JPS6345255B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、焼却炉、熱発生機関等の排煙中に含
まれる火粉や燃焼屑の飛散を防止するために排煙
筒に取り付ける無動力式の排煙除塵装置に関する
ものである。

排煙中の火粉や燃焼屑の飛散を防止するために
これまで数多くの手段がとられてきたが、最も一
般的な方法は、煙突の先端に金網を取り付ける方
法である。しかしこの方法は、金網が直ぐにめ目
詰まりを起して排煙を阻害して燃焼効率が低下
し、また金網の消耗が甚しいため、充分な除塵効
果は基体できなかつた。このほかに、シヤワー式
やサイクロンによる排煙除塵装置が数多く提案さ
れ使用されているが、動力を必要とすること、燃
焼効率が低下すること、修理その他のランニング
コストがかかること、取扱が面倒である等の欠点
があつた。

本発明は、動力を一切使用せず排煙の上昇気流
を利用して旋回気流を起させ、遠心力によつて排
煙中の火粉、燃焼屑を分離する排煙除塵装置に関
するものである。

本発明の排煙除塵装置は図面に基づいて説明す
ると、排煙筒１の一部を径の大きい旋回流発生筒
２とし、該旋回流発生筒２内に上下両端が円錐形
で閉じられた紡鍾形の内筒３を同心状に設けてそ
の周囲に環状空間４を外方に広げて形成し、この
環状空間４に複数の傾斜案内羽根５を放射状に取
り付け、傾斜案内羽根５の上方に於いて、上部排
煙筒１の下方端８に対向して逆漏斗形状の案内筒
６を突出させて環状空間１５を形成すると共に旋
回流発生筒２の内壁との間に上向きの環状溝７を
形成し、上記排煙筒１の下方端８と旋回流発生筒
２上端との間に下向きの環状溝９を形成し、旋回
流発生筒２の外方に粉塵分離筒１０を同心状に設
け、旋回流発生筒２と粉塵分離筒１０とを環状溝
７の旋回流発生筒２壁に設けた排出口１１で連通
させ、粉塵分離筒１０の上部に排気管１２を取り
付けて、これを排煙筒１内に引き込んで排煙筒１
の中心で上向きに開口させ、粉塵分離筒１０の下
端にダストバンカー１３を設けてなるものであ
る。

次に本発明の排煙除塵装置の使用態様を説明す
る。

排煙筒１を上昇してきた火粉、燃焼屑を含む煙
は旋回流発生筒２の中で傾斜案内羽根５を通過し
て旋回流となり、比重の重い火粉や燃焼屑は遠心
力によつて外方に寄せられ逆漏斗状案内筒６の内
面に沿つて上昇する。案内筒６は逆漏斗状で上方
に向うに従つて径が小さくなつているため、旋回
流発生筒２と案内筒６の間に形成された上向きの
環状溝７内は負圧となり、案内筒６の内面に沿つ
て上昇してきた火粉や燃焼屑は、遠心力によつて
環状隙間１５から外方に吹き飛ばされて、環状溝
７に引き込まれ排出口１１から粉塵分離筒１０内
に落下する。遠心力により外方に吹き飛ばされた
火粉や燃焼屑の一部は、旋回流発生筒２の上端に
沿つた旋回流となつて上昇するが、排煙筒１の下
方端８にはばまれて下向きの環状溝９内で旋回す
るうちに、下降して排出口１１から粉塵分離筒１
０内に落ち込む。火粉や燃焼屑は、粉塵分離筒１
０に落ち込むと、その旋回力を失なつて粉塵分離
筒１０の底に落下し、ダストバンカー１３内に溜
まる。一方旋回流発生筒２内で上記の如く案内筒
６と対向し上部排煙筒７から突出する下方端８と
で形成される環状隙間１５の存在で外方に火粉や
燃焼屑が放出されて除塵された排煙は排煙筒１を
通つて上方に上昇する。また、排出口１１から火
粉や燃焼屑と一緒に吸い込まれた排煙は、上述の
ように粉塵分離筒１０内で除塵されて排気管１２
を通つて排煙筒１内に排出される。排気管１２
は、排煙筒１と同心状にその開口を上に向けて設
けられており、その周囲を上向きに上昇する排煙
流のため、その内部には中心負圧が働らくことと
なる。従つて、排気管１２が連通している粉塵分
離筒１０内も負圧が働らき、排出口１１から粉塵
分離筒１０内に火粉、燃焼屑が効率よく吸い込ま
れる。

