JPS6349650B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、自動車、オートバイなど車輌の給
油口に着脱する開閉キヤツプに関する。

（従来の技術） そのような開閉キヤツプとしてシリンダ錠を組
込み、給油口を開く際はキーをシリンダ錠のキー
溝に差込んで捻転して解錠することによりキヤツ
プを給油口から外に外し、燃料の給油が終つたら
再び給油口に取付け、キーを反対方向に捻転して
給油口に対して施錠後、キーを抜くものは例えば
実開昭53―144118号公報で従来から公知であり、
これにより自動車などのユーザは駐車中にキヤツ
プを外され、燃料タンク内の燃料を盗まれること
がなくなる。

（発明が解決しようとする課題） しかし、自動車やオートバイの製造途中等、車
輌をユーザに引渡す前にこのキヤツプが盗まれる
ことがよくある。それは、キヤツプに組込んだ
夫々のシリンダ錠は、その錠に合う専用のキーで
しか施錠、解錠が行えないため、製造途中では各
シリンダ錠のキー溝には夫々の専用キーを差込ん
であり、不心得者が自分の車輌のキヤツプの調子
が悪いと、自分の車輌に使用できる製造途中の車
輌に付いているキヤツプを差込んであるキーで解
錠して外し、持ち去るからである。

このため、車輌をユーザに引渡す際に本来のキ
ヤツプに取換え、それまでは簡易な仮のキヤツプ
を給油口に装着する試みがあるが、製造する車輌
の数が膨大であることを考えると、これは非常に
不経済である。

又、車輛の製造中は、キーでシリンダ錠を操作
してキヤツプを給油口に施錠して装着後、キーを
抜いて保管し、出荷の際、或いはユーザに引渡す
際にそのシリンダ錠の専用キーを車輛に付属させ
ることも考えられるが、矢張り膨大な数製造する
個々の車輛キヤツプのシリンダ錠専用のキーを、
その車輛の行き先を追つて管理するには大変な手
数がかかる。

（課題を解決するための手段） そこで本発明は、製造途中ではシリンダ錠を組
込まないで給油口に装着して給油口を閉じて置く
ことができ、出荷の際、或いはユーザに引渡す際
にシリンダ錠を簡単に組込み、キーで施錠、解錠
を行えるようにしたのであつて、車輛の給油口の
開閉キヤツプとして、シリンダ錠と；該シリンダ
錠を軸方向に収容する中空部を有し、車体にある
窪みの底に開口した給油口の内部に下半部を突入
すると共に、下端に小径筒部を有するスリーブ
と、該スリーブの上端部外周から同心状に張出
し、下面で上記給油口の縁の外面に当接すると共
に、前記車体の窪みの内周に摺接するシールを外
周に取付けた鍔を一体に備えた外側部材と；前記
給油口の縁の内面に上端で当接する筒壁と、該給
油口の縁にある切欠きに対応して上記筒壁の上端
部外周に設けられた軸方向のフインと、中心孔を
有し、上記筒壁の下面に設けられて該中心孔の縁
の上面で前記外側部材のスリーブの下端に当接す
る底を一体に備え、前記給油口の内部に位置する
内側部材と；前記外側部材のスリーブの中空部に
回転自在に嵌合して該スリーブの下端の小径筒部
の上面に当接する頭部と、該頭部の下面中心から
垂下し、前記内側部材の底壁の中心孔を貫通して
前記給油口の内部に突入し、該内側部材と一体に
回動する軸を一体に備えたピストン形部材と；上
記ピストン形部材の軸に下端から嵌めて保持され
るバネ受け座と；前記内側部材の底壁下面と、上
記バネ受け座の間で圧縮されて前記ピストン形部
材を下向きに索引すると共に、該内側部材を押上
げてその筒壁の上端を前記給油口の内面に弾力的
に押付けるバネとからなり；前記シリンダ錠に
は、外周に環状溝を有し、キーの捻転操作で一体
に回動する回動片と、該回動片の下面中心から一
体に垂下する角軸ピンを下端から突設し；前記ピ
ストン形部材には、シリンダ錠を前記外側部材の
スリーブの中空部に上から押込んで収容するとき
に、上記回動片を受入れ、且つ該回動片の外周の
環状溝に係合して回動片を軸方向に保持する環状
突起を内周に備えた凹部を頭部の上面に開放して
設けると共に、該凹部の底の中心から下に延び、
前記角軸ピンを受入れる角孔を設けたことを特徴
とする。

