JPS6339065Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ガス導管、水道管、電力線や通信線
等の敷設管路等の、主として地中に埋設された管
路に対し、補修、補強等の目的で内張りするため
に使用する、内張り装置の改良に関するものであ
る。

近年、前述のような管路について、該管路の補
修又は補強の目的で、管路内面に柔軟な筒状の内
張り材を貼付けて、内張りすることが行われてい
る。この内張りをするための方法として、予め内
張り材内に接着剤を塗布しておき、この内張りを
流体圧力で内外面を反転しながら管路内に挿通す
ると共に、前記流体圧力で管路内面に圧着し、前
記接着剤を介して管路と内張り材とを接着して内
張りする工法があり、近年特に注目されている。
この工法は、管路の両端部分のみを露出させるだ
けで、長尺の管路について短時間で施工が可能で
あり、また管路に屈曲部分があつても施工できる
等多くの長所を有しているものであつて、極めて
優れた工法である。

ところでこの工法においては、内張り材内に事
前に接着剤を塗布しておく必要がある。この接着
剤は、それぞれ気密性を有する管路と内張り材と
を接着するものであるから、揮発性成分を含むも
のを使用することはできず、事実上反応硬化型接
着剤以外のものを使用することはできない。反応
硬化型接着剤は、接着剤を調合した後施工までの
時間が長くなると、接着剤が早期硬化を起す危険
性があり、内張り工事の直前に内張り材内面に接
着剤を塗布する必要があり、接着剤を塗布した内
張り材をそのまま圧力容器に導入し、リールに巻
回することが必要である。

また圧力容器は、その中に内張り材を裏返すた
めの流体圧力が作用するので、その直径が大きい
と、容器の壁の肉厚を厚くしないと耐圧力が不足
することとなり、圧力容器自体が極めて重いもの
になるので、できるだけ直径を小さくすることが
好ましい。そのためにはリールの直径を大きくす
ることはできず、小径のリールに長い内張り材を
巻回するためには、リールの幅を内張り材の折畳
み幅よりも充分大きくすると共に、そのリールに
内張り材をトラバースしながら巻回することが必
要である。

本考案はかかる事情に鑑みなされたものであつ
て、接着剤を封入した内張り材をロールで絞つて
内張り材内に均一に接着剤を塗布すると共に、接
着剤を塗布した内張り材をそのまま直ちに圧力容
器内に導入することができ、さらにその内張り材
をリールにトラバースしながら巻回することでき
る、新規な管路の内張り装置を提供することを目
的とするものである。

而して本考案は、圧力容器内に、内面に接着剤
を塗布した筒状の内張り材を収納し、該内張り材
を流体圧力で裏返しながら管路に挿通し、裏返さ
れた内張り材を、前記接着剤を介して管路内面に
接着する内張り工法において使用する、管路の内
張り装置において、前記圧力容器内に、前記内張
り材を巻回した、該内張り材の折畳み幅よりも充
分に広幅のリールを回転自在に収納し、圧力容器
前面には前記リールの幅にほゞ一致する幅を有し
且つ開閉自在の内張り材導入口を設け、該内張り
材導入口の前部には、その間隔を調節可能にした
一対の回転ローラーを有し、全体を前記内張り材
導入口に対して傾動自在に取付けた絞り装置を設
けたことを特徴とするものである。

図面は、本考案の内張り装置の一実施例を示す
ものである。第１図及び第２図において、１はト
ラツクであつて、該トラツク１上には圧力容器２
が搭載されており、該圧力容器２内には、第３図
に示すように内張り材を巻回するリール３が回転
自在に軸支されている。該リール３は、前記内張
り材を扁平に折畳んだときの折畳み幅よりも充分
に大きい幅を有している。

圧力容器２の前下部には、内張り材の端末を取
付ける内張り材取付け部４が形成されており、該
取付け部４の上方には、前記リール３の幅とほゞ
同程度の幅を有する横長の内張り材導入口５が形
成されている。該内張り材導入口５は、常時は蓋
６で密閉されており、内張り材を導入するときに
は該蓋６を開き、内張り材導入口５を開放するこ
とができるようになつている。また蓋６は、内張
り材導入口５から取外したときには、ウエイトバ
ランサー７により、容易に上方に吊上げられるよ
うになつている。

前記リール３は、圧力容器２外において、チエ
ーン８を介して減速機９に接続されており、該減
速機９は無段変速機付きモーター１０及び、クラ
ツチ１１を介して直流モーター１２に接続され、
直流モーター１２はトラツク１のバツテリーによ
り駆動されるようになつており、無段変速機付き
モーター１０は、外部電源により駆動されるよう
になつている。

