JPS6347413Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えば吸引式溶湯スラグ除去装置等
において取鍋内の溶湯上に浮かぶスラグの厚さを
検出する装置に関する。

従来、上記スラグ厚さ検出装置を構成するに、
電極対をスラグ上面からほぼ鉛直下方向きに突入
させて、電極対がスラグ上面及び溶湯面に接触し
た時点を、それら接触に伴なう電極間の電気抵抗
値の変化から検知し、両時点における電極対の下
降位置測定からスラグ厚さを検出したり、又、ガ
ス噴出ノズルを鉛直下方向きに突入させて、スラ
グ上面の位置及び溶湯面の位置を、それら面とノ
ズルとの近接に伴なうスラグと溶湯との比重差に
起因したガス噴出背圧の変化から検知し、スラグ
厚を検出するように構成していた。

しかし、電極対による検出装置は、電極の溶損
が激しいために電極交換が頻繁に必要となつて、
メンテナンス面で不利であると共に、交換部品の
経費がかさむ欠点があり、又、背圧測定による検
出装置は、検出のためのガス噴出そのものがスラ
グ上面及び溶湯面を乱して外乱の要因となるため
に、検出精度が低下すると共に、設定圧力でガス
噴出させるための精度の良い圧力調整機構が付帯
設備として必要となつて全体構造が複雑化し製作
コストが高価となる欠点があつた。

本考案の目的は、スラグと溶湯との熱伝導率の
違いを利用した合理的改良により、検出精度を向
上すると共に、メンテナンス面及び、経済面で有
利にする点にある。

本考案によるスラグ厚さ検出装置の特徴構成
は、冷却流路形成用有底筒状体の底部に測温ピー
スが取付けられ、前記有底筒状体内に位置するサ
ーモカツプルの測温側接点が前記測温ピースに接
触していることにあり、その作用・効果は次の通
りである。

つまり、有底筒状体をその底部からスラグに突
入させて、測温ピースとスラグ上面との接触を、
その接触に伴なうサーモカツプルの検出温度変化
から検知すると共に、スラグと溶湯との熱伝導率
が一般的に１：３と大きく異なることを利用し
て、測温ピースがスラグ中にある時には冷却流路
の冷却作用により測温ピースに付着した冷却固化
スラグを固化状態に維持し、その固化スラグを断
熱体とする状態で測温ピースの昇温を抑制してお
き、測温ピースが溶湯に接触した時に、付着した
固化スラグが冷却作用にかかわらず再溶解するこ
とに伴なう測温ピースの温度上昇をサーモカツプ
ルで検出して測温ピースと溶湯との接触を検知
し、両接触検知時点における筒状体の下降位置測
定からスラグ厚さを検出するのである。

したがつて、従来構成の如きガス噴出背圧検出
型のようなガス噴出によるスラグ面及び溶湯面の
乱れを無くことができて検出精度を大巾に向上で
きると共に、単に冷却体を供給する装置を付帯す
るだけで噴出ガス圧力設定用等の精度の良い圧力
調整機構を必要としないから、全体構造を簡略に
できて製作コストを低減できた。

しかも、サーモカツプルがスラグや溶湯に直接
接触することが無いから、測温ピースに耐熱材質
を用いることにより、従来構成の電極対型のよう
な溶損による頻繁な部品交換を回避することがで
きると共に、部品交換の経費を低減でき、全体と
して、検出精度に優れ、しかも、メンテナンス面
及び経済面で有利な溶湯スラグ用厚さ検出装置に
できた。

