JPS636522Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は動力伝動ベルトにおけるベルト式トル
クコントロール装置に関するものである。

従来のトルクコントロール装置としては、機械
式、油圧式、デイスク式等、種々の方式のものが
知られており、何れも一長一短があり、夫々の用
途、目的に合わせて用いられている。なかでも、
最近、需要の著しい自動車用としては機械式とオ
イル式のコントロール装置が最も一般的なものと
して広く利用されているが、前者は変速タイミン
グ不良によるエネルギーロスや走行安定性など操
作性の面で難があり、一方、後者は伝達効率の面
で難があつてその改良が強く求められている。

そこで、本考案者は、上述の如き実状に対応
し、特に自動車用として前記難点を克服し、その
改良を果たすべく鋭意検討を行ない、その結果、
さきに幾つかの改良装置について提案した。本考
案は更にその延長として、その後の知見を取り入
れ、別個の安価で、かつ高効率の改良ベルト式ト
ルクコントロール装置を提供することを目的とす
るものである。

即ち、本考案の特徴とするところは、一方の軸
側変速プーリと他方の軸側固定Ｖプーリとの間に
ベルトを懸架してなる既知のベルト伝動装置にお
いて、変速プーリの固定プーリ片側の１部と可動
プーリ片側の１部の何れか一方に電気的絶縁状態
にて電気抵抗体を設け、他方のプーリ片側に接触
子を設け、両プーリ片側間の回転方向の角度変化
に対応して前記接触子が前記抵抗体上に接触し、
移動可能なようにして固定プーリ片と可動プーリ
片の負荷時の相対的位置変化に応じて電気抵抗値
の変化を生ぜしめる如くなし、その信号を軸又は
固定プーリ片に一体的に設けたスリツプリングを
介して、そのプーリの外部より設けた接触子を介
して電流又は電圧変化として該変速プーリに生ず
る負荷の代用特性として検出し、その信号を電気
的に処理し、それをもとに固定プーリ片と可動プ
ーリ片間の相対的ねじれ角が設定値をキープする
如く制御機能を有するアンプを介して外部作動動
力を作動させ、その動力によつてテンシヨンプー
リを移動させ、それに追従して変速プーリの可動
プーリ片を軸方向に移動調整し、両プーリ片によ
つて形成される変速プーリ中のＶベルトの有効径
を変化させる電気的制御手段を具備せしめた点に
ある。

なお、上記の特徴において、変速プーリは従動
側、駆動側の何れに使用することも可能であり、
本考案はその両者の場合を含むものである。

以下、本考案の具体的な実施の態様につき、添
付図面を参照しつつ、順次詳述する。

第１図は本考案に係るベルト式トルクコントロ
ール機構の１例であり、固定Ｖプーリを従動側、
変速プーリを駆動側に適用している。

即ち、図においてP₁は従動側固定Ｖプーリ、
P₂は駆動側変速プーリ、P₃は前記両プーリ間に
位置するテンシヨンプーリで、これら夫々のプー
リ間にわたつてＶベルト１が懸架され以下に述べ
る構成からなる駆動側変速プーリP₂に生ずるト
ルクを検知し、それに応じた外部作動動力を働か
せ、テンシヨンプーリP₃を移動させ、それに追
従して駆動側変速プーリP₂中のＶベルト１の有
効径を変化せしめることによつて固定プーリP₁
変速プーリP₂間の回転比を自動的に変化させる
構成となつている。

ところで、上記の構成において、他方の軸に取
り付けられる固定ＶプーリP₁は通常の構造から
なつているが、一方の軸Ｓに取り付けられるもう
１つの駆動側変速プーリP₂は第２図にその要部
を図示する如く、固定プーリ片３と可動プーリ片
２とからなり、可動プーリ片２は、固定プーリ片
３のボス部３ａ延長上にベアリングを介して軸方
向及び回転方向に移動可能に装設されており、前
記固定プーリ片３のボス部３ａ延長上で可動プー
リ片２の側方に同ボス部と一体にスプリング押え
５が設けられていて可動プーリ片２のボス部６と
該スプリング押え５との間に反撥弾性コイルスプ
リング４が介設され、ボス部６とスプリング押え
５の側面に設けた突出ピン７，８にスプリング４
の各端末が夫々係止されて、走行時、プーリに懸
架されたベルト１に生じる負荷によつて前記スプ
リング４は巻きゆるむ方向に負荷が生じる如くな
されている。

即ち、駆動側変速プーリP₂は可動プーリ片２
と固定プーリ片３との間の相対的位置ずれ、即ち
ベルト走行時、プーリに生ずる負荷によつてスプ
リング４にねじれトルクを生じ、それに対応して
スプリング４がねじれることにより固定プーリ片
３と可動プーリ片２との間で所定角度のずれを生
ずるのである。

