JPS638713Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、圧電磁器からなる圧電バイモルフの
電圧変位が大きいことを利用した圧電形ジヤツキ
に関するものである。

一般に、圧電磁器で構成された圧電バイモルフ
は、その屈曲モードを利用すると、比較的低い電
圧で大きな変位が得られるために、スピーカーや
リレーに用いられているが、更に大きな変位を得
るために、本出願人は、複数の短冊形圧電バイモ
ルフを順次折り返した状態で接続したバイモルフ
型圧電駆動体を提案した。第１図は、短冊形バイ
モルフの斜視図を示したもので、チタン酸ジルコ
ン酸鉛からなる短冊形の圧電磁器１ａ，１ｂは両
面に銀等の導電性電極２ａ，２ｂが塗布されて焼
付けられ、銅等の金属板からなる金属端子３の両
面に当接され、強力な接着力を持つ接着剤で接着
される。なお、１方の短冊形の圧電磁器１ａの外
側の電極２ａは圧電磁器１ａの片面の前面に設け
てもよいが、金属端子３が共通電極なるので、圧
電磁器１ａの片面の端部分に電極２ａを設けず、
この部分と金属端子３の間に折り返し電極４を設
けておけば、電気的結線が容易となる。

このように構成された短冊形バイモルフ５の圧
電磁器１ａと１ｂがそれぞれ厚み方向に分極され
た場合、電極２ａと２ｂを結線し、折り返し電極
４と電極２ａまたは２ｂの間に直列に直流電圧を
印加すると、短冊形バイモルフ５は直流電圧の極
性によつて一定方向に弓形に変位する。

以上のようにして作られた短冊形バイモルフ５
の複数個を順次折り返した形で連結することによ
り、バイモルフ型圧電駆動体が構成できる。即
ち、第２図ａに示したように、短冊型バイモルフ
６の一端６Ａを遊端部とし、他端６Ｂは次の短冊
形バイモルフ７の他端７Ｂと折り返した形で、ゴ
ムや弾力性を持つ樹脂等の弾力性部材９によつて
結着され、また短冊形バイモルフの一端７Ａは更
に次の短冊形バイモルフ８の一端８Ａと半円や固
体化される接着剤等の剛性部材１０によつて結着
される。

このように構成されたバイモルフ型圧電駆動体
では、短冊形バイモルフ６，７，８の両面の電極
をそれぞれ結線し、それぞれの折り返し電極との
間で並列に直流電圧を印加し、また短冊形バイモ
ルフ６Ａを固定すると、第２図ｂに示すように、
短冊形バイモルフ６は片持梁の振動原理により電
圧に比例して、中央部分が下方に膨らむようにわ
ん曲して他端６Ｂは下方に下がる。また、短冊形
バイモルフ７の他端７Ｂは短冊形バイモルフ６の
一端６Ｂと弾力性部材９で結着され、短冊形バイ
モルフ７の一端７Ａは剛性部材１０で固定状態に
あり、短冊形バイモルフ７は中央部が上方に膨ら
むようにわん曲するが、一端７Ａは下方に下が
る。さらに、短冊形バイモルフ８の一端８Ａは短
冊形バイモルフ７の一端７Ａと剛性部材１０で結
着されて固定状態にあり、短冊形バイモルフ８の
中央部分が上方に膨らむようにわん曲し、短冊形
バイモルフ８の他端８Ｂは下方に下がる。従つ
て、短冊形バイモルフ６の固定端６Ａから見た短
冊形バイモルフ８の他端８Ｂの変位は、短冊形バ
イモルフ６の他端６Ｂの変位のほぼ３倍の変位が
得られる。

本考案は、このように構成した圧電駆動体の複
数個のそれぞれ一端を固定板に接合して、圧電駆
動体が中心軸に放射状に配列され、これらの圧電
駆動体のそれぞれの他端を駆動板に接合すること
を特徴とし、その目的は圧電駆動体を電気的に駆
動することによつて、駆動板上の物体を簡単に昇
降させることができ、また各圧電駆動体に異なつ
た電圧を与えることにより、駆動板を傾斜させる
ことができる圧電形ジヤツキを提供するものであ
る。以下、図面により実施例を詳細に説明する。

