JPWO2002037138A1 - 放射線検出器 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ファイバ光学プレートを備えた放射線検出器に関する。
背景技術
この種の放射線検出器として、例えば特開昭63−311193号公報、特開平1−227583号公報に開示されたようなものが知られている。この放射線検出器は、X線を光に変換する蛍光膜がX線入射側に形成されたファイバ光学プレートと、このファイバ光学プレートのX線出射側に光学的に接続される固体撮像素子とを備えている。
発明の開示
ところで、固体撮像素子の受光部の外側には受光部から信号出力を取り出すためのボンディングワイヤが配設されており、このボンディングワイヤとの干渉を回避するために、固体撮像素子に接続されるファイバ光学プレートのサイズは制限されてしまう。また、ファイバ光学プレートのX線入射面にシンチレータを形成する場合、ファイバ光学プレートの周辺部でシンチレータの膜厚が薄くなるために、この周辺で輝度低下を起こし、有効領域が狭くなってしまう。これらの点から、受光部の有効領域全体をX線受光(シンチレータ)有効領域とすることは困難であった。また、受光部の有効領域だけに、ファイバ光学プレートが位置する場合、ボンディングワイヤや受光部以外の固体撮像素子部分にX線が照射され、ノイズ発生や故障の原因となる。
上述した問題点を解決するために、本発明者等は、ファイバ光学プレートを、固体撮像素子の受光部上に接続され受光部の有効領域全面を覆う部分と、シンチレータの有効領域が受光部の有効領域以上となり固体撮像素子を覆う部分とで構成することで、受光部の有効領域全面をX線受光有効領域とし、X線によるノイズ発生を抑制することが可能な放射線検出器を新たに発案するに至った。
しかしながら、上述した構成のファイバ光学プレートを製造することは容易でなく、また、固体撮像素子の受光部にファイバ光学プレートを接続する際に、ボンディングワイヤと干渉してボンディングワイヤを切断する惧れを有していることが判明した。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、固体撮像素子の受光部の有効領域よりもシンチレータの有効領域を大きくしたファイバ光学プレートを、簡易に構成すると共に固体撮像素子に対して適切且つ精度よく組み付けることが可能な放射線検出器を提供することを目的とする。
本発明に係る放射線検出器は、受光部を有する固体撮像素子と、受光部の外側に配設され、受光部の信号出力を取り出すためのボンディングワイヤと、ボンディングワイヤに電気的に接続される内部配線を有し、固体撮像素子をその上に固定している固定基板と、その光出射面が受光部の受光面と光学的に接続される第1ファイバ光学プレートと、その光入射面が第1ファイバ光学プレートの光入射面の面積よりも大きい面積を有し、その光出射面が第1ファイバ光学プレートの光入射面と光学的に接続される第2ファイバ光学プレートと、第2ファイバ光学プレートの光入射面上に形成されているシンチレータと、ボンディングワイヤの放射線入射方向前方を遮蔽するように固定基板に固定された遮蔽板と、を備えており、遮蔽板には、ボンディングワイヤの放射線入射方向前方に位置する部分よりも内側に、第1ファイバ光学プレートが挿通可能であり受光部に対して第1ファイバ光学プレートを位置決めするための開口部が形成されていることを特徴としている。
本発明に係る放射線検出器では、第1ファイバ光学プレートと第2ファイバ光学プレートとを備え、第2ファイバ光学プレートの光入射面が第1ファイバ光学プレートの光入射面の面積よりも大きい面積を有し、第2ファイバ光学プレートの光入射面上にシンチレータを形成しているので、固体撮像素子の受光部の有効領域よりもシンチレータの有効領域を大きくしたファイバ光学プレートを簡易に構成することができる。また、ボンディングワイヤの放射線入射方向前方を遮蔽するように固定基板に固定された遮蔽板を備え、遮蔽板に、ボンディングワイヤの放射線入射方向前方に位置する部分よりも内側に、第1ファイバ光学プレートが挿通可能であり受光部に対して第1ファイバ光学プレートを位置決めするための開口部を形成することにより、第1ファイバ光学プレートを固体撮像素子に接続する際に、第1ファイバ光学プレートの位置決めを容易に行うことができると共に、第1ファイバ光学プレートとボンディングワイヤとが干渉してボンディングワイヤが切断されるのを遮蔽板で防ぐことができる。この結果、固体撮像素子に対して適切且つ精度よく組み付けることができる。
