JPS6341669B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は複雑形状の製品を精度良く鋳造する精
密鋳造用鋳型の製造方法に関する。

（従来の技術） 精密鋳造用鋳型の製造方法として従来からロス
トワツクス法が知られている。

ロストワツクス法は鋳造しようとする製品と同
一形状の模型をワツクス（ろう材）にて形成し、
この模型表面に耐火物からなる被覆層を形成し、
次いでこれを加熱することでワツクスを溶出し、
製品と同一形状のキヤビテイを有する鋳型を得る
ようにしたものである。

（発明が解決しようとする問題点） 上述したロストワツクス法にあつては、模型を
形成するにあたり、溶融したワツクスを型内に流
し込んで成形するわけであるが、模型の中心部ま
で凝固するのに時間がかかり、特に大型模型を成
形する場合、及び多数の模型を成形する場合には
模型自体の重量が大となるので、成形に時間がか
かるばかりでなく、以後の造型作業も面倒とな
り、且つワツクスも多量に使用するため不経済で
ある。

また、ロストワツクス法においては、模型を加
熱して消失せしめるのに長時間を要し、且つ消失
せしめる際に模型が熱膨張し、このため鋳型割れ
を生じる不利がある。

このため最近では発泡スチロールを模型の材料
とした方法が提案されている。

しかしながらこの方法によると、製品の微細な
形状を出しにくく、鋳型のキヤビテイ面に発泡ビ
ーズの境界が生じ、これがそのまま製品表面に現
れてしまう。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決すべく本発明は、合成樹脂を
材料として中空状の製品模型を押出し又は射出成
形及び吹き込み成形体を経て成形し、この製品模
型を同じく合成樹脂からなる中空状の湯口模型に
接着し、これら模型表面に耐火物からなる鋳型材
料を付着・乾燥せしめ、次いでこれを焼成炉内に
入れて焼成するとともに、焼成の際の熱で上記模
型を溶融消失せしめるようにした。

（実施例） 以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説
明する。尚、実施例にあつては、模型を成形する
最初の工程として射出成形を利用し、また模型
は、自動車用変速機を構成するシフトピースと同
一形状のものとした。

第１図は製品模型を成形する装置の概略図であ
り、成形装置１は射出金型２と吹込金型３との間
に反転金型４を配置してなり、射出金型２は背面
にホツトランナー金型５を付設し、このホツトラ
ンナー金型５に射出装置６を接続し、ホツトラン
ナー金型５及び射出金型２に形成した射出孔７を
介して射出金型２内にポリエチレン、ポリスチレ
ン、アクリルニトリル―スチレン共重合体又はア
クリルニトリル―ブタジエン―スチレン共重合体
等の合成樹脂を射出するようにしている。

また、吹き込み金型３は分割型３ａ，３ａから
構成され、これら分割型３ａ，３ａは型閉じ型開
き可能とされ、各分割型３ａ，３ａには成形及び
鋳抜き用の可動ピン８，８が摺動自在に取付けら
れている。

更に、反転金型４は回転自在とされ、180゜離間
した位置にコア９，１０が設けられ、これらコア
９，１０には圧縮空気の吹出し孔が所定数形成さ
れている。

第２図は上記成形装置１を用いた製品模型の成
形を工程順に示したものであり、以下工程順に説
明する。尚、説明にあたつては、コア９，１０と
も同一の成形を行うため、コア９を基準とする。

先ず、第２図Ａに示す如く射出金型２と反転金
型４とを型合せし、射出装置６から射出金型２の
キヤビテイ内に溶融樹脂を射出し、コア９の周囲
にチユーブ状の中空成形体１１を成形する。

次いで、第２図Ｂに示す如く、射出金型２と反
転金型４とを型開きし、コア９に成形体１１を付
着せしめたまま反転金型４を180゜回転し、第２図
ｃに示すように、コア９を型開き状態にある吹込
金型３の分割型３ａ，３ａ間に臨ませる。

この後第２図Ｄに示すように分割型３ａ，３ａ
を閉じ、コア９に形成した圧縮空気の吹出し孔か
ら成形体１１の中空部に圧縮空気を送り込み、成
形体１１を膨らませ、吹込金型３のキヤビテイ形
状に倣つた、つまり製品形状と同一形状の模型１
２を得る。

而る後、第２図Ｅに示すように、吹込金型３を
型開きして、模型１２を払い出す。

一方、コア１０についても前記同様の成形工程
が繰り返される。即ち、コア１０については第２
図Ａは吹き込み成形を、第２図Ｂは模型払い出し
を、第２図Ｃは射出成形前の状態を、第２図Ｄは
成形体１１の成形を、第２図Ｄは射出金型２と反
転金型４との型開き状態をそれぞれ示している。

