JPS635354Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電話機の送話器や受話器等に用いられ
る電気音響変換器に関するもので、中でも圧電体
をトランスデユーサとして用いた圧電形電気音響
変換器に関するものである。

圧電形電気音響変換器は、セラミツク圧電体を
金属板に貼付けしたものや、高分子圧電体をポリ
エステルフイルムに貼付けしたもの等が振動板と
して用いられ、所望の周波数特性、例えばある周
波数範囲で音圧レベルが平担となるような特性を
実現するために、上記の振動板に音響的なダンピ
ングをかけることが必要である。

このため従来の圧電形電気音響変換器は例えば
第１図のような構造となつている。第１図におい
て、１は圧電振動板、２は前気室、３はケース７
に設けられた前気室２の透孔、４は背気室、５は
多孔質材料よりなる音響抵抗、６はケース８に設
けられた背気孔である。これらの気室２，４、孔
３，６及び音響抵抗５は所望の周波数特性を実現
すべく構成されており、中でも背気室４、音響抵
抗５及び背気孔６は圧電振動板１にダンピングを
かけ、音圧を平担化する目的と密接に関係してい
る。

しかし、圧電振動板１の共振時におけるＱが15
〜50ぐらいと大きいため、第１図のような従来の
構成で圧電振動板１に十分なダンピングをかけよ
うとした場合、背気室４の容積を非常に小さくし
たり、背気孔６を非常に細くしなければならなく
なり、量産不可能な構造となつてしまう場合が多
い。従つて、結果的には十分なダンピング効果が
得られず、出力音圧の周波数特性は第２図に示す
ように所定の周波数範囲で平担化されず、かなり
のレベル変化が残ることになる。特に、この従来
構造によるダンピングは圧電振動板１の高次共振
に対するダンピング効果が少ない。圧電形電気音
響変換器の場合、周波数帯域を広げるため第２次
共振を所望の帯域の上限に設定することが非常に
有効なやり方であるが、この場合に従来構造では
この第２次共振がダンピングされず、音圧レベル
変化が非常に大きくなる。第２図において、₁は
圧電振動板１の基本共振周波数、₂は圧電振動板
１の第２次共振周波数である。

本考案は上記のような従来の欠点に鑑み、圧電
形電気音響変換器における圧電振動板のダンピン
グをより確実にし、周波数特性をより一層平担化
することを目的とするものである。

本考案の要点は圧電振動板の高次共振における
振動腹部にトランスデユーサとして用いる第１の
圧電体とは別に第２の圧電体を貼付けし、これら
第１の圧電体と第２の圧電体は互いに逆方向のた
わみ振動を誘起するように構成することにより、
圧電振動板の共振時のＱ、なかでも高次共振のＱ
を低下させることである。

以下、本考案による圧電形電気音響変換器を一
実施例を示す第３図及び第４図ａ，ｂと共に上記
と同一箇所には同一番号を付して説明する。

第３図における圧電振動板１は第１のセラミツ
ク圧電体１０を金属板９に貼付けしたものを用い
た例であるが、本考案ではこの圧電振動板１にさ
らに第２のセラミツク圧電体１１を貼付けしてい
る。そして、第４図ａに矢印で示すように第１の
セラミツク圧電体１０と第２のセラミツク圧電体
１１の分極方向は互いに逆方向となつており、金
属板９と第２のセラミツク圧電体１１の表面電極
１６はリード線１２，１３によつて接続されると
共に第３図の外部端子１７に接続されている。ま
た、第１のセラミツク圧電体１０の表面電極１５
はリード線１４によつて第３図の外部端子１８に
接続されており、この表面電極１５は第２のセラ
ミツク圧電体１１の裏面電極とも導通している。
さらに、金属板９は第１のセラミツク圧電体１０
の裏面電極と導通していることはもちろんであ
る。

従つて、第３図の外部端子１７と１８間に印加
される信号電圧によつて第１のセラミツク圧電体
１０と第２のセラミツク圧電体１１は互いに逆方
向のたわみ振動を誘起することになる。そして、
第２のセラミツク圧電体１１の貼付けされている
位置は圧電振動板１の高次の共振時の振動腹部で
あり、その大きさは振動腹部の大きさに相当する
大きさになる。従つて、第４図ａ，ｂのように圧
電振動板１の中心部分にその圧電振動板１の全体
直径の1/3以下の大きさの第２のセラミツク圧電
体１１を貼付けするのが普通である。しかし、圧
電振動板１の高次共振における振動腹部は中心部
分だけでなく一定の半径をもつたリング状にも存
在するため、第５図ａ，ｂに示すように第２のセ
ラミツク圧電体１１ａをリング状にして貼付けし
てもよい。第５図で１６ａはリング状の表面電極
である。

なお、上記の実施例では第２のセラミツク圧電
体１１，１１ａを圧電振動板１の第１のセラミツ
ク圧電体１０側に貼付けた場合について説明した
が、これは第６図に示すように金属板９側に貼付
けしてもよいものである。

以上の構成で明らかなように第２の圧電体は圧
電振動板の高次共振の振動腹部に位置し、そのた
わみ方向が第１の圧電体による圧電振動板本来の
たわみ方向と逆になるため、圧電振動板の高次共
振時にその振動を効果的にダンピングすることに
なると共に、それ以外の場合は圧電振動板本来の
振動に大きな影響を与えることはない。第７図に
本考案による圧電形電気音響変換器の出力音圧の
周波数特性の一例を示す。この第６図の特性は従
来例の特性を示す第２図と比較すると明らかなよ
うに、圧電振動板の高次共振のピークが非常によ
くダンピングされており、出力音圧の周波数特性
がよく平担化されている。

以上のように本考案による圧電形電気音響変換
器の振動板ダンピング構成は従来の振動板ダンピ
ング構成と併用することにより、出力音圧の周波
数特性を平担化するのに非常に効果があり、実用
性の高いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の圧電形電気音響変換器を示す断
面図、第２図は同圧電形電気音響変換器における
出力音圧の周波数特性の一例を示す特性図、第３
図は本考案による圧電形電気音響変換器の一実施
例を示す断面図、第４図ａ，ｂは同圧電形電気音
響変換器に用いる圧電振動板の概略断面図と下面
図、、第５図ａ，ｂは同圧電形電気音響変換器に
用いる圧電振動板の別の実施例示す概略断面図と
下面図、第６図は同じく圧電振動板のさらに別の
実施例を示す概略断面図、第７図は本考案による
圧電形電気音響変換器の出力音圧の周波数特性の
一例を示す特性図である。 １……圧電振動板、１０……第１の圧電体（セ
ラミツク圧電体）、１１，１１ａ……第２の圧電
体（セラミツク圧電体）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 第１の圧電体をトランスデユーサとして用い
   た圧電振動板にその圧電振動板の高次共振にお
   ける振動腹部に相当する位置に上記第１の圧電
   体とは逆方向に分極された第２の圧電体を貼付
   けし、上記第１の圧電体と第２の圧電体は互い
   に逆方向のたわみ振動を誘起するように構成し
   てなる圧電形電気音響変換器。 (2) 第２の圧電体を圧電振動板の中心部分に設け
   た実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の圧電形
   電気音響変換器。 (3) 第２の圧電体を圧電振動板の第２次共振の振
   動腹部にリング状に設けた実用新案登録請求の
   範囲第(1)項記載の圧電形電気音響変換器。