また、第1ファイバ光学プレートは、コア及びクラッドのみからなることが好ましい。このように、第1ファイバ光学プレートが光吸収体を含まず、コア及びクラッドのみからなることにより、固体撮像素子にて撮像した画像上にファイバ光学プレートの固定パターン(チキンワイヤ)が生じるのを防ぐことができる。
また、固体撮像素子、固定基板、第1ファイバ光学プレート及び第2ファイバ光学プレートを収納するための筐体を更に備えており、第2ファイバ光学プレートは、筐体に位置決めされていることが好ましい。このように構成することにより、第2ファイバ光学プレートを組み付ける際の位置決めを容易に行うことができる。
また、第1ファイバ光学プレートは、筐体に設けられた固定部に固定されていることが好ましい。このように構成することにより、第1ファイバ光学プレートを組み付ける際の固定を確実且つ容易に行うことができる。
また、シンチレータの表面に載置される窓部材を更に備えており、窓部材は、筐体に着脱可能に取付けられる押さえ部材により固定されることが好ましい。このように構成することにより、窓部材の着脱を容易に行うことができる。
また、第2ファイバ光学プレートは、第1ファイバ光学プレートに着脱可能に載置されていることが好ましい。このように構成することにより、第2ファイバ光学プレートの着脱が可能となり、シンチレータが形成された第2ファイバ光学プレートの交換を容易に行うことができる。
また、第2ファイバ光学プレートは、屈折率整合材を介して第1ファイバ光学プレートに載置されていることが好ましい。このように構成することにより、第2ファイバ光学プレートから第1ファイバ光学プレートに入射する光の損失を低減することができる。
また、第1ファイバ光学プレートの側面と開口部を形成する遮蔽板の縁部との間に生じる間隙には、遮光性を有する材料が塗布されていることが好ましい。このように、第1ファイバ光学プレートの側面と開口部を形成する遮蔽板の縁部との間に生じる間隙に遮光性を有する材料が塗布されることにより、第2ファイバ光学プレートの第1ファイバ光学プレートの光入射面に対応する部分以外で生じた光が上述した間隙を通って、第1ファイバ光学プレートの光入射面以外から第1ファイバ光学プレートに入射する、あるいは、固体撮像素子の受光部(受光面)に入射するのを妨げ、固体撮像素子にて撮像する画像周辺のバックグラウンドとなるのを防ぐことができる。
また、第1ファイバ光学プレートの遮蔽板よりも放射線入射方向前方側に位置する側面部分には、遮光性を有する材料が塗布されていることが好ましい。このように、第1ファイバ光学プレートの遮蔽板よりも放射線入射方向前方側に位置する側面部分に遮光性を有する材料が塗布されることにより、第2ファイバ光学プレートの第1ファイバ光学プレートの光入射面に対応する部分以外で生じた光が第1ファイバ光学プレートの側面から入射するのを妨げ、固体撮像素子にて撮像する画像周辺のバックグラウンドとなるのを防ぐことができる。
また、第1ファイバ光学プレートの光入射面は、遮蔽板よりも放射線入射方向前方に位置していることが好ましい。このように、第1ファイバ光学プレートの光入射面が遮蔽板よりも放射線入射方向前方に位置することにより、固定基板に遮蔽板を固定した後に第1ファイバ光学プレートを固体撮像素子に接続する際に、第1ファイバ光学プレートの位置決め及び挿通を極めて容易に行うことができ、組み付け作業性を向上できる。
また、第1ファイバ光学プレートの光出射面の面積は、受光部の有効領域の面積よりも大きく設定されていることが好ましい。このように、第1ファイバ光学プレートの光出射面の面積が受光部の有効領域の面積よりも大きく設定されることにより、受光部の有効領域全体において放射線を確実に検出することができる。
また、遮蔽板は放射線を遮蔽する材料からなることが好ましい。このように、遮蔽板が放射線を遮蔽する材料からなることにより、ボンディングワイヤや受光部以外の固体撮像素子部分に放射線が入射するのを抑制し、放射線照射によるノイズの発生を低減することができる。
また、第2ファイバ光学プレートの光出射面の面積は、第2ファイバ光学プレートがボンディングワイヤの放射線入射方向前方を遮蔽するように設定されていることが好ましい。このように、第2ファイバ光学プレートの光出射面の面積が、第2ファイバ光学プレートがボンディングワイヤの放射線入射方向前方を遮蔽するように設定されることにより、ボンディングワイヤや受光部以外の固体撮像素子部分に放射線が入射するのを抑制し、放射線照射によるノイズの発生を低減することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しながら本発明による放射線検出器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。本実施形態においては、本発明をX線検出器に適用した例を示す。
