JPS6347699Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は例えば流動層内で産業廃棄物、汚泥、
重油専焼ボイラから排出される捕集灰（EP灰）、
低品位炭などの被焼却物を減溶したり、ガス化し
たり、熱分解させたり、あるいは焼却する流動層
装置に係り、特に流動層装置へ被焼却物を投入す
る供給管の取付構造に関するものである。

〔従来の技術〕

流動層装置は炉内に川砂や被焼却物の残渣によ
つてベツドを形成して炉内温度を800℃以上に昇
温させることができるので、含水率の高い汚泥
や、電気集塵機で捕集されたEP灰、プラスチツ
クなどの産業廃棄物、あるいはぼた山に野積され
ている低品位炭であつても燃料として有効利用す
ることができる。

それは流動層装置における炉内での熱容量が大
きいために、特に難燃性の産業廃棄物や低品位炭
などであつても燃焼、減容、熱分解、焼却させる
ことができる。

また、石炭などを燃料とする流動層焼却炉、流
動層ボイラ内に伝熱管を埋設すれば伝熱管の層中
伝熱量（熱伝達率）は従来のガス流のみからの伝
熱量に比べて５〜10倍程度大きく、大量の伝熱量
をもたらす特徴があり、省エネルギー化の進む中
で近年流動層装置が脚光をあびている。

ところが、流動層装置は温度が高いために、産
業廃棄物中のNa、NH₃等の低融点物、粘着性を
有するものが含まれ、石炭であつても熱せられて
コーキングして流動層装置への供給管を閉塞する
欠点がある。

以下、第１図から第２図を用いて従来の流動層
装置への被焼却物の供給について説明する。

第１図から第２図において、１は流動層炉、２
は流動層炉１内に配置された分散板、３は分散板
２上に形成された流動媒体による流動層、４は流
動化用、燃焼用空気を供給する空気室、５は被焼
却物の供給管、６は空塔部である。

この様な構造において、空気室４から分散板２
へ供給された流動化用、燃焼用空気は、分散板２
より流動層３へ供給され、流動媒体を浮遊させて
流動層３が形成される。

そして、この流動層３内へ被焼却物を供給管５
より供給して、被焼却物を燃焼、減容、熱分解、
焼却するのである。

第１図は流動層３の上部へ被焼却物を供給管５
によつて供給する構造を示す。

〔考案が解決しようとする問題点〕

第１図のものはロータリーバルブなどを用いて
定量的に流動層３へ被焼却物を供給するものであ
るが、被焼却物が微粉炭、紙、プラスチツクなど
の軽い可燃性物である場合には、流動層３内に入
ることなく空塔部６で燃えて流動層炉１外へ飛散
するが、被焼却物が汚泥、石炭などのように重い
難燃性物である場合には、流動層３や流動媒体の
圧力によつて供給管５中に一時的に充填され、供
給管５内で流動層炉１からの輻射熱で低融点化合
物が固着したり、石炭の熱分解が始まつてデユー
キングを起し、ついには供給管５を閉塞すること
にもなる。

第２図は流動層３内へ被焼却物を供給管５によ
つて供給する構造を示す。

第２図のものはスクリユーフイーダなどを用い
て被焼却物を強制的に供給するものであるが、こ
の場合、被焼却物が軽い可燃性物であつても流動
層３内で焼却される。一方被焼却物が重い難燃性
物であつても流動層３内へ供給できるが、供給管
５が流動層３の高温部に配置され、しかも供給管
５内での滞留時間が長くなるために、やはり供給
管５内を閉塞する欠点がある。

本考案はかかる従来の欠点を解消しようとする
もので、その目的とするところは被焼却物の大き
さ、形状、性質等に関係なく流動層内へ供給する
ことができる流動層装置を得ようとするものであ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

前述の目的を達成するため、本考案は、流動層
内に流動媒体が上から下へ移動する移動層を設
け、この移動層に対して被焼却物の供給管を設置
し、その供給管の供給口上方に被焼却物の移動層
への供給を保護する邪魔部材を設けて、前記供給
口が移動層の下部のみと連通していることを特徴
とするものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面を用いて説明す
る。