そして、以上の如き工程によつて得られた模型
１２を用いて鋳型を造型するわけであるが、その
手順は第３図及び第４図に示す通りである。

即ち、第３図に示す如く射出成形等によつて成
形した合成樹脂からなる中空上の湯口模型１３を
用意し、この湯口模型１３に多数の製品模型１２
…をツリー状に接着剤を用いて接着する。

次いで、製品模型１２…と湯口模型１３を接着
してなる組立模型１４を、コロイダルシリカ及び
ジルコンフラワーを含む耐火物スラリー中に浸漬
し、これを引き上げてその表面にジルコンサンド
等の耐火物を付着し、更に乾燥せしめ、この工程
を繰り返すことで、第４図に示す如く模型１２，
１３の表面に耐火物の被覆層１５を形成した鋳型
１６を得る。

そして、この後、鋳型１６を焼成炉内に投入す
る。すると、鋳型１６が焼成されるとともに鋳型
１６内の模型１２，１３が焼成の際の熱で溶融燃
焼する。而して、目的とする精密鋳造用の鋳型が
得られる。

尚、鋳型１６を製造するにあたつては、ソリツ
ドモールド法及びセラミツクシエルモールド法の
いずれを用いてもよい。

次に具体的な実験例を挙げ、本発明方法による
効果を明確にする。

（実験例） 模型材料としてポリスチレン樹脂を使用し、樹
脂温度215〜220゜、射出圧力140Kg／cm²、回転式射
出中空成形機にて自動車用変速機部品であるシフ
トピースの中空製品模型と中空湯口模型を成形し
た。その後、中空湯口模型に第３図の如く中空製
品模型を複数個接着剤（プラモデル用スチロール
系接着剤）にて接着し組立模型（ツリー）を得
た。その後該ツリー表面に耐火物の鋳型を形成し
た。

鋳型は常法により、コロイダルシリカを粘結材
とし、ジルコンフラワーを耐火基材としたスラリ
ー及びジルコンサンドを使用して５層のセラミツ
クコーテイング層を有するものとした。

次に該鋳型を1000℃の焼成炉中に入れ急加熱を
行い、ポリスチレンよりなる模型を消失させ、３
〜４時間鋳型を焼成してセラミツクシエル鋳型を
得た。

その後直ちに高周波溶解されたSCM420相当材
を1550℃の注湯温度にて鋳造した。鋳造後、型バ
ラシ、湯口切断、表面処理を施したところ、鋳肌
の優れた製品が得られた。

（発明の効果） 以上に説明した如く本発明によれば、模型を短
時間で多数個成形することができ、また、模型を
加熱して消失せしめる時間も短縮でき、加熱した
際に模型が膨張することがないので、造型時に鋳
型割れを生じることもない。

また、模型材料の使用量も大幅に削減できるた
め、経済的であり、模型自体の重量も小さくでき
るため、造型プロセスを簡略化し得るとともに、
鋳型のキヤビテイ面も平滑なものとすることがで
きる等多くの効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は製品模型を成形する装置の概略構成
図、第２図Ａ乃至Ｅは製品模型の成形工程を工程
順に示した図、第３図は製品模型と湯口模型とを
接着した組立模型の全体図、第４図は鋳型の全体
図である。 尚、図面中１は成形装置、２は射出金型、３は
吹込金型、４は反転金型、９，１０はコア、１１
はチユーブ状の中空成形体、１２は製品模型、１
３は湯口模型、１５は耐火被覆層、１６は鋳型で
ある。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリエチレン、ポリスチレン、アクリルニト
   リル―スチレン共重合樹脂又はアクリルニトリル
   ―ブタジエン―スチレン共重合樹脂等の合成樹脂
   を押出し又は射出成形することでチユーブ状成形
   体を形成し、このチユーブ状成形体が軟化状態に
   あるうちに成形体を金型内に入れ、成形体の中空
   部に圧縮空気を吹き込むことで目的とする製品形
   状をなす消失製品模型を成形し、この消失製品模
   型を同じく合成樹脂からなる消失湯口模型に接着
   し、次いでこれら模型表面に耐火物からなる鋳型
   材料を付着・乾燥せしめて鋳型とし、この後鋳型
   を焼成炉内に投入して鋳型を焼成するとともに、
   焼成の際の熱で鋳型内の模型を溶融除去するよう
   にした精密鋳造用鋳型の製造方法。