JPS6344162B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、タツチ信号プローブに係り、特に、
３次元測定機或いは位置測定機に用いる好適な、
被測定物との接触による接触子の３次元的な変位
をとらえて、接触子と被測定物との接触を検知す
るタツチ信号プローブの改良に関する。

一般に、測定基盤上に載置された被測定物の大
きさ及び形状を測定する３次元測定機或いは、工
作機械の刃物台と被加工物との相対的な位置を測
定する位置測定機が知られており、これらの測定
機においては、被測定物に対して任意の方向に移
動可能な移動台に、被測定物との接触による接触
子の３次元的な変位をとらえて、接触子と被測定
物との接触を検知するタツチ信号プローブを装着
し、このタツチ信号プローブにより被測定物との
接触が検知された時の位置信号を測定値とするこ
とにより、正確な測定値を得るようにされてい
る。このタツチ信号プローブは、被測定物と交互
に係合及び離脱させながら１つの測定点から次の
測定点へと迅速に移動させ得るようになつている
が、通常、接触子と被測定物とが係合した瞬間に
直ちにプローブの動きを停止することができない
ので、プローブが限られた量だけ係合点からオー
バーランし得るように、接触子を機構学的位置決
め装置によつて基部に取付け、接触子が基部に対
して相対的に限られた範囲で移動するのを許容し
得るようになつている。又、プローブが被測定物
から離れた時に、接触子を、その初基位置、即ち
静止位置へと復帰するための復元機構が設けられ
ており、前記のオーバーランはこの復元機構の作
用に抗して起こるようにされている。ここで接触
子を剛体と仮定した場合、その重心の位置及び全
体の回転迄も考慮した自由度は６である。従つ
て、一義的に静止位置を決定するには接触子を６
点で支持する必要がある。

このような６点支持形のタツチ信号プローブに
おいては、接触子と被測定物との接触を正確に検
出できると共に、被測定物に当接する接触子が損
傷を受けることのない構造とすることが必要であ
り、(1)接触子が被測定物と接触していない状態に
おいては、接触子とプローブ本体及び移動台との
相対位置関係が常に一定となること、(2)比較的慣
性の大きい移動台に装着される場合や、移動台が
高速で移行運転される場合には、接触時に接触子
がプローブ本体に対して傾き或いは移動して、タ
ツチ信号プローブのオーバーラン時における接触
子に加わる過大な負荷を吸収できるよう、位置決
め装置により許容される接触子の変位量が大きい
こと、(3)接触子が被測定物に係合した瞬間に発生
する接触信号の応答性が優れていること、(4)被測
定物に係合した時に接触子に働く力が十分に小さ
いこと、(5)プローブ移動台がプローブを加速又は
減速する際に接触子又はプローブの他の構成部材
に作用する慣性力により、疑似信号が発生しない
こと、等が要求される。

前記のような目的を達成する６点支持形のタツ
チ信号プローブとして、例えば、特開昭49−
94370号に示される如く、２個の球軸受を接近配
置してＶ溝を形成し、このＶ溝を円周上に120度
間隔で３個配設し、各Ｖ溝に、中央部が接触子の
非接触側端部に固定された円盤状の部材から放射
状に延長された軸をそれぞれ収容させるようにし
て、前記各球軸受と各軸との係合の有無から接触
子と被測定物の接触を感知するようにした測定探
子が提案されている。しかしながら、この測定探
子は、構造が複雑であり、Ｖ溝を形成するに際
し、それぞれのＶ溝が同一形状となるよう球軸受
を精密に固定しなければならず、又、ケーシング
に対し各Ｖ溝の高さ方向を正確に位置決めしなけ
ればならず、更に、各球軸受の加工精度も高度の
ものが要求される等の製造上の欠点を有するだけ
でなく、外部から侵入した塵埃や構成部品の摩耗
により発生した塵が、前記Ｖ溝内に堆積すると精
度が低下し、又、保守点検も容易ではないという
使用上の欠点を有していた。更に、接触子が球軸
受の半径に対応する角度を越えて回動してしまつ
た場合には、円盤状の部材から延長された軸が元
のＶ溝内に戻ることができず、測定に大きな支障
をきたす恐れもあつた。又、構造が複雑で、各構
成要素の加工精度、組立時の誤差が直ちに精度に
影響を与えるため、特に、数μｍオーダーの精度
を要求される３次元測定機等には不適であつた。

本発明は、前記従来の欠点を解消するべくなさ
れたもので、簡単な構造により接触子と被測定物
との接触状態を確実に検知することができ、従つ
て、実用性の高い６点支持形のタツチ信号プロー
ブを提供することを目的とする。

