JPS641639B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、トンネルのシールド掘削装置に関
する。このシールド掘削装置では、一般に、トン
ネルが耐圧隔壁で仕切られ、耐圧隔壁の前方にお
けるトンネルの内部の空間は、圧力空間と称せら
れて、空気または液体の圧力が加えられる。耐圧
隔壁の後方におけるトンネルの内部の空間は、常
圧空間として、大気圧に維持される。耐圧隔壁に
は、これを貫通する開口部が形成され、この開口
部には、これをふさぐように位置する軸受装置が
配備される。トンネルの掘削を遂行するための回
転切削部材は、圧力空間の中に配置され、この回
転切削部材には、これに固定されてこれから後方
に延長する回転伝動軸が取付けられる。この回転
伝動軸は、軸受装置を貫通するように配置され
る。常圧空間の中において、回転電動軸の後方部
分に、これを回転駆動するための駆動装置が連結
される。

このようなシールド掘削装置によれば、トンネ
ルの掘削作業面を空気または液体の圧力で支持し
ながら掘削作業を遂行する場合に、或いは地下水
の水準以下で掘削を行なうためにトンネルの掘削
作業空間を圧縮空気で完全に満たそうとする場合
に、空気または液体の圧力を受ける圧力空間が耐
圧隔壁の前方だけに限定されるから、空気または
液体の充填および漏出に伴う掘削経費の増大は、
微々たるものになる。また掘削作業を遂行する回
転切削部材が、耐圧隔壁の前方の圧力空間の中に
位置しているにも拘わらず、この回転切削部材を
回転駆動するための駆動装置は、耐圧隔壁の後方
で大気圧に維持される常圧空間の中に位置するか
ら、作業者が圧力を受けることはなく、従つて作
業者は、健康的な環境で遂行できる。

かかる点から、上述したようなシールド掘削装
置は、すでに開発され、例えばドイツ連邦共和国
特許公告第2227083号公報（第１公知例）および
特開昭51−96139号公報（第２公知例）に開示さ
れている。

しかしながら、第１公知例に開示のシールド掘
削装置では、回転掘削部材に固定取付けされた回
転伝動軸が、耐圧隔壁に固定された軸受装置によ
つて回転可能に水平に支持されるが、回転伝動軸
従つて回転切削部材の傾斜を変化させること、並
びにこれの半径方向および長さ方向の位置を変化
させることは、不可能である。従つて、斜めの径
路またはわん曲した径路に沿つて、回転切削部材
による掘削作業を達成しようとする場合には、回
転切削部材を含めたシールド掘削装置全体の位置
または方向を変える必要があり、それには、時間
の大きな損失が伴う。これは勿論、トンネル掘削
作業の費用を著しく増大させる。さらに、第１公
知例による軸受装置の設計では、耐圧隔壁の前方
の圧力空間と後方の常圧空間との間の確実なシー
ルは、容易には達成できない。よつて、第１公知
例のものは、多くの欠点を有する。

前述した第２公知例に開示のシールド掘削装置
は、第１公知例のものにおいて、回転伝動軸従つ
て回転切削部材の傾斜を変えられるにしたもので
あるが、その他の点については、第１公知例の場
合と同様の欠点を依然として有する。