また前記圧力容器２内面上部には、スノーフオ
ン１３及び撹拌用フアン１４が取付けられてお
り、スノーフオン１３は前記トラツク１に搭載さ
れた炭酸ガスボンベ１５に接続され、圧力容器内
に粉末状のドライアイスを噴射するようになつて
いる。該スノーフオン１３及び撹拌用フアン１４
は、前記トラツク１のバツテリーにより駆動され
るようになつている。

１６は、内張り材内面に接着剤を塗布する絞り
装置であつて、前記内張り材導入口５の前方に設
けられている。該絞り装置１６は、両側板１７，
１７と上下の桁１８，１９とよりなる略長方形状
のフレーム２０を有し、該フレーム２０の前記両
側板１７，１７間に、一対の回転ローラー２１，
２２が回転自在に設けられている。下部ローラー
２２は、その両端が前記両側板１７，１７間に回
転自在に架設された軸２３に対して、回転自在に
軸支されている。その軸２３の両端は、前記側板
１７から突出し、その突出部にはその中心から各
辺までの距離が段階的に変化する多角形状の間隔
設定部材２４が固定され、からに前記軸２３の一
方の突出部には、目盛り板２５及びハンドル２６
が取付けられている。

前記側板１７における前記下部ローラー２２の
軸支部分の上方には、スライダー２７が前記側板
１７に対して上下に摺動自在に設けられており、
その上端には、前記フレーム２０の上端に回転自
在に設けられたねじ部材２８が螺合しており、該
ねじ部材２８の上端に取付けられたハンドル２９
でねじ部材２８を回転することにより、スライダ
ー２７が側板１７に対して上下に摺動するように
なつている。而して該スライダー２７に、前記上
部ローラー２１が回動自在に軸支されている。な
お、左右の前記ねじ部材２８は、スプロケツト３
０とチエーン３１とにより、相互に同期して回転
するようになつており、上部ローラー２１は下部
ローラー２２に対して平行を保つた状態で上下に
移動するようになつている。

而して、前記スライダー２７の下端には突出片
３２が突設され、該突出片３２が前記間隔設定部
材２４の外周に当接することにより、上部ローラ
ー２１は下部ローラー２２に対して所定の位置に
保持され、上部ローラー２１と下部ローラー２２
との間の間隔が、所定の大きさに設定されるので
ある。

前記フレーム２０の下部の桁１９には、その中
央にアーム３３が下方に突設され、該アーム３３
の先端には、回動ナツト３４が回動自在に軸支さ
れている。一方、前記圧力容器２に対して固定さ
れた軸受３５に、シヤフト３６が回転自在に支持
されており、該シヤフト３６の先端が前記回動ナ
ツト３４に螺合されている。而して前記フレーム
２０は、下部の桁１９の中央において、ピン３７
により、前記圧力容器２に対して左右に傾動自在
に軸支されている。

而して、圧力容器２内に内張り材を収納する際
には、第７図に示すように、供給リール３８に巻
回された内張り材Ａを該供給リール３８から引出
し、その内張り材Ａ内に接着剤を封入し、この内
張り材Ａをコロコンベア３９上を移動させ、絞り
装置１６で絞つて内張り材Ａ内に接着剤を均一に
塗布し、内張り材導入口５から圧力容器２内に導
入し、リール３に巻回する。

内張り材Ａを圧力容器２内に導入するには、ま
ず蓋６を内張り材導入口５から取外し、ウエイト
バランサー７で上方に吊上げ、内張り材導入口５
を開放する。一方絞り装置１６は、ハンドル２９
を操作してねじ部材２８を回転させ、スライダー
２７を側板１７に沿つて上方に摺動させ、上部ロ
ーラー２１を引上げる。そうしておいてハンドル
２６を操作して軸２３を目盛り板２５を所望の目
盛りに合わせ、下部ローラー２２上に内張り材Ａ
の端末部を載置する。

次で再度ハンドル２９を操作してスライダー２
７を下降させて、上部ローラー２１と下部ローラ
ー２２との間に内張り材Ａを挾むと共に、突出片
３２を間隔設定部材２４の外周に当接させる。こ
れにより上部ローラー２１と下部ローラー２２と
の間隔は、所望の大きさに設定され、ここを通過
する内張り材Ａの内面には所定の量の接着剤が均
一に塗布されることとなる。

而して、接着剤を封入した内張り材Ａの先端を
上部ローラー２１と下部ローラー２２との間を通
し、内張り材導入口５から圧力容器２内に導入
し、リール３に巻回する。そして前記無段変速機
付きモーター１０を駆動して、リール３を一定の
速度で回転させると、内張り材Ａは上部ローラー
２１と下部ローラー２２との間で絞られ、内面に
所定の量の接着剤を塗布されつつ圧力容器２内に
導入され、リール３に巻回される。

