JPS6365999B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は超音波警報装置に関し、特に超音波警
報装置の故障や機能劣化を自動的に診断してこれ
を報知するようにした超音波警報装置の故障診断
方式に関する。

防犯警備等において警備領域に対する侵入者の
発生警報装置として従来から超音波警報装置が用
いられている。この従来の超音波警報装置は超音
波を連続波の形態で警備領域の空中に発射してそ
の反射波を受信し、警備領域内に侵入者が発生し
た場合には、その侵入者の移動によつて生ずるド
ツプラー効果を利用して受信した反射波から超音
波の周波数変化を検出するようにし、検出時には
警報を発する構成が採られている。このような従
来の超音波警報装置において、超音波の発信及び
受信素子に機能劣化や故障が生じたり、或いはこ
れら発信及び受信素子と制御機との間の信号経路
に故障が生じた場合には超音波受信背のエネルギ
ーレベルの低下を監視、検出する方法が考えられ
るが超音波連続波を用いているために定在波が生
じ、同一警備領域内にもかかわらず隙間風等によ
る空気の擾乱により受信した超音波のエネルギー
レベルが大きく変動することになる。依つて超音
波の発信及び受信素子が実際に機能劣化したこと
によつて生ずる受信波のエネルギーレベルの変動
と識別することが困難になる。また警備領域の条
件、例えば領域の形状や大きさ、配置物の有無等
の条件に応じて机や壁からの反射波の量が変動す
るので予め受信波のエネルギーレベルに就いて故
障判定基準のエネルギーレベルを設定することが
不可能であるという不具合がある。このような従
来の超音波警報装置における機能又は性能の変動
を診断するためには究極的に定期点検による保守
が必要とされ煩雑であると共に定期点検の終了以
降に故障や性能劣化が生ずると、もはや超音波警
報装置は次回の定期点検日まで警備機能を発揮す
ることが不可能となり、必要的に警備領域は無警
備状態になるという不都合を生じ、装置の信頼性
を著しく損うことになるという欠点がある。

依つて本発明の目的は上述の従来の超音波警報
装置における欠点を解消して自動的に故障又は性
能劣化を検出し、その検出結果に基いて故障又は
性能劣化の発生警報を発信する超音波警報装置の
故障診断方式を提供せんとするものである。

本発明によれば、超音波をパルス波形態で警備
領域の空中へ発射し、その反射波を受信する構成
を基本にして、該パルス波の発射直後に超音波の
発信及び受信を行う送受信器自体の反射波から発
生する時間軸上の経時パターンのレベル値を監視
し、そのレベル値が一定値から低下することによ
り超音波送受信器の劣化や故障、又は該送受信器
と制御機との間の信号経路における故障を自動的
に診断検出して警報することを特徴とする超音波
警報装置の故障診断方式を提供し、保守コストの
低減を計ると共に警備性能における高信頼性を確
保せんとするものである。以下、本発明を添付図
面に示す実施例に基き更に詳しく説明する。

