JPS635098Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は紙幣の真偽を鑑別し、その結果「真」
と判定した紙幣を一時保留し、必要に応じて当該
紙幣の返却を可能とした紙幣鑑別装置にあつて、
鑑別された紙幣を並設された２つのスパイラルの
間に導いて当該スパイラルの溝内に保持し、返金
に際してかかる紙幣の返送を可能としたスパイラ
ル方式の収納機構に関する。

〔従来の技術〕

この種の収納機構は、特開昭57−67452号公報
における紙葉類の収納装置のように複数個のスパ
イラルを配置し、これらのスパイラルの回転に応
じて紙葉類をスパイラルの溝に一時保留（エスク
ロ）し、かつ溝内に保持された紙葉類を返金ある
いは収納するように構成されている。このスパイ
ラル方式の収納機構は、スパイラルのピツチ数に
応じて複数枚の紙葉類を一時保留することが可能
で、また小形、軽量であるため、近年販売商品の
高価格化の傾向が著しい自動販売機等に内設され
る、紙幣の収納装置として極めて有効である。と
ころが、従来の収納装置にあつては、紙幣鑑別装
置と別個に構成されていたために単独の設置スペ
ースが必要となり、紙幣に関連する機器（鑑別装
置と収納装置）として総括的に眺めた場合には、
依然として大規模なものとなることは否めない。
また、鑑別装置と収納装置とのそれぞれに搬送モ
ータ、プーリ、搬送ベルト等より構成される紙幣
（紙葉類）の搬送機構を設けなければならないの
で、割高になるという問題がある。

そこで、近年上述したような点に鑑み、スパイ
ラル方式の収納機構を具備することで別設されて
いた収納装置を不要とし、総括的な小形、軽量化
を目差した紙幣鑑別装置の研究、開発が進められ
ている。具体的に説明するならば、従来の紙幣鑑
別装置においては紙幣を搬送する際に搬送機構の
片面（搬送ベルトのプーリの間に張設された部分
の一方）しか利用されていないためデツトスペー
スとなつていた搬送機構のもう片面に着目し、当
該スペースにスパイラル方式の収納機構を配設し
て搬送機構の両面を使用するように構成すること
で、紙幣鑑別装置に収納機構を併設することが図
られている。すなわち、搬送機構の片面は鑑別セ
ンサ部に紙幣を搬送する「鑑別用」として、また
もう片面は鑑別された紙幣を一時保留するために
スパイラルの溝に導き込む「保留用」として利用
される。

第１図はかかる紙幣鑑別装置における紙幣の収
納部の要部断面図である。図において１はスパイ
ラル、２はスパイラル１の駆動部、３は図示しな
いプーリ間に張架されて矢印Ｏ−Ｐ方向に移動可
能な搬送ベルト４ｄは搬送ベルト３に圧接し、搬
送ベルト３の移動に伴つて回転する押えローラで
る。待機状態においてスパイラル１は当該溝部
（スパイラル１を図のように側面から見た際に螺
旋状の稜線によつて区画された溝の一部分）１ａ
が搬送通路Paの出口部に連通するような位置に
停止している。

Ｏ方向に移動する搬送ベルト３に従つて通路内
を移動し、その過程で「真」と判定された紙幣
（以下、単に真紙幣という）Ｂは、搬送通路Paの
出口部に配置された押えローラ４ｄと搬送ベルト
３との間に挾持されてスパイラル１の溝部１ａへ
導かれる。ところで、収納部を上方より見た場
合、第２図に示すように並行する２本の搬送ベル
ト３，３を挾んで２つのスパイラル１，１が互い
に溝部を対向しており、二点鎖線で示す搬送通路
Paより送り出される紙幣は、両端部をスパイラ
ル１，１の溝部１ａ，１ａに沿わせながら搬送ベ
ルト３，３に従つて移動する。尚、第２図では第
１図における溝部と対応する溝部には同符号にカ
ツコを付けて図示した。以下、第２図のように上
方よりスパイラルを見た図において当該溝部を図
面する際には第１図の対応する溝部の符号にカツ
コを付けて示す。