（作用） 車輛の製造中、車体の内、外にアクセスできる
ときに外側部材のスリーブを車体の窪みの底に開
口した給油口に外から通すと共に、その鍔を上記
窪みに嵌込んで鍔の下面を給油口の縁の外面に当
接し、又、内側部材の筒壁外周にある軸方向のフ
インを給油口の縁にある切欠きと喰違わせ、該筒
壁の上端を給油口の縁の内面に当接し、これによ
り筒壁で、給油口内に突入したスリーブの下半部
を同心状に囲み、該スリーブの中空部内に外から
差込んだピストン形部材の軸を筒壁の底の中心孔
から給油口内に突出させ、この軸にバネを嵌め、
次いでバネ受け座を該軸に下端から嵌めて保持す
ることで上記バネを圧縮する。

これによりピストン形部材はバネで下向きに索
引され、その頭部の下面は外側部材のスリーブの
下端にある小径筒部の上面に当接し、又、内側部
材はバネで押上げられ、その筒壁の上端は給油口
の縁の内面に押付けられ、こうして内側部材の筒
壁の上面と、外側部材の鍔の下面は給油口の縁を
内外から挟んで給油口に装着され、外側部材の鍔
の外周に取付けたシールが窪みの内周に密着して
密封を行い、車輛の製造途中に異物が給油口を通
じ燃料タンク内に入るのを防止する（第１図）。

製造した車輛を出荷する際、或いはユーザに引
渡す際に、シリンダ錠を外側部材のスリーブの中
空部に外から押込む。この場合、シリンダ錠の下
端に突設した角軸ピンと、ピストン形部材に設け
た角孔の向きを合わせる。これにより角軸ピンは
上記角孔に入つて行き、それから角軸ピンの上の
回動片がピストン形部材の頭部の上面に開放した
凹部に入つて行き、凹部の内周に設けた環状突起
が回動片の外周の環状溝に係合し、シリンダ錠は
軸方向にスリーブの中空部内に保持される。この
場合、凹部に入つて来るシリンダ錠の回動片が環
状突起に乗り上げる際、プラスチツク製のピスト
ン形部材の頭部は自身の弾性で変形し、回動片の
環状溝に環状突起が係合したとき復元する（第２
図）。

こうしてシリンダ錠を取付けたら、キーをシリ
ンダ錠のキー溝に差込んで正又は逆に捻転する
と、回動片と角軸ピンはピストン形部材を伴つて
一体に回動し、該ピストン形部材の軸を底の中心
孔に通した内側部材も回動して施錠、解錠を行う
ことができる。

（実施例） 本発明の図示の一実施例を説明する。

１は外側部材、２は内側部材、３はピストン形
部材を示し、これらはいずれもプラスチツクの成
形品である。

車体４は窪み５の底に、該窪み５と同心状に開
口した給油口６を有する。

外側部材１は、シリンダ錠７を軸方向に収容す
る中空部９を有し、上記給油口６の内部に下半部
を突入するスリーブ８と、該スリーブの上端部外
周から同心状に張出し、下面で上記給油口の縁の
外面、つまり窪み５の底５′の外面に当接する鍔
１０を一体に備えている。上記スリーブ８は下端
に小径筒部１１を有し、又、上記鍔１０は外周の
環状溝に前記窪み５の内周に摺接するシール１２
を取付けている。

内側部材２は、前記給油口６の縁の内面、つま
り窪みの底部５′の内面に上端で当接する筒壁１
３と、該給油口の縁、つまり窪みの底部に上記給
油口と連通して設けられた切欠き（図示せず）に
対応して上記筒壁１３の上端部外周に設けられた
軸方向のフイン１４，１４と、上記筒壁１３の下
面に設けられた底１５を一体に備え、上記底１５
は中心孔１６を有し、該中心孔１６の縁で前記外
側部材１のスリーブの小径筒部１１の下端に当接
することができる。

ピストン形部材３は前記外側部材のスリーブ８
の中空部９に回転自在に嵌合する円形の頭部１７
と、該頭部の下面中心から垂下し、前記内側部材
の底１５の中心孔１６を貫通して給油口６の内部
に突入し、上記内側部材２と一体に回動する軸１
８を一体に備えている。

車輛の製造中、車体の内外にアクセスできると
きに、外側部材１のスリーブ８を車体の窪み５の
底に開口した給油口６に外から通すと共に、その
鍔１０を上記窪み５に嵌込んで鍔の下面を給油口
６の縁５′の外面に当接し、又、内側部材２の筒
壁外周にある軸方向のフイン１４を、給油口の縁
にある切欠きと喰違わせ、該筒壁１３の上端を給
油口の縁の内面に当接し、これにより筒壁１３
で、給油口６内に突入したスリーブ８の下半部を
同心状に囲み、該スリーブの中空部９内に外から
差込んだピストン形部材３の軸１８を筒壁の底１
５の中心孔１６から給油口内に突出させ、この軸
にコイルバネ１９を嵌め、次いでバネ受け座２０
を該軸１８に下端から嵌めて下端部に保持するこ
とで上記コイルバネ１９を圧縮する。

