JPS6347544B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、密閉型連続鋳造設備に関する。

連続鋳造設備による連続鋳造操業時に、タンデ
イツシユノズルからモールド内への溶鋼流は、モ
ールド内へ注入されると、モールド内で溶鋼面
（メニスカス）を作るが、この場合、溶鋼の注入
量と、モールドからの鋳片の引抜き量とを釣合わ
せて常に一定のレベルのメニスカスが形成される
ように、溶鋼の流入量と鋳片の引抜き量とを同時
に、あるいはそれらのどちらか一方を制御してい
る。この場合、メニスカスは大気圧であり、タン
デイツシユからの溶鋼の流入量は、タンデイツシ
ユ内の溶鋼の高さの平方根に比例している。

このようなメニスカスをもつ連続鋳造操業に
は、 (i) 溶鋼流の酸化に伴なう酸化物（スラグ）が発
生し、このスラグの巻き込みにより鋳片品質の
低下をきたす。

(ii) 上記(i)の対策として、浸漬ノズルを用いて溶
鋼流の酸化防止をはかるとともに、メニスカス
に入口スラグを作り、酸化物の巻き込みを防ぐ
対策を講じているが、これは非常に注意深い慎
重な操業が要求される。

(iii) 上記(i)、(ii)の何れの場合でも、タンデイツシ
ユノズルからの溶鋼の流出速度は、ノズル径と
鋳片寸法の比が大きいため、相当な大きさにな
つており、タンデイツシユ内の酸化物を吸い込
み易い状態になつている。

などの欠点があつた。

このような欠点を解決する手段として、第１図
に示すように、タンデイツシユ０１とモールド０
２の間を密閉した部屋Ｓで囲い、その内部の圧力
をタンデイツシユ０１内の溶鋼の全高の高さＨに
等しく保つ密閉型連続鋳造方法が公知である。

本発明は、この密閉型連続鋳造方法を実操業で
効果的に実施できる連続鋳造設備を提供すること
を目的として提案されたもので、タンデイツシユ
とモールドとの間を、不活性ガスで充たされた密
閉室で囲み、同密閉室内の圧力を、モールド内の
メカニカスからタンデイツシユ内の溶鋼開放面ま
での全高に等しい圧力に保持するように構成され
た密閉型連続鋳造設備の固定枠に、モールドカバ
ーを固着し、同モールドカバーに、上記密閉室の
側壁を形成する筒状部材の下端を固着し、かつ該
筒状部材の上端面を、タンデイツシユの下面に流
体密に密着させる手段を装着してなることを特徴
とする密閉型連続鋳造設備に係るものである。

以下、第２図に示す実施例により、本発明につ
き具体的に説明する。

第２図において１は連続鋳造設備のタンデイツ
シユで、同タンデイツシユ１の下面１ａと、固定
枠たとえば鋳込み床の架構８上に固定されたモー
ルドカバー６の上面との間には、筒状部材たとえ
ば筒状のベローズ３が介装されており、タンデイ
ツシユ１の下面、筒状ベローズ３、モールドカバ
ー６で囲まれた密閉室Ｓ内には調節弁１１を介装
されたガス導入管１０を介して不活性ガスが封入
されている。なお該密閉室Ｓ内の圧力は、調節弁
１１及び調節弁１２によつて制御されている。

２はモールドで、同モールド２は振動テーブル
１３上に支持されており、該振動テーブル１３は
モールド２の給排水のマニホールドを兼ねてい
る。５はモールド２の上端に固着された水冷の案
内ブロツクで、同ブロツク５とモールドカバー６
との間には、図示の如くシールリング７が設置さ
れており、密閉室Ｓ内のガス圧の保持を確実にし
ている。４はタンデイツシユ１のノズル孔に取付
けられた浸漬ノズルで、同浸漬ノズル４の下端開
口は、モールド２の溶鋼面下に没入している。
９，９′はモールドカバー６の図示の如く配設さ
れた流体圧シリンダで、それら流体圧シリンダ
９，９′は、タンデイツシユ１の浸漬ノズル４が
モールド２内に第２図に示す如く挿入されたと
き、これを作動させることにより々そのロツド９
ａ，９′ａの先端で、筒状ベローズ３の上端フラ
ンジ３ａをタンデイツシユ１の下面に流体密に密
着させて密閉室Ｓを形成するようになつており、
それら流体圧シリンダ９，９′の不作動時には、
筒状ベロー３は自重で縮み、そのフランジ３ａが
タンデイツシユ１の下面から離間するようになつ
ている。そしてそれら流体圧シリンダ９，９′は、
筒状部材３の上端面を、タンデイツシユ１の下面
に流体密に密着させる手段を形成している。

