JPS636602B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高炉炉壁耐火物、冷却体の脱落、損
耗による損傷部を補修する方法に関するものであ
る。

一般に、高炉では操業中特にその炉命未期にお
いて炉壁耐火物や冷却体が局部的に脱落、損耗し
その結果、当該部分の鉄皮に大きな熱負荷がかか
り、このため鉄皮の亀裂、更にはガス洩れが発生
するという問題がある。この事より、高炉の稼動
率の低下又は、操業度の低下という生産支障の原
因になつており、炉の寿命に大きな影響を与えて
いた。

従来はこのような場合、高炉炉体の外周囲から
ボーリングを行ない、しかる後に、炉内に耐火物
を圧入機を用いて圧入する方法が採用されてき
た。ところが、前記の方法では、炉外から炉内に
耐火物を圧入するため、耐火物の大半は原料装入
物側に入り、損傷部に耐火物が被覆し難く、且つ
被覆しても剥離し易いと同時に、損傷部の位置の
把握が充分に行えず、又意図した損傷位置へのボ
ーリングが外れる等の欠点があつた。

そこで、高炉吹卸しを行なつて、注水冷却なる
ブランクチヤージを行つて、炉内容物を除去した
後、再度レンガ壁を形成することも考えられる
が、注水冷却による吹卸しを行なつた高炉では、
炉壁レンガの再使用は不可能な状態になり、全量
張り替え改修工事になつてしまうという問題があ
つた。

このため、近年、空炉吹卸しといわれる減尺操
業による吹卸し操業が確立し、吹卸し時に炉壁耐
火物は、損耗部を取替える、いわゆる中間改修に
より、部分補修が可能となつた。

このようなことから、最近では、減尺吹卸しに
より装入物を損傷個所以下まで下げた後、炉内に
テレビカメラを入れ、損傷個所を正確に検出する
と共に、炉頂から伸縮及び旋回自在のマストを挿
入し、先端に耐火物吹付ノズルを付けて損傷個所
に耐火物を吹付ける方法が行われるようになつた
が、被覆された耐火物が剥離し易という問題があ
つた。

このため耐火物吹付でなく、損傷部の旧レン
ガ、旧冷却体を除去した後、新しい通常の冷却
体、新しい通常のレンガにより建設時の元通りに
復元させる方法がとられたが、この状態は、レン
ガ積状態が改善されていないため、数ケ月〜２，
３年後には炉壁レンガや冷却体が脱落、損耗する
結果となつている。

これは炉壁レンガが、円周方向のせり力だけで
保持されているため、円周方向の一部分でも炉壁
レンガが脱落損耗した場合、レンガの拘束力がな
くなり、はなはだしい場合には、全周の炉壁レン
ガが脱落することになり、炉寿命を短くする。

本発明者達は前記欠点を解決すべく種々研究を
重ねた結果、空炉吹卸しによつて高炉装入物を炉
壁損傷部以下に降下させ、損傷部の旧レンガ、旧
冷却体を除去した後、除去後の両側に平面Ｌ字形
をした冷却体を鉄皮に固定し、両冷却体の突出部
間に新レンガを挟持固定させることにより好結果
が得られることを見出し、本発明として提案した
ものである。

本発明方法を図面に基き詳細に説明すると、第
１図において１は鉄皮、２は鉄皮の内側に配設し
た冷却体、３は鉄皮の内側に、炉内からの熱を防
ぐために設けた耐火物、４はその耐火物３の損耗
ラインで、矢印Ａ部は炉壁損傷部を示す。

第１図に示すように、炉寿命末期において、炉
壁耐火物、冷却体が局部的に脱落、損耗した場
合、炉壁損傷部Ａ以下に空炉或いは減尺吹降しに
よつて高炉装入物５を降下させ、高炉を完全に冷
却して休止させる。その後、炉頂の大ベル６の下
に梁７を渡し、梁７に取付けた吊フランジ８，８
にワイヤーロープ９，９で吊した作業デツキ１０
を炉壁損傷物Ａ部分まで降下させる。

次に、図面では省略したが、炉頂部からゴンド
ラ等により、作業者を作業デツキ１０上に降す。
作業者は作業デツキ１０上にて、損傷した炉壁の
耐火物と冷却体２を撤去した後、撤去部分の水平
方向における両側に新らしいＬ字形をした冷却体
２ａ，２ａを鉄皮１に固定する。

