JPS639837Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、潤滑油ミスト分離器に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

従来より圧縮空気を駆動エネルギーとするアク
チユエーターやスプール電磁弁等のエアー機器を
潤滑に作動させるために、圧縮空気によつて潤滑
油をこれらエアー機器に送入させるルブリケータ
ーが使用されている。このルブリケーターには
種々の製品があるが、そのうち一般的に使用され
ている可変絞り付き滴下型ルブリケーターには次
のごとき問題がある。

すなわち、この滴下型ルブリケーターによつて
生成されるオイルミストには粒径の大きいものが
多量に含まれているため、潤滑油の多くはオイル
ミストの状態で運ばれず、ミストのほとんどは配
管内壁に付着し液状となつて運ばれることから、
潤滑油の供給を良好に行なうためにはルブリケー
ターの取付位置、例えば潤滑対象機器に対する高
さと距離が限定されていた。また、このように潤
滑油が液状で運ばれると、潤滑対象機器が必要と
する適正な給油量の調整が難しく、どちらかとい
えば過剰な給油量となりがちのため潤滑油の消費
量が多くなつてしまい、更には潤滑対象機器から
排出されるガス中にも多量の潤滑油が含まれるよ
うになるため、環境汚染につながるなど数々の問
題が生じていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、これらの欠点を解消するためのもの
で、ルブリケーターで生成される大小粒径の異な
るオイルミスト粒子のうち、圧縮空気中に混在し
て流路の内壁に付着することなく運ばれる小径の
粒子のみを分離し、潤滑対象機器に送ることによ
り、ルブリケーターの取付位置に関係なく、適正
な油量の供給と効率良く潤滑作用を行なわせしめ
得る潤滑油ミスト分離器を提供せんとするもので
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の潤滑油オイルミスト分離器は、一方に
ルブリケータに通ずる流入パイプを接続し、他方
に潤滑対象機器に通ずる供給パイプを有し、中央
に供給パイプと通ずる供給路および該供給路の外
周に流入パイプと接続する送入路を内外二層とし
て設けてなる分離器本体の上部に、一端が閉止さ
れた筒状ケースを供給路と送入路を覆つて設け、
該ケースの内部で前記供給路上に円筒体を立設
し、該円筒体の基部外周近傍の位置に孔が開口さ
れているサイクロンプレートを配設するととも
に、該円筒体の上端開口部上方に適当な間隔を設
けて前記開口部より大きい口径の逆椀状の捕集器
を位置せしめてなり、オイルミストを含む空気の
送入を停止したとき前記筒状ケースと円筒体との
間にあるオイルが前記サイクロンプレートの孔を
通つて流入パイプから分離器外へ流れるようにし
たことを特徴とする。

従来より、本考案と同じ目的でエアー機器メー
カーが製品化したものがあるが、本考案のように
サイクロンを利用して潤滑油の大小の粒子を分離
する構造のものはいまだ見受けられない。

〔作用〕

本考案では、ルブリケーターで生成された大小
の粒径のものが混在したオイルミストを前記筒状
ケースと円筒体との間の空間内に圧縮空気ととも
に送入すると、オイルミストの流れはサイクロン
プレートによつて渦巻き状になつて前記空間内を
上昇するが、そのとき大きな粒径のミストは筒状
ケースの内壁面に付着し、小さな粒径のミストの
みが空間内を上昇し、円筒体の上方に配置された
逆椀状の捕集器によつて捕らえられ、円筒体内を
通つて供給路より潤滑対象機器へと送られる。筒
状ケースの内壁に付着した潤滑油は、圧縮空気の
送入が停止したとき、内壁面を流下してサイクロ
ンプレート上に溜るが、該プレートに設けた前記
孔から送入路に流れ落ちルブリケーターへ戻るよ
うになつている。

尚、逆椀状の捕集器は小径のオイルミストを捕
捉するほか、筒状ケースの内壁に付着した潤滑油
が圧縮空気の力で筒状ケースの内面頂部に押し上
げられたときでも円筒体内に流れ落ちるのを防止
する役割をも果たす。それ故、捕集器は円筒体の
開口部よりも大きい口径とする。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に従つて説明す
る。

図において、１はルブリケーター、２はミスト
分離器を示す。ルブリケーター１はその本体３に
圧縮空気の通過する空気流路４が設けられてお
り、本体３の下方には潤滑油を入れたケース５が
設けられている。そして本体３の上部には油溜口
６が開口されており、ケース５内の潤滑油を油溜
口６に導く導入管７がネジ８によつて油量を調節
可能に設けられている。更に、空気流路４にはケ
ース５内に通じる孔９が開口されており、空気流
路４の途中には圧縮空気をより高圧にするための
遮蔽板１０が設けられている。