第１図に戻つてこのようにスパイラル１の溝部
１１に導かれた紙幣が搬送ベルト３に従つて上方
に移動し、当該後端が通路出口部に配設された例
えば光電素子からなるセンサ（図示せず）の位置
を通過すると、紙幣鑑別装置は搬送ベルト３を停
止し、替わつてスパイラル駆動部２を起動してス
パイラル１を正回転（紙幣を一時保留する方向に
回転）させ、当該紙幣を溝部１ｂへ移送して一時
保留する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、長手方向に曲り癖を有する紙幣を溝
部１ｂに一時保留した場合には、第２図の一点鎖
線で示す紙幣Ｂ１のように中央の折れ曲つた部分
が搬送通路Paの出口部に突き出して通路を塞い
でしまう恐れがある。そして、このように折れ曲
つた部分を搬送通路Paに突き出した状態で紙幣
Ｂ１が溝部１ｂ，１ｂの間に一時保留されると、
続いて収納部に搬送されて来た紙幣が紙幣Ｂ１に
係止されて紙幣詰まりを起こし、紙幣鑑別装置の
正常な機能が阻害されてしまう。

本考案は、上述の点に鑑み、スパイラルの溝内
に保持されている紙幣が折れ曲がつて搬送通路側
に突出することがないようにした紙幣鑑別装置に
おける収納機構を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上述の目的を達成するため、２つの
スパイラルの間に搬送ベルト側から突出して溝内
に保持された紙幣の折れ曲り方向を規制する突部
を設けたことを特徴としている。

〔作用〕

本考案においては、２つのスパイラルの間に搬
送ベルト側から突出する突部を設けたので、スパ
イラルの溝内に保持された紙幣は搬送通路と反対
側に曲げられ、保持された紙幣により搬送通路が
塞がれることはない。

〔実施例〕

次に本考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。第３図は本考案の一実施例の構成を示す側面
断面図である。図において１はスパイラル、２は
スパイラル１の駆動部、３はプーリ５ａ，５ｂ間
に張架された搬送ベルトで第１図において図示し
たものと同一である。また、４ａ，４ｂ，４ｃ、
および４ｄは駆動ローラ６あるいは搬送ベルト３
に圧接し、駆動ローラ６あるいは搬送ベルト３の
駆動に追従して回転する押えはローラで、押えロ
ーラ４ｄは第１図に図示したものと同一である。
７a.７ｂ、および８は搬送ベルト４に内接して搬
送ベルト４の移動の安定化を図るための押えロー
ラ、９は紙幣が有する特性を検出するための鑑別
センサ部、１０は収納部に収容された紙幣を押え
るための押え板、１１は並設された２つのスパイ
ラルの間に介在し、スパイラルの駆動部側から溝
部１ａが形成する空間に突出した突部である。

紙幣を挿入するためのガイド口Igより挿入され
た紙幣を搬送通路Paの入口部近傍に設けられた
不図示のセンサが検知すると、紙幣鑑別装置は搬
送モータを起動してモータに連結された例えばプ
ーリ５ａと駆動ローラ６とをそれぞれ矢印の方向
に回転させ、当該紙幣を搬送通路Paに取り込ん
で搬送する。そして、搬送通路Paの途中に配設
された鑑別センサ部９によつて紙幣の特性を検出
し、当該検知データに基づいて図示しない制御回
路部で紙幣の真偽を鑑別し、真紙幣はそのまま搬
送通路Paに沿つて搬送して収納部へ導き、また
偽紙幣は搬送モータを逆回転させてガイド口Igよ
り返却する。

搬送ベルト３と押えローラ４ｄとに挾持されて
搬送通路Paより送り出される紙幣は、スパイラ
ル１の溝部１ａに導かれて上昇し、当該先端が紙
幣の折れ曲り方向を規制する突部１１に当接する
と、両端部を溝部１ａに保持された状態のまま突
部１１に従つて湾曲する。第４図ａおよびｂは紙
幣鑑別装置の収納部を第３図のＰ方向（裏面方
向）から見たときの構成図、および収納部を上方
より見て紙幣をスパイラルの溝部間に保持した状
態を示す説明図である。第４図において二点鎖線
で示す搬送通路Paより搬送ベルト３，３に追従
して送り出された紙幣は、溝部１ａ，１ａが形成
する空間に突出した突部１１に当接し、突部１１
の先端に沿つて上方へ摺動する間にａ図における
一点鎖線のように湾曲してスパイラル１，１の溝
部１ａ，１ａ間に保持される。そして、搬送ベル
ト３，３が停止後、スパイラル１，１が同時に矢
印の方向に１回転し、当該紙幣を溝部１ｂ，１ｂ
間に移送して一時保留する。

