JPWO2002049935A1 - エアフィルタ用濾材巻取り製品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はエアフィルタ用濾材巻取り製品、特に半導体、液晶、バイオ・食品工業関係のクリーンルーム、クリーンベンチ等あるいはビル空調用エアフィルタ、空気清浄機用途などに使用されるエアフィルタ用濾材巻取り製品に関するものである。
背景技術
ガラス繊維を主体としたHEPA(高性能)エアフィルタ用濾材、ULPA(超高性能)エアフィルタ用濾材、中性能用エアフィルタ用濾材は、半導体、液晶、バイオ・食品工業関係のクリーンルーム、クリーンベンチ等あるいはビル空調用エアフィルタ、空気清浄機用途など様々な分野に使用されている。
近年の半導体製造工程ではLSIの集積度向上に伴い、クリーンルームを構成するエアフィルタやその他構成部材から発生するng/m3オーダーの微量ガス成分(以下アウトガスという)がシリコンウエハーやガラス基板上に付着し、半導体製品の歩留を下げる原因となり、大きな問題となっている。ここで問題とされるアウトガスの成分は、シリコンウエハーに付着しやすい有機物質全般であり、特に極性物質は付着しやすいと言われている。
またこれとは別に、近年の環境ホルモン問題や、シックハウス症候群に代表される揮発性有機物によるアレルギー等の健康被害問題がクローズアップされており、ビル空調や空気清浄機などに使用するエアフィルタからのアウトガスにも注意を払う必要が出てきた。特にカルボン酸エステル類のうち、フタル酸エステルであるDOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)、DBP(フタル酸ジ−n−ブチル)は環境ホルモンとして知られているものであり、制御すべき物質である。そして、この問題を解決するエアフィルタ用濾材として、濾材の使用素材を限定したWO97/04851、特開平10−244112号公報などが提案されている。
一方エアフィルタ用濾材は、フィルタ加工メーカーでプリーツ加工を行う際に連続的に加工されるため、エアフィルタ用濾材製造工場出荷時には、紙製、合成樹脂製、金属製等の巻芯に巻付けられた、巻取りロールの製品形態をとる。そして巻取りロールは、在庫中や輸送中に、ごみほこり防止、水がかかっても濡れないよう防湿目的でフィルム包装され、ダンボールなどの外箱に納められた梱包方法がとられる。
ここでエアフィルタユニットの梱包方法について特開平11−253715号公報によると、ガス状有機物を発生しない梱包材料を用いてガス状有機物が存在しない空間でエアフィルタの梱包を行なう梱包方法が開示されている。同公報には、組立環境及び梱包材料によって濾材にガス状有機物が吸着されたエアフィルタをそのままクリーンルームに設置すると、少なくとも設置後6カ月はクリーンルーム内にガス状有機物が放散されて、その空気を汚染する旨が記載されている。しかし同公報には、梱包材料として樹脂シートの樹脂種類及び可塑剤や酸化防止剤の種類を規定しているものの、上記以外の添加剤についての影響は考慮されておらず、梱包材からのアウトガス量の規定は無かった。しかも濾材巻取り製品の梱包方法の重要性には触れられていなかった。実際、エアフィルタは濾材をジグザグに折ったものをアルミフレーム、あるいは木枠で固定した形態をとるため、梱包状態では濾材表面が常に梱包材と接触、あるいはその近傍にあって、アウトガスに曝されやすい厳しい条件であり、一方エアフィルタ用濾材巻取り製品は梱包状態ではロールの上巻のみが梱包材と接触しているので、条件が全く異なるものである。従って、梱包したエアフィルタ用濾材巻取り製品について、アウトガスの観点からは全く考慮されていないのが現状であった。
発明の開示
しかし、本発明者らの最近の調査によると、エアフィルタ用濾材製品からのアウトガスの発生源は濾材の使用素材のみならず、濾材巻取り製品の梱包材、すなわち、被覆シート材や巻芯にも原因があることが分かってきた。すなわち、濾材製品の被覆シート材や巻芯から発生するアウトガスはほとんどロール上巻き表面、あるいは巻芯の巻付け部にとどまるが、ある特定のアウトガスは濾材製品ロールの内部まで浸透して輸送中や在庫期間中に濾材へ再吸着し、これが濾材使用時のアウトガス源となることを見出した。そこで梱包材から発生するアウトガス全ての種類について制御しなくても良いが、少なくとも浸透性のある特定アウトガスに対しては制御する必要性が出てきた。
すなわち本発明の目的は、製品輸送中や在庫期間中にアウトガスで二次汚染されることが無いエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することにある。すなわち梱包材料から発生するアウトガス量を極力低いレベルに制御することで、結果としてビル空調用、空気清浄機用、半導体工場等用途を問わず、エアフィルタ用濾材巻取り製品から発生するアウトガス量が問題とならないレベルに維持するエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することである。
本発明の目的は、エアフィルタ濾材の巻取り用紙製巻芯の製造に用いる接着剤のアウトガス発生量を規定することで、紙製巻芯から発生するアウトガス発生量を極力低いレベルに抑えたエアフィルタ用濾材巻取り製品用紙製巻芯を提供することである。また、この紙製巻芯を使用したエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することにある。