本発明は、被測定物との接触による接触子の３
次元的な変位をとらえて、接触子と被測定物との
接触を検知するタツチ信号プローブにおいて、頂
部が前記接触子の非接触側端部に固着された、略
３角錐状の外面形状を有する可動体と、該可動体
を収容する、該可動体とのの対向面の１面は３点
で、他の１面は２点で、残りの１面は１点で、そ
れぞれ凸状接触部を介して前記可動体の対向面と
接触するようにされた、略裁頭３角錐状の内面形
状を有するケーシングと、前記可動体を前記ケー
シングと接触する方向に付勢して、接触子が被測
定物に接触していない時は、前記６点の接触箇所
のすべてが接触した状態を維持する付勢手段と、
前記６点の接触箇所の少なくとも１点が非接触状
態となつたことを検知して、前記接触子と被測定
物との接触を検出する検出手段と、を備えること
により、前記目的を達成したものである。

又、前記凸状接触部を、前記可動体又はケーシ
ングの、少なくともいずれか一方に形成し、且
つ、その先端部分の形状を略半球形状としたもの
である。

或いは、前記凸状接触部による可動体とケーシ
ングとの接触箇所が、電気接点を構成するように
し、前記検出手段が、該電気接点のオンオフ状態
から、前記接触子と被測定物との接触を検出する
ようにしたものである。

又、前記検出手段を、前記可動体の底面に配設
されたミラーを有し、可動体の移動に伴なうミラ
ーによる反射光の位置の変化から、前記接触子と
被測定物との接触を検出するものとしたものであ
る。

或いは、前記付勢手段を、前記可動体の底面に
配設された屈曲可能な巻きばねとしたものであ
る。

以下本発明の原理を説明する。一般に、第１図
に示す如く、XY、YZ、ZX平面で囲まれた３壁
に立方体１０を位置づける場合には、該立方体１
０の３個の面が対応する壁に３箇所（１０ａ，１
０ｂ，１０ｃ）、２箇所（１０ｄ，１０ｅ）、１箇
所（１０ｆ）の計６箇所で接触するようにすれ
ば、その位置は一義的に定まる。これは、立方体
１０を剛体と仮定した場合、その重心の位置及び
全体の回転迄も考慮した自由度は６となるためで
ある。従つて、立方体１０の静止位置を一義的に
決定するには立方体１０を６点で支持する必要が
ある。これに対して立方体１０の、例えばYZ面
とZX面とを対応する壁に接触させただけでは、
立方体１０はＺ軸方向には摺動可能でその位置は
定まらない。本発明は、このような原理に基づい
てなされたものである。なお、本発明の構成で
は、Ｚ方向変化を全く伴わないプローブ変位は検
出できないが、これは、例えば特開昭49−94370
号の第１図に開示されたプローブにも共通する、
６点支持型タツチ信号プローブに共通の欠点であ
る。即ち、付勢手段の合力ベクトルの方向と垂直
な方向のみ（本発明ではXY方向のみ）には変位
できない。しかしながら、実際にはXY方向の接
触でもＺ方向への逃げが生ずるため、実用上は余
り問題はない。

以下図面を参照して、本発明の実施例を詳細に
説明する。

本実施例は、第２図に示す如く、被測定物との
接触による接触子１２の３次元的な変位をとらえ
て、接触子１２と被測定物との接触を検知する６
点支持型のタツチ信号プローブにおいて、頂部１
４ｄが前記接触子１２の非接触側端部に固着さ
れ、各面１４ａ，１４ｂ，１４ｃにそれぞれ３
個、２個、１個の略半球形状の凸状接触部１４
ｅ，１４ｆ，１４ｇ，１４ｈ，１４ｉ，１４ｊが
形成された略３角錐状の外面形状を有する可動体
１４と、該可動体１４を収容する、該可動体１４
との対向面の１面１６ａは３点で、他の１面１６
ｂは２点で、残りの１面１６ｃは１点で前記凸状
接触部１４ｅ〜１４ｊを介して、前記可動体１４
の対向面１４ａ〜１４ｃと接触するようにされ
た、略裁頭３角錐状の内面形状を有するケーシン
グ１６と、前記可動体１４の底面１４ｋと受蓋１
７間に挿入され、前記可動体１４を前記ケーシン
グ１６と接触する方向に付勢して、接触子１２が
被測定物に接触していない時は、前記６点の接触
箇所のすべてが接触した状態を維持する、屈曲可
能な巻きばね１８からなる付勢手段と、前記６点
の接触箇所の少なくとも１点が非接触状態となつ
たことを検知して、前記接触子１２と被測定物と
の接触を検出する検出回路２０とを備えたもので
ある。