このようにスパイラル１，１の溝部１ｂ，１ｂ
間に一時保留された紙幣にあつては、第５図ａの
ようにたとえ長手方向に曲り癖があつたとして
も、突部１１によつて規制されて折れ曲つた部分
が搬送通路Paに突き出すことはない。そのため
第５図ｂのように続いて搬送通路Paより送り出
される紙幣（一点鎖線で示す）Ｂは両端部をスパ
イラル１，１の溝部１ａ，１ａに沿わせたまま溝
部１ｂ，１ｂ間に一時保留された紙幣Ｂ１と突部
１１との間に導かれて保持される。そして、前述
と同様にスパイラル１，１が１回転することによ
つて紙幣ＢならびにＢ１をそれぞれ軸方向に１ピ
ツチ移送して一時保留する。

また、第３図に戻つて自動販売機等の制御回路
から出された返金指令に基づいて一時保留状態の
紙幣を返金する場合には、まずスパイラル駆動部
２を起動してスパイラル１，１を逆方向（紙幣を
払い出す方向）に例えば１回転半させて紙幣を第
５図ｃのように搬送通路Paに臨む位置まで移送
する。そして、駆動部２の停止後に搬送ベルト３
を移動すると、紙幣は搬送ベルト３と押えローラ
４ｄ、との間に下端を挾持されてスパイラル１の
溝の間から搬送通路Pa内へ取り込まれ、そのま
ま搬送されてガイド口Igより払い出される。尚こ
のような返金に際しての紙幣払い出し動作は従来
の装置と変わるところがないので詳細な説明は割
愛する。

尚、２つのスパイラルの間に突出した突部は実
施例のような形状に限定されるものではなく、例
えば球面形状をしたものでも良ければ、また回動
自在に枢支されたローラであつても勿論かまわな
い。

〔考案の効果〕

以上説明したとおり本考案によれば、２つのス
パイラルの間に搬送ベルト側から突出して溝内に
保持された紙幣の折れ曲り方向を規制する突部を
設け、保持された紙幣による搬送通路の閉塞を防
止したので、後続の紙幣が搬送通路で紙幣詰まり
となる恐れがなく、複数枚の紙幣を確実にスパイ
ラルの溝内に導き入れて一時保留することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置における紙幣の収納部の構成
を示す要部断面図、第２図は第１図の収納部の上
方より見てスパイラルの溝内に一時保留された紙
幣の折れ曲り状態を示す説明図、第３図は本考案
の一実施例の構成を示す側面断面図、第４図ａ、
およびｂは第３図の収納部をＰ方向から見たとき
の構成図、および第３図の収納部を上方より見て
搬送通路より送り出された紙幣をスパイラルの溝
部間に保持した状態を示す説明図、第５図ａ，
ｂ、およびｃは、第３図の収納部を上方より見
て、スパイラルの溝内に一時保留された紙幣の状
態を示す説明図、２枚目の紙幣がスパイラルの溝
部に保持された状態を示す説明図、および一時保
留された紙幣の返金の状態を示す説明図である。 １：スパイラル、１ａ，１ｂ，１ａ，１ｂ：溝
部、３：搬送ベルト、１１：突部、Pa：搬送通
路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プーリ間に張架された搬送ベルトにより搬送通
   路内を搬送される紙幣を鑑別し、当該紙幣を搬送
   ベルトの両側に並設された２つのスパイラルの溝
   に導き入れ、スパイラルの回転に応じて軸方向に
   移送して保持するようにした紙幣鑑別装置におい
   て、前記２つのスパイラルの間に搬送ベルト側か
   ら突出して溝内に保持された紙幣の折れ曲り方向
   を規制する突部を設けたことを特徴とする紙幣鑑
   別装置における収納機構。