また本発明の目的は、エアフィルタ用濾材巻取り製品について在庫期間が例えば12ヶ月と長期間になってもアウトガスで二次汚染されることが無いエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することにある。
さらに本発明の目的は、保管環境の影響を遮断することで、保管場所の環境、外箱から発生するアウトガスの影響を受けずに在庫保管を長期間行うことができるエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することにある。
本発明の目的は、エアフィルタ用濾材、特にガラス繊維を主体繊維として形成したエアフィルタ用濾材の巻取り製品、さらにはその製品の紙製巻芯を提供することを目的とする。
本発明において、上記の課題を解決するための手段は次の通りである。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材を、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であるフィルム包装材で被覆包装したことを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けたエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯はフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品用紙製巻芯では、エアフィルタ用濾材を巻付けるための巻芯は、紙製であり、且つ該巻芯の製造時に使用する接着剤は、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々1000ng/g以下であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けたエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯は、紙製であり、且つ該巻芯の製造時に使用する接着剤は、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々1000ng/g以下であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材をフィルム包装材で被覆包装したエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯及び前記フィルム包装材のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス合計発生量が各々100ng/g以下であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材を、ガスバリヤー層をフィルム面の片面又は両面に有するフィルム包装材で被覆包装したことを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材を、アルミ箔シートで被覆包装したことを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材をフィルム包装材で被覆包装したエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であり、且つ前記フィルム包装材はガスバリヤー層をフィルム面の片面又は両面に有するフィルム包装材であるか、あるいはアルミ箔シートであることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品用紙製巻芯では、前記エアフィルタ用濾材は、ガラス繊維を主体繊維として形成されたエアフィルタ用濾材であることが好ましい。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品では、前記エアフィルタ用濾材は、ガラス繊維を主体繊維として形成されたエアフィルタ用濾材であることが好ましい。
なお本発明におけるフィルム包装材の概念には、アルミ箔シート等のシートを含む。
請求項1又は2記載の発明では、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であるフィルム包装材で被覆包装し、又はフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下である巻芯を使用したので、製品輸送中や在庫期間中にアウトガスで二次汚染されることが無いエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することができた。すなわち梱包材料から発生するアウトガス量を極力低いレベルに制御することで、結果としてビル空調用、空気清浄機用、半導体工場等用途を問わず、エアフィルタ用濾材巻取り製品から発生するアウトガス量が問題とならないレベルに維持したエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することができた。
