JPS638306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は庫内展示度の向上等を図つたシヨーケ
ースに関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

一般に、食品等を冷却しつつ陳列貯蔵するシヨ
ーケースにあつては、コンパクトで且つ被陳列物
の収納溶接が大きいこと、及び見易く庫内展示度
が高いことがその主たる要件とされていいる。そ
して、これを満足させるように構成したシヨーケ
ースとして、第１図及び第２図に示す如く貯蔵室
１を断熱壁２により箱形状に区画形成し、その前
面部３の前面下側部３ａの上面部４の上面後側壁
４ａとを残して相隣接する前面部３及び上面部４
を開口し、この開口部５にこれを連続して覆うべ
く断面への字形状に形成された透明ガラス板等の
透明覆体６を設けて成るシヨーケースは既に知ら
れている。このシヨーケースの貯蔵室１内にはこ
れを前面下側壁３ａの略上端部で上下に仕切るべ
く仕切板７が配設され、この仕切板７を境にして
上側には貯蔵本室８が、且つ下側には冷却室９が
それぞれ形成されている。貯蔵本室８内には被陳
列物載置用の陳列棚１０が上下方向に多段に配設
されている。また、冷却室９内には蒸発器１１及
びこれに対向させた冷気強制循環用フアン１２が
それぞれ設けられていると共に、上記仕切板７と
後面壁１３との間には冷却室９から貯蔵本室８内
へ冷気を吹き出す吹出し口１４が、且つ仕切板７
と前面下側壁３ａとの間には貯蔵本室８内を循環
した冷気を冷却室９内へ吸込む吸込み口１５がそ
れぞれ形成されている。これにより、吹出し口１
４から吹出された冷気は貯蔵本室８内を後面壁１
３に沿つて上昇し、上面後側壁４ａに沿つて前方
へ旋回した後、覆体６に沿つて吸込み口１５方向
へ下降するという具合に強制循環されるようにな
つている。

ところで、上記覆体６の前面部６ａと上面部６
ｂとの交わるコーナ部１６は強度上曲面状に形成
されているが、しかし従来のシヨーケースにあつ
ては、そのコーナ部１６の曲率半径Ｒ（所謂曲げ
Ｒ）が第３図に拡大示するごとく一般に100mm以
上に形成されていたため、以下に列挙するような
問題があつた。

陳列棚１０の上段に置かれた広範囲の被陳列
物がコーナ部１６に入るため、その屈折により
変形して見える範囲が広くて非常に見難く、庫
内（貯蔵室１内）の展示度が低かつた。

特に、コーナ部１６の曲率半径Ｒが100mm位
状であると、このコーナ部１６の内面に沿つて
接触しつつ冷気が流れるようになり、コーナ部
１６の内面の温度が低くなるため、その部分に
は高湿度時に露が付き易かつた。

また、前述した如く庫内の展示度が低いこと
により、陳列棚１０の段数を増加することがで
きず、被陳列物の収納量が少かつた。

覆体６全体にたわみや歪等を生じ易く、寸法
精度が低かつた。

〔考案の目的〕

本考案はこれらの問題点を一挙に解決すべく創
案されたものである。従つて、本考案の目的は透
明覆体コーナ部の露付きを防止できると共に庫内
の展示度の向上が図れ、被陳列物の収容量の増
大、及び外観、寸法精度の向上を達成し得るシヨ
ーケースを提供するにある。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するために本考案は、貯蔵室の
前面部と上面部を開口し、該開口部にこれを連続
して覆う透明覆体を設け、冷気が上記透明覆体の
上面部から前面部へ沿つて流れるようにしたシヨ
ーケースにおいて、上記透明覆体の前面部と上面
部との交わるコーナ部をその内面に冷気の流れの
ない領域を形成すべく曲率半径50mm以下の曲面状
に形成したものである。

〔考案の実施例〕

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に従つ
て詳述する。

本考案に係るシヨーケースは第１図、第２図に
示したシヨーケースと略同一であるため、同一部
分の説明を省略する。

本考案シヨーケースは、第２図に示す如き透明
覆体６における前面部６ａと上面部６ｂとの交わ
るコーナ部１６の曲率半径Ｒを50mm以下に形成し
たことに特徴がある。

即ち、第４図に示すごとく断面への字形状に形
成され透明ガラス板等からなる透明覆体６は、そ
の前面部６ａと上面部６ｂとの交わるコーナ部１
６の曲率半径Ｒを25mmに設定して形成されてい
る。