前記凸状接触部１４ｅ〜１４ｊによる可動体と
ケーシング１６との接触箇所は、電気接点を構成
するようにされており、前記検出回路２０は、前
記電気接点の少なくとも１個がオフ状態になつた
ことから接触子１２と被測定物との接触を検出す
るようにされている。具体的には、例えば第３図
に示す如く、絶縁体製の可動体１４上に導電体製
の凸状接触部１４ｅ〜１４ｊを配設し、各凸状接
触部１４ｅ〜１４ｊと検出回路２０をそれぞれ並
列接続すると共に、ケーシング１６も導電体製と
して検出回路２０と接続し、各凸状接触部１４ｅ
〜１４ｊとケーシング１６との接触に伴なう各凸
状接触部の電位変化から可動体１４とケーシング
１６との接触の有無を検出したり、或いは、第４
図に示す如く、絶縁体製の可動体１４上に、それ
自体で電気接点化されている凸状接触部１４ｅ〜
１４ｊを配設し、各電気接点を可動体１４上で互
いに直列接続して、その端末端子のみを検出回路
２０と接続し、各凸状接触部１４ｅ〜１４ｊとケ
ーシング１６との接触に伴なう端末端子間の導通
変化から可動体１４とケーシング１６との接触の
有無を検出したりするようにされている。

以下作用を説明する。まず接触子１２が被測定
物と接触していない定常状態においては、巻きば
ね１８により可動体１４がケーシング１６と接触
する方向に付勢されており、６点の接触箇所のす
べてが接触した状態となつているため、接触子１
２は、Ｚ方向及びXY方向に同時に位置決めされ
ている。プローブ移動台等の移動に伴なつてプロ
ーブが移動され、接触子１２の先端が被測定物に
当接すると、巻きばね１８に抗して接触子１２及
び可動体１４が３次元方向に変位し、前記６点の
接触箇所の少なくとも１点が非接触状態となる。
すると、この非接触状態が検出回路２０により検
出され、被測定物と接触子の接触が検出される。
この際において、巻きばね１８は、Ｚ方向に縮む
だけでなく、Ｘ、Ｙ方向にも容易に撓むため、凸
状接触部１４ｅ〜１４ｊによる可動体１４、即
ち、接触子１２の３次元方向の移動が妨げられる
ことはない。

本実施例においては、可動体１４とケーシング
１６との接触箇所が、電気接点を構成するように
され、前記検出回路２０が、該電気接点のオンオ
フ状態から、前記接触子１２と被測定物との接触
を検出するようにされていたため、構造が特に単
純である。

尚、前記実施例においては、可動体１４の外面
形状が、頂点を有する３角錐状とされていたが、
該可動体１４の外面形状はこれに限定されず、裁
頭３角錐状であつても勿論構わない。

又、前記実施例においては、可動体１４とケー
シング１６との接触箇所を構成する略半球形状の
凸状接触部が可動体１４側にのみ設けられていた
が、凸状接触部の配設位置や形状はこれに限定さ
れず、ケーシング１６側に略半球形状の凸状接触
部を設けたり、或いは、可動体１４とケーシング
１６の両者に、互いに対向する、略半球形状の凸
状接触部を設けることも勿論可能である。又、凸
状接触部の先端部分の形状も半球形状に限定され
ない。尚、ケーシング１６側に凸状接触部１６ｅ
〜１６ｊを設ける場合には、接触子と被測定物と
の接触の検出は、例えば第５図に示す如く、絶縁
体製のケーシング１６上に導電体製の凸状接触部
１６ｅ〜１６ｊを配設し、各凸状接触部１６ｅ〜
１６ｊと検出回路２０をそれぞれ並列接続すると
共に、可動体１４も導電体製として検出回路２０
と接続し、各凸状接触部１６ｅ〜１６ｊと可動体
１４との接触に伴なう各凸状接触部の電位変化か
ら可動体１４とケーシング１６との接触の有無を
検出したり、或いは、第６図に示す如く、絶縁体
製のケーシング１６上に、それ自体で電気接点化
されている凸状接触部１６ｅ〜１６ｊを配設し、
各電気接点をケーシング１６上で互いに直列接続
して、その端末端子のみを検出回路２０と接続
し、各凸状接触部１６ｅ〜１６ｊと可動体１４と
の接触に伴なう端末端子間の導通変化から可動体
１４とケーシング１６との接触の有無を検出した
りするようにされる。