請求項3及び4記載の発明では、エアフィルタ濾材の巻取り用紙製巻芯の製造に用いる接着剤のアウトガス発生量を規定することで、紙製巻芯から発生するアウトガス発生量を極力低いレベルに抑えたエアフィルタ用濾材巻取り製品用紙製巻芯、この紙製巻芯を使用したエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することができた。
請求項5記載の発明の発明では、巻芯及びフィルム包装材のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス合計発生量が各々100ng/g以下である巻芯及びフィルム包装材を使用したので、エアフィルタ用濾材巻取り製品について在庫期間が例えば12ヶ月と長期間になってもアウトガスで二次汚染されることが無いエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することができた。
請求項6〜8記載の発明では、ガスバリヤー層をフィルム面の片面又は両面に有するフィルム包装材あるいはアルミ箔シートでエアフィルタ用濾材を被覆包装するか、あるいはそれらのどちらか及びフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下である芯材を用いてエアフィルタ用濾材巻取り製品を包装することによって保管環境の影響を遮断したので、保管場所の環境、外箱から発生するアウトガスの影響を受けずに在庫保管を長期間行うことができるエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することができた。
請求項9、10の発明では、エアフィルタ用濾材、特にガラス繊維を主体繊維として形成したエアフィルタ用濾材の巻取り製品、さらにはその製品の紙製巻芯を提供することができた。
発明を実施するための最良の形態
以下本発明の詳細について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定して解釈されるものではない。
本発明のフィルム包装材あるいは巻芯は、酸化防止剤等に使用されるBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)に代表されるフェノール系化合物類、可塑剤等に使用されDOP、DBPに代表されるフタル酸エステル、マレイン酸エステルなどのカルボン酸エステル類、難燃剤等に使用されるTEP(リン酸トリエチル)、TBP(リン酸トリブチル)に代表されるリン酸エステル類、プラスチックの離型剤等に使用されるシリコーンオイル中に含有する環状シロキサン類の極力少ないものが使用される。そして、上記物質のアウトガス(以降、特定アウトガスとする)発生量は、各々100ng/g以下のものである。
ここで言うアウトガス発生量とは、試料を不活性ガス気流中で、80℃、1時間加熱し、試料から発生したアウトガスを吸着剤で捕集濃縮した後、ガスクロマトグラフ質量分析計で測定、ピーク面積からn−ヘキサデカン検量線によりn−ヘキサデカン換算で算出した試料1gあたりの数値である。
発明者らが鋭意検討した結果、上記特定アウトガスは特にガラス繊維表面に付着しやすく、巻取り製品を包装した際、特定アウトガスが製品ロール内部まで浸透して吸着する特性を持つことがわかった。特定アウトガスとしては、比較的沸点の高い分子量150以上のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、そして珪素数10以下の環状シロキサン類が特に吸着しやすい傾向がある。
通常、アウトガスは巻取りロール表面でガードされて内部まで浸透しにくいと思われるが、ガラス繊維濾材は印刷、包装など使用される一般用紙と異なり、空隙率が90〜95%程度、平均孔径も2〜100μm程度とかなり大きいため、オングストロームオーダーのアウトガスは巻取りロール表面、小口で遮断されることなく、比較的浸透しやすいと考えられる。また、ガラス繊維表面は、負に微帯電している酸素原子と、正に微帯電しているナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属原子が存在し、化学吸着しやすい状態にある。
一方、炭化水素あるいは上記物質以外のアウトガスは、直接接触している部分やその近傍は吸着するが、ロール内部まで浸透して吸着する特性は低い。これは、特定アウトガスに比べてガラス繊維表面に対する吸着特性が低いことが原因と考えられる。
すなわち、ガラス繊維への吸着特性が高い特定アウトガスに注目し、その量を制御すれば本発明の課題を解決できることが新たにわかった。その特定アウトガスとは、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、環状シロキサン類であり、これらは発明者らの鋭意検討による知見で選られたものである。
さらに、ガラス繊維以外の素材のエアフィルタ用濾材、すなわち有機化合繊不織布濾材やエレクトレット不織布濾材、PTFE膜濾材などにおいても、特定アウトガスはガラス繊維製濾材巻取り製品に対してと同様の挙動をすることがわかってきた。これは、エアフィルタ用濾材一般に、ガラス繊維製濾材と同様に空隙率と平均孔径が大きいためアウトガスが浸透しやすく、繊維表面の特定アウトガスに対する吸着特性も高くなっているものと考えられる。例えば、エレクトレット不織布濾材はポリプロピレン繊維表面が正負に分極して帯電した構造を持っており、化学吸着しやすい状態にあると考えられる。PTFE膜濾材は膜を延伸処理することでガラス繊維以上に細径の繊維を有しているため、比表面積が大きく、物理吸着しやすい条件にあると推測される。
