JPS63387B2 - - Google Patents
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- JPS63387B2 JPS63387B2 JP53003179A JP317978A JPS63387B2 JP S63387 B2 JPS63387 B2 JP S63387B2 JP 53003179 A JP53003179 A JP 53003179A JP 317978 A JP317978 A JP 317978A JP S63387 B2 JPS63387 B2 JP S63387B2
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Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
<産業上の利用分野>
本発明は極めて均一緻密な酸化クロム焼結体及
び其の製造法に関するものである。 <従来の技術およびその問題点> 本発明において酸化クロム焼結体というのは、
成分の大部分が3価の酸化クロム(Cr2O3)より
なる焼結体である。 従来の酸化クロム焼結体は、Cr2O3粉末の成形
体が焼結し難いために、Cr2O3粉末原料にAl2O3
やSiO2などの成分を少量添加し、焼成時にCr2O3
粒界にこれら添加物を含む低融点組成物の液相を
焼成させることにより焼結されていた。このよう
にして作られた酸化クロム耐火煉瓦は、20%前後
以上の気孔率を有し、そのため硝子などの融液に
よる浸蝕を受けやすく、しかも気泡を硝子中に発
生しやすいことあるいは高温で蒸発しやすいこと
など多くの欠点を有する。 一般にCr2O3単成分成形体の焼結の困難性は、
酸化クロムのイオン状態が2価、3価、4価、6
価とあり、酸化雰囲気下で加熱すると6価に酸化
され蒸発しやすくなることに起因している。 P.D.OwnbyらはCr2O3の焼結において、Cr2O3
相を維持するのに必要な平衡酸素分圧下で理論密
度近くまで焼結されると報告している。 そしてCO、CO2などの混合ガスを使用し、厳
密な酸素分圧制御を行つて、Po2=2×10-12atm
の酸素分圧下で、1600℃の焼成で緻密な焼結体を
得ている(P.D.Ownby and G.E.Junqquist、J.
Amer Ceram.Soc.、53
び其の製造法に関するものである。 <従来の技術およびその問題点> 本発明において酸化クロム焼結体というのは、
成分の大部分が3価の酸化クロム(Cr2O3)より
なる焼結体である。 従来の酸化クロム焼結体は、Cr2O3粉末の成形
体が焼結し難いために、Cr2O3粉末原料にAl2O3
やSiO2などの成分を少量添加し、焼成時にCr2O3
粒界にこれら添加物を含む低融点組成物の液相を
焼成させることにより焼結されていた。このよう
にして作られた酸化クロム耐火煉瓦は、20%前後
以上の気孔率を有し、そのため硝子などの融液に
よる浸蝕を受けやすく、しかも気泡を硝子中に発
生しやすいことあるいは高温で蒸発しやすいこと
など多くの欠点を有する。 一般にCr2O3単成分成形体の焼結の困難性は、
酸化クロムのイオン状態が2価、3価、4価、6
価とあり、酸化雰囲気下で加熱すると6価に酸化
され蒸発しやすくなることに起因している。 P.D.OwnbyらはCr2O3の焼結において、Cr2O3
相を維持するのに必要な平衡酸素分圧下で理論密
度近くまで焼結されると報告している。 そしてCO、CO2などの混合ガスを使用し、厳
密な酸素分圧制御を行つて、Po2=2×10-12atm
の酸素分圧下で、1600℃の焼成で緻密な焼結体を
得ている(P.D.Ownby and G.E.Junqquist、J.
