JPS6341674B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、主として鋳鋼の鋳込みに用いられる
底注ぎ取鍋に関する。

(2) 従来の技術 従来、この種取鍋として取鍋本体の底部に注湯
用ノズルを設け、そのノズルを開閉するヘツド部
を持つ湯止棒を取鍋本体内に配設したものが知ら
れている。

この取鍋によれば、ノズルから排出される溶湯
へのスラグの混入を防止して良質な製品を得るこ
とができる。

(3) 発明が解決しようとする問題点 前記取鍋においては、最終的には取鍋内より全
部の溶湯を抜出すものであるが、その際湯面に浮
遊していたスラグがノズルおよびそれと対向する
湯止棒のヘツド部に付着してそれらの表面を凹凸
粗面にするため、そのままでは湯漏れの原因とな
る。そこでノズルおよびヘツド部よりスラグを除
去しなければならないが、それらはアルミナ煉
瓦、マグネシヤ煉瓦、シヤモツト煉瓦等の耐火煉
瓦より構成されており、それら煉瓦はスラグとの
密着力が強いのでスラグを除去することは非常に
困難である。

そのため１回のチヤージ毎にノズルおよびヘツ
ド部を新しいものと交換しているが、ノズル交換
時には取鍋の温度を下げて交換作業を行いその後
再加熱しなければならないのでエネルギの無駄が
多く、またノズル等の部品代も嵩み、その上交換
作業に要する時間および工数も多くなるため非常
に不経済であるといつた問題がある。

本発明は、上記に鑑み、ノズルおよび湯止棒の
ヘツド部を特定の材料より構成し、また特定の保
護手段を講じることにより、それらの使用寿命を
延長して経済性を向上させた前記底注ぎ取鍋を提
供することを目的とする。

Ｂ 発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 そして上記目的を達成するために本発明は、取
鍋本体の底部に注湯用ノズルを設け、このノズル
内端に該ノズルを閉じるよう衝合し得るヘツド部
を持つ湯止棒を前記取鍋本体内に、該ノズルに対
し進退可能に配設した底注ぎ取鍋において、前記
ノズルおよび前記ヘツド部を窒化ホウ素より構成
し、前記ノズルおよび前記ヘツド部の相対向面に
は、窒化ホウ素粉末に水ガラスおよびリン酸より
なる無機バインダを混合してなる保護層を設けた
ことを特徴とする。

(2) 作 用 窒化ホウ素は溶湯としての鋳鋼との濡れ性が低
く、またスラグも付着しにくく、その上付着した
スラグを容易に除去することができるので、ノズ
ルおよびヘツド部の使用寿命を延長することが可
能で、経済的である。さらに窒化ホウ素は常温下
において軟質で機械加工性に優れているので、ノ
ズルおよびヘツド部における損傷部の補修、ノズ
ルとヘツド部との擦り合わせ加工等が容易である
といつた利点もある。

さらにまた、ノズルおよびヘツド部の相対向面
に形成される上記保護層によつて、その相対向面
の機械的強度、特に耐摩耗性が著しく高められ、
従つて該相対向面がノズル開閉のために衝合・離
間を繰り返しても該相対向面の摩耗を効果的に抑
制することができ、湯止棒によるノズルの開閉を
長期に亘り常に的確に行わせることができる。し
かも上記保護層は、窒化ホウ素粉末に水ガラスお
よびリン酸よりなる無機バインダを混合して構成
されるので、その混合物をスラリ状にして上記相
対向面に単に塗布硬化させるだけで該保護層を極
めて簡単に形成することができる。

(3) 実施例 第１図は本発明の一実施例を示し、底注ぎ取鍋
１は鋼板製器体２の内面に耐火物３を裏付けした
取鍋本体４と、その底部に設けられた注湯用ノズ
ル５と、取鍋本体４内に配設されてノズル５を開
閉する湯止棒６とを有する。７は湯止棒６に連結
されてそれを開閉操作する操作部材である。

ノズル５は窒化ホウ素より構成され、排出孔５
ａを有する。湯止棒６は、ノズル５と対向するヘ
ツド部６ａとそれに連なる複数のスリーブ部６ｂ
とを備え、ヘツド部６ａおよび各スリーブ部６ｂ
にボルト状心金８を挿通し、その心金８にヘツド
部６ａの開口部内においてナツト９を螺着するこ
とにより棒状に形成される。ヘツド部６ａは窒化
ホウ素より構成され、その先端面はノズル５の排
出孔５ａ口縁に密合し得るように弧面に形成され
る。各スリーブ部６ｂは従来のアルミナ煉瓦等の
耐火煉瓦より構成される。