まず、図1〜図4を参照して、X線検出器1の概略構成について説明する。X線検出器1は、筐体11、筐体11内に配置されたX線検出部21、同じく筐体11内に配置された駆動回路部81等を備えている。筐体11は、ベース部12と、正面部13と、側面部14と、裏面部15とからなり、これらの部材をネジ止めすることにより略直方体形状を呈した筐体11が構成される。X線検出部21及び駆動回路部81は、ベース部12、正面部13、側面部14、及び裏面部15で画成される内部空間内に配設、固定される。X線は、筐体11の正面部13側から入射する。
ベース部12は、X線を遮蔽するようにステンレス鋼製の部材からなる。正面部13は、ベース部12と同様にステンレス鋼製の部材からなり、X線の入射領域を規定する略円形状の開口部13aが形成されている。開口部13aの段部13bには、X線を透過させる窓部材16が外側から取り付けられて固定されている。窓部材16は、厚さ1mm程度のアルミニウム製あるいはアモルファスカーボン製の部材からなり、円板形状を呈している。側面部14は、X線を遮蔽するように、厚さ1mm程度のステンレス鋼製の外側板材14aと厚さ1mm程度の鉛製の内側板材14bとで構成されている。裏面部15は、ステンレス鋼製の部材からなり、駆動回路部81に接続される画像信号出力端子17、電源を供給するための電源コネクタ18等が設けられている。
次に、図5及び図6を参照してX線検出部21の構成を説明する。X線検出部21は、固定基板22、固体撮像素子31、第1ファイバ光学プレート41、第2ファイバ光学プレート51、遮蔽板71等を含んでいる。固定基板22はセラミック製の部材からなり、固体撮像素子31を載置固定するものである。固定基板22は、固体撮像素子31を載置して収容する凹部23を有している。固体撮像素子31は、凹部23の底面に載置固定される。凹部23の固体撮像素子31が固定された部分の外側には、複数の電極パッド24が配列されている。これらの電極パッド24は、固定基板22の裏面に配置されている外部接続用の電極端子25と固定基板22を貫通している内部配線26によって電気的に接続されている。
固体撮像素子31は、シリコン基板に形成されたCCDイメージセンサからなり、光電変換素子32の配列された部分が受光部を形成している。固体撮像素子31の受光部の有効領域Aは、図1に示されるように、6.6mm×8.8mm程度の矩形形状を呈している。各光電変換素子32は図示していない信号ラインによって固体撮像素子31の端部(受光部の外側)に配置された電極パッド33のうち対応する電極パッド33と電気的に接続されている。
固体撮像素子31は固定基板22上にそれぞれの対応する電極パッド24,33同士が近接するように載置されており、対応する電極パッド24,33同士はボンディングワイヤ34によって電気的に接続されている。ボンディングワイヤ34は、光電変換素子32(受光部)の信号出力を取り出すためのもので、固体撮像素子31の受光部(光電変換素子32の配列された部分)の外側に配設される。電極パッド33は、ボンディングワイヤ34、電極パッド24、内部配線26、及び、電極端子25と電気的に接続されることになる。
第1ファイバ光学プレート41は、略直方体形状を呈しており、共に7mm×13mm程度の矩形形状を呈した光入射面42と光出射面43とを有している。第1ファイバ光学プレート41の厚さは、8mm程度に設定されている。この第1ファイバ光学プレート41は、光吸収体を含まず、コアガラス材料からなるコア及びクラッドガラス材料からなるクラッドのみで構成される。第1ファイバ光学プレート41は、光出射面43が固体撮像素子31の受光部の受光面35と光学的に接続された状態で固定される。第1ファイバ光学プレート41が固定される位置は、図1に示されるように、X線入射方向から見て固体撮像素子31の受光部の有効領域Aが第1ファイバ光学プレート41の光入射面42及び光出射面43の内側に含まれるように設定されている。