ミスト分離器２は、その分離器本体１１にオイ
ルミストを通過させるための送入路１２および供
給路１３が内外二層として設けられており、外側
の送入路１２は流入パイプ１４により前記ルブリ
ケーター１に接続され、内側の供給路１３は供給
パイプ１５により潤滑対象機器（図示せず）に通
じている。分離器本体１１の送入路１２および供
給路１３にあわせて、分離器本体１１の上部には
一端が閉止された例えば釣鐘状の筒状ケース１６
が送入路１２と供給路１３とを覆つて設けられ、
そして該ケース１６の内部で前記供給路１３の外
周を基部として該供給路１３上に円筒体１７が設
けられており、ケース１６によつて外気と遮断さ
れた密封構造となつている。ケース１６の頂部内
側には逆椀状の捕集器１８が、円筒体１７の頂部
の開口部１９に対向させて、両者の間に適当な間
隔を開けて設けられている。更に、ケース１６と
円筒体１７の間に形成された空間２０と、外側の
送入路１２を仕切るようにして、サイクロンプレ
ート２１が分離器本体１１に載置されており、こ
のプレート２１にはオイルミストを含む圧縮空気
を通過させるための放射状の孔と潤滑油を流れ落
すための孔２２が穿設されている。尚、２３は分
離器本体１１と円筒体１７とを連結するととも
に、両者間にサイクロンプレート２１を挟んで固
定するためのボルトである。

このように構成されたミスト分離器によれば、
潤滑対象機器の作動により空気流路４に圧縮空気
の流れが生じ、ルブリケーター１にて大小のオイ
ルミストが生成されるが、このオイルミストは圧
縮空気とともに流入パイプ１４を通つてミスト分
離器本体１１の送入路１２に流入し、サイクロン
プレート２１の孔より吹き出して、空間２０を渦
巻き状になつて上昇する。この時、オイルミスト
自体の遠心力により大粒のオイルミストは筒状ケ
ース１６内面に近い部分を上昇し、また小粒のオ
イルミストは円筒体１７外面に近い部分を上昇し
ていき、小粒のオイルミストは捕集器１８によつ
て集められ、円筒体１７の開口部１９を通過し、
円筒体１７の内部を通つて供給パイプ１５から潤
滑対象機器に送り出されていく。一方、大粒のオ
イルミストは筒状ケース１６の内面に付着して液
状となり、圧縮空気の流れが止まつた際に、サイ
クロンプレート２１に流下し、円筒体１７の基部
外周近傍に設けられた前記孔２２から分離器本体
１１に流れて、ルブリケーター本体３の空気流路
４に設けた孔９よりケース５内へ戻される。

このような潤滑油ミスト分離器によれば、ルブ
リケーターからの粒径の異なるオイルミストのう
ち小径のものだけを分離できるため、供給管の内
壁に付着させることなくオイルミストのまま潤滑
対象機器に供給できる。そのため、供給油量はル
ブリケーターで生成する全体としてのオイルミス
ト量を増減させることによつて容易に調節でき
る。また分離した大径のオイルミストは潤滑対象
機器に供給されることなくミスト分離器内に残つ
ており、潤滑供給操作を停止させることによりル
ブリケーター内へ回収できる。

〔考案の効果〕

以上のごとく、本考案によれば構造の簡単なミ
スト分離器をルブリケーターと潤滑対象機器との
間に設けることによつて、潤滑対象機器が必要と
する油量を正確に供給させることができ、潤滑油
の過剰または不足をなくし、環境汚染を減少させ
るほか、潤滑対象機器に対するルブリケーターの
取付位置の制限がなくなる等多くの利点を有す
る。

【図面の簡単な説明】

図は、本考案の一実施例を示す断面図を表わ
す。 図中、１……ルブリケーター、２……ミスト分
離器、１２……送入路、１３……供給路、１４…
…流入パイプ、１５……供給パイプ、１６……筒
状ケース、１７……円筒体、１８……捕集器、２
１……サイクロンプレート、２２……孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一方にルブリケータに通ずる流入パイプを接続
   し、他方に潤滑対象機器に通ずる供給パイプを有
   し、中央に供給パイプと通ずる供給路および該供
   給路の外周に流入パイプと接続する送入路を内外
   二層として設けてなる分離器本体の上部に、一端
   が閉止された筒状ケースを供給路と送入路を覆つ
   て設け、該ケースの内部で前記供給路上に円筒体
   を立設し、該円筒体の基部外周近傍の位置に孔が
   開口されているサイクロンプレートを配設すると
   ともに、該円筒体の上端開口部上方に適当な間隔
   を設けて前記開口部より大きい口径の逆椀状の捕
   集器を位置せしめてなり、オイルミストを含む空
   気の送入を停止したとき前記筒状ケースと円筒体
   との間にあるオイルが前記サイクロンプレートの
   孔を通つて流入パイプから分離器外へ流れるよう
   にしたことを特徴とする潤滑油ミスト分離器。