JPS649689B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ガス絶縁断路器の開閉能力改善に関
するものである。

近年、ガス絶縁開閉装置が多用されるようにな
り、これに用いるガス絶縁したガス絶縁断路器に
対してもいろいろな責務が要求されるようになつ
ている。

例えば、第１図のように２重母線方式のガス絶
縁開閉装置の母線切換用に用いられ断路器を考え
てみる。１，２，３はしや断器、４，５，６，
７，８，９は断路器、１０，１１は母線で、甲母
線、乙母線とする。今、しや断器２に連なる系統
は元々、断路器４を介して甲母線１０につながれ
ていたものが、いわゆる母線切換操作を行い乙母
線１１に接続することを考える。しや断器３、断
路器８，９を投入し、断路器５も投入した状態を
示している。この場合、電流は一点鎖線のように
流れるが、断路器４を開くときは、一点鎖線のル
ープを流れる電流を切らなくてはならない。いわ
ゆるループ電流開閉能力付断路器であるが、
12kAのような大電流開閉装置が用いられるよう
になると、このループ電流は12kA近くの大きな
電流も切らなくてはならない場合がある。

一方、第１図において、断路器４は電圧が加わ
つているとし、しや断器２及び断路器５が開路状
態で断路器４を開く場合を考えると、これらの間
の母線部の浮遊容量により流れる充電電流を切ら
なければならない。この時、断路器は開極速度が
遅いため開閉される接触子間は電流の断続、いわ
ゆる再発弧、再点弧を繰り返しながら接触子が動
き、十分な絶縁距離まで開かれて、完全に切れて
断路状態となる。このようにして、開かれた断路
器４を再び投入するときも、断路器の接点が近づ
くと、充電電流が流れ始めるが接点間のガス中で
発弧、点弧をくり返し投入完了する。この再発弧
再点弧の時、大きな過電圧を生じ、機器の絶縁を
おびやかすことがあり、特に、超超電圧において
は問題となる。

本発明は、これらの点に鑑みてなされたもの
で、ループ電流開閉能力を持ち、しかも、開閉時
の過電圧が抑制低減されるガス絶縁断路器を提供
するものである。

以下、図について説明する。第２図において、
１２は容器で、SF₆などの絶縁性能の秀れたガス
が充填されている。１３は主可動接触子、１４は
主可動接触子１３と接離する主固定接触子、１５
はアーク接触子で、主固定接触子１４と主可動接
触子１３との間が開離するより遅く開離するよう
に構成されている。１６は主可動接触子１３用の
摺動接触子、１７はアーク接触子１５用の摺動接
触子、１８はアーク接触子１５用の押しばねであ
る。１９は主固定接触子１４とアーク接触子１５
との間に接続され、10Ω〜数10Ωの抵抗値を有す
る抵抗器で、この例では炭素とセラミツクよりな
るドーナツ状のブロツク形抵抗のものを示し、絶
縁棒２０で締め付けて取付けている。２１は数十
〜数百μH程度のインダクタンスを持つたコイル
であり、例えば絶縁筒２２などに固定され、抵抗
器１９と並列に設置されている。２３はピストン
であり、シリンダー２４とで囲まれた空間Ａは、
ガス通路２５で、ノズル部２６に連つている。２
７，２８は電界緩和用のシールド電極、２９は主
可動接触子１３などを支える支持金具、３０，３
１は主固定接触子１４などを支える支持金具、３
２は主可動接触子１３を駆動するための絶縁操作
棒で、連結機構３３を介して図示されていない操
作機構に接続されている。３４，３５は絶縁スペ
ーサで、内部の部品を絶縁して支持するとともに
隣接機器との間の内部充填ガスの隔壁の役をなし
ている。３６，３７は隣接機器との間の接続のた
めの摺動接触子である。３８はアーク接触子のス
トツパである。

次に動作について説明する。第２図は閉路状態
を示している。通電電流は、摺動接触子３７―絶
縁スペーサ３５の導体―支持金具３０―シールド
電極２８―支持金具３１―主固定接触子１４―主
可動接触子１３―摺動接触子１６―支持金具２９
―絶縁スペーサ３４の導体―摺動接触子３６と大
部分が流れ、一部がアーク接触子１５―コイル２
１へ流れ、さらに極少の電流が抵抗器１９へ流れ
る。この通電電流は、大容量の場合は12kAとい
うような大きなものとなるため、可動接触子１３
や導電部などはかなり大きなものが必要となる。

この、閉極状態からの開極動作に対し、まずル
ープ電流を切る場合の動作を次に述べる。開離の
指令が与えられると、絶縁操作棒２９により主可
動接触子１３が右へ動き始める。最初に開離する
のは、主固定接触子１４と主可動接触子１３との
間であり、アーク接触子１５は押しばね１８によ
つて主可動接触子１３に追随して移動する。主固
定接触子１４が開離すると、大部分の電流はアー
ク接触子１５―コイル２１に流れ、極く一部の電
流が抵抗器１９に流れる。さらに少し動くとアー
ク接触子１５がストツパ３８に当つて、主可動接
触子１３との間が開極し、この間にアークを発生
するが、この時までにピストン２３の動きによ
り、ピストン２３とシリンダー２４で囲まれた空
間Ａの部分及びガス通路２５の内部のガス圧力は
膨脹により低下しているので、発生したアークは
囲りのガスとともにノズル２６中に吸い込まれ、
ガス流により、消弧され、ループ電流はしや断さ
れることになる。アークしや断を行うアーク接触
子１５の先端や主可動接触子１３のノズル先端部
には耐弧メタルを用いるとよい。

