JPS641992Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、布帛がほぼ均一な張力で供給され
るようにした布帛の処理装置に関し、長尺の布帛
の洗浄、パツドスチーム式の精練、漂白等の工程
で利用される。

（従来の技術） 布帛の洗浄、パツドスチーム式の精練、漂白等
を行なう処理装置として、布帛供給側の床に置か
れた布帛運搬車から布帛を上方に引上げて複数本
のテンシヨンバーに千鳥状に巻掛け、次いでクロ
スガイダを経て洗浄槽や蒸熱チヤンバ等の本体部
内の多数本のガイドローラに巻掛け、更に本体部
の出口の引取りローラに導き、この引取りローラ
を駆動することにより上記の布帛を布帛運搬車か
ら連続的に引出して処理するようにしたものが知
られている。

（考案が解決しようとする問題点） 布帛運搬車に折畳まれている布帛が、折畳み幅
の中央から引上げられるときと、折畳み幅の端部
から引上げられるときとでは、上方のテンシヨン
バーに至る距離が異なり、かつ上記のテンシヨン
バーに対する布帛の接触角度も異なるため、また
布帛運搬車の布帛の積上げ高さによつて上方のテ
ンシヨンバーに至る距離が異なるため、布帛の張
力が変動する。そして、テンシヨンバーにはテン
シヨン変動を修正する機能が無いため、上記の布
帛は、その張力が変動しながら処理され、出口側
の引取りローラに達する。したがつて、この引取
りローラが絞りローラのように上面に押さえロー
ラを備えているときは、布帛にしわが生じるとい
う問題があつた。

また、上記のテンシヨンバーおよびクロスガイ
ダを２組並列に設け、２台の布帛運搬車から引上
げた布帛をそれぞれ個別にテンシヨンバーとクロ
スガイダに通し、本体部の入口で２枚の布帛を重
ねて本体部のガイドローラに導き、この２枚重ね
の状態で処理するようにした場合は、２枚の布帛
に個別に張力変動が生じ、かつその位相が２枚の
布帛間で一致しないため、しわが発生するという
問題があつた。

更に、従来の装置は、テンシヨンバーと布帛と
の摩擦接触によつて布帛に張力を与えているの
で、テンシヨンバーにおける布帛の接触角度が同
じであつても布帛の種類によつて摩擦係数が異な
る場合には、布帛に加わる張力が異なる結果にな
り、本体部内の布帛に所望の均一な張力を加える
ことが困難であつた。

この考案は、上記の問題点を解消し、布帛を常
に均一な張力の下で処理し、かつ布帛の種類に関
係なく所望の張力を付与することができる布帛の
処理装置を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 従来と同様に布帛供給側上方のテンシヨン装置
に続いてクロスガイダ、本体部および出口側の引
取りローラを備えた布帛の処理装置において、上
記のクロスガイダと本体部の入口との間に若干の
間隔で並ぶ２本１組のフイードローラおよび昇降
自在のダンサローラを介設し、このダンサローラ
をエアシリンダで付勢する。

（作用） テンシヨン装置下方の床上に置かれた布帛運搬
車の布帛は、フイードローラによつてクロスガイ
ダおよびテンシヨン装置を介して引上げられ、次
いでダンサローラによつて張力を加えられ、引取
りローラによつて移送され、その間に本体部内で
洗浄、蒸熱処理理などの処理が行なわれる。すな
わち、フイードローラが布帛運搬車から布帛を引
上げ、フイードローラから送り出される布帛を引
取りローラが引取り、フイードローラと引取りロ
ーラ間の張力をダンサローラによつて制御する。
したがつて、フイードローラの前方（供給側）の
布帛の張力変動は、フイードローラの位置でその
伝ぱが止められ、上記張力変動がフイードローラ
の後方へ波及することがない。しかも、フイード
ローラが若干の間隔で並ぶ２本１組のローラであ
り、布帛をニツプしないので、その前方の布帛に
張力変動があつてもしわが生じない。

（実施例） 第１図において、Ｆは布帛、１は床、２は布帛
運搬車、３はテンシヨン装置、４はクロスガイ
ダ、５はフイードローラ、６はダンサローラ、７
は本体部としての液処理槽、８は引取りローラと
しての絞りローラである。上記のテンシヨン装置
３は、複数本のテンシヨンバー３ａと２本のスイ
ベルテンシヨンバー３ｂとを千鳥状に配列したも
のであり、上記２本のスイベルテンシヨンバー３
ｂ，３ｂの支持円板３ｃの回動により、上記スイ
ベルテンシヨンバー３ｂ，３ｂに巻掛けられた布
帛Ｆの接触角度を変えて布帛張力を調節できるよ
うになつている。また、液処理槽（本体部）７
は、千鳥状に配列された多数本のガイドローラ７
ａを備え、その出口側の絞りローラ（引取りロー
ラ）８は下側の駆動ローラ８ａと上側の加圧ロー
ラ８ｂとで構成されている。

