JPS645898B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は天井けん垂形Ｘ線装置におけるけん
垂体の落下防止装置に関する。

本発明は、Ｘ線源やイメージインテンシフアイ
ア等の被けん垂体の平衡をロープとばねとの組み
合わせによりなしている天井けん垂形Ｘ線装置に
おけるけん垂体の落下防止装置の改良に係り、そ
の目的は、被けん垂体の揚程と、その揚程に対応
するばねのたわみ量とを常に検出し、検出した特
性の異常変化を利用してロープの切断のみなら
ず、ばねの破損時にも被けん垂体の落下を防ぐこ
とができるようにすることにある。

本発明は、このために、ロープにより所定の揚
程を有して吊り下げられている渦巻滑車の回動軸
に嵌着され該回動軸と一体に回動するつめ車と、
前記渦巻滑車の回動軸の回動が伝達されて回動す
る小巻胴と、該小巻胴に一端側を巻かれ小巻胴と
前記ばねの変位する側のばね受とを該ばねの伸縮
に対応して張力が変化するように滑車を介して接
続されたロープと、前記滑車を中間部に取り付
け、基端側を前記架台に回動可能にピンで連結
し、他端側に前記つめ車に係合するつめを有する
制御アームを連結して前記小巻胴とばね受とを接
続したロープの張力の変化に応じてつめ車の回動
を阻止するアームと、を備えたことを特徴とする
天井けん垂形Ｘ線装置におけるけん垂体の落下防
止装置を提供しようとするものである。

以下本発明のけん垂体の落下防止装置の一実施
例を添付図面を参照して説明する。

図面において、符号１はＸ線源やイメージイン
テンシフアイアなどの被けん垂体を示している。
ロープ２はその一端を渦巻滑車３に固定されてい
ると共に渦巻滑車３に巻き付けられ、そして他端
を被けん垂体１に固定して被けん垂体１を吊り下
げている。軸４は天井に設置された架台にある軸
受に保持され渦巻滑車３と一体に回動する。巻胴
５は渦巻滑車３と並列に軸４にかん合かつ固定さ
れ軸４と一体に回動するようになつている。ロー
プ６は一端を巻胴５に固定され、かつロープ２と
は反対方向、つまり、被けん垂体１の巻下げ時に
巻取られ、被けん垂体１を巻上げるときに巻戻さ
れるように巻き付けられている。滑車７と９とは
架台に固定された支持体に回転可能に取り付けて
あり、また滑車８と１０とは架台に移動可能に設
けられたばね受け１１に回転可能に取り付けら
れ、滑車ブロツクを形成している。ばね（圧縮コ
イルばね）１２は架台とばね受け１１との間に配
設されている。ロープ６はこれらの滑車７，８，
９，１０に巻き掛けられたあと、滑車７，９の支
持体に端部を固定されている。そこで、軸４が電
動機などによつて回動されると、渦巻滑車３が回
転して被けん垂体１を所定の揚程を昇降させるこ
とになる。いま、被けん垂体１が下降すると、ロ
ープ６は巻胴５に巻き取られ、ばね受け１１が移
動してばね１２を圧縮する。この場合ばね１２は
被けん垂体１の重量に対応し、かつ被けん垂体１
の揚程に応じて伸縮するばね定数を有しているの
で、被けん垂体１を任意の揚程にて停止させるこ
とができる。軸４が反対方向に回動されると、被
けん垂体１が上昇し、ばね１２のたわみ量が減少
し、被けん垂体１の重量と平衡させることができ
る。

本発明によるけん垂体の落下防止装置では、ロ
ープ６だけでなくばね１２が破損しても、被けん
垂体１が落下しないようにしてある。このため
に、軸４に、軸４と一体に回動するつめ車１３を
設け、ロープ６の切断あるいはばね１２の破損時
は、つめ車１３に係合するつめを有する制動アー
ムを作動させて渦巻滑車３の回動を阻止するよう
になつている。以下に詳しく説明する。

軸４にはスプロケツト車１４を設けてある。チ
エーン１５はスプロケツト車１４とスプロケツト
車１６との間にかけられている。スプロケツト車
１６は架台上の軸受に保持された軸に固定してあ
る。この軸には小巻胴１７を設けてあつて、ロー
プ１８が一端を小巻胴１７に固定されていると共
に、被けん垂体１が下降するときに巻き取られる
ように小巻胴１７に巻き付けられている。そし
て、ロープ１８は途中、複数の滑車１９，２０に
巻き掛けられ、他端部をばね受け１１に固定され
ている。したがつて、被けん垂体１の揚程を変化
するため軸４が前記のように回動されて、被けん
垂体１が、たとえば下降してばね受け１１がばね
１２を圧縮すると、ロープ１８はばね１２のたわ
み量に応じた長さだけ小巻胴１７から繰り出さ
れ、反対に被けん垂体１が上昇すると、ロープ１
８が小巻胴１７に巻き取られ、ロープ１８の張力
がばね１２の伸縮量に対応して常に一定に保たれ
るようになつている。

