JPS6353363B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は副室式機関の主燃焼室の改善に関す
る。

従来の副室式機関の主燃焼室を第１図に示す。
図において、副燃焼室４はシリンダヘツド３に凹
設されている。副燃焼室４の構造は上部が半球
型、下部は円錐台のものあるいは円柱型のもの等
があるが、第１図には下部が円錐台のものを示
す。副燃焼室４に燃料噴射弁５及び機関始動時に
副燃焼室４内を予熱するグロープラグ６を必要に
応じて設ける。副燃焼室４は、副室噴口７を介し
て、ピストン２の頂面、シリンダ８、シリンダヘ
ツド３の下面から構成される主燃焼室１と連通し
ている。主燃焼室１の構成要素としてピストン２
頂面あるいはシリンダヘツド３下面に凹み、即ち
凹陥部を有するものであるが、第１図にはピスト
ン２頂面に凹みを有するものを示す。

上記凹み側壁とピストン中心線Ａ−Ａに直角な
平面とのなす角をθとすると、θ≧90゜から構成
される凹み側壁を有する（第３図参照）。第１図
はθ＝90゜のものを示す。

機関運転時の圧縮行程で、ピストン２により主
燃焼室１内の空気が圧縮され副室噴口７を経て副
燃焼室４内に流入する。副燃焼室４内に流入した
空気と燃料噴射弁５から噴射される燃料は混合
し、着火、燃焼する。副燃焼室４内の既燃、末燃
ガスは副室噴口７を通つて主燃焼室１内に噴出
し、ピストンに仕事をすると同時に、主燃焼室１
内の空気との混合、燃焼を行わしめる。

しかし上記のものには次の欠点がある。

副燃焼室４内の既燃、未燃ガスが副室噴口７を
経て、主燃焼室１内に噴出する際、その大部分は
まずピストン２頂面に設けた凹みに流入する。

この時、上記凹み側壁とピストン中心線Ａ−Ａ
に直角な平面とのなす角θが、θ≧90゜のため、
凹み内の噴流は第４図の斜線部で示すように、凹
み側壁を越えてピストン２頂面とシリンダヘツド
３下面で形成される小間隙部へ流出する。この流
出したガスは小間隙部の壁面により冷却されるた
め、燃焼が悪化し、熱損失も増大する。また、小
間隙部へのガス流出により凹み内を流れるガス量
が減少するため、凹み内噴流のペネトレーシヨン
が低下し、主燃焼室１内の未燃ガスと空気との混
合が弱まるので、燃焼が悪化し、排煙、燃費が不
良となる。以上の欠点はピストン２が上死点近傍
にある時、ピストン２頂面とシリンダヘツド３下
面の隙間が小さいため、顕著となる。また、上記
凹みがシリンダヘツド３下面に設けられたもので
も同様である。

本発明の目的は上記の点に着目し、副燃焼室４
内の既燃、未燃ガスがピストン２頂面あるいはシ
リンダヘツド３下面に設けた凹み内を流れる際、
ガスの一部が凹み側壁を越えてピストン２頂面と
シリンダヘツド３下面とで形成される小間隙部へ
流出するのを防ぐことのできる構造を提供するこ
とであり、その特徴とするところは、ピストンの
頂面またはシリンダヘツドの下面に一端側が副室
噴口に臨む細長状の凹陥部を有する副室式機関の
主燃焼室において、上記凹陥部の側壁とピストン
中心線に直角な平面とのなす角をθとしたときθ
＜90゜に形成したことである。

以下図面を参照して本発明による実施例につき
説明する。

第５図ａ，ｂ，ｃは本発明による１実施例の凹
みを示す。

ピストン２頂面に凹みがあり、ピストン２の上
方から見た形状が半円と矩形の組合せからなる
（副室噴口７に近い方が半円）凹みにおいて、半
円及び矩形の大部分の側壁を、凹み側壁とピスト
ン中心線Ａ−Ａに直角な平面とのなす角θ＜90゜
とし、かつ該側壁を直線状としている。

上記構成の場合の作用、効果について述べる。

上述の凹み側壁にすることにより、副燃焼室４
から流入する既燃、未燃ガスが凹み内を流れ、ピ
ストン２頂面とシリンダヘツド３下面で形成され
る小間隙部への流出が防止できる。

よつて、小間隙部壁面によるガスの冷却及び熱
損失を低減でき、さらに噴流のペネトレーシヨン
向上が実現し、主燃焼室１内の空気との混合、従
つて燃焼を促進することができる。

以上の理由で、機関の燃費、排煙、熱損失の低
減が達成される。

第６図ａ，ｂ，ｃは本発明による他の実施例の
凹みを示す。

前記実施例はピストン２頂面の凹みのうち、半
円部の側壁も傾斜することにより、副燃焼室４か
ら流入する既燃、未燃ガスが半円部から側壁を越
えて上記小間隙部へ流出するのを防いだものであ
るが、凹み加工を容易にするため、半円部の側壁
の角度θは、θ＝90゜としたものである。

この場合は、半円部から小間隙部へのガスの流
出を防ぐことはできないが、その流出割合が比較
的小さいことを考えると、加工しやすく、効果
（半円部以外は前記実施例と効果は同じ）が大き
い。

第７図は本発明によるさらに他の実施例の凹み
を設けた燃焼室を示す断面図である。

シリンダヘツド３下面に凹みがあり、シリンダ
ヘツド３下面から見た形状が、第８図に示すよう
に、副室噴口７に接続する矩形からなる凹みにお
いて、矩形の大部分の側壁を、同側壁とピストン
中心線Ａ−Ａに直角な平面とのなす角θ＜90゜と
した場合である。

その作用、効果は前記した実施例と同様であ
る。

以上の各実施例の凹み形状のうち、矩形部を台
形（副燃焼室４からの流出方向に漸次縮少）にす
ると、さらに噴流のペネトレーシヨン向上が実現
し、主燃焼室１内の燃焼を促進できるので、効果
が大きくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の副室式機関の燃焼室を示す断面
図、第２図は第１図の−矢視図、第３図は第
１図の−矢視断面図、第４図は小間隙部への
ガス流出状態を示す説明図、第５図ａは本発明に
よる１実施例のピストン頂面の凹みを示す上面
図、第５図ｂは第５図ａのｂ−ｂ矢視断面図、第
５図ｃは第５図ａのｃ−ｃ矢視断面図、第６図ａ
は本発明による他の実施例のピストン頂面の凹み
を示す上面図、第６図ｂは第６図ａのｂ−ｂ矢視
断面図、第６図ｃは第６図ａのｃ−ｃ矢視断面
図、第７図は本発明によるさらに他の実施例の凹
みを設けた燃焼室を示す断面図、第８図は第７図
の−矢視図、第９図は第８図の−矢視断
面図である。 １……主燃焼室、２……ピストン、３……シリ
ンダヘツド、４……副燃焼室、７……副室噴口、
８……シリンダ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ピストンの頂面またはシリンダヘツドの下面
   に一端側が副室噴口に臨む細長状の凹陥部を有す
   る副室式機関の主燃焼室において、上記凹陥部の
   側壁とピストン中心線に直角な平面とのなす角を
   θとしたときθ＜90゜になるように、同側壁を直
   線状に構成したことを特徴とする副室式機関の主
   燃焼室。