在庫期間12ヶ月の梱包済み製品について、梱包材(フィルム包装材及び巻芯)と巻取り製品内部のアウトガス発生量の関係を調査した結果、前記、各特定アウトガスは、ほぼ濾材/梱包材=1/100〜1/1000であった。つまり、梱包材の各特定アウトガス量を100ng/g以下にすれば、梱包材由来による巻取り製品に再吸着した成分毎のアウトガス量は1〜0.1ng/g以下のオーダーに制御することが可能である。そしてこのオーダーであれば実質上問題は無い。
なお、本発明のアウトガス量測定の定量検出下限1ng/gである。1ng/g以上では、クリーンルーム内で問題となる可能性が高まる。また、巻取り製品の在庫期間は最長1年であることから、このアウトガス量の限定は最大値を見たものであり、これより短期在庫の製品は、梱包材等を起因とするエアフィルタ用濾材へ再吸着するアウトガスがより低減しているといえる。
本発明で使用されるフィルム包装材は、素材として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム材であって、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であるフィルム材の中から選択される。
また、包装材の形態としては、シート状のもの、筒型に成形し開放部の片側をヒートシール等の方法で閉じた袋状のものなどがあり、梱包作業、形態に支障が無い限り、特に限定されない。フィルムの厚みとしては10〜100μm程度、大きさについては巻取り製品が直径約30〜100cm、幅約20〜150cm程度まで様々あり、包装材としてこれら製品を包装・被覆できる大きさのものが必要である。
次に本発明の巻芯とは、抄紙機で連続的に製造されるエアフィルタ用濾材が、工程の最終パートで設定幅にスリッティングされた後、連続的に巻き取られる際に、最初に巻き付けられる筒状物のことである。
巻芯の素材としては、樹脂製、紙製、金属製の中から選択される。樹脂製としては、ABS樹脂、PP樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂など様々な素材が使われ、ガラス繊維や炭素繊維などで強化したものも使用できる。いずれにしてもフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下である巻芯を用いることが必要である。紙製としては、故紙やクラフト紙などに接着剤を塗布しながら筒状に巻いた、いわゆる「紙管」とも呼ばれるものである。金属製としては、鉄製、アルミ製などが使われるが、一般に高重量、あるいは高価であるため、使いづらい。筒状物の厚みは1mm程度〜数10mm程度、直径、幅は様々であり、製品の巻取条件、及び製品寸法に合ったものが選ばれる。
特に、樹脂製や紙製の巻芯は、樹脂の副原料や紙の接着剤に前記特定アウトガス成分が含まれている場合が多いので、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であるものを選定する。
特に紙製巻芯に使用される接着剤は、特定アウトガス成分のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が、接着剤固形分あたり各々1000ng/g以下のものを選定すべきである。これは、一般的に紙製巻芯が約10%以下の接着剤分を含有しており、前述の巻芯からのアウトガス発生量を各々100ng/g以下に制御するためである。紙製巻芯を使用することで、廃棄が容易となる。
梱包方法として、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であるフィルム包装材、あるいはフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下である巻芯のどちらか使用しても効果はあるが、フィルム包装材及び巻芯のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス合計発生量を各々100ng/g以下とすれば、最長1年間の在庫期間であっても、包装材は巻取り製品に問題となるような影響を与えないので、より望ましい。フィルム包装材のみ、あるいは巻芯のみをフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下とした場合には、在庫期間を短くするなどの対策が必要となる場合がある。
フィルム包装された巻取り製品は、前述の通り、輸送の際の強度保持や在庫時の積み上げ保管の目的で、ダンボール製あるいはその他素材の外箱に納められるが、これら素材からのアウトガスはフィルム包装材によりある程度遮断されるので、その分製品への吸着は防げる。ただし、完全なガス遮蔽効果はないため、フィルム包装材や巻芯ほど影響しないとは言え、外箱は特定アウトガス成分の少ないものを使用することが望ましい。
また、特定アウトガスのその他発生源として、輸送中や在庫している保管場所の環境の影響が挙げられる。この対策、あるいは前述の外箱対策として、製品ロールをガスバリヤー性包装材料で包装することは、一層好ましい梱包方法である。さらに、エアフィルタ用濾材あるいはその巻取り製品を最初にフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であるフィルム包装材で被覆包装し、さらにガスバリヤー性を有した包装材料で被覆包装することがより好ましい。
