JPS642569Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、特別に変速操作する事無く、苗植付
装置の昇降に伴い、自ずと、植付作業走行を高速
で、かつ、枕地での回行時には低速で走行できる
ように、割プーリに伝動ベルトを巻回したベルト
式無段変速機構を備えた走行車体に苗植付装置を
昇降操作自在に連動連結すると共に、前記変速機
構に対して前記苗植付装置を、その植付作業位置
において高速になり、かつ、それより上昇した位
置において低速になるように、機械式連係機構を
介して連動連結した乗用型田植機に関する。

上記田植機において、可動プーリを固定プーリ
に近づく側に変位させる場合に、変速機構が伝動
状態にある時にはプーリ及び伝動ベルトのいずれ
もが移動されているため、伝動ベルトの駆動反
力、緊張力及び動摩擦力に抗するに足る力さえあ
れば変位させられるが、エンジンを停止して変速
機構が伝動停止状態にある時には、伝動ベルトと
の間での静止摩擦力に抗し、しかも、伝動ベルト
を押し上げる状態で可動プーリを固定プーリ側に
変位させなければならず、実際上は変位不能で、
例えば、苗植付装置を上昇した状態での格納時
に、油のリリーフによつて苗植付が自重下降した
ような場合、機械式連係機構に大きな荷重がかか
り、不測に破損する欠点があつた。

本考案は、上記の点に鑑み、伝動状態での変速
は苗植付装置の昇降に連動して円滑に行えるもの
でありながら、伝動停止状態での苗植付装置の昇
降変位を、機械式連係機構の破損を招く事無く行
えるようにすることを目的とする。

次に、本考案実施の態様を例示図に基いて詳述
する。

前後夫々に左右一対づつの車輪１，１，２，２
を軸架すると共に操縦部３を配設した走行車体の
前部にエンジンＥを搭載すると共に、後部に４連
リンク機構４を介して苗植付装置５を駆動昇降自
在に連動連結し、乗用型田植機を構成してある。

前記車輪１，２及び苗植付装置５を駆動する
に、エンジン出力軸６に架着した割プーリ７とミ
ツシヨン入力軸８に架着した入力プーリ９とにわ
たつて伝動ベルト１０を巻回すると共にそのベル
ト１０にテンシヨンプーリ１１を作用させて緊張
力を付与するように構成してあり、前記割プーリ
７の可動プーリ１２を固定プーリ１３に対して遠
近離間操作することにより、無段変速操作できる
ようにベルト式無段変速機構１４を構成してあ
る。

前記可動プーリ１２に段部１５を一体形成する
と共に、その段部１５に接当してベルト１０の駆
動反力と緊張力による可動プーリ１２の低速側へ
の変位を阻止する揺動アーム１６をエンジンＥに
枢支連結し、揺動アーム１６と、前記４連リンク
機構４を構成するリンク４ａに所定位相で突設し
たブラケツト部分１７とを、押引きロツド１８を
介して連動連結してあり、苗植付装置５の昇降に
伴い、植付作業位置では高速になり、他方、それ
より上昇するに伴つて自ずと減速され、枕地での
回向を低速走行状態で行えるように機械式連係機
構１９を構成してある。

前記連係機構１９において、揺動アーム１６と
押引きロツド１８を連結するに、揺動アーム１６
から突設した係合ピン２０を、ロツド１８の先端
ブラケツト２１に穿設形成した長孔２２に連結す
ると共に、揺動アーム１６とロツド１８とを引つ
張りスプリング２３を介して連結し、エンジンＥ
の停止状態、即ち、変速機構１４が伝動停止状態
にある時に、前記苗植付装置５の下降変位に伴
い、前記スプリング２３の付勢力に抗して、前記
揺動アーム１６を変位する事無く、換言すれば、
可動プーリ１２を固定プーリ１３側に変位させる
事無く、ロツド１８をアーム１６に対して変位さ
せるように構成してある。

前記ミツシヨン入力軸８から前後車輪１，２及
び苗植付装置５への伝動のためのミツシヨンＭを
構成するに、第５図に示すように、ミツシヨンケ
ース２４に第１ないし第３伝動軸２５，２６ａ，
２６ｂ、走行出力軸２７並びに動力取出軸２８を
軸架し、前記ミツシヨン入力軸８から第１伝動軸
２５にギア伝動し、第１伝動軸２５から走行出力
軸２７にギア式変速機構２９を介して二段変速自
在に伝動し、他方、前記第１伝動軸２５から第２
伝動軸２６ａにギア伝動すると共に第２伝動軸２
６ａから第３伝動軸２６ｂにギア式変速機構３０
を介して三段変速自在に伝動すると共に、第３伝
動軸２６ｂから動力取出軸２８にギア式伝動機構
３１を介して伝動するように構成してある。尚、
前記ギア式変速機構３０において、第２伝動軸２
６ａに嵌着した第１ないし第３ギア３２ａ，３２
ｂ，３２ｃのうち、歯数の小さい側の第２及び第
３ギア３２ｂ，３２ｃを、互いに歯数を異らせな
がらも外径をほぼ等径に構成し、第３伝動軸２６
ｂに摺動のみ自在に取付けたシフトギア３３の大
径ギア３３ａを、第２ギア３２ｂを通過して第３
ギア３２ｃにも咬合させられるように構成してあ
る。

