JPS6347927B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は例えば自動車のエンジンルームやト
ランクに取付けられ、該エンジンルームやトラン
クを閉じるためボンネツトやトランク蓋などのフ
ードを降した際に該フードを下から受止めるねじ
式ストツパ装置に関する。

この様なねじ式ストツパ装置として、本特許出
願人は一山の螺旋ねじが内周に形成された雌ねじ
孔を有する金属パネルと、該金属パネルの雌ねじ
孔にねじ込まれる雄ねじの山と谷を外周に備え、
上端部で上から降下するワークを受止める弾性プ
ラスチツクで成形されたねじスタツドとからなる
ものを特公昭47−43100号公報により提案した。

上記従来装置では、ねじスタツドを金属パネル
の雌ねじ孔に所定にねじ込み、フードを降してエ
ンジンルームやトランクを閉じたときにフードの
下面をねじスタツドの上端で丁度受止めることが
できるように調節して置いても、フードを閉じる
際にフードがねじスタツドに当接して生じる振動
や衝撃でねじスタツドがいつのまにか回つてしま
い、調節が狂つてしまうことがあつた。

又、フードの下面を受止めるねじスタツドの上
端は平らであつて、自動車の走行中に閉じたフー
ドが横方向に振動するのを防止する機能も無い。

本発明の特許請求の範囲第１項記載のねじ式ス
トツパ装置は、フードなどを閉じる際の振動や衝
撃で調節が狂わないようにしたのであつて、金属
パネルの雌ねじ孔の回りに円周方向に所定の配置
の凹又は凸の第１係合部を設け、又、前記ねじス
タツドの雄ねじには上記第１係合部に脱出可能に
係合する凸又は凹の第２係合部を、前記第１係合
部とは異なる配置で円周方向に設けたことを特徴
とする。

又、特許請求の範囲第８項記載のねじ式ストツ
パ装置は、フードを閉じる際の振動や衝撃で調節
が狂わないようにすると共に、閉じたフードが自
動車の走行中に横方向に振動するのを防止するよ
うにしたのであつて、金属パネルの雌ねじ孔の回
りに円周方向に所定の配置の凹又は凸の第１係合
部を設け、又、前記ねじスタツドの雄ねじには上
記第１係合部に脱出可能に係合する凸又は凹の第
２係合部を、前記第１係合部とは異なる配置で円
周方向に設け、且つねじスタツドの上端には閉じ
たフードの凹部に突入する球形頂部を設けたこと
を特徴とする。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図で１０は自動車のエンジンルームを構成
する金属パネルを示し、孔１２を有する。孔１２
の縁から半径方向外向きにスロツト１４が延び、
孔１２の回りに一巻きの螺旋形の内周部１６を有
する窪みを加工することを可能にしている。

この窪みは金属パネルの上面に生じた渦巻形の
線１７で囲まれ、この線１７と内周部１６の外縁
との間は斜面１９になつている。螺旋形の内周部
１６は第３図に示すように一山の螺旋ねじとな
り、孔１２を雌ねじ孔とする。

内周部１６には複数（第１図では三つ）の窪み
１８が放射状に形成してある。この凹み１８は内
周部１６の形成と同時に成形することができる。

また、孔１２と、スロツト１４と、内周部１６
と、凹み１８は同時に成形してもよい。

凹み１８は孔１２内にねじ込んで取付ける第４
図のねじスタツド２０を所定の間隔で回転に抗し
て回り止めし、取外し可能に固定する第１係合部
を構成する。更に、凹み１８は雄ねじを有するね
じスタツドを金属パネル１０に強固に取付けるの
に役立つ。

ねじスタツド２０は上端部２２に６角形の頭部
２４と、該頭部上面に自動車のフードを閉じたと
きにフードの下面の窪みと接触する中高な球形頂
部２６を備え、頭部２４からは雄ねじの谷２７と
山２８を有するねじ軸２５が下に延びる。そし
て、その雄ねじの山２８は上下両側に斜面３０，
３２を有する。

また、ねじスタツド２０はねじ軸２５の下に、
外径がねじの谷２７の底に等しい先端部２９を備
えている。第４図では先端部２９の端部３１は閉
じているが、第５図に示す様に中空部３５が開口
してもよい。この先端部２９は金属パネル１０の
窪みと、孔１２にねじスタツド２０を先導して導
入する。

ねじスタツド２０は例えば、デユポン社の商標
名ハイトレル5555−HSなどの弾性を有する合成
樹脂からモールド成形するのが好ましい。この場
合、閉鎖した端部３１（第４図）がある盲孔３３
や、貫通した中空部３５（第５図）を有するよう
にして望ましい弾性を付与すると共に、軽量化を
図ることが好ましいが、中実に成形してもよい。

