JPS641368Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はコクリートの止水板に関するものであ
る。

コンクリート構造物では、クラツクの発生を防
ぐために適宜個所に伸縮継目を設ける必要があ
り、さらにこの継目には止水板を配設して漏水、
あるいは浸水を防がなければならない。

かかる止水板として、金属製のものは複雑な形
状のエクスパンシヨン加工をするのにコスト高と
なるので、最近ゴム製、合成樹脂製等の可撓性及
び弾性材料を用いたものが多い。

ところで、従来の止水板はこれをコンクリート
中にセツトするのに鉄筋等から導いた針金で固定
したり、また特殊なセツト金具を使用したりして
おり、いずれにせよ止水材自体のセツト方法が非
常に面倒で時間のかかるものであつた。さらに、
セツトした止水材が蛇行したり波打つてしまおそ
れもある。

一方、数年前の建築基準法の新耐震設計法の導
入で、壁等建物のコンクリート構造体の所要個所
にはスリツトなどの縁切り部分を形成して必要以
上に剛性が出すぎないようにすることが要求され
る。

このような縁切り部分は、コンクリート内に発
泡ゴム等の縁切り材となる伸縮材を埋設して形成
するが、単なるコンクリートの打継ぎ部と異なり
この縁切り部の止水を考慮した止水板は存在しな
い。

本考案の目的は上記従来例の不都合を解消し、
止水板自体の取付け作業が簡単で、現場作業の手
間と時間を大幅に省略でき、しかもコンクリート
の縁切り部という特殊構造での合理的かつ信頼性
の高い止水構造が得られる止水板を提供すること
にある。

しかしてこの目的は本考案によれば、帯体の一
部をコ字形に膨出させて、型枠パネルに設けた目
地棒又は桟木等のバー状の係止部材挿入用の溝を
並列にかつ間隔を存して帯体の長手方向に形成
し、また、帯体の前記溝の中間でかつこれと反対
面に膨出部を設け、その上面を切欠いて、溝板状
の縁切り材の端部嵌入を前記溝と平行に形成する
ことにより達成される。

以下、図面について本考案の実施例を詳細に説
明する。

第１図は本考案の止水板の実施例を示す縦断正
面図、止水板は図の前後方向に連続する帯体１か
らなり、材質としては合成ゴム及び熱可塑性エラ
ストマー、軟質塩化ビニル等の弾性合成樹脂その
他を用いる。

上記帯体１の一部をコ字形に膨出させて溝２，
２′を間隔を存して並列に帯体１の長手方向に形
成する。

この溝２，２′は、開口部が幅広の断面台形状
のもので後述のように型枠パネルに設けた係止部
材挿入用のものである。

また、帯体１の両端には図示で上方に突出する
リブ３，３′を、上記コ字形膨出個所の角部には
横方向に突出し先端を肉厚にしたリブ４，４′を
同じく帯体１の長手方向に形成する。

さらに、帯体１の上記溝２，２′の中間でかつ
これと反対面に台形状の膨出部５を設け、その上
面を切欠いて断面矩形の溝６を形成する。溝６は
帯体１の長手方向で溝２，２′と平行に位置し、
後述のごとく縁切り材の端部を嵌入するものであ
る。

これら溝２，２′、溝６及びリブ３，３′，４，
４′は、帯体１を押し出し成形する際に一度に形
成することができる。

また、溝２，２′と溝６との相互間隔及び溝６
自体の幅は第２図に示すように長くすることもあ
り、さらに図示しないが溝２，２′や溝６の個数
を増すことも考えられる。

次に使用法及び作用について説明する。

第３図は使用状態を示す断面図で、合板製の型
枠パネル７に断面台形状の目地棒又は桟木等から
なるバー状の係止部材８，８′を釘９で止めれば、
止水板は型枠パネル７の表面に波打ちや蛇行する
ことなくしつかりと取付く。

次いで発泡ゴム等の伸縮材からなるバー状の縁
切り材１０の端部を止水板の溝６に嵌入して係止
する。なお、図示しないが縁切り材１０の外側を
仮枠で押さえておく。

このようにセツトして型枠パネル７内にコンク
リート１１の縁切り材１０の下まで打設し、次い
で上記仮枠を外してコンクリート１１′を打設し、
両コンクリート１１，１１′の硬化役型枠パネル
７を外せば、止水板及び縁切り材１０はコンクリ
ート１１，１１′中に残る。この際、釘１２はリ
ブ３，３′の内側部分を突き破りパネル７ととも
に止水材から抜け出してしまう。

ところで、止水板は２本の係止部材８，８′で
間隔を置いて固定されているのでコンクリート１
１、１１′の打設の流動圧力にも充分耐えられ、
また脱型の際には台形状の係止部材８，８′は溝
２，２′からスムーズに抜け出て、一方止水板の
方はリブ３，３′及び４，４′があるのでコンクリ
ート１１，１１′中に完全に止められることにな
る。

他の使用法としては、縁切り材１０の挿入部分
にまず仮枠を止水板の溝６に嵌入して置き、コン
クリート１１を打設した後に仮枠を外して縁切り
材１０を溝６に嵌入してセツトし、次いでその上
にコンクリート１１′を打設するようにしてもよ
い。

外部から縁切り材１０の部分へ浸入しようとす
る水は、まずリブ３と４及び３′と４′の間にコン
クリート１１，１１′の一部が回り込んでいるの
でこの部分で阻止され、さらにリブ４，４′間の
コンクリート回り込み部分、リブ４又は４′と膨
出部５の側面とに形成されるコンクリート回り込
み部分というように止水板と接するコンクリート
１１，１１′の端面が複雑に入り組んでいるので
完壁に止水されることになる。

以上述べたように本考案の止水板は、型枠パネ
ルに設けた係止部材挿入用の溝を複数条長さ方向
に有する帯体の該溝間でかつ反対面に縁切り材端
部の嵌入溝を一体に形成したので、止水板自体の
取付け作業が簡単で現場作業の手間と時間を大幅
に省略でき、しかもコンクリートの縁切り部とい
う特殊構造でも合理的かつ信頼性の高い止水構造
が簡単に得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の止水板の実施例を示す縦断正
面図、第２図は同上他の実施例を示す縦断正面
図、第３図は使用状態を示す断面図である。 １……帯体、２，２′……溝、３，３′，４，
４′……リブ、５……膨出部、６……溝、７……
型枠パネル、８，８′……係止部材、９……釘、
１０……縁切り材、１１，１１′……コンクリー
ト、１２……釘。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 帯体の一部をコ字形に膨出させて、型枠パネル
   に設けた目地棒又は桟木等のバー状の係止部材挿
   入用の溝を並列にかつ間隔を存して帯体の長手方
   向に形成し、また、帯体の前記溝の中間でかつこ
   れと反対面に膨出部を設け、その上面を切欠い
   て、板状の縁切り材の端部嵌入溝を前記溝と平行
   に形成したことを特徴とする止水板。