JPS6342160B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、液化した天然ガス、メタンなどの低
温流体を収容する低温容器やパイプの熱絶縁材料
とともに用いられる流体不浸透性の積層シート状
材料に関する。

（従来の技術） 液化した天然ガスまたはメタンのごとき低温液
体を貯蔵、保存、輸送または搬送するための熱絶
縁され密封された流体密なタンクは知られてい
る。このようなタンクは、タンカーの船上に設置
されたり、陸上輸送車両に設けられたりすること
もある。

このようなタンクは、丈夫な外側構造体を有
し、この内側には内方に間隔をおいて第１次障壁
が設けられる。第１次障壁は、アルミニウム、ス
テンレス鋼、インバー合金のごとき金属または低
温条件に対して同様な抵抗性を示す他の金属から
なる可撓性の不浸透膜を有する壁を構成する。タ
ンクの外側構造体と第１次障壁との間の空間に
は、熱絶縁性物質の比較的厚い層が充填され、こ
の層は外側構造体に支持される。露出した第１次
障壁の金属製膜の内面は、タンクに収容された低
温流体に直接接触することになる。第１次障壁の
金属製膜がインバー合金でつくられたときには、
熱収縮および熱膨張による影響の必配はほとんど
ないが、他の金属でつくられるときには、このよ
うな熱変形を吸収することができるように、金属
製膜を波形、ひだ、あるいは同様な折り曲げ形状
にする。この第１次障壁の背後には、該第１次障
壁とほぼ同じ性質および形状を有する金属製膜を
備えた第２次障壁が形成されることが多い。安全
性の確保のためである。

（発明が解決しようとする問題点） このような第１次障壁をタンクに形成する際に
問題となるのは、その取り付け作業が多くの機械
的手段を必要としたりして複雑であるがゆえに製
造・組み立てコスト（ひいてはタンクの建設費）
が高くなり、また、金属製膜の位置決めや固定が
容易でなく、さらに、相当の厚さの金属製膜を使
用することから比較的重くなることなどである。
そこで本発明の目的は、上述したような従来の問
題点を削減することにある。

（問題点を解決するために手段） 本発明によれば、液化した天然ガス、メタンな
どの低温流体を収容する低温容器やパイプの熱絶
縁材料とともに用いられ、互いに結合された４枚
の層からなる積層シート状材料であつて、流体不
浸透性のフイルム箔を形成する薄くて柔軟性のあ
る金属シートでできた中間層と、ガラス繊維織物
からできた外側層と、ガラス繊維織物からできて
おり、前記外側層とともに前記中間層を挟持する
ように配置され、前記中間層を保護および支持す
るとともに前記熱絶縁材料に確実に結合されるた
めの内側層と、前記外側層に取り付けられ、積層
シート状材料の連続カバーとなる被覆層を形成
し、前記中間層を保護するための合成プラスチツ
ク層とからなる、積層シート状材料が提供され
る。

前記中間層の厚さは約百分の数mm、ガラス繊維
織物からなる前記内側層および外側層の厚さはそ
れぞれ約0.3mmとすることができる。

（作用） 従来の第１次障壁はタンク製造時に外側構造体
とともに組み立てられる。しかしながら、本発明
によれば、上述したような積層シート状材料を、
タンクの外側構造体とは別個の半製品として作つ
ておき、タンクの外側構造体の内側に設けた熱絶
縁材料に、合成樹脂などを利用した接着により容
易に取り付けることができる。あるいはまた、一
番外側の合成プラスチツク層を除いた各層のみか
らなる積層シートを最初に熱絶縁材料に取り付
け、その後に合成プラスチツク材料をスプレイに
よつて吹き付け、合成プラスチツク層を形成する
ようにしてもよい。各層は接着、粘着または融着
などにより互いに結合することにより容易に積層
シート状とすることができる。

積層シート状材料の合成プラスチツク層は低温
流体と直接接触するか大気に露呈され、ガラス繊
維織物の外側層は合成プラスチツク層を支持し、
金属の中間層は安全のための障壁となり、ガラス
繊維織物の内側層は中間層を支持するとともに熱
絶縁材料への結合を確実にし、負荷をタンクなど
の構造体に伝達する。