この実施例ではバネ受け座２０はプラスチツク
でカツプ形に成形され、その底の中心に貫通孔２
１を有する。軸１８は下端に下向きに尖つた尖鋭
部２２を有し、その直上に外径を縮小した首２３
を備えている。従つて、カツプ形バネ受け座の底
の中心の貫通孔２１を軸１８の下端の尖鋭部２２
に無理に押し嵌め、該貫通孔２１を軸１８の首２
３の回りに位置させてバネ受け座を軸１８の下端
部に保持し、コイルバネ１９を圧縮することがで
きる。

これによりピストン形部材３はコイルバネ１９
で下向きに索引され、その頭部１７の下面は外側
部材のスリーブ８の下端にある小径筒部１１の上
面に当接し、又、内側部材２はコイルバネ１９で
押上げられ、その筒壁１３の上端は給油口の縁の
内面に押付けられ、こうして内側部材の筒壁１３
の上面と、外側部材１の鍔１０の下面は給油口６
の縁を内外から挟んで給油口に装着され、外側部
材は鍔１０の外周に取付けたシール１２が窪み５
の内周に密着して密封を行い、車輛の製造途中に
異物が給油口６を通じ燃料タンク内に入るのを防
止する。

前記シリンダ錠７には、外周に環状溝２５を有
し、キー２７の捻転操作で一体に回動する回動片
２４と、該回動片の下面中心から一体に垂下する
角軸ピン２６を下端から突設し、前記ピストン形
部材３には、シリンダ錠７を前記外側部材１のス
リーブ８の中空部９に上から押込んで収容すると
きに、上記回動片２４を受け入れ、且つ該回動片
の外周の環状溝２５に係合して回動片を軸方向に
保持する環状突起２９を内周に備えた凹部２８を
頭部１７の上面に開放して設けると共に、該凹部
の底の中心から下に延び、前記角軸ピン２６を受
入れる角孔３０を設けてある。

従つて、製造した車輛を出荷する際、或いはユ
ーザに引渡す際に、シリンダ錠７を外側部材のス
リーブの中空部９に外から押込む。この場合、シ
リンダ錠の下端に突設した角軸ピン２６と、ピス
トン形部材に設けた角孔３０の向きを合わせる。
これにより角軸ピンは上記角孔に入つて行き、そ
れから角軸ピンの上の回動片２４がピストン形部
材３の頭部１７の上面に開放した凹部２８に入つ
て行き、凹部の内周に設けた環状突起２９が回動
片の外周の環状溝２５に係合し、シリンダ錠は軸
方向にスリーブの中空部９内に保持される。この
場合、凹部２８に入つて来るシリンダ錠の回動片
２４が環状突起２９に乗り上げる際、プラスチツ
ク製のピストン形部材の頭部１７は自身の弾性で
変形し、回動片の環状溝２５に環状突起２９が係
合したとき復元する（第２図）。

こうして、シリンダ錠７を取付けたら、キー２
７をシリンダ錠のキー溝に差込んで正又は逆に捻
転すると、回動片２４と角軸ピン２６はピストン
形部材３を伴つて一体に回動し、該ピストン形部
材の軸１８を底の中心孔１６に通して該部材と一
緒に回れる内側部材２も回動して施錠、解錠を行
うことができる。

例えば施錠されているのをキーで解錠すると、
周知のカム機構（図示を省略）により内側部材２
は回動しながら下に移動し、その筒壁１３の上面
は給油口の縁から下に少し離れる。従つて、外側
部材１を摘んで内側部材と一体に回し、内側部材
の筒壁外周にある軸方向のフイン１４を給油口の
縁にある切欠きに合わせてキヤツプを窪み５の外
に抜取り、燃料を給油口に注入することができ
る。

注油が終つたら上記と逆に内側部材のフイン１
４を給油口の縁の切欠きに合わせて内側部材を給
油口の内部に入れると共に、外側部材の鍔の下面
を給油口の縁に当接し、それからキヤツプを少し
回してフインを切欠きと喰違わせたのちキーを反
対方向に捻転し、施錠する。これにより内側部材
は逆方向に回りながらカム機構で上に移動し、そ
の筒壁１３の上面は給油口の縁に当接し、かくし
てキヤツプは給油口の縁を挟んで装着される。そ
れからキー２７をシリンダ錠７のキー溝から抜
く。