第４、第５、第６図に示した様に雄ねじの山２
８のリード側（下側）の斜面３０には谷２７の底
から半径外向きに突出した複数の凸部４０を一体
に設ける。この凸部はねじ山の各一巻きに二つ以
上、孔１２の回りの凹み１８とは異なつた配置で
設ける。この実施例では雄ねじの山の各一巻きに
円周方向に等間隔に四つの凸部４０を設け、金属
パネルの孔の回りには円周方向に等間隔に三つの
凹み１８を設けて配置を異ならせている。しか
し、この様に、数を違える以外に、凸部と凹みの
夫々の数が同数であつても、一方を円周方向に等
間隔に、他方を非等間隔にしたり、両方とも異つ
た非等間隔にしても配置を異らせることができる
ので、その様にしてもよい。この凸部４０は後述
の態様で回転に抗してねじスタツド２０を取外し
可能に固定する第２係合部を構成する。

第４〜６図では凸部４０は雄ねじの山２８の頂
ないし外縁から谷２７の底まで斜面３０上に半径
方向に延びている。しかし凸部は、谷２７に対し
て接線方向に設けてもよいし、谷の底に到達する
手前で終つてもよい。

第７、第８図はねじスタツド２０のねじ軸２５
を金属パネル１０の孔１２にねじ込んだ状態を示
す。ねじスタツド２０は、フードを降しエンジン
ルームに固定して閉じた際、球形頂部２６がフー
ドの下面の窪みに当接する様に孔１２に対してね
じ込み、頭部２２を金属パネル１０上に所定高さ
に浮かせる。これにより凸部４０の一つは内周部
１６に形成された凹み１８の一つに係合し、他の
凸部４０は内周部１６の上面に強く接触し、回り
止めされる（第７図、第８図）。勿論、ねじスタ
ツド２０は弾性に成形されているため凸部と凹み
が係合しても回すことはでき、又、取外すことも
できる。こうして、ねじスタツドを金属パネルの
孔に調節してねじ込み、固定すると、フードを反
復して開閉してもねじスタツド２０は孔１２内で
回れない。従つて、フードの下面を受止める球形
頂部２６の位置は上下に変化しない。また、ねじ
スタツド２０を弾性材料から成形し、中空にした
り、盲孔を備えさせると、ねじスタツド２０は孔
１２内で次の三つの態様で歪む。第１に、凹み１
８に入らずに内周部１６の上面に接触した凸部は
加圧され、ねじ軸２５を伸張させて引張り状態を
生じさせる。また、第７図で判る如く、孔１２内
で雄ねじの山は変形する。

第２に、フードがねじスタツド２０の球形頂部
２６に降下すると圧縮されて弾力的な圧縮力を生
じる。最後に、孔１２の直径が小さ目であるとね
じスタツド２０のねじ軸２５は半径方向内向きに
圧縮される。これ等の力の総てもねじスタツド２
０を孔１２内で所定の位置に回り止めし、且つ取
外し可能に保持する。

これに加えて、エンジンルームの金属パネルが
塗装されたばかりの新車である場合、孔１２の回
りに付いている塗装がねじスタツドの回転に対し
抵抗となる。つまり、凹み１８内に入らない凸部
４０は塗装を凹ませて塗装中に強固に埋込まれ
る。これは、ねじスタツド２０が回ろうとする場
合の抵抗となる。

第９〜１１図は本発明の第２実施例を示す。金
属パネル５０は孔５２を有し、孔５２は孔縁に複
数の半径方向外向きの切欠き５４を有する。孔５
２から半径方向のスリツト５６が延び、金属パネ
ル５０を加工して孔５２のまわりに一巻きの螺旋
形の内周部５８と、斜面５９を有し、渦巻形の線
５７で囲まれた窪みを形成させている。

この孔５２に固定するねじスタツド７０の雄ね
じの山６０（第１０図）も上下両側に斜面６２，
６４を有する。そして、相対面した斜面６２と６
４の間には雄ねじの谷６８の底から半径方向外向
きに突出した複数の凸部６６がある。雄ねじの各
一巻き宛の凸部６６の数は孔５２にある切欠き５
４の数とは等しくなく、これにより配置を異なら
せてある。

ねじスタツド７０を孔５２内にねじ込むと、本
来円筒形であつたねじスタツドは第１１図で示し
た様に歪んだ断面形状になる。第１１図で明らか
な如く、凸部６６の一つは切欠き５４の一つに係
合してねじスタツド７０を回り止めし、且つ取外
し可能に固定する。また、切欠きに係合しない他
の凸部６６はねじスタツド７０を半径方向内向き
に変形させて、これも回り止め作用をする。勿
論、このねじスタツドも弾性材料で成形してある
ため、切欠きに凸部が係合しても適切な高さにな
るまで回転して孔５２にねじ込むことができる。
そして、所定の高さにねじ込むと自動車のフード
の開閉によつて回されることなく維持される。

