JPS6349524Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車用等の内燃機関の弁装置に関
し、特にセラミツク弁の軸端部構造に関する。

セラミツクは、その比重が鉄系耐熱合金の約1/
３という軽量材であり、かつ耐熱性、耐摩耗性に
優れているものである。従つて、高温を受け、し
かも大きな加速度運動を行う自動車用等高速内燃
機関の排気弁等の弁材料としてセラミツクは好適
である。

しかしその反面、セラミツクは衝撃或いはノツ
チ効果に弱いという欠点があり、セラミツク弁の
開閉のための外力を受ける軸端部の破損を受け易
いため、実用化が仲々困難な状態にある。

例えば従来の自動車用内燃機関の排気弁軸端部
構造は第１図に示すように（参考文献、実開昭56
−11306号公報）、弁本体の弁軸１の端部にコレツ
ト２を装着し該コレツト２のテーパ付外周面にバ
ルブスプリング３ａ，３ｂのアツパースプリング
リテーナ４を配設している。そして弁軸１の端部
に図示しないロツカーアーム等により外力Ｆを作
用して弁本体を押し下げ、開弁する一方、外力Ｆ
を解除することによりバルブスプリング３ａ，３
ｂの弾性復元力で弁本体を上動させ閉弁する。

ここにおいてコレツト２を弁軸１に結合するに
は、コレツト２内周に形成したコレツト爪が嵌合
するコレツト溝５を弁軸１端部外周に設けるが、
該コレツト溝５は軸方向に複数個設けると共に溝
断面形状をコ字状ではなく円弧状として、弁軸１
端部外周に作用するバルブスプリング３ａ，３ｂ
の弾性力により応力集中を避けている。これによ
つて弁軸１の外端におけるコレツト溝５部分から
破損が生じるのを防止しているのである。

しかしかかる従来構造の弁本体をセラミツク製
とすると、上記の如くコレツト溝５の数及び溝断
面形状に工夫をこらしても、ノツチ効果に弱いセ
ラミツクの特性から、コレツト溝５部分から亀裂
が発生し易く、またロツカーアームが直接たたく
衝撃的な外力Ｆを受けて軸端部が破損し易い。

本考案はかかる実情に鑑み、弁本体をセラミツ
ク製とすることを基本とし、弁開閉のための外力
を受ける軸端部を補強し弁本体への外力伝達をや
わらげて、軸端部の破損を防止することにより、
セラミツク製弁構造の実用化を可能とすることを
目的とする。

そして本考案の要旨とするところは、傘状弁体
とその弁軸とからなる弁本体をセラミツクで形成
し、芯金を前記弁軸の端部中心線部に埋設すると
共に、弁開閉のための外力を受ける金属製の軸端
部材を前記芯金の外端に弁本体から露出して設け
る。

以下に第２図〜第４図に示す実施例について詳
細に説明する。

第２図に示す実施例において、セラミツクで形
成した弁本体１０は傘状弁体１１とその弁軸１２
とからなり、該弁軸１２の外端部にはその中心線
部に金属製の芯金１３が埋設されている。該芯金
１３は弁本体１０にその焼成前に埋設され、弁本
体１０の焼成によりこれと一体的に結合される。
そして該結合を強化し、力の伝達を分散させるた
め、芯金１３を長くしてかつ複数の突出部１４が
予め形成されている。

芯金１３の外端は弁軸１２端部から若干突出し
て露出しており、該露出端部外周に金属製リング
状の軸端部材１５が嵌合され溶着されている。尚
この溶着は第３図に示すように芯金１３の外周と
の間にくさび状の溶接代１６を有すべく軸端部材
１５内周面にテーパ面を形成し、該溶接代１６に
溶接金属を溶融させる。尚、軸端部材１５の一部
は、セラミツク製の弁軸１２端部に形成した小径
端部１７の外周に被冠され、弁軸１２の端部を保
護すると共に、弁軸１２と軸端部材１５との外径
を同一としている。