第2ファイバ光学プレート51は、略円柱形状を呈しており、共に直径27mm程度の円形状を呈した光入射面52と光出射面53とを有している。第2ファイバ光学プレート51の光入射面52及び光出射面53の面積は、第1ファイバ光学プレート41の光入射面42及び光出射面43の面積よりも大きい。第2ファイバ光学プレート51の厚さは、3mm程度に設定されている。この第2ファイバ光学プレート51は、コアガラス材料からなるコア、クラッドガラス材料からなるクラッドコアガラス、及び、光吸収性ガラス材料からなる光吸収体とで構成される。第2ファイバ光学プレート51は、光出射面53が第1ファイバ光学プレート41の光入射面42と光学的に接続された状態で固定される。なお、第2ファイバ光学プレート51の光入射面52及び光出射面53の面積(X線入射方向から見たときの大きさ)は、図5に示されるように、第2ファイバ光学プレート51自体がボンディングワイヤ34のX線入射方向前方を遮蔽するように設定されている。筐体11の正面部13に形成された開口部13aの直径は28mmに設定されており、第2ファイバ光学プレート51の直径よりも僅かに大きく、この開口部13aにより第2ファイバ光学プレート51の位置決めがなされる。
第2ファイバ光学プレート51の光入射面52には、図7にも示されるように、入射したX線を光電変換素子32が感度を有する波長帯の光に変換するシンチレータ61が形成されている。シンチレータ61は、CsI、NaI等の柱状結晶、あるいは、Gd2O2S等の粉状結晶からなる。シンチレータ61の表面には、有機膜62がコーティングされている。有機膜62は、シンチレータ61が空気に触れるのを防止して、潮解性による発光効率の劣化を防いでいる。有機膜62は、X線透過性が高く且つ水蒸気及びガスの透過が極めて少ない、ポリパラキシレン(スリーボンド社製、商品名パリレン)、ポリパラクロロキシリレン(同社製、商品名パリレンC)等のキシレン系樹脂からなり、CVD(化学的蒸着)法等を用いることで形成される。これらのパリレンによるコーティング膜は、水蒸気及びガスの透過が極めて少なく、撥水性、耐薬品性も高いほか、薄膜でも優れた電気絶縁性を有し、放射線、可視光線に対して透明であるなど有機膜62にふさわしい優れた特徴を有している。
有機膜62の外側(あるいは内側)は、金、銀、アルミニウム等からなる反射薄膜63がコーティングされている。反射薄膜63は、シンチレータ61で発生した光のうち、固体撮像素子31(第1ファイバ光学プレート41)側でなく、X線入射面側に向かう光を反射することで発光量の損失を低減し、検出器の検出感度を増大させることができる。また、反射膜は、外部からの直接光を遮断することもできる。
ところで、シンチレータ61の厚みは製法上周辺部で薄くなり、X線の発光効率が低下する。このため、本実施形態は、シンチレータ61が形成される第2ファイバ光学プレート51の光入射面52の面積を第1ファイバ光学プレート41の光入射面42の面積を大きく設定することで、シンチレータ61の有効領域(X線受光有効領域)の面積は、第1ファイバ光学プレート41の光入射面42の面積よりも大幅に大きくなっている。
遮蔽板71は、図5に示されるように、凹部23を覆ってボンディングワイヤ34のX線入射方向前方を遮蔽するように固定基板22に固定されている。遮蔽板71は、厚さ1mm程度のステンレス鋼製の板状部材からなり、X線及び可視光線を遮蔽する。遮蔽板71には、ボンディングワイヤ34のX線入射方向前方に位置する部分よりも内側に、第1ファイバ光学プレート41が挿通可能であり固体撮像素子31(受光部)に対して第1ファイバ光学プレート41を位置決めするための開口部72が形成されている。この開口部72の大きさは、7.5mm×13.5mm程度に設定されている。第1ファイバ光学プレート41は、遮蔽板71を貫通した状態で固体撮像素子31に固定され、第1ファイバ光学プレート41の光入射面42は、遮蔽板71よりもX線入射方向前方に位置する。
第1ファイバ光学プレート41の側面と開口部72を形成する遮蔽板71の縁部との間に生じる間隙、及び、第1ファイバ光学プレート41の遮蔽板71よりもX線入射方向前方側に位置する側面部分には、遮光性を有する材料として黒色のモールド剤73(たとえば、ポリエーテル変性物)が全周にわたって塗布、充填され、第1ファイバ光学プレート41を遮蔽板71に固定している。
駆動回路部81は、固定基板22の電極端子25と電気的に接続されており、電極端子25から出力される画像信号に所定の演算処理を行う演算処理部、演算処理部の出力を増幅する増幅部等を有している。
次に、上述した構成のX線検出器1の組立方法について説明する。まず、筐体11内部に固体撮像素子31が載置固定された固定基板22を駆動回路部81と共に固定する。このとき、固体撮像素子31は光電変換素子32(受光部)の受光面35を表にして載置して図6にも示されるように既に固定され、対応する電極パッド24と電極パッド33とはボンディングワイヤ34により電気的に接続されている。