（実施例） 本発明の実施例を他の参考例とともに添付図面
を参照しつつ説明する。なお、積層シート状材料
について述べるとき、熱絶縁材料に取り付ける側
を「内側」、その反対側の露出した側を「外側」
と呼ぶ。

第１図に示した積層シート状材料１は、第１次
障壁として利用でき、その内側層２はガラス繊維
織物またはそれと同様の合成化学繊維織物から作
ることができる。中間層３はアルミニウム、ステ
ンレス鋼、インバー合金のような金属またはその
他の同等の金属のフイルム、箔（フオイル）また
はシートで作られている。外側の保護層４は、ア
ジプレン（Adiprene）の商品名で知られている
物質のごときポリウレタン・エラストマーかフリ
ジエタン（Frigetan）の商品名で知られている物
質のごときシリコン・エラストマーか、これらと
同等の特性を発揮する合成プラスチツクないし合
成ゴムで作られている。

一例において内側層は約0.3mm、外側の保護層
４は約１mm、中間層３は約百分の数mmの厚さを有
している。

第２図の積層シート状材料１′は第２次障壁と
して用いられる。内側層２と中間層３とはそれぞ
れ第１次障壁の場合と同じ構成をしているが、外
側層４′は内側層２とほぼ同様な材料、厚さでで
きている。

第３図に示したのは本発明による積層シート状
材料１′であつて、タンクの外側構造体の内面の
熱絶縁層上に位置決めされた仕上げ内張りのよう
にして装着される。内側層２および中間層３の材
料、厚さは第１図の場合と同じであり、外側層
４′の材料、厚さも内側層２と同様であるが、外
側層４′の外面は、アジプレン（Adiprene）、ハ
イパロン（Hypalon）、ネオプレン（Neoprene）
の商品名で販売された物質群から選択した合成プ
ラスチツク材料の連続した均一な層９で被覆され
ている。この層９は、この種の合成プラスチツク
材料を細かく分散したものを初期状態で外側層
４′上にスプレイして塗布することにより形成す
ることができる。このようなスプレイによる層９
の形成は、内側層２、中間層３および外側層４′
の組み合わせをタンクの内側に装着した後に行つ
てもよい。一例として、ガラス繊維織物の内側層
２および外側層４′は約0.3mm、金属の中間層３は
約数百分の数mmの厚さを有するものとする。これ
らの内側層２、外側層４′、および中間層３は、
接着、粘着、隔着などにより互いに結合すること
ができる。なお、アジプレン（Adiprene）は合
成ポリウレタン・エラストマーないしゴムであ
り、ハイパロン（Hypalon）（米国のデユ・ポ
ン・ド・ネモ社製）はクロルスルホルン化ポリエ
チレンと称されるゴムないしエラストマーで、ネ
オプレン（Neoprene）はガバメント・ゴム・モ
ノビニルアセチレンとしても知られているクロロ
プレンの重合化により作られた合成ゴムないしエ
ラストマー（クロロブタジエン）である。

第３図に示した本発明による積層シート状材料
１′は、タンクだけでなく、パイプにも適用でき
る。第４図および第５図は、低温流体搬送用のパ
イプ、ダクトまたはこれに似た管状の部材に積層
シート状材料１′を蒸気漏洩防止障壁として適用
した例である。それぞれの例において、積層シー
ト状材料１′の合成プラスチツク層９は、他の層
の組み合わせをパイプ等に装着した後にスプレイ
などによつて形成することが望ましい。

第４図に例では、パイプ１０は、搬送流体によ
る内圧に十分耐えるだけの熱絶縁物質の管状の層
１１で構成され、保護シース、ジヤケツト、カバ
ー等の包囲物質１２によつて包囲されている。本
発明による積層シート状材料１′は、熱絶縁物質
の層１１の内面を内張りするように設けられ、蒸
気漏洩防止障壁となつている。

第５図の例では、建造物エレメント１３は、熱
絶縁物質の層１５によつて包囲された金属製の内
部チユーブ１４からなり、本発明による積層シー
ト状材料１′は、露出した熱絶縁物質の層１５の
外壁面に設けられて蒸気漏洩防止障壁となつてい
る。

