JPS6350052Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は、球状化合金等の鋳造に適用する鋳造
用鋳型に関するものである。 （従来の技術） 従来一般に、インモールド法における球状化合
金鋳造の鋳型は、その湯口系に反応室を設け、こ
の反応室に球状化剤を装入して、ねずみ鋳鉄の溶
湯を注入することにより、球状化剤と徐々に反応
させるように形成されているが、未反応の合金や
溶解過程のノロ等の介在物が製品に混入すると、
たとえばクランクケースの場合は油浸出等の鋳造
欠陥を生じるために、湯口系の中間部に市販品の
ストレーナを装入する構造や、湯溜りと空腔間を
平行な細い直線湯道で連結する構造（特公昭30−
2957号公報参照）などを採用して垢取りを行つて
いる。 （考案が解決しようとする問題点） しかして、前記のストレーナは中子と同じよう
に鋳型内へ組み込む構造であり、その寸法、形状
が一定範囲で限定されているので、その通過断面
積が鋳型の設計変更に伴う湯量の増減に対応し難
く、しかも、組立て作業に多くの手数がかかるな
どの欠点がある。また、後者の横鋳込み式直線細
湯道構造では湯の通過抵抗が大きくなるという問
題がある。 従来のかかる問題点に鑑み、本考案において
は、縦鋳込みとして湯口系を上下の高低差を大き
くし易くするとともに、球状化剤を収容した反応
室の下流の湯道には上昇部と下降部を設け、また
湯口と製品キヤビテイの間に膨大室を設け、該膨
大室内に狭窄湯道を設ける等の構造として、押湯
効果や、垢などの介在物の浮上効果を増大せしめ
て、鋳造欠陥を最小にすることのほか、鋳型組立
作業の簡略化を図ることを目的とするものであ
る。 （問題点を解決するための手段） 本考案の手段について述べると、湯口系は湯
口、反応室、湯道、膨大室および堰からなり、湯
口から製品キヤビテイの間に膨大室が配置される
とともに、前記反応室には、球状化剤が収容さ
れ、該反応室から膨大室に至る間の湯道は、溶湯
の上昇部と下降部とを有し、前記膨大室の中間部
には、スノコ状の狭窄湯道が鋳型と一体構造にか
つ、鋳型は縦鋳込みに形成されたことを特徴とす
る球状黒鉛鋳鉄製品の鋳造用鋳型に係る。 （作用） 本考案の上記手段による作用は、鋳型を縦鋳込
みとし、湯口系を上下の高低差を大きくし易くし
たことにより押湯作用、介在物の浮上作用が大き
く、反応室の下流に設けた湯道の上昇部と下降部
とで合金の球状化反応が充分に行われ、湯口と製
品キヤビテイ間に設けた膨大部の中間部に設けた
スノコ状の狭窄湯道によつて介在物が除去され
る。その結果、鋳造欠陥が殆んどない鋳造製品が
得られる。 （実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。（第１図乃至第６図参照） 第１図はクランクシヤフト４本取りの縦鋳込み
の鋳型の中央縦断面図であり、１は鋳型、２は湯
口系で湯口３、湯口の底部に連設した反応室４、
湯道５，６，７および堰８，８，８，８でなつて
いる。反応室４の下流の湯道５には上昇部５ａと
下降部５ｂを設けており、該下降部５ｂの下端部
に膨大室１０Ａが連設され、該膨大室の下端部に
は二叉状に湯道６および堰８が連設され、該湯道
６の下端部には二叉状に堰８および湯道７が連設
され、更に該湯道７の下端部には膨大室１０ｃが
連設され、該膨大室１０ｃの下端部には二叉状に
堰８，８が連設され、前記各堰８，８，８，８に
は製品キヤビテイ９Ａ，９Ｂ，９Ｃおよび９Ｄが
それぞれ連設されている。 前記の湯口３から製品キヤビテイ９Ａ，９Ｂ，
９Ｃ，９Ｄとの間に介設した球形の膨大室１０
Ａ，１０Ｂ，１０Ｃのうち、上段と下段の膨大室
１０Ａおよび１０Ｃのそれぞれの中間部にスノコ
