JPS638855Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は多弁式内燃機関の燃料噴射弁固定装
置、特に燃料噴射弁（以下燃料弁という）を固定
する弁押え部材の支点部を弁腕取付台で支持し燃
料弁および動弁装置が占める容積を減少し、弁腕
ボンネツトの小型化を図る前記固定装置に関す
る。

デイーゼルエンジン等の内燃機関のうちでも、
とりわけ吸気・排気の効率上昇を目的として、吸
気弁および排気弁を複数備えた多弁式内燃機関に
おいては、前記各吸排気弁の配置の関係から燃料
弁は吸排気弁で取り囲まれる部分、即ち、シリン
ダ中心相当位置に垂直に固定されている。

そのため、この種の従来の多弁式内燃機関にお
いては、例えば第１図に示す如く、シリンダヘツ
ド１に貫設した燃料弁挿入孔２内に燃料弁３を挿
入し、該燃料弁３の肩部３ａに、弁腕取付台４と
の間に配設した弁押え部材５の一端に形成した二
股状押圧部５ａを当接させ、該弁押え部材５の他
端側の支点部５ｂをシリンダヘツド上面１ａに当
接させると共に、該弁押え部材５の中心孔６を、
シリンダヘツド１に立設したボルト７に貫挿し、
該ボルト７上端に螺着したナツト８で、皿形座金
９を介して前記弁押え部材５をヘツド側に締付け
ることに前記燃料弁３をシリンダヘツド１に固定
する燃料弁固定装置が採用されている。

ところが上記従来構造の燃料弁固定装置では、
前記弁押え部材５が弁腕取付台４と燃料弁３との
間において、その支点部５ｂをシリンダヘツド上
面１ａに支持させていることから、前記弁腕取付
台４と燃料弁３との間隔を弁押え部材５を配置す
る分だけ余計に広くしなければならず、これによ
つて前記弁腕取付台４に支承される弁腕１０の腕
部が長くなつたり、該弁腕１０および弁腕取付台
４を含む動弁装置と燃料弁３とが占める容積が大
きくなり、これらを囲繞する弁腕ボンネツト１１
が大型化して、機関全体の小型・軽量化を阻害す
る問題があつた。

勿論、前記弁押え部材５を固定するボルト７を
燃料弁３の反対側のシリンダヘツド上面１ａに立
設し、弁押え部材５の配置および支点部５ａの当
接位置を外方に変更して前記弁腕取付台４と燃料
弁３との間隔を縮少することも可能であるが、こ
の場合は、弁押え部材５の支点部５ａをシリンダ
ヘツド上面１ａにおける部品を取付けていない平
坦な部分に当接させる必要があり、また、弁押え
部材５自体が外方に張出すため、前述の場合と同
様に弁腕ボンネツト１１の大型化を招くことにな
る。

本考案はかかる従来の多弁式内燃機関が有して
いた燃料弁固定構造に起因する弁腕ボンネツト大
型化の問題に着目し、弁押え部材の支点部当接箇
所を変更することによつて、上記問題点を解消せ
んとするものであり、その特徴は一端に燃料噴射
弁の肩部に当接する押圧部を有し、かつ、他端に
支点部を有する弁押え部材を用い、該弁押え部材
の中間部をシリンダヘツド上面に立設したボルト
でヘツド側に締め付けることにより、上記燃料噴
射弁をシリンダヘツドに固定してなる多弁式内燃
機関の燃料噴射弁固定装置において、前記ボルト
に隣接してシリンダヘツド上面に弁腕取付台を固
定すると共に、該弁腕取付台の上面によつて前記
弁押え部材端部の支点部を支持せしめた構成にあ
る。

以下本考案の具体的内容を添付図面に示す実施
例にもとづいて説明する。

第２図は本考案の燃料噴射弁固定装置を適用し
た多弁式内燃機関の断面図、第３図は第２図にお
けるＡ−Ａ線矢視断面図である。

これら各図において、２１はシリンダブロツ
ク、２２はシリンダライナー、２３はピストン、
２４はシリンダヘツド、２５は吸気マニホール
ド、２６は排気マニホールドを夫々示している。
前記シリンダヘツド２４は、その上面２４ａから
下部燃焼面２４ｂに亘つて鉛直方向に燃料弁挿入
孔２７が穿設されており、該挿入孔２７内におい
て従来公知の構造を有する燃料弁２８を嵌合保持
している。また、シリンダヘツド２４は、その上
面２４ａに弁腕取付台２９を載置し、該弁腕取付
台２９をボルト３０，３１により固定していると
共に、ボルト３０の上端に螺着した鍔付きナツト
３２により固定される弁腕ボンネツト３３によつ
て、その上面が覆われている。

更に、シリンダヘツド２４の上面２４ａには、
前記弁腕取付台２９と燃料弁２８との間において
ボルト３４が立設されていて、該ボルト３４の上
端部にて本考案の要部をなす弁押え部材３５が保
持されている。

弁押え部材３５は一端側が、前記燃料弁２８の
肩部２８ａに当接する二股状の押圧部３５ａに形
成され、他端側が鉤形に屈曲した支点部３５ｂと
なつていると共に、その中間部において前記ボル
ト３４およびボルト３０を挿通可能な貫通孔３
６，３７が穿設されている。従つて上記弁押え部
材３５は、その貫通孔３６，３７をボルト３４，
３０に挿通し、前記ボルト３４の上端に皿形座金
３８を介してナツト３９を螺着し、前記シリンダ
ヘツド２４側に締め付けることにより、前記押圧
部３５ａで燃料弁２８の肩部２８ａを、支点部３
５ｂで弁腕取付台２９の上面を夫々押圧して、前
記燃料弁２８を嵌入方向に押圧固定するようにな
つている。