Amer Ceram.Soc.、53
〔9〕4 33−36(1972))。
しかしながら、工業的規模でこの様な高温で
CO、CO2などの混合ガスによる酸素分圧の制御
のもとで焼成することは困難であり、未だこの方
法によつて酸化クロム耐化物などの焼結体は実際
には生産されていない。 <発明が解決しようとする問題点> 本発明は、上記のように、従来、酸化クロムの
焼結体の困難を克服することにある。 すなわち、本発明は耐食性、耐摩性などすぐれ
た特性のある酸化クロムの可及的に理論密度に近
い極めて緻密な焼結体を提供することにある。 <問題点を解決するための手段> 上記の欠点に鑑み本発明者は、市販Cr2O3粉末
にて成形体を作り、これを炭素粉末中に埋めて
1300℃〜1500℃の比較的低い温度で焼成したとこ
ろ、極めて均一緻密な焼結体を得られることの知
見に基づいて本発明を完成した。 <作用> すなわち、本発明は、酸化クロムを主体とする
成形体の表面に炭化クロム被覆層が形成された酸
化クロム焼結体であつて、該被覆層を除去した焼
結体が相対密度95%以上の緻密な反応焼結体であ
ることを特徴とする酸化クロム焼結体にかかるも
のである。 本発明の他の発明は、酸化クロムの成形体を炭
素還元雰囲気で焼成することを特徴とする酸化ク
ロム焼結体の製造方法にかかるものである。 本発明にかかる酸化クロム焼結体は、酸化クロ
ムを主体とする成形体の表面に炭化クロム被覆層
が形成されていることが特徴の1つである。この
被覆層は、剥離性で容易に除去することができ、
これを除去した部分は、極めて緻密な酸化クロム
を主体とする反応焼結体となつており、これが主
たる特徴となつているものである。 この酸化クロムの緻密焼結体は、電子顕微鏡の
観察によれば、図−1に示すように気孔が殆んど
なく、わずかに存在する気孔もほぼ球状の密閉気
孔となつていることから見て、成形体のCr2O3粉
末粒子が焼結して行く過程で各粒界には液相部分
が存在していたことが推定される。 しかも、Cr2O3の融点が2265℃であるのにかか
わらず、1300℃〜1500℃の炭素中での還元雰囲気
焼成で上記の微構造状態が得られることから考え
て、Cr2O3以外のCrOあるいはそれとCr2O3の共
融組成等の低融点組成物「これをCrOx(但し、0
<x<3/2)と記す」の生成があることが推定さ
れる。 即ち、本発明における酸化クロム焼結体は前記
の如きCrOxが焼結過程で存在することによつて
緻密化されたものであるが、相対密度は95%以上
となつている。ここで相対密度とは(嵩密度/理
論密度)×100で表わされ、本発明にかかる酸化ク
ロム焼結体の緻密化の程度を理解できる。 即ち、酸化クロムの理論密度(5.21g/cm3)に
対し、相対密度が可及的に近接して大となればな
る程、緻密化が生じていることを意味し、本発明
にかかる酸化クロム焼結体が95%以上にもなつて
いることは、従来、知られていない特徴である。 しかしながら、かかる高緻密化酸化クロム焼結
体において、X線分析ではCr2O3以外のCr酸化物
が検出されないこと、及び偏光顕微鏡観察で非晶
質相が認められないことから、CrOxの生成は極
めて少量と考えられる。 次に、本発明における酸化クロム焼結体は、酸
化クロム成形体を炭素還元雰囲気で焼成すること
を特徴として製造することができる。 用いる原料は、通常市販されている酸化クロム
(Cr2O3)粉末であるが他に必要に応じ、その前
駆体である水酸化クロム、無水クロム酸等も挙げ
られる。 かかる酸化クロム粉末を要すれば結合剤と共に
所望の成形体を得、これを炭素還元雰囲気で焼成
することが重要である。なお、成形手段は、公知
の如何なる手段であつても特に限定なく必要に応
じて、選択操作すればよい。 本発明において、炭素還元雰囲気で焼成すると
いうのは、前記のように、焼結過程において、低
融点組成物CrOxの生成が促進され、還元すれば
Cr2O3粒子の固相間に液相が生じて均一で緻密な
焼結か生起するように酸化クロムを主体とする成
形体の酸化クロムの一部として低融点組成物
CrOxが存在する如くされた炭素還元条件の下で
焼成することである。 かかる焼成においては、系内酸素分圧は実質的
に無視できる程になつているため酸化クロムを主
体とする成形体の表面に炭化クロム被覆層が形成
され、かつ該被覆層の形成により還元の進行は阻
止されると共に成形体内部の低融点組成物CrOx
生成が制御されて緻密化が促進されると推定でき
る。なお、この被覆層は薄くかつ剥離し易いもの