ガスバリヤー性包装材料としては、アルミ箔シート、あるいは少なくとも片面がアルミ、シリカ、又はアルミナを真空蒸着したフィルムが使用される。アルミ箔シートは、厚さ10〜50μm程度のものが使用され、これに紙、プラスチックフィルム、防湿セロハン、ワックスグラシン紙などを片面に貼り合わせたものも使用可能である。また、真空蒸着フィルムとしては、ポリエステル、PP、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのフィルムベースに、アルミニウム、シリカ、あるいはアルミナを50nm〜10μm程度蒸着したものが用いられる。フィルムベースとしては、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下のものが好ましいが、蒸着面を製品ロール側にして包装すれば、フィルムから発生するアウトガスを遮断できるので、これに限定するものではない。このことは、アルミ箔シートの片面貼り合わせにも同様のことが言える。なお、アルミ箔シートは破れやすく、ある程度の剛性を持つので濾材製品を傷つける場合があり、包装作業の際の取扱いには十分な注意が必要であるが、真空蒸着フィルムはこの点で比較的扱いやすい。アルミ箔シート、真空蒸着フィルムいずれも、ピンホールが極力無いものが好ましい。また、巻芯からのアウトガスは防ぎようがないので、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下の巻芯を併用することが、より望ましい。
ここで、本発明のアウトガスの測定方法として、いわゆるダイナミックヘッドスペース法を用いた。まず発生ガス濃縮導入装置(ジーエルサイエンス社製 MSTD−258)を用い、試料約0.2gを純度99.999%の不活性Heガス気流中(流量50ml/分)で、80℃、1時間加熱し、試料から発生したアウトガスを吸着剤(TENAX TA)で捕集濃縮し、270℃で再脱離させたガスをクライオフォーカスユニットでサンプルバンドを狭めた後、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製 GCMS−QP5050A)に導入して測定した。キャピラリーカラムは、TC−1(ジーエルサイエンス社製;0.25mm×60m、膜圧0.25μm)を用いた。質量分析計装置のイオン化法は電子衝撃法(イオン化電圧70eV)である。なお、発生したアウトガス成分は、試料を納め加熱する試験チャンバー、配管、その他部材に吸着しやすく、測定結果に影響を与えかねないので、材質等に配慮が必要である。ここでは、試験チャンバーは石英ガラス製を用い、流路配管はステンレス製で内部に石英コーティングしたものを用い、さらに微量ガスの吸着を防ぐため270℃で加熱した。
[実施例]
次に、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
[実施例1]
DBPのアウトガス量 53ng/gであるクラフト紙製巻芯市販品A(直径108mm、肉厚17mm、幅610mm)に巻付けたHEPA用濾材巻取り製品(610mm幅、1000m巻き)をBHTアウトガス量14ng/gであるポリエチレンフィルム袋市販品a(厚さ30μm)で包み、ダンボール箱に納めて梱包した。3ヶ月倉庫で在庫した後、製品ロールを裂き、ロール中央部(巻き長さ500m付近)よりサンプリングを行い、濾材のアウトガス測定を行った。なお、梱包前のHEPA用濾材からは、特定アウトガスは検出されなかった。
[実施例2]
実施例1において、梱包後巻取り製品の在庫期間を12ヶ月とした以外は、実施例1と同様にして、濾材のアウトガス測定を行った。
[実施例3]
実施例1において、フィルム梱包材をBHTアウトガス量252ng/gであるポリエチレンフィルム袋市販品b(厚さ50μm)とした以外は、実施例1同様にして、濾材のアウトガス測定を行った。
[実施例4]
実施例1のHEPA濾材を梱包する前に少量採取し、A4サイズでカットして100枚重ねとし、アルミ箔シート市販品α(厚さ12μm)を用い、同シートの非光沢面を内側にして包んだ。この際、ガスの侵入が無いように、シートの端は重ねて2重に折り込み、セロテープで止め、密封した。この被包装物をBHTのアウトガス量1140ng/gであるポリエチレンフィルム袋市販品c(厚さ30μm)であるフィルム包装材に包んで、疑似的にBHTガスを曝露させる環境をつくった。これを室内で3ヶ月放置した後、100枚重ねの濾材中層中央部よりサンプリングを行い、濾材のアウトガス測定を行った。
[比較例1]
DBPのアウトガス量 3800ng/g、BHTのアウトガス量387ng/gであるクラフト紙製巻芯市販品B(直径108mm、肉厚17mm、幅610mm)に巻付けたHEPA用濾材巻取り製品(610mm幅、1000m巻き)をBHTのアウトガス量1140ng/gであるポリエチレンフィルム袋市販品c(厚さ30μm)で包み、ダンボール箱に納めて梱包した。12ヶ月倉庫で在庫した後、濾材ロールを裂き、ロール中層中央部(巻き長さ500m付近)より、サンプリングを行い、濾材のアウトガス測定を行った。
[比較例2]
比較例1で倉庫の在庫期間を3ヶ月とした以外は比較例1と同様にして、濾材のアウトガス測定を行った。