前記第３伝動軸２６ｂに安全クラツチ３４を介
装し、苗植付装置５での駆動負荷が設定以上にな
つた時に動力取出軸２８への伝動を自ずと断つよ
うに構成してある。

図中３５は、動力取出軸２８に介装した植付ク
ラツチであり、定位置停止機構３６を付設してあ
る。

前記ギア式伝動機構３１を構成するに、前記両
クラツチ３４，３５の外側の軸受部３７，３７よ
り突出された第３伝動軸２６ｂ及び動力取出軸２
８の軸端側に、第１及び第２伝動ギア３１ａ，３
１ｂを着脱自在に取付けてあり、そして、ギア式
伝動機構３１を覆うカバー３８を着脱自在にミツ
シヨンケース２４に取付けてあり、カバー３８を
着脱し、第１及び第２伝動ギア３１ａ，３１ｂを
咬合ギア比の異らせたものと交換し、走行速度に
対する苗植付装置５の駆動速度、即ち、車体進行
方向における株間距離を変更し、前記ギア式変速
機構３０との協働により、標準仕様（例えば、
13，16，18cm）と密植仕様（例えば、12，15，17
cm）とに容易に変更させられるように構成してあ
る。

第６図は別実施例を示し、前記スプリング２３
を、揺動アーム１６に押圧接当されるベアリング
ホルダー３９と可動プーリ１２との間に付設した
ものである。

又、第７図も別実施例を示し、前記ロツド１８
を二部材１８ａ，１８ｂから構成し、一方１８ａ
に他方１８ｂを摺動伸縮自在に内嵌すると共に、
両部材１８ａ，１８ｂ間に、短縮側に付勢するよ
うに圧縮形式で前記スプリング２３を介装してあ
る。

第８図は、ミツシヨンＭの変形例を示し、前記
安全クラツチ３４を構成する一方のクラツチ片３
４ａを軸受部３７より外方に延設すると共にその
延設部分にギア３１ａをスプライン嵌合し、か
つ、前記クラツチ片３４ａを支軸４０にその軸芯
方向に摺動自在に取付けると共に、支軸４０の軸
端に、ストッパー４１の固定位置を調整するロツ
クナツト４２を取付けてあり、カバー３８を取外
すことにより、クラツチ片３４ａの固定位置を調
整し、安全クラツチ３４のトルクを容易に調整で
きるように構成してある。

尚、本案によれば、上記スプリング２３が、エ
ンジンＥの停止状態等、変速機構１４の伝動停止
状態における苗植付装置５の下降を、機械式連係
機構１９の破損を招く事無く行わせられることは
もちろんの事、苗植付装置５の急激な昇降変位に
起因する過大な負荷を緩衝する利点も有る。

又、本案としては、例えば割プーリ７をミツシ
ヨン入力軸８側に設け、可動プーリ１２が固定プ
ーリ１３側に変位することとなる、変速機構１４
の伝動停止状態における苗植付装置５の上昇を許
容するように構成するものでも良い。

以上要するに、本考案は、冒記した乗用型田植
機において、前記機械式連係機構１９の途中に、
前記変速機構４の伝動停止状態において、前記割
プーリ７の可動プーリ１２を固定プーリ１３側に
変位させる事無く前記苗植付装置５の上昇あるい
は下降を許容するスプリング２３を介装してある
事を特徴とする。

つまり、変速機構１４の伝動状態での可動プー
リ１２の固定プーリ１３側への変位を、スプリン
グ２３の付勢力を媒介にし、可動プーリ１２を介
しての伝動ベルト１０の駆動反力、緊張力及び動
摩擦力に抗して行え、苗植付装置５の変位に連動
しての変速を良好に行えながらも、変速機構１４
の伝動停止状態においては、伝動状態において可
動プーリ１２を固定プーリ１３側に変位させるよ
うに苗植付装置５が下降あるいは上昇したとして
も、その変位をスプリング２３で吸収し、可動プ
ーリ１２を固定プーリ１３側に変位させずに苗植
付装置５を変位でき、伝動停止状態での苗植付装
置５の昇降変位を、機械式連係機構１９の破損を
招く事無く良好に行えるようになつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る乗用型田植機の実施の態様
を例示し、第１図は全体側面図、第２図は連係機
構を示す側面図、第３図は第２図の要部の一部切
欠側面図、第４図は第２図の−線一部省略断
面図、第５図はミツシヨンの縦断面図、第６図及
び第７図は夫々別実施例を示す要部の側面図、第
８図はミツシヨンの変形例を示す要部の縦断面図
である。 ５……苗植付装置、７……割プーリ、１０……
伝動ベルト、１２……可動プーリ、１３……固定
プーリ、１４……ベルト式無段変速機構、１９…
…機械式連係機構、２３……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 割プーリ７に伝動ベルト１０を巻回したベルト
   式無段変速機構１４を備えた走行車体に苗植付装
   置５を昇降操作自在に連動連結すると共に、前記
   変速機構１４に対して前記苗植付装置５を、その
   植付作業位置において高速になり、かつ、それよ
   り上昇した位置において低速になるように、機械
   式連係機構１９を介して連動連結した乗用型田植
   機であつて、前記機械式連係機構１９の途中に、
   前記変速機構１４の伝動停止状態において、前記
   割プーリ７の可動プーリ１２を固定プーリ１３側
   に変位させる事無く前記苗植付装置５の上昇ある
   いは下降を許容するスプリング２３を介装してあ
   る事を特徴とする乗用型田植機。