本発明の一実施例は、上記のように構成されて
おり、本設備の操業を開始するに当つては、まず
タンデイツシユ１の浸漬ノズル４をモールド２内
に挿入すると同時に、流体圧シリンダ９，９′を
作動させて筒状ベローズ３のフランジ３ａをタン
デイツシユ１の下面に流体密に密着させて、密閉
室Ｓを形成する。

ついで、タンデイツシユ１からモールド２内に
注湯を開始し、該モールド２内のメニスカスが規
定のレベルに達すると、密閉室Ｓ内の圧力を、ｐ
タンデイツシユ１内の全溶鋼高さＨと等しくなる
まで上げる。すなわちｐ＝ρH（ただしρは溶鋼の
比重量）となるまで上げる。この状態から鋳片１
４のモールド２からの引抜きと、振動テーブル１
３によるモールド２の上下振動を開始する。この
場合のモールド２の摺動は、水冷案内ブロツク５
及びシールリング７の部分に限定される。

また、鋳込作業中におけるタンデイツシユ１内
の溶鋼高さの変化や、モールド２の上下動に伴な
う密閉室Ｓの容積変化に対しては、図示せざるレ
ベル検出器（例えばγ線源など）で検出し、その
検出信号で作動する調節弁１１，１２によつて制
御する。

かくしてモールド２からの鋳片１４の引抜き量
に釣合う溶鋼量がタンデイツシユ１からモールド
２内へ供給され、円滑な連続鋳造操業が行なわれ
る。

本発明の密閉型連続鋳造設備は、上記のような
構成、作用を具有するものであるから、本発明に
よれば、 (1) 密閉室Ｓの側壁を形成する筒状部材３は、鋳
込み床の架構８に固定されているモールドカバ
ー６に取付けられていて、モールド２の上下動
時に伸び縮みすることがないため、筒状部材３
を簡単な構造で、安価に製作できる。

(2) 筒状部材３をモールドカバー６に固定してあ
り、タンデイツシユ１の浸漬ノズル４がモール
ド２内に挿入されたときに、流体圧シリンダ
９，９′を作動させるだけの簡単な操作で密閉
室Ｓを容易に形成できるため、鋳込み開始前の
準備作業に手間がかからない。

などの実用的効果を挙げることができる。

なお、図示例の如く、モールド２の上端に水冷
案内ブロツク５を設けると、浸漬ノズル４の輻射
熱から筒状ベローズ３を保護できると共に、モー
ルド２からの溶鋼のオーバーフローによる事故に
対してもその周辺部を保護できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、公知の密閉型連続鋳造方法の略示的
説明図、第２図は、本発明の一実施例の要部の概
略縦断面図である。 １：タンデイツシユ、２：モールド、３：筒状
部材（密閉室Ｓの側壁形成部材）、４：浸漬ノズ
ル、５：水冷案内ブロツク、６：モールドカバ
ー、７：シールリング、８：鋳込み床の架構（固
定枠）、９，９′：筒状部材３の上端面を、タンデ
イツシユ１の下面に密着させる手段（流体圧シリ
ンダ）、１０：ガス導入管、１１，１２：調節弁、
１３：振動テーブル、１４：鋳片。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ タンデイツシユとモールドとの間を、不活性
   ガスで充たされた密閉室で囲み、同密閉室内の圧
   力を、モールド内のメニスカスからタンデイツシ
   ユ内の溶鋼開放面までの全高に等しい圧力に保持
   するように構成された密閉型連続鋳造設備の固定
   枠に、モールドカバーを固着し、同モールドカバ
   ーに、上記密閉室の側壁を形成する筒状部材の下
   端を固着し、かつ該筒状部材の上端面を、タンデ
   イツシユの下面に流体密に密着させる手段を装着
   してなることを特徴とする密閉型連続鋳造設備。