JPS6311815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はホーンスピーカに於ける駆動部の改
良に関し、歪が少なく周波数特性の良好なるホー
ンスピーカを提供することを目的とするものであ
る。

従来の一般的なホーンスピーカを第１図につい
て説明すると、マグネツト１、センターポール
２、フロントプレート３、バツクプレート４より
なる磁気回路のセンターポール２とフロントプレ
ート３とで形成された磁気空隙５にボイスコイル
６を巻回したコイルボビン７が配置され、当該コ
イルボビン７の先端部にドーム状の振動板８が結
合され、振動板８のエツジ９の外周部は支持体１
０，１０′によりフロントプレート３に固定され
ている。

また、１１は振動板８の背面の音圧を遮断する
とともに振動系部品を保護するための背面カバー
であつて、当該背面カバー１１により振動板８の
背面に一定容積の背室１２が形成される。

更に１３はイコライザ、１４はセンターポール
２に穿設した音道、１５はバツクプレート４に結
合したスピーカホーンである。

このようなホーンスピーカにおいてエツジ９と
フロントプレート３との間に形成された空気層１
６が振動板８の上下振動に対してステイフネスと
して作用し、かつ一般に当該空気層16の容積が小
さいため振動板８が上下に移動した時に圧縮され
振動方向と反対方向の力がエツジ９に作用し、非
直線歪が原因となる。そして、この現象は低周波
帯域とか大入力のときなど大振巾のときに、特に
著しく現われる。又、中高域周波数帯域に於いて
は、エツジ９と振動板８の夫々の剛性により決ま
る個有の周波数で節円をともなうエツジ反共振が
生じ、エツジ９から出た逆位相の音と振動板８か
ら出た音とが干渉して音圧周波数特性に悪影響を
及ぼす。

これを解決する手段として第２図に示す如くエ
ツジ９に透孔９′を穿ち前記空気層１６と背室１
２を連通せしめたり、或は、第３図に示す如く支
持体１０′にリング状スリツト２１を設け、前記
空気層１６と背室１２を連通せしめて当該空気層
１６の圧力を逃がすような構造が存在するが、当
該空気層１６と背室１２の空気圧が逆相となつて
お互に他方に流出するため空気による制動力が弱
くなり過大振巾となつて歪が増加するとともに、
エツジ９自体が相当の面積を有するため第２図の
例では前記空気層１６と磁気空隙５による共振系
が周波数特性に及ぼす悪影響が除去されないだけ
でなく、更に第２図、第３図の例に於ても前記エ
ツジ９の反共振による周波数特性上のピークやデ
イツプを取除くことはできない。

この考案は振動板８とエツジ９の背面を第１の
カバー１７で密閉して第１背室１９を形成し、次
に第１のカバー１７と第２のカバー１８及びフロ
ントプレート３とで第２背室２０を形成し、この
第２背室２０とエツジ９とフロントプレート３間
の空気層１６を連通せしめることにより、当該空
気層１６の圧力を緩和させ、更に振動板８とエツ
ジ９を音響的に隔離させて、前記従来例の欠点を
除去したホーンスピーカに関するもので、以下第
４図により詳しく説明する。

第４図に於て、（第１図、第２図、第３図、第
４図とも同一部品は同番号で示す）エツジ９の外
周は支持スペーサ１０″によりフロントプレート
３に固定され、エツジ９とフロントプレート３間
にスリツト２１′を形成して空気層１６と、第２
カバー１８、フロントプレート３、第１カバー１
７で形成される第２背室２０とを連通させている
ため、大振巾に於てもこの空気層１６の圧力上昇
は僅かである。更に、エツジ９の外周縁の振動板
凸面側に第１カバー１７が当接され、振動板凸面
側に第１背室１９を形成する。この場合第２背室
２０の体積は別に制限はないが、前記空気層１６
の圧力上昇を抑制するため、空気層１６の体積に
比して可能な限り大きい方がよい。

このように構成された駆動系に於ては、エツジ
下面の空気層１６の空気圧は緩和されて非直線歪
は減少し、また当該空気層１６と振動板背面とは
音響的に隔離されているためエツジ下面の逆位相
成分との打消による過大振巾（振巾歪の原因とな
る）や音圧低下は絶無となり、特に高調波歪の少
ない、音圧周波数特性の優れたホーンスピーカを
得ることができる。尚、第４図ではエツジ９外周
縁とフロントプレート３との結合は支持スペーサ
１０″によつたが、第３図に示した如くスリツト
２１を設けた支持具１０′の如き構造でもよい。

次に第５図の出力音圧周波数特性図、第７図、
第８図の高調波レベル特性図、第６図の音響エネ
ルギー特性図をもとに本考案スピーカの作用効果
を説明する。尚、５１，６１，７１，８１は本考
案スピーカの特性、５２，６２，７２，８２は従
来例の特性である。

先ず第５図に於て出力音圧周波数特性は明らか
にウネリが少なくなつて平坦な特性となつてい
て、音色にクセの無い高忠実な再生音を得るため
の条件を満している。これはエツジ下面の空気層
１６に起因するステイフネスが消失し、振動板８
背面と隔離されたためこの部分の音圧が振動板に
与える反作用が無くなつたためである。また同時
に空気層１６の圧力が緩和されたため、この部分
の空気の非直線性による歪レベルは、第７図、第
８図で明らかな如く著しく減少している。この事
実からみて、エツジ下面の空気層１６を別に設け
た第２背室２０と連通させて圧力を緩和させ振動
板背面の第１背室１９に対し音響的に遮断するこ
とは、平坦な特性と低歪レベルによる優れた聴感
を有するホーンスピーカを得るために非常に有益
な考案である。

尚磁気空隙５に磁性流体を充填させた場合は磁
気空隙５、マグネツト１、内部の空洞１７、と振
動板８の音響放射面との遮断はより一層完全とな
り更に周波数特性が改善されると同時に磁性流体
の吸熱作用により耐入力性の向上も期待される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例のホーンスピーカ断面図、第２
図は従来例に１部改良を加えたホーンスピーカ駆
動部の断面図、第３図は他の改良例のホーンスピ
ーカ駆動部の断面図、第４図は本考案によるホー
ンスピーカ駆動部の断面図、第５図は従来例と比
較した本考案スピーカの音圧周波数特性図、第６
図は同じく音響エネルギー特性図、第７図、第８
図は同じく第２、第３調波歪特性図である。 ２はセンターポール、３はフロントプレート、
８は振動板、９はエツジ、１４は音道、１５はホ
ーン、１７は第１のカバー、１８は第２のカバ
ー、１６は第１背室、２０は第２背室である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドーム状の振動板８の凹面より放射される音波
   を磁気回路のセンターポール２に形成された音道
   １４を介してスピーカホーン１５に導入するごと
   く構成したホーンスピーカに於て、前記エツジ９
   と振動板８及び振動板８の凸面を覆う第１のカバ
   ー１７により形成される第１背室１９と、前記第
   １のカバー１７と第２のカバー１８及びフロント
   プレート３により形成され且つエツジ下面の空気
   層１６と連通する第２背室２０を有するホーンス
   ピーカ。