Ｌ字形冷却体２ａは第４図に示すように炉内側
に突出部１１を設け、鉄皮１側に複数個の透孔１
２，…を設けており、この各透孔１２，…にボル
ト１３，…を通し、鉄皮１の外側からナツト１４
で締付け固定する。尚、１５は給水管、１６は排
水管である。

このようにして両側にＬ字形冷却体２ａ，２ａ
を鉄皮１に固定した後、その間に新しい通常の冷
却体２ｂ，…を鉄皮１に固定し、その炉内側に新
レンガ３ａを積み、新レンガ３ａの両外側をＬ字
形冷却体２ａ，２ａの突出部１１，１１で挟持す
る。この状態で、新レンガ３ａの円周方向へのせ
り力を保持させる。

前記の補修方法を通常中間改修といつており、
この補修が終了した後、炉内に配設した作業デツ
キ１０、梁７等を炉外に取出し、高炉の原料を火
入れの時と同じように、炉壁損傷部以下に降下さ
せた装入物５上に充填させた後に、再火入れを行
えば、高炉を空炉或いは減尺吹卸しをする前と同
じようにそのまま再使用できる。

実施例 容積1845m²、羽口〜炉口部までの炉高24ｍの高
炉において、高さ３ｍ、巾９ｍの損傷部を補修し
た。

作業者は作業デツキに乗つて降下し、損傷部の
レンガ及び旧冷却体を取り外し、Ｌ字形の新冷却
体（厚み260mm、巾900mm、高さ2160mm、突出部長
さ250mm）を補修対象範囲の両側に、透孔からボ
ルトを鉄皮に通し、鉄皮の外側からナツトで締付
け固定する。

次に、両新冷却体間に新しい通常の冷却体（厚
み260mm、巾900mm、高さ2160mm）を鉄皮に取り付
ける。

次に、通常の冷却体の下方に支持台を設けてお
き、扇形の新しいレンガ（厚み100mm、長辺の巾
200mm、長さ400mm）を30段積み上げ、新冷却体の
突出部でレンガを挟持固定する。この後、前記支
持台を撤去する。

尚、Ｌ字形冷却体の突出部が炉内に露出してい
ると溶損するので全面及び周囲に、該冷却帯形状
に合せて新しいレンガをモルタルで張り付け、新
しいレンガと同一周面になるよう構築する。

このような補修は、炉内周方向、或は、高さ方
向の損傷部位に、通常は複数ケ所適用される。

この結果、Ｌ字形冷却体によつて、円周方向の
せり力を持つた耐火物構築体が炉内の各所に配設
される。

この様な補修を行つた炉壁レンガ構築体は従来
の単に、円周方向のせり力だけの炉壁レンガ構造
に対し、脱落、損耗に対して、強固であるため
に、従来の補修炉壁レンガ寿命、数ケ月〜２，３
年後に対して、一度の補修で４〜５年に寿命を延
長することができた。

本発明は前記のように構成したもので、炉壁の
損傷部を完全な形で補修を行うことができるの
で、非常に長い寿命で高炉を稼動させることがで
きる。

しかも、再火入れ後の高炉操業中に炉内容物の
降下が頻繁に繰り返されても、その外力に充分に
抗し得ることができ、新レンガの脱落も起らない
ので、高炉寿命延長にもたらす効果が大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は高炉炉体の概略図、第２図は本発明に
係る高炉炉壁の補修方法の実施例を示す要部の拡
大側面図、第３図は第２図の−線断面図、第
４図は要部の斜視図を夫々示す。 尚、図中Ａは炉壁損傷部、１は鉄皮、２ａはＬ
字形新冷却体、３は旧レンガ、３ａは新レンガ、
１１は突出部である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 空炉吹卸しによつて高炉装入物を炉壁損傷部
   以下に降下させ、損傷物の旧レンガ、旧冷却体を
   除去した後、除去後の両側に平面Ｌ字形をした新
   冷却体を鉄皮に固定し、その新冷却体間に新しい
   通常の冷却体を鉄皮に固定し、両新冷却体の突出
   部間に新ンガを挟持固定させること特徴とする高
   炉炉壁の補修方法。