この実施例では外側部材のスリーブの小径筒部
１１の内周に環状の溝３１を設けてシールリング
３２を収容し、ピストン形部材の頭部１７の回り
を密封してある。又、外側部材にはスリーブ８と
鍔１０の間に、軸方向の長さが鍔１０よりは長い
が、スリーブ８よりは短く、外径が給油口６の内
径よりも少し小さく、内側部材の筒壁１３の内径
にほぼ等しい補助筒３３を設け、その下端部が給
油口の内部に突入するようにしてある。この補助
筒３３の下端部を内側部材の筒壁１３の内周に浅
く突入させることにより車体の内外から内側部材
１と外側部材２を取付けて組立てる際に、両部材
１，２を正確に同心に位置決めするのが容易に行
える。

（発明の効果） 本発明により出荷したり、ユーザに引渡すまで
はシリンダ錠なしで外側部材と内側部材とによつ
て車輛の給油口を塞ぎ、異物が燃料タンクに入る
のを防止できる。そして、シリンダ錠が付いて居
らず、施錠、解錠操作が行えないため製造途中で
盗む気を起こさせることが無い。

又、出荷したり、ユーザに引渡すときはシリン
ダ錠を車体の外から外側部材のスリーブ中に埋込
み、簡単に組込んで、キーの操作により施錠、解
錠できるものになし得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
はシリンダ錠を組込んでいない状態での縦断面
図、第２図はシリンダ錠を組込んだ状態での縦断
面図である。 図中、１は外側部材、２は内側部材、３はピス
トン形部材、４は車体、５は窪み、５′はその底
ないし給油口の縁、６は給油口、７はシリンダ
錠、８はスリーブ、９はその中空部、１０は鍔、
１１は小径筒部、１２はシール、１３は筒壁、１
４はフイン、１５は筒壁の底、１６は中心孔、１
７はピストン形部材の頭部、１８は同じく軸、１
９はバネ、２０はバネ受け座、２４はシリンダ錠
の回動片、２５は環状溝、２６は角軸ピン、２７
はキー、２８は凹部、２９は環状突起、３０は角
孔を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シリンダ錠と、 該シリンダ錠を軸方向に収容する中空部を有
   し、車体にある窪みの底に開口した給油口の内部
   に下半部を突入すると共に、下端に小径筒部を有
   するスリーブと、該スリーブの上端部外周から同
   心状に張出し、下面で上記給油口の縁の外面に当
   接すると共に、前記車体の窪みの内周に摺接する
   シールを外周に取付けた鍔を一体に備えた外側部
   材と、 前記給油口の縁の内面に上端で当接する筒壁
   と、該給油口の縁にある切欠きに対応して上記筒
   壁の上端部外周に設けられた軸方向のフインと、
   中心孔を有し、上記筒壁の下面に設けられて該中
   心孔の縁の上面で前記外側部材のスリーブの下端
   に当接する底を一体に備え、前記給油口の内部に
   位置する内側部材と、 前記外側部材のスリーブの中空部に回転自在に
   嵌合して該スリーブの下端の小径筒部の上面に当
   接する頭部と、該頭部の下面中心から垂下し、前
   記内側部材の底壁の中心孔を貫通して前記給油口
   の内部に突入し、該内側部材と一体に回動する軸
   を一体に備えたピストン形部材と、 上記ピストン形部材の軸に下端から嵌めて保持
   されるバネ受け座と、前記内側部材の底壁下面
   と、上記バネ受け座の間で圧縮されて前記ピスト
   ン形部材を下向きに索引すると共に、該内側部材
   を押上げてその筒壁の上端を前記給油口の内面に
   弾力的に押付けるバネとからなり、 前記シリンダ錠には、外周に環状溝を有し、キ
   ーの捻転操作で一体に回動する回動片と、該回動
   片の下面中心から一体に垂下する角軸ピンを下端
   から突設し、 前記ピストン形部材には、シリンダ錠を前記外
   側部材のスリーブの中空部に上から押込んで収容
   するときに、上記回動片を受入れ、且つ該回動片
   の外周の環状溝に係合して回動片を軸方向に保持
   する環状突起を内周に備えた凹部を頭部の上面に
   開放して設けると共に、該凹部の底の中心から下
   に延び、前記角軸ピンを受入れる角孔を設けたこ
   とを特徴とする車輌の給油口の開閉キヤツプ。