第３図、第４図は、本考案の平面図及び正面断
面図を示したもので、１１，１２，１３はバイモ
ルフ型圧電駆動体であり、これらの圧電駆動体の
それぞれの一端は固定板１４に接合され、他端は
駆動板１５に接合されている。

このように構成された本実施例の圧電形ジヤツ
キでは、第５図イに示したように圧電駆動体１
１，１２，１３に同極性で、同電位を加えると駆
動板１５は実線から点線へと平行移動する。また
第５図ロに示したように、圧電駆動体１２，１３
に同極性で、同電位を印加し、圧電駆動体１１に
逆極性で、同電位を印加すると、駆動板１５の圧
電駆動板１１側は下がり、圧電駆動体１２，１３
は上がるので、駆動板１５は実線から点線のよう
に傾斜する。

第６図、第７図は、本考案の他の実施例の圧電
形ジヤツキの平面図及び正面断面図を示したもの
で、８個の圧電駆動体１６，１７，１８，１９，
２０，２１，２２，２３の一端は固定板１４に接
合され、他端は駆動板１５に接合されている。

このように構成した本実施例の圧電形ジヤツキ
において、各圧電駆動体１６〜２３に同極性で、
同電位を印加すると、駆動板１５は平行に移動す
る。また、圧電駆動体１６に最も高い電位を加
え、圧電駆動体１７，２３に中位の電位を印加
し、圧電駆動体２０に最も高い逆電位を印加し、
圧電駆動体１９，２１に中位の逆電位を加える
と、圧電駆動体１８，２２を中心線にして、駆動
板１５は傾斜変位を生じる。従つて、この作動状
態を順次隣接した圧電駆動体に移行させることに
よつて、駆動板１１の円周に変位量が移動する。

なお、圧電駆動体を上記のように作動させるに
は、圧電駆動体に個別に電気制御回路を設ければ
よい。また接触圧力の変化をバイモルフの出力電
圧に変換して検出し、これを電気制御回路にフイ
ードバツクすることにより、変位量と変位位置の
移行が可能となるため、機械装置における自動微
調整をすることができる。

以上説明したように、本考案によれば、複数の
圧電駆動体を中心軸方向に放射状に配列し、それ
ぞれの一端を固定板に接合し、他端を駆動板に接
合して、各圧電駆動体に同極性または逆極性の同
電位または異なつた電位を印加することにより、
駆動板上の物体を簡単に昇降させ、また傾斜させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、短冊形バイモルフの斜視図、第２図
ａは、本考案の一実施例のバイモルフ型圧電駆動
体の側面断面図、第２図ｂは、第２図ａのバイモ
ルフ型圧電駆動体の駆動状態を示した図、第３図
は、本考案の一実施例の圧電形ジヤツキの平面
図、第４図は、第３図の正面断面図、第５図は、
上記実施例の動作説明図、第６図は、本考案の他
の実施例の圧電形ジヤツキの平面図、第７図は、
第６図の正面断面図である。 １ａ，１ｂ……圧電磁器、２ａ，２ｂ，４……
電極、３……金属端子、５，６，７，８……短冊
形バイモルフ、９……弾性部材、１０……剛性部
材、１１〜１３……バイモルフ型圧電駆動体、１
４……固定板、１５……駆動板、１６〜２３……
バイモルフ型圧電駆動体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電圧をかけたときに、隣接する短冊形バイモル
   フが互いに反対方向にわん曲するように、該短冊
   形バイモルフの複数個を縦続接続してなるバイモ
   ルフ型圧電駆動体の複数個の一端を固定板に接合
   して、中心軸に放射状に配列し、前記バイモルフ
   型圧電駆動体のそれぞれの他端を駆動板に接合し
   たことを特徴とする圧電形ジヤツキ。