JPH0133320Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ガス導管、水道管、電力線や通信線
等の敷設管路等の、主として地中に埋設された管
路に対し、補修、補強等の目的で内張りするため
に使用する、内張り装置の改良に関するものであ
る。

近年、前述のような管路について、管路内面に
柔軟な筒状の内張り材を貼付けて内張りするこが
行われている。この内張りするための方法とし
て、予め内張り材内に接着剤を塗布しておき、こ
の内張りを流体圧力で内外面を反転しながら管路
内に挿通すると共に、前記流体圧力で管路内面に
圧着し、前記接着剤を介して接着して内張りする
工法が注目されている。この工法は、管路の両端
部分のみを露出させるだけで、長尺の管路につい
て短時間で施工が可能であり、また管路に屈曲部
分があつても施工できるものであつて、極めて優
れた工法である。

ところでこの工法においては内張り材内に事前
に接着剤が塗布されている必要がある。この接着
剤の塗布は、内張り工事の直前に工事現場におい
て実施することも可能ではあるが、接着剤は、工
事の日の天侯、気温、管路の状態等種々の条件に
応じて適切な配合等を決定し、これを正しく調合
して、内張り材の内面に適切に塗布しなければな
らない。これを設備の不十分な工事現場において
常に適切に行うことは極めて困難であり、配合ミ
スや作業が不適切である等の原因で接着剤が早期
硬化を起したり、硬化不良を起すことが少なくな
い。従つて、充分に設備の整つた工場で内張り材
内面に適切な接着剤を正しく塗布し、これを工事
現場に供給して内張り工事に供するのが好ましい
のである。

しかしながら一方、工場で内張り材に接着剤を
塗布し、これを工事現場に運搬するためには相当
の時間がかかり、さらに道路事情によつてはその
時間も変動することが少なくない。而してこの運
搬中に接着剤が早期硬化を開始することがあつて
はならないのであり、これを防止するためには内
張り材を冷却し、内張り工事が開始されるまで保
冷しておくことが必要である。

そこで従来は、内張り材を保冷容器に入れ、こ
れを液化炭酸ガスで冷却しつつ運搬することが行
われているのであるが、内張り材内に塗布された
接着剤がその自重によつて下方に流下し、底部の
内張り材内に滞溜することが多い。このようにな
ると、内張り材内面の接着剤の塗布量にむらが生
じるのみならず、接着剤が多量に滞溜した部分に
おいて接着剤の硬化反応が起ると、その反応熱に
よつて反応は急速に進行し、局部的に早期硬化を
生じてしまうのである。

本考案はかかる事情に鑑みなされたものであつ
て、接着剤を塗布した内張り材を冷却しつつ工場
から工事現場に運搬することができると共に、そ
の運搬時に接着剤が流下することがないようにし
たものである。

而して本考案は、トラツクに塔載された圧力容
器内に、内面に接着剤を塗布した筒状の内張り材
を収納し、該内張り材を流体圧力で裏返しながら
管路に挿通し、裏返された内張り材を前記接着剤
を介して管路内面に接着する内張り工法において
使用する管路の内張り装置において、前記圧力容
器内に前記内張り材を巻回したリールを回転自在
に収納し、圧力容器前面下部には内張り材取付け
口を設け、圧力容器内面上部にはスノーフオンと
撹拌用フアンとを取付け、前記トラツクには前記
スノーフオンに液化炭酸ガスを供給する炭酸ガス
ボンベを塔載し、前記スノーフオンと撹拌用フア
ンの動力源が前記トラツクのバツテリーであり、
且つ前記リールの回転駆動系が、前記トラツクの
バツテリーの電力により超低速で回転せしめられ
る駆動系と、外部電源の電力により高速で回転せ
しめられる駆動系との二系統を有し、当該二系統
のいずれかにより選択的に駆動可能であることを
特徴とするものである。

図面は、本考案の内張り装置の一実施例を示す
ものである。１はトラツクであつて、該トラツク
１上には圧力容器２が塔載されており、該圧力容
器２内には内張り材を巻回するリール３が回転自
在に軸支され、圧力容器２の前下部には内張り材
の端末を取付ける内張り材取付け部４が形成され
ている。また圧力容器２の内面上部にはスノーフ
オン５と撹拌用フアン６が取付けられており、ス
ノーフオン５は前記トラツク１に塔載された炭酸
ガスボンベ７に接続され、圧力容器２内に液化炭
酸ガスを噴霧し、リール３に巻回された内張り材
を冷却するようになつており、その冷気を撹拌用
フアン６で撹拌し、圧力容器２内全体に行き亙ら
せるようになつている。

