにより、電磁界Fの放射が可能になる。同心円R1〜R3の位置はラジアル導波路33内の定在波の節の位置に当たるため、導体板31の半径が約M×λg/2の場合、同心円R1〜R3の半径は約N×λg/2となり、導体板31の半径が約M×λg/2+λg/4の場合、同心円R1〜R3の半径は約N×λg/2+λg/4となる。ただし、Mは2以上の整数、Nは1〜(M−1)の整数である。
なお、電界Eの回転に伴って、ラジアル導波路33の径方向に向かう磁流Imrの位置も回転するので、周方向に隣り合うスロット36Aの間隔は任意である。
図10は、この第2の実施の形態で使用されるラジアルアンテナの他の構成例を示す平面図である。この図において、図6〜図9と同一部分又は相当部分を同一符号をもって示し、適宜その説明を省略する。
図10に示すラジアルアンテナ30Bの放射面を構成する導体板31には、導体板31の径方向のスロット36Aの他に、同心円R1〜R3上に周方向のスロット36Bが形成されている。上述したように、同心円R1〜R3の位置はラジアル導波路33内に現れる定在波の節の位置にあたり、この位置には磁流Im3のうち周方向に向かう磁流Imcが生じる。したがって、同心円R1〜R3上に周方向のスロット36Bを形成することにより、スロット36Bから電磁界Fを放射できる。しかも、磁流Imcの方向がスロット36Aの方向と合致するので、磁流Imcを効率よく使用できる。なお、スロット36Bの形状は、曲線状でもよいし、直線状でもよい。
このように、図10に示したラジアルアンテナ30Bは磁流Imr,磁流Imcの両方を使用するので、図6に示したラジアルアンテナ30Aよりも効率よく処理容器11に電磁界Fを供給できる。
以上説明したように、本発明では、放射面の周方向に対するスロットの傾斜角度が放射面の中心部から周縁部に向かって小さくなっているスロットアンテナを用いる。このようなスロットパターンとすることにより、スロットの方向がアンテナ内部の電磁界の進行波の磁流の方向及び反射波の磁流の方向のいずれかに近づくので、進行波の磁流及び反射波の磁流のうち一方の使用効率が向上し、他方の使用効率が低下する。よって、アンテナ内部の電磁界の所望成分を選択的に取り出して容器内に供給し、プラズマ生成に利用することができる。
また、本発明では、アンテナ内部の電磁界の波面に沿うようにスロットが形成されているスロットアンテナを用いる。アンテナ内部の進行波、反射波及び定在波の何れかの波面に沿うようにスロットを形成することにより、その波の磁流の使用効率が向上するので、スロットアンテナ内部の電磁界の所望成分を効率よく容器内に供給して、プラズマ生成に利用することができる。
産業上の利用可能性
本発明のプラズマ装置は、ECR(electron cyclotron resonance)プラズマ装置にも適用することができる。また、エッチング装置、プラズマCVD(chemical vapor deposition)装置などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のプラズマ装置の第1の実施の形態の構成図である。
図2は、図1に示したラジアルアンテナの放射面の平面図である。
図3は、ラジアル導波路内のある時点における電磁界の波面を示す概念図である。
図4は、図1に示したラジアルアンテナのスロットの設計方法の説明図である。
図5は、スロットの傾斜角度の径方向変化を示す概念図である。
図6は、本発明のプラズマ装置の第2の実施の形態で使用されるラジアルアンテナの放射面の一構成例を示す平面図である。
図7Aから7Cは、図6に示したラジアルアンテナの放射原理の説明図である。
図8Aから8Fは、ラジアル導波路内で定在波が回転する様子を示す概念図である。
図9は、図6に示したラジアルアンテナの放射原理の説明図である。
図10は、本発明のプラズマ装置の第2の実施の形態で使用されるラジアルアンテナの他の構成例を示す平面図である。
図11は、従来のプラズマ装置の一構成例を示す図である。
図12は、図11に示した従来のラジアルアンテナの放射面の一構成例を示す平面図である。
図13は、ラジアル導波路内のある時点における電磁界Fの波面を示す概念図である。
Claims (6)
- 放射面(31)を有し、その放射面(31)にスロット(36)が複数形成されており、容器(11)内に電磁界を供給するスロットアンテナ(30)と、
前記スロットアンテナ(30)に円偏波を給電する給電手段(41,42,43,44)とを備え、
前記スロットアンテナ(30)の前記放射面(31)の周方向に対する前記スロット(36)の傾斜角度が前記放射面(31)の中心部から周縁部に近づくにつれて小さくなるように複数の前記スロット(36)が配置される、プラズマ装置。 - 請求項1記載のプラズマ装置において、前記スロットアンテナ(30)の複数の前記スロット(36)は、前記放射面(31)の中心部から周縁部に向かう螺旋に沿って形成されている。
- 内部(33)と放射面(31)とを有し、その放射面(31)にスロット(36)が複数形成されており、容器(11)内に電磁界を供給するスロットアンテナ(30)と、
前記スロットアンテナ(30)に円偏波を給電する給電手段(41,42,43,44)とを備え、
前記スロットアンテナ(30)の複数の前記スロット(36)は、前記スロットアンテナ(30)の前記内部(33)の電磁界の波面に沿うように形成されている、プラズマ装置。 - 放射面(31)を有し、その放射面(31)にスロット(36)が複数形成されており、前記放射面(31)の周方向に対する前記スロット(36)の傾斜角度が前記放射面(31)の中心部から周縁部に近づくにつれて小さくなるように複数の前記スロット(36)が配置されるスロットアンテナ(30)を準備する工程と、
前記スロットアンテナ(30)に円偏波を給電することにより、容器(11)内に電磁界を供給してプラズマを生成する工程とを備えた、プラズマ生成方法。 - 請求項4記載のプラズマ生成方法において、前記スロットアンテナ(30)の複数の前記スロット(36)は、前記放射面(31)の中心部から周縁部に向かう螺旋に沿って形成されている。
- 内部(33)と放射面(31)とを有し、その放射面(31)にスロット(36)が複数形成されており、複数の前記スロット(36)は、前記内部(33)の電磁界の波面に沿うように形成されているスロットアンテナ(30)を準備する工程と、
前記スロットアンテナ(30)に円偏波を給電することにより、容器(11)内に電磁界を供給してプラズマを生成する工程とを備えた、プラズマ生成方法。
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