本発明のねじスタツドは、フードの下側の、球
形頂部２６と当接する位置に凹所を設けた自動車
等に使用すると特に好適である。

この凹所は球形頂部２６に対応したほゞ球形の
上面を有する様にするとフードを閉じた際に凹所
は球形頂部２６に係合し、フードが横方向に振動
するのを防止し、位置決めをする。

第１２図は本発明の他の一実施例としてのねじ
スタツド８０を示す。このねじスタツド８０も第
４、第５、第７図の雄ねじと同様の雄ねじの山８
２をねじ軸８４の外周に有し、且つ複数の凸部８
６を同様に有する。しかし、雄ねじの山と、凸部
は、金属パネルが孔の回りに切欠きを有する場合
は第１０、第１１図に示した様なものとしてもよ
い。

このねじスタツド８０は、これまでの実施例と
は異り金属パネルの孔に下からねじ込む様になつ
ている。

このため、球形頂部８８はフードの凹部に突入
する以外に雄ねじの山８２を金属パネルの孔に係
合させるために先導する役目も有する。金属パネ
ルの孔と、螺旋ねじ面を有する窪みはねじスタツ
ド８０を下からねじ込むことができる様に形成す
るのであつて、例えば窪みを金属パネルに下から
上向きに形成する。球形頂部８８は上述の様にボ
ンネツトの横方向位置決めと、安定性とを与える
ためにほぼ球形の端面９０を有する。球形頂部８
８とは反対側の端部９２には６角形などの形をし
た工具での把持部９４を備えさせ、金属パネルの
孔へのねじ込みの際に工具で咬える。又、このね
じスタツド８０は図示の如く盲孔９６を有する
が、中実に成形してもよい。

特許請求の範囲第１項によれば、ねじスタツド
の雄ねじに設けた第２係合部の一つが金属パネル
の雌ねじ孔の回りに設けた第１係合部の一つと係
合することにより、手で操作してねじスタツドを
回そうとすれば回せるが、フードが上から当接す
る程度では回らないねじ式ストツパ装置を提供す
ることができる。

又、特許請求の範囲第８項によれば同様にねじ
スタツドの雄ねじに設けた第２係合部の一つが車
体の金属パネルの雌ねじ孔の回りに設けた第１係
合部の一つと係合することにより、手で操作して
ねじスタツドを回そうとすれば回せるが、フード
が上から当接する程度では回らないねじ式ストツ
パ装置を提供することができる。そして、ねじス
タツドの上端に設けた球形頂部は降りて来て閉じ
るフードの凹部に突入してフードを位置決めする
と共に、車体の走行中にフードが横方向に振動す
ることも防止する。