[比較例3]
比較例2でフィルム包装材を実施例3のもの、すなわち市販品bとした以外は比較例2と同様にして、濾材のアウトガス測定を行った。
[比較例4]
実施例4で、アルミ箔シートの代わりに実施例1のフィルム包装材、すなわち市販品aとした以外は実施例4と同様にして、濾材のアウトガス測定を行った。
実施例1〜3及び比較例1〜3のアウトガス測定結果は、表1の通りとなった。
【表1】
各特定アウトガス量が100ng/g以下のフィルム包装材と巻芯を使用した梱包方法で3ヶ月在庫した実施例1においては、濾材からの特定アウトガスは全て定量下限以下であった。さらに、同様の方法で最長12ヶ月在庫した実施例2においても定量下限以下であった。
また、巻芯のみ特定アウトガス量各100ng/g以下である実施例3では、3ヶ月在庫で濾材からの特定アウトガスは全て定量下限以下であった。フィルム包装材、巻芯のどちらかが各特定アウトガス量100ng/g以下を満たさなくとも、在庫期間が短ければ問題とならない例である。
一方、フィルム包装材、巻芯ともに一部の特定アウトガス量が100ng/g以上である比較例1、2では、12ヶ月在庫のみならず3ヶ月在庫でも、濾材から特定アウトガス(BHT、DBP)が検出された。
比較例3では、実施例3のフィルム包装材を用いたにもかかわらず、DBPだけでなくBHTが検出された。これは、巻芯から発生したBHTガス分が付加されたためと考えられる。
実施例4及び比較例4のアウトガス測定結果は、表2の通りとなった。
【表2】
ガスバリヤー性を有したアルミ箔シートで包装した実施例4においては、フィルム材から発生するBHTガスを遮断したため、濾材から特定アウトガスは検出されなかった。一方、比較例4では、フィルム包装材のガスバリヤー性がアルミ箔シートより低いため、BHTガスがフィルムを透過して濾材に吸着し、これが検出されたと考えられる。
[実施例5]
東芝製空気清浄機の交換用フィルタ(CAF−45HIFS)について、外枠部と活性炭フィルタ部を取り除き取り出したエレクトレット不織布濾材(クーロンHEPAフィルター)を15×15cmの大きさにカットした。この濾材を吸引減圧下の容器に入れ、容器を90℃湯浴中で3日間加温するベーキング処理を行った。次にベーキング処理後の濾材を100枚重ねとし、実施例1のクラフト紙製巻芯Aを竹割方向で半分に割ったものにこれを重ね、これらを実施例1のポリエチレンフィルム袋市販品aで包んで、巻取り製品の梱包後に近い状態とした。これを室内で3ヶ月放置した後、100枚重ねの濾材中層中央部よりサンプリングを行い、濾材のアウトガス測定を行った。なお、ベーキング後の濾材からは、特定アウトガスは検出されなかった。
[実施例6]
アドバンテック東洋(株)製PTFE膜濾材(PTFEタイプメンブランフィルター T100A142C 寸法142φmm)を実施例5と同様のベーキング処理を行い、次にベーキング処理後の濾材を100枚重ねとしたものを実施例5と同様に処理し、濾材のアウトガス測定を行った。なお、ベーキング後の濾材からは、特定アウトガスは検出されなかった。
[比較例5]
実施例5で巻芯とフィルム包装材を比較例1のもの、すなわちクラフト紙製巻芯市販品Bとポリエチレンフィルム袋市販品cとした以外は実施例5と同様にして、濾材のアウトガス測定を行った。
[比較例6]
実施例6で巻芯とフィルム包装材を比較例1のもの、すなわちクラフト紙製巻芯市販品Bとポリエチレンフィルム袋市販品cとした以外は実施例6と同様にして、濾材のアウトガス測定を行った。
結果を表3に示す。
【表3】
各特定アウトガス量が100ng/g以下のフィルム包装材と巻芯を使用した梱包方法で3ヶ月在庫した実施例5においては、エレクトレット不織布濾材からの特定アウトガスは全て定量下限以下であった。
同じく、各特定アウトガス量が100ng/g以下のフィルム包装材と巻芯を使用した梱包方法で3ヶ月在庫した実施例6においては、PTFE膜濾材からの特定アウトガスは全て定量下限以下であった。
一方、フィルム包装材、巻芯ともに一部の特定アウトガス量が100ng/g以上である比較例5及び比較例6では、濾材から特定アウトガス(BHT、DBP)が検出された。
実施例5と実施例6の結果から、ガラス繊維を主体繊維として形成したエアフィルタ濾材のみならず、エレクトレット不織布濾材及びPTFE膜濾材に対しても、フィルム包材又は巻芯の特定アウトガス発生量を所定値以下に制御することは、在庫後のエアフィルタ濾材のアウトガス発生を抑制する点で有効であることがわかった。
産業上の利用可能性
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、半導体、液晶、バイオ・食品工業関係のクリーンルーム、クリーンベンチ等あるいはビル空調用エアフィルタ、空気清浄機用途などに使用される。
さらに本発明の目的は、保管環境の影響を遮断することで、保管場所の環境、外箱から発生するアウトガスの影響を受けずに在庫保管を長期間行うことができるエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することにある。
本発明の目的は、エアフィルタ用濾材、特にガラス繊維を主体繊維として形成したエアフィルタ用濾材の巻取り製品、さらにはその製品の紙製巻芯を提供することを目的とする。