なお、図中、４０は前記燃料弁２８に燃料高圧
管を接続するための燃料噴射管継手であつて、該
継手４０は、前記シリンダヘツド２４の吸気マニ
ホールド２５取付側から水平に穿設された挿入孔
４１にゴム等の円筒状シール４２を介して挿入さ
れ、その先端が燃料弁２８の側面に螺着されてい
る。

また、４３は燃料弁２８をシリンダヘツド２４
に組み付け易くするための廻り止め突起であつ
て、該突起４３は、図示実施例ではその先端に設
けた半円形溝４４を前記ボルト３４に嵌着して、
その中心軸まわりの回動を制限しているが、該廻
り止め突起４３の構成は、上記半円形溝４４を形
成したものの外、第４図の如き角形溝４４′を形
成したものや、第５図に示す如く、前記第４図の
廻り止め突起４３の一方の突片を取除いてボルト
３４に片方の突片のみ当接させて廻り止めを施す
形状のものが適用可能である。しかしながら、い
ずれの廻り止め突起４３も、前記ボルト３４の外
周と当接する部分が開放されていることで、燃料
弁２８の本体を製造するとき鍜造作業で作成し得
るようになつており、鍜造后の機械加工を省略し
得る有利さがある。

前記第２図および第３図における４５はシリン
ダヘツド２４をシリンダブロツク２１に固定して
いるヘツドボルト、４６はシリンダヘツド２４内
に設けた水ジヤケツト、４７はシリンダヘツド２
４の下部に穿設され、前記シリンダブロツク２１
側の水ジヤケツトより冷却水を導いて燃料弁２８
の下端ノズル部を冷却する燃料弁冷却穴、４８，
４８′は前記燃料弁２８の周囲に配設された吸気
弁、４９，４９′は排気弁を夫々示している。

本考案の燃料噴射弁固定装置は叙上の如き構成
を有するものであるが、次に、これを用い、多弁
式内燃機関に燃料弁を組付ける場合の手順につい
て、説明する。

先ず、シリンダヘツド２４の上面２４ａにボル
ト３０，３１を用いて固定した弁腕取付台２９の
近傍に、弁押え部材取付用のボルト３４を立設
し、燃料噴射管継手４０を取外した燃料弁２８
を、その廻り止め突起４３の溝４４をボルト３４
外周に嵌合させながら燃料弁挿入孔２７に嵌挿す
る。次いで、前記ボルト３４およびボルト３０に
弁押え部材３５の貫通孔３６，３７を挿通し、該
弁押え部材３５の押圧部３５ａを燃料弁２８の肩
部２８ａに当接させ、他端の支点部３５ｂを弁腕
取付台２９の上面に当接させる。そして、前記ボ
ルト３０の上端に皿形座金３８を挿通し、ナツト
３９を螺着して締め付けると、弁押え部材３５は
該ナツト３９の締め付け力により、支点部３５ｂ
を中心に傾斜し、その押圧部３５ａで燃料弁２８
を押圧して前記挿入孔２７に嵌入保持する。

従つて、その後、該固定された燃料弁２８に、
シリンダヘツド側面から挿入した燃料噴射管継手
４０を接続し、前記シリンダヘツド上面２４ａに
弁腕ボンネツト３３を冠着してナツト３２で固定
すれば、シリンダヘツド２４への燃料弁２８なら
びに弁腕ボンネツト３３の取付けが完了する。

以上述べた如く本考案の燃料噴射弁固定装置
は、シリンダヘツド上面において燃料弁と弁腕取
付台との間に立設したボルトでヘツド側に締め付
けられる弁押え部材の支点部を前記弁腕取付台に
よつて支持せしめ、該弁押え部材の他端側に形成
した二股状の押圧部で、燃料弁をその肩部を押圧
してシリンダヘツドに固定したものであるから、
燃料弁と弁腕取付台との間に弁押え部材を収容す
るための大きな空間が不要となり、両者の間隔を
詰めてこれらを囲繞する弁腕ボンネツトの巾を減
少させ、機関の小型化を図ることができると共、
弁押え部材は、燃料弁の固定と同時に、その支点
部によつて弁腕取付台をシリンダヘツドに押し付
ける作用をするため、弁腕取付台固定用のボルト
として従来より細いものを使用することができ、
更に該ボルト径の減少によつて弁腕取付台自体を
小型化するなど、種々の効果を発揮し、多弁式内
燃機関の小型・軽量化促進に大いに寄与するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の燃料噴射弁固定装置の一例を示
す概要断面図、第２図は本考案の燃料噴射弁固定
装置を適用した多弁式内燃機関の一例を示す断面
図、第３図は第２図におけるＡ−Ａ線矢視断面図
である。また、第４図および第５図は同機関に適
用される燃料弁廻り止め突起の他の実施例を示す
概要図である。 ２４……シリンダヘツド、２８……燃料噴射
弁、２８ａ……肩部、２９……弁腕取付台、３４
……ボルト、３５……弁押え部材、３５ａ……押
圧部、３５ｂ……支点部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端に燃料噴射弁の肩部に当接する押圧部を有
   し、かつ、他端に支点部を有する弁押え部材を用
   い、該弁押え部材の中間部をシリンダヘツド上面
   に立設したボルトでヘツド側に締め付けることに
   より、上記燃料噴射弁をシリンダヘツドに固定し
   てなる多弁式内燃機関の燃料噴射弁固定装置にお
   いて、前記ボルトに隣接してシリンダヘツド上面
   に弁腕取付台を固定すると共に、該弁腕取付台の
   上面によつて前記弁押え部材端部の支点部を支持
   せしめたことを特徴とする燃料噴射弁固定装置。