第６図は低温流体タンク５への適用例である
が、このタンク５は地面に据え付けられる固定貯
選タンクであつて丈夫な鉄筋コンクリート包囲体
６を備えたものであつてもよいし、タンカー船や
陸上車両に設けられるものであつてもよい。ここ
では、第１図に示した積層シート状材料１を第１
次障壁として用い、第２図に示した積層シート状
材料１′を第２次障壁として用い、中間スペース
に熱絶縁物質の層７および８を配置しているが、
第１次障壁として第３図に示したような本発明に
よる積層シート状材料１′を使用することができ
ることは言うまでもない。

第７図では低温流体タンクの丈夫な包囲体６の
内面に固着された熱絶縁物質の層７の内側に本発
明による積層シート状材料１′を適用した例を示
すが、積層シート状材料１′は波形状態に取り付
けられている。これは大きな熱変形に対応できる
ようにするためである。積層シート状材料１′は
接合箇所１６において熱絶縁物質の層７に固着さ
れている。

第８図は、コンクリートで作られ部分的に地面
１９に埋め込まれたベース１８上に乗つた流体密
の低温流体貯蔵タンク１７に本発明による積層シ
ート状材料１′を適用した例を示す。このタンク
１７は、ほぼ円筒形状の容器２０を有し、容器２
０の回りは熱絶縁物質の層２１および２１′で囲
まれている。積層シート状材料１′は熱絶縁物質
の層の回りに設けられて蒸気漏洩防止障壁とな
る。

（発明の効果） 本発明の積層シート状材料は、タンクなどの構
造物とか別個に半製品として製造されるので、製
造や取り扱いが容易である。また、熱絶縁材料へ
の取り付け面（内側層）がガラス繊維織物である
ことから、接着などの手段により簡単に取り付け
を行うことができ、機械的手段を必要としない。
積層シート状材料は熱絶縁材料の層上に置くよう
にして取り付ければよいので、位置決めに労力を
費やすことはない。したがつて、全体的に製造・
組み立てコストは低くすることができる。さら
に、最も外側の露出した保護層として合成プラス
チツク層を利用したことにより、比較的軽く安価
にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１次障壁として利用可能な積層シー
ト状材料の一例を示す斜示図。第２図は第２次障
壁として利用可能な積層シート状材料の一例を示
す斜示図。第３図は本発明による積層シート状材
料の一実施例の斜示図。第４図はパイプの内面に
本発明による積層シート状材料を適用した状態を
示す縦断面図。第５図はパイプの外面に本発明に
よる積層シート状材料を適用した状態を示す縦断
面図。第６図はタンクの内側に積層シート状材料
を適用した状態を示す平断面図。第７図はタンク
の壁に本発明による積層シート状材料を波形状に
取り付けた状態を示す断片断面図。第８図はタン
クの外面に本発明による積層シート状材料を取り
付けた状態を示す縦断面図。 １′：積層シート状材料、２：内側層、３：中
間層、４′：外側層、９：合成プラスチツク層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 液化した天然ガス、メタンなどの低温流体を
   収容する低温容器やパイプの熱絶縁材料とともに
   用いられ、互いに結合された４枚の層からなる積
   層シート状材料であつて、流体不浸透性のフイル
   ム箔を形成する薄くて柔軟性のある金属シートで
   できた中間層と、ガラス繊維織物からできた外側
   層と、ガラス繊維織物からできており、前記外側
   層とともに前記中間層を挟持するように配置さ
   れ、前記中間層を保護および支持するとともに前
   記熱絶縁材料に確実に結合されるための内側層
   と、前記外側層に取り付けられ、積層シート状材
   料の連続カバーとなる被覆層を形成し、前記中間
   層を保護するための合成プラスチツク層とからな
   る、積層シート状材料。 ２ 前記中間層の厚さが約百分の数mm、ガラス繊
   維織物からなる前記内側層および外側層の厚さが
   それぞれ約0.3mmであることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項に記載の積層シート状材料。