第１図は本発明による故障診断方式に係る超音
波警報装置の構成を示すブロツク系統図である。

第１図において、本発明の方式に係る超音波警
報装置は制御機１０、超音波送受器１６、警報部
２０を基本的な作動要素として構成されており、
警備領域には一般的に超音波送受器１６のみが配
備され、制御機１０、警報部２０はそれぞれ中央
管制室等に設置される。そして超音波送受器１６
と制御機１０、また制御機１０と警報部２０の間
は電気信号線によつて接続されている。さて、制
御機１０は図示の如く、演算装置１１、アナロ
グ・デイジタル変換器（以下、Ａ／Ｄ変換器）１
２、整流器１３、増波器１４、超音波周波数の
電気信号を発振する発振器１５等の電気的要素を
具備し、各要素間は矢印の信号線によつて接続さ
れている。上述の諸要素において、演算装置１１
は周知のマイクロプロセツサとメモリ手段とから
構成され、後述の如く超音波反射波の時間軸上に
おける経時パターンを解析演算して警備領域内へ
の侵入者の有無を識別する機能と共に発振器１５
に対して発振指令パルスを送出して発振器１５を
発振させる機能並びに警報部２０に対して警報信
号を送出する機能を有している。発振器１５は上
述の如く演算装置１１から発振指令パルスを0.5
〜1.0秒周期で受けると、１ミリ秒程度のパルス
幅で発振し、その発振信号が超音波送受器１６に
印加されて該超音波送受器１６を駆動し、超音波
パルス波を発射させる。こゝで超音波送受器１６
は空中に超音波パルス波を発射すると共にその反
射波を受信して電気信号に変換する可逆形の電
気・超音波変換装置であり、周知の電歪型の電
気・超音波変換素子１７と超音波を効率よく警備
領域の空中に発射するホーン１８、該ホーン１８
の前面に設けられた防虫ネツト１９によつて構成
されている。超音波送受器１６から超音波パルス
波（通例は周波数25KHzが利用される。）が発射
されると、該超音波パルス波は警備領域内で反射
され、その反射波が超音波送受器１６によつて受
信される。受信された超音波は電気信号に変換さ
れてから制御機１０の増波器１４に送入され、
超音波周波数の信号成分のみが選択的に増幅され
る。増幅された超音波周波数の電気信号は整流器
１３によつてAM（振幅変調）検波される。この
結果、超音波反射波の電気信号は強弱の放絡線の
波形を有した電気信号に整流される。そして、こ
の整流結果の電気信号はＡ／Ｄ変換器１２によつ
てデイジタル信号に変換された後に演算装置１１
に印加される。演算装置１１はこの印加信号を時
間軸上の経時パターンとして認識する。そして演
算装置１１はこの経時パターンが予めメモリ手段
に記憶された基準パターンとの比較解析によつて
差異を検出した場合には警備領域内に侵入者が発
生しているものと認識し、警報部２０に対して警
報指令を発し、その結果、警報出力装置２１が警
報出力を出すのである。こゝで第２図を参照する
と、第２図Ａ，Ｂ，Ｃはそれぞれ時間軸を横軸と
する信号波形のグラフ図であり、第２図Ａは超音
波送受器１６から発射された１つの超音波パルス
波２４を示している。第２図Ｂは上記超音波パル
ス波２４が警備領域に向けて発射された後に超音
波送受器１６が送信する反射波の波形図であり、
この場合には種種の原因に基く反射波を含んでい
るのである。即ち、第２図Ｂにおいて、２５で示
した反射波は発射された超音波パルス波２４をそ
のまゝ受信した成分の波形であり、経時的に僅か
に遅れた波形部分２６は超音波送受器１６の電歪
素子１７、ホーン１８、防虫網１９等の各要素か
ら反射された反射波の波形成分であり、更にこの
波形成分２６に続いた多数に経時パターンは、警
備領域内で例えば、机、壁、柱等の配置物で反射
された後に互に干渉してもはやパルス形態を失つ
た反射波の波形成分であり、これらの波形成分は
警報領域内の配置物の配置条件の変動や侵入者の
発生によつて変化する波形パターンである。第２
図Ｃは第２図Ｂの波形を増波器１４を介して整
流器１３で検波した後の出力波形である。こゝで
第２図Ｃにおいて注目すべき点は、同図の出力波
形における２７，２８で示す波形成分、特に波形
成分２８は超音波送受器１６自体の要素から反射
された反射波に対応する出力波形成分であり、警
備領域内の条件とは全く無関係に常時一定の経時
パターンを有するはずの波形成分である。然るに
電歪素子１７の性能劣化や故障が発生すると、受
信感度が必然的に低下し、第２図Ｃの時間t₁にお
ける波形レベルVt₁が低下する結果となる。依つ
て、この時間t₁における波形レベル又はエネルギ
ーレベルを演算装置１１によつて常時監視してい
れば、超音波送受器１６の内部における特に電歪
素子１７の性能劣化や故障を診断検出することが
可能になるのである。しかも上述の如く、演算装
置１１は常時監視体制にあるので、電歪素子１７
の性能劣化は急激な波形パターンの変化としてで
はなく、上述の波形レベルVt₁が漸減する状態で
検出できる。依つて本発明の方式では演算装置１
１は予め組込まれたプログラムによつて波形成分
２８の波形レベルVt₁が一定値以下に低下した時
点で、性能劣化が一定量進行したものとして警報
出力装置２１を介して警報ブザーを鳴動させると
共に警報ランプ２２を点灯させるのである。一
方、電歪素子１７や制御機１０の増波器１４、
整流器１３、Ａ／Ｄ変換器１２、発振器１５に故
障を発生した場合には、反射波の受信が不可能と
なつたり、演算装置１１に反射波に基く信号の印
加が無くなるので経時パターンに関し第２図Ｃに
おける波形成分２８を監視していれば時間t₁にお
ける波形レベルVt₁は当然“０”値になる。この
場合には本発明による方式では演算装置１１は警
報部２０における警報出力装置２１を介して警報
ブザーを鳴動させると共に警報ランプ２３を灯点
させるのである。上述のように本発明の故障診断
方式では超音波送受器１６の性能劣化と、該超音
波送受器１６又は信号経路における諸要素の故障
とを自動的に識別診断して別異の警報を発するこ
とができるのである。勿論、警備領域内に侵入者
の発生を検出した場合には演算装置１１は第２図
Ｂの経時パターンの波形における波形成分２６以
降の波形パターンに基準パターンとの差異を検出
して警報指令を発し、警報ブザーだけを鳴動さ
せ、明確に侵入者の発生を警報するのである。

以上の説明から明らかなように本発明によれ
ば、演算装置の解析機能を有効に利用することに
より、超音波警報装置における超音波送受器の性
能劣化や故障又は信号経路の各作動要素の故障を
自動的にかつ超音波発射毎に診断を行い、性能劣
化や故障が診断されたときをこれを識別して警報
するので、従来定期的に作業者が点検保守を行つ
た方式に比べて警報装置の保守に併う煩雑性が解
消されると共に信頼性の高い警備機能を保証する
ことが可能になるのである。また、本発明による
故障診断方式はこのために特別の装置、要素類を
追加するものでは無いので超音波警報装置のコス
ト上昇を招くこともないのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による故障診断方式を実施する
超音波警報装置の構成を示すブロツク図、第２図
Ａ，Ｂ，Ｃは同警報装置の超音波送受器および整
流器における経時的信号波形図である。 １０…制御機、１１…演算装置、１５…発振
器、１６…超音波送受器、１７…電歪型超音波・
電気変換素子、２０…警報部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 超音波送受信器から超音波パルス波を警備領
   域内の空中に発射すると共にその反射波を信号経
   路を介して時間軸上の経時パターンとして演算装
   置に受信し、基準パターンとの比較解析の結果か
   ら前記警備領域内における侵入者の発生を検出し
   て警報する超音波警報装置において、前記超音波
   パルス波の発射直後に前記超音波送受信器自体の
   反射波によつて発生する経時パターンのレベル値
   を前記演算装置において監視し、該レベル値が一
   定値から低下することにより前記超音波送受信器
   の劣化又は前記信号経路の故障を警報することを
   特徴とする超音波警報装置の故障診断方式。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の超音波警報装
   置の故障診断方式において、前記演算装置は前記
   超音波送受信器の劣化又は前記信号経路の故障に
   応じて侵入者発生の警報と別の警報を発信する超
   音波警報装置の故障診断方式。