で、焼成後容易に除去することができる。 かかる焼成条件の具体的方法としては、例えば
酸化クロム成形体の加熱炉内に炭素粉末の充填、
好ましくは該成形体を被覆するように炭素粉末を
容器内に充填し、空気を遮断して焼成することで
ある。 また、他の方法としては、COおよびCO2混合
ガスを導入するとか、CrOx又は/及び炭化クロ
ム原料の一部として共存させ、混合ガス又は炭素
粉末と共に炭素還元雰囲気の下で焼成することが
あげられる。焼成温度は、例えば図−2からみて
も明らかなように1300℃以上、特に1400〜1600℃
の範囲が好適である。 前述の炭素粉末で被覆して焼成する場合、例え
ば実施例1において酸化クロム焼結体の表面には
約0.1mmの炭化クロム被膜が形成されていた。こ
の炭化クロム被膜層は焼成過程で成形体の表層
Cr2O3と炭素との反応により生成したものである
が、前述の炭化クロムを共存させる態様として、
当初より成形体表面に炭化クロム被覆層を塗布し
て、これを炭素中に埋めて加熱焼成しても同一効
果が期待できる。 このように本発明における炭素還元雰囲気での
焼成方法によれば生成する炭化クロム皮膜層は、
成形体内部のCr2O3と被覆炭素との直接接触を防
ぎ、焼成過程でのCr2O3と炭素との新たな反応進
行を阻止すると共に成形体内部の雰囲気の調整も
適宜に手助けをすると推定され、成形体内の
Cr2O3の還元による低融点組成物CrOxの生成を
制御して均一緻密な焼結体をもたらす効能を有す
る重要な焼成制御方法と考えられる。酸化クロム
を主体とする成形体を炭素中で焼成する場合に、
成分である酸化クロムの大部分をCr2O3とし、一
部適宜な量の低融点組成物CrOxの生成をもたら
し、成形体表面に炭化クロム被膜の生成をもたら
す反応は、実験結果である図−2から推察すれ
ば、約1300℃以上で生じ、この温度以上で緻密に
焼結することが可能であり、焼結体の嵩密度の理
論密度に対する割合は1350℃の焼成で92%、1400
℃〜1500℃の焼成で98〜99%に達する。そしてそ
の微構造は溶融状態から作られたアルミナ電鋳耐
火物と同じ様になり緻密になる。 このために、本発明にかかる酸化クロム焼結体
は硝子溶融液などに対する耐食性に優れ、気泡も
含まないためにガラス中に泡を発生させるなどの
欠点もなく、また酸化クロム焼結耐火物の最大の
欠点とされていた酸化雰囲気で使用された場合の
蒸発の点でも其の速度が極めて遅くなり改良され
る。 またさらに、従来法の如く種々の添加物を加え
て高温度で焼結された酸化クロム焼結体に比し
て、本発明の方法によるときは特殊な焼成炉を必
要とせず、従来法に比して低温度の焼成で従来品
より高度の焼結状態にある高品位の焼結体を低コ
ストで製造し得るものであり、硝子繊維製造用硝
子溶融炉材等の特殊用途に画期的な多大の利益を
与えるものである。以下に実施例を示し、本発明
の効果の大きさを更に詳細に説明する。 実施例 1 酸化第二クロム(Cr2O3、・99.95%)粉末を径
20mm、厚さ10mmの円柱状に1t/cm2でプレス成形し
た。これをアルミナ坩堝に入れ、周囲を炭素粉末
で充填し蓋をして電気炉に入れ、1500℃まで加熱
し、その温度で1時間保持した。焼成された焼結
体の表面には約0.1mmの容易に剥がれる被膜層が
生成されていた。その被膜層は炭化クロムであ
り、これを除去した焼結体のX線分析ではCr2O3
のみであり、その嵩密度は5.15g/cm3で理論密度
に対して99%の緻密さであつた。そして偏光顕微
鏡観察によると100〜200μのほぼ球状の単結晶
Cr2O3が密に集合していた。また、電子顕微鏡観
察によると、わずかに存在する気孔はすべて1〜
3μの球状の密閉気孔となつていた。なお大気中
で1500℃で2時間焼成された焼結体の嵩密度は
3.40g/cm3であり、理論密度に対して65%にすぎ
なかつた。 実施例 2 Cr2O3粉末を30×30×70mmの棒状に成形し、そ
れをアルミナ容器に入れ、周囲に炭素粉末を充填
した。それを電気炉に入れ1450℃で1.5時間焼成
した。この焼結体周囲に生成した約0.1mmの炭化
クロム表面被膜層を除去したものと、市販されて
いる酸化クロム耐火煉瓦について物性値および硼
珪酸ガラスに対する浸蝕度合などを測定した。そ
の結果本発明の焼結体はきわめて緻密で高温の空
気雰囲気中での蒸発量は少なく安定であり、ガラ
スに対する耐浸蝕性もきわめてすぐれていた。
CO、CO2などの混合ガスによる酸素分圧の制御
のもとで焼成することは困難であり、未だこの方