次に、遮蔽板71を、遮蔽板71に形成された開口部72が固体撮像素子31の受光部のX線入射方向前方に位置するように位置決めした状態で、固定基板22に接着剤(たとえば、エポキシ樹脂系接着剤)を用いて接着固定する。そして、第1ファイバ光学プレート41の光出射面43と固体撮像素子31の受光面35とに光学接着剤(たとえば、エポキシ樹脂系接着剤)を塗布する。
そして、遮蔽板71に形成された開口部72から第1ファイバ光学プレート41の光出射面43側部分を挿入し、第1ファイバ光学プレート41の光出射面43と固体撮像素子31の受光面35とを貼り合わせて第1ファイバ光学プレート41と固体撮像素子31とを光学的に接続する。このとき、第1ファイバ光学プレート41は、開口部72により、X線入射方向から見て固体撮像素子31の受光部の有効領域Aが第1ファイバ光学プレート41の光入射面42及び光出射面43の内側に含まれるように位置決めされることになる。また、開口部72は遮蔽板71のボンディングワイヤ34のX線入射方向前方に位置する部分よりも内側に形成されているので、開口部72から挿入された第1ファイバ光学プレート41とボンディングワイヤ34とが干渉してボンディングワイヤ34が切断することはない。
次に、第1ファイバ光学プレート41の側面と開口部72を形成する遮蔽板71の縁部との間に生じる間隙、及び、第1ファイバ光学プレート41の遮蔽板71よりもX線入射方向前方側に位置する側面部分に、黒色のモールド剤73を塗布、充填する。このとき、モールド剤73としては、粘性が高く、固体撮像素子31、固定基板22に流れ込まないものを用いることが好ましく、モールド剤が流れ込むことによりボンディングワイヤ34が切断されるのを防ぐことができる。
続いて、正面部13を筐体11に取り付けた後に、シンチレータ61が形成された第2ファイバ光学プレート51の光出射面53と第1ファイバ光学プレート41の光入射面42とに光学接着剤を塗布してこれらを貼り合わせ、第2ファイバ光学プレート51と第1ファイバ光学プレート41とを光学的に接続する。このとき、第1ファイバ光学プレート41の光入射面42は筐体11(正面部13)の開口部13aに臨んだ位置にあり、第2ファイバ光学プレート51の光出射面53と第1ファイバ光学プレート41の光入射面42との貼り合わせを容易に行うことができる。また、第2ファイバ光学プレート51は、筐体11(正面部13)の開口部13aにより、貼り合わせ位置が規定されることになる。そして、窓部材16を開口部13aの段部13bに固定して、筐体11を封止する。なお、第2ファイバ光学プレート51をモールド剤等で筐体11(正面部13)に固定するようにしてもよい。
次に、X線検出器1の動作を説明する。入射面(正面部13)側から入射したX線は、反射薄膜63、有機膜62の全てを透過してシンチレータ61に達する。このX線は、シンチレータ61で吸収され、X線の光量に比例した光が放射される。放射された光は、光入射面52から第2ファイバ光学プレート51内に入射する。第2ファイバ光学プレート51の第1ファイバ光学プレート41の光入射面42に対応する部分(第1ファイバ光学プレート41に接続されている部分)に入射した光は、光入射面42から第1ファイバ光学プレート41内に入射し、更に第1ファイバ光学プレート41内を通って光出射面43から光電変換素子32(固体撮像素子31の受光部)へと入射する。
各々の光電変換素子32では、光電変換により、この可視光の光量に対応する電気信号が生成されて一定時間蓄積される。この可視光の光量は入射するX線の光量に対応しているから、つまり、各々の光電変換素子32に蓄積されている電気信号は、入射するX線の光量に対応することになり、X線画像に対応する画像信号が得られる。光電変換素子32に蓄積されたこの画像信号を図示していない信号ラインから電極パッド33、ボンディングワイヤ34、電極パッド24、内部配線26を介して最終的には電極端子25から順次出力することにより、外部へと転送し、これを駆動回路部81で処理することにより、X線像を表示することができる。