以上、本発明を特定の実施例に付いて図示説明
したが、本発明はこの実施例に限定されることな
く特許請求の範囲に記載された技術思想の枠内で
種々に設計を変えて実施することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の金属パネルの平面
図、第２図は第１図の２−２線での部分拡大断面
図、第３図は第１図の３−３線での断面図、第４
図は第１図の金属パネルにねじ込んで取付けるね
じスタツドの一実施例の側面図、第５図は端部が
第４図のものとは異つたねじスタツドの他の一実
施例の部分断面図、第６図は第５図のねじスタツ
ドの端面図、第７図は第１図の金属パネルの雌ね
じ孔に第４図のねじスタツドをねじ込んで固定し
た状態の側面図、第８図は第７図の８−８線での
断面図、第９図は本発明の更に他の一実施例の金
属パネルの平面図、第１０図は第９図の金属パネ
ルにねじ込むねじスタツドの雄ねじの一部の拡大
断面図、第１１図は第１０図のねじスタツドを第
９図の金属パネルにねじ込んで固定した状態の断
面図、第１２図は本発明の他の一実施例のねじス
タツドの側面図で、図中、１０は金属パネル、１
２，５２は雌ねじ孔、１６，５８は雌ねじ孔の螺
旋形の内周部、１８は凹みとして示された第１係
合部、２０，７０，８０はねじスタツド、２６と
８８は球形頂部、２８，６０，８２は雄ねじの
山、４０，６６，８６は凸部として示された第２
係合部、５４は切欠きとして示された第１係合部
を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一山の螺旋ねじが内周に形成された雌ねじ孔
   を有する金属パネルと、該金属パネルの雌ねじ孔
   にねじ込まれる雄ねじの山と谷を外周に備え、上
   端部で上から降下するワークを受止める弾性プラ
   スチツクで成形されたねじスタツドとからなるね
   じ式ストツパ装置において、 上記金属パネルの雌ねじ孔の回りに円周方向に
   所定の配置の凹又は凸の第１係合部を設け、又、
   前記ねじスタツドの雄ねじには上記第１係合部に
   脱出可能に係合する凸又は凹の第２係合部を、前
   記第１係合部とは異なる配置で円周方向に設けた
   ことを特徴とするねじ式ストツパ装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載のねじ式ストツパ
   装置において、前記雌ねじ孔の回りに円周方向に
   所定の配置で設けられた第１係合部の数と、前記
   ねじスタツドの雄ねじに設けられた第２係合部の
   数が相違しているねじ式ストツパ装置。 ３ 特許請求の範囲第１項、第２項のどれか１項
   記載のねじ式ストツパ装置において、 ねじスタツドの雄ねじの山は上側と下側の両側
   に斜面を有し、第２係合部をその下側の斜面に設
   けたねじ式ストツパ装置。 ４ 特許請求の範囲第３項記載のねじ式ストツパ
   装置において、第１係合部は前記ねじスタツドの
   雄ねじの山の下側の斜面と接触する雌ねじ孔の周
   縁部に設けたねじ式ストツパ装置。 ５ 特許請求の範囲第３項記載のねじ式ストツパ
   装置において、ねじスタツドは雄ねじの谷から下
   側の斜面に向かつて半径方向に延びる第２係合部
   を有し、第１係合部は金属パネルの雌ねじ孔の内
   周から半径方向外向きに設けられているねじ式ス
   トツパ装置。 ６ 特許請求の範囲第３項記載のねじ式ストツパ
   装置において、第２係合部は前記ねじスタツドの
   雄ねじの谷の底に半径方向外向きに突出して設け
   たねじ式ストツパ装置。 ７ 特許請求の範囲第６項記載のねじ式ストツパ
   装置において、第１係合部は金属パネルの雌ねじ
   孔の内周を半径方向外向きに切欠いて設けたねじ
   式ストツパ装置。 ８ 一山の螺旋ねじが内周に形成された雌ねじ孔
   を有する金属パネルからなる車体と、該金属パネ
   ルの雌ねじ孔にねじ込まれる雄ねじの山と谷を外
   周に備え、且つ上記車体に枢着されたフードを閉
   じる際に上から降下する該フードを下から受止め
   る上端を備えた弾性プラスチツクで成形されたね
   じスタツドとからなるねじ式ストツパ装置におい
   て、 上記金属パネルの雌ねじ孔の回りに円周方向に
   所定の配置の凹又は凸の第１係合部を設け、又、
   前記ねじスタツドの雄ねじには上記第１係合部に
   脱出可能に係合する凸又は凹の第２係合部を、前
   記第１係合部とは異なる配置で円周方向に設け、
   且つねじスタツドの上端には閉じたフードの凹部
   に突入する球形頂部を設けたことを特徴とするね
   じ式ストツパ装置。 ９ 特許請求の範囲第８項記載のねじ式ストツパ
   装置において、前記雌ねじ孔の回りに円周方向に
   所定の配置で設けられた第１係合部の数と、前記
   ねじスタツドの雄ねじに設けられた第２係合部の
   数が相違しているねじ式ストツパ装置。 １０ 特許請求の範囲第８項、第９項のどれか１
   項記載のねじ式ストツパ装置において、ねじスタ
   ツドの雄ねじの山は上側と下側の両側に斜面を有
   し、第２係合部をその下側の斜面に設けたねじ式
   ストツパ装置。 １１ 特許請求の範囲第１０項記載のねじ式スト
   ツパ装置において、第１係合部は前記ねじスタツ
   ドの雄ねじの山の下側の斜面と接触する雌ねじ孔
   の周縁部に設けたねじ式ストツパ装置。 １２ 特許請求の範囲第１０項記載のねじ式スト
   ツパ装置において、ねじスタツドは雄ねじの谷か
   ら下側の斜面に向かつて半径方向に延びる第２係
   合部を有し、第１係合部は金属パネルの雌ねじ孔
   の内周から半径方向外向きに設けられているねじ
   式ストツパ装置。 １３ 特許請求の範囲第１０項記載のねじ式スト
   ツパ装置において、第２係合部は前記ねじスタツ
   ドの雄ねじの谷底に半径方向外向きに突出して設
   けたねじ式ストツパ装置。 １４ 特許請求の範囲第１３項記載のねじ式スト
   ツパ装置において、第１係合部は金属パネルの雌
   ねじ孔の内周を半径方向外向きに切欠いて設けた
   ねじ式ストツパ装置。