軸端部材１５の外周面には１条若しくは複数条
のコレツト溝１８を形成する。該コレツト溝１８
の溝断面形状はコ字状でも弧状でもよい。そして
該コレツト溝１８に嵌入するコレツト爪を有する
コレツト２０を軸端部材１５の外周に嵌め込み、
該コレツト２０の外周テーパ面２１にアツパース
プリングリテーナ４を装着する。３ａ，３ｂはア
ツパースプリングリテーナ４に作用して弁本体１
０を閉弁方向に弾性付勢するバルブスプリングで
ある。

尚前記コレツト溝１８は、軸端部材１５単体の
状態で形成されてもよく、或いは第３図に示すよ
うに軸端部材１５を芯金１３に溶着した後、溶接
表面研磨時に同芯に加工するようにしてもよい。

上記構成によれば、弁装置がその大部分をセラ
ミツク製とすることができるため極めて軽量とな
る。このため大きな加速度で運動する自動車用等
高速内燃機関用の排気弁等に本弁装置を適用すれ
ば、弁往復運動の慣性力の低減が図れると共にこ
れに伴つてバルブスプリング３ａ，３ｂのばね荷
重を著しく小さくすることができる。従つて弁装
置の駆動力が小さくて済むことにより、このため
動弁系を小型化できると共に、動弁系及び弁装置
が装着されるシリンダヘツド全体の変形を小さく
でき、これによつて生じる振動レベルを小さくで
きて騒音低減化を図ることができる。

また軸端部材１５にロツカーアーム等による開
弁力が衝撃的に伝わつても、或いはバルブスプリ
ング３ａ，３ｂの閉弁付勢力がコレツト溝１８を
介して伝わつても、これら外力がセラミツク製の
弁軸１２端部に直接伝わらず軸端部材１５及び芯
金１３を介して弁軸１２端部中心線全体に分布し
て伝わるから、弁軸１２端部に集中応力を与える
ことなく該端部が破損するおそれはない。ここに
おいて軸端部材１５を弁軸１２端部に被冠してあ
るのは弁軸１２の割れを未然に防ぐ効果を生む。

尚上記実施例において芯金１３に形成した突出
部１４は転造あるいはプレスで形成してもよく、
その形状は第４図に示すようにねじ状の突出部１
４ａとしてもよい。これらの突出部１４，１４ａ
は、機関運転中に燃焼熱を受けて弁軸１２の温度
が上昇し、更に芯金１３に伝熱してこの芯金も熱
膨張する時に、突出部１４，１４ａが芯金よりも
熱膨張率が小さい（約1/10程度）セラミツク製の
弁軸１２に強く圧接するから、芯金１３と弁軸１
２との結合を益々強固にする作用を営む。

また第３図において、芯金１３の外端と軸端部
材１５との溶接をステライトを用いて行えば、弁
本体１０から露出する金属製軸端部材１５の耐摩
耗性をより向上させることができる。

尚軸端部材１５はその形状によつては、予め芯
金１３と一体形成し、弁本体１０と燃焼時に一体
的に構成することも可能である。

以上述べたように本考案によれば、弁本体を、
耐熱性、耐摩耗性に富み軽量なセラミツク製と
し、その弁軸端部に芯金を埋設し、該芯金外端に
弁開閉の外力を受ける軸端部材を露出して設けた
ので、セラミツク弁を有する耐久性、軽量性の性
質をそのまま生かしながら、弁開閉の外力を受け
る弁軸端部の亀裂、割れ等の破損を未然に防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の弁装置の弁軸端部構造を示す縦
断面図、第２図は本考案の一実施例を示す縦断面
図、第３図は同上の弁軸端部構造をを示す縦断面
図、第４図は本考案の他の実施例を示す縦断面図
である。 １０……弁本体、１１……傘状本体、１２……
弁軸、１３……芯金、１５……軸端部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 傘状弁体とその弁軸とからなる弁本体をセラミ
   ツクで形成し、芯金を前記弁軸の端部中心線部に
   埋設すると共に、弁開閉のための外力を受ける金
   属製の軸端部材を前記芯金の外端に弁本体から露
   出して設けたことを特徴とする内燃機関の弁装
   置。