このとき、ハンドル４０を操作してシヤフト３
６を回転させると、回動ナツト３４及びアーム３
３を介して、絞り装置１６全体がピン３７を軸と
して左右に傾動する。而して、絞り装置１６が傾
動して回転ローラー２１，２２が傾斜すると、こ
の間を通る内張り材Ａは、回転ローラー２１，２
２の高い方に偏倚する。すなわち、例えば絞り装
置１６を右に傾動させると、内張り材Ａは上部ロ
ーラー２１と下部ローラー２２との間に挟圧され
つつ左側に移動し、絞り装置１６を逆に左に傾動
させると、内張り材Ａは右に移動する。従つて、
ハンドル４０を操作して絞り装置１６を左右に傾
動させることにより、内張り材Ａは左右に移動
し、リール３の表面にトラバースしながら巻回さ
れることになる。

またリール３に内張り材を巻回させながら、ト
ラツク１のバツテリーの電力によりスノーフオン
１３を駆動し、該スノーフオン１３から炭酸ガス
を噴霧して粉末ドライアイス化し、その粉末ドラ
イアイスを内張り材に振り掛けつつ、内張り材Ａ
をリール３に巻回することにより、前記粉末ドラ
イアイスで内張り材を冷却し、接着剤の早期硬化
を防止することができる。

次に、内張り材Ａを圧力容器２に収納する場所
と、内張り工事の現場とが離れている場合には、
トラツク１のバツテリーの電力により、前記直流
モーター１２を駆動し、その動力により減速機９
を介してリール３をゆつくりと回転させながら、
工事現場に運搬する。また圧力容器２内には、定
期的に又は圧力容器２内の温度の変化により、ス
ノーフオン１３から炭酸ガスを噴霧すると共に、
撹拌用フアン１４を駆動して、圧力容器２内を低
温に維持し、内張り材Ａを保冷しつつ運搬するの
がよい。

工事現場に着いたならば、一旦リール３の回転
を止め、内張り材Ａの端末を取付け部４に取付
け、圧力流体導入口４１から圧力流体（例えば圧
縮空気）を導入し、内張り材Ａを流体圧力により
裏返しながら無段変速機付きモーター１０でリー
ル３を駆動し、内張り材Ａを裏返しながら管路内
に挿通して内張りするのである。

本考案によれば、内張り材内面に接着剤を均一
に塗布することができ、しかも接着剤を塗布した
内張り材を直ちに圧力容器２内に導入して、リー
ル３に巻回することができるものであつて、作業
時間が短く、接着剤が早期硬化を起こして施工不
能になることがない。またリール３が内張り材の
折畳み幅よりも充分に広幅であつて、しかも絞り
装置１６が傾動可能に設けられているので、内張
り材をリール３にトラバースしながら巻回するこ
とができる。従つて、圧力容器２の直径をむやみ
に大きいものとする必要がなく、過度に厚肉の厚
い重い圧力容器２を使用する必要がなく、経済的
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の内張り装置をトラツクに搭
載した状態の一実施例を示す側面図であり、第２
図は、その平面図である。第３図は、本考案の内
張り装置の中央縦断面図である。第４図は、前記
内張り装置における、絞り装置の中央縦断面図で
あり、第５図はその側面図、第６図はその中央横
断面図である。第７図は、内張り材に接着剤を塗
布しつつ、本考案の内張り装置に導入する状態を
示す側面図である。 １……トラツク、２……圧力容器、３……リー
ル、５……内張り材導入口、６……蓋、１６……
絞り装置、２１，２２……回転ローラー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧力容器内に、内面に接着剤を塗布した筒状の
   内張り材を収納し、該内張り材を流体圧力で裏返
   しながら管路に挿通し、裏返された内張り材を、
   前記接着剤を介して管路内面に接着する内張り工
   法において使用する、管路の内張り装置におい
   て、前記圧力容器内に、前記内張り材を巻回し
   た、該内張り材の折畳み幅よりも充分に広幅のリ
   ールを回転自在に収納し、圧力容器前面には、前
   記リールの幅にほゞ一致する幅を有し且つ開閉自
   在の内張り材導入口を設け、該内張り材導入口の
   前部には、その間隔を調節可能にした一対の回転
   ローラーを有し、全体を前記内張り材導入口に対
   して傾動自在に取付けた絞り装置を設けたことを
   特徴とする、管路の内張り装置。