そこで、本考案は、かかる相対的ずれを検出す
ることによつて、前記両プーリP₁，P₂間の回転
比を自動的に適切に調整し得る機構を変速プーリ
P₂図では前記駆動側プーリP₂を検出側として付
与せしめており、本考案における要部をなしてい
る。

以下、この構成を更に第１図ならびに第２図に
もとづき詳述すると、先ず、駆動側の変速プーリ
P₂において、その固定プーリ片３の軸方向延長
上に設けられたスプリング押え５の一部と、可動
プーリ片２のボス部６の一部の何れか一方、図で
は後者のボス部６に本体プーリとは絶縁状態にて
一端端子ａを有する電気抵抗体９が設けられてお
り、一方、対する固定プーリ片３の軸方向延長上
に設けられた前記スプリング押え５には一端に端
子Ｃを有し電気的絶縁状態で接触子１０が固定さ
れていて両プーリ片間の回転方向の角度変位に対
応して前記接触子１０が電気抵抗体９上に接触
し、移動可能なようにして固定プーリ片３と可動
プーリ片２の負荷時の電気抵抗体９の一端端子ａ
と接触子１０の接触位置ｂ間の距離が変化し、こ
れにより電気抵抗値が変化する如く構成されてい
る。

即ち電気抵抗体９は例えば既知のカーボン抵抗
体で２つの接点間の距離に比例して電気抵抗値が
変化するものである。

しかも、前記固定プーリ片３のボス部３ａは更
に延長し、前記スプリング押え５の側方において
固定プーリ片３に一体にスリツプリング１１が一
対設けられ、スリツプリング１１には更にこれに
接する如く、そのプーリの外部よりブラシＡ，Ｂ
が設けられていると共に、電気抵抗体９とブラシ
Ａに対するスリツプリング１１ならびに接触子１
０とブラシＢに対するスリツプリング１１間には
夫々結線がなされていて、前記相対的位置変化に
応じて発生する電気抵抗値の変化信号をスリツプ
リング１１、ブラシＡ，Ｂを介して電流又は電圧
の変化として該変速プーリに生ずる負荷の代用特
性として検出し、電気信号として取り出し得るよ
うに構成されている。この場合、電気抵抗体９と
スリツプリング１１の結線のうち、電気抵抗体９
上の結線端部は図示の位置に限らず、電気抵抗体
上の端、即ち上端部、下端部であつても何ら差支
えない。

しかして上記取り出された信号は、爾後、電気
的に処理され、所要の自動調整を行う電気的制御
手段に伝達され、所期の動作を発動させるが、第
３図はかくの如きベルト伝動装置を利用する場合
において、本考案ベルト式トルクコントロール機
構を実施する電気的制御手段に係るブロツク線図
の１例であり、駆動側変速プーリP₂の固定プー
リ片３と可動プーリ片２との間に負荷に応じた相
対的ねじれ量を電気抵抗値の変化を生ぜしめる如
くなし、その信号をスリツプリング１１を介して
そのプーリの外部より設けたブラシＡ，Ｂを介し
て電流又は電圧変化として該変速プーリに生ずる
負荷の代用特性として検出し、これを電気的に処
理し、それをもとに固定プーリ片３と可動プーリ
片２の相対的ねじれ量が設定値をキープする如く
制御機能を有するアンプＭを介して外部作動動力
１２を作動させる構成となつている。

そして、この場合、本考案においては、その外
部作動動力１２によつて固定ＶプーリP₁と変速
プーリP₂の間に配設されたテンシヨンプーリP₃
の移動を行うが、このテンシヨンプーリP₃は該
プーリの軸１３に作動用アーム１４が軸承によつ
て連結されており、作動用アーム１４は角度をな
して延びるレバー部１５を有して、通常、これに
前記外部作動動力１２が連絡され、テンシヨンプ
ーリP₃を上下方向に移動せしめ、これに追従し
て駆動側変速プーリ中のＶベルトの有効径を可変
し、駆動側及び従動側のプーリ間の回転比を自動
調整し、一定トルクの動力を伝えるようになつて
いる。

なお、上記構成において、スプリング押え５、
スリツプリング１１は固定プーリ片３のボス部３
ａに装着しているが、固定プーリ片３の軸Ｓを利
用し、これに一体に取り付けることも同様であ
る。

本考案装置は叙上のような一連の機構によつて
構成されており、結局、変速プーリに生ずる負荷
によつて当該変速プーリP₂の固定プーリ片３と
可動プーリ片２との間に生じた相対的捩れを利用
し、それによつて電気抵抗値の変化をスリツプリ
ング１１、ブラシＡ，Ｂ、接触子１０により電流
又は電圧変化の信号として外部に取り出し、これ
を電気的に処理し、所定の設定値を保持する如く
制御機能を有するアンプ等を介して外部作動動力
を作動させ、テンシヨンプーリを移動調整せし
め、これに追従して駆動側変速プーリ中のＶベル
ト有効径を調整し、駆動側と従動側のプーリ間の
回転比を常に適切な比率に自動調整し、一定トル
クの動力を伝達することができる。