本発明において、上記の課題を解決するための手段は次の通りである。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材をフィルム包装材で被覆包装したエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記フィルム包装材は、該フィルム包装材から発生するアウトガス全ての種類のうち、少なくとも、分子量150以上のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類及び珪素数10以下の環状シロキサン類の4種類の浸透性のある特定アウトガスについて、ダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下に制御したフィルム包装材であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けたエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯は、該巻芯から発生するアウトガス全ての種類のうち、少なくとも、分子量150以上のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類及び珪素数10以下の環状シロキサン類の4種類の浸透性のある特定アウトガスについて、ダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下に制御した巻芯であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品用紙製巻芯では、エアフィルタ用濾材を巻付けるための巻芯は、紙製であり、且つ該巻
芯の製造時に使用する接着剤は、該接着剤から発生するアウトガス全ての種類のうち、少なくとも、分子量150以上のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類及び珪素数10以下の環状シロキサン類の4種類の浸透性のある特定アウトガスについて、ダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々1000ng/g以下に制御した接着剤であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けたエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯は、紙製であり、且つ該巻芯の製造時に使用する接着剤は、該接着剤から発生するアウトガス全ての種類のうち、少なくとも、分子量150以上のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類及び珪素数10以下の環状シロキサン類の4種類の浸透性のある特定アウトガスについて、ダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々1000ng/g以下に制御した接着剤であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材をフィルム包装材で被覆包装したエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯及び前記フィルム包装材は、該巻芯及び該フィルム包装材から発生するアウトガス全ての種類のうち、少なくとも、分子量150以上のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類及び珪素数10以下の環状シロキサン類の4種類の浸透性のある特定アウトガスについて、ダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下に制御した巻芯及び該フィルム包装材であることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品は、エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材をフィルム包装材で被覆包装したエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯は、該巻芯から発生するアウトガス全ての種類のうち、少なくとも、分子量150以上のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類及び珪素数10以下の環状シロキサン類の4種類の浸透性のある特定アウトガスについて、ダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下に制御した巻芯であり、且つ前記フィルム包装材はガスバリヤー層をフィルム面の片面又は両面に有するフィルム包装材であるか、あるいはアルミ箔シートであることを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材巻取り製品用紙製巻芯では、前
環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス合計発生量が各々100ng/g以下である巻芯及びフィルム包装材を使用したので、エアフィルタ用濾材巻取り製品について在庫期間が例えば12ヶ月と長期間になってもアウトガスで二次汚染されることが無いエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することができた。