この発明の目的は、第１公知例および第２公知
例に開示されたような従来のシールド掘削装置の
欠点を除去することにある。

この目的の達成のため、この発明によれば、冒
頭に記したようなシールド掘削装置に置いて、回
転伝動軸が、管状の伝動軸ハウジングによつて、
回転可能にかつ耐流体状態で包囲され、軸受装置
が球面状に凸出する外面を備えた実質的に球状の
軸受リングと、軸受リングの外面に滑り接触する
球面状にくぼんだ内面を備えた軸受ハウジングと
からなり、従つて軸受リングが、軸受ハウジング
の中に、任意の方向で傾動できるように収容さ
れ、軸受リングに貫通孔が形成され、この貫通孔
の中に、伝動軸ハウジングがその長さ方向に滑り
変位できるように収容され、軸受ハウジング、耐
圧隔壁の開口部のまわりにおける耐圧隔壁の両面
に沿つて滑り案内される２つの平らな内面を備え
た環状のくぼみを有し、従つて軸受ハウジング、
が耐圧隔壁の開口部の近くにおいて、耐圧隔壁に
沿つて任意の方向に変位でき、さらに、軸受リン
グの外面と軸受ハウジングの内面との間に、軸受
ハウジングに対する軸受リングの傾動をさまたげ
ないシール部材が配置され、軸受リングの貫通孔
と伝動軸ハウジングとの間に、軸受リングに対す
る伝動軸ハウジングの変位をさまたげない別のシ
ール部材が配置され、耐圧隔壁の両面と軸受ハウ
ジングの環状のくぼみの２つの内面との間に、耐
圧隔壁に対する軸受ハウジングの変位をさまたげ
ない第３のシール部材が配置されていること、を
特徴とするシールド掘削装置における回転切削部
材伝動軸のための軸受装置が提供される。

このようなこの発明による構成によれば、軸受
ハウジングに対する軸受リングの傾動によつて、
回転伝動軸従つて回転切削部材の傾斜の変化が達
成でき、軸受リングに対する伝動軸ハウジングの
長さ方向変位によつて、回転伝動軸従つて回転切
削部材の長さ方向の位置の変化が達成でき、耐圧
隔壁に対する軸受ハウジングの変位によつて、回
転伝動軸従つて回転切削部材の半径方向の位置の
変化も達成できる。従つて例えば、斜めの径路ま
たはわん曲した径路に沿つて、回転切削部材で掘
削作業を達成しようとする場合に、耐圧隔壁を動
かす必要はない。故に、時間の損失はなく、従つ
てトンネル掘削作業の費用が安くなる。

しかも、耐圧隔壁を動かすことなしに、回転切
削部材の傾斜および位置またはそのいずれかを変
えた場合にも、耐圧隔壁の前方の圧力空間と後方
の常圧空間との間の完全なシールが、３種類のシ
ール部材によつて達成される。

この発明の望ましい構成によると、すべてのシ
ール部材が二重であつて、その一方が圧力空間側
に配置され、他方が常圧空間側に配置される。

この構成によれば、さらに完全なシールが達成
される。

この発明の別の望ましい構成によれば、軸受ハ
ウジングが、これに固定された支持板を有し、こ
の支持板が、耐圧隔壁に配備された案内レールに
よつて支持され、この案内レールを別の案内レー
ルに取替えることによつて、耐圧隔壁に対する軸
受ハウジングの位置が変位できる。

図面を参照しながら、この発明の実施例につい
て、以下に説明する。

第１図において、遮蔽ケーシングは符号４０で
示され、この遮蔽ケーシング４０の前縁は、符号
４１で示される。前壁面４３を有する耐圧隔壁
１′は、トンネルの内部において、空気または液
体の圧力を加えられる前方の作業空間すなわち圧
力空間４４から、大気圧に維持される後方の常圧
空間４８をシールするに使用される。圧力シリン
ダ４５は、トンネル内張り４６に対して、遮蔽ケ
ーシング４０を動かすに使用される。トンネルの
掘削を遂行する回転切削部材４２は、圧力空間４
４の中に配置され、この回転切削部材４２に固定
されてこれから後方に延長する回転伝動軸５０
は、管状の伝動軸ハウジング４７によつて、回転
可能にかつ耐流体状態で包囲される。この伝動軸
ハウジング４７のための、従つて回転伝動軸５０
のための軸受装置は、回転切削部材４２の長さ方
向の位置を変化でき、さらにその傾斜を変化でき
るように、設計される。さらに、伝動軸ハウジン
グ４７のまわりに、この軸受装置を配置したこと
によつて、伝動軸ハウジング４７は、半径方向に
運動できる。圧力隔壁１′の後方の常圧空間４８
が大気圧に維持されているので、作業員は、健康
によい状態に保たれ、かつ圧縮空気による作業員
の病気が、防止される。

