JPS644352Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は身体障害者等用の入浴装置、さらに詳
しくは、身体障害者や身体の不自由な老人等自力
で入浴することのできない者を入浴させるための
身体障害者等用の入浴装置に関する。

（従来技術及びその問題点） 従来、身体障害者や身体の不自由な老人等自力
で入浴することのできない者を入浴させる場合に
は、他人の補助がどうしても必要であり、しかも
その補助のための作業は、たとえば身体障害者等
を抱えるようにして浴槽に入れ、且つ入浴後は浴
槽から抱え上げなければならない等相当な重労働
が要求されていたものである。そしてこのような
補助作業は、一般に家族等限られた者で行なわれ
なければならないためにその負担が非常に大き
く、よつて上記のような作業の煩雑さを解消する
ことがかねてからの重要な課題となつていたので
ある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上述のような問題点をすべて解決する
ためになされたもので、その解決するための手段
は、浴槽内に配置可能な座板と、該座板の下面に
設けられた空気室と、該空気室内へエアーを移送
し且つエアを吐出すべく空気室に連通して浴槽の
外部に設けられたエアー貯留槽と、前記座板をガ
イドすべく浴槽内に設けられたガイド手段とで構
成したことにある。

（作用） そしてこのような構成からなる身体障害者等用
の入浴装置を使用する場合には、先ず予めエアー
貯留槽から空気室内へエアーを移送して空気室内
にエアーを充填させた後、入浴者である身体障害
者等を座板上に座らせ、その状態で空気室内のエ
アーを徐々に吐出すると、座板の浮力が徐々に低
下し、従つて座板は入浴者の体重によつて且つガ
イド手段にガイドされながら徐々に浴槽内を下降
し、その結果入浴者は浴槽内に自動的に入浴する
ことができるのである。

また、入浴者が浴槽から出る場合には、空気室
内へエアーを移送することによつて座板の浮力が
増大して座板が水面上まで再び上昇し、その結果
入浴者が浴槽から出ることが可能となるのであ
る。

（実施例） 以下、本考案の実施態様について図面に示した
一実施例に従つて説明する。

第１図は一実施例としての身体障害者等用の入
浴装置の断面図、第２図は同平面図を示す。

第１図及び第２図において、１は浴槽２内に配
置可能な略長方形上の座板で、スチロール樹脂で
構成されている。２０は該座板１の下面に複数の
空気室３を区画して形成すべく取付けられた膨
張、収縮可能な伸縮袋体、４は圧縮空気としての
エアーを貯留してなるコンプレツサーで、前記空
気室３へのエアーの移送、吐出を行なうためのギ
アポンプ１８とともにホース１９を介して浴槽２
の外部に設置されている。５は前記座板１のコー
ナー部４ケ所に設けられたガイドローラー、７は
該ガイドローラー５と係合可能な凹部８を有する
細長状のガイド体で前記浴槽２内の４隅のコーナ
ー部に設置されてなる。

第３図において、１７は上記のような構成から
なる身体障害者等用の入浴装置と併用される電動
昇降椅子で、図中９は上板、１０は該上板９の下
方に設けられた下板で、該上板９及び下板１０
は、Ｘ字状に交叉して左右に一対ずつ設けられた
伸縮自在なアーム１１，１２によつて連結され、
電動機１３の駆動により昇降自在に構成されてい
る。１５は該上板９上に設けられたローラー、１
６は該ローラー１５上に載置された引出し板を示
す。

次に上述のような構成からなる身体障害者等用
の入浴装置を、上記のような電動昇降椅子と併用
して使用する一使用例について説明する。

先ず入浴者である身体障害者を電動昇降椅子の
引出し板１６上に座らせ、その状態で電動昇降椅
子１７を移動して第３図イのように浴槽２の横側
に隣接させる。

次に前記ローラー１５を転動させながら引出し
板１６を浴槽２側へ引出し、同図ロのように該浴
槽２の水面上に浮遊してなる座板１上に前記引出
し板１６を載置する。これによつて入浴者は、電
動昇降椅子１７から入浴装置の座板１へ自然に移
動でき、該座板１上に座ることができるのであ
る。尚この場合において座板１の下面に設けられ
た空気室３内には、予めコンプレツサー４から移
送されたエアーが充填されている。

次に上述のように入浴者が引出し板１６ととも
に座板１上に座つた状態において、前記コンプレ
ツサー４によつて空気室３内のエアーを徐々に抜
き出してゆくと、伸縮袋体２０が収縮して座板１
の浮力が徐々に低下し、従つて座板１は入浴者の
体重によつて徐々に下降することとなり、その結
果入浴者は浴槽２内で自動的に入浴することがで
きるのである。

この場合において座板１の４隅コーナー部に設
けられたガイドローラー５が浴槽２の内壁面コー
ナー部に設置されたガイド体７と係合しながら座
板１が下降するため、座板１は左右上下にぐらつ
くことなく極めてスムーズに下降し、それによつ
て入浴者は極めて安全な状態で入浴できるのであ
る。

また、入浴者が浴槽２から出る場合には、前記
コンプレツサー４によつて空気室３内にエアーを
再度移送すると、座板１の浮力が増大し、前記座
板１が浴槽２内を上昇して水面上に再度浮遊し、
それによつて入浴者は浴槽２から出ることができ
るのである。

このように空気室３内へのエアーの移送及び吐
出によつて座板１を浴槽２内の温水中で昇降させ
ることにより、身体障害者等の入浴が従来のよう
に補助者の重労働を伴うことなく、非常に容易に
且つ自動的に行なえるという格別顕著な効果を有
するに至つたのである。