第2ファイバ光学プレート51の第1ファイバ光学プレート41の光入射面42に対応する部分以外に入射した光は、第2ファイバ光学プレート51の光出射面53から筐体11内に放射されることになる。しかしながら、固定基板22に遮蔽板71を固定すると共に、第1ファイバ光学プレート41の側面と開口部72を形成する遮蔽板71の縁部との間に生じる間隙及び第1ファイバ光学プレート41の遮蔽板71よりもX線入射方向前方側に位置する側面部分に黒色のモールド剤73を塗布、充填することにより、第2ファイバ光学プレート51の第1ファイバ光学プレート41の光入射面42に対応する部分以外の光出射面53から放射された光が第1ファイバ光学プレート41及び光電変換素子32に入射するのを防いでいる。
このように、本実施形態に係るX線検出器1にあっては、第1ファイバ光学プレート41と第2ファイバ光学プレート51とを備え、第2ファイバ光学プレート51の光入射面52が第1ファイバ光学プレート41の光入射面42の面積よりも大きい面積を有し、第2ファイバ光学プレート51の光入射面52上にシンチレータ61を形成しているので、固体撮像素子31の受光部(光電変換素子32の配列された部分)の有効領域よりもシンチレータ61の有効領域を大きくしたファイバ光学プレートを簡易に構成することができる。また、固体撮像素子31の受光部の有効領域A全面がX線受光有効領域となり、X線像の撮像領域を大きくすることができる。
また、ボンディングワイヤ34のX線入射方向前方を遮蔽するように固定基板22に固定された遮蔽板71を備え、遮蔽板71に、ボンディングワイヤ34のX線入射方向前方に位置する部分よりも内側に、第1ファイバ光学プレート41が挿通可能であり受光部に対して第1ファイバ光学プレート41を位置決めするための開口部72を形成することにより、第1ファイバ光学プレート41を固体撮像素子31に光学的に接続する際に、第1ファイバ光学プレート41の位置決めを容易に行うことができると共に、第1ファイバ光学プレート41とボンディングワイヤ34とが干渉してボンディングワイヤ34が切断されるのを遮蔽板71で防ぐことができる。この結果、固体撮像素子31に対して適切且つ精度よく組み付けることができる。
また、第1ファイバ光学プレート41が光吸収体を含まず、コア及びクラッドのみからなることにより、固体撮像素子31にて撮像した画像上に第1ファイバ光学プレート41(光吸収体)の固定パターン(チキンワイヤ)が生じるのを防ぐことができる。
また、X線検出部21、駆動回路部81等を収納するための筐体11を備え、第2ファイバ光学プレート51を第1ファイバ光学プレート41に光学的に接続する際に、第2ファイバ光学プレート51が筐体11(正面部13)の開口部13aに位置決めされることにより、第2ファイバ光学プレート51の組み付けを極めて容易に行うことができる。
また、第1ファイバ光学プレート41の側面と開口部72を形成する遮蔽板71の縁部との間に生じる間隙には、黒色のモールド剤73が塗布、充填されていることにより、第2ファイバ光学プレート51の第1ファイバ光学プレート41の光入射面42に対応する部分以外で生じた光が上述した間隙を通って、第1ファイバ光学プレート41の光入射面42以外から第1ファイバ光学プレート41に入射する、あるいは、固体撮像素子31の受光部(受光面35)に入射するのを妨げ、固体撮像素子31にて撮像する画像周辺のバックグラウンドとなるのを防ぐことができる。
また、第1ファイバ光学プレート41の遮蔽板71よりもX線入射方向前方側に位置する側面部分には、黒色のモールド剤73が塗布されていることにより、第2ファイバ光学プレート51の第1ファイバ光学プレート41の光入射面42に対応する部分以外で生じた光が第1ファイバ光学プレート41の側面や光電変換素子32から入射するのを妨げ、固体撮像素子31にて撮像する画像周辺のバックグラウンドとなるのを防ぐことができる。なお、このモールド剤73は第1ファイバ光学プレート41の側面上部、すなわち第2ファイバ光学プレート51の下部まで塗布すればより効果がある。また、図5のように遮光性のモールド部材(モールド剤73)を第1ファイバ光学プレート41の側面途中まで塗布した場合、第1ファイバ光学プレート41の側面に遮光性を有する塗料(例えば、黒色のアクリル系ラッカー)を塗布してもよい。
また、第1ファイバ光学プレート41の光入射面42が遮蔽板71よりもX線入射方向前方に位置していることにより、固定基板22に遮蔽板71を固定した後に第1ファイバ光学プレート41を固体撮像素子31に接続する際に、第1ファイバ光学プレート41の位置決め及び挿通を極めて容易に行うことができ、組み付け作業性を向上できる。
また、第1ファイバ光学プレート41の光出射面43の面積が固体撮像素子31の受光部(光電変換素子32の配列された部分)の有効領域Aの面積よりも大きく設定されていることにより、この受光部の有効領域A全体においてX線を確実に検出することができる。