尚、検出手段の構成はこれに限定されず、可動
体の底面にミラーを配設し、可動体の移動に伴な
うミラーによる反射光の位置の変化から、前記接
触子と被測定物との接触を検出するようにした
り、或いは、他の磁気的手段、或いは応力検知手
段等を用いて可動体の移動を検出したりすること
も勿論可能である。

前記実施例においては、接触子１２が鉛直方向
に配置されていたが、接触子１２の配置方向はこ
れに限定されず、巻きばね１８の圧力によつて
は、水平方向に配置しても使用できる。

以上説明した通り、本発明によれば、極めて簡
単な構造にの６点支持型タツチ信号プローブよ
り、被測定物と接触子との接触を確実に検知する
ことができる。又、組立が容易であり、塵埃堆積
による精度低下がない。更に、接触子が回転して
しまうことがなく、原位置復帰が確実であり、実
用性が高い。又、清浄も容易であり、保守点検が
容易であるだけでなく、完全シールも可能であ
る。更に、動作トルクも小さい。又、６点支持型
のタツチ信号プローブにおける技術の豊富化に寄
与する等の優れた効果を有する。

発明者が、第７図に示す如く、可動体１４を立
方体１０の１つの頂点１４ｄを残して切断した３
角錐とし、これに対応するケーシングを設け、こ
のケーシング内面にも対応する凸部を設け、数ｍ
Ｖの電圧を印加して実験したところ、いずれの方
向の変位も1μｍの高精度で検知でき、又、再現
性も良好であることが確認できた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係るタツチ信号プローブの
位置決めの原理を示す斜視図、第２図は、本発明
に係るタツチ信号プローブの実施例の構成を示す
斜視図、第３図及び第４図は、前記実施例におけ
る検出回路及びその変形例を示すブロツク線図、
第５図及び第６図は、本発明に係るタツチ信号プ
ローブの他の実施例における検出回路及びその変
形例を示すブロツク線図、第７図は、発明者が実
験に用いたタツチ信号プローブの可動体の形状を
示す斜視図である。 １２…接触子、１４…可動体、１４ｄ…頂部、
１４ｅ〜１４ｊ…凸部、１４ｋ…底面、１６…ケ
ーシング、１６ｅ〜１６ｊ…凸部、１７…受蓋、
１８…巻きばね、２０…検出回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被測定物との接触による接触子の３次元的な
   変位をとらえて、接触子と被測定物との接触を検
   知するタツチ信号プローブにおいて、 頂部が前記接触子の非接触側端部に固着され
   た、略３角錐状の外面形状を有する可動体と、 該可動体を収容する、該可動体との対向面の１
   面は３点で、他の１面は２点で、残りの１面は１
   点で、それぞれ凸状接触部を介して前記可動体の
   対向面と接触するようにされた、略裁頭３角錐状
   の内面形状を有するケーシングと、 前記可動体を前記ケーシングと接触する方向に
   付勢して、接触子が被測定物に接触していない時
   は、前記６点の接触箇所のすべてが接触した状態
   を維持する付勢手段と、 前記６点の接触箇所の少なくとも１点が非接触
   状態となつたことを検知して、前記接触子と被測
   定物との接触を検出する検出手段と、 を備えたことを特徴とするタツチ信号プローブ。 ２ 前記凸状接触部が、前記可動体又はケーシン
   グの、少なくともいずれか一方に形成され、且
   つ、その先端部分の形状が略半球形状とされてい
   る特許請求の範囲第１項に記載のタツチ信号プロ
   ーブ。 ３ 前記凸状接触部による可動体とケーシングと
   の接触箇所が、電気接点を構成するようにされ、
   前記検出手段が、該電気接点のオンオフ状態か
   ら、前記接触子と被測定物との接触を検出するよ
   うにされている特許請求の範囲第１項又は第２項
   に記載のタツチ信号プローブ。 ４ 前記検出手段が、前記可動体の底面に配設さ
   れたミラーを有し、可動体の移動に伴なうミラー
   による反射光の位置の変化から、前記接触子と被
   測定物との接触を検出するようにされている特許
   請求の範囲第１項に記載のタツチ信号プローブ。 ５ 前記付勢手段が、前記可動体の底面に配設さ
   れた、屈曲可能な巻きばねである特許請求の範囲
   第１項に記載のタツチ信号プローブ。