請求項8記載の発明では、ガスバリヤー層をフィルム面の片面又は両面に有するフィルム包装材あるいはアルミ箔シートでエアフィルタ用濾材を被覆包装し、且つフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下である芯材を用いてエアフィルタ用濾材巻取り製品を包装することによって保管環境の影響を遮断したので、保管場所の環境、外箱から発生するアウトガスの影響を受けずに在庫保管を長期間行うことができるエアフィルタ用濾材巻取り製品を提供することができた。
請求項9、10の発明では、エアフィルタ用濾材、特にガラス繊維を主体繊維として形成したエアフィルタ用濾材の巻取り製品、さらにはその製品の紙製巻芯を提供することができた。
発明を実施するための最良の形態
以下本発明の詳細について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定して解釈されるものではない。
本発明のフィルム包装材あるいは巻芯は、酸化防止剤等に使用されるBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)に代表されるフェノール系化合物類、可塑剤等に使用されDOP、DBPに代表されるフタル酸エステル、マレイン酸エステルなどのカルボン酸エステル類、難燃剤等に使用されるTEP(リン酸トリエチル)、TBP(リン酸トリブチル)に代表されるリン酸エステル類、プラスチックの離型剤
Claims (10)
- エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材を、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であるフィルム包装材で被覆包装したことを特徴とするエアフィルタ用濾材巻取り製品。
- エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けたエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯はフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であることを特徴とするエアフィルタ用濾材巻取り製品。
- エアフィルタ用濾材を巻付けるための巻芯は、紙製であり、且つ該巻芯の製造時に使用する接着剤は、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々1000ng/g以下であることを特徴とするエアフィルタ用濾材巻取り製品用紙製巻芯。
- エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けたエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯は、紙製であり、且つ該巻芯の製造時に使用する接着剤は、フェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々1000ng/g以下であることを特徴とするエアフィルタ用濾材巻取り製品。
- エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材をフィルム包装材で被覆包装したエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯及び前記フィルム包装材のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス合計発生量が各々100ng/g以下であることを特徴とするエアフィルタ用濾材巻取り製品。
- エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材を、ガスバリヤー層をフィルム面の片面又は両面に有するフィルム包装材で被覆包装したことを特徴とするエアフィルタ用濾材巻取り製品。
- エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材を、アルミ箔シートで被覆包装したことを特徴とするエアフィルタ用濾材巻取り製品。
- エアフィルタ用濾材を巻芯に巻付けた該エアフィルタ用濾材をフィルム包装材で被覆包装したエアフィルタ用濾材巻取り製品において、前記巻芯のフェノール系化合物類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類又は環状シロキサン類のダイナミックヘッドスペース法によるアウトガス発生量が各々100ng/g以下であり、且つ前記フィルム包装材はガスバリヤー層をフィルム面の片面又は両面に有するフィルム包装材であるか、あるいはアルミ箔シートであることを特徴とするエアフィルタ用濾材巻取り製品。
- 前記エアフィルタ用濾材は、ガラス繊維を主体繊維として形成していることを特徴とする請求項3記載のエアフィルタ用濾材巻取り製品用紙製巻芯。
- 前記エアフィルタ用濾材は、ガラス繊維を主体繊維として形成していることを特徴とする請求項1、2、4、5、6、7又は8記載のエアフィルタ用濾材巻取り製品。
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