法によつて酸化クロム耐化物などの焼結体は実際
には生産されていない。 <発明が解決しようとする問題点> 本発明は、上記のように、従来、酸化クロムの
焼結体の困難を克服することにある。 すなわち、本発明は耐食性、耐摩性などすぐれ
た特性のある酸化クロムの可及的に理論密度に近
い極めて緻密な焼結体を提供することにある。 <問題点を解決するための手段> 上記の欠点に鑑み本発明者は、市販Cr2O3粉末
にて成形体を作り、これを炭素粉末中に埋めて
1300℃〜1500℃の比較的低い温度で焼成したとこ
ろ、極めて均一緻密な焼結体を得られることの知
見に基づいて本発明を完成した。 <作用> すなわち、本発明は、酸化クロムを主体とする
成形体の表面に炭化クロム被覆層が形成された酸
化クロム焼結体であつて、該被覆層を除去した焼
結体が相対密度95%以上の緻密な反応焼結体であ
ることを特徴とする酸化クロム焼結体にかかるも
のである。 本発明の他の発明は、酸化クロムの成形体を炭
素還元雰囲気で焼成することを特徴とする酸化ク
ロム焼結体の製造方法にかかるものである。 本発明にかかる酸化クロム焼結体は、酸化クロ
ムを主体とする成形体の表面に炭化クロム被覆層
が形成されていることが特徴の1つである。この
被覆層は、剥離性で容易に除去することができ、
これを除去した部分は、極めて緻密な酸化クロム
を主体とする反応焼結体となつており、これが主
たる特徴となつているものである。 この酸化クロムの緻密焼結体は、電子顕微鏡の
観察によれば、図−1に示すように気孔が殆んど
なく、わずかに存在する気孔もほぼ球状の密閉気
孔となつていることから見て、成形体のCr2O3粉
末粒子が焼結して行く過程で各粒界には液相部分
が存在していたことが推定される。 しかも、Cr2O3の融点が2265℃であるのにかか
わらず、1300℃〜1500℃の炭素中での還元雰囲気
焼成で上記の微構造状態が得られることから考え
て、Cr2O3以外のCrOあるいはそれとCr2O3の共
融組成等の低融点組成物「これをCrOx(但し、0
<x<3/2)と記す」の生成があることが推定さ
れる。 即ち、本発明における酸化クロム焼結体は前記
の如きCrOxが焼結過程で存在することによつて
緻密化されたものであるが、相対密度は95%以上
となつている。ここで相対密度とは(嵩密度/理
論密度)×100で表わされ、本発明にかかる酸化ク
ロム焼結体の緻密化の程度を理解できる。 即ち、酸化クロムの理論密度(5.21g/cm3)に
対し、相対密度が可及的に近接して大となればな
る程、緻密化が生じていることを意味し、本発明
にかかる酸化クロム焼結体が95%以上にもなつて
いることは、従来、知られていない特徴である。 しかしながら、かかる高緻密化酸化クロム焼結
体において、X線分析ではCr2O3以外のCr酸化物
が検出されないこと、及び偏光顕微鏡観察で非晶
質相が認められないことから、CrOxの生成は極
めて少量と考えられる。 次に、本発明における酸化クロム焼結体は、酸
化クロム成形体を炭素還元雰囲気で焼成すること
を特徴として製造することができる。 用いる原料は、通常市販されている酸化クロム
(Cr2O3)粉末であるが他に必要に応じ、その前
駆体である水酸化クロム、無水クロム酸等も挙げ
られる。 かかる酸化クロム粉末を要すれば結合剤と共に
所望の成形体を得、これを炭素還元雰囲気で焼成
することが重要である。なお、成形手段は、公知
の如何なる手段であつても特に限定なく必要に応
じて、選択操作すればよい。 本発明において、炭素還元雰囲気で焼成すると
いうのは、前記のように、焼結過程において、低
融点組成物CrOxの生成が促進され、還元すれば
Cr2O3粒子の固相間に液相が生じて均一で緻密な
焼結か生起するように酸化クロムを主体とする成
形体の酸化クロムの一部として低融点組成物
CrOxが存在する如くされた炭素還元条件の下で
焼成することである。 かかる焼成においては、系内酸素分圧は実質的
に無視できる程になつているため酸化クロムを主
体とする成形体の表面に炭化クロム被覆層が形成
され、かつ該被覆層の形成により還元の進行は阻
止されると共に成形体内部の低融点組成物CrOx
生成が制御されて緻密化が促進されると推定でき
る。なお、この被覆層は薄くかつ剥離し易いもの
で、焼成後容易に除去することができる。 かかる焼成条件の具体的方法としては、例えば
酸化クロム成形体の加熱炉内に炭素粉末の充填、
好ましくは該成形体を被覆するように炭素粉末を
容器内に充填し、空気を遮断して焼成することで
ある。 また、他の方法としては、COおよびCO2混合