なお、以上は固定Ｖプーリを従動側、変速プー
リを駆動側プーリとした場合であるが、変速プー
リを従動側プーリに使用し、固定Ｖプーリを駆動
側に使用することも勿論可能であり、この場合も
その制御機構は別段、変わるところはない。しか
し、コントロールの迅速性の面から変速プーリを
駆動側に使用し、駆動側で検知することが実際上
有利である。

以上の如く、本考案ベルト式トルクコントロー
ル装置は変速プーリ中にトルク変換、とりわけ、
ねじれ角による検出機能を組み込みテンシヨンプ
ーリを上下動せしめて駆動側と従動側のプーリ間
の回転比を適正に自動調整せしめる如く構成せし
めたものであるから、従来よく行われていた軸に
生ずるトルクをトルク変換器等で検出する方式に
比し、はるかにコンパクトで、かつ安価となり、
しかも、従来のオイル式及び機械式（ギヤーミツ
シヨン）トルクコントロール機構に比較して伝達
効率が高く、かつ調整良好な機構であると共に、
電気抵抗体、接触子、ブラシを介して電流又は電
圧の変化として外部に取り出しテンシヨンプーリ
に連動せしめるようにしたので、構成も簡単で、
かつ、駆動側、従動側プーリの移動調整に係わり
なく行われるので設置に便であり、自動車等を始
め各方面に広汎に用いることができるコントロー
ル装置として頗る有用で、今後にその実用化が大
いに期待される優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案ベルト式トルクコントロール装
置の１例を示す概要斜視図、第２図は第１図の従
動側変速プーリの横断面図、第３図は第１図の電
気的制御システムのブロツク配線図である。 １……Ｖベルト、２……可動プーリ片、３……
固定プーリ片、４……コイルスプリング、５……
スプリング押え、６……可動プーリ片ボス部、９
……電気抵抗体、１０……接触子、１１……スリ
ツプリング、１２……外部作動動力、P₁……固
定Ｖプーリ、P₂……変速プーリ、P₃……テンシ
ヨンプーリ、Ａ，Ｂ……ブラシ、Ｍ……アンプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定プーリ片と可動プーリ片からなり、固定プ
   ーリ片の軸延長上に可動プーリ片を軸方向及び回
   転方向に移動可能に設け、かつ、可動プーリ片側
   方で固定プーリ片の軸方向延長上に固定プーリ片
   と一体的に設けたスプリング押えと前記可動プー
   リ片との間に反撥弾性コイルスプリングを介装
   し、該スプリングの両端末を夫々前記可動プーリ
   片及びスプリング押えの側面に設けた突出ピンに
   係止して走行時、プーリに懸架されたベルトによ
   り生ずる負荷により前記スプリングが巻きゆるむ
   方向に負荷が生ずる如く構成せしめた変速プーリ
   を一方の軸に取り付け、一方、固定Ｖプーリを他
   方の軸に設け、かつ前記変速プーリと固定Ｖプー
   リの中間に移動可能式テンシヨンプーリを配設し
   てこれら両プーリ及びテンシヨンプーリ間にＶベ
   ルトを懸架してなるベルト伝導装置において、前
   記プーリに生ずる負荷によつて起るスプリングの
   ねじれトルクで生じる固定プーリ片と可動プーリ
   片との間の相対的位置変化を検出する手段、前記
   検出された相対的位置変化に応じて発生する電気
   抵抗値の変化を検出し電気信号として取り出す手
   段、前記取り出した電気信号を電気的に処理し、
   所定の設定値を保持する如く制御機能を有するア
   ンプ等を介して外部作動動力を作動させる手段、
   前記作動動力によつてテンシヨンプーリを移動せ
   しめると共に、該移動を変速プーリ中のＶベルト
   有効径の変化に転化し駆動側及び従動側プーリ間
   の回転を自動調整する手段を具備してなり、か
   つ、前記相対的位置検出手段が、前記一方の変速
   プーリの固定プーリ片側の軸と一体部材の一部
   と、可動プーリ片側の一部の何れか一方にプーリ
   本体とは電気的絶縁状態で設けられた一端端子を
   有する電気抵抗体と、それに対向する他プーリ片
   側に設けられ、該他プーリ片側の一部と他プーリ
   片側の軸と一体部材の一部の何れか一方に端子を
   有して前記電気抵抗体上に接触移動可能な接触子
   からなり、また、電気信号取り出し手段が前記固
   定プーリ片又はその軸に一体的に設けられた２個
   のスリツプリングと、該スリツプリングに夫々対
   応して設けられたブラシを含み、前記電気抵抗体
   の一端端子と一方のスリツプリングならびに前記
   接触子と他のスリツプリングを夫々結線せしめた
   構成からなることを特徴とするベルト式トルクコ
   ントロール装置。