JPS637505Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内側に打込まれた部品の取外し工具
に関するものである。

従来、ベアリングの取外しには、ベアリング
を、目打やバールを用いてハンマーでたたいて抜
いていた。しかしながら、この従来の方法では、
アンギユラテーパベアリングなどの場合は、アウ
ターレースが残つてしまう。またボールベアリン
グのインナーレース破損の時には、第１図の上の
図のように、目打ａを入れてハンマーｂでたたこ
うとしても、目打ａがベアリングのアウターレー
スｃに掛からないため、第１図の中の図のよう
に、一たん、バールｄをアウターレースｃの内側
隙間に打込んで、それを目打ａでたたき込んで抜
くため、特別な技能と長時間を必要とし、あるい
は第１図の下の図のように残つたアウターレース
ｃをグラインダーｅなどで削るため、傷やバリが
出たりする不都合が生じていた。またギヤングヘ
ツドのように多軸の場合は、作業空間が狭いた
め、作業が困難であり、しかも、多軸のうち、１
本でも悪い場合には、全体を分解して修復してい
る。

本考案は、従来の前述の欠点を解消するために
なされたもので、確実な取外し作業ができ、か
つ、それが安全にして、じん速にできる取外し工
具を提供することを目的とするものである。

このため、本考案の構成は、各一端に部品への
引掛け部を有する２本のくの字型の棒材と、これ
ら棒材をＹの字型に合せて各他端を接近させるこ
とによつて前記一端が開くように該棒材の交点状
の部分を支持している支点部材と、前記両棒材の
他端のほうに設けられた引張り用のピースと、こ
のピースの引張力によつて前記両棒材の他端が互
いに接近するようにして折りたたまれるように該
両他端と該ピースとを連結したリンク部材とから
なることを特徴としている。

以下、本考案の一実施例について、第２図およ
び第３図を参照しながら説明する。

第２図において、１と１′は棒材で、くの字型
をしており、それぞれの一端に外方に向いた突起
状の引掛け部２と２′を有している。３は支点部
材で、棒材１と１′をＹの字型に合せてその交点
状の部分に、それぞれ支点ピン４と４′を設けて、
該ピン４と４′を連結して棒材１と１′を支持して
いる。すなわち、棒材１と１′の他端を接近させ
ることによつて、棒材１は支点ピン４を支点と
し、棒材１′は支点ピン４′を支点とし、前記一端
が開くようになつている。５は前記棒材１の他端
に設けられた力点ピン、５′は前記棒材１′の他端
に設けられた力点ピン、７は枢着ピンで、一方の
リンク部材６は力点ピン５と枢着ピン７を枢着連
結しており、他方のリンク部材６′は力点ピン
５′と枢着ピン７を枢着連結している。８は引張
り用のピースで、力点ピン９を有し、前記枢着ピ
ン７と力点ピン９が連結部材１０で連結されてい
る。１１は該ピース８に設けられた雌ねじ部、１
２は前記棒材１の曲げ応力に抗するように該棒材
１に取付けられた梁材、１２′は前記棒材１′の曲
げ応力に抗するように該棒材１′に取付けられた
梁材である。

第２図に示すように構成された取外し工具にお
いては、たとえば第３図のようにして使用するこ
とができる。

まず、本体１３に組込まれたベアリングアウタ
ーレース１４を本体１３から取外す場合、その取
外そうとするアウターレース１４の内側奥に入
れ、棒材１と１′の他端、つまり、力点ピン５と
５′のあるほうを手でにぎると、支点ピン４と
４′を支点にして引掛け部２と２′が開くので、引
掛け部２と２′をアウターレース１４の端面の隙
間に引掛ける。そして分銅１６を取付けたノツク
抜き棒１５の雄ねじ部をピース８の雌ねじ部１１
に螺合させてピース８に該棒１５を取付ける。こ
ののち、分銅１６を矢印１７の方向に急速に動か
してノツク抜き棒１５の右端の鍔部をたたくと、
そのつど、ピース８は矢印１７の方向に移動し、
これによりリンク部材６と６′は連結部材１０に
よつて矢印１７の方向に引張られて折りたたみ状
になつて力点ピン５と５′を接近させるようにな
るので、引掛け部２と２′は、そのつど、アウタ
ーレース１４の隙間に食い込む。なおもピース８
を矢印１７の方向に移動させてリンク部材６と
６′を矢印１７の方向に引張ると、引掛け部２と
２′は徐々に前記隙間を広げるように食い込み、
アウターレース１４を取外しのために、引張れば
引張るほど、それが食い込んで、確実に該レース
１４をホールドし、本体１３から該レース１４を
容易に取外すことができる。

本考案は、以上説明したように、２本の棒材の
他端である力点ピンの方を手で握ると２本の棒材
の一端に設けられた引掛け部が支点ピンを支点に
して開くのでピースを移動させてリンク部材を引
張れば引張るほど、２本の棒材の一端に設けられ
た引掛け部が取外すべき部品に食い込み、その部
品を容易に取外すことができるので、軸受等の取
外し作業時間が大幅に短縮され、目打やバールと
ハンマーなどによる作業よりも安全であり、か
つ、大事な部品に傷つけることがない。また多軸
ヘツドの数本のベアリング取替えも、大分解する
ことなく容易に修復が可能であり、その他のメタ
ル類やリングカラー類の取外しにも使用すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の方法についての説明図、第２図
は本考案の一実施例を示した説明図、第３図は第
２図の工具の使用例の説明図である。 １，１′……棒材、２，２′……引掛け部、３…
…支点部材、４，４′……支点ピン、５，５′……
力点ピン、６，６′……リンク部材、７……枢着
ピン、８……引張り用のピース、９……力点ピ
ン、１０……連結部材、１１……雌ねじ部、１
２，１２′……梁材、１３……部品を取付けてい
る本体、１４……ベアリングアウターレース（部
品）、１５……ノツク抜き棒、１６……分銅。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 各一端に部品への引掛け部が形成されている２
   本のくの字型の棒材と、これら棒材をＹの字型に
   合せて各他端を接近させることによつて前記一端
   が開くように該棒材の交点状の部分を支持してい
   る支点部材と、前記両棒材の他端のほうに設けら
   れた引張り用のピースと、この引張り用のピース
   の引張り力によつて前記両棒材の他端が互いに接
   近するようにして折りたたまれるように該両他端
   と該引張り用のピースとを連結したリンク部材と
   からなる、内側に打込まれた部品の取外し工具。