JPS641409Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は軽量にして耐候特性並びに耐衝撃、
曲げ強度特性に優れた外観体裁の良好な目隠パネ
ルの提供に係わるものである。

（従来技術及びその有する課題） 而して従前におけるこの種の目隠パネル類は概
ねP.C板、プラスチツクボードあるいは金属パネ
ル等の種々の素材の活用が試みられたものである
が、そのいずれにおいても一長一短があり必ずし
も満足し得るものではなかつた。

例えばP.C板の利用においては構築躯体と同一
の素材であることよりして外観特性は基本的に減
殺されない利点を有する反面ベランダ外縁に相当
の重量付加を余儀なくされたものであつて、往々
にしてベランダスラブ構造に格別の補強構造を別
途要請されたものである。又かゝるP.C板は配
筋、打設養生に伴う製作、コストを搬送、取付け
施工におけるコストが他の素材に比し割高とさ
れ、更にフエンス外面に相当の肉厚幅が出て所謂
ボツテリとした外観を呈すること並びにコンクリ
ート特有の画一的外観を呈することにより必ずし
も趣き豊なフエンス外装材とはなり得ないもので
ある。

又プラスチツクボード類の使用においては該ボ
ード類の成形特性が極めて良好であること、任意
の色調、模様類の表出が自由になし得ること、軽
量であること並びに現場での施工性が特に良好で
あること等よりして一部外装材としての使用が試
みられたものであるが、この種プラスチツク材
は、仮にFRPとした場合においても耐候特性が
特に劣悪であつて、自然環境の特に苛酷なフエン
ス外装材としては必ずしも満足し得るものではな
かつた。即ち、この種の外装材は比較的短期間内
に褪色し、又風化に伴うクラツクを生じて外観特
性を損うと同時に破損落下の危惧を内包したもの
である。

又、一般的に、この種のプラスチツク類は質量
感の表出には不向きのものとされ構築物全体のイ
メージダウンの原因とされたものである。

更に叙上金属パネル類は斯かるプラスチツク類
に代るべきものとして使用が試みられたものであ
るが、特有の金属色表面を呈することよりして必
ずしも全ての構築物に適合し得ない欠点を有する
と共に発錆、風化は避けがたいものであつて、管
理保全に多分のコストを要請されたものである。

（課題を解決するための手段） この考案は斯かる従来技術の有する不都合を解
決するべく案出されたものであつて、板状の軽量
発泡材が芯材とされ、且つ該芯材の周囲が耐アル
カリ性グラスフアイバー強化コンクリート（以下
GRCという。）で覆われた装飾用目隠パネルであ
つて、該パネルの外側を覆つたGRCと内側を覆
つたGRCとが連通される肉厚部に螺子管が一体
に埋設されていると共に前記パネルの外側に面す
る面が多段状とされ、且つ該多段状の面が夫々上
部から下方に向けて漸次外方に膨み出したテーパ
面とされていると共にこの夫々のテーパ面の下端
縁の突出幅が同一寸法である装飾用目隠パネルを
提供するものである。

（実施例） 以下この考案の詳細を図面に示す目隠パネルの
一実施例について説明するに、１はスタイロフオ
ーム等の発泡合成樹脂基材あるいは発泡軽量コン
クリート等の軽量発泡材２を芯材として該周面に
耐アルカリ性グラスフアイバーの短繊維を3o／
wtないし8o／wt程度混練したモルタルを付設、
養生したパネルであつて、通常型枠面、特に成形
後表面となるべき面を型枠面としてGRCを吹き
つけ、あるいは鋳込むと共に軽量発泡材２を、こ
のGRC面上に載置してパネル裏面となるGRC材
を再度吹きつけ、あるいは鋳込むようにして成形
したものである。

次いでパネル１の表面を一定幅寸に亘り漸次下
側外方に膨出するテーパ面１ａとし、このテーパ
下縁より該テーパ面１ａの膨出相当分パネル１の
内側方に落し込んだ位置より次のテーパ１a′を、
更にこのテーパ面１a′の下縁より次のテーパ面１
a″を順次連設し、所謂下見板状のパネル１とした
ものである。

かゝる構成よりなるパネル１の夫々のテーパ面
１ａ，１a′，１a″…は、必要に応じて木目模様を
付設し、又該パネル１のGRC中に適宜の顔料を
混練あるいはパネル１の表面に塗装処理を施すこ
とにより適宜の色彩、色調を表現することも予定
している。

そして、パネル１の外側を覆つたGRCと内側
を覆つたGRCとが導通するGRCの肉厚部に螺子
管３を一体的に埋設成形すると共にベランダフエ
ンスにおける支柱４に跨がるように取付けた金具
５よりボルト６を該螺子管３に螺挿してフエンス
に対し叙上パネルを取付けたものである。