前記リール３は圧力容器２外において、チエー
ン８を介して減速機９に接続されており、該減速
機９は無段変速機付きモーター１０及び、クラツ
チ１１を介して直流モーター１２に接続されてい
る。そして前記直流モーター１２はトラツク１の
バツテリーにより駆動され、前記リール３を超低
速で回転せしめるようになつている。また無段変
速機付きモーター１０は、公共の電力線又は電源
車等の外部電源から供給される大電力により駆動
され、前記リール３を高速で回転させるようにな
つている。また前記スノーフオン５及び撹拌用フ
アン６は、前記トラツク１のバツテリーにより駆
動されるようになつている。

而して、圧力容器２内に内張り材を収納する際
には、接着剤を塗布した内張り材を内張り材導入
口１３から導入し、リール３に巻回する。このと
き、外部電源により無段変速機付きモーター１０
を駆動し、その動力によりリール３を回転させつ
つ内張り材を巻回する。またリール３に内張り材
を巻回させながら、トラツク１のバツテリーの電
力によりスノーフオン５を駆動し、該スノーフオ
ン５から液化炭酸ガスを噴霧して粉末ドライアイ
ス化し、その粉末ドライアイスを内張り材に振り
掛けつつ内張り材を巻回する。

次に、内張り材を収納した圧力容器２を工事現
場に運搬するには、該圧力容器２を塔載したトラ
ツク１で輸送するのであるが、このとき、トラツ
ク１のバツテリーの電力により直流モーター１２
を駆動し、その動力により減速機９を介してリー
ル３をゆつくりと回転させながら運搬する。また
圧力容器２内には、定期的に又は圧力容器２内の
温度の変化により、スノーフオン５から液化炭酸
ガスを噴霧すると共に、撹拌用フアン６を駆動し
て圧力容器２内を低温に維持し、内張り材を冷却
しつつ運搬する。

工事現場に着いたならば、一旦リール３の回転
を止め、内張り材の端末を取付け部４に取付け、
圧力流体導入口１４から圧力流体（例えば圧縮空
気）を導入し、内張り材を流体圧力により裏返し
ながら無段変速機付きモーター１０でリール３を
駆動し、内張り材を裏返しながら管路内に挿通し
て内張りするのである。

本考案によれば、内張り材を冷却しながら工場
から工事現場に運搬することができ、また運搬し
た後工事現場において直ちに内張り作業に供する
ことができるので、内張り材に塗布された接着剤
が早期硬化をすることがない。しかも、運搬中に
おいては、直流モーター１２により内張り材を巻
回したリール３を回転させながら運搬し、且つ随
時スノーフオン５から液化炭酸ガスを噴霧し、撹
拌用フアン６で圧力容器２内の空気を撹拌するの
で、内張り材内で局部的に接着剤が滞溜し、接着
剤の塗布量にむらが生じたり局部的な早期硬化が
起きることもないのである。

またリール３に巻回した内張り材をトラツクで
運搬するときには、トラツクの振動等により内張
り材に巻き緩みが生じ、接着剤にむらが生じた
り、内張り材の引出し時に縺れたりする恐れがあ
るが、本考案によれば運搬中にリール３をゆつく
り回転させることにより、内張り材の巻き緩み分
が巻き締められ、接着剤のむらや内張り材の縺れ
が生じることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の内張り装置の一実施例を示
す側面図であり、第２図は、その平面図である。
第３図は、本考案の内張り装置における圧力容器
の中央縦断面図である。 １……トラツク、２……圧力容器、３……リー
ル、４……取付け部、５……スノーフオン、６…
…撹拌用フアン、７……炭酸ガスボンベ、９……
減速機、１０……無段変速機付きモーター、１２
……直流モーター。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トラツクに塔載された圧力容器内に、内面に接
   着剤を塗布した筒状の内張り材を収納し、該内張
   り材を流体圧力で裏返しながら管路に挿通し、裏
   返された内張り材を前記接着剤を介して管路内面
   に接着する内張り工法において使用する管路の内
   張り装置において、前記圧力容器内に前記内張り
   材を巻回したリールを回転自在に収納し、圧力容
   器前面下部には内張り材取付け口を設け、圧力容
   器内面上部にはスノーフオンと撹拌用フアンとを
   取付け、前記トラツクには前記スノーフオンに液
   化炭酸ガスを供給する炭酸ガスボンベを塔載し、
   前記スノーフオンと撹拌用フアンの動力源が前記
   トラツクのバツテリーであり、且つ前記リールの
   回転駆動系が、前記トラツクのバツテリーの電力
   により超低速で回転せしめられる駆動系と、外部
   電源の電力により高速で回転せしめられる駆動系
   との二系統を有し、当該二系統のいずれかにより
   選択的に駆動可能であることを特徴とする、管路
   の内張り装置。