そこで、本実施例のシヨーケースと従来のもの
とを比較すると、従来のシヨーケースは第４図中
矢印で示すごとくコーナ部１６の曲率半径R₀を
100mm以上に形成していたため、上段の陳列棚１
０に置かれた被陳列物Ｑの変形しないで見える範
囲（角度）θ₁が8゜であつたけれども、本実施例で
は被陳列物Ｑの変形しないで見える範囲θ₂が19゜
となつて、被陳列物Ｑの変形しないで見える範囲
が従来のシヨーケースに比して約2.38倍になつ
た。従つて、被陳列物Ｑの変形しないで見える範
囲を拡大することができ、非常に見易くなり、庫
内の展示度の向上が図れる。

一方、コーナ部１６の内面１６ａ（第５図参照）
の露付き状況をコーナ部１６の曲率半径Ｒの変化
によつて観察した実験結果によれば、第６図に示
すように曲率半径Ｒ＝50mmを境にしてそれ以下に
なるとコーナ部１６の内面１６ａに沿う冷気の流
れがほとんどなくなり、その部分の表面温度が上
昇して露が付き難たくなることが判明した。従つ
て、本実施例ではコーナ部１６の曲率半径を25mm
に設定してあるため、冷気が第５図中点線で示し
た半径50mmの軌跡の内側を流れることになり、こ
れより外側であるコーナ部内面１６ａの温度が上
昇するようになるため、このコーナ部内面１６ａ
の露付きを防止することができる。

また、前述したごとく庫内の展示度が向上して
展示範囲が拡大するため、看者の目の位置を第７
図に示すように高さｈ＝1500mm、シヨーケースか
らの距離ｌ＝500mmとした場合、最上段の陳列棚
１０の高さは従来ではh₁であつたものが、本実施
例ではこれより高くh₂となり、その差h₂−h₁分だ
け陳列棚１０の段数を増加することができ、もつ
て被陳列物Ｑの収納量の増大を達成し得ることに
なる。更に覆体１６の変形はコーナ部１６の曲率
半径Ｒが小さいことにより拘束され、覆体１６全
体のたわみや歪等が少くなるため、その寸法精度
が向上する。

なお、上記実施例ではコーナ部１６の曲率半径
Ｒを25mmに設定したが、この曲率半径Ｒは50mm以
下であれば良い。

〔考案の効果〕

以上要するに本考案によれば次の如き優れた効
果を発揮する。

シヨーケースにおける透明覆体の前面部と上
面部との交わるコーナ部をその内面に冷気の流
れのない領域を形成すべく曲率半径50mm以下の
曲面状に形成したので、上記コーナ部の露付き
を防止することができる。

また、被陳列物の変形しないで見える範囲を
拡大することができ、庫内の展示度の向上を図
ることができる。

展示度が向上して展示範囲が拡大することに
より陳列棚の段数を増加することができ、被陳
列物の収納量の増大が図れる。

更に、透明覆体の寸法精度を向上させること
ができると共に、シヨーケースの外観を向上さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を説明するためのもので、第１図
はシヨーケースの斜視図、第２図は同側断面図、
第３図は第２図中Ａ部の従来構造を示す拡大断面
図、第４図は第２図中Ａ部における本考案の好適
一実施例を示す拡大断面図、第５図はコーナ部に
おける冷気の流れ状況を示す断面図、第６図は曲
率半径とのコーナ部表面温度及び結露湿度との関
係を示すグラフ、第７図は被陳列物の収納量の増
大を説明するための説明図である。 図中、１は貯蔵室、３，４はその前面及び上面
図、５は開口部、６は透明覆体、６ａ，６ｂはそ
の前面部及び上面部、１６はコーナ部、Ｒは曲率
半径である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 貯蔵室の前面部と上面部を開口し、該開口部に
   これを連続して覆う透明覆体を設け、冷気が上記
   透明覆体の上面部から前面部へ沿つて流れるよう
   にしたシヨーケースにおいて、上記透明覆体の前
   面部と上面部との交わるコーナ部をその内面に冷
   気の流れのない領域を形成すべく曲率半径50mm以
   下の曲面状に形成したことを特徴とするシヨーケ
   ース。