滑車１９はアーム２４の中間部に回転可能に取
り付けてある。アーム２４は基端部を架台に回動
可能にピンで連結されている。ばね２５はアーム
２４に連結されていて、アーム２４を常に押し上
げているが、ロープ１８の張力とバランスしてア
ーム２４の中立状態を維持している。またアーム
２４は、第２図に示すように、つめ車１３に係合
するつめを有する一方の制動アーム２７に連結さ
れている。制動アーム２７は架台に端部をピンで
回動可能に取り付けてあり、アーム２４にロツド
２９を介して連結されていて、アーム２４の回動
によりつめ車１３に係合されてつめ車１３の回動
を阻止する。また、つめ車１３を介して制動アー
ム２７に相対する制動アーム２６が架台に設けて
あり、制動アーム２７と連結ロツド２８によつて
連結されていて、制動アーム２７がつめ車１３に
係合すると制動アーム２６は連結ロツド２８を介
して押されてつめ車１３から離れ、また制動アー
ム２７がつめ車１３から離れると制動アーム２６
が連結ロツド２８を介して引き寄せられてつめ車
１３に係合されるようになつている。

このようなけん垂体の落下防止装置では、ロー
プ６が切断されると、ばね１２が急激に延び、同
時に被けん垂体１の落下しはじめの小巻胴１７の
回動によりロープ１８が小巻胴１７から繰り出さ
れ、これよつてロープ１８がたるむことになり、
そのためロープ１８の張力が急に低下することに
なる。そこで、アーム２４がばね２５によつて上
方に押し上げられ、制動アーム２６が第２図の矢
印方向へ回動してつめ車１３に係合する。その結
果、軸４の回動が阻止されて、被けん垂体１の落
下を防ぐことができる。他方、ばね１２が切損す
ると、ばね１２の高さが縮まるから、ロープ１８
がばね受け１１により引かれ、張力の増大により
アーム２４がばね２５に抗して押し下げられ、図
において反時計方向に回動される。その結果、制
動アーム２７がつめ車１３側へ回動され、制動ア
ーム２７をつめ車１３に係合させ、軸４の回動が
阻止される。このけん垂体の落下防止装置では、
ばね１２の破損に際して、ロープ１８の切断を防
止するための安全手段をさらに備えている。すな
わち、ばね１２が折損したときに、アーム２４の
回動範囲が限定されているので、折損の状況、例
えば急激にばね１２が破断したような場合におい
てはロープ１８の張力が急増し、ロープ１８のみ
ならず、ロープ１８の張力が及ぶ関連する部品を
破損する恐れがある。この対策として本装置にお
いては、滑車２０をレバー２１に回転可能に取り
付け、レバー２１の他端側を架台に回動可能にピ
ンで連結すると共に、レバー２１をばね２２によ
つて架台上のストツパ２３に常時押し付ける構成
を有している。このため、ロープ１８の張力がば
ね１２の破断等により急増された場合は、レバー
２１がばね２２に抗して回動させられ、滑車２０
の位置を回動方向に移動させてロープ１８をたる
ませ、ロープ１８の張力の増加を防止することが
できるようになつている。

本発明のけん垂体落下防止装置は、以上述べた
ように、被けん垂体の重量と平衡させているロー
プの切断のみならず、該ロープに張力を支えてい
るばねの折損に際しても、被けん垂体の落下を阻
止できるので、被けん垂体が被検者に対して落下
する事故を確実に防ぐことができ、きわめて安全
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のけん垂体の落下防止装置の一
実施例の構成を示す説明図、第２図は第１図の
―線に沿う断面図である。 １……被けん垂体、２……ロープ、３……渦巻
滑車、４……軸、５……巻胴、６……ロープ、
７，８，９，１０……滑車、１１……ばね受け、
１２……ばね、１３……つめ車、１７……小巻
胴、１９，２０……滑車、２１……レバー、２４
……アーム、２５……ばね、２６，２７……制動
アーム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ Ｘ線源等の被けん垂体が、天井に設置された
   架台上の渦巻滑車に巻かれたロープにより所定の
   揚程を有して吊り下げられ、前記渦巻滑車の回動
   軸上に該回動軸と一体に回動する巻胴を並設し、
   該巻胴に前記被けん垂体の巻下げ時に巻取られ、
   被けん垂体を巻上げるときに巻戻されるようにロ
   ープを巻掛けし、該ロープを前記架台に取り付け
   た滑車ブロツクに巻掛け、該滑車ブロツクを前記
   被けん垂体の重量に対応し、かつ被けん垂体の揚
   程に応じて伸縮するばね定数のばねにて引張する
   天井けん垂形Ｘ線装置におけるけん垂体の落下防
   止装置において、前記渦巻滑車の回動軸に嵌着さ
   れ該回動軸と一体に回動するつめ車と、前記渦巻
   滑車の回動軸の回動が伝達されて回動する小巻胴
   と、該小巻胴に１端側を巻かれ小巻胴と前記ばね
   の変位する側のばね受とを該ばねの伸縮に対応し
   て張力が変化するように滑車を介して接続された
   ロープと、前記滑車を中間部に取り付け、基端側
   を前記架台に回動可能にピンで連結し、他端側に
   前記つめ車に係合するつめを有する制動アームを
   連結して前記小巻胴とばね受とを接続したロープ
   の張力の変化に応じてつめ車の回動を阻止するア
   ームと、を備えたことを特徴とする天井けん垂形
   Ｘ線装置におけるけん垂体の落下防止装置。 ２ 前記小巻胴とばね受とを接続したロープを巻
   掛ける滑車を複数個所に設け、そのうち１個の滑
   車を、１端側を前記架台に回動可能にピンで連結
   されたレバーの他端側に取り付け、該ロープの急
   激な張力増加の際に、該張力を受けたレバーが回
   動して滑車位置を移動させることにより、前記張
   力の増加を防止する構成にした特許請求の範囲第
   １項記載の天井けん垂形Ｘ線装置におけるけん垂
   体の落下防止装置。