このように、本発明の排煙除塵装置は、排煙自
体のもつ上昇気流を利用して、旋回流発生筒内で
旋回流を起こさせ、遠心力によつて火粉や燃焼屑
等の粉塵を、旋回流発生室の周囲に設けた粉塵分
離筒に導びいて粉塵を分離するとともに、浄化さ
れた排煙を中心負圧を利用して排煙筒内に排出す
るなど、気流のもつ自然法則を利用しているため
動力が一切不要である。従つて故障することがな
く、シヤワー式のように、水を一切使用しないの
でメインテナンスがほとんど不要であり、耐用年
数も長く修理その他のランニングコストがかから
ない。

さらに、本発明の排煙除塵装置は、通気抵抗が
従来の除塵装置に比べ低く、目詰まりなどのトラ
ブルが起ることがないので極めて安定した高い燃
焼効率が得られる。

通気抵抗となるのは実質的には傾斜案内羽根の
みであり、内筒はその上下端が円錐形となつてい
るため通気抵抗にはほとんど影響しないしこの部
分で回転半径を大きくしているから遠心力が大き
くなる。このように通気抵抗が少ないため傾斜案
内羽根を通過した排煙が充分な流速を持つた旋回
流となり、遠心力が充分に働き、粉塵の分離が効
果的に行なわれ高い除塵効果が得られる。

図に於て、１４は、障壁板で排出口１１より吸
い込まれた粉塵が上方に流れてそのまま排気管１
２に吸い込まれないよう設けたものである。また
粉塵分離筒１０の底は、ダストバンカー１３を取
り付けた部分が低くなるよう傾斜をつけることが
好ましい。

本発明の排煙除塵装置は、無動力でかつ機構が
簡単であるにもかかわらず集塵効率が高く公害防
止及び経済的な面でも極めて有用なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の排煙除塵装置の縦断面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ線に沿う横断面図、第３
図は第１図のＢ−Ｂ線に沿う横断面図である。 １…排煙筒、２…旋回流発生室、３…内筒、４
…環状空間、５…傾斜案内羽根、６…案内筒、７
…環状溝、８…排煙筒突出部、９…環状溝、１０
…粉塵分離筒、１１…排出口、１２…排気管、１
３…ダストバンカー、１４…障壁板、１５…環状
隙間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 排煙筒１の一部を径の大きい旋回流発生筒２
   とし、該旋回流発生筒２内に上下両端が円錐形で
   閉じられた紡鍾形の内筒３を同心状に設けてその
   周囲に環状空間４を外方に広げて形成し、この環
   状空間４に複数の傾斜案内羽根５を放射状に取り
   付け、傾斜案内羽根５の上方に於いて、上部排煙
   筒１の下方端８に対向して逆漏斗形状の案内筒６
   を突出させて環状隙間１５を形成すると共に、旋
   回流発生筒２の内壁との間に上向きの環状溝７を
   形成し上記排煙筒１の下方端８と旋回流発生筒２
   上端との間に下向きの環状溝９を形成し、旋回流
   発生筒２の外方に粉塵分離筒１０とを環状溝７の
   旋回流発生筒２壁に設けた排出口１１で連通さ
   せ、粉塵分離筒１０の上部に排気管１２を取りつ
   けてこれを排煙筒１内に引込んで排煙筒１の中心
   で上向きに開口させ、粉塵分離筒１０の下端にダ
   ストバンカー１３を設けてなる排煙除塵装置。