ガスを導入するとか、CrOx又は/及び炭化クロ
ム原料の一部として共存させ、混合ガス又は炭素
粉末と共に炭素還元雰囲気の下で焼成することが
あげられる。焼成温度は、例えば図−2からみて
も明らかなように1300℃以上、特に1400〜1600℃
の範囲が好適である。 前述の炭素粉末で被覆して焼成する場合、例え
ば実施例1において酸化クロム焼結体の表面には
約0.1mmの炭化クロム被膜が形成されていた。こ
の炭化クロム被膜層は焼成過程で成形体の表層
Cr2O3と炭素との反応により生成したものである
が、前述の炭化クロムを共存させる態様として、
当初より成形体表面に炭化クロム被覆層を塗布し
て、これを炭素中に埋めて加熱焼成しても同一効
果が期待できる。 このように本発明における炭素還元雰囲気での
焼成方法によれば生成する炭化クロム皮膜層は、
成形体内部のCr2O3と被覆炭素との直接接触を防
ぎ、焼成過程でのCr2O3と炭素との新たな反応進
行を阻止すると共に成形体内部の雰囲気の調整も
適宜に手助けをすると推定され、成形体内の
Cr2O3の還元による低融点組成物CrOxの生成を
制御して均一緻密な焼結体をもたらす効能を有す
る重要な焼成制御方法と考えられる。酸化クロム
を主体とする成形体を炭素中で焼成する場合に、
成分である酸化クロムの大部分をCr2O3とし、一
部適宜な量の低融点組成物CrOxの生成をもたら
し、成形体表面に炭化クロム被膜の生成をもたら
す反応は、実験結果である図−2から推察すれ
ば、約1300℃以上で生じ、この温度以上で緻密に
焼結することが可能であり、焼結体の嵩密度の理
論密度に対する割合は1350℃の焼成で92%、1400
℃〜1500℃の焼成で98〜99%に達する。そしてそ
の微構造は溶融状態から作られたアルミナ電鋳耐
火物と同じ様になり緻密になる。 このために、本発明にかかる酸化クロム焼結体
は硝子溶融液などに対する耐食性に優れ、気泡も
含まないためにガラス中に泡を発生させるなどの
欠点もなく、また酸化クロム焼結耐火物の最大の
欠点とされていた酸化雰囲気で使用された場合の
蒸発の点でも其の速度が極めて遅くなり改良され
る。 またさらに、従来法の如く種々の添加物を加え
て高温度で焼結された酸化クロム焼結体に比し
て、本発明の方法によるときは特殊な焼成炉を必
要とせず、従来法に比して低温度の焼成で従来品
より高度の焼結状態にある高品位の焼結体を低コ
ストで製造し得るものであり、硝子繊維製造用硝
子溶融炉材等の特殊用途に画期的な多大の利益を
与えるものである。以下に実施例を示し、本発明
の効果の大きさを更に詳細に説明する。 実施例 1 酸化第二クロム(Cr2O3、・99.95%)粉末を径
20mm、厚さ10mmの円柱状に1t/cm2でプレス成形し
た。これをアルミナ坩堝に入れ、周囲を炭素粉末
で充填し蓋をして電気炉に入れ、1500℃まで加熱
し、その温度で1時間保持した。焼成された焼結
体の表面には約0.1mmの容易に剥がれる被膜層が
生成されていた。その被膜層は炭化クロムであ
り、これを除去した焼結体のX線分析ではCr2O3
のみであり、その嵩密度は5.15g/cm3で理論密度
に対して99%の緻密さであつた。そして偏光顕微
鏡観察によると100〜200μのほぼ球状の単結晶
Cr2O3が密に集合していた。また、電子顕微鏡観
察によると、わずかに存在する気孔はすべて1〜
3μの球状の密閉気孔となつていた。なお大気中
で1500℃で2時間焼成された焼結体の嵩密度は
3.40g/cm3であり、理論密度に対して65%にすぎ
なかつた。 実施例 2 Cr2O3粉末を30×30×70mmの棒状に成形し、そ
れをアルミナ容器に入れ、周囲に炭素粉末を充填
した。それを電気炉に入れ1450℃で1.5時間焼成
した。この焼結体周囲に生成した約0.1mmの炭化
クロム表面被膜層を除去したものと、市販されて
いる酸化クロム耐火煉瓦について物性値および硼
珪酸ガラスに対する浸蝕度合などを測定した。そ
の結果本発明の焼結体はきわめて緻密で高温の空
気雰囲気中での蒸発量は少なく安定であり、ガラ
スに対する耐浸蝕性もきわめてすぐれていた。
【表】
【表】
<発明の効果>
本発明に係る酸化クロム焼結体は、表面が剥離
性の薄い炭化クロム被覆層で覆われているもので
あるが、この層を除去すると、実質的に酸化クロ
ムの非常に緻密の反応焼結体となつているもので
ある。 かかる焼結体は、耐食性がすぐれているので、
硝子の溶解炉などの機能的耐食炉材として期待さ
れるものである。
