JPS6340240B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、油脂類の付着した強化コンクリート
面や鉄板、鉄骨などの塗装前処理用組成物に関
し、その目的は、従来のように、溶剤その他洗浄
剤による油脂類の除去と、酸による素地の目荒し
とを２工程に分けて行なうことなく、１工程によ
り簡便にして有効な素地調整を行なえるようにし
た新規塗装前処理用組成物を提供することであ
る。 工場床などに多く用いられている強化コンクリ
ートは、硬質骨材を使用することにより、高強度
を発現させるようにした無機系の床材であるが、
その表面が著しくち密かつ平滑であるため、その
ままでは塗料が付着しない欠点がある。さらに強
化コンクリート床では、通常、仕上りや光沢、色
の補修の目的でワツクスが塗布される場合が多
く、従つて塗料を施こすときにはこのワツクスに
起因する塗料の付着不良が生じる。このため従来
は強化コンクリート面への塗装に当つては、溶剤
その他の洗浄剤によりいつたんワツクスを除去し
たのち、さらに表面の目荒しのための酸処理を行
なつており、極めて工程が煩雑で工期としても長
くかかり大きな問題とされていた。 本明細書において「素地の目荒し」とは塗装す
べきコンクリート表面の一構成成分であるカルシ
ウム塩を酸によつて水溶性塩に変えて除去し、ま
た、鉄板の表面を酸によつて水溶性鉄塩として除
去して、これらの塗装面を粗面化し、塗装面の塗
料被膜との接着性を向上させる操作をいう。 本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意研究の結
果、上記のような従来技術の欠点を排除すること
ができて本発明を完成するに至つたものであり、
本発明の塗装前処理用組成物を用いることによ
り、ワツクスの除去と素地の目荒しを１工程化す
ることが可能になり、工期の短縮化、処理費用の
節減を齎らすとともに、塗料の付着性が良好で効
率の良い塗装前処理を実施し得る。 また、一時防錆用の油脂類を被覆された鉄板、
鉄骨などもまず洗浄剤により油脂類を除去し、次
に表面を酸処理することにより塗料の付着性が著
しく向上するが、本発明の塗装前処理用組成物を
用いれば、極めて効率良く１工程で有効な塗装前
処理が可能となる。 即ち本発明の目的は、無機酸または有機酸の単
独あるいは混合溶液を有機溶剤中に乳化（分散）
せしめた組成物により達成される。 本発明の素地調整用組成物において使用する酸
は塩酸、硝酸、硫酸、スルフアミン酸、モノクロ
酢酸などの無機酸または有機酸を意味し、これら
の酸の単独もしくは、混合して用いることが可能
である。有機溶剤としては、トルエン、キシレン
などの芳香族溶剤、トリクロロエチレン、トリク
ロロエタンなどの塩素系溶剤；エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングリコールモノブチル
エーテルなどのセロソルブ系溶剤；メトキシブタ
ノール、ジオキサン、脂肪族系溶剤（例えばニユ
ーソルＫ；日本石油KK製）などでこれらの単独
もしくは混合溶剤がある。望ましくは、種々のワ
ツクス類を溶解させるために混合溶剤として使用
することが良い。 本発明の素地調整用組成物はおいては、酸水溶
液を有機溶剤中に乳化して所謂のＷ／Ｏ型乳化物
を形成させることが肝要である。 Ｗ／Ｏ型エマルジヨンの被塗装前処理素地に対
する処理機構は次のようである。先ずエマルジヨ
ンの分散媒である有機溶剤がワツクス類を溶か
し、素地表面よりワツクスを離脱させ、素地面が
現われる。そして次にエマルジヨンの分散物であ
る酸水溶液が目荒し効果を発揮するものと考えら
れる。 Ｏ／Ｗ型のエマルジヨンではワツクスの溶解能
力が低いため著しく効果は劣り、Ｗ／Ｏ型エマル
ジヨンで該組成物を構成しないと満足な処理効果
が得られない。又該組成物をＷ／Ｏ型エマルジヨ
ンにするため種々の乳化剤を検討したところ非イ
オン系乳化剤のエチレンオキサイド含有量が65％
以上のポリオキシプロピレンのポリオキシエチレ
ンエーテル系乳化剤が好ましい結果を与えること
がわかつた。エチレンオキサイド含有量が65％以
下のものでは乳化が困難であつて目的とするＷ／
Ｏ型エマルジヨンが得られない。 本発明の塗装前処理用組成物の調整に使用する
酸水溶液量は使用する酸の種類と濃度により変化
させることが望ましく、該組成物中の酸水溶液量
が60重量％以上になると乳化物の安定性が著しく
損われ不適当である。また該組成物中の酸水溶液
量を10重量％以下にするためには、素地の目荒し
効果を維持するために酸濃度を高くしなければな
らず、作業に危険が伴ない不適当である。従つて
酸水溶液量が10〜60重量％になるように酸の種類
および濃度を選択することが好ましい。 以下に実施例を示して本発明を具体的に説明す
る。 実施例 １〜７ 次表に示した使用量で有機溶剤、酸水溶液およ
び乳化剤を混合乳化して本発明の素地調整用組成
物を作つた。

【表】 上記実施例に示した各組成物を用いて塗装前処
理した強化コンクリートへの塗料の付着性試験結
果を表２に示す。付着試験は該組成物によつて予
め塗装前処理された強化コンクリート面にアトム
化学製「フロアトツプ#800プライマー」（エポキ
シ樹脂系塗料）を塗布し、乾燥後、アトム化学製
「フロアトツプ#5000」（アクリル系塗料）を塗布
したものを用いた。

【表】

【表】 表２の結果から本発明の塗装前処理用組成物に
より処理した強化コンクリート表面は極めて優れ
たワツクス除去性および塗料付着性を示すことが
わかる。また有機溶剤として芳香族系のものとセ
ロソルブ系のものとの混合物を使用すると（実施
例１、２、６および７）特に好ましい結果の得ら
れることがわかる。 防錆用油脂類の被覆された鉄板や鉄骨に本発明
の組成物を適用したときにも油脂類の除去性およ
び塗料の付着性は極めて良好な結果を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 無機酸または有機酸の単独または混合水溶液
   とエチレンオキサイドの含有量65％以上のポリオ
   キシプロピレンのポリオキシエチレンエーテル系
   乳化剤を加えた有機溶剤とを混合乳化せしめた
   Ｗ／Ｏ型エマルジヨンよりなるコンクリートおよ
   び鉄の塗装前処理用組成物。 ２ 無機酸として塩酸、硝酸、硫酸など、または
   有機酸としてスルフアミン酸、モノクロ酢酸、乳
   酸などの水溶液を有機溶剤に乳化せしめた前項１
   に記載の組成物。 ３ 有機溶剤として芳香族溶剤、脂肪族系溶剤、
   塩素系溶剤、セロソルブ系溶剤などのワツクス類
   を溶剤することができる溶剤の単独または２種以
   上の混合溶剤中に無機酸または／および有機酸を
   乳化せしめた前項１または２の何れかに記載の組
   成物。