クロスガイダ４と液処理槽７との間のフイード
ローラ５は、モータ（図示されていない）で駆動
される下部ローラ５ａと、この下部ローラ５ａか
らの伝動により回転される上部ローラ５ｂとから
なり、両者の間に若干の隙間を設け、布帛Ｆを千
鳥状に巻掛けて保持するようになつている。ま
た、ダンサローラ６は、上記のフイードローラ５
と液処理槽７の中間上方で昇降できるように、中
央に支点９ａを有するダンサレバー９の一端に取
付けられ、その他端にエアシリンダ１０のピスト
ンロツド１０ａが接続され、このエアシリンダ１
０がダンサローラ６を上向きに付勢している。

上記の構造において、フイードローラ５および
引取りローラ８が駆動されると、フイードローラ
５が布帛運搬車２上の布帛Ｆをテンシヨン装置３
の摩擦抵抗に抗して引出し、フイードローラ５か
ら送り出される布帛Ｆを引取りローラ８が引取
り、その間に布帛Ｆを熱処理槽７の処理液に浸漬
して液処理を行なう。そして、フイードローラ５
と引取りローラ８間の布帛Ｆの張力がダンサロー
ラ６の昇降によつて一定に制御され、引取りロー
ラ８からしわの無い布帛Ｆが送り出される。

第２図の実施例は、第１図のテンシヨン装置
３、クロスガイダ４、フイードローラ５、ダンサ
ローラ６、ダンサレバー９およびエアシリンダ１
０をそれぞれ上下２段に並設し、床１上に並列さ
せた２台の布帛運搬車２，２から布帛Ｆを個別に
引上げ、この２枚の布帛Ｆ，Ｆを液処理装置７の
入口まで並行に導き、この入口で重ねて同時に液
処理を行なうようにしたものである。この場合、
２組のフイードローラ５，５から送られる布帛Ｆ
のいずれにも張力変動がほとんどないので、重ね
た際に２枚の布帛Ｆ，Ｆ間の張力差がなく、その
ため絞りローラ８の通過によつてしわの生じるこ
とがない。

（考案の効果） この考案は、布帛運搬車上の布帛をフイードロ
ーラによりテンシヨン装置を介して引出し、上記
フイードローラから送り出される布帛を出口側の
引取りローラで引取り、かつその布帛張力をダン
サローラで制御するようにしたものであるから、
フイードローラに供給される布帛に張力変動があ
つても、その張力変動が出口側の引取りローラま
で伝ぱすることがなく、そのため引取りローラで
布帛をニツプしてもしわの生じることがない。ま
た、上記のフイードローラが布帛をニツプしない
ものであるから、その供給側の布帛に張力変動が
あつても布帛にしわを生じさせることなく、布帛
を保持する。したがつて、複数台の布帛運搬車か
ら布帛を引上げ、これら複数枚の布帛を重ねて同
時に処理することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１実施例の側面図、第２
図は第２実施例の側面図である。 Ｆ：布帛、２：布帛運搬車、３：テンシヨン装
置、３ａ：テンシヨンバー、３ｂ：スイベルテン
シヨンバー、４：クロスガイダ、５：フイードロ
ーラ、６：ダンサローラ、７：液処理槽（処理装
置の本体部）、８：絞りローラ（引取りローラ）、
９：ダンサレバー、１０：エアシリンダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 布帛を千鳥状に案内して布帛に張力を付加する
   ための複数本のロツドを備えたテンシヨン装置
   と、布帛の幅方向位置を制御するためのクロスガ
   イダと、布帛を多数本のガイドローラで千鳥状に
   案内しながら液処理や熱処理を施すようにした本
   体部と、この本体部の出口に位置する引取りロー
   ラとを順に配設し、上記テンシヨン装置の下方の
   床上に置かれた布帛運搬車から布帛を上方へ引上
   げて上記テンシヨン装置に供給するようにした布
   帛の処理装置において、上記のクロスガイダと本
   体部の入口との間に若干の間隔で並ぶ２本１組の
   フイードローラおよび昇降自在のダンサローラを
   介設し、このダンサローラをエアシリンダで付勢
   したことを特徴とする布帛の処理装置。