第３図から第４図において、符号１から６まで
は従来のものと同一であり、７は流動層３内に形
成された流動媒体が上から下へ移動する移動層、
８は移動層７内へ突入した邪魔板、９は流動層３
と移動層７を区画する仕切板、１０は空気室４に
設けた空気分配板、１１はダンパである。

第３図の移動層７は流動層炉１の広がり角を分
散板２より上方へ向うに従つて大きくし、流動層
３内にこの広がり角と流動媒体の安息角内に流動
媒体が流動化しないで、むしろ流動媒体の自重に
よつて上から下へ移動する移動層７を設けたもの
である。

そして、この移動層７へ被焼却物の供給管５を
設けることによつて、供給管５内の被焼却物は移
動媒体の移動方向にそつて供給され、矢印Ｂで示
す如く移動層７の底部付近から流動層３内へ供給
されることになる。

なお、第３図のダンパ１１を閉じて流動化用、
燃焼用空気の供給を少なくすることによつても移
動層７の循環量を多くし、被焼却物をよりスムー
スに供給することができる。

このように供給管５からの被焼却物は、その形
状、大きさ、性質に関係なく常に流動層３内へ供
給されるため空塔部６から直接炉１外への飛散率
も少なくなり、供給管５内の閉塞も防止できる。

第５図は縦軸に微粉の飛散割合を、横軸に流動
層内での滞留時間を示し、これらの特性曲線を示
したもので、曲線Ｃは第２図の従来例の特性曲
線、曲線Ｄは第３図の本実施例の特性曲線を示し
たもので、いずれもコールドモデルを用いて実験
したデータである。

この実験データからも明らかなように従来例の
流動層炉１においては、最も飛散割合の多いとこ
ろは約25％のものが７〜８分で流動層炉１外へ飛
散するのに対し、本考案の流動層炉１において
は、最も飛散割合の多いところで約12％のものが
17〜18分で流動層炉１外へ飛散しており、本考案
によるものの方が滞留時間が従来のものよりも異
常なまでに長いことが明らかである。

〔考案の効果〕

本考案は前述したように、被焼却物供給管の供
給口上方に、被焼却物の移動層への供給を保護す
る邪魔部材を設けて、前記供給口が移動層の下部
のみと連通している。

そのため移動層における流動媒体の自重による
重圧から被焼却物の供給を保護することができ、
被焼却物が詰ることなくスムースに供給でき、効
率良く焼却することができる。

前記実施例のように邪魔部材の基端部を供給管
の先端部付近に接続して、邪魔部材の先端部を供
給管の供給口より移動層の下方に延びるようにす
れば、次のような効果を有する。

すなわち、流動層装置の負荷が低下した場合
は、それにつれて流動層の表面位置が下がる。そ
のとき前述のような邪魔部材がないと、流動層の
表面位置が供給口より下がると、例えば紙やプラ
スチツクスなどの軽い被焼却物は、移動層に供給
されず流動層で生成した燃焼ガスの上昇流に乗つ
て焼却されないまま飛散、排出れるという不都合
が生じる。

その点、前記実施例のような邪魔部材を設けて
おけば、流動層の表面が下がつても、それが邪魔
部材の先端部より下方にならない限り、軽い焼却
物の飛散は生じないという特長を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の流動層装置を示す
側面図、第３図ならびに第４図は本考案の実施例
に係る流動層装置の縦断面図、第５図は縦軸に微
粉の飛散割合を示し、横軸に滞留時間を示した特
性曲線図である。 １……流動層炉、３……流動層、５……供給
管、７……移動層、８……邪魔板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 炉の内部に流動媒体による流動層を形成し、
   この流動層へ被焼却物を投入して焼却するもの
   において、前記流動層内に流動媒体が上から下
   へ移動する移動層を設け、この移動層に対して
   被焼却物の供給管を設置し、その供給管の供給
   口上方に被焼却物の移動層への供給を保護する
   邪魔部材を設けて、前記供給口が移動層の下部
   のみと連通していることを特徴とする流動層装
   置。 (2) 実用新案登録請求の範囲第(1)項記載におい
   て、前記邪魔部材の基端が前記供給管の先端部
   付近に接続され、邪魔部材の先端部が供給管の
   供給口より下方に延びていることを特徴とする
   流動層装置。