また、遮蔽板71はX線を遮蔽する材料からなることにより、ボンディングワイヤ34や受光部以外の固体撮像素子31部分にX線が入射するのを抑制し、X線照射によるノイズの発生を低減することができる。
また、第2ファイバ光学プレート51の光出射面53の面積が、第2ファイバ光学プレート51がボンディングワイヤ34のX線入射方向前方を遮蔽するように設定されていることにより、ボンディングワイヤ34や受光部以外の固体撮像素子31部分にX線が入射するのを抑制し、X線照射によるノイズの発生を低減することができる。
次に、図8に基づいて、本実施形態に係る放射線検出器の変形例を説明する。
図8に示されるように、本変形例においては、第1ファイバ光学プレート41は、筐体11に設けられた固定部81に接着剤を用いて固定されている。この固定部81は、側面部14における正面部13近傍側の部分に設けられている。固定部81には、第1ファイバ光学プレート41が挿通可能な穴部が形成されている。第1ファイバ光学プレート41は、固定部81の穴部に挿通された状態で、当該穴部を形成する固定部81の縁部の内周面と第1ファイバ光学プレート41の外周面とが接着されることにより、固定部81に固定される。正面部13(押さえ部材)は、螺子83等により、筐体11(側面部14)に着脱可能に取付けられている。
第2ファイバ光学プレート51は、第1ファイバ光学プレート41に着脱可能に載置されている。本変形例においては、第2ファイバ光学プレート51は、屈折率整合材としてのマッチングオイル(たとえば、シリコーンオイル等)を介して第1ファイバ光学プレート41に載置されている。これにより、第2ファイバ光学プレート51から第1ファイバ光学プレート41に入射する光の損失を低減することができる。
窓部材16は、第2ファイバ光学プレート51に形成されたシンチレータ61の表面(X線入射面)に載置されている。この窓部材16は、アモルファスカーボン、ポリカーボネイト、アルミニウム等の放射線透過性を有した材料からなり、板状に形成されている。そして、窓部材16は、筐体11(側面部14)に着脱可能に取付けられる正面部13により固定されている。窓部材16と正面部13との間には、ゴム等の弾性材料からなるシール部材(パッキン)85が配設されている。
本変形例においては、第2ファイバ光学プレート51を第1ファイバ光学プレート41に載置し、さらにシンチレータ61の表面に窓部材16を載置した状態で、正面部13を筐体11に取付けると、第2ファイバ光学プレート51及び窓部材16は、正面部13と第1ファイバ光学プレート41とに挟まれることになり筐体11に固定される。一方、正面部13を筐体11から取り外すと、第2ファイバ光学プレート51及び窓部材16は、正面部13と第1ファイバ光学プレート41とに挟まれた状態が解除され、筐体11から取り外し可能となる。
このように、本変形例においては、第2ファイバ光学プレート51及び窓部材16の着脱を容易に行うことができ、特に、シンチレータ61が形成された第2ファイバ光学プレート51の交換を容易に行うことができる。この結果、シンチレータ61の寿命がきた場合でも、シンチレータ61が形成された第2ファイバ光学プレート51を新しいものと交換すればよく、メンテナンス性に優れたX線検出器1を実現することができる。
また、第1ファイバ光学プレート41は、筐体11(側面部14)に設けられた固定部81に固定されているので、第1ファイバ光学プレート41を組み付ける際の固定を確実且つ容易に行うことができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、第1ファイバ光学プレート41、第2ファイバ光学プレート51、遮蔽板71に形成される開口部72といった各構成要素の形状等も適宜変更して設定することができる。
産業上の利用可能性
本発明の放射線検出器は、医療機器、宇宙観測機器あるいは非破壊検査機器等のX線検出器に利用できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施形態に係る放射線検出器を示す正面図である。
図2は、実施形態に係る放射線検出器を示す側面図である。
図3は、実施形態に係る放射線検出器を示す下面図である。
図4は、実施形態に係る放射線検出器を示す背面図である。
図5は、実施形態に係る放射線検出器の構成を示す概略断面図である。
図6は、実施形態に係る放射線検出器に含まれる、X線検出部を示す要部分解斜視図である。