次に、この逆の閉極動作時は、上記と逆に、主
可動接触子１３が左に動き、先ずアーク接触子１
５と接触し、電流はコイル２１を通じて先ず流
れ、極く一部の電流が抵抗器２０を流れる。さら
に、可動接触子１３が動き、主固定接触子１４と
接触し、この間に殆んどの電流が流れる状態とな
つて、閉路動作を完了する。

このように、ループ電流開閉時は、周波数の低
い電流を開閉するためにコイル２１の小さなイン
ダクタンスは殆んど影響ない。ガス流のあるアー
ク接触子１５で開閉を行い、主固定接触子１４で
の開閉はないため、接触子は多数回操作が可能と
なる。

次に例えば第１図でしや断器２、断路器５が開
極状態で、断路器４が第２図のような閉極状態に
ある場合を考える。この時、断路器にはしや断器
２や断路器５との接続母線の浮遊容量などにより
0.5A程度の充電電流が流れている。

開極指令が与えられると、主可動接触子１３が
右に動きまず、主固定接触子１４が開き、次にア
ーク接触子１５がストツパ３８に当つて開く。

この時のしや断電流は非常に小さいがアーク接
触子１５と主可動接触子１３との間の極間電圧は
大きく、この間において、再発弧，再点弧を繰り
返しながら、十分な極間距離まで主可動接触子１
３が開いた点で完全に電流が切れ、最終位置まで
動いて開極動作を完了する。

この再発弧、再点弧を生じる点で、過電圧が発
生し、抵抗器１９を備えない場合は、常規大地電
圧の2.5倍程度までの過電圧となることもある。
本発明では、最後に開き、固定側から最も突出し
たアーク接触子１５に抵抗器１９を設けているた
め、この抵抗が極間に入ることになり、過電圧は
1.5倍程度に十分低くすることができる。即ち、
再発弧、再点弧時の電流は数十メガヘルツの高周
波振動であるため、抵抗器１９と並列に入つたコ
イル２１のインダクタンスにより、コイル２１に
は殆んど電流が流れず、抵抗器１ａのみが挿入さ
れた形となるのである。

なお、この時、抵抗器１９の両端に発生する電
位差は、抵抗値がかなり低いため小さく、アーク
接触子１５及び抵抗器１９、コイル２１などと、
周囲の支持金具３１や主固定接触子１４などとの
間の耐電圧性は、SF₆のようなガス中では十分確
保することができる。

開極（開離）の状態から閉動作を行う場合は、
上記と逆の動作となり、主可動接触子１３が左に
動いて行く。アーク接触子１５が最も突出してい
るので、主可動接触子１３との間の電位差がその
間のガスの耐電圧より大きい位置まで主可動接触
子１３が移動すると、両接触子１３，１５間に閃
絡を生じる。すると、同電位になるので電流が切
れ、次に電位差ができると閃絡し、点弧、発弧を
繰り返して、最後に極間絶縁距離が零となり閉じ
る。この間、アーク接触子１５には抵抗器１９が
接続されて電流が流れ過電圧の発生を防止する。
前述のように、この再点弧、再発弧時の電流は、
高周波振動をするため、コイル２１には殆んど流
れず、抵抗器１９のみが有効に働く。可動接触子
１３は最後に主固定接触子１４と接触して閉極動
作を完了する。開極時と同様に、閉極時の過電圧
の発生も抵抗器１９の働きにより低く抑えられる
ことになる。

以上より、本発明によれば、ループ電流開閉と
開閉時の過電圧の抑制ができるが、次のような利
点がある。

第３図のようにアーク接触子１５が円筒形で、
主固定接触子１４や支持金具３１と同心状、又、
抵抗器１９やコイル２１やシールド電極２８など
も同心状とすることができ、これらの間の電位差
による電界の集中が少なく、良好な耐電圧性能が
得られる。又、開閉時の過電圧抑制用の抵抗器１
９やコイル２１は、シールド電極中にあり、常時
の対地絶縁に関与する個所にないため、絶縁上の
信頼性を高く維持することができ、秀れた耐電圧
性能の要求される断路器には効果が大きい。

さらに、ループ開閉時は、抵抗器１９が電気的
に主回路に挿入されないで、母線の充電電流の開
閉時には抵抗器１９を挿入するという操作のため
には、通常、開閉接点を用いるのであるが、本発
明によれば、コイル２１のインダクタンスでその
用を果たし、開閉接点部が無くなるため、信頼性
の高い装置が得られる。

なお、上記実施例では、ループ電流開閉のた
め、主可動接触子１３と一体のピストン部に通じ
るノズル部でのガス吸込みを行う例を示したが、
ピストンでのガス圧縮によるガス吹付けを行う方
法や、アーク接触子１５側から、アーク接触子１
５の動きによりガス吹付けや吸込みを行うことが
できる。又、比較的小さなループ電流の場合は接
点部に耐弧メタルを設けるだけでもよい。

このように、本発明によれば、大きなループ電
流の開閉能力を有する上に、開閉時に発生する過
電圧を抑制でき、簡単な構造で高い信頼性を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は２重母線方式のガス絶縁開閉装置の構
成例を示す構成図、第２図は本発明の一実施例を
示す断路器の断面図である。図において、１３は
主可動接触子、１４は主固定接触子、１５はアー
ク接触子、１９は抵抗器、２１はコイルである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主固定接触子、この主固定接触子と接離する
   主可動接触子、この主可動接触子と上記主固定接
   触子とが閉成するより早く上記主可動接触子と閉
   成し、上記両接触子間が開離するよりも早く上記
   主可動接触子から開離するアーク接触子、このア
   ーク接触子と上記主固定接触子との間に電気的に
   接続された抵抗器、この抵抗器と電気的に並列に
   接続されたコイルを備えたガス絶縁断路器。