さらにノズル５の内端面及び排出孔５ａ内周
面、並びに湯止棒ヘツド部６ａとの対向面と、湯
止棒６のヘツド部６ａ及びスリーブ部６ｂの各外
周面には、窒化ホウ素粉末に水ガラスおよびリン
酸よりなる無機バインダを混合したスラリを塗布
硬化して保護層１０₁，１０₂がそれぞれ形成され
る。

上記構成において、底注ぎ取鍋１に溶湯として
の鋳鋼を供給するときは湯止棒６のヘツド部６ａ
をノズル５の内側開口端に衝合させることにより
ノズル５の排出孔５ａを閉じ、鋳込み時にはヘツ
ド部６ａをノズル５より離間させることによりノ
ズル５の排出孔５ａを開いて鋳鋼を鋳型等に注入
するものである。

この場合、ノズル５およびヘツド部６ａの溶湯
接触面には前述の如く窒化ホウ素入りの保護層１
０₁，１０₂により被覆されているので、それらに
スラグが付着しにくく、またスラグが付着しても
容易に除去することができ、ノズル５等の使用寿
命を、従来の耐火煉瓦製のものが使用回数１回で
あるのに対して連続使用回数を数10回に延長する
ことができる。またこれら保護層１０₁，１０₂が
摩耗および熱劣化した場合には、その都度新たな
保護層を形成してノズル５等の使用寿命を一層延
長することも可能である。

なお、スリーブ部６ｂを窒化ホウ素より構成し
てもよい。

Ｃ 発明の効果 本発明によれば、ノズルおよび湯止棒のヘツド
部を窒化ホウ素より構成するので、その窒化ホウ
素は溶湯としての鋳鋼との濡れ性が低く、またス
ラグも付着しにくく、その上付着したスラグを容
易に除去することができ、ノズルおよびヘツド部
の使用寿命を延長することが可能で、経済的であ
る。さらに窒化ホウ素は常温下において軟質で機
械加工性に優れているので、ノズルおよびヘツド
部における損傷部の補修、ノズルとヘツド部との
擦り合わせ加工等が容易であるといつた利点もあ
る。

さらに前記ノズルおよび前記ヘツド部の相対向
面には、窒化ホウ素粉末に水ガラスおよびリン酸
よりなる無機バインダを混合してなる保護層を設
けたので、その保護層によつて、湯止棒ヘツド部
およびノズルの相対向面の機械的強度、特に耐摩
耗性が著しく高められ、従つて該相対向面がノズ
ル開閉のために衝合・離間を繰り返しても該相対
向面の摩耗を効果的に抑制することができ、湯止
棒によるノズルの開閉を長期に亘り常に的確に行
わせることができる。しかも上記保護層は、窒化
ホウ素粉末に水ガラスおよびリン酸よりなる無機
バインダを混合して構成されるので、その混合物
をスラリ状にして上記相対向面に単に塗布硬化さ
せるだけで該保護層を極めて簡単に形成すること
ができ、従つて取鍋の製造工程で該保護層の形成
が容易であり、その上、長期の使用により該保護
層が摩耗劣化したような場合でも該保護層を簡単
迅速に再形成することができてメンテナンスが容
易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の縦断面図、第２図
は他の実施例の要部の拡大縦断面図である。 ４…取鍋本体、５…ノズル、６…湯止棒、６ａ
…ヘツド部、１０₁，１０₂…保護層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 取鍋本体の底部に注湯用ノズルを設け、この
   ノズル内端に該ノズルを閉じるよう衝合し得るヘ
   ツド部を持つ湯止棒を前記取鍋本体内に、該ノズ
   ルに対し進退可能に配設した底注ぎ取鍋におい
   て、前記ノズルおよび前記ヘツド部を窒化ホウ素
   より構成し、前記ノズルおよび前記ヘツド部の相
   対向面には、窒化ホウ素粉末に水ガラスおよびリ
   ン酸よりなる無機バインダを混合してなる保護層
   を設けたことを特徴とする底注ぎ取鍋。