JPS6365609B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は石膏溶解液に関するものであり、石膏
を迅速且つ確実に溶解させることのできるものを
提供することを目的とするものである。

本発明の要旨はエチレンジアミンテトラ酢酸と
無水炭酸ナトリウムとを水に溶解させて得れらる
主成分に水溶性安息香酸化合物を少量添加して成
る成分構成である。

本発明で用いるエチレンジアミンテトラ酢酸は
カルシウムイオンに対する親和性が非常に大きく
硬水の軟化処理に用いられているものであり、金
属イオンの封鎖剤と称せられるものである。した
がつてこれが石膏溶解の主剤となるものである。

また無水炭酸ナトリウムは発泡作用によつて石
膏溶解を迅速にさせるために用いるものである。

さらに水溶性の安息香酸化合物は水の防腐剤と
して用いられるものであるが、これを少量添加す
ることにより石膏をさらに迅速に溶解できること
が判つたのである。エチレンジアミンテトラ酢酸
と無水炭酸ナトリウムだけのものと比較すると、
安息香酸化合物を添加した場合は50％以上も溶解
速度が早くなるのである。この安息香酸化合物に
より石膏溶解促進の原因は不明であるが、エチレ
ンジアミンテトラ酢酸との相乗効果と思われる。

次に本発明の実施例を説明する。

実施例 まず、水74部（重量％）中に純度99％以上の白
色結晶性粉末状のエチレンジアミンテトラ酢酸
（EDTA酸）、14.8部を撹拌して分散させる。この
白濁液に無水炭酸ナトリウムを10.4部液を撹拌し
ながら少量づつ加え、液が透明になつた所で安息
香酸ナトリウム（C₆H₅COONa）0.8部を加え撹
拌して完全に溶かして石膏溶解剤を得るのであ
る。なお、本例ではエタノールに溶かしたPH用指
示薬のブロムチモールブルーを微量添加して液を
青色としている。これは使用に際し石膏溶解限度
量に達すると液が黄色に変化することにより限度
を判明させるためである。

本例溶解液を用いた実験結果を示すと次の通り
である。実験条件として溶解液50c.c.で液温20℃の
中へ重量８ｇの石膏片（長さ40mm、巾30mm、厚み
８mm）を浸漬した。図面はこの結果をブレイク溶
解速度曲線で表わしたものであり、浸漬時間１〜
1.5時間で3.7〜4.3ｇも溶解できたのである。ま
た、図中の点線曲線は安息香酸ナトリウムを添加
しない溶解液における溶解度を示すものである。
これによると溶解限度が3.6ｇ位であるのに対し
本例では5.2ｇであり、さらに溶解速度も安息香
酸ナトリウムを加えた本例が早いことがわかつ
た。

本例は上記成分量を有するが本発明においては
これに限定されない。エチレンジアミンテトラ酢
酸は10〜20重量％、無水炭酸ナトリウムは８〜20
重量％、安息香酸化合物は0.1〜4.0重量％の使用
も可能である。また安息香酸化合物は水溶性であ
ればよく、トリメシン酸等でも効果は同様であ
る。

したがつて本発明によると石膏を迅速且つきれ
いに溶解できる効果が大きく、入歯製造中に入歯
に付着した石膏を溶かす等の溶解液として優れた
発明である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例による実験結果の石膏
溶解速度を表わした図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エチレンジアミンテトラ酢酸と無水炭酸ナト
   リウムとを水に溶解させて得られる主成分に水溶
   性安息香酸化合物を少量添加して成る石膏溶解
   液。