尚、座板１の材質は決して上記実施例のスチロ
ール樹脂製に限定されるものではなく、たとえば
木質ゴム等のものであつてもよくその材質は一切
問うものではないが、入浴者の体重に耐えうる強
度を有し且つ浮力のある材質であることが好まし
い。また座板１の形状も決して該実施例に限定さ
るものではない。

さらに該実施例では座板１の４隅コーナー部に
設けられたガイドローラー５と、浴槽２の内壁面
のコーナー部に設置されたガイド体７とを噛合さ
せることによつて座板１の昇降時のガイドを行な
う構成にしてなるが、座板１をガイドするための
手段は決してこれに限定されない。たとえば座板
１の角部が直接ガイド体７にガイドされ或いはガ
イドローラー５に代えて突起状のものをガイド体
７に係合することに座板１がガイドされうるよう
な構成としてもよい。さらにこの座板１をガイド
するためのガイド手段は決して該実施例のごとく
浴槽２内の４隅のコーナー部に設けられる手段に
限定されるものではなく、たとえば第５図に示す
ように座板１の下部に設けられた左右１対のアー
ム２２，２３によつてガイドするような手段であ
つてもよい。すなわちこのアーム２２，２３は、
同図に示すように座板１と浴槽２の底部に配置さ
れた下部支持板２４とを連結すべくＸ字状に交叉
して設けられてなる。

さらに該実施例では上記身体障害者等用の入浴
装置を電動昇降椅子１７と併用してなるため、身
体障害者等の入浴時の作業のみならず、浴槽まで
の移動をも非常に容易に行なえるという好ましい
利点を得たが、上記入浴装置を使用する上で上記
電動昇降椅子を併用することは必ずしも条件とは
ならない。

さらに該実施例ではギアポンプ１８によつてコ
ンプレツサー４内のエアーを空気室３内に出し入
れするよう構成してなるが、エアーを空気収納槽
３内に送る手段は決してこれに限定されるもので
はない。

さらに上記実施例では膨張、収縮する伸縮袋体
２０を座板１の下面に設けることによつて空気室
３を形成してなるが、空気室３を形成する手段は
決してこれに限らず、たとえば第４図のように膨
張、収縮しない空気収納槽２１によつて空気室３
を形成してもよい。また、空気室３は必ずしも区
画して形成される必要はなく、第４図の実施例の
ように１個のみの空気室であつてもよい。

尚、上記実施例のような伸縮袋体２０で形成さ
れる空気室３内にエアーを移送、吐出する場合に
は、そのエアーは必ずしも圧縮空気である必要は
なく、従つて移送すべきエアーを貯留するものは
決して該実施例のようなコンプレツサー４に限定
されるものではなく、要はエアーの貯留可能なエ
アー貯留槽であればよい。すなわちこのエアー貯
留槽とは、コンプレツサーその他エアーの貯留可
能なものすべてを指称する。

その他本考案の意図する範囲内ですべて設計変
更自在である。

（効果） 叙上のように本考案は、座板の下面に空気室を
設けるとともにエアーを貯留してなるエアー貯留
槽を該空気室に連通してエアーの空気室内への移
送及び吐出によつて座板を昇降自在としたものな
るため、座板上に身体障害者等を座らせるだけで
身体障害者等の入浴作業を従来のような補助者の
重労働を伴うことなく、非常に容易にしかも自動
的に行なうことができるという格別顕著な効果を
有するに至つた。

さらに上記実施例のごとき電動昇降椅子と併用
する場合には、単に入浴時の作業が容易となるば
えりでなく、寝たきりの老人、身体障害者等を起
こして浴槽まで移動させる作業を含む、入浴のた
めの一連の作業が全自動的に行なえるという格別
な利点がある。

特にこの電動昇降椅子を使用者の操作により移
動可能とし、且つ前記空気室内へのエアーの出し
入れによる座板の昇降を座板上に座つた使用者の
遠隔操作等によつて可能とした場合には、補助者
の手助けを一切要することなく、使用者である身
体障害者等が自力で入浴することができるという
大なる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は一実施例としての身体障害者等用の入
浴装置の断面図。第２図は同概略平面図。第３図
は電動昇降椅子と併用した一使用例を示す一部切
欠側面図で、イは昇降椅子を入浴装置に隣接させ
た状態、ロは入浴者を座板上へ移動した状態、ハ
は座板の下降時を示す。第４図は他実施例の断面
図。第５図は他実施例の断面図。 １……座板、２……浴槽、３……空気室、４…
…コンプレツサー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 浴槽２内に配置可能な座板１と、該座板１の
   下面に設けられた空気室３と、該空気室３内へ
   エアーを移送し且つエアーを吐出すべく該空気
   室３と連通して浴槽２の外部に設けられたエア
   ー貯留槽と、前記座板１をがたつくことなくガ
   イドすべく浴槽２内に設けられたガイド手段と
   からなり、前記エアー貯留槽からの前記空気室
   ３へのエアーの移送及び吐出により前記座板１
   が前記ガイド手段でガイドされながら浴槽２内
   を昇降しうる構成にしてなることを特徴とする
   身体障害者等用の入浴装置。 ２ 前記ガイド手段が座板１の４隅のコーナー部
   に設けられたガイドローラー５と、該ガイドロ
   ーラー５に係合又は噛合可能な浴槽２内のコー
   ナー部に設置されたガイド体７とからなる実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の身体障害者等
   用の入浴装置。