第２図には、この発明による軸受装置を有する
回転切削部材４２の中央部分が示される。軸受装
置は、耐圧隔壁１′で支持される。詳しく言えば、
耐圧隔壁１′は開口部を有し、この開口部には、
これをふさぐように位置する軸受装置が配備され
る。軸受装置の背後には駆動装置６１が存し、こ
れは、回転伝動軸５０の後方部分に連結されて、
これを回転駆動する。

第３図には、回転切削部材４２の長さ方向の位
置の変化および傾斜の変化を起させる、軸受装置
の詳細が示される。更にこれによれば、同時に確
実なシールを行ないながら、回転切削部材４２を
半径方向に運動させることが可能になる。この軸
受装置は、球面状に凸出する外面３２を備えた実
質的に球状の軸受リング２と、外面３２に滑り接
触する球面状にくぼんだ内面を備えた軸受ハウジ
ング３とからなり、従つて軸受リング２は、軸受
ハウジング３の中に任意の方向で傾動できるよう
に収容される。伝動軸ハウジング４７は、軸受リ
ング２に形成された貫通孔の中に、長さ方向に滑
り変位できるように収容される。伝動軸ハウジン
グ４７と軸受リング２の貫通孔との間には、軸受
リング２に対する伝動軸ハウジング４７の変位を
さまたげないシール部材１８および２０′が存す
る。軸受ハウジング３は、耐圧隔壁１′の開口部
のまわりにおける耐圧隔壁の両面１に沿つて滑り
案内される２つの平らな内面を備えた環状のくぼ
みを有する。このように軸受ハウジング３を支持
したことによつて、軸受ハウジング３は、前記開
口部の近くにおいて、耐圧隔壁１′に沿つて任意
の方向に変位できる。軸受リング２は、シール部
材１８，２０′のための切欠きを前方および後方
に有し、これら切欠きの中には、調節ねじ２３に
よる調節を可能にするため、シール部材押さえ５
が配備される。軸受リングの２中央部分には、半
径方向位置の変化を可能にするくぼみ３３が形成
される。耐圧隔壁１′の両面１に対する軸受ハウ
ジング３の環状くぼみの２つの内面のシールは、
耐圧隔壁１′に対する軸受ハウジング３の変位を
さまたげないように配置されたシール部材１９お
よび２０で達成される。これらシール部材１９お
よび２０は、固定部分２６−２８によつて調節で
きるシール部材押さえ６によつて、位置決めされ
る。軸受リング２の球面状に凸出する外面３２に
も、軸受ハウジング３に対する軸受リング２の傾
動をさまたげない静的シール部材２２が存する。
連結リング４は、その内方支持面で傾斜を変える
ように設計され、この連結リングを適正位置に保
持するため、シール部材２１を有する固定ねじ２
９が存する。さらに、球面状に突出する外面３２
の位置決めのための、保持リング７が存し、これ
は、静的シール部材７′に対して内側で接触する
ように、配置される。保持リング７は、ワツシヤ
１５を持つ調節ねじ２４によつて位置決めされ
る。潤滑のための潤滑用ニツプルは、符号１７で
示される。さらに、軸受ハウジング３には、ねじ
２５およびワツシヤ１６によつて、支持板８が固
定される。