状の狭窄湯道１１，１１……が鋳型１と一体に形
成されている。反応室４内には球状化剤１２が装
入される。 なお、第１図において、−線断面は第２図
に湯口３と反応室４を示し、−線断面は第３
図に湯道５と膨大室１０Ａを示し、−線断面
は第４図に膨大室１０Ｃを示し、−線断面は
第５図に狭窄湯道１１を示し、−線断面は第
６図に狭窄湯道１１を示している。 上記の構造において、湯口３の上方から反応室
４内に注入された溶湯（図示せず）は、球状化剤
１２を溶融するとともに、湯道５の上昇部５ａを
通過して上昇中に活発な混合撹拌により溶湯中の
片状黒鉛が球状化されながら製品キヤビテイ９Ａ
に向つて流動する。このとき、溶湯中の反応未完
了の球状化合金は狭窄湯道１１，１１……を形成
するスノコによつて通過を阻止される。またノロ
は比重差によつて膨大室１０Ａ内で浮上して鋳造
欠陥を生じる介在物が除去されるとともに、球状
化反応を終えた溶湯が製品キヤビテイ９Ａに流入
し、前記膨大室１０Ａで分岐された溶湯は、下流
の湯道６，７および膨大室１０Ｂ，１０Ｃを経て
他の製品キヤビテイ９Ｂ，９Ｃ，９Ｄに流入した
のち、徐冷される。 なお、前記狭窄湯道１１，１１……は溶湯の流
動を上下方向に設けた本例に変えて横方向とした
り、その断面形状を円形その他に変えたりしても
良い。 前記湯口系に設ける膨大室の数と鋳造における
介在物の除去率の関係は実験によつて第７図に示
す如き関係があることが判明した。また鋳造不良
率についても実験値が得られた。すなわち、ほぼ
下表の如き数値になる。

【表】 従つて、下段側膨大室１０Ｃの下流側に位置す
る製品キヤビテイ９Ｃ，９Ｄにおいては、鋳造欠
陥が無いか極めて少ない球状黒鉛鋳鉄製品を得る
ことができる。 （考案の効果） 本考案は上記の構成によつてなり、鋳型を縦鋳
込みとし、湯口系を上下に高低差を大きくするこ
とにより押湯作用と介在物の浮上作用が大きくて
介在物の除去効果が大きく、反応室の下流に設け
た湯道の上昇部と下降部で合金の球状化反応が充
分に行われ、湯口と製品キヤビテイの間に設けた
膨大部と、該膨大部に設けた狭窄湯道によつて介
在物が除去されて、その結果、鋳造欠陥が極めて
少く製品の不良率が少くなるという優れた効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案鋳型の実施態様を例示し、第１図
は鋳造用鋳型の中央縦断面図、第２図は第１図の
−線における湯口の断面図、第３図は同−
線における上段側膨大室の断面図、第４図は同
−線における下段側膨大室の断面図、第５図
は同−線における上段側膨大室の狭窄湯道の
断面図、第６図は同−線における下段側膨大
室の狭窄湯道の断面図、第７図は介在物の除去率
と膨大室の段数との関係を示す図である。 １……鋳型、２……湯口系、３……湯口、４…
…反応室、５，６，７……湯道、８……堰、９
Ａ，９Ｂ，９Ｃ，９Ｄ……製品キヤビテイ、１０
Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ……膨大室、１１……狭窄湯
道。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 湯口系は、湯口、反応室、湯道、膨大室および
   堰からなり、湯口から製品キヤビテイの間に膨大
   室が配置されるとともに、前記反応室には、球状
   化剤が収容され、該反応室から膨大室に至る間の
   湯道は、溶湯の上昇部と下降部とを有し、前記膨
   大室の中間部には、スノコ状の狭窄湯道が鋳型と
   一体構造にかつ、鋳型は縦鋳込みに形成されたこ
   とを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製品の鋳造用鋳型。