尚、叙上における実施例ではベランダスラブに
おける立上り７に支柱４を立設した事例を示して
ある。

第２図において示される他の実施例は軽量発泡
材２を複数個使用した場合のパネル１の取付例を
示したものであるが、該軽量発泡材２，２の相互
間に形成される肉厚部に埋設された螺子管を使用
してパネル１を支柱４に取付けたものである。

尚、この実施例では、該支柱４は、スラブ８に
おける梁９に取付板１０を介して直接溶接してあ
る事例を示してある。

（考案の効果） この考案は叙上における特長ある構成、就中素
材をGRC材とし、しかも下見板状としたことに
より従前の目隠パネル材において全く予期されて
いない以下の諸特性の具体的な奏効が可能とされ
たものである。

即ち、素材がGRC材であることより著しく肉
薄とされた場合においても所期の耐衝撃、曲げ強
度特性の作出が容易に可能とされ、又経時的な老
化、特にクラツク等の風化の問題は確実に防止さ
れ得たものである。

そして、GRC素材の良好な成形性は、パネル
１のにおけるGRCの肉厚部に螺子管を一体的に
埋設成形することを可能にし、又その強度特性と
相まつて、簡便且つ強固なパネルの取付け施工を
約束し得るものである。

又、素材の肉薄、軽量化によりベランダスラブ
に対する付加荷重容量を極力少ないものとし、製
作、搬送並びに施工のいずれの面においても取扱
性を特に良好としたものである。かゝる利点は鋸
挽きによるパネル１の自在な切断と相まつてパネ
ル取付け施工を簡便としたものである。

尚、素材の肉薄化は緻密なGRC素材の特性と
共に結露結氷に伴うパネル１の破損を確実に防止
し、又軽量発泡材２の介装により膨張、収縮の逃
げ部分を別途設けることにより斯かるパネル破損
の危惧を更に確実に防止するものである。

そしてこの考案にあつては下見板状の多段的な
テーパ面を設けると共にこのテーパ面の下端縁の
突出幅を、夫々同一寸法として、突出肉厚部をも
つて曲げ強度を高める骨材の役割を担わせると共
に、肉薄部をもつてパネル１自体が若干変形し得
るものとして該肉薄部に曲げ荷重等の作用部を負
担させ、これが多段的に設けられる突出肉厚部と
連続して設けられていることにより、外力を任意
の一部分に集中させることを回避して、力を分散
させパネル１における歪みの発生を確実に防止し
得るものであある。

又、かゝるテーパ面の下端縁は雨水の水切り縁
として機能したことによりパネル１に対する雨水
の浸潤は極力減じられたものである。

尚、パネル１に木目模様を表出した場合には叙
上下見板形状がより現実的な、リアルなものとさ
れたものであつて、この木目模様に合せた色調の
塗装処理を別途予定したことよりして外観の特に
ソフトな目隠しパネル面の作出が約束されたもの
である。すなわち、叙上における木目模様の作出
は、GRC型枠面に接する製品素材面が特に緻密
な端面とされることによつて確実に表現し得たも
のであり、かかる微妙な木目模様の作出は一般的
なP.C板においては殆ど作出を困難とされたもの
であつて、GRC独特の機能に由来するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の典型的なパネル材の取付け
一実施例である断面図、第２図は他の実施例を示
す断面図、第３図は構築物に取付けた状態を示す
斜視図、第４図は同正面図である。 尚、図中１……パネル、２……軽量発泡材、３
……螺子管、４……支柱、５……金具、６……ボ
ルト、７……立上り、８……スラブ、９……梁、
１０……取付板を示したものである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 板状の軽量発泡材が芯材とされ、且つ該芯材
   の周囲が耐アルカリ性グラスフアイバー強化コ
   ンクリートで覆われた装飾用目隠パネルであつ
   て、該パネルの外側を覆つた耐アルカリ性グラ
   スフアイバー強化コンクリートと内側を覆つた
   耐アルカリ性グラスフアイバー強化コンクリー
   トとが連通される肉厚部に螺子管が一体に埋設
   されていると共に前記パネルの外側に面する面
   が多段状とされ、且つ該多段状の面が夫々上部
   から下方に向けて漸次外方に膨み出したテーパ
   面とされていると共にこの夫々のテーパ面の下
   端縁の突出幅が同一寸法であることを特徴とす
   る装飾用目隠パネル。 ２ 前記軽量発泡材が二以上であることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載に係る
   装飾用目隠パネル。