次に実施例を図面に基づいて説明する。

スラグ分離回収用セパレータ１、及び、吸引装
置２に接続したスラグ吸引除去用サクシヨンヘツ
ド３を、自動昇降操作自在なアーム４に取付ける
と共に、取鍋５内の溶湯６上に浮かぶスラグ７の
初期上面位置ａ、及び、溶湯面位置ｂを予め検出
するスラグ厚さ検出装置８の検出部８ａを、その
先端がサクシヨンヘツド吸引口３ａよりも下方に
長さｌだけ突出する検出位置と吸引口３ａよりも
上方に引退した保護格納位置とにわたつて空気圧
シリンダ１１により出退操作自在にサクシヨンヘ
ツド３に付設し、もつて、サクシヨンヘツド３を
上方待機位置から下降させるに伴ないスラグ吸引
に先立つてスラグ厚さ検出装置８を機能させ、そ
の検出結果に基づいて設定されるスラグ初期上面
近くの設定吸引開始位置αから溶湯吸引限界位置
近くの設定吸引停止位置βにわたつてサクシヨン
ヘツド３を、吸引口３ａとスラグ上面との間隔ｈ
を適切に維持しながら吸引作動状態で自動下降さ
せることにより、溶湯スラグ７を連続的に吸引除
去すると共に、その吸引除去に伴なうサクシヨン
ヘツド３内での水噴出により吸入スラグを粒状に
固化させながらセパレータ１に連続的に吸引輸送
するように構成してある。

スラグ厚さ検出装置８を構成するに、空気圧シ
リンダ１１により出退操作される検出部８ａのケ
ーシングとしてセラミツク被覆金属パイプ等から
成る耐熱有底筒状体１０を設け、上端部に冷却ガ
ス加圧供給装置１２を接続した内管１３を、その
外周と筒状体１０の内周との間に上端開放型の冷
却流路Ａが形成されるように筒状体１０に内装支
持してある。

そして、筒状体１０の底部に、セラミツク製の
耐熱測温ピース１４を、その上部が露出状態で冷
却流路Ａに臨み、かつ、下部が筒状体底部から露
出状態で下方向きに突出するように設けると共
に、温度検出器１５に接続したサーモカツプル１
６の測温側接点１６Ａを、サーモカツプル本体部
を筒状体１０内に配置する状態で測温ピース１４
に埋設してある。

つまり、上方待機位置からのサクシヨンヘツド
下降に伴ない検出部８ａを検出位置状態でその下
端からスラグ７に下降突入させて、測温ピース１
４とスラグ初期上面との接触を、その接触に伴な
うサーモカツプル１６の検出温度変化から検知す
ると共に、スラグ７と溶湯６との熱伝導率がほぼ
１：30と大きく異なることを利用して、測温ピー
ス１４がスラグ７中にある時には、冷却流路Ａの
冷却作用により測温ピース１４に付着した冷却固
化スラグ７′を固化状態に維持し、その固化スラ
グ７′を断熱体とする状態で測温ピース１４の昇
温を抑制しておき、測温ピース１４が溶湯６に接
触した時に、付着固化スラグ７′が冷却作用にか
かわらず再溶解することに伴なう測温ピース１４
の温度上昇をサーモカツプル１６で検出して測温
ピース１４と溶湯６との接触を検知し、それら両
接触検知時点における検出部８ａの下降位置測定
からスラグ初期上面位置ａ、及び、溶湯面位置ｂ
を検出するように構成してある。

図中１７は、温度検出器１５から与えられる検
出結果に基づいてサクシヨンヘツド３を自動制御
する制御装置である。

尚、有底筒状体１０の材質は適宜変更でき、
又、それに形成する冷却流路Ａ構造、並びに、空
気や窒素ガス等の種々の冷却体の供給構造も改良
が可能である。

測温ピース１４の材質、及び、具体形状は変更
が可能であり、また、測温ピース１４に対するサ
ーモカツプル測温側接点１６Ａの具体的接触構造
も改良可能である。

本考案による溶湯スラグ用厚さ検出装置の用途
は、溶湯スラグ除去過程の他に、種々の溶湯処理
過程に適用できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る溶湯スラグ用厚さ検出装置
の実施例を示し、第１図は溶湯スラグ吸引除去装
置を示す図、第２図はスラグ厚さ検出装置を示す
縦断面図である。 １０……有底筒状体、１４……測温ピース、１
６……サーモカツプル、１６Ａ……測温側接点、
Ａ……冷却流路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 冷却流路Ａ形成用有底筒状体１０の底部に測温
   ピース１４が取付けられ、前記有底筒状体１０内
   に位置するサーモカツプル１６の測温側接点１６
   Ａが前記測温ピース１４に接触している溶湯スラ
   グ用厚さ検出装置。