性の薄い炭化クロム被覆層で覆われているもので
あるが、この層を除去すると、実質的に酸化クロ
ムの非常に緻密の反応焼結体となつているもので
ある。 かかる焼結体は、耐食性がすぐれているので、
硝子の溶解炉などの機能的耐食炉材として期待さ
れるものである。
図−1はCr2O3粉末成形体を炭素中で1500℃、
2時間焼成した焼結体の破断面の走査電子顕微鏡
写真である。図−2は焼成温度と、嵩密度とのお
よび理論密度に対する割合との関係を示すグラフ
である。
2時間焼成した焼結体の破断面の走査電子顕微鏡
写真である。図−2は焼成温度と、嵩密度とのお
よび理論密度に対する割合との関係を示すグラフ
である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 酸化クロムを主体とする成形体の表面に炭化
クロム被覆層が成形された酸化クロム焼結体であ
つて、該被覆層を除去した焼結体が、相対密度95
%以上の緻密な反応焼結体であることを特徴とす
る酸化クロム焼結体。 2 酸化クロムの成形体を炭素還元雰囲気で焼成
することを特徴とする酸化クロム焼結体の製造方
法。 3 炭素還元雰囲気での焼成は、成形体を炭素粉
末で被覆充填して行う特許請求の範囲第2項記載
の酸化クロム焼結体の製造方法。 4 焼成温度が1300〜1600℃の範囲である特許請
求の範囲第2項又は、第3項記載の酸化クロム焼
結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP317978A JPS5496508A (en) | 1978-01-14 | 1978-01-14 | Sintered chromium oxide and method of making same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP317978A JPS5496508A (en) | 1978-01-14 | 1978-01-14 | Sintered chromium oxide and method of making same |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5496508A JPS5496508A (en) | 1979-07-31 |
JPS63387B2 true JPS63387B2 (ja) | 1988-01-06 |
Family
ID=11550151
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP317978A Granted JPS5496508A (en) | 1978-01-14 | 1978-01-14 | Sintered chromium oxide and method of making same |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5496508A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54141808A (en) * | 1978-04-24 | 1979-11-05 | Akira Yamaguchi | Method of controlling porosity of chromic oxide sintered body |
JPS63319251A (ja) * | 1987-06-22 | 1988-12-27 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 酸化クロム基緻密質焼結体の製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4837561A (ja) * | 1971-09-20 | 1973-06-02 |
-
1978
- 1978-01-14 JP JP317978A patent/JPS5496508A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS4837561A (ja) * | 1971-09-20 | 1973-06-02 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5496508A (en) | 1979-07-31 |
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