図7は、実施形態に係る放射線検出器に含まれる、第2ファイバ光学プレート及びシンチレータを示す構成断面図である。
図8は、実施形態に係る放射線検出器の変形例の構成を示す概略断面図である。
Claims (13)
- 受光部を有する固体撮像素子と、
前記受光部の外側に配設され、前記受光部の信号出力を取り出すためのボンディングワイヤと、
前記ボンディングワイヤに電気的に接続される内部配線を有し、前記固体撮像素子をその上に固定している固定基板と、
その光出射面が前記受光部の受光面と光学的に接続される第1ファイバ光学プレートと、
その光入射面が前記第1ファイバ光学プレートの光入射面の面積よりも大きい面積を有し、その光出射面が前記第1ファイバ光学プレートの前記光入射面と光学的に接続される第2ファイバ光学プレートと、
前記第2ファイバ光学プレートの前記光入射面上に形成されているシンチレータと、
前記ボンディングワイヤの放射線入射方向前方を遮蔽するように前記固定基板に固定された遮蔽板と、を備えており、
前記遮蔽板には、前記ボンディングワイヤの前記放射線入射方向前方に位置する部分よりも内側に、前記第1ファイバ光学プレートが挿通可能であり前記受光部に対して前記第1ファイバ光学プレートを位置決めするための開口部が形成されていることを特徴とする放射線検出器。 - 前記第1ファイバ光学プレートは、コア及びクラッドのみからなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器。
- 前記固体撮像素子、前記固定基板、前記第1ファイバ光学プレート及び前記第2ファイバ光学プレートを収納するための筐体を更に備えており、
前記第2ファイバ光学プレートは、前記筐体に位置決めされていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器。 - 前記第1ファイバ光学プレートは、前記筐体に設けられた固定部に固定されていることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の放射線検出器。
- 前記シンチレータの表面に載置される窓部材を更に備えており、
前記窓部材は、前記筐体に着脱可能に取付けられる押さえ部材により固定されることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の放射線検出器。 - 前記第2ファイバ光学プレートは、前記第1ファイバ光学プレートに着脱可能に載置されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器。
- 前記第2ファイバ光学プレートは、屈折率整合材を介して前記第1ファイバ光学プレートに載置されていることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の放射線検出器。
- 前記第1ファイバ光学プレートの側面と前記開口部を形成する前記遮蔽板の縁部との間に生じる間隙には、遮光性を有する材料が塗布されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器
- 前記第1ファイバ光学プレートの前記遮蔽板よりも放射線入射方向前方側に位置する側面部分には、遮光性を有する材料が塗布されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器。
- 前記第1ファイバ光学プレートの前記光入射面は、前記遮蔽板よりも前記放射線入射方向前方に位置していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器。
- 前記第1ファイバ光学プレートの前記光出射面の面積は、前記受光部の有効領域の面積よりも大きく設定されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器。
- 前記遮蔽板は放射線を遮蔽する材料からなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器。
- 前記第2ファイバ光学プレートの前記光出射面の面積は、前記第2ファイバ光学プレートが前記ボンディングワイヤの前記放射線入射方向前方を遮蔽するように設定されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放射線検出器。
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