第３図の矢印９９の方向に見た第４図には、耐
圧隔壁における軸受装置の一般的配置を前方から
見たところが示される。前述した支持板８に接す
る案内レール６０が存し、これは、所望に応じ
て、厚さの異なる別の案内レールに取替えできる
ように設計されているので、遮蔽ケーシング４０
の軸線に対する軸受装置の位置決めに使用でき
（すなわち軸受装置の位置の半径方向変化を達成
でき）、さらに主調節が行なわれたのちの細かな
位置調節に使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、トンネルのシールド掘削装置の線図
的垂直断面図である。第２図は軸受装置と回転伝
動軸を備えた回転切削部材とを持つ、第１図の中
央部分の拡大図である。第３図は、伝動軸ハウジ
ングおよび軸受装置の拡大断面図である。第４図
は、軸受装置の位置の半径方向変化を可能にする
部分をも表わす、第３図の矢印９９の方向に見た
正面図である。 図面において、１は耐圧隔壁の両面、１′は耐
圧隔壁、２は軸受リング、３は軸受ハウジング、
１９，２０，２０′，２２はシール部材、３２は
軸受リングの外面、４２は回転切削部材、４４は
圧力空間、４７は伝動軸ハウジング、４８は常圧
空間、５０は回転伝動軸、６１は駆動装置を示
す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トンネルを耐圧隔壁１′で仕切り、耐圧隔壁
   の前方におけるトンネルの内部の空間に、空気ま
   たは液体の圧力を加えて、この空間を圧力空間４
   ４となし、耐圧隔壁の後方におけるトンネルの内
   部の空間を、大気圧に維持される常圧空間４８と
   なし、耐圧隔壁に、これを貫通する開口部を形成
   して、この開口部に、これをふさぐように位置す
   る軸受装置２，３を配備し、圧力空間の中に、ト
   ンネルの掘削を遂行するための回転切削部材４２
   を配置し、回転切削部材に、これに固定されてこ
   れから後方に延長する回転伝動軸５０を取付け、
   この回転伝動軸を、これが軸受装置を貫通するよ
   うに配置し、常圧空間の中で、回転伝動軸の後方
   部分に、これを回転駆動するための駆動装置６１
   を連結させた、トンネルのシールド掘削装置にお
   いて、 回転伝動軸が、管状の伝動軸ハウジング４７に
   よつて、回転可能にかつ耐流体状態で包囲され、 軸受装置が、球面状に凸出する外面３２を備え
   た実質的に球状の軸受リング２と、軸受リングの
   外面に滑り接触する球面状にくぼんだ内面を備え
   た軸受ハウジング３とからなり、従つて軸受リン
   グが、軸受ハウジングの中に、任意の方向で傾動
   できるように収容され、 軸受リングに貫通孔が形成され、この貫通孔の
   中に、伝動軸ハウジングがその長さ方向に滑り変
   位できるように収容され、 軸受ハウジングが、耐圧隔壁の開口部のまわり
   における耐圧隔壁の両面１に沿つて滑り案内され
   る２つの平らな内面を備えた環状のくぼみを有
   し、従つて軸受ハウジングが、耐圧隔壁の開口部
   の近くにおいて、耐圧隔壁に沿つて任意の方向に
   変位でき、 さらに、軸受リングの外面と軸受ハウジングの
   内面との間に、軸受ハウジングに対する軸受リン
   グの傾動をさまたげないシール部材２２が配置さ
   れ、軸受リングの貫通孔と伝動軸ハウジングとの
   間に、軸受リングに対する伝動軸ハウジングの変
   位をさまたげない別のシール部材２０′が配置さ
   れ、耐圧隔壁の両面と軸受ハウジングの環状のく
   ぼみの２つ内面との間に、耐圧隔壁に対する軸受
   ハウジングの変位をさまたげない第３のシール部
   材１９，２０が配置されていること、 を特徴とするシールド掘削装置における回転切削
   部材伝動軸のための軸受装置。 ２ すべてのシール部材２２，２０′，１９，２
   ０が二重であつて、その一方が圧力空間側に配置
   され、他方が常圧空間側に配置される、特許請求
   の範囲第１項に記載の軸受装置。 ３ 軸受ハウジングが、これに固定された支持板
   ８を有し、この支持板が、耐圧隔壁に配備された
   案内レール６０によつて支持され、従つて、この
   案内レールを別の案内レールに取替えることによ
   つて、耐圧隔壁に対する軸受ハウジングの位置が
   変